●リプレイ本文
●進め! 変態討伐隊
「新年て何でこう変態が湧くのかしら‥‥何か別の場所でも退治の依頼が来てるらしいし‥‥」
正月くらいのんびり過ごそうとたまたま来日中のレイラ・ブラウニング(
ga0033)は、突然舞い込んだ依頼にぼやきながらも押っ取り刀で駆けつけた。
「なーにが『アレは許せないけど私は行きたくないから私の代わりに殺ってきて♪』だよ‥‥」
神凪 久遠(
gb3392)が浮かない顔でため息をもらす。
件の変態、もとい正月魔人は去年の暮れにも出現しているのだが、その時討伐依頼に参加した双子の姉から勝手に参加処理されてしまったのだ。
「はぁ‥‥自分が行きたくないからってボクに振ること無いじゃない? まったく、姉さんたまーに強引なんだから‥‥」
と、前回依頼での経緯を説明された際の、姉の無駄にいい笑顔を思い出してブツクサ。
「この変態さんなに考えてるんだろうね? 正月を壊したいだけなら、わざわざ変装なんてしないで普通に暴れればいいのに‥‥」
本部から提供された依頼データに目を通しつつ、首を傾げるフィオナ・フレーバー(
gb0176)。それでも彼女は小隊仲間でもある聖・綾乃(
ga7770)の方に振り向き、にっこり笑った。
「今回もよろしく。一緒に頑張りましょうね」
一方、急な依頼でとるものもとりあえず参加した花柳 茜(
gb4069)はまだ状況がよく飲み込めない様子で、
「あ、皆さんどうぞよろしくお願いします。私はスナイパーなので、後方から援護射撃させて頂きますから‥‥」
参加の一同にペコペコお辞儀していた。
●彼女が晴れ着を裂かれたら
8名の女性傭兵達が神社の入り口まで到着すると、パニック状態に陥った参拝客の避難誘導にあたっていたヒマリア・ジュピトル(gz0029)がパタパタ手を振った。
「あー、やっと来た! みんなーこっち、こっち!」
ヒマリアの案内を受け、一同が鳥居をくぐって神社の参道に踏み込むと‥‥。
――いた。
鏡餅をまんま巨大化させた様なHWと、その前に仁王立ちして偉そうにふんぞり返る正月魔人。
「うわ変態‥‥初めて見た‥‥。できれば一生見たくなかったけど‥‥」
仮面と褌以外はほぼマッパの変態筋肉オヤジ。覚悟はしていたといえ、改めて実物を目の前にして久遠は早くも目眩を覚えた。
「人に正月がどうだこうだ説教する前に自分の格好をどうにかしてよ! そんなんだから一人ぼっちなんだよ! ‥‥というか、ホント前を隠して‥‥」
普段は元気少女の鷲羽・栗花落(
gb4249)も、思わず赤面した顔を両手で覆う。
「にゃー、平和な正月行事を邪魔する変態さん。バグアが許してもこの‥‥魔法少女マジカル♪チカが許さないのにゃ! 成敗にゃー!」
傭兵と兼業で魔法少女アイドルとしても売り出し中の西村・千佳(
ga4714)がビシッとポーズを決めた。本日は初詣に合わせ、衣装も魔法少女コスに代えて振り袖姿だ。
「ヌフフ。現れたな傭兵ども‥‥飛んで火に入る夏の、いや冬の虫!」
正月魔人は仮面の下の口を不敵な笑いに歪めた。
「カムヒア〜! 我が僕たち!」
その声に応え、鋏状の前肢を振り上げた2匹の海老キメラが、次いで全身を粘液でテカらせた蛸キメラがズズ〜っと地面を這いずって傭兵達の前に立ちはだかった。
境内のあちこちには、海老キメラに晴れ着を切り裂かれたうえ蛸キメラの触手に散々弄ばれた被害者達――なぜか若い男女に集中していたが――が下着姿で倒れている。
幸い命に別状はなさそうだ‥‥全員妙に緩んだ顔つきで放心しているのが謎であるが。
その光景を目にして、まずレイラの怒りに火が点いた。日本育ちの米国人である彼女にとって、この所業は己が憧れる日本伝統文化への冒涜そのものだ。
「‥‥あんたさ‥‥あの着物一着作るのに‥‥どれだけの手間暇がかかってるか知ってる? 職人の人たちがどれだけ頑張ってるか知ってる?」
「そんなの、ワシの知った事かい!」
「クリスマスは一人で過ごした? 大晦日はカップ麺啜ってた? ふざけるんじゃないわよ‥‥あんたの八つ当たりで職人たちの血と汗と涙の結晶を、文化を‥‥穢して良い理由にはならないわ」
「待った! うちにも一言いわせてーな!」
なおも憤るレイラを片手で制し、相沢 仁奈(
ga0099)がズイっと前に出た。
「服を剥いた上で触手責めとは‥‥その選択にウチは敬意を表するッ! でも容赦はせんよ! ‥‥って、みんなどないしたん?」
仁奈の発言に敵も味方もその場でずっこけていた(←死語)。
「う〜む、何やら調子が狂う‥‥ええい面倒だっ! 者どもかかれ!」
気を取り直した魔人の号令一下、3匹のキメラが各々鋏や触手を振りかざし「キイィーッ!」と奇声を上げる。
傭兵側も覚醒し、素早く応戦しようとした、その矢先。
ブオォーー!
蛸キメラが唐突に墨のごとく真っ黒な煙幕を吐き付け、辺り一面が黒煙に覆われた。
「しまっ――!?」
ジャキジャキジャキーーンッ!!
不意をつかれて戸惑う傭兵達の間を2つの影が走り抜け、同時に何か布地を切断するような音が立て続けに響く。
煙幕の煙が風に吹き払われてみると――。
ああ、何たることか?
9名の女性傭兵達は、全員が着衣を切り裂かれ、下着だけのあられもない姿を晒していた!
●めくるめく触手と吸盤と‥‥
「きゃ〜っ!!?」
最初に真っ赤になった久遠が、次いで茜やヒマリアも悲鳴を上げた。
「やっ?! ‥‥ちょちょちょちょっとぉ〜〜〜〜? 恥ずかしいですぅ〜」
花柄インナー上下のみの姿となった綾乃もワタワタしている。
「うにに!? 着物の下には履いてないから切り裂くのはダメにゃー!? ‥‥なんちゃって♪ ちゃんと履いてるのにゃ♪」
千佳だけは得意げにいったが、
「‥‥でも結局下着だから恥ずかしいにゃ!?」
魔法少女といえども羞恥心には勝てない。
中には上着の下にレオタードを着込んでいたおかげで、比較的露出度の少ない栗花落の様な者もいたが。
動揺する傭兵達に向け、さらに蛸キメラの触手が迫る。
対蛸キメラ担当は栗花落と仁奈だった。
「なんだか手つき‥‥じゃない足つきがいやらしいよぅ‥‥た、戦うのが怖いなぁ‥‥。うぅん、さっさと倒せば色んな意味で無事でいられるんだ、膾切りにして酢漬けにしてやる、覚悟! ってキャアアア!?」
一見動きの鈍そうな大蛸だったが、あに図らんや触手だけは異様に素早い。
ハミングバードで迎え撃とうとした栗花落が、まずあっさり絡み取られた。
「やっ、そこ違う、やめてーーーー!?」
ムニュっとした柔らかい触手で真綿の様に締め付けられ、レオタードの生地越しに生温かいキメラの体液が染み込んでくる。ついでに全身の敏感なスポットを尖った触手の先端でツンツンつつかれ、栗花落は細い手足をバタつかせもがいた。
「駄目、え、エッチなのはいけないと思います! じゃなくて本気で、や、やめ‥‥んぅ‥‥っ!」
細身の割に豊かなバストを触手の先で弄ばれ、思わず悶絶する栗花落。
「てえぇーいっ!」
仲間の危機を救わんものと、両手爪のベルニクスを振りかざした仁奈が突進する。
だが惜しいかな、横から伸びてきた別の触手に巻き取られた。
仁奈の場合、インナーで着込んでいたのはバニーガール服であったが、Fカップの胸が災いし、大きく開いた谷間の部分から触手の侵入を許すはめになった。
さらに剥きだしのうなじや太腿に巻き付いた触手の吸盤部分が、肌にキュと吸い付きプチッと剥がれる瞬間の、得も言われぬ感触。
「触手‥‥吸盤‥‥うねうねぷちぷち‥‥あかん、何か変な気分になってきたやも」
なまじ覚醒し鋭敏になった全身の五感を触手に弄られ、少女の理性が次第にとろけていく。
「あ・あン‥‥も、もぉ〜辛抱たまらんッ!」
いつしか快楽に身を委ねた仁奈は、自ら吸盤をちゅぷちゅぷ舐めたり口に含んだり、触手の先を手でつかんであらぬ処へ導いてみたりし始めた。
その間、間一髪で大蛸の触手をかわした他の傭兵達は、各々海老キメラ、そして大将の正月魔人攻撃へと向かっていた。
2匹の海老キメラに対しては、久遠、千佳、茜、ヒマリアの4名が当たった。
1匹を久遠が足止めしてる間に他の1匹を3名で集中攻撃、各個撃破で効率的に倒して行こうという作戦だ。相手が相手だけに、戦闘が長引いて残る下着まで破かれてはたまらない。
「は、早く助けに来てね?」
赤面しつつも月詠を振るい、海老キメラが素早く繰り出す鋏攻撃を辛うじて受け流す久遠。
その間、千佳は円閃発動でコマのごとく回転しつつ果敢にディガイアの爪で斬りつけ、茜はスコーピオン、ヒマリアはスパークマシンαで後方支援。
この作戦が功を奏し、間もなく2匹の海老キメラが倒された。
「なっ!? ‥‥しまった! 嫌がらせの服破り訓練ばかりさせたら、却って弱くなっていたかぁ〜!!」
配下のキメラ2匹を速攻撃破され、頭を抱えて叫ぶ正月魔人。
っていうか、その作戦何か間違ってるぞ‥‥根本的な部分で。
海老キメラ排除に成功した4名は、直ちに栗花落と仁奈救出のため蛸キメラへ目標変更。
「皆を放すのにゃー!」
「とっとにかく、あの蛸足を一本ずつ切り落としていけば安全なはず! 捕まったら大変な事に――」
ブオォーー! 久遠の言葉が終わらぬうち、再び大蛸の黒煙が吐き付けられる。
視界を遮られた瞬間、4人とも蛸の触手に絡め取られていた。
「きゃあぁーー!?」
「みぅ!? にゃ、何するのにゃ!? 僕にそういう趣味はないにゃよ!?」
なお悪いことに、この時点で彼女達が身につけていたのはブラとショーツのみ。
肌の露出が多い分、先に囚われた2人より触手と吸盤の刺激をまともに受けることになる。
身動きのままならぬ少女達の体を粘液塗れの触手がうねうねとはい回り、胸やら首筋やら脇の下やら、その他この場では書けないシークレットゾーンをネチネチ弄くり回す。その感触が嫌悪から悦楽へと変わるのにさして時間はかからなかった。
「お嫁に行けない〜!」
「あぁン‥‥い、イヤ‥‥で、でも、なんかイイ‥‥」
「うニャ!? あふん‥‥これはこれで‥‥キモチいいにゃ〜‥‥」
茜が囚われたのは、先に仁奈が絡み取られて散々責められていた同じ触手だった。
下着姿の美少女が2人、一本の触手にグルグル巻きにされ、互いの体をピッタリ密着させる格好になる。
全身の敏感な部位を吸盤と触手で刺激され、心ならずも感じてしまった茜の切なげな顔を見つめ、同様に粘液塗れの貌を上気させた仁奈が陶然と微笑んだ。
「んふふ‥‥その顔、すっごいやらしーなぁ‥‥そそるわぁ♪」
2人して為す術もなくキメラのなぶりものに‥‥と見せかけ、何気に茜に口づけし、指先で色々イタズラしてしまう仁奈であった。
●果てしなき正月の果てに
「か、可愛い‥‥♪」
「何見とれてるんですか!」
綾乃のツッコミで我に返ったフィオナは、慌てて綾乃とレイラに錬成強化を施す。
仲間達が蛸キメラと戦って(?)いる間に、親玉である正月魔人を叩くのが彼女らの役目だ。
兵装を強化してもらった綾乃は、ある程度接近すると小銃S−01で牽制の銃撃を加えつつ、チャンスと見るやファング・バックル付与の朱鳳で斬りつけていった。
「この‥‥『女性の敵』がぁー! ‥‥お前は闇の底で『無上の快楽』に溺れて果てろぉー!」
「何の、小癪な!」
正月魔人は羽子板型ロケットランチャーで朱鳳の刃を受けるが、その注意が綾乃に向けられた隙を衝くように、もう1つの人影が猛然と突進していった。
「‥‥ぶっ潰す」
サテンネットのブラからこぼれんばかりの巨乳を揺らしつつ、恥じらいも捨て戦鬼と化したレイラは瞬天足で死角から接近するや、ロエティシアで挨拶代わりのボディブローを一発。
「ぬぐっ!?」
その後据わった目で相手を睨みつつ、連続斬撃のラッシュを浴びせる。
「謝れ! 職人の人たちに謝れー!」
このコンボで態勢を崩した魔人に、さらに綾乃の銃撃、フィオナのスパークマシンαの電磁波が追い打ちをかけた。
一瞬前方のガードががら空きになった魔人の腰を覆う注連飾りへレイラ渾身の一撃、瞬即撃+急所突きがヒット。
「おごぉ!?」
これにはさすがの魔人もたまらず、羽子板を放り出し股間を押さえてその場に座り込む。
何やら呆気ないが、去年の戦闘でフクロにされたダメージも残っていたのだろう。
ちょうど同じ頃、蛸キメラの触手責めを存分に堪能‥‥いや一瞬の隙を見出した仁奈がベルニクスで触手を切断、これをきっかけに他の傭兵達も反攻に転じ、
「おっ奥義! 天譴ーっ!!」
最後は久遠が豪破斬撃+紅蓮衝撃+スマッシュの大技で悪のエロ大蛸に引導を渡していた。
「‥‥な〜るほど〜。そこまでして妨害するってことは自分もお正月を皆で楽しみたかったってことなんでしょ?」
「ううっ‥‥じ、実は‥‥」
フィオナの言葉に、地面に正坐してはらはら落涙する正月魔人。
「ねえ? 正月魔人さん。これから皆で集まって宴会を企画してたんだけど‥‥くる?」
「‥‥こんなワシを‥‥許して‥‥くれるのか?」
とまあ、ここで終われば「ちょっとイイ話」なのだが――。
「あ、でも。この子達のお仕置きはちゃんと受けてからねっ」
にっこり笑ってフィオナが指さす先には、怒りのオーラを立ち上らせたレイラ以下、女傭兵達の姿があった。
「ふ、ふふふ‥‥この変態、覚悟は出来てるよねぇ?」
やはりにこやかな微笑みを浮かべる久遠だが、その目は全く笑ってない。
「天誅! まさに神命だよ!!」
残り練力全てを注ぎ込み、月詠スマッシュで渾身の一撃。
「まだ彼氏だって一度も出来たことないのに‥‥乙女の体になんてことしてくれるんだこのド腐れ変態!!」
泣き叫びながらハミングバードで滅多斬りにする栗花落。
「後はおまえだけにゃ! 覚悟するのにゃー!」
ドガッ! 千佳によるディガイアの急所突き。
というわけで、殆どのメンバーには魔人を許す気などさらさらなかった。
「あら‥‥仕方ないわねえ。そうそう綾乃ちゃん、こんな格好じゃ風邪引くわよ‥‥うふふっ♪」
フィオナは妖しげな笑みを浮かべて綾乃を捕まえ、互いに下着姿で抱き合い体を温め合った。
ついに力尽きた正月魔人がバッタリ倒れ伏す。
「だ‥‥大バグア、ばんじゃーい!!」
ちゅどーん!!
強化人間と鏡餅型HWはほぼ同時に自爆した。
「変態退治はマジカル♪チカにお任せなのにゃ♪」
勝利の決めポーズを取る千佳だが、すぐ自らの恥ずかしい姿を思い出し、
「‥‥って、服はどうすればいいのにゃ、これー!?」
そんな彼女らの頭上に、ほど良く焼けた一口サイズの餅が降り注いだ。
その後神社側から着替えの服を借りた傭兵達は、レイラの提案で焼き餅をお汁粉にして被害者に振る舞い、自らも体を温めると一同で今年の初詣を済ませたのであった。
<了>