タイトル:HW☆弟奪回作戦マスター:対馬正治

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2007/11/11 16:02

●オープニング本文


 10月も末のとある休日。能力者候補生のヒマリアは、弟のテミストを連れてとある小さな町を訪れていた。
 地球規模でバグア軍との戦闘が激しさを増すこの時代だが、交戦地域から離れたこの町では比較的治安も保たれ、物資もそれなりに流通しているようであった。
「別に、買い物だったらラスト・ホープでだってできるのに‥‥」
 面倒そうにこぼすテミストに対し、
「なーにいってるの。たまにはこうして、本物の陸地で自然の空気に触れなくっちゃ。人工島の兵舎にばかり籠もってたら、肩がこっちゃうわ〜」
 ヒマリアは心地よさげに大きく背伸びなどしている。
「要するに、自分が羽を伸ばしたかっただけ‥‥」
「――何かいった?」
「なな、何でも‥‥あはは」
 半眼で睨み付けてきた姉の視線に微かな殺気を覚え、テミストは冷や汗を流しつつ慌てて取り繕った。
 2人とも金髪碧眼のまだあどけない顔つき。身長もほぼ同じなのでよく双子の姉弟に間違われるが、実際にはヒマリア15歳、テミストが13歳である。
 2006年のバグア軍大侵攻の際に両親を亡くし、今はたった2人の姉弟。ちなみにテミストにとってのヒマリアといえば、よくいえば保護者というか母親代わり、有り体にいえば恐怖の大王といったところか。
「さあ、買った買った! ハロウィングッズの大安売りだよーっ!」
 威勢良く張り上げる物売りの声に、姉弟はふと足を止めた。
 見れば、商店街のとある雑貨屋が店先に出店を出し、大小のジャック・オー・ランタンや仮装用の衣装など、ハロウィン関連の各種グッズを山盛りにして特売している。
「そういえば、もうハロウィンの季節なんだ‥‥」
「そうねえ。でもあの雑貨屋さん、少し大めに仕入れすぎちゃったんじゃないかしら? あれで売れ残ったら、後がたいへん――」
 そういいかけたヒマリアは、弟が立ち止まったまま涙ぐんでるのに気づいた。
「昔‥‥みんなでハロウィンを祝ったよね。父さんや母さんも一緒に‥‥」
「テミスト‥‥」
 さすがにヒマリアもかける言葉がなかった。
 故郷のメトロポリタンXは既にバグア軍の手に落ち、2人はその際に両親を亡くしている。
(ダメよ‥‥こんなとき、あたしまで一緒になって落ち込んでたら!)
「そ、そうだ! ちょっと見ていこーよ!」
 弟を少しでも元気づけようと、ヒマリアは半ば無理やり出店の前に連れて行った。
「おっ。お嬢ちゃんたち、何か買ってくかい? 安くしとくよ」
「へぇー。色々あるのねえ‥‥」
 黄色と黒を基調にした様々なハロウィン・グッズに目移りしていたヒマリアは、パーティーグッズのひとつであるジャック・オー・ランタンを模した仮面を取り上げ、ひょいと弟の頭に被せた。
「キャハハハ! ぴったりー」
「そ、そうかなあ‥‥」
「うーん、でも、何かまだ足りないなぁ‥‥」
 わずかに思案したヒマリアは、やはり出店で売っていた黒マントを取り上げ、テミストに羽織らせる。
「うん、完璧! あんた、今日はこの格好でラスト・ホープに帰んなさい。きっと島の注目度NO.1よ!」
「そ、それだけは勘弁して‥‥」
 そのとき。
 同じ商店街にある食品店から甲高い女性の悲鳴が上がり、店内から身長60cmに満たない怪人が、両手一杯に食品を抱えて飛び出してきた。
 ジャック・オー・ランタンを思わせる頭部。全身黒タイツに黒マント。ついでにいえば、今のテミストの仮装にそっくりである。
(キメラぁ!? 何で、こんな場所に‥‥)
 呆気にとられるヒマリア。
 先輩の傭兵から噂は聞いている。最近、各地に出没して食料品店を荒らし回っているという、通称「オレンジ・ジャック」と呼ばれるタイプだ。
 ヒマリアは体内に埋めたエミタを作動させ、即座に「覚醒」した。ショートカットの金髪がフワリと浮き上がり、炎を思わせる茜色へと変化する。
 しかし――。
(あー、しまった! あたし、武器を持ってない!)
 ヒマリアの動揺を悟ったかのように、こちらに向かって突進してくるキメラ。しかし、その狙いは彼女ではなかった。
「わぁーっ!?」
 カボチャの仮面を被ったままのテミストの片手をつかむなり、強引に連れ去りそのまま町を駆け抜けていった。
「な、何で弟を‥‥?」
 とりあえず覚醒を解き、路上にボトボトと果物や缶詰を落としながら走り去るカボチャキメラの後ろ姿を、呆然と見つめるヒマリア。
 間もなく、一つの結論に達した。
 ――テミストは、どうやら仲間のキメラと勘違いされたらしい。

 ◆◆◆

 路上に点々と残された食料品を頼りに跡をつけてみると、やがて町の中央にある小さな広場へとたどり着いた。
「な‥‥何やってるの? あいつ‥‥」
 広場では、町の子供たちによるハロウィン・パーティーが開かれている最中だった。
 必ずしも豊富とはいえない食料事情だが、それでも子供たちを元気づけようと、町の有志がお菓子や飲み物を提供した心づくしの催しだったのだろう。
 こともあろうに奴はその会場に乱入し、子供たちを追いやってお菓子を貪り食っていた。
(せ、せこい‥‥)
 だが、呆れてばかりもいられない。
 オレンジ・ジャックはお菓子を鷲づかみにし、隣に捕まえたテミストにも強引に勧めていた。「一緒に食おうぜ!」といいたいらしい。
 ヒマリアの姿を見るなり、カボチャマスクを被ったテミストは助けを求めるように走り出そうとしたが、すぐ襟首をつかまれ引き戻された。
(落ち着いて、テミスト! 下手に騒いで、奴を刺激しちゃダメ!)
 ゼスチャーで弟に指示を下したものの、ヒマリアにもそれ以上打つ手がなかった。
 いかに小型といっても相手はキメラ。今の自分では倒す術がない。
 そのうえ、テミストが人間であることがばれれば、彼の身が危ない。
「うわぁーん! ボクたちのお菓子がー!」
 哀れ、会場の隅に追いやられた子供たちが泣きじゃくっている。
(あたし一人じゃどうしようもない‥‥とにかく、応援を呼ばなくちゃ!)
 ヒマリアはとりあえず子供たちを安全な近所の商店まで誘導し、自らは店で借りた電話からラスト・ホープのUPC本部へと事態を報告した。

●参加者一覧

真田 一(ga0039
20歳・♂・FT
ロッテ・ヴァステル(ga0066
22歳・♀・PN
幸臼・小鳥(ga0067
12歳・♀・JG
陸 和磨(ga0510
23歳・♂・GP
工藤 悠介(ga1236
25歳・♂・GP
聖・真琴(ga1622
19歳・♀・GP
ジェット 桐生(ga2463
30歳・♂・FT
明星 那由他(ga4081
11歳・♂・ER

●リプレイ本文

●プロローグ〜ラスト・ホープ
「しかし、セコイキメラだね。酔っぱらいを彷彿とさせる様な?」
 出発を待つ移動艇の座席で、陸 和磨(ga0510)が苦笑いした。
「全く! どぉしてあのちんちくりんは、いっつも子供達の楽しみを奪うのよっ?」
 腹立たしげにいうのは聖・真琴(ga1622)。今の所被害は食料品だけといえ、この戦時下で数少ない子供たちの楽しみが奪われたことに怒りを隠せない様子だ。
「弟か。家族がいるのは幸せなことだ。仲が良いなら尚更な。2人や子供たちが無事にハロウィンを楽しめるよう、手を貸そう」
 バグアに奪われた家族のことに思いを馳せているのか、静かな言葉の中にも固い決意を滲ませつつ、真田 一(ga0039)がつぶやく。
「ここまで我慢したのだ。大丈夫とは思うが、ヒマリアの気が急かぬよう‥‥」
 案ずるようにいうのは、ジェット 桐生(ga2463)。
「は、初仕事‥‥大丈夫かな、こんな子どもがって思われてないかな‥‥」
 傭兵たちの中でも11歳とひときわ幼い明星 那由他(ga4081)が、小さな体を緊張に震わせる。
 そのとき、残りの3名が何やら大きなダンボール箱を抱えて乗り組んできた。
「ごめん。買い物してて遅くなった‥‥」
 艇内の空きスペースにドサっと箱を置き、ロッテ・ヴァステル(ga0066)が詫びる。
 箱の中には一杯のお菓子が詰められていた。
「こ、子供達に‥‥取られた分は‥‥返してあげないとぉ‥‥」
 おどおどした口調で幸臼・小鳥(ga0067)がいう。那由他と大差ないほど幼く見えるが、実は友人のロッテと同じ18歳である。
「気が利きますね。ロッテさんたちが自腹で?」
 と感心する和麿に、
「いや、俺たちも少しはカンパしたけど、最初に5千クレジット出したのは一だ。ああ見えて、結構優しいとこがあるな」
 笑いながら工藤 悠介(ga1236)が指さす。
「別に‥‥」
 一は少し頬を赤らめ、プイっとそっぽを向いた。

●オレンジ・ジャックを倒せ!
 移動艇を適当な空き地に着陸させ、一行は目的の町へと入っていった。
 町の住民はキメラが居座る広場から離れた場所に避難し、その中には子供たちに混じったヒマリアの姿もあった。
「すみません。あたしが迂闊でした‥‥つい後方地域だと油断して、武器を置いて来るなんて」
「いいのよ。楽しい時間もテミスト君も、無事に取り戻しましょ‥‥必ずね」
 ロッテは涙に頬を濡らした子供たちをぽむぽむ撫でながら、ヒマリアにいった。
「私のナイフ、一つ貸してあげる♪ これでテミスト君を守ろっ! ね♪」
 真琴が2本装備したアーミーナイフの1本を、ヒマリアに渡す。
 訓練生とはいえ、彼女も能力者だ。それはまた、「自分の手」で弟を助ける作戦に参加させてやりたいという、真琴の心遣いでもあった。
「は‥‥はい! ありがとうございます!」
 先輩傭兵から借りた武器を握りしめ、緊張したようにヒマリアは頷いた。

 問題の広場では、パーティー会場を占拠したオレンジ・ジャックが、相変わらず傍若無人にお菓子やジュースを貪っていた。
 傍らにはカボチャマスクを被ったテミストもいる。
 今の所、仲間のキメラと勘違いされているため危害は加えられていないが、少年が恐怖のあまり硬直状態なのは遠目にもよく判った。
 攻撃するのはたやすいが、下手をすればテミストまで巻き込んでしまう。しかもジャックは動きが素早いので、倒そうとすると意外に厄介な相手なのだ。
 傭兵たちとヒマリアは、テミストを助け、しかも確実にジャックを仕留めるため、慎重に策を練った。
 まずは、どうやってテミストをジャックから引き離すかだが――。
「ぼ、僕が、行きます‥‥」
 最年少の那由他が、自ら志願した。
 確かに体格から見てジャックの同類を演じられそうなのは那由他か小鳥ということになるが、スナイパーである小鳥には、もう一つ重要な役目がある。
「使うといい」
 悠介が自分のハロウィンメットを那由他に被せた。さらに街の雑貨屋から借りた黒マントも羽織り、見かけ上はジャックによく似た姿となった。また「餌」として出発前に買いこんだお菓子もひと抱え持たせる。
 他の仲間たちが所定の配置につくのを確認後、那由他はおどおどと広場に向かって歩き出した。
 その姿に気づいたジャックは一瞬警戒するような素振りを見せたが、やはり自分と同じキメラだと信じ込んだのだろう。すぐに「おまえもこいや!」という様に手招きした。
 和麿が指摘したとおり、その仕草は何やら飲み屋でできあがった酔っぱらい親父に似てなくもない。
 那由他は身のすくむ思いだったが、ここで怯えたら怪しまれる。精一杯の勇気を奮い起こし、いかにも嬉しげな演技を装ってジャックたちの方へ走り寄った。

 その頃、広場から40mほど離れた物陰に身を潜めた小鳥は、隠密潜行で気配を消し、長弓をひきしぼってジャックを狙っていた。といっても、今は射線上にテミストがいるので矢を射ることができない。
 作戦の成否は、全て那由他の双肩にかかっていた。

 何とかジャックの側までたどり着いた那由他は、まず手土産とばかり持ってきたお菓子の山をテーブルの上に置く。元からあったお菓子をあらかた食べ尽くしていたジャックは、大喜びで新たなお菓子に飛びついた。
 その隙を見て、那由他はササっとテミストに近づき、隠し持ったメモ用紙をこっそり渡す。
『助けにきました。僕のいうとおりにして』
 テミストは驚いたように那由他を見つめたが、すぐ事情を察したのか、無言のままコクンと頷いた。
 そのとき、ジャックが「キィ〜ッ!?」と甲高い悲鳴を上げて喉をかきむしった。
 那由他がお菓子の中に混ぜておいた特製・超激辛スナックを口にしたのだ。慌てたように、テーブルの端にあったジュースのペットボトルを取りに走る。

「テミスト君から‥‥離れましたぁ! 今ですぅ!」
 小鳥が鋭角狙撃で放った弾頭矢が、見事にジャックの片足に命中した。
「キキィ――ッ!」
 那由他は急いでテミストの手を引きその場から離れ、同時にやはり付近の物陰に隠れていたロッテ、和麿、悠介が飛び出す。30mの圏内に入ったところで瞬天速で一気に間合いを詰め、3方からジャックに襲いかかった。
 最初に接敵したロッテは、覚醒変化で蒼く変わった髪を靡かせ、白い眼で冷徹に見つめ、頬を紅潮させてポツリと一言、
「‥‥お仕置き」
 2本持ちで逆手に握ったアーミーナイフをジャックに突き立て、引き寄せるように肉を裂く。
 続けて悠介がファングの斬撃を浴びせ、その間に和麿がテミストと那由他を安全地帯まで待避させた。
 だが敵もさるもの。ダメージを負いながらも、マントを広げるなり持ち前の俊敏さで空中に飛び上がる。
 それは予測済みの行動だった。逃げ足の速いジャックへの対策として、傭兵たちは小鳥の射線上は避けつつ、小型無線機で連絡を取り合い広場に二重の包囲網を敷いていたのだ。
 空を飛んで逃げようとするジャックを、小鳥が鋭角狙撃による二の矢を放ち撃墜。
 広場の端に墜落したところを、伏兵として潜んでいた残りのメンバーが追撃した。
「このヤローッ! よくも、弟を!」
 ヒマリアが怒りを込めてナイフで斬りつけるが、これは紙一重でジャックにかわされる。
 逆に反撃しようとしたジャックを、庇うように飛び出した真琴が瞬天速で回り込み攻撃。さらに一が豪破斬撃で追い打ちをかける。
 それでもなおしぶとく広場を逃げ回るジャックの前に、カボチャ頭の黒い影が立ちふさがった。
「???」
 同類にしてはのっぽだが、それでも仲間と思ったのか救いを求めるように走り寄るジャックを、カボチャ頭の怪人は刀を抜いて容赦なく面抜き胴で斬り捨てた。
「悪く思うな」
 それは黒いコートにハロウィンメットを装着したジェットであった。
 ついに力尽き、ぱったり地面に倒れるオレンジ・ジャック。
 かくしてハロウィンの町を騒がせたカボチャキメラは、あえない最期を遂げたのであった。

 さらばジャック。また来年のハロウィンも会える‥‥かどうかは定かでないが。

●やり直しのハロウィンパーティー
「このバカ弟! 心配させないでよ、もうっ!」
 まだ救出された実感が湧かないのか、やや青ざめた顔で立ちつくすテミストを、涙目のヒマリアが抱き締める。
「作戦終了ね‥‥ご苦労様」
 覚醒を解いた銀髪をかきあげつついうロッテに対し、
「ご苦労様は目下の人間に使う言葉だ。気をつけた方が良い」
 と、ぶっきらぼうに悠介。
 無事囮役を果たした那由他は、超機械による錬成治療で負傷者の介抱にあたった。
「でかしたよ、那由他君。小鳥ちゃんも、よく頑張ったね」
 和麿が小鳥の頭を撫でてやる。
「うー、私は子供じゃ‥‥ないですよぉ‥‥はううっ」
 慌ててロッテの背後に隠れる小鳥だが、それでも狙撃手の大任を果たしたことに安堵しているようだ。
「それじゃあ‥‥ハロウィン、やり直し‥‥しましょうかぁ?」

 ヒマリア姉弟も手伝い、傭兵たちはまだ移動艇に大量に残してあったお菓子やジュースを広場に運んだ。
 ついでに戦闘で荒らされた会場なども、改めて設営し直してやる。
「さぁみんな‥‥パーティーのやり直しよ」
「お菓子、いぃ〜っぱいあるよぉ〜☆」
 ロッテと真琴が声をかけると、恐る恐る遠巻きに見守っていた子供達も、歓声をあげて駆け寄ってきた。
「のーりょくしゃのお兄さん、お姉さん。どうもありがとう!」
 子供らのあからさまな感謝に照れたのか、ジェットは会場の隅に逃れてこっそりジュースで喉を潤した。
「ヒマリアは何となく俺の姉に似ているな。もっとも俺はテミストより‥‥勇敢だった‥‥と思う。いや、蛮勇と呼ぶべきか」
 周りを取り囲む子供達に、
「お礼はあのお兄さんにな」
 と悠介は一を指さそうとしたが、姿が見えない。
 子供達に笑顔が戻ったのを確かめてから、一はそっと会場から離れていた。
 どうしてもバグアのために喪われた家族や恋人のことを思いだし、辛くなってしまうからだ。
(俺たちのような家族を少しでも出さないためにも。もっと安心して暮らせるようにするためにも。これからも静かに復讐の炎を宿しつつ戦っていこう‥‥)

 移動艇に引上げようとする傭兵達を、町長を筆頭にした町の大人達が呼び止めた。
「この度は誠にありがとうございました。これは、僅かですがお礼に‥‥」
 と、かなりの金額が入った封筒を差し出してくる。
 UPCから報酬を受け取るからいい、と断ったが、町長は頑として聞かない。
「実は毎年この季節、ここでは収穫祭も兼ね町を挙げた盛大なハロウィンパーティーを開くのが習わしで、これはそのための予算だったのですが‥‥こんなご時世、あまり贅沢な祭りを催すわけにも参りません。『せめて子供達だけでも』と企画したのが、今回の野外パーティーだったのです」
 傭兵たちは話し合った結果、一が負担した5千クレジットの他、各自がカンパしたお菓子代だけ受け取ることにした。

 いつか平和が戻ったとき、もう一度この町を訪れ、本当のハロウィンパーティーを楽しむ子供達の笑顔を見てみたい――そう思いつつ、傭兵達は移動艇に乗り込み町を後にするのだった。

<了>