●オープニング本文
前回のリプレイを見る 自らも嘘を包み隠して生きてきた時期もあったから――彼女が目の前に現れた時、すぐに気づいた。
そして、思った。
助けになってあげたい。
その思い通り、二人の共同生活は少しの間だけ続く。
きっと彼女は、いつか事情を話してくれる――。
そんな思いもまったくないわけではなかった、が。
――その平穏がもろくも崩れ去る原因は彼女――ジネットにも、自分にもあることを。
かつて嘘の仮面を被ったステラはまだ、知らない。
■
「――皮肉なこともあったものだよ、まったく」
集った能力者たちを前に、ユネはそう切り出しては溜息をつく。
「今回は、この間結局まともに話が出来なかった彼女――ジネット・ヴィルヌーブにまた会いに行ってもらうよ」
ゾディアック乙女座、イネース・サイフェル。
その過去を知るジネットを探しに能力者たちはある村を訪れ、彼女を探しだすことも出来たのだが――イネースの名を出した途端に、拒絶されてしまった。
「でも、また行っても同じことになるだけじゃ‥‥」
その言葉に対し、ユネは頭を振る。
「いや――この間とは、まるっきり状況が違うんだ。彼女としても拒絶出来る状態じゃないと思う」
「というと?」
「また能力者が訪ねてくることで村人たちに煙たがれることを恐れたのかもしれないけど、彼女は前の来訪からすぐに引っ越したそうなんだ。
ただ姿や名前が知れている以上、今回はこっちも居場所に気づくのは早かった。別の村にいることは割と早い段階で分かったよ。
問題は――今、その村自体が危機に置かれていることなんだ」
「――?」
ユネの表情がやや険しくなったことに気づき、能力者たちは怪訝な表情を浮かべる。
「村は今、ヨリシロとなった人間に率いられたキメラの大群に襲われようとしているんだよ。その対処は別の依頼にもなっているから、確かな話だ」
「そのヨリシロ、って――?」
「言っておくけど、イネース本人ってことはない。
そもそも僕らはまだ彼女がヨリシロなのかどうかも知らないわけだし、さっき言った別の依頼の関係でそのヨリシロの名前も知っている。
ただ――これは僕の推測にすぎない、けれど」
「?」
中途半端に区切られた言葉に、能力者たちは首を傾げる。
ユネは言葉を探すように視線を虚空に泳がしながら、言う。
「――推測にすぎないけど、そのヨリシロとイネースには何らかのつながりがあるんじゃないかと思うんだ。
だってあまりにもタイミングが良すぎると思わないかい? ジネットが引っ越してすぐのところを狙ってくるなんて」
「それは、ただ単に運が悪かったとか――」
「僕も最初はそうも思った。けど、どうやらそんな簡単な事情じゃないらしいんだ。
何せそのヨリシロは生前、その村で英雄とまで呼ばれた能力者らしいからね。――そうだ、もう一つ大事なことを言い忘れていた」
「というと?」
「今、村にはそのヨリシロと瓜二つの外見をもった――こちらは普通の一般人な女性が暮らしているんだけど。
ジネットはどうやら、今は彼女の家に居候しているそうなんだ」
その一般人――ステラという女性は、かつてそのヨリシロが能力者として死を迎えてから一時期の間、瓜二つであることを利用して英雄としてふるまったそうだ。
それをヨリシロが知っているかは分からないが、もし知っているとすれば――。
「――勿論人格にもよるけれど、ステラの命をも狙わないとも限らない。そうなると必然的に、ジネットも危なくなる」
だから、とユネは言う。
「勿論村人も護らなきゃいけないけど、そっちは別の依頼に行く人たちに任せる。
君達には――ジネットとステラの保護に向かってほしい」
ただ保護といっても、助けに行った後村から脱出できる保証はない。村の状況によっては四方八方をキメラに囲まれている可能性もあるからだ。
幸いと言えるのは、ステラの――今はジネットと暮らしている家には、地下室があること。
ただし家を破壊された場合は必然的に入口も外界に晒すことになるので、そうなると蹂躙されるのは目に見えている。家は比較的頑強なつくりになっているようだが、キメラの前にどこまでもつかは分からない。
それでも、迅速に動けば間に合わないということはないはずだ。
それに――。
「打算になるけど。
君たちが救ったと分かれば、ジネットも今度は拒絶しないでこちらの話を聞いてくれるかもしれない。
なんにせよ、彼女が重要な手がかりであることには変わりはないんだ。何としても守り抜いてほしい」
ユネはそう言って、能力者たちに頭を下げた。
●リプレイ本文
●Even if we are not heroes
村の南にある入口にやがて行きつく道――舗装はされているもののあまり綺麗とは言えないその道を二台の車が並走し、走り抜けていく。
(「身近に感じた存在が、自分を傷付けようとする――怖いよな‥‥辛いよな‥‥」)
自らが所有するランドクラウンを運転する魔宗・琢磨(
ga8475)の手には、ハンドルの表皮の形状を歪ませるほどの力が込められている。
何が何でも、守る。
今回の救出対象であるステラとジネットだけではない。
「ただ平穏に暮らしたいだけの人々を、これ以上傷つけさせてたまるかよ‥‥!」
歯ぎしりするほどのその意思に呼応するかのように、足は更にアクセルを強く踏みしめた。
「結果的に打算だとしても――二人のことを抜きにしても、こういう時の為の能力者、ですしね」
ランドクラウンの助手席に座るレイヴァー(
gb0805)は静かに口を開く。
依頼遂行開始時の習慣であるコイントスは、移動艇を降りてすぐに行った。
結果は今回も表。
だから失敗するとは思ってはいないが――それでも、太腿の上に置いた両の拳は強く握り締められている。
車内には、アグレアーブル(
ga0095)、エリアノーラ・カーゾン(
ga9802)、トリストラム(
gb0815)、イスル・イェーガー(
gb0925)の姿がある。ちなみにもう一台の車――ジーザリオは本来トリストラムの所有物だが、今は仲間に運転を任せている。
エリアノーラの手には、かつてステラが英雄として振舞っていた際に陥った危機に関する報告書があった。
(「ジネットがこの事件を知ったら、少しは変わってくれるかしら」)
正直なところ彼女は、ジネットに対し「一発ぶん殴ってやりたい」と思うほどの憤懣やるかたなき思いを抱いている。
今のジネットを実際殴ったところで効果があるかは分からない。が、彼女が今ともに過ごしているというステラがかつて行ったことを知れば或いは――。
そこまで考えたところで小さく頭を振る。
どのみち自分は、任務を終えるまでゆっくり彼女と会話する時間などない。そんなことを考えるのは、二人を無事に救い出してからでいいのだと。
「‥‥毒を食らわば皿まで、とはまさにこのことですね」
トリストラムは言う。
まさかイネースの痕跡を追った末にこんな事態に巻き込まれるとは思ってもみなかったが、こうなったらやり抜くしかない――。
同様の困惑と意思は、ジーザリオの車内にいる能力者たちにもある。
こちらのハンドルを握るのは、ゼラス(
ga2924)。
(「前回の失敗があったから、俺たちはステラも助けられる」)
険しい表情で前を見据えながら、そう考えるよう自分自身に強く訴えかける。
だから――。
「‥‥助けるぞ、二人共な!」
力強く、叫んだ。
道路の先に立ち並ぶ家々を能力者たちが視界に捉えるのと――その更に先から、火の手が上がったのはほぼ同時だった。
既に敵の侵攻は始まっている。
だが、今火の手が上がったということはまだ間に合うはずだ。
二台の車は更に村へと迫り――琢磨のランドクラウンだけが、村の入り口で速度を緩める。
村の一番端にあった家の陰にランドクラウンを停め、乗っていた者たちは即座に車を飛び出、同時に覚醒を済ませた。
更に先を進んでいるジーザリオも若干速度を緩め、中では玖堂 暁恒(
ga6985)が村の状況を把握し小さく舌打ちをする。
「キナ臭さと獣の気配が満ちている‥‥どうやら余裕は無さそうだな」
覚醒し、車から飛び降りる。運転しているゼラス以外の二人も同様の行動を取った。
ランドクラウンに乗っていた仲間たちが合流したところで、先へ駆ける。
村の内部からは村人たちが、一刻も早く村から離れようと外へ向かって走り抜けていく。走ろうにも自由に動けない老体も中には含まれており、家族と思しき人間が背負ったりなどして懸命に連れ出そうとしている。
逃げていく人の流れに逆らうよう、能力者たちはジーザリオを中心にし、他の能力者たちはそれを護るように――。
「――!」
進む先に、やがて軍勢の先陣を切っていたであろうキメラの姿が見え始めた。
幸いなのは、既にステラの家にだいぶ近づいていることと敵の数も多くはないこと。
とは言え、まだ村人たちの姿も多い――。
「行ってください!」
トリストラムが叫び、走る足を止める。彼に倣って琢磨、エリアノーラ、イスルもその場に留まった。
そのまま更に北東へ――ステラの家がある方向へ走り抜けていくジーザリオと仲間たちを視界の端で見送ってから、トリストラムはドローム製SMGを構える。
「ここから先へは一歩も通しません」
「Uターンして、奈落の底へでも帰りやがれ!」
琢磨は叫ぶや否や、呼笛に思いきり息を吹きいれた。
●Round around the ally
イスルは周囲を見渡し、こちら側に注意を向けた敵が接近するよりも早く、覚醒後の能力者の筋力を以って近くの家の屋根に上る。
「悪いけど、行かせないよ‥‥」
幸い、今接近している敵の中には空を飛んでいるものはいない。
イスルは姿勢を低くし、眼下の敵に照準を絞ってライフルの引き金を引く――!
更にそれに続き、トリストラムがSMGを、琢磨がデヴァイステイターを用いて弾幕を張った。
銃声さえもが遮蔽幕となっている――その隙間を辛うじて抜け出た一体の狼型キメラが速度を上げてこちらへ突進。
それを咄嗟にトリストラムと琢磨の前に躍り出たエリアノーラが左腕で構えた盾で受け、
「――だから行かせるわけ、ないでしょう、が!」
反動で盾を目の前からどけた――そのモーションの流れのままに、右手に手にした月詠をキメラの真上から垂直に振り下ろす!
真っ二つにしたキメラの死骸に目をくれることもなく、エリアノーラは左右に視線をめぐらし――逃げ遅れている村人を発見し、避難させるべく走り出した。
エリアノーラのその一連の動きの間に迫るキメラの軍勢もまたあった。
が、三人がかりで張られた弾幕により――やがて第一陣は収まったらしく、銃声の余韻と積み上げられたキメラの死骸を残して場が静かになる。
しかし、村全体が静かになったわけではなかった。
それはキメラの奇声や人々の悲鳴だけではない。西から、北から、更には自分たちよりさらに東側から――あらゆる戦闘音が奏でられている。
どうやら、もう一つの依頼を受けた能力者たちの方も到着したらしい。
と――未だ屋根の上にいたイスルの視界の端で、つい先刻までキメラと刃を交えていた能力者の一人が倒れ伏しているのが見えた。
直後、一瞬にしてその姿に接近した仲間と思しき能力者が、キメラが更なる蹂躙を加える前に――力の抜けたその影を引きずるように、また一瞬で離脱していく。
いたぶる対象を失ったキメラたちは、再度前進を始める。他にもこちらにきていた能力者はいたが、辛くないとは言えない負担である。
「――遊撃班、援護に‥‥!」
無線越しに言うが早いか屋根から飛び降り、先ほどキメラを見かけた方角に駆けるイスル。琢磨たちはその姿から彼の短い言葉の意図を掴み、彼の後を追った。
●Say to save securely
一方、ゼラスが運転するジーザリオとそれを囲う五人の能力者は――琢磨たちが分かれて間もなく、平屋建ての一軒の家を目にした。
近くには平屋建ての家は他にない。あそこがステラの家に間違いないだろう。
しかし――別の方角から彼らを見つけ、迫ろうとしているキメラの影もまたあり。
「先へ急いで。今、彼女達を救えるのは私達だけだから」
アグレアーブルはそう言って、一人更に速度を早め、キメラの許へと向かう。
どのみちこうすれば仲間たちはすぐにステラの家に到着するし、そうすれば自分一人では足りなくても援護が得られる。
それに――彼女なら大丈夫だという、友人を全面的に信頼した確信もあったから、その足取りに躊躇いはない。
アグレアーブルが離脱して間もなく、彼女が考えた通り残った仲間たちはステラの家に到着する。
ゼラスがジーザリオをステラの家の陰に止めている間、
「助けにきたよ!」
「ご無事ですか!?」
クラウディア・マリウス(
ga6559)が叫び、レイヴァーもそう訊ねながら固く閉ざされた玄関の扉を何度も叩くが、反応はない。
「恐らく動けないでいるのだろう。こちらから行くしかない」
反応がないことにそう予想をつけ、御影・朔夜(
ga0240)は扉を開く。
――玄関から入ってすぐにある、居間。
その最奥の壁に背をつけ、身を寄せ合って座り込んでいる二人の女性の姿が、そこにはあった。
一人――長い金髪の女性は、全員が初見だった。彼女がステラだろう。
もう一人は、暁恒以外は以前見たことがある顔だ。イネースの過去を知る者――ジネット・ヴィルヌーブ。
二人ともに共通しているのは、その瞳や表情、気配に至るまですべてに恐怖の色が浮かんでいること。
ただしジネットの方がより怯えているらしく、ステラの胸に身を預けて震えている。
ステラはといえば震えこそしているもののまだ自我は保っているらしく、入ってきた能力者たちを見つめていた。
「震え慄く必要はない――その為の私達だ。君達が恐怖に怯えると言うのなら、私達はその恐怖を拭ってみせよう」
朔夜の言葉に、ステラは息を呑む。それに反応したのかジネットも顔を上げ――来訪者の殆どが少し前に見たばかりであることに気づき、顔を強張らせる。
「――言った傍から、だが。どうやら客が来たようだ」
暁恒が扉の外を睨みつけながら言う。
「‥‥敵、か。――後は任せるぞ、マリウス」
「うん」
朔夜の言葉にクラウディアが小さく肯いたのを確認し――。
レイヴァー、暁恒、朔夜は家の外へ出た。
暁恒の言葉通り、家の前には既に二十を超えるキメラが迫ってきていた。集団でいる人間の匂いを嗅ぎつけたのかもしれない。
近くで戦闘を行っており、三人が出てきたのを確認したアグレアーブルが合流。
「度し難いな、全く。この光景、この感覚――総て覚えがある」
迫る大軍を目にしても、朔夜の心は一切揺るがない。それどころか既知感に落胆し、やがてその落胆は――
「邪魔をするな‥‥別に皆殺しにしても良いんだぞ‥‥!」
――抑え切れない破壊衝動、狂気へと朔夜の中で昇華されていく。
真デヴァステイターとシエルクライン――両の手に構えた武装、その銃口を揃ってキメラの軍勢に向け――連射。
その銃声を期に、苛烈とさえ呼べる戦闘が幕を開けた。
「これはまた‥‥酷い数ですね」
レイヴァーは静かにそう言いながらも氷雨をふりかぶり、迫っていた鴉に似たキメラの両翼を一閃で断ち切る。転がった肢体を地面に磔にして息の根を止めた。
それからまたすぐに動き出す――その先には、直前に暁恒がドローム製SMGの銃弾を浴びせたことで視力を奪われていた蛇キメラの姿。こちらも胴体を真っ二つに切り裂く。
それを見送った暁恒は次の標的に狙いを絞る――今度はそこそこの体躯を誇る猫キメラの足に向け銃弾を放つ。
動きを止めたその一瞬をついて、アグレアーブルが拳を叩き込んだ。
■
外で戦闘が始まったのを気配で感じながら。
ゼラスとクラウディア――家の中に残った二人は、保護対象をそれぞれ見やる。
「あんたがステラ?」
ゼラスの問いに、ステラはおずおずと肯く。
それを確かめ、ゼラスは告げた。
「‥‥助けに来た。俺達と一緒に来てくれ、頼む」
頼む――そうとまで言ったのは、ステラが村にどれだけの想いを注いでいるのか、かつての報告書を読んで知っていたから。
「酷な事を言っているのは分かってる。この村が壊れて、あんたの心が削れるのも分かってるつもりだ」
けれど、それでも――。
「それでも‥‥あんたにも来て欲しい。
俺は非力だ。
村全てを守れない。
だが――救いたいと思った人を助ける力ぐらいは‥‥ある筈だ」
偽りの仮面をかぶった自分には足りなかった、足りない分は身を挺することで補うしかなかった力。
それを持っていることに驕ることなく、真摯に言葉を紡いだゼラスに――ステラは、目を見開いた。
一旦ステラから身を離したジネットは、それでも震えを止めてはいなかった。
クラウディアは彼女の眼を見、優しく笑いかける。
「ごめんね、怖かったよね。でも、もう大丈夫だよ」
ジネットの細い肢体をそっと抱き締め、背中と頭をゆっくりと撫でる――かつて母が自分にそうしてくれたように、穏やかに。
「私達が絶対守るから、安心して。私達を信じて」
「そんな‥‥そんな、ことを、言われても」
ここにきて初めて、ジネットが口を開いた。
「あの人は昔の自分を、消したがっている‥‥だから私の命を、居場所を奪うつもりなのに‥‥。
それだったら」
最後まで言葉を聞く必要など、もはやなかった。言いたいことがわかりきっていたからだ。
だからクラウディアは、
「それだったら、いない方が――っ」
ジネットの言葉を遮るように、彼女の頬に平手打ちを入れる。
呆然としたジネットに、
「そんな事、言っちゃダメです!」
一瞬だけ怒ったような表情を見せた後、クラウディアは先ほどまでよりもずっと強くジネットを抱きしめた。
「死ぬなんてダメです。そんな悲しいこと言わないで」
視界が滲むのを感じながら、クラウディアは言う。
「お願いです、私に貴女を助けさせてください」
――やがて眦に溜まった一滴が、
「必ず守るから、ね、一緒に逃げよう」
クラウディアの頬を伝って、抱きしめたジネットの頬に落ちる。
その抱擁と、涙の温もり――それらに応えるように。
ジネットはまだ弱々しさは残しながらも、恐る恐るクラウディアを抱きしめ返した。
●Hope the hope for the force
ジネットとステラを連れて二人が外に出ると、既にその場での戦闘は能力者の勝利という形で終焉を告げていた。
「車は出せるか?」
「戦闘中に少しだけやっちゃいましたけど、運転は出来ると思います」
ゼラスの問いにレイヴァーがそう答え、今後の行動が決まる。
今度はステラとジネットも乗せたジーザリオを護るように、来るときと同じように陣形を組んで南下する。
その最中、足止めとして動いていた四人の姿も見つける。
「出るぞ!」
短く叫んだ暁恒の言葉に、四人は肯いて合流する。
邪魔するキメラは全員全力でもってなぎ倒し、やがて一団は村から脱出。
琢磨のランドクラウンも回収し、更に暫く南に行ったところで緊張を解いた。
「さて‥‥どうしますか、これから」
トリストラムの言葉には、「決まっているだろう」朔夜が即答した。
保護対象の二人を一瞥してから、言う。
「ラスト・ホープへ連れて行こう。‥‥今後、襲われる事がない様にな」
それに――特にジネットには。
訊きたいことが、山ほどあるのだから。