タイトル:【少年の戦い】選択マスター:冬斗

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/03/07 20:32

●オープニング本文


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 暗闇で少年は沈黙する。
 思い浮かぶのは二度とは戻らない情景。
 頭の良かった父と料理の上手かった母といつも自分を頼っていた――、

 暗闇に光が灯る。
「――――」

 携帯の電源をつけっぱなしだった。
 切っておけばよかったかと少しだけ後悔してけだるそうに電話をとる。
 知らない番号だった。

「――もしもし」
「出てくれて安心したぜ。番号非表示と知らない番号って、どちらが警戒されないもんかね?」
「オマエ‥‥ッ!?」
 気安く話しかけてくるそいつの声を少年は忘れない。
 一度しか話さなかったが、それでも何故か忘れなかった。
「‥‥なんでオレの番号知ってるんだよ」
「寝ぼけてんのか、俺は産業スパイだぜ?」
 そのとぼけた口調も声色もあの時のまま。
「お前と話がしたい。今すぐに来い」
「な――!?」
「俺を探してたんだろう? 会ってやるよ、ただしお前一人にだ。他のヤツを連れて来たなら俺は姿を見せない」
 何を言っているのだろう、この男は。
 目的がわからない。
 そもそも何故自分を指名する?

「オマエは親バグア派なのか?」
「質問は会ってからだ」
「なんでオレ達の仲間を見逃した? 口封じをした方が良かった筈だ」
「だから会ってからって言ってるだろうが」
「オマエに子供がいたってのは――」
「何遍言わせる気だ? 知りたきゃ会いに来い。
 それに――」
 この男は何故自分にかけてきた?
 何が目的で――。
「もっと聞きたい事があるはずだぜ?

 ――たとえば親父達の事とかな」

「――――!!」

 知っている。
 コイツは自分の家族の事を知っている。
 何故?
 だって当たり前だ。
 コイツは――。

「じゃあな。信じてるぜ、霧条カイナ」
 最後に呼び出しの場所と時間を指定する。
 今すぐに出なければ間に合わない時間だ。
 考える時間は貰えないらしい。

 そして、
 少年は姿を消した――。

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
篠崎 公司(ga2413
36歳・♂・JG
篠崎 美影(ga2512
23歳・♀・ER
戌亥 ユキ(ga3014
17歳・♀・JG
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
藤宮紅緒(ga5157
21歳・♀・EL
九条院つばめ(ga6530
16歳・♀・AA

●リプレイ本文

●迷いと苦しみ
「‥‥‥かは‥‥ッ‥‥!」
 霧条 カイナ(gz0045)は膝をつく。
 彼とて修羅場を相応に潜り抜けてきた傭兵。その実力にはなんら恥じたるところはない。
 だが、カイナの強さが霞む程に白鐘剣一郎(ga0184)は圧倒的だった。
「――悪くない腕だ」
 それは剣一郎の本心の言葉であったが、この状況では慰めにすら聞こえない。
 人一倍プライドの高いカイナなら尚の事。
「だ、大丈夫ですか、カイナさん! きゃっ!?」
 駆け寄る藤宮紅緒(ga5157)の手を悔しげに振り払うカイナ。
 少年に構わず剣一郎は言葉を続ける。
「己を高める修練、培った実力は信じるに値する指標、強さだ。しかしどれ程強くとも一人で出来る事は限られる。そんな時に最も頼れるのは何だろうな?」
 カイナは応えない。
 そこに、
「――霧条さん、私も一手いいですか?」
 九条院つばめ(ga6530)が名乗りを上げる。
「‥‥容赦ねえな」
「お疲れでしたら遠慮しておきますが」
 本当に容赦がない。
 それがつばめの優しさである事に少年は気付いただろうか。


 ◆ ◆ ◆


「対策会議?」
「ええ、今回の依頼、いつかまた別の形で受ける事になるでしょう。
 後手を踏まない様にライオネルについて対策を話し合おうと思うんですけど」
 篠崎 美影(ga2512)の提案でカイナも誘われる。
 有志を募ってのミーティングが篠崎宿舎で行われるのだった。

「終夜無月です‥‥宜しく」
 終夜・無月(ga3084)の挨拶を引き継ぐ宗太郎=シルエイト(ga4261)。
「人手は多い方がいいでしょう。実力は私が保証します。
 それと――」
「白鐘剣一郎だ。宜しく頼む」
 二人の新メンバーを加え、
「――では、会議を始めましょう」


 ◆ ◆ ◆


 つばめの剣は疲弊したカイナを徹底的に叩きのめす。
 剣一郎との手合わせで疲弊しているから――。
 それがなくとも今のカイナには負けない確信がつばめにはあった。
「太刀筋に迷いが見られますよ、霧条さん」
 対するつばめには落ち着きが。
 迷う剣には負けることは無い、と。
「く‥‥ああぁぁぁッッ!!」
 吼えるカイナの剣を流し、無防備な腹につばめの長柄がめり込む。


 ◆ ◆ ◆


 篠崎 公司(ga2413)の忠告は霧条カイナに向けて。
 ライオネルの接触に気をつけろと。
「‥‥なんでオレなんだよ?」
 カイナの疑問は尤もだ。
 カイナがライオネルを特別視する理由はあってもその逆はない。
 つけ込み易い若年兵という事でも、それならつばめだってそうだ。
「――いえ、貴方だけではありません。あの依頼でライオネルと会っている全ての人間に可能性はあります」
 この場にライオネルと面識があるのは6人。
「ですから一人一人、自分だという前提で警戒して頂きたい。わかりますね、カイナさん?」
「‥‥まあ」
 公司は一つ嘘をついた。
 6人全員が可能性があることは否定しない。
 だが、その中で最も危険だと思っているのは、
(「‥‥激しい感情は揺れ方次第でどちらにも転びます。ライオネルを憎むカイナさんは――その実、一番危うい」)
 口にしたところで逆効果だろう。なので公司はあくまで全員への警告として釘を刺した。
 そして――、

「カイナ」
 ミーティングが終わった後、声をかけたのは新顔の剣一郎。
「手合わせを願えるか? 互いの実力を見るためには必要だろう」


 ◆ ◆ ◆


 ――手合わせは二戦ともカイナの惨敗に終わる。
 カイナが弱かった訳ではない。カイナの心に迷いがあった。ただそれだけ。
 たったそれだけの差が明確に現れた。――おそらくは実戦でも。
 そして、それがわかっていたからこそ――、

「自分の力に限界を感じた時、己ではどう足掻いても及ばない事態で頼れるもの」
 俯く少年に剣一郎は声をかけ、
「――俺は信頼の置ける仲間だと思っている」
 自分もそうありたいと、圧倒的な実力を見せた剣士はそう言った。

「迷わずに前に進みましょう」
 少女が続けた。
「信じた道は間違いかもしれないけれど、でも迷って留まるよりはマシです。
 ――それに。もし間違った道に進んでしまったら、その時は私たちが何とかします。だって――」
 つばめは剣一郎とカイナ両方に目を移し、
「仲間でしょう?」

●笑顔の似合う花一輪
 帰宅途中のカイナを待ち伏せる宗太郎と戌亥 ユキ(ga3014)。
「随分手ひどくやられたみたいですね」
「‥‥うるせぇ」
 拗ねてみせるカイナを手当てしようと兵舎に向かう宗太郎。
「いいっての!」
「駄目です。木刀での打ち身とはいえ放っておくのは良くないですよ」
「いいって言ってんだろ! こんな怪我なんでもねェよ!」
 宗太郎の手を振り払うカイナ。
 その顔をユキが覗き込む。
「な、なんだよ‥‥」
「ふふん、カイナ君さ‥‥今ちょっと『オレ、カッコいい』って思ってるでしょ?」
「――――」
 カイナの顔が真っ赤に燃えた。


「なによー、ぶつことないじゃない‥‥」
 ユキは頭を押さえながら唇を尖らせる。
「気にする事ないですよ、白鐘さんは相当の実力者ですから」
 そういう意味ではない事は宗太郎自身わかっていたが、、敢えて話を逸らす。
「うん、気にする事はないよ。ボコボコにされて悔しいっていうのはケンゼンなオトコノコの心理だから」
「‥‥っ!!」
「きゃー、こわーい、宗太郎さんたすけてー!」
 眉を吊り上げユキを睨みつけるカイナ。
 だがその表情に昏い影はもうなかった。

●消えた少年
「――そんな‥‥!」
 紅緒の動揺に否定で返す公司。
「事実です。深夜、兵舎を出て行く姿を確認されています。管理室には手紙が預けられていました。我々宛です」
 手紙の内容はライオネルに会いに行く事。戻ってこなければ倒されたものと考えて欲しいとの事。
 悲痛な顔で宗太郎が呟く。
「何故、相談してくれなかったんでしょう‥‥」
「相談をした事が相手に覚られれば接触は途絶えてしまうかもしれない。おそらく相手は霧条一人を指名の筈だ。
 身の安全より手がかりを優先させた結果だろう」
 剣一郎の理屈は正しい。宗太郎もわかっている。
 それでも――、
「――相談して欲しかったです」
「‥‥探しましょう‥‥今からでも‥‥彼の足取りを追って‥‥」
 まだ手遅れではないと無月は動く。
 反対する者などいなかった。
「もう‥‥馬鹿なんだから‥‥本当に」
 放ってはおけない少年を想い、ユキも続く。

●理由
 約束の場所に着くカイナ。
 そこに目的の相手はいた。
「よお、まさか本当に一人で来るとはな」
「オマエがそうしろっつったんだろうが‥‥」
「ああ、言ったさ。で、罠だったらどうする気だ? 待ち伏せしている仲間達に袋にされて嬲り殺しか?」
「!!」
 周囲を見回すカイナ。
「しねぇよ。ここには俺達二人だけだ。
 俺が言いたいのはお前の迂闊さについてだよ」
 嘲笑を浮かべるライオネル。
「――テメエ‥‥」



「急ぐぞ!」
 剣一郎と無月、それぞれの車に乗り込む仲間達。
 カイナの行方については調べてみれば思っていたよりも早く手がかりに辿り着けた。
 移動の際にULTを介していた事等、痕跡が多かったのが原因だ。
「迂闊‥‥というわけじゃないですよね?」
 夫に尋ねる美影。
「カイナさんもプロの傭兵。直情的なところはありますが、足取りを消せない程思慮の浅い少年でもないでしょう」
「わざと‥‥ですか?」
 宗太郎の問いに
「隠す気がなかった事だけは確かだと思います」



「何が目的なんだよ、オマエは!?」
 飛び掛らんばかりの少年を茶化す気配はライオネルには既にない。
「なんでUPCを裏切った!? なんでバグア共の味方をする!?」
「――『なんで』‥‥ね」
 ライオネルはつまらなそうな表情でカイナを見据え、
「じゃあお前、『どういう理由』なら裏切ってもいいんだ?」
「――ッ!」
「『復讐の為』、『家族を人質に取られてる』
 そういう『理由』なら俺がお前らを裏切って仲間達を手にかけた事を許してくれるのかい?」
『その問いかけそのものが甘い』と、カイナの言葉を切り捨てる。

「そんな事よりもっと聞きたいことがあるんじゃないのか? お前さんには」
「‥‥‥!!」
 カイナは確信した。
 知っている。
 こいつはあの事件を知っている。
 それも当然だ。
 だってこいつは――、
「オマエ――」
 再び、ライオネルが嘲笑った。

「オマエが――ミコトを――!」
 あの時みたいに、
 裏切って――。

 少年が地を蹴る。
 止める者はいない。
 手にした大剣がライオネルを襲う。
 だがその刃は虚しく空を切り、
 ライオネルの斧は無防備なカイナの肩口に――。

「――――」
 響いたのは肉を抉る音ではなく、金属音。
 斧を槍で受け止める――。
「――間に合いましたね」
「宗‥‥太郎‥‥!」

●消えた傭兵
 無月の車に続き剣一郎の車も到着する。
 それに乗っていた傭兵達も。
「カイナ君!」
 宗太郎の背後、カイナの保護にユキが走る。
 止める気配はライオネルにはない。
「ユキ‥‥」
「馬鹿、心配したんだよ!」

「邪魔してくれるね。仲間想いな事だ」
「ライオネルさん‥‥!」
 槍を合わせたままの宗太郎の視線には敵意がない。
「ライオネルさん、何故‥‥!」
 男がバグアの側につく理由が彼にはわからない。
「そっちじゃなきゃ駄目なんですか! 私達の側で出来る事は、何もないんですか!!」
 その問いに、ライオネルは僅かな体重移動で生まれた隙に宗太郎の視界から消える。
「ぐ‥‥ッ‥‥!」
 死角から宗太郎に膝を叩き込み、
「ねぇよ」
 冷たく言って捨てた。
「どいつもこいつも甘ったるくてイライラするぜ。
 ――そう思うだろう?」
 ライオネルの視線は宗太郎を助けようとする剣一郎に。隙を見せる事はない。
「お前こそな」
 仲間への侮蔑を、しかし剣一郎は冷静に返す。
「甘いと思うのならつけ込めばいい話だ。そういうお前こそが甘さが抜けていないのではないのか?」
「―――」
 ライオネルは目を細め、
「‥‥お前もこの若造と同じか。信じるのは構わないが――」
 視線を宗太郎と、その後ろのユキとカイナに向けて、
「俺が改心すれば踏みつけた犠牲はチャラか?
 随分とお安いな、お前らの守るものっていうのは」
 傭兵達に嘲笑で答える。
「――――ライオネル!!」
 激昂した宗太郎が覚醒する。
 剣一郎もそれに続き、二人がかりでライオネルの制圧にかかった。

 宗太郎のソニックブームをかわし剣一郎の二刀に対処するライオネル。
(「――強い!!」)
 歴戦の傭兵・宗太郎と剣一郎の同時攻撃を斧と体捌きでいなしている。
 二人に殺意がないとはいえ、守るライオネルにもまだ余力はあるようだった。
 しかし、三人の戦闘を物陰に隠れ、死角から窺うのは――、
(「つばめさん!」)
 二人の攻撃をかわした隙を伏兵の少女の槍が狙い打つ。
「――ッ!?」
 その一撃も小斧で受けられた。
「‥‥三人は流石にきついかな」
 ライオネルが片手を上げる。
 殺気を感じた剣一郎が飛び退くと、その場に響く弾音が。
「剣一郎さん!」
 つばめが周囲を見回す。
 銃声は無い。消しているのだろう。
「一人でノコノコ来たとは思ってねえよな?」
 巻き込まれるのを防ぐ為、距離を空けるライオネル。
 だが、それは彼らも望む所であった。
 三人から離れたライオネルの足元に矢が突き刺さる。

「――――」
 矢の方向には男も見知った傭兵が。
「‥‥そういえば、姿が見えないとは思っていたが」
 人目につかないよう建物の陰に隠れた場所を選んだものの、狙撃のポイントはいくらでもある。
 矢を番えた公司と視線を交わした。
「――美人の嫁さんの姿も見かけない」
 おそらく他にも伏兵がいるのだろう。
 それは事実である。
 例えば到着前に宗太郎に車を任せた無月とか――。
 長射程の弓で狙い撃つ殺気をライオネルは漠然と感じる。
 時間をかけては潜ませている狙撃手が見つかってしまうかもしれない。
「ここまでか」
 場を去ろうとするライオネル。
「ライオネルさん!」
 つばめの呼び止める声を片手で制止する。
「人質を取っているとは思わないほうがいいぜ。
 俺が撃たれれば奴らはお前らを殺して引き上げるだけだ。その程度の関係さ」
 自分に人質の価値があるとすれば、撃たせないところまでだと。
 だけど、つばめの聞きたい事はそんな事じゃない。
「ライオネルさん! なんで霧条さんに――」
 そんなにまで拘るのかと、
 それに男は、
「俺の事を探ってたのはそっちだろう?
 消しやすそうな馬鹿から消そうと思っただけさ」
 得意の嘲笑で応えた。

(「嘘です。ならなんで――」)
 あの時、美影達は殺さなかったのか。
 それを問い詰める隙もなく、ライオネルは闇に姿を消した。

●ともだち
「‥‥カイナさん」
 狙撃から戻った紅緒が不安を抑えた表情で語りかける。
「‥‥戻りましょう‥‥」



 再び篠崎宿舎へと集まった仲間達。
「お待たせしました」
 美影が手作りの菓子と紅茶で出迎える。
「やっほー! 待ってました!」
 ユキがはしゃいでみせるがカイナの方は気まずそうに沈黙している。


 ◆ ◆ ◆


「心配‥‥させないでください」
 帰りの車で紅緒の口調は責めるようだった。
 責めてはいけないと思っている。
 自分達を信頼していたからこそ手がかりも残した。
 それでも責めずにはいられなかった。
 だって――、
「一人で焦らないで‥‥お願いだから‥‥」
「――!」
 紅緒は涙を堪えていた。
「もしもの事があったら‥‥考える時間さえ、無くなっちゃうんですよ‥‥!」
「あ‥‥ぅ‥‥」
 泣かれた女に堪えられるほどカイナは大人ではなく。


 ◆ ◆ ◆


「――カイナさんはクッキーはお嫌いですか?」
 カイナの沈黙を破ったのは紅緒だった。
「え、いや‥‥」
「駄目駄目、どーせカイナ君は『クッキーなんて男の食いもんじゃねー』とかいうんだからー」
 声色を使って茶化すユキ。
「言ってねーだろ!!」


 ◆ ◆ ◆


「――失礼とは思いましたが‥‥聞かせて戴きました‥‥」
 帰りの車で無月は労わるようにカイナと接した。
 聞いた事とはも勿論――、
「もし‥‥」
 無月が何の事を話そうとしているのか、カイナにもわかっている。
「どうしようも無い位‥‥自分が堕ちて行く感覚に苛まれた時‥‥」
 同情はいらない。
 同情される資格なんて自分にはない。
「思い返してみて下さい‥‥自分には本当に何も無いのかを‥‥」
 けれどこれは違った。
 同情ではない。他人の話ではない――、
「経験者の‥‥忠告です‥‥」
 その意味を――少年は知った。


 ◆ ◆ ◆


「クッキー、嫌いだったんですか?」
「カイナさん、美影のクッキーを侮辱するのは許しませんよ!」
「ちょっ、違っ‥‥!」
 大人二人にからかわれている事にカイナは気付かない。
「――じゃあ、何が好きなんですか?」
 少年に向けられる優しい笑顔。


 ――思い返してみて下さい‥‥自分には本当に何も無いのかを――


「‥‥お友達の事‥‥もっと、色々知りたいんです‥‥」