●リプレイ本文
●九州から関東へ
バグア軍・幕張要塞付近で待機中の傭兵部隊8機。
およびα−01部隊‥‥通称乙女中隊の12機。合計20機のKV――。
時任 絃也(
ga0983)の機体はR−01改。
「α隊はゴーレムの対応を行って貰いたい。キメラは順次潰せば良い。貴君らの腕前を見させて貰う」
α−01部隊隊長、早乙女・美咲より「了解、全力を尽くします」との返答。
事前の打ち合わせ通りである。それから美咲は
「そちらの力も見せて貰いますよ。まあこれまでに何度も作戦を共にしたので信用していますけど」
とも言った。
漸 王零(
ga2930)の機体はガネット。
「このガネットでどこまでやれるかな‥‥」
王零は軽く機体を動かし、動作の確認をしてみる。
百瀬 香澄(
ga4089)の機体はロビン『TomLady』。
「ん、じゃあ今回もサクっと片付けますか。乙女隊、準備オッケー?」
彼女の想い人であるα−01部隊・B小隊長、九条・冴より「いつでもOKです、香澄さん」との返答。
ゲシュペンスト(
ga5579)の機体はスレイヤー『ゲシュペンスト・フレスベルグ』。
「今日が初陣の最新鋭機‥‥地上最強ってのはどれほどのもんなのかねぇ」
Anbar(
ga9009)の機体はシコン『ルムア』。
「さて、ようやくシコンが実戦配備されたことだし。
開発の初期段階から関わってきた俺としては、ここで軍にもシコンの優秀さをアピールしておかないとな。
ま、正規軍には正規軍の戦い方、傭兵には傭兵の戦い方があるから、比べられるものじゃないが‥‥」
ゲシュペンストと同様に最新鋭機に搭乗する彼。
「愛用する装備で戦ってこその、愛機の実戦テスト‥‥。
少尉達には悪いが、俺と『ルムア』の力を試させて貰うぜ」
瑞姫・イェーガー(
ga9347)の機体はアッシェンプッツェル『ヤクシニー』。
「ヤクシニー、未来のために頑張ろう」
ティリア=シルフィード(
gb4903)の機体はスピリットゴースト『Merkabah』。
(九州から関東へ‥‥乙女隊も慌しいですね。
でも、わざわざ派遣されるということはそれだけ戦力として期待されているということ。
その期待に応えられるように、ボクたちも頑張らないと)
九州戦線が一段落したということで、今回乙女隊は人手が足りない関東へ引っ張り出された次第である。
秋姫・フローズン(
gc5849)の機体はアンジェリカ『シルフィ』。
「さあ‥‥行きますよ‥‥シルフィ!」
ほどなく作戦開始時刻となる。全機前進を開始。
●防衛線突破
傭兵部隊とα−01部隊は幕張要塞へ接近。
要塞の周囲は多数の対KVキメラが広く展開し、防衛線が構築されていた。
「やはり多いな‥‥」
Anbar機はキメラの密集ポイントを割り出し、速やかに移動。
「いいぜ、お前らが数で来るっていうなら、まずはその防衛網を――こいつでぶち抜く!!」
勢い良くトリガーを引き、シコンの固定武装――高出力レーザー砲『種子島』を発射。
閃光が駆け抜け、掃射が行われる。多数のキメラが光に呑み込まれた。
続いてゲシュペンスト機。
「四番目のゲシュペンスト、フレスベルグ最初の獲物‥‥お前だ!!」
着弾点をずらしG−44グレネードランチャーを全弾発射。
更にティリア機。
「開いた風穴をさらに押し広げる‥‥『Merkaba』、砲撃開始!」
M−181大型榴弾砲を左右に2発ずつ連続発射。
‥‥レーザーが敵陣を貫いたのち、グレネードと大型榴弾砲により爆炎が巻き起こる。
敵陣は既に甚大な被害。
秋姫機はSESエンハンサーを起動。
「目標ロック‥‥ファイア!」
Δ・レーザーライフルで射撃。
高出力レーザーと榴弾を耐え抜いた敵を瑞姫機の射線上に誘導する。
「瑞姫様‥‥今です‥‥!」
「わかった、いくよ、ヤクシニー!!」
瑞姫機が機盾槍『ヴィヴィアン』を構え、パンプチャリオッツでダメ押しの突撃を仕掛ける。
「イグニッション・バーニングファイア!!」
「合わせます‥‥!」
秋姫機は再度Δ・レーザーライフルで射撃し、瑞姫機の突撃を援護する。
瑞姫機が孤立せぬよう、全機が速やかに前進を開始。進路上に残った対KVキメラを撃破しながら突き進む。
「敵がわんさか‥‥まさに入れ食いだな。ただ武器を振り回すだけで当たるか?」
時任機はデモンズ・オブ・ラウンドを振り回し、キメラ群を薙ぎ払う。
王零機は近接戦で敵を捌いていく。
噛み付いてこようとした狼型キメラの口にジャイレイトフィアーを突き刺す。
「‥‥っ! 数が多くても、この程度ならば‥‥!」
香澄機、レーザーガトリング砲で弾幕を展開。レーザーの雨を降らせる。
「ほらほら、退きな。『TomLady』のお通りだ!」
接近してくる敵にはBCランス『ゲイルスケグル』に切り替え、突きを繰り出す。
「せぇぇぇい!!」
竜型キメラの翼を貫く。
ゲシュペンスト機は試作型『スラスターライフル』で射撃。
近づく対KVキメラはレッグドリルで貫き、潰していく。
「流石にリッジウェイとは大分感触が違うな‥‥だが、このタフさとパワーは見込んだ通りだ」
やや先行した瑞姫機。迫るキメラ群に対しM−SG10で射撃を加える。
吹き荒れる火炎・吹雪・雷のブレスを【エネルギーパリング】を使用しつつ耐え凌ぐ。
が、牙や爪での攻撃により装甲が削られてしまう‥‥。
「くっ‥‥このくらいで‥‥!」
「援護射撃‥‥行きます‥‥!」
そこへ飛ぶレーザー。瑞姫機に襲い掛からんとするキメラを貫いた。
SESエンハンサーを起動した秋姫機のΔ・レーザーライフルによる援護射撃である。
「秋姫‥‥! ありがとう!」
「いえ‥‥遅れてしまって‥‥すみません! まだ‥‥これからですよ‥‥油断は出来ません‥‥!」
「そうだね‥‥」
表情を引き締める瑞姫。
Anbar機は試作型『スラスターライフル』で射撃。
避けきれないブレス攻撃は【超伝導AEC Type.B】を使用して防御。無効化。
「このシコンにその程度の攻撃が通じるものかよ!」
しかしAECには回数制限がある。過信は禁物だ。
「あれは‥‥砲台? 厄介ですね‥‥今のうちに潰します!」
ティリア機は実体弾で砲撃を行ってくる要塞の固定砲台をロックオン。
スナイパーライフルD−03で狙撃し、次々と破壊していった。
●要塞攻略
防衛線を突破し、バグア軍・幕張要塞へ更に接近した傭兵部隊、α−01部隊。
タロス3機とゴーレム12機が迎撃に出てくる。
ゴーレム部隊はα−01部隊に任せ、傭兵部隊はタロスやキメラの対応を行う。
大型の盾と、槍、両肩にキャノン砲を装備した超重装甲タイプのタロスを相手取るのは――
絃也機と王零機。
絃也機はまず、【アグレッシヴ・ファング】を使用。
試作型『スラスターライフル』で射撃し、タロスを牽制。
ある程度接近したのち、ブーストを使用して一気に間合いを詰める。
そして――肉薄。真デアボリングコレダーを叩き込む。相手の機体が揺らいだところへ――
ここでも【アグレッシヴ・ファング】を使用し、デモンズ・オブ・ラウンドで追撃の斬撃。
‥‥敵の装甲を大きく抉り取った。生体部品が一部、露出する。
「毎度の事だが‥‥タロスは一気に畳み掛ける。回復の暇は与えん」
「ぬぅ‥‥!!」
絃也機が一旦離れたところで王零機が接近。ジャイレイトフィアーによる突きを繰り出す。
タロスは大型の盾で受け止めた。至近距離で両肩のキャノン砲を放ってくる。――被弾。
「‥‥っ。ぐ、まだまだ! ガネットの装甲を甘く見るなよ‥‥!」
小程度の損傷。戦闘の継続に支障無し。
絃也機は再度肉薄し、真デアボリングコレダーで攻撃。タロスは盾を構える。
――しかしそれは誘いだった。
「はあああああっ!!」
連続してのデモンズ・オブ・ラウンドでの斬撃。切り刻まれるタロス。
この際も【アグレッシヴ・ファング】、およびブーストを使用。
絃也機が真デアボリングコレダーを叩き込み、王零機がジャイレイトフィアーは突き刺すと‥‥
タロスは何度も小爆発を起こし‥‥大爆発。四散した。
「目標の撃破を確認。‥‥さて、詰めと行こうか」
「了解した」
***
盾とセミオートスナイパーライフルを装備した高機動タイプのタロスを相手取るのは――
香澄機とティリア機。
香澄機は接近し、BCランス『ゲイルスケグル』で近接戦を仕掛ける。
ティリア機はやや後方から香澄機を援護。
十式高性能長距離バルカンで弾幕を張り、敵の動きを阻害する。
「‥‥香澄さん!」
「了解! やあああっ!」
BCランスを振るう香澄機。‥‥切っ先がタロスの装甲を切り裂いた。
香澄機は機盾『レグルス』で敵機のスナイパーライフルから放たれる砲弾を防ぎつつ‥‥
再度近接戦を仕掛けていく。
ティリア機は兵装をスナイパーライフルD−03に切り替え。
近接戦を行っている香澄機に当たらぬようピンポイント射撃を行う。
敵は高機動型らしく素早いが、装甲はあまり厚くないようだ。
既に外装が脱落し生体部品が露出し、血液のような液体を滴らせている。
「香澄さん、一旦離れて下さい!」
ティリア機はファルコン・スナイプを使用。
「再生される前に‥‥撃ち砕く!!」
香澄機が射線上から離脱すると、200mm4連キャノン砲を、損傷部位を狙って連射。
猛烈な砲撃。一気に畳み掛ける。
‥‥外装のほとんどを砕き、生体部品にも致命的なダメージを与えた。
そこへ香澄機が接近。試作剣『雪村』のレーザーブレードで斬りかかる。
「これを受けてみろ!」
満身創痍のタロスは回避運動。――だが。
「‥‥ただし、二撃目を、な」
1度目の攻撃はフェイクだった。今度は試作剣『雪村』のレーザーブレードでの突き。
それは正確にタロスの胴体を貫いた。‥‥敵機はそのまま沈黙。
***
機剣と盾、ガトリング砲とプロトン砲を装備した標準タイプのタロスを相手取るのは――
ゲシュペンスト機とAnbar機。
Anbar機が先制攻撃を仕掛けるべく【ストライク・アクセラレータ】を起動して突入。
試作型『スラスターライフル』で射撃。
同じく試作型『スラスターライフル』で牽制を行うゲシュペンスト機。
そして隙を見せた際に接近し、機杭『白龍』を打ち込む。
「取って置きだ! 見掛け倒しと思うなよ!!」
敵機の外装が大きく削られ、穴を空けられた。スパークが奔る。
また、ゲシュペンストはコクピットを狙おうとしたが‥‥その位置は不明であった。
一旦離脱。続いてAnbar機が接近、量産型機槍『宇部ノ守』で突きを繰り出した。
装甲に突き刺さり、生体部品にまで到達。体液のようなものが滴る。
タロスはガトリング砲を連射。Anbar機は【超伝導アクチュエータVer.4】を起動して回避。
敵の装甲は既にボロボロ。Anbar機の援護射撃を受けつつ、ゲシュペンスト機が接近。
レッグドリルによる蹴りを叩き込む!
「究極! フレスベルグ・キィィィック!!」
生体部品を貫かれたタロスは何度か小爆発を起こして機能停止。
***
残存のキメラと戦闘を行っているのは瑞姫機と秋姫機。
瑞姫機は適切に位置を取りをし、主にカウンターを仕掛ける。
BCアクスと機盾槍『ヴィヴィアン』を振るい、頭部、脚部、胴体を焼き切り、貫いていく。
中距離ではCSP−1ガトリング砲、遠距離はレーザーライフルWR−01Cで牽制。
キメラを秋姫機の射線上に誘い込む。
秋姫機はSESエンハンサーを起動。Δ・レーザーライフルによる射撃を行う。
対KVキメラの数は大分減ってきた。‥‥秋姫機は瑞姫機が誘導した敵の口に狙いを定める。
ブレスを吐く瞬間。
「そこです‥‥!」
トリガーを連続で引く。
「プレゼント‥‥です!」
レーザーは正確にキメラの口腔を貫いた。
‥‥しばらくして、敵要塞周辺の防衛戦力を掃討完了。後は歩兵部隊に任せ、KV部隊はバックアップに回る。
●戦闘を終えて
幕張要塞の制圧が無事完了し、傭兵部隊とα−01部隊は最寄りの基地へ帰還。
休憩室へ通され、一休み。
「乙女隊はどんどん力を付けているな‥‥」
絃也が呟いた。α−01部隊は同数のゴーレムを相手に、さほど損傷を受けずに殲滅することに成功していた。
「冴、お疲れさん」
「香澄さんもご無事で良かった」
ぎゅっとハグをする香澄と冴。
「ふむ‥‥まずまずの戦果か」
「地上最強の名は伊達ではないな」
「流石シコン。実戦でも十分に通用する」
王零、ゲシュペンスト、Anbarは愛機への感想を述べる。
「改めて‥‥初め‥‥まして‥‥」
秋姫は美咲に「お疲れ様」と声をかけられたので、改めて挨拶。
「皆様の‥‥邪魔を‥‥してはいけないと‥‥思ったので‥‥」
「あはは、邪魔だなんて思わないよ」
と、美咲。
「秋姫、紅茶を淹れてくれるかな? 皆、喉が渇いてるだろうし」
「はい‥‥わかりました。少々‥‥お待ちを‥‥」
瑞姫のお願いに秋姫が頷く。少しして――
「給湯室を‥‥お借りしました‥‥。
お茶菓子を‥‥出せたら‥‥良かったのですが‥‥残念です‥‥」
全員へ紙コップに入った温かい紅茶を渡していく。
「故郷に近い横浜なら案内できるけど、千葉は知らないんだよね。
‥‥取り戻すんだ、故郷を。いずれはそこで町工場をするつもりだから」
瑞姫はお茶を飲みながら、故郷への想いを語った。
「美咲少尉、お疲れ様でした」
ティリアが美咲に声をかけた。「ん、お疲れ様」と美咲が答える。
「士官服姿と新しい髪型、とてもお似合いです。‥‥早く彼に見せてあげたいですよね?」
微笑みながらティリアが言う。美咲は‥‥
「あはは、ありがとう。そうだね‥‥」
はにかみながら、ぽりぽりと頬をかく。
こうして乙女隊の関東での初任務は、無事完了。バグア軍の幕張要塞は陥落した。