タイトル:オルマーラ攻略戦マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/09/20 14:45

●オープニング本文


 インド北部、ナラシンハ(gz0434)の拠点にて――。
「馬鹿め!」
 老人――ヨリシロのナラシンハの怒号が室内に響き渡る。ナラシンハは拳を叩きつけ、デスクを粉砕した。
 ヨリシロのアレン・キングスレーとアマンダ・シスがナラシンハの前に立っていた。アマンダは眉をひそめ、キングスレーは表情を変えることなく立っていた。
「カラチを‥‥UPCに制圧されただと! 信じ難い失態だぞ! あれだけの戦力を送りこんでUPCを止められなかったと言うのか! キングスレー! シス! 貴様等は何をしていたのだ! 制圧されるのを眺めているだけなら人形でも置いておいた方がましだ!」
 ナラシンハは怒り沸騰で、室内を歩き回り、壁に数発拳を叩き込んだ。
「奴らはここへ来るつもりだぞ! いずれここへな!」
 ナラシンハ頭を抱え込んで、それから目の前の二人を睨みつけた。わなわなと震える指先を持ち上げ、ナラシンハ言った。
「UPCがパキスタンのオルマーラへ次の攻撃を仕掛けている‥‥何としても阻止しろ! これは絶対の命令だ!」
「喚き散らしてデスクと壁を壊して気が済んだか」
 キングスレーは静かに言った。
 ナラシンハは血走った目でキングスレーを睨みつける。
「‥‥‥‥」
「オルマーラへ行く。あんたはインドの守りを固めろ」
 キングスレーはそれだけ言うと、踵を返した。シスもその後に続く。
「キングスレー‥‥わしをなめおって‥‥マハラジャであるわしをこけにしおって‥‥!」
 その声を聞いて、シスは吐息してキングスレーに言った。
「ナラシンハはどうにかならないのかしらね。本気でランジット・ダルダ(gz0194)に報復するつもりなのかしらね」
「馬鹿言うな、ランジット・ダルダに報復出来たらインドで勝ったも同然だぞ」
「それってつまり本気ってことでしょ」
「奴は勝つ気だ。そうじゃなかったら、マハラジャになろうなんて考えないだろう」
「もったいぶった言い方ね。て言うか答えになってない」
「答えなんかないよ。ナラシンハの頭の中がどうだろうが、インドは広大な戦場だ。それに、人間たちは宇宙へ上がろうと動いているし、ここに限らず我々は世界中で劣勢だ。この先どうなるか誰にも読めない。次の地球攻略司令官が誰になるかで本星も揉めてるんだろう」
「はっきり言って私は停戦には反対よ」
「そう決まったわけじゃないさ。お前だって知ってるだろう。そう簡単に話がまとまるはずがないと‥‥」
 シスは思案顔でキングスレーの顔を見上げると、吐息した。
「こんなことになるんだったら地球人のヨリシロなんて手に入れるんじゃなかった」
「‥‥‥‥」
 シスの言葉に、キングスレーは複雑な表情を浮かべると、自機のティターンに向かって歩き出した。

 アラビア海に空母を展開するUPC軍は、続々とオルマーラへKVを送り込んでいた。オルマーラのバグア軍基地は先に攻略したカラチに比べると規模では劣る。ただし、ワームの増援は引き続きあって、油断は出来ない状況であった。この攻撃自体は、デリーへ向かうための陽動作戦であったが今のところ大きく前進したとは言い難い。
「デリーは一進一退です。ナラシンハは増援を呼び寄せたようですし、アフリカからのバグア軍の合流もあるようです」
 副官の言葉に、艦橋から飛び立つKVを見つめる司令官は顎をつまんだ。
「ナラシンハに付いて何か分かったことはあるか」
「占領地域ではバグアの例に漏れず厳しい統治が敷かれているようですね。ナラシンハの逆鱗に触れることはタブーです。と言ってもナラシンハが欲しがっている民人は多くがインドの南部に避難していますので存在しませんが。時折姿を見せることはあるようで、自分がマハラジャであることを声高に叫んでいるそうです。ラジオやテレビを通してはインド全土に同じような映像や音声を流しています。離間策を狙っているのでしょうが、人々へUPCを離れるように呼び掛けています。効果はほとんどありませんが」
「そうか‥‥広報部は対策を打ったのか」
「過激なCMも作ったようですが、差し当たり今は人々の心に訴えかけるような穏やかなCMを流しているようですね」
 そこで司令官は話題を変えるように言った。
「これが終わったらデリーへ向かうぞ。ナラシンハとの直接対決になるだろう」
「そうですね――こちらが最新の報告です」
 司令官は、差し出されたファイルを開いた。
「また激戦になるな」
 司令官は言った。副官は、それは恐らく目の前の戦いも含め、これからデリーへ向かうことを差して言ったのだろうと考えた。
 ナラシンハの逆襲が待ち受けているかも知れないと――。

●参加者一覧

ソード(ga6675
20歳・♂・JG
美空(gb1906
13歳・♀・HD
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
黒羽 拓海(gc7335
20歳・♂・PN

●リプレイ本文

 ソード(ga6675)は例によって回線を開いた。
「アマンダ・シス、今日もまだ生き残っているようですね。バグアの軍律は敗北に寛大なようですね」
 ソードの言葉に、怒気をはらんだ声が返って来る。
「何だと貴様‥‥!」
「いえ、これは事実でしょう。これだけ負けが続いても、生きているなんて、驚異ですよ。俺の経験からすると、とっくにあなたは粛清されていてもおかしくないと思うんですけどね」
「私は負けているわけではない! ソード! 貴様などいつでも倒してやる! これまでその機会がなかっただけだ!」
「ははは‥‥アマンダ、あなたを見ているとすっきりしてきますよ。何とも分かりやすいですね。撃ち落とされてもしぶとく生き残っているのは、気の毒に思えてきますね。いっそ俺の手で決着をつけてあげましょうか」
「いきがるなよ小僧。敗北以上に、私は多くの敵を殺してきた。私がこれまで積み重ねて来た戦歴は貴様など及びもつかぬものだ」
「そうですか。過去の栄光だけが今やあなたの心支えと言うわけですか。何とも、同情しますよシス。未来に希望は無いのですね」
「ソード、そろそろ、その口を閉じた方がいいぞ。お前が間抜けに見えて来る」
「いやアマンダ、話しながらでも戦えますよ。俺の心は余裕ですからね」
「ちっ、嫌な奴だ貴様は――!」
 そこへソーニャ(gb5824)が言葉を投げる。
「ナラシンハ、まるで妄執に憑かれた人間だね。これってどうなのアマンダ? 彼の行動はバグアの意思に沿ってるの? ボクとしては興味深い限りなんだけど。人間の意識に感化されたヨリシロが新しい勢力を作ったりとか。共存自治区とか出来たら面白いね」
「ナラシンハか、まあ見た目には面白い奴だが、甘く見ない方がいい。戦闘になれば‥‥。奴の行動がバグアの意思に沿っていようといまいとそんなことはさしたる問題ではない。勝てば。尤もそんな連中が新しい勢力を作ることはないだろうし、共存などあり得んだろう。人間は我々にとって搾取の対象だぞ」
「ふーん‥‥」
 それはそれとして、試してみたい。前回は失敗してしまったが、バグア、強化人間もだがエース級となると結構自意識が高い連中が揃っている。反応はあると思った。ソーニャはオープンチャンネルでバグアに向けて呼び掛けた。
「ねぇ、君たちはなんのために戦っているのかな。ナラシンハが流している映像を見たことがあるのかな。彼が何を欲しているのか。まるで権力欲に取り付かれた人間みたいじゃない。はっきり言って正常じゃないわね。彼の行動がバグアの利益になるのかしら。あなた達はただ彼の個人的な欲望と虚栄心のために命をかけているんじゃないの。遠からず彼は粛清されるわ。その時、彼の個人的な虚栄心に命をかけたあなた達をバグアの上層部は評価するかしらね。使い捨てどころか、無意味。ほんと、命の無駄使いとしか思えないわね」
「黙れ人間‥‥!」
「あのロビンを叩き落とせ!」
 強化人間たちから騒々しい声が鳴り響いた。
「落ち着けお前たち! この類の人間の心理作戦にいちいち反応するな!」
 シスは怒声を叩きつけた。強化人間たちはあなたも大概反応しているじゃないかと言いたくなる。
「ナラシンハが敗北しようがしまいがそんなことはさしたる問題ではない。奴がマハラジャを目指したいと言うなら好きにさせてやればいい。だが、奴はれっきとした前線指揮官だ。ナラシンハの思考は馬鹿だが奴は愚か者ではない。これからの対策を立てているし、むざむざUPC の前に敗れる奴ではない。まだ戦いはこれからだ――」
 そこで夢守 ルキア(gb9436)が言った。
「私はバグアは憎くないし、寧ろ好きだケド。きみ達の上のヒトは、強いイロを持ってる。人命だトカ、倫理だトカ、目的を諦める理由にはならない。好ましいと思うケドね、ナラシンハって。ソンザイは等しく、ソンザイではあるケドさ。きみ達は、私達が憎いかな? あ、ちなみに私はきみ達のコト、好きだよ。戦いをやめる理由には、ならないケド」
 シスは苛立たしげに答えた。
「虫がうるさく飛び回ればお前たちだって叩き落とすだろう。それと同じだ。夢守ルキアか、憎いと思うか? それはノーだ。そもそも、バグア人と人間が対等であるはずがない。我々はいつだって侵略者だ――」

「一回りして美空(gb1906)に戻ってきたのであります。キングスレーさんにはお久しぶりであります。そして、さようならであります」
 美虎から美空、美海と引継いでついこないだまでは美具がキングスレー追撃の任務にあたってきたが、久々の陸戦任務故に一巡した美空がキングスレーに引導を渡すべく挑戦するのであった。
「例のシスターズの一員か。いきなりさようならか。まあ、何とも、人間の子供が俺に立ち向かって来るのかと思うと、感動的ではあるな」
 キングスレーの応答があった。
「美空は真面目なのでありますよ。キングスレーさんにはそろそろ御退場願うのでありますよ」
「そうか。なら戦場で会おう美空。俺から行ってやろう。だが、命の保証は出来んぞ。それに、部下達がお前を間違って殺してしまうかも知れん」
「バグア野郎が何を言っても美空は怯まないのでありますよ」
「その意気だ。立ち向かって来る気概が無い奴を相手にしても面白くないからな」
 アーク・ウイング(gb4432)は友軍に呼び掛けた。
「みなさん、心してかかりましょう。アーちゃんたちはキングスレーの抑えに回ります。例のバグア人は強敵ですから、アーちゃんが中心となって当たりますが、みなさんにはサポートをお願いします」
「任せとけアーちゃん。キングスレーがどんなに強敵だろうと、こっちも大軍だ。袋にしてここで眠らせてやるぜ」
「俺たちの巧みなストライクフォーメーションを見せてやるぜ! アーちゃん!」
「みんな頑張りましょう」
 敵も味方もエース揃い‥‥。俺ごときが何処までやれるか分からんが、全力を尽くすとしよう‥‥。黒羽 拓海(gc7335)は心中に呟き、だが大規模戦に心では熱くなっていた。
「今日はよろしく頼む。まずは敵拠点の制圧だ。行くぞ!」
 僚機のシラヌイに声を掛ける。
「了解黒羽。まあそう固くなるなよ。肩の力を抜いて行こうや」
「俺はまだ傭兵になって日も浅い、が、アラビア半島の激戦でも生き抜いたし、それなりの覚悟は出来てる」
「ああ、砂漠の月作戦に参加したのか。あれには俺も参加したが、こっちも相当厄介だぜ。インド、パキスタンはほとんど動きが無かったからな。北はバグアががっちり固めてる」
「そのようだな。ナラシンハか。意外な大幹部がいるじゃないか」
「あのいかれたバグア人はあほみたいに見えるが、どうなんだろうなあ‥‥」
「油断は禁物だろう。報告書を見る限り、インド北部は危険地帯に入るようだしな。ナラシンハの頭がどうあれ、それだけでは実戦の判断材料にはならないな――」

「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動。ロックオン、全て完了! 『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 ソードのフレイアから2000発を越えるミサイルが放たれる。
「FOX2ミサイル発射!」
「食らえバグア野郎!」
「シュテルンは、PRM攻撃、ラージフレアで回避したトコを一気にブースト接近で狙撃」
 ルキアはアルゴシステムを起動、各機とデータリンク。偵察用カメラで基地情報把握、収集。
「主にHWを請け負うよ、タロスは複数でね。S01Hは管制補助、雷電は私達の護衛。S01Hは敵の動きの予測して、皆の援護。敵の位置や、動きを伝達」
「了解夢守」
「敵ワーム集団、回避行動を取りつつ反撃に出て来るよ。長射程のプロトン砲とか、要警戒だよ」
 ワームはミサイル群の直撃を受けつつ、前進して来ると、反撃のプロトン砲を連射して突入して来る。
「各機、戦闘隊形を取りつつ迎撃態勢。アクロバットに行こう」
 ルキアはアルゴシステムのコンソールを叩きながら友軍に呼び掛ける。
 ソーニャはアリスシステムを常時起動で加速する。
「ソーニャ傭兵だぞ! 叩き潰せ!」
 タロスの集団が殺到して来る。
「デルタチーム、ソーニャ君の援護に回って、相手は挑発に乗り過ぎだよ」
 ルキアはモニターに目を落として言う。
「ボクを捕まえられるかな」
 ソーニャは加速すると、バレルロールとスリップで敵をかわしつつ突入攻撃。プロトン砲をかいくぐって行く。
「GP−S02ミサイル発射――!」
 放出されたミサイルが閃光を放ってタロスを薙ぎ払う。そこへプラズマリボルバーを叩き込む。――爆散するタロス。そのままタロスの追撃を振り切って行く。
「奴を殺せ!」
「そうは行きませんよ」
 ソードがタロスの側面から突進して、エニセイの八連射で一気に崩壊させる。
「さすがソード!」
 UPC軍機がその横からミサイルを討ち込む。タロスの集団は粉々に吹き飛んだ。
「シュテルン各機、攻撃をお願いね」
「了解夢守――」
 シュテルンが戦闘隊形で前進、ワームの戦列に銃撃を叩き込む。
「おいでなすったぞ」
 雷電が機体を傾ける。ラージフレアをばら撒く。
 飛び交うプロトン砲をかわしつつ、ルキアはピアッシングキャノンを連射する。HWを味方の射線に追い込んでいく。
「食らえ!」
 雷電がライフルでHWを撃破する。
「ソード!」
「アマンダ――」
 シスのゴールドタロスはプロトン砲を連射してくる。フレイアは直撃を受けて爆発した。
 ソードもブーストを使いながらシスのタロスの周囲からエニセイを叩き込んでいく。大爆発するゴールドタロス。
 シスは巧みに位置を変えながら、プロトン砲の射程にフレイアを捉える。
「私を甘く見るなよ、無論お前に限ってそんなことはないだろうが」
「あなたは今日も負けるんですよ」
「そうはいかん」
 シスはプロトン砲を連射しつつ、エニセイを回避する。
「シス、散り際は華やかに彩ってあげるよ」
 ソーニャが加速する。アリス、Mブースター、通常ブースト使用。
「GP−7に、G放電――」
 ミサイル群がゴールドタロスに命中する。エネルギーの閃光がゴールドタロスを包み込む。
「止めのリボルバー!」
 そこで、エルシアンの背後から強化人間のタロスが体当たりを掛けてくる。
「ソーニャ傭兵! 捕まえたぞ!」
「何を‥‥しぶといよ」
「くたばれソーニャ!」
 シスは突進すると、プロトン砲を叩き込んだ。大爆発するエルシアン。
 コクピットが炎に包まれる。
「く‥‥!」
 墜落していくエルシアンを立て直すことは不可能だった。ソーニャは戦闘を断念すると、非常レバーを引いて脱出する。
 パラシュートを開いて、地面にどうにか落ちた。
「やってくれたわねアマンダ。まだやるじゃない」
 ソーニャはパラシュートを切り離すと、歩いて基地へ帰る。
「アマンダ、そこまでですよ!」
 ソードは高笑いを発するアマンダに加速した。
「お前もあの女の後を追え!」
 ゴールドタロスを立て直すアマンダに、ソードはエニセイを叩き込んだ。
 正面から撃ち合うシスとソード。吹き飛んだのはゴールドタロス。
「おのれ‥‥!」
 ゴールドタロスが爆発四散する瞬間、アマンダは機体から飛び出した。落下するアマンダをHWが回収する。
「しぶといですね。ソーニャさんは大丈夫でしょうか――」
 ソードは吐息して戦場に目を戻す。

「行くぞ! オルマーラを叩き潰す!」
 黒羽は友軍のシラヌイとともに突進した。銃撃を叩き込みながら前進する。
 フォーメーションを取りつつ、後方から二機が銃撃。前に友軍二機を直掩につけた黒羽らが道を切り開く。
 殺到するゴーレムを粉砕していく。
「こいつは飾りじゃない!」
 パイルクロー「ウィガー」をゴーレムに撃ちこむ。続いて機刀でゴーレムを両断する。黒羽は前進すると、レーザーを連射する。
「行くよみんな。アーちゃんに遅れないで!」
 アークらも加速する。銃撃をゴーレムに叩き込み、道を切り開く。
「野郎ども、突撃なのであります」
 と言いつつ迂回する美空の一味。
 加速すると走輪走行で接近。バグアの銃撃を回避と盾で逸らす。
「煙幕弾展開!」
 射程一杯でワームの前面に煙幕展開。視界を遮りつつ、煙幕の前で別れ、両側から回り込むように向こう側のタロス、ゴーレム部隊を挟撃。オウガ四機を先に突撃させ、美空は時間差で敵の後背から突撃する。
「レッツゴーでありますよ!」
 ワームの戦列に飛び込んだ美空は、ルシファーズフィストでタロスを張り倒す。
 ワームの集団を張り倒した美空達は、正面に向き直ると、接近してくるキングスレーを確認する。
「ようやく会えたな美空シスターズ」
「‥‥全機全速であります!」
 美空はブースト+超限界稼働のVMAX状態で全身から高熱を発しながら強引に敵の間をすり抜けて、キングスレーに肉薄。 
 すり抜けざまに両翼の敵は、焔刃「鳳」+光刃「凰」で斬り裂く。
「覚えてやがれ、そしてさようならであります」
 美空はカスタムティターンへの真悪魔拳の初撃でのけぞったところにラッシュラッシュラーッシュッ。全機でカスタムティターンをたこ殴りにする。
 勢いでキングスレーを押し切り、完全に敵の目を美空に引きつける。
「援護をお願いします!」
 アークは後退するカスタムティターンに加速する。
 全機で銃撃を叩き込みつつ、キングスレーの退路を断つ。
 アークは周辺のゴーレム、タロスを切り飛ばして、同行部隊にその側面から攻撃してもらう。
「美空さんグッジョブ!」
 アークはカスタムティターンに切り掛かった。最初の一撃を盾で受けた瞬間に自機を後ろに跳ばし、ダメージを少しでも減らす。
「お前の相手は、アーちゃんだよ」と言ったうえで、攻撃を行う。
 発言の意図は敵の注意をこちらに引くことと、味方に援護を要請する合図代わりのため。
「全機PRMシステム全開! 威力最大強化!」
 僚機が援護すると同時に、アークは相手の接近戦武器が使用しにくい距離まで詰めて、機刀「玄双羽」で突くようにして攻撃する。
 生存率向上のために、PRMシステム・改で防御を最大強化する。
 一撃! 機刀がカスタムティターンの片足を粉砕する。
 だが次の瞬間、傾きかけたキングスレーは慣性制御で突進してアークのシュテルンを切り裂いた。
「うわ‥‥!」
 続いてプロトン砲で友軍もろとも大打撃を与える。
「く‥‥何の後退!」
 煙幕を張って後退するアークら。
 反転したキングスレーは美空の集団にもプロトン砲を撃ち込む。
 その瞬間――。
「多少無茶でもッ!」
 黒羽らがキングスレーに突撃した。アクチュエータを起動してブーストを掛け、高速機動で一気に攻勢に出る。
「全機ブースト突入!」
 機刀を突き出し叩き込んだ。
 カスタムティターンは一部破壊されたが不死身さながらに受け止めると、舞い上がって撤退する。
「どうにかやったか」
 ――その後傭兵たちはワームを後退させ、オルマーラを制圧する。