タイトル:武士の魂4マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 12 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/05/21 20:54

●オープニング本文


 銀河重工本社。KV開発室――。
 デスクに向かっている白衣を纏った長身の男。
 新型機『XGSS−03A シコン』の開発主任である草壁・誠十郎。
 彼は膨大な量の報告書に目を通していた。
「試作1号機から3号機までの実機テストは順調。発見された欠点は随時改修を行い、解消」
 誠十郎の眼球が慌しく上下左右に動く。高速で読みつつも内容はしっかりと頭に入れる。
「主任、お疲れ様です。コーヒーのおかわりをどうぞ」
 そこで誠十郎の部下である童顔で小柄の女性、南川・遥がマグカップを差し出してきた。
「ああ、ありがとう」
 誠十郎はそれを受け取り、ずずっと啜る。
「実機テストは問題なく進んでいるみたいですね」
「そうだな。もう十分なデータは取れた」
「では――」
「しかし、だ」
 遥の言葉を誠十郎が遮る。
「まだやっていない事がある」
「‥‥なんですか? 用意された実機テストのプランは全て消化しましたが‥‥」
 小首をかしげる遥。
「傭兵による実機テストだ。それをまだやっていない」
「あ、そうでしたね」
 遥はうんうんと頷く。
 彼女は誠十郎が傭兵の戦闘データを重視している事を知っていた。
「その為に追加で試作機を3機、4〜6号機を製造する」
「ええっ!?」
 突拍子も無い事を言い出した上司に、遥は思わず声を上げてしまう。
「アイリス隊に納入予定のS2型・丙があっただろう。あれを改修すれば間に合う筈だ」
 誠十郎が言うアイリス隊とは、東アジア地域で活動するシラヌイS2型のみで編成された精鋭部隊。
 S2型・丙――シラヌイS2型・丙とは、シコン開発のテストベッドとなっている機体である。
 データ収集用に、S2型・甲に改造を施した物だ。
「で、でも‥‥」
 誠十郎は軽く言ったがいくらベース機とは言えそれを元にシコンの試作機を製造するというのは‥‥
「無茶ですよ! 大、大改修になっちゃいます!」
「無茶でもやるのが俺達技術屋だろう?」
「‥‥」
 真っ直ぐな眼差しを向けられ、遥は黙った。頬がぽっと赤くなる。
「さて、これからまた忙しくなるな」
 誠十郎は白衣の袖をまくった。
 そこへ、黒いフレームのメガネをかけた知的な女性がやって来る。
「‥‥お邪魔だったかしら?」
 ちょっと不機嫌そうな口調。
 彼女はシコンの固定武装である『高出力レーザー砲「種子島」』の設計者、青木・由香子。
「いや」
「ふん。どうだか。‥‥例の報告書は見て貰えた?」
「ん? ああ、君も大変だったな。実戦に巻き込まれるとは」
「見たのかと聞いています」
 由香子はキッと誠十郎を睨み付ける。
「見たよ。まさかスパイが居たとはね」
「居ないほうが不自然。件のヨリシロは尋問の後、処分しました。設計データの流出は無いようです」
 物騒な事を淡々と言う由香子に、遥はぶるっと背筋を震わせた。
「それなら良かった」
 誠十郎は表情を変える事無く暢気にコーヒーを啜っている。
「まったくあなたは‥‥ふう。ところで、話は聞きました。これからまた忙しくなるのね」
「うむ、君にも頑張って貰う必要があるな」
「了解です」
「ではさっそく作業に取り掛かろう。他のスタッフを集めてくれ」

 ***

 約1ヵ月後――。UPC東アジア軍某基地。
 開発スタッフの不眠不休の作業により、追加の試作機‥‥4号機、5号機、6号機が完成。
 1〜3号機も含めたシコンの試作機6機が基地の格納庫へと搬入されて来る。
 それを見上げる3人の技術者‥‥。
「ふむ。流石にシコンが6機も揃うと壮観だな」
「そうですね‥‥」
「固定武装の調整も完璧です」
 誠十郎、遥、由香子が言った。
「UPC軍に協力を仰ぎ、対戦相手のパイロットには精鋭を集めた。あとは傭兵――」
 誠十郎は口元に不敵な笑みを浮かべる。
「ふふ、実機テストの結果が楽しみだな」

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
王 憐華(ga4039
20歳・♀・ER
アンジェリナ・ルヴァン(ga6940
20歳・♀・AA
井出 一真(ga6977
22歳・♂・AA
龍深城・我斬(ga8283
21歳・♂・AA
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
ユウキ・スカーレット(gb2803
23歳・♀・ST
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
日野 竜彦(gb6596
18歳・♂・HD
ハンニバル・フィーベル(gb7683
59歳・♂・ER
マルティニ(gc7176
16歳・♀・SF
ルティシア(gc7178
25歳・♀・SF

●リプレイ本文

●XGSS−03A シコン
 シコンの実機テストの為に集まった傭兵達――。

「個人的には、固定武装の種子島の使い勝手に興味がありますね」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)は普段、マリアンデールを乗機としている。
 荷電粒子砲との比較も出来ればと考えていた。

「これが噂のシコンですか‥‥迫力がありますね」
 セクシーなパイロットスーツ姿で機体を見つめる王 憐華(ga4039)。

「ふむ‥‥」
 シコンの実機を前にして両腕を組んでいるアンジェリナ・ルヴァン(ga6940)。
 彼女が今回実証したい2点。それは‥‥
 単騎で従来高級機を遥かに凌ぐ機体である事。
 徒党を組んで立ち回れば更に効果的な機体である事。
 総じて『単騎でも厄介なのに集団で襲って来られたら手が付けられない』。
 その様に思わせたら勝ちだ。と、秘かな目標を掲げている。

「さて、遂に実機試験ですか。一度実戦はやってるそうですが、楽しみですねえ」
 言ったのは井出 一真(ga6977)。
 シコン試作2号機は敵の襲撃を受け、意図せぬ実戦を経験していた。

「シラヌイS2型をベースにこの期間で3機を製造‥‥。
 ならそん時のノウハウ使えば傭兵のシラヌイS2型をシコンに改修する事も出来るんじゃね?」
 などと願望を口にする龍深城・我斬(ga8283)。
 しかし開発主任の草壁・誠十郎にきっぱりと否定された。手間とコストが掛かり過ぎる。

「シコンの実機を使ってのテストか。腕が鳴るな。
 シラヌイの後継機がどれ位のモノか、見せ付けてやろうぜ!」
 やる気まんまんなシラヌイドライバー、Anbar(ga9009)が声を上げる。

「新型機開発に多少なりとも関わる事が出来る、というのは嬉しくなりますね」
 ユウキ・スカーレット(gb2803)は微笑を浮かべる。

「シラヌイS2型乗りとして、その妹の実機テストに参加出来るなんて光栄だね。
 この子はどんな世界を見せてくれるのかな」
 ソーニャ(gb5824)はこれから飛ぶ青空を見上げ、思いをめぐらす。

(シコンには良い機体に完成して欲しい。
 でも値段は高くなりそうな事や、万能型を目指した為に‥‥
 練力消費の激しい高威力武装とシラヌイ本来の運動性が共立出来るのか、少し心配になる‥‥)
 日野 竜彦(gb6596)はじっと考え込んでいた。

(この模擬戦が問題点を炙り出す最終チャンスって奴か? ‥‥爆弾が残ってねぇように祈るぜ)
 ハンニバル・フィーベル(gb7683)はヨリシロのスパイが侵入していたという話を聞き、警戒。
 機体の最終チェックに立ち合わせて貰ったが‥‥特に問題は無かった。
 また、関係者全員に定期的にFFの有無の確認を行っているという。

「ん〜いい感じに仕上がってますね。流石は銀河、細かい所に拘りがいっぱいですね」
 シコンの実機をくまなく見て回るマルティニ(gc7176)。

「銀河重工の集大成の機体、私にも思う所がありますの。この様な機会は大変有難いですわ」
 ルティシア(gc7178)が言った所で、そろそろテスト開始の時間となった。

●陸戦テスト
 対戦相手はシュテルン・Gが6機。模擬戦開始。

 我斬機、前進。Sライフルでシュテルン1に射撃、命中。小程度のダメージ。
 アンジェリナ機、前進。Sライフルでシュテルン2に射撃、命中。小程度のダメージ。
 一真機、前進。Sライフルでシュテルン3に射撃、命中。小程度のダメージ。
 Anbar機、前進。Sライフルでシュテルン4に射撃、命中。小程度のダメージ。
 竜彦機、前進。Sライフルでシュテルン5に射撃、命中。小程度のダメージ。

 マルティニ機、前進。Sライフルでシュテルン6に射撃、命中。小程度のダメージ。
「やはり新型。初期機体とは比べ物にならないですね」

 シュテルン6機はお返しとばかりにSライフルで一斉に射撃を加えて来る。
 テスト部隊は全機回避運動。命中せず。

 ***

 我斬機、前進。高分子レーザー砲をシュテルン1に連続照射。
「良いぞシコン、一気に押し込む! 砕けえ!」
 命中。大ダメージ。

 アンジェリナ機、前進。高分子レーザー砲をシュテルン2に連続照射、命中。大ダメージ。
 一真機、前進。高分子レーザー砲をシュテルン3に連続照射、命中。大ダメージ。
 Anbar機、前進。高分子レーザー砲をシュテルン4に連続照射、命中。大ダメージ。

 竜彦機、前進。高分子レーザー砲をシュテルン5に連続照射、命中。大ダメージ。
「シュテルンとの対戦か‥‥。機体のスペックは解ってるんだけどね‥‥」

 マルティニ機、前進。高分子レーザー砲をシュテルン6に連続照射、命中。大ダメージ。

 シュテルン1、高分子レーザー砲を我斬機に連続照射、命中せず。
 シュテルン2、高分子レーザー砲でアンジェリナに連続照射、命中。
 アンジェリナ機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 シュテルン3、高分子レーザー砲を一真機に連続照射、命中。
 一真機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 シュテルン4、高分子レーザー砲をAnbar機に連続照射、命中。
 Anbar機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 シュテルン5、高分子レーザー砲を竜彦機に連続照射、命中。
「流石は正規軍の精鋭‥‥! なんて正確な射撃‥‥! でもこちらにはAECがある!」
 竜彦機、AECを連続使用、ダメージ無し。

 シュテルン6、高分子レーザー砲をマルティニに連続照射、命中。
 マルティニ機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 ***

 テスト部隊は固定武装である高出力レーザー砲『種子島』を一斉に構える。

 我斬機、SAとアクチュエータを使用。
「囮とは言え実際種子島を使えるのは嬉しいねえ。
 結局前回のシミュレーションでは使わなかったからなあ、俺」
 高出力レーザー砲『種子島』をシュテルン1に発射、命中。
 前進。ディフェンダーで斬撃、命中。シュテルン1、致命的なダメージ。

 アンジェリナ機、SAとアクチュエータを使用。
 高出力レーザー砲『種子島』をシュテルン2に発射、命中。
 前進。ディフェンダーで斬撃、命中。シュテルン2、致命的なダメージ。

 一真機、SAとアクチュエータを使用。
 高出力レーザー砲『種子島』をシュテルン3に発射、命中。
 前進。ディフェンダーで斬撃、命中。シュテルン3、致命的なダメージ。

 Anbar機、SAとアクチュエータを使用。
「銀河の今持てる最高の技術の結晶であるこのシコン‥‥。
 名機とは言え他社のKVに易々と敗れる訳にはいかねえしな。ここは意地を通させて貰うぜ」
 高出力レーザー砲『種子島』をシュテルン4に発射、命中。
 前進。ディフェンダーで斬撃、命中。シュテルン4、致命的なダメージ。

 竜彦機、SAとアクチュエータを使用。
 前進。ディフェンダーでシュテルン5に連続の斬撃、命中。致命的なダメージ。

 マルティニ機、SAとアクチュエータを使用。
 高出力レーザー砲『種子島』をシュテルン6に発射、命中。
 前進。ディフェンダーで斬撃、命中。シュテルン6、致命的なダメージ。
 ちなみにマルティニは『種子島』を水平に薙ぎ払う様な運用を試みたが‥‥
 レーザーの照射時間的にそれは無理だった。『種子島』の攻撃はあくまで『砲撃』である。

 シュテルン6機はPRMシステム・改を攻撃に上限まで使用。
 ディフェンダーでテスト部隊に向けて連続で斬りかかる。勝負に出た様だ。
 テスト部隊は全機回避運動。
 しかしAnbar機のみが避け切れず、攻撃を受けてしまう。大ダメージ。
「くぅっ、やるっ‥‥」

 その後、テスト部隊全機がディフェンダーによる近接攻撃を仕掛け、アグレッサー部隊を全機撃破。
 テスト部隊の完全勝利。

●空戦テスト
 対戦相手はフェニックスA3型が6機。模擬戦開始。

 テスト部隊、全機増速。

 アグレッサー部隊全機増速。テスト部隊それぞれにミサイルを連続で放ってきた。
 全弾命中。テスト部隊全機、小程度のダメージ。

 ***

 なでしこ機、アクチュエータを使用。
 フェニックス1にミサイルを連続発射、命中。大ダメージ。

 ソーニャ機、アクチュエータを使用。
「せっかくボク達傭兵を呼んでくれたんだ。傭兵流を見せてあげるよ」
 フェニックス2にミサイルを連続発射、命中。大ダメージ。

 ルティシア機、アクチュエータを使用。
 フェニックスA3にミサイルを連続発射、命中。大ダメージ。

 憐華機、アクチュエータを使用。
 フェニックス4にミサイルを連続発射、命中。大ダメージ。

 ユウキ機、アクチュエータを使用。
「相手もそう簡単にはやらせてくれないようですね‥‥気を引き締めて行きましょう!」
 フェニックス5にミサイルを連続発射、命中。大ダメージ。

 ハンニバル機、アクチュエータを使用。
 フェニックス6にミサイルを連続発射、命中。大ダメージ。

 フェニックス1、高分子レーザー砲をなでしこ機に連続照射、命中せず。
 フェニックス2、高分子レーザー砲をソーニャ機に連続照射、命中。
 ソーニャ機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 フェニックス3、高分子レーザー砲をルティシアに連続照射、命中。
 ルティシア機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 フェニックス4、高分子レーザー砲を憐華に連続照射、命中。
 憐華機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 フェニックス5、高分子レーザー砲をユウキ機に連続照射、命中。
 ユウキ機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 フェニックス6、高分子レーザー砲をハンニバル機に連続照射、命中。
 ハンニバル機、AECを連続使用。ダメージ無し。

 ***

 なでしこ機、高分子レーザー砲をフェニックス1に連続照射、命中。
 致命的なダメージ。

 ソーニャ機、SAとブーストを使用、増速。
 フェニックスA2にミサイルを発射、命中。大ダメージ。
 高出力レーザー砲『種子島』をフェニックス1、フェニックス2に発射、命中。
 フェニックス1、撃墜。フェニックス2、致命的なダメージ。

 ルティシア機、高分子レーザー砲でフェニックス3に連続攻撃、命中。
 致命的なダメージ。

 憐華機、Sライフルでフェニックス4に射撃、リロード、射撃。命中。
 致命的なダメージ。

 ユウキ機、SAとブーストを使用。増速。
「この位置なら‥‥種子島、起動! 撃つ‥‥!」
 高出力レーザー砲『種子島』をフェニックス2、フェニックス3に発射、命中。
 フェニックス2、フェニックス3、致命的なダメージ。
 続いて高分子レーザー砲でフェニックス2に攻撃、命中。撃墜。

 ハンニバル機、SAとブーストを使用。増速。フェニックス3にミサイルを発射、命中。撃墜。
 高出力レーザー砲『種子島』をフェニックス5、フェニックス6に発射、命中。
「俺の腕じゃ肉迫しねぇとベテラン相手に命中は狙えねぇ。肉を切らせて骨を断つ、だな」
 フェニックス5、フェニックス6、大ダメージ。

 フェニックス4、ブーストとオーバーブースト改Aを使用。
 空中変形スタビライザーAとB+を使用。
 歩行形態に変形、ディフェンダーで憐華に連続攻撃。
 憐華機、アクチュエータ使用。命中。憐華機、大ダメージ。
「きゃあああ!?」
 フェニックス4は再び飛行形態に変形。

 フェニックス5、ブーストとオーバーブースト改Bを使用。
 空中変形スタビライザーAを使用。
 増速。高分子レーザー砲で憐華に連続攻撃、命中。大ダメージ。

 フェニックス6、ブーストとオーバーブースト改Bを使用。
 空中変形スタビライザーAを使用。
 増速。高分子レーザー砲で憐華に連続攻撃、命中。致命的なダメージ。

 ***

 なでしこ機、SAとブーストを使用。増速。
 高出力レーザー砲『種子島』をフェニックス5に発射。
「いきなさい‥‥!」
 命中。続けて高分子レーザー砲を照射、命中。致命的なダメージ。

 ソーニャ機、増速。高分子レーザー砲をフェニックス4に連続照射、命中。致命的なダメージ。

 ルティシア機、旋回。Sライフルでフェニックス5に射撃、命中。撃墜。リロード。

 憐華機、SAとブーストを使用。
「よくもやりましたね! 狙い撃たせてもらいます!!」
 高出力レーザー砲『種子島』をフェニックス4に発射。命中。撃墜。
 続けて高分子レーザー砲をフェニックス6に連続照射、命中。致命的なダメージ。

 ユウキ機、増速。フェニックス6にミサイルを発射、命中。撃墜。

 テスト部隊の完全勝利。

●性能評価
 テストを終えた傭兵達は基地の会議室に通された。
 ユウキはどこからか煙草を取り出し、一服をする為に席を立ち喫煙所へ。

 冷たい飲み物が行き渡った所で、まずなでしこが感想を述べる。
「素の速力とSAにより、空戦時の機動性は十二分‥‥。
 種子島は掃射後に機体性能の低下などが無いのが利点ですね」

「種子島、俺も良いと思うぞ。
 こいつに代わる優良武装を所持出来る傭兵なんてホンの一握りだろうしな」
 我斬が続けて言った。

「流石、集大成の機体。種子島にはミカガミの血が受け継がれているように感じましたわ」
 ルティシアもうんうんと頷く。

「思ったけど、この種子島‥‥鉄砲というより大筒のイメージだよな」
 ふと、竜彦が言う。誠十郎は「ああ、開発陣もそのイメージを持っている」と答えた。

「うぅぅ‥‥危うく落とされてしまう所でした‥‥」
 空中変形格闘を喰らい、更に集中攻撃を受けてしまい、撃墜寸前まで追い込まれた憐華は凹んでいる。
 誠十郎は「いくら万能機と言えど一騎当千とは行かない。あの場合は仕方が無いよ」とフォローする。

「いやしかし、それを差し引いても隙のない機体に仕上がってますね。
 やや陸戦寄りですが、良い機体となりそうです」
 一真も手応えを感じた様子。

「やっぱり良い機体だぜ! 早く戦場でこいつが活躍する姿を見てみたい物だ。
 早期の発売に期待させて貰うぜ」
 Anbarの言葉に誠十郎は「尽力するよ」と答えた。

「シコンは‥‥うん、いい子だね。流石の万能機といった所かな」
「アグレッサーには一矢を受けたが、それでも確かな性能だ」
 ソーニャとハンニバルも、多少苦戦したものの完全勝利した事に満足したらしい。

「熟練パイロット向けと聞きましたが、そんな事はありませんでしたね」
 言ったのはマルティニ。
 確かに初期設計データに比べれば、操縦性やその他諸々が改善されている為、扱い易くはなっている。

 最後にアンジェリナ‥‥。
「私達は色々な想いをこの機体へと乗せる。
 だが最後の最後で舵を取り、仕上げるのは開発陣のあなた方だ。
 そして機体へと込める想いは私達以上だろう。
 その想いを最後まで信じて、この機体を完成させて欲しい」
 彼女は開発スタッフに真剣な眼差しを向ける。
「良い機体に仕上がる事を楽しみにしている」
 そして、少しだけ微笑んで見せた。