タイトル:【ODNK】戦女神2マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/12/23 10:48

●オープニング本文


 九州某所。α−01部隊――通称乙女中隊、駐屯基地。格納庫。
「‥‥」
 乙女中隊の隊長である早乙女・美咲(gz0215)は、忙しなく動き回る整備兵達の様子を眺めていた。
 現在は彼女達の乗機、シラヌイのS2型、およびシラヌイ改への改修作業が急ピッチで進められている。
 つい最近、バージョンアップが開始されたためだ。それに‥‥
「大きな作戦‥‥」
 直属の上司である高ノ宮・茜少佐から近々、大きな作戦が行われるという話を聞いている。
 まだ詳細は伝えられていないが‥‥この急な改修作業は、恐らくそれに備えてのことだろう。
(「また大規模な戦闘になるのは確実‥‥」)
 正直怖い。前回傭兵部隊と作戦を共にした際、自分は下手をすれば死んでいたかもしれなかった。
 とある傭兵の言葉を聞かなければ今頃‥‥。いや、戦場に身を置けばいつだって死は付き纏うが。
(「いつも通り、いつも通りやれば良い」)
 美咲は目を瞑り、胸に両手を当て、そう自分に言い聞かせた。
「早乙女」
 ふと、声がかけられた。美咲は声のしたほうに身体を向ける。
「せんせ‥‥じゃなかった、片瀬大尉!」
 そこに佇んでいたのは乙女中隊がまだ分隊だった頃に教官をしていた片瀬・歩美大尉だった。
 美咲は片瀬大尉のことをとても慕っており、今でもよく相談に乗ってもらっている。
「どうされたんですか?」
「挨拶をしておこうと思ってな」
「挨拶?」
 美咲は小首をかしげる。
「次の作戦では、私も出撃する」
「ええっ!? 片瀬大尉も出撃なさるんですか?!」
 思わず声を上げてしまう美咲。
「ああ。正確には訓練小隊を率いて、ということになる」
「訓練小隊‥‥?」
「ふふ。早乙女の後輩だ。‥‥お前達、α−01部隊の隊長にご挨拶しろ」
 片瀬大尉が促すと、彼女の後ろから4人の少女が現れた。‥‥すごく、緊張している様子だ。
 年の頃は‥‥皆、中学生くらいか。
「はっ! はいっ! 自分はα−02訓練小隊の横山訓練兵であります!」
 隊長らしき少女に、残りの3人の少女が続く。
「岩崎訓練兵であります!」
「工藤訓練兵であります!」
「山口訓練兵であります!」
 4人の少女はぎこちなく敬礼。そのまま固まり、顔が引きつっている。
「‥‥ぷっ。あははは!」
「じゅ、准尉殿‥‥?」
 横山訓練兵がおずおずと美咲の顔をうかがう。
「あ、ごめん。そんなにかしこまらなくても良いよ。殿なんて付けなくて良い」
 思わず噴出してしまった美咲がお腹を押さえながら訓練兵の少女達の顔を見る。
「で、ですが‥‥」
「こら、早乙女。後輩達がちゃんと挨拶しているというのに」
 横山訓練兵の言葉を遮って、片瀬大尉が言う。
「すみません‥‥」
 しゅんとする美咲。
「はあ、まったく‥‥」
 しかしこの雰囲気は悪くないな。と、片瀬大尉は思った。
「‥‥片瀬大尉、この子達も出撃するんですか?」
 表情を引き締め、美咲が尋ねる。
「そうだ。あれで出る」
 片瀬大尉は格納庫の隅っこのほうに鎮座している1機のR−01COPと、4機のS−01COPを指差した。
「けれど‥‥まだ訓練兵なんですよね‥‥?」
 心配そうな表情の美咲。この子達を自分達と同じ目に遭わせるなんて‥‥。
 手が足りないのは理解できるが‥‥。
「大丈夫だ。心配するな。この4名はもう十分な訓練を受けている。対KVキメラの相手程度なら可能だ。‥‥私の言葉が信じられないか?」
「いえ! そんなことは!」
 片瀬大尉がそう言うなら安心だ。きっと大尉が直々に彼女達を鍛えたのだろう。
「次の作戦では共同戦線になる。よろしく頼む。敬礼!」
 片瀬大尉が言い、α−02訓練小隊のメンバーは再度敬礼。
「了解しました!」
 びしっと返礼する美咲であった。

 数日後――。
 乙女中隊駐屯基地。通信室。
 モニターの前に高ノ宮少佐が腰掛けている。画面に映っているのは大佐の階級章を付けた壮年の男性。
『こっちは予定通り、派手に暴れて敵を引き付ける。その隙にそっちが佐賀空港を奪還してくれ』
「了解しました」
 高ノ宮少佐は敬礼。
『敵さんをとっとと追い出さないとな。期待してるぞ、茜ちゃん』
「叔父上‥‥お気をつけて」
『ふっ、俺はひ孫の顔を見るまで死なんと決めているんだ。ははは』
 通信の相手、森ノ宮・猛大佐が豪快に笑うと通信はぷつりと消えた。

 ブリーフィングルーム――。
「それでは作戦の概要を説明する」
 集まった乙女中隊の面々を前に、高ノ宮少佐が口を開いた。
「今回の作戦目標は、バグア軍の占領下にある佐賀空港の奪還だ」
 一度は奪還した佐賀空港であったが、バグア軍の北熊本侵攻に合わせて再占領されてしまっていた。
 度重なる戦闘により管制塔や整備施設などは完全に破壊されており、現在は瓦礫の山と化している。
「佐賀空港には小型のギガワームも確認されていたが、展開中の北京解放戦の影響で大陸へ出張っているらしい。我々には非常に好都合だ」
 高ノ宮少佐はスクリーンに映し出されている地図の二点をポインターで指し示す。
「まず、森ノ宮大佐が率いるKV連隊、β−01部隊が佐賀空港の敵軍に攻撃を仕掛けつつ北上し、陽動をかけ、引き離す。その隙に我々が佐賀空港を奪還する、というわけだ」
 極めてシンプルな作戦。陽動を行うβ−01部隊にはかなりの負担が掛かってしまうが‥‥。
 森ノ宮大佐の娘である、森ノ宮姉妹4名は息を飲む。
「説明は以上だ。諸君らの奮起に期待する!」
「了解!!」

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
時任 絃也(ga0983
27歳・♂・FC
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
百瀬 香澄(ga4089
20歳・♀・PN
ヴァレス・デュノフガリオ(ga8280
17歳・♂・PN
時枝・悠(ga8810
19歳・♀・AA
瑞姫・イェーガー(ga9347
23歳・♀・AA
米本 剛(gb0843
29歳・♂・GD
イスル・イェーガー(gb0925
21歳・♂・JG
夏目 リョウ(gb2267
16歳・♂・HD
ティリア=シルフィード(gb4903
17歳・♀・PN
流叶・デュノフガリオ(gb6275
17歳・♀・PN
奏歌 アルブレヒト(gb9003
17歳・♀・ER
エイラ・リトヴァク(gb9458
16歳・♀・ER
カーディナル(gc1569
28歳・♂・EL

●リプレイ本文

●佐賀空港奪還作戦
 出撃前。α−01部隊駐屯基地。KVハンガー。
「対するは強敵、みたいですね‥‥」
 ノエル・アレノア(ga0237)がティリア=シルフィード(gb4903)に話しかける。
「作戦参加KV、総数140機‥‥。これだけの味方戦力が動く‥‥まさに総力戦ですね」
「はい。厳しい戦いになりそうですが、負けるわけには行きません」
 ノエルはあごに手を当て、ティリアに質問してみる。
「ティリアさんは今回の敵との交戦経験がありましたよね。詳しく聞かせてもらえますか?」
「群青色のタロスが敵の指揮官です。戦闘能力はエースクラス、絶対に油断してはダメです。その他は、側近のタロスやゴーレムにも注意が必要かと。敵の主力は恐らく対KVキメラだと思いますが、侮ってはいけません」
「‥‥なるほど。ありがとうございます」
 礼を言うノエル。
「役割は違いますが、戦場は同じ。ティリアさんが一緒なので心強いです」
「はい、ボクもです。ノエルさんが一緒なら、安心できます」
「がんばりましょう」
「はい、ノエルさん」
 互いの手を握り締める2人。
(勝って、誰一人欠けることなく戻ってくる‥‥必ず!)
(共に戦場を駆ける騎士となろう、ゼロ)
 2人は心の中で固く誓う。

 その後、ティリアはパイロットスーツ姿の早乙女・美咲に声をかける。
「敵の戦力は強大ですが、必要以上に恐れることはありません。仲間と共に戦い、勝って帰る。『いつも通りに』ね?」
「ええ。いつも通りにいきます」
 自分にはこんなに頼もしい仲間達が居る。
 死への恐れはまだあるが、それ以上に士気が高まっていた。

 妻の流叶・デュノフガリオ(gb6275)と共に参加のヴァレス・デュノフガリオ(ga8280)。
「気を抜いてはいけないけど、緊張し過ぎるのも良くないしね♪」
 温かい紅茶を水筒から紙コップに注ぎ、流叶に差し出す。
「ありがと。分かってると思うけど‥‥無理はしないでね?」
 流叶は紅茶を啜りながら最愛の夫の顔を上目遣いで見つめる。
「もちろんさ♪」
 ヴァレスはにっこり笑った。

 イスル・イェーガー(gb0925)は妻である瑞姫・イェーガー(ga9347)の塞ぎこんだ顔を見ていた。
「大丈夫だよ。敵は強そうだけど、この皆ならきっと帰って来られると思うよ」
「イスル‥‥そうだよね。全員無事に帰って来られるよね」
 微笑む瑞姫。
 その後、イスルは今回作戦を共にするα−01部隊、α−02訓練小隊のメンバーと片瀬・歩美大尉に挨拶。
「初めまして‥‥未熟ではありますが、よろしくお願いします‥‥」
 皆は「よろしく」と返してきた。

 百瀬 香澄(ga4089)はα−01部隊B小隊隊長、九条・冴と話していた。
「α−02ね。冴達もついに先輩になったわけだ。きっちり作戦こなして、後輩達に『未来の自分』を見せてやんな」
「はい、香澄さん」
 しかし冴の心中は複雑。自分よりも若い子が次々と戦場へ投入されているなんて‥‥。
 後輩が出来たことは嬉しいが、素直には喜べない。
「ん? 冴〜心配が顔に出てるぞ?」
「え、あ‥‥その‥‥」
「先輩は後輩を守ってやるもんだ。今の冴になら出来る」
 冴を優しくハグする香澄。
「‥‥ありがとうございます」
 ぽっと頬を染める冴。
(――さってと、私も一つ、張り切って行こうかね!)

 米本 剛(gb0843)は片瀬・歩美大尉率いるα−02訓練小隊の4名を遠くから眺めていた。
 滅多に会うことが出来ないが、正式なお付き合いをしている歩美のことが本気で気に掛る。
 また、訓練小隊の4名に若さを感じており、未来を生きて欲しいと切に思う。
(決して‥‥決して無茶はしないで下さいよ)
 心の中で祈る米本。
「剛さん」
 ふと、声がかけられる。
「あ、歩美さん!?」
 歩美が背後に立っていた。
「この作戦が終わったら‥‥どこかお食事にでも連れて行ってください」
 そっと、耳元で囁かれる。
「え、ええ。歩美さんのお願いでしたら」
「うふふ」
 にこやかに微笑む歩美。それを見て米本の顔は真っ赤になった。

「ねえ美咲。今度のクリスマス、良かったら俺と一緒に過ごせないかな? 先に希望があれば人はそれだけ強くなれると思う。2人で‥‥いや、皆で絶対無事に帰ってくる為にも、今言っておきたかったんだ‥‥頑張ろうな」
 恋人である美咲の頬に触れて微笑む夏目 リョウ(gb2267)。
「もちろん。あれからもう一年なんだね‥‥。ところで、これだけ?」
 美咲は頬に触れているリョウの手を掴む。
「え‥‥?」
「このくらい、いいよね‥‥」
 リョウに顔を近づけ、そっと唇を重ねた。ささやかなキス。
「み、美咲‥‥!?」
「じゃあクリスマス、楽しみにしてるから♪」
 美咲は自分の機体のほうへ走っていってしまった。
(‥‥美咲と一緒に過ごすクリスマスのために、俺は絶対に死ねない。必ず生きて、美咲と‥‥!)

 ほどなく出撃時刻となり、全員機体に搭乗。
 作戦開始。フェイズ1――β−01部隊による陽動が始まる。
 傭兵部隊、α−01部隊、α−02訓練小隊は佐賀市付近で待機。

「最近はケチが付き纏ってるな、再度気を引き締めてかかるか」
 時任 絃也(ga0983)の機体はR−01改。
「今回の作戦‥‥あまり時間をかけるわけにはいかんな」
 漸 王零(ga2930)の機体は雷電改2『アンラ・マンユ』。
「ああ。時間をかけるだけβ−01部隊の損害が大きくなるからな」
 絃也は頷く。
(言葉でなく結果で示そう。その為に来たのだから)
 時枝・悠(ga8810)――彼女の機体は悪魔の名を持つアンジェリカ。
「‥‥負けられない戦いです‥‥」
 奏歌 アルブレヒト(gb9003)の機体はガンスリンガー『S・S(シュワルベ・シュネル)』。
「あたしが、地獄に連れ込んでやるよ‥‥。ちぃと分が悪りぃけどな」
 エイラ・リトヴァク(gb9458)の機体はヘルヘブン750『ヘルヘイム』。
「‥‥大した規模の部隊だな。ま、それはお互い様、だろうがよ」
 カーディナル(gc1569)の機体はウーフー2『エルブレイク』。

 約30分経過。
『こちらHQ。陽動は成功。β−01部隊の損耗率は5%。作戦は順調に推移』
 司令部からの通信。
「開始30分で損耗率5%か‥‥」
「それだけ敵の物量が凄まじいということだな」
「β−01部隊の奮戦‥‥無駄には出来ませんね」
 王零の言葉に絃也と米本が反応する。
「‥‥」
 悠はβ−01部隊の働きに答えなければ。と静かに考える。
『作戦をフェイズ2に移行する。佐賀空港に突入せよ』
 再度司令部から通信。
 傭兵部隊、およびα−01、02部隊は前進。二手に分かれて空港内に突入。

 カーディナルはまず情報収集を行う。
「索敵を開始する‥‥‥‥100体以上の対KVキメラを確認。そしてTWは滑走路全域に広く展開している模様」
 風切り音と共に砲弾が飛来。榴弾が次々と降り注ぎ、爆発が巻き起こる。
「ったく、嫌になる!」
 回避運動を取りつつ、ぼやくカーディナル。
「タロスは?」
 と悠。
「わからん。今のところ確認できん」
「‥‥」
 恐らく隠れているんだろうな、と悠は思う。
「‥‥陽動をかけても‥‥流石に相当数の戦力が‥‥残っていますね。‥‥一気に取り付いて‥‥短期決戦を狙います」
 言ったのは奏歌。
「了解した。まずはこいつを‥‥」
「少し待て」
 王零の言葉を遮りつつ、コクピットでコンソールを操作するカーディナル。
「ジャミング中和収束装置起動。これでいくらかマシになるはずだ」
「では改めて‥‥撃つ!」
 王零機、収束装置の効果を確認後、後方に居るTWに対しM−181大型榴弾砲を連続発射。
「こちらもいきます!」
 ティリア機もファルコン・スナイプを使用した200mm4連キャノン砲で砲撃。
 次々に着弾。爆音が轟く。効果の程は判らないが‥‥牽制程度にはなっただろう。
 それを合図に他のメンバーも攻撃を開始。

「そこの虫共邪魔だ、灼けちまえ」
 エイラ機、群がるキメラ群に向けてレーザー砲を照射。
 それは甲殻を焼き、1匹を倒すが、他のGスコルピオンの強酸を集中的に受け、装甲が融解。
「くっ‥‥こいつら」
 双機刀『臥竜鳳雛』を構えて斬り込むノエル機をティリア機がスナイパーライフルD−02で援護。
「やあああっ!」
「援護します、ノエルさん!」
 ノエル達と同じく、突出する瑞姫機をイスル機が援護射撃。
「強化人間とは言え、同じ国の者同士で‥‥。そこまで腹が決まってるなら魂ごと喰らい尽くしてやるよ!」
「敵が多いね‥‥無駄弾を撃つ余裕もないかもしれないや‥‥」

 倒壊し瓦礫の山と化したターミナルビルに足を踏み入れると、突如としてレーダーに反応。
 カーディナルが叫ぶ。
「タロスだ! その数8! ‥‥いや、12!!」
 傭兵部隊の前に立ちはだかるタロス部隊。
「出やがったな。あたしがヘルだ、巨人共! 地獄までご足労願おうか!!」
 声を上げるエイラ。とは言え、彼女が優先すべきはTWの対応だ。
「見渡す限り敵ばかり‥‥厄介だがある意味壮観だな。まぁ余裕はないが心は平静に、だ」
 絃也が言い、傭兵部隊はA班、B班に分かれる。
 TW対応のB班はA班がタロス部隊を抑えている間にブーストを使用し突破して行く。
 それを確認すると、A班は精鋭機対応とノーマルタロス対応に分かれた。
 ヴァレス機が煙幕銃を使用。辺りが煙に包まれる。
 更にクァルテットガン『マルコキアス』で砲撃し、ノーマルタロス部隊を牽制。
 その隙に流叶機がブーストを噴かして前に出て、注意を引く。
 タロス部隊は機刀を構えて流叶機に襲い掛かる。盾で受け流す流叶機。そこへ――
「危ない、が‥‥私が本命だと思うのかい?」
 側面へ回り込んでいたヴァレス機が機杭『エグツ・タルディ』をタロスのわき腹に叩き込んだ。
「悪いが、取らせてもらう!」
 タロスの機体が揺らぐ。夫婦ならではの見事な連携であった。

●VSタートルワーム
 B班――
 王零
 香澄・エイラ
 ティリア・奏歌

 タロス部隊を突破し、榴弾の雨を掻い潜った5機のKV。
 ほぼ強行突破であったため、装甲はどれも傷だらけ。
 王零機が先行し、香澄機とエイラ機、ティリア機と奏歌機はペアを組んでいる。

 TWは広く展開しているので、B班は三手に分かれて対応。
 正面は王零、右翼は香澄・エイラ、左翼はティリア・奏歌。

 王零機――
 まずは中距離を保ち、95mm対空砲『エニセイ』で砲撃する。
 TW5機は兵装を重機関砲に切り替えて反撃してきた。
 佐賀空港のTWは実体弾型で榴弾砲を装備しているとの情報だけだったが‥‥やはりワーム。
 ただの自走式榴弾砲というわけではなかった。中〜近距離戦にも対応できるらしい。
「ちっ」
 濃密な弾幕。避け切れない分は機盾『アイギス』で受け流す。
 ‥‥このままでは弾幕に押し切られてしまう‥‥。
 王零は機体を操り、接近を試みる。

 香澄・エイラ――
 エイラ機は高速二輪モード‥‥前後二輪のバイク形態に変形。榴弾の爆炎の中を駆け抜ける。
(にしても、遮蔽物ほとんど無しかよ‥‥一対一なら良いが、これじゃ相手に分があんぞ)
 だがまあ、それはそうだ。こちらは『攻める側』で、バグアは『守る側』なのだから。
(‥‥けど、遮蔽物を利用できないのは相手も同じ。頭を使え‥‥出し抜く術は必ず有るはずだ)
 砲口を狙い、レーザーライフルによる射撃を行うも‥‥このモード中は命中が低下するため精密射撃には向かず、榴弾砲を破壊するには至らない。
「‥‥捉えた。OK、勝負はここからだ!」
 香澄機もエイラ機に追随し距離を詰め、レーザーガン『フィロソフィー』で射撃しつつ、練機刀『月光』を振るう。
 反撃の重機関砲は盾で防ぐ。――が、じわじわとダメージを食らう。
「なるほど、亀は榴弾砲だけじゃないってか‥‥」

 ティリア・奏歌――
 2機はある程度接近した後、本格的な攻撃を開始。
 SライフルD−02と強化型ショルダーキャノンでTWの砲塔を狙い撃ち、ティリア機はTWに対して有効な知覚兵装をメインとする奏歌機を援護。
 奏歌機はリロードを挟みつつショルダー・レーザーキャノンを連射。
 当然、TW5機による重機関砲の弾幕が展開されるが、ティリア機は堅牢な装甲で押し留める。
 奏歌機は回避運動。しかし全て避けきれるものではない。
「‥‥!!」
 ティリア機は前に出て、奏歌機の盾となる。
「すみません‥‥ティリア」
「いえ、それよりも奏歌さんは砲撃に集中を!」
「‥‥了解しました」
 4連キャノン砲と、レーザーキャノンの光条がTWに集中する。

 香澄・エイラ――
「くっ、5対2ってのは‥‥!」
 白く煌く刀でTWを斬り付ける香澄。甲羅に何度も斬撃を加える。
 手応えはあるものの、通常のTWよりも装甲が強化されているようで、なかなか撃破できずにいた。
「ぐぅっ‥‥!!」
 高速二輪モードで尚もヒットアンドアウェイを繰り返すエイラ機だったが、重機関砲による濃密な弾幕は常に展開されており、少量ずつでも長時間砲弾を浴び続けた機体は悲鳴を上げている。
「エイラ! しまった!」
 香澄は目の前のTWに掛りきりでエイラ機へのフォローを忘れていた。
 結果としてエイラ機の負担が大きくなってしまっていた。
 ‥‥高速で走り、レーザーライフルで射撃を続けるエイラ機だが‥‥ついに機体が火を噴く。
「情けねぇ‥‥ここまで‥‥かな‥‥」
 コクピットは赤いランプに照らされ、警告音が鳴り響く。
 メインモニターにはダメージが危険域に達している表示。
 執拗にエイラ機を狙うTW4機。重機関砲の火線が集中。そしてエイラ機は爆発炎上。停止した。
「エイラァァァ!!」
 香澄が叫ぶ。
「く、そう。‥‥やってくれるじゃないか、この亀野郎!!」
 香澄は兵装をDR−2荷電粒子砲に切り替え。目の前の敵に対し極太の光条を放った。

 王零――
「エイラがやられた?! くっ!」
 ジャイレイトフィアーと盾を構えてTWと交戦中。
 こちら――正面はこれまでにTW2機を撃破。残るは3機。
 ジャイレイトフィアーを回転させて甲羅に突き刺す。
 するとTWは手足を引っ込め、甲羅に篭った。そして慣性制御を用いて高速回転を始め、甲羅から生える棘――人類側で言えばソードウィング的なもので切りかかって来た。
 他の2機も同様の行動に出る。王零機は三方向からガリガリと装甲を削られる。
「なっ‥‥! これは‥‥!」
 今までにない攻撃に戸惑いつつもジャイレイトフィアーを再度甲羅に突き刺す。敵の回転とぶつかり、激しい火花が散った。
(ここで足止めを食うわけには‥‥)
 早く香澄機の救援に向わねばエイラ機と同じことになる‥‥!
「はあああっ!!」
 王零機は一度ジャイレイトフィアーを引き抜き、両手で掴んで振り上げ、渾身の力で振り下ろし――回転するTWを串刺しにした。
 TW1機は何度も小爆発を起こして活動を停止。

 ティリア・奏歌――
「奏歌さん! エイラさんが!」
「‥‥把握しています」
 こちらの2人は徹底した中距離砲撃により、戦闘を優位に進めていた。
 既にTW3機を撃破。残る2機もかなりダメージを与えている。
 もっとも、盾となっているティリア機の損傷もかなりのものだが‥‥。
「火力を集中しましょう! 救援に向わないと!」
「‥‥はい、かなり危険な状態ですね‥‥」
 実体弾と、レーザーの光条が飛び、TW2機が沈黙。
 ティリア機と奏歌機は即座に、孤立した香澄機の救援に向うのだった。

●VSタロス
 A班(タロス対応)――
 カーディナルは戦域の情報に目を光らせていた。
「味方機1機大破‥‥α−01、およびα−02は戦闘を継続‥‥」
 対KVキメラは傭兵部隊が多数撃破し、現在はα−02訓練小隊が集中的に攻撃に当たっている。
 α−01部隊は同数の強化型ゴーレムとほぼ互角といったところか‥‥。

 ノエル機はタロスと激しい格闘戦を繰り広げている。
 双機刀と機刀が何度も打ち合い、戦場に連続して金属音が響く。
「ぐうっ! はあ‥‥はあ‥‥」
 ノエル機には斬痕がいくつも刻まれている。また、プロトン砲により表面装甲は焼け焦げ、ボロボロ。
 既にタロス1機を撃破していたが‥‥そのときのダメージが大きい。
(さすがに‥‥きついかな‥‥)
 対するタロスもあちこちの外部装甲が脱落し、生体部品が露になっていた。
 そこからは血液のようなものが滴っている。
(もう再生できないのか‥‥?)
 そう考えつつ、ノエルはファランクス・ソウルで牽制。
 Sキャノンを放ち、一旦距離を取る。タロスは回避運動。
 間髪置かずにプロトン砲が飛んできた。ノエルは機体を逸らすも1発命中し肩部装甲が融解。
「こいつ‥‥やっぱり有人機‥‥!」
 操縦桿を握るノエルの頬に汗が伝う。‥‥ノエルは愛機に双機刀を構えさせ、再度敵へ躍りかかる!

 イスル機はタロス1機と交戦中。
「悪いけど、止めさせてもらうよ‥‥動きも機能もね」
 試作型『スラスターライフル』、プラズマライフル、シールドガン、3種の銃器を使い分けて戦闘。
 イスルが操縦桿のトリガーを引くと、連動してスラスターライフルのチェーンガンの機構から砲弾が吐き出される。
 徹底的に距離を維持し、接近させまいとする。
(一応ディフェンダーは積んできたけど、やっぱりガンスリンガーは射撃戦‥‥)
 接近戦は控え、射撃戦のみで対応。必然的に持久戦となった。
 再生能力を持つため、タロスのほうがやや有利。
 タロスはプロトン砲とチェーンガンを放ってくる。回避運動を取るイスル機。
 ‥‥完全回避とはいかなかった。プロトン砲の高熱により表面装甲が融解。突き刺さった砲弾により装甲が抉られている‥‥。
「でもまだっ!」
 機体にスラスターライフルを構えさせ、敵をロックオン。再度射撃するイスル。

 タロスとの会敵当初――
「随分面倒な陣容‥‥だけどやるしかない。行こう‥‥ヴァレス」
「うん♪ 分の悪い賭けに勝ちに行こう♪」
 ヴァレス機と流叶機は事前の打ち合わせ通り、十字砲火が可能な位置へ移動。
 そしてタロス1機が射線に入った瞬間――
「まずは挨拶だ、全弾持っていけ!」
「大丈夫、今回は一人‥‥じゃない‥‥!」
 2機はクァルテットガン『マルコキアス』による一斉砲撃を開始。十字砲火を形成する。
 一度に400発という圧倒的な火力をタロスに叩き込み、その外部装甲をみるみるうちに剥がしていく。
 ‥‥しかし、数は敵のほうが上であった。精鋭機対応の味方5機がそれの対応に回ってしまったためだ。
 十字砲火は直ぐに崩され、逆に包囲されてしまい、チェーンガンによる弾幕が2機を襲う。
「ぐ‥‥!」
「きゃあぁぁ!?」
 シュテルン・Gが2機、タロス5機による絶え間ない砲火に晒される。
「俺が援護する! まずはあいつを!」
「わかった!」
 先ほどの十字砲火により大ダメージを与えたタロスに、機刀『獅子王』を構えて斬撃を加える流叶機。
 流叶機に他の敵を近づかせまいと、引き続きマルコキアスで援護射撃を行うヴァレス機。
 数度、機刀『獅子王』が煌くと、大きな斬痕が刻まれたタロス1機は膝を突き、動きを止めた。
 スパークし、まもなく爆発を起こす。残るは4機‥‥! 他の敵は味方が引き受けてくれている。

 ヴァレス機はチェーンガンによる弾幕を潜り抜けつつタロス1機に接近。
 機体の姿勢を下げ、ブーストを噴かして超低空飛行へ。そのままタロスの懐へ飛び込み――
「この間合い、頂くぞ!」
 機杭『エグツ・タルディ』を下段から腹部に打ち込んだ。その衝撃にタロスの機体が一瞬浮き上がる。

「一気に決める‥‥長引くと面倒なのでね!」
 流叶機はブーストと、PRMシステムを攻撃に使用。タロス1機へ向う。
 機刀『獅子王』を振り被った。――鋭い斬撃音。タロスの装甲を斬り付け深々と抉る。

 巧みな連携で戦闘を行う2人。だが‥‥タロス2機はノーマークであり、突破を許してしまう。
「しまった‥‥!?」
 その先に居るのは――管制を担当するカーディナル機!
 電子戦機は標的になり易い。頭ではわかっていた、しかし‥‥この陣容では‥‥!
 追おうとするが‥‥目の前の敵がそれを許してくれなかった。

「やはり俺を狙ってくるか‥‥!」
 タロス2機の集中砲火を受けるカーディナル機。
 盾で庇っているが、みるみるうちに装甲を削られてしまう。
 レーザー砲で応戦するも敵は再生能力を持つため焼け石に水‥‥。
 タロス2機はトドメとばかりにプロトン砲を連射してきた。
「――!!」
 カーディナルの視界が真っ白に染まる。
 ‥‥彼のウーフー2はプロトン砲の直撃を受け、大破。

「カーディナルさん! くそっ! 間に合わなかった!!」
 駆けつけたのはノエル機。タロス2機との連戦により機体は既に満身創痍。
 それでも両手には双機刀をしっかりと握り締めている。
 ノエルは黒煙を吹き上げるウーフー2を見て、叫んだ。
「このぉぉぉっ! よくもぉぉぉっ!!」
 傷だらけの‥‥黒と赤に塗られたディアブロ改は‥‥二つの刀を振り上げ、敵へと向ってゆく‥‥。

●VS牙城・このえ+側近タロス
 A班(精鋭機対応)――
 悠機とリョウ機は牙城・このえ――群青色のカスタムタロスと対峙していた。
「スーパーカンパリオン、ロングスナイパー!」
 レーザーライフルWR−01Cを音声入力で待機モードから戦闘モードへ変形させる。
 まずは牽制の射撃を行う。しかしカスタムタロスには当たらない。
「行くぞ『蒼炎』! 俺達は未来を切り開く剣になる!」
 双機刀『臥竜鳳雛』を構えてカスタムタロスに突進するリョウ機。
「待て! うかつに近づくな! 連携を――」
 悠からの警告。だがリョウ機は前進を止めない。カスタムタロスはガトリング砲で射撃してきた。
「大丈夫、やらせはしない‥‥アクティブアーマー展開!」
 リョウ機はアクティブアーマーで受け止めつつ、更に距離を詰める。
 防ぎ切れなかった砲弾が装甲を削るが‥‥それでも止まらない。
「くっ! だが、俺もクリスマスの予定が詰まってるんでな、こんな所では絶対にやられはしない!」
 カスタムタロスに肉薄すると、システム・インディヴィアを起動。
 排気口から放出される蒼い燐光と共に双機刀による斬撃を繰り出す。
「輝け蒼き燐光! スーパー蒼炎斬・クロスエンド!」
 リョウの叫びが外部スピーカーから響く。
 確かに攻撃は命中した。が、カスタムタロスはそれを盾で受け止めていた。さも平然と佇んでいる。
「なにっ!?」
(どこまでも真っ直ぐな‥‥真っ直ぐ過ぎる攻撃‥‥)
 このえはそのように思う。
(若さゆえ、か‥‥)
 カスタムタロスは電磁鞭を伸ばし、リョウ機に叩きつけた。迸る電撃。
「ぐ‥‥ぐあああああっ!!!!」
 激痛に絶叫するリョウ。カスタムタロスはそのまま熱剣を抜くと、動きを止めているリョウ機に対し斬撃を加える。
 腕、脚、頭部、次々と斬り飛ばされる。片足では重量を支えられず、尻餅をつくリョウ機。
 そして、その切っ先がコクピットへ向けられた。
(美咲――)
 熱剣はリョウ機のコクピットを勢い良く貫いた。リョウ機はそのまま機能を停止。
「次は貴様か」
 外部スピーカーから発せられる若い女の声。カスタムタロスは悠機に向けて熱剣を突きつける。
「くっ‥‥」
 仲間をむざむざと‥‥。悠は唇を噛んだ。

 側近タロス3機と戦闘を行っているのは絃也機、瑞姫機、米本機。
 瑞姫機と米本機はオウガ同士、ペアを組んでいる。
 絃也機はブーストを使用しつつ、試作型『スラスターライフル』で側近タロスに射撃を加える。
 そのまま接近し、アグレッシヴ・ファングを使用。デモンズ・オブ・ラウンドで鋭い斬撃を見舞う。
 側近タロス1機は手痛いダメージを受けつつも慣性制御を用いた機動で距離を取り、プロトン砲を連射して反撃してきた。
 回避運動を取る絃也機。数発は避けたが一発もらってしまった。表面装甲が融解。
「狙いが正確だ‥‥パイロットは手練れだな‥‥だからこその側近か‥‥」
 絃也機は再びスラスターライフルを構えて照準。射撃を行う。

「決めてやろう、オウガの2機の連携って奴を」
「了解ですよ」
 2機のオウガと2機の側近タロスが、近接武器を打ち合う。
 瑞姫機が機刀『獅子王』を振るって側近タロスの装甲を斬りつける。
 そしてその傷をドリルで抉り、更にダメージを与える。
 米本機はゼロ・ディフェンダーとソードウィングを主体とした高機動戦闘で相手を撹乱しにかかる。
 ファランクス・アテナイによる牽制も行う。側近タロスに接近し、斬撃。装甲に斬痕を刻んだ。
 側近タロスのカウンターのハルバードが振るわれる。――回避が間に合わない。
「ならばそのダメージ‥‥頂きますか。‥‥っ!」
 圧練装甲で受ける。衝撃。‥‥練力がいくらか回復。
「瑞姫さん、そろそろいきましょうか」
「OK、いつでもいいよ」
 一度距離を取る2機。
「いきますよ‥‥」
「「‥‥『ツインブースト・OGRE・B』起動!!」」
 ブーストの効果で一気に距離を詰める2機。
 機刀『獅子王』、ゼロ・ディフェンダー、それぞれの武器を構え――
「喰らう! 喰らってやるぅぅ!!」
「鬼獅子の咆哮を聞くと良い‥‥!!」
 側近タロス2機に対し凄まじい斬撃を見舞った。

 悠機とカスタムタロスは一騎打ちを繰り広げる。
「はあっ!」
「やあっ!」
 ビームコーティングアクスと熱剣が激しく打ち合い、スパークが発生。
 ファランクス・アテナイで牽制を行う悠機。タロスは盾で弾を逸らす。
 悠機はブースト空戦スタビライザーを使用。BCアクスでの斬撃を連続で加える。
 カスタムタロスも負けじと熱剣での連続突きを繰り出してくる。
 互いの装甲が見る間に傷だらけになってゆく。
「‥‥」
 ディスプレイに目をやる悠。損傷率は急上昇。このまま戦えば‥‥再生能力のある相手に分があるだろう。
(それなら、答えは一つ)
 再度ブースト空戦スタビライザーを起動。その上でSESエンハンサーも起動。
 踏み出し、間合いを詰める。そして――盾に隠してあった練剣『雪村』を抜き、一閃。
「‥‥!?」
 それはカスタムタロスの左腕を肩口から切り落とした。
 頭から真っ二つにするつもりだったが――敵パイロットは咄嗟に機体を逸らしたようだ。
 カスタムタロスは残った右手に握られている熱剣で恐ろしい速さの斬撃を放ってくる。
 悠機は頭部とBCアクスを保持していた左腕を失った。カスタムタロスは頭部センサーが消失したところを見計らって胴体に蹴りを放ってきた。吹き飛ばされる悠機。
「やるな‥‥」
「ふ、敵に褒められてもな‥‥」
 敵パイロットの言葉に苦い笑みを浮かべる悠。機体を起こす。
 2機は、雪村と熱剣を構え、互いに向ける。
「ゆくぞ‥‥!」
「来い‥‥!」
 悠機はブーストを使用。カスタムタロスは慣性制御を用いた突進。
 そして両者が激突。――レーザーブレードはカスタムタロスの頭部を貫いていた。
 熱剣は悠機の胸部を貫いていた。ほどなくレーザーブレードが消失。
「私は‥‥」
 崩れ落ちたのは、悠機だった。貫かれた胸部で爆発が起こり、それはコクピットにも及ぶ。
 悠機は大破。カスタムタロスは中破という状態であった。
 そこでこのえに対し、通信が入る。
『どうした』
『申し訳ありません。このえ様』
 急ぎ状況を確認してみる。‥‥タロス部隊全滅。ゴーレム部隊全滅。
『側近も‥‥私を残すのみとなってしまいました‥‥』
『お前は下がれ。私はまだ戦える』
『いけません、このえ様、あなたはここで死ぬべき人ではない』
『生き恥を晒せというのか』
『そうとも言うかもしれません。ですが‥‥ここは‥‥』
 部下の切なる願いに、このえは折れた。
 もはや佐賀空港を防衛することは不可能‥‥。
『撤退する』
 このえのその言葉で、残存するTWは有明海に逃亡。
 カスタムタロスと1機だけ残った側近タロスは飛行形態に変形し、飛び去って行った。

 その後、傭兵部隊とα−01部隊、α−02訓練小隊は空港内に残る対KVキメラを掃討。
 佐賀空港を制圧・奪還。作戦は無事、成功となった。