タイトル:南瓜の日2マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 9 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/10/25 05:01

●オープニング本文


 ここはラストホープにある商店街――。
 その一角に軒を構える『フェルマータ』という名のメイド喫茶。
 小さいながらも常連客に支えられ、今日も元気に営業中。

「この商店街にも大分活気が戻ってきましたね、店長」
 窓越しに、賑わいを見せる商店街の様子を眺めながら、
 栗色の髪の美人メイドさん‥‥ミカ・プライエルがカウンターに頬杖を突きながら言った。
「そうねぇ〜ん。一時はどうなることかと思ったけど、本当に良かったわぁ〜ん」
 くねくねしつつ、ほっと胸を撫で下ろす店長(オカマちゃん)。
「これも商店街のために一生懸命頑張ってくれた傭兵さん達のおかげですね!」
 にっこりと笑みを浮かべるミカ。
 その女神のような笑顔に店内で食事中の客達はぽーっと見とれる‥‥。
 フェルマータ筆頭メイドの名は伊達ではない。
「あの瓦礫は傭兵のKVじゃないと無理だったからねぇ〜。軍はそれどころじゃなかったみたいだし。
 それから‥‥炊き出し! あれ、すごく好評だったのよ!
 ラストホープの住民からたくさんのお礼の手紙やメールが届いているわぁ〜ん。
 傭兵さん達にも見せてあげたいわねぇ〜ん」
 店長もにっこにこ笑顔。
「ええ。皆‥‥元気を取り戻してくれて良かった‥‥」
 ミカは目をつむって胸に両手を当てる。
 数か月前‥‥バグアから激しい攻撃を受けたラストホープ‥‥。
 そこに住む住民達が希望を失っていく様子を‥‥ミカは目の当たりにした‥‥。
 『最後の希望』を名乗るのだから、ここは平和でなくてはならない。
 平和を自分達の手で守らなければならない。
 例え戦う力が無くとも、自分に出来る方法で‥‥。
 ミカはきゅっと口元を引き締めて、目を見開く。
「店長! ここは更に景気を付けるために何かイベントをしましょう!」
「イベント‥‥?」
 店長はミカのほうを向く。
 このミカの声色は‥‥何かを思いついた時のものだ。
「そうです、イベントです! 今なら丁度ハロウィンの時期ですから、
 ハロウィンキャンペーンをやりましょう!」
「おぉ〜。そうねぇ。それはいいわねぇ〜ん」
「去年ほどの規模は無理でしょうけど‥‥。ご主人様達もきっと喜んでくれるはずです!」
「OK、了承よぉ〜ん。じゃあさっそく、ULTに臨時の店員さん募集の依頼をしておくわねぇ〜ん」
「さすが店長! 話が速いです♪」
 というわけで、今年もフェルマータでハロウィンキャンペーンが実施されることとなった。

●参加者一覧

神崎・子虎(ga0513
15歳・♂・DF
弓亜・優乃(ga0708
18歳・♀・FT
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
瑞姫・イェーガー(ga9347
23歳・♀・AA
イスル・イェーガー(gb0925
21歳・♂・JG
RENN(gb1931
17歳・♂・HD
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
来栖・繭華(gc0021
11歳・♀・SF

●リプレイ本文

●コスプレ店員さん集合!
 メイド喫茶『フェルマータ』のハロウィンキャンペーン。
 臨時の店員さん募集に集まったのは7名だった。

 神崎・子虎(ga0513)と弓亜・優乃(ga0708)は一緒に仲良く参加。
「店長さん達、今回もよろしくなのだ〜♪」
「またまた今年も、子虎君からのお誘いで来ました。
 ‥‥店員さんのお手伝いをするね。頑張るわ。‥‥お、お手柔らか‥‥に?」
 子虎の衣装はうさぎの着ぐるみ。
 優乃の着るコスは子虎が用意したらしいが‥‥。
「‥‥狼娘のコスチューム‥‥って‥‥」
 優乃は頬を赤く染め、子虎が差し出してきた耳と尻尾付きの露出多めな衣装に目をやる。
(‥‥でも子虎くん、こういうのが好きなのかしら‥‥それなら、良いか)
 と、自分を納得させ、もじもじしながら衣装を受け取る。
 着替え後、子虎によってバッチリセクシーなメイクも施された。
「んふふ、優乃さん似合ってるのだ♪
 綺麗で凛々しい狼さんだね。兎な僕は食べられちゃうかも? かも?」
「うぅ‥‥恥ずかしい‥‥。た、食べたりなんかしないわよ‥‥!」
 周りの視線から身体を隠しつつ抗議する優乃。

 ***

「また‥‥宜しく御願いしますね‥‥」
 終夜・無月(ga3084)はにこりと微笑んでミカに挨拶。
 今日の彼は『神懸り的技術と究極の調理器具を持ち至高の料理を作ると言う伝説の料理人』。
 ‥‥という設定である。

 ***

「本当に大丈夫なの?」
「イスル、心配しないで。無理はしないから」
 夫婦で参加のイスル・イェーガー(gb0925)と瑞姫・イェーガー(ga9347)。
「でも、毎回恒例‥‥そういうのがあるって良いよね」
 イスルが言い、暫くして更衣室が空くと、2人で移動。

「商店街、大分活気が戻ってきて良かったね‥‥」
「うん、良かったよ‥‥皆が元気になってくれてさ」
 2人は着替えながら会話。
 ‥‥瑞姫の衣装は銀狼+男装執事。
 頭に狼耳を付けてカラーコンタクトを入れて狼のような虹彩に。
 顔には片眼鏡を装備。髪型は前髪はウルフヘアーのような感じで、
 後ろ髪をアップにして纏めて男性に見せるように。
 ‥‥イスルの衣装は黒い毛並みの猫耳に、妖怪的イメージで2本尻尾をつけた執事姿。
 相棒である瑞姫と対になるイメージだ。
「んー‥‥こんなものかな‥‥?」
 鏡で自分の姿を確認。準備が整い、ホールへ戻る。
「では、今日は、俺のことを男として扱ってください」
 と、皆の前で言う瑞姫。さり気なく一人称も『俺』になっている。

 ***

 柿原 錬(gb1931)は男の娘銀狐メイドのコスプレ。
 更衣室にて、銀髪ストレートのウィッグを被り狐耳を装着。
「こういうのも大分慣れたかな‥‥」
 服装は白を基調としたミニスカートのメイド服で、脚には白ニーソを穿く。
 可愛い感じを演出しているが、若干あざとさが目立つ‥‥かもしれない。

 ***

 最後の店員さんは来栖・繭華(gc0021)。
「にゅ、ミカお姉ちゃん、店長さん、トリック・オア・トリートですのー」
 と、可愛らしく挨拶。2人も歓迎し、にこやかに挨拶を返してくる。

「にゅ、今回は小悪魔さんで行きますの〜」
 衣装は白い小悪魔ような格好。
 上はチューブトップ風になっており、下はスカートにかぼちゃパンツ。
 髪型はツインテールに結わえる。
 最近繭華はまた胸が大きくなってきたので、着替えるのにちょっとだけ手間取ってしまう。
「うにゅ‥‥胸がキツイですけど、なんとかなりそうですの」

 着替え終わると店員全員が集合し、打ち合わせ。
 その際、子虎が「休憩時間にでもどうぞなのだ☆」と、自作のクッキーを皆に配った。
 そして――いよいよ開店!

●ハロウィンキャンペーン・前半
 子虎と優乃は基本、一緒に接客を行う。
(前回の炊き出しが好評だったのことで、
 子虎君は店員さん向きだなぁ、と感じるけれど‥‥私はどうなのだろうか‥‥)
「優乃さんまだまだ硬いのだぞ♪ ほーら、こうやってスマイルをするのだ☆」
「ま、またやるのか。スマイル200%増し‥‥苦手なんだけどな」
 おろおろする優乃をフォローする子虎。
 そして彼は途中で着ぐるみをキャストオフ! ‥‥ヘソ出しミニスカ魔女姿へ変身。
 笑顔を見せながら元気に接客。どんな客でも相手の目をしっかりと見て対応。
「いらっしゃいませ♪ トリック・オア・トリート☆」
「と、とりーとぉ‥‥☆」
 緊張した様子で、まだぎこちない優乃。
 見かねた子虎はその頬を突っついたり、ぐにっと指で笑顔を作らせてほぐしてあげる。
「後は、慣れてきたら作るんじゃなくて自然にスマイルスマイル♪」
「う、うん。失敗しても、私はめげないわよ♪」
(でもこれ‥‥もし知り合いに見られでもしたら死ねる‥‥)
 自分で言った後に赤面する優乃であった。

 それから暫くして、慣れてきた優乃は、
 来店してくれた子ども達へキャンディーをプレゼント。
 これは大変喜ばれた。

 休憩時間は子虎に付き添う。クッキーを摘まみつつ、紅茶を飲む。
(ふう。仕事の合間のお菓子は美味しい。子虎君を見てると精神的な疲れも癒されるし)

 ***

「フェルマータよ。俺は、逃げないぞ」
 口元を引き締め、軍服を着た、場違いな男が来店。
 男の名は――夜十字・信人(ga8235)。

 この店でふーふークリームシチュー(ピーマン入り)に敗北してから約1年。
 自分はもう以前のような脆弱なる自分ではない。
 護り手たるガーディアンとなった今こそ‥‥
「俺は、金髪ツインテール恐怖症を克服する」
 ‥‥という、なんとも残念な覚悟を決め、不退転の兵士の表情を張り付かせ、
 彼はドアをくぐる。

 ――視界に広がるのは、露出多めだったり、可愛らしかったりするコスプレ店員が溢れかえる店内。
 彼はちらりと一瞥。
(‥‥でも、メイド喫茶に来たからには、癒されるべきだよなぁ‥‥)
 ほんわぁ〜とだらしない表情となる。‥‥彼は、どうしようもなく誘惑に弱いのだ。

 ***

「琴音お姉ちゃん、今日は一緒にお仕事しませんか、ですの」
 と、琴音を誘い、繭華は今回、琴音とコンビを組んで接客や配膳を行う。
 来店時のお客さんを迎える際には、焼いてきたクッキーの小袋を配る。
 この時はお客さんにトリック・オア・トリートと聞き、「トリート」と答えたらクッキーを渡した。
 ちなみに「トリック」の場合はお店のオススメメニュー(ちょっと特殊なやつ)を教えてあげた。
 クッキーの在庫が無くなると、店長に作っていいか聞き、キッチンを借りてお菓子作りも。

 ‥‥クッキーの補充を終え、繭華がホールへと戻ると、そこへちょうど信人が来店した。
 そのまま席へ案内。注文を聞く。
「珈琲と‥‥ふ、ふ、ふーふークリームシチュー‥‥を‥‥た、頼む。
 出来れば、エリス君を指名したい、構わないか?」
 信人は羞恥心から、声を裏返しながら注文。
「ぴ、ピーマンは抜きで」
「かしこまりました、ですの」
 愛らしい小悪魔はぴょこぴょこと去ってゆく。
 ‥‥その後ろ姿に、信人はまた癒された‥‥。

 店の奥へ下がった繭華はエリスに尋ねる。
「にゅ、夜十字さんが呼んでますけど、どうしますか、ですの?」
「え? じゃあ、行ってくるわね」
(あの人、なんか挙動不審なのよね‥‥悪い人じゃないんだけど‥‥)
 もしエリスの内心を聞いてしまったら、信人は心にロンゴミニアトを突き刺された気分になるかもしれない。

 ***

 信人は先に出されたコーヒーを啜りつつ、
 雑念を払うために持参した小隊の資料を広げ、来るべき大規模作戦への思考の海へダイブ中。
「お待たせ致しました、ご主人様。ふーふークリームシチューになります」
 エリスが注文の品を運んできた。それを見た瞬間、信人の頭がぐらりと揺れる(精神にダメージ)。
「‥‥?」
「何でも無い」
 首をかしげるエリスに、自分の頬をぱしぱしと叩き、信人が言った。
「面倒をかけてすまないな。以前のような醜態は晒さない。宜しく、頼む」
 そして、ふーふーあーんして食べさせてもらう。

 信人は‥‥瞳を閉じて口を開く。
 一口、ぱくり。咀嚼。
 二口、ぱくり。咀嚼。
 三口、ぱくり。咀嚼。
「ああ、美味いよ」

 数分をかけて食べきった後‥‥達成感と共に、
「ご馳走様でした」
 と、信人は瞳を開く。
 ――至近距離に、エリスの笑顔があった。
 ――ボキッ。心が折れた音が彼の中に響く。

 毅然とした表情を保ったまま、エリスを無言で見つめる信人。
 いや、彼は見つめているのではない。
 そう‥‥目を開けたまま気絶したのだ。

 夜十字・信人、大破。

●ハロウィンキャンペーン・後半
 無月は店の前で調理実演をしようとするが、
 「調理はキッチンでお願いします」とミカに念を押されたので断念。
 彼は商店街のためと思ったのだが‥‥色々と問題があるので仕方がない。

 キッチンへ移動。
 調理は迫力があり、見ていて楽しいモノとする。
 食材を放ったかと思うと、大包丁『黒鷹』を振るい、一閃。
 形を崩すことなく美しく捌き切った。
 間髪入れず再度食材を投げ【抜刀・瞬】を‥‥
 使おうとするが「店内での覚醒は、ご遠慮〜」と、店長に睨まれて断念。

 気を取り直してアルティメット(以下UL)包丁と鬼包丁を構える。
 2本の包丁が煌めき、先程と同様の包丁捌きを見せる。
 空中で切り、スキルを使おうとするが――また店長が眼光鋭い睨みを利かせてくるので、断念。
 置いておいたULまな板で、落下して来る捌いた食材を受け止め、素早く微塵切りに。

 火を通す行程でもULフライパンやUL鍋、
 他にも用意した調理器具で複数の料理をこなす。

 ULおたまで深鍋のスープを優雅に攪拌、また、鍋の炒め物を舞うように混ぜ、
 ULフライ返しでフライパンの上の食材を踊らせるように反す。
 ソースやドレッシングなども作成。UL泡立て器で綺麗に泡立てる。

 店内で覚醒・スキルを使用しようとするなどの問題はあったものの、
 無月は店のメニューをほぼ全てをこなし、キッチンでの作業に大いに貢献した。

 ***

 瑞姫は、クールかつ、ワイルドに。声はハスキーボイスを意識し、接客。
「いらっしゃいませ、お嬢様方」
「ご注文をお伺いします」
 仕事中は男として振る舞うため、錬には兄と呼ばせ、妹として扱っていた。
 イスルへの接し方も男の親友のようにする。

 瑞姫達と協力し、仕事をこなしていくイスル。
 しかし初対面の人前での笑顔は苦手‥‥。
「いらっしゃいませ‥‥お席へどうぞ」
 緊張しているのか、表情が硬い。
「‥‥すみません‥‥笑顔がちょっと苦手で」
 苦笑いしつつ、自分の頬をぐにぐにして見せた。

 ***

 錬は人一倍丁寧に仕事をこなしていた。
「いらっしゃいませ、ご主人様」
 が――
「はあ‥‥」
 ふと、ため息。
「良いなぁ‥‥姉さんは好きな人が居て‥‥」
 店内を軽やかに歩く瑞姫をじろりと見る。
(爆発しちゃえばいいのに)
 と思うが、さすがに口には出さない。

(‥‥そうだ、去年は恥をかかせてくれたんだから‥‥お返ししちゃえ)
 意地悪な笑みを浮かべる彼。
 尻尾を掴もうとするが、避けられて転倒してしまった。
「いったぁー‥‥」
「大丈夫か? まったく、そこまで根に持つことでも無いだろうに」
 差し伸べられた手を握り、瑞姫を見つめ、頬を赤らめる錬。
「ご、ごめん。お兄ちゃん‥‥」

 ***

「フェルマータに来るのも久しぶりだね。
 ここ1年くらいは、九州とか東京とか、アラビア半島とか、
 いろんなところで戦っていたから、今日は楽しむぞー」
 などと、呟きながら来店したアーク・ウイング(gb4432)。
 まずはテーブルへ案内してくれた琴音に、
 忘却の彼方に行きかけていたゲーム連敗の雪辱を晴らすため、勝負を申し込む。
「うん、いいよ」
 と、二つ返事でOK。だが――
 近頃ゲームどころではなかったアークは腕が落ちまくり。
 アークのシュテルン・Gは琴音のアンジェリカ改のBCアクスに、あっさり膾斬りにされた。
 敗北後、ふてくされた顔でジュースや食べ物を注文して食事をする‥‥。

「そういえば、何ヶ月か前に父さんとお爺ちゃんから、
 魔法少女風のコスプレ服が送られてきたね。
 手紙には、その服を着たところを撮った写真を送ってくれと書いてあったっけ」
 南瓜のパイをもぐもぐしながら家族のことを思い出す。
「やたらとスカートが短かったし、いろんなところが露出していたなあ‥‥あの服。
 まあ、いつも通り無視したけど」
 嚥下したのち、ジュースを飲みながら呟く。
「忙しかったから気にしていなかったけど、
 あれから父さんとお爺ちゃんから何も連絡が無いや‥‥
 母さんにお空のお星さまにさせられたかな‥‥あの2人‥‥」
 遠い目をするアーク‥‥。
「まあ、生命力は能力者以上にありそうだから。何とか生きてるでしょ、多分」
 と、自己完結してみた。

 一息ついて、会計を済ませて帰宅する途中。
「さて、息抜きもできたし、明日からまた戦いの日々だね。よし、がんばるぞ」
 と、気合を入れるアークであった。

●ラブラブ・オア・修羅場?(+バスタイム)
 閉店後――。
 店長からお給料を受け取った臨時の店員さん達は解散し、自由行動。

 子虎はタキシードを着用し、優乃にはドレスを渡して、着てもらい、腕を組んで帰宅。
 その途中、優乃用に作ったお菓子をプレゼント。
「優乃さん綺麗なのだ♪ そしてこれはプレゼント☆ これは特別版なのだ♪」
「あ、ありがとう」
 そして――背伸びをして、優乃の耳元で囁き、ディナーに誘う。
「この後暇かな? 良ければ夕飯、一緒にどう? 良いお店見つけたんだぞ♪」
「!? い、いいわよ」
 
 無言で歩く2人‥‥。
「ねえ、前から子虎君に聞きたいことがあるの」
 身体を子虎に押し付けながら、優乃が切り出した。
「どうしたのだ?」
(キミは、私のこと‥‥ちゃんと1人の女の子として見てくれてるのかな?)
(私は勿論‥‥キミのこと、男の子と見てるんだけどな)
 しかしそれは――心の中の言葉。
「なんでもないわ」
 そう言って、優乃は子虎を引っ張って、夜の街へと歩き出した‥‥。

 ***

 店内。更衣室。一緒に着替えるイスルと錬。
「イスル義兄さん」
「なに?」
「‥‥姉さんを泣かせたら、絶対に許さないんだから!」
 そう声を上げ、錬は着替え半分のまま飛び出して行ってしまう。
「泣かせたりなんてしないよ‥‥って、あれ?」
(一体なんだったんだろう?)

 ***

 繭華は「一緒にお風呂に入りませんか?」と、ミカに誘われ、一緒にバスルームへ。
「わあ、もしかして胸だけでなく他も成長してます?」
「ひゃあんっ! くすぐったいですの‥‥」
 乙女達の嬌声がバスルームに反響する。

 そんなこんなで今年のハロウィンキャンペーンも大成功の内に幕を閉じた。