●リプレイ本文
「今日この日を以って、オーストラリアをバグアから取り戻します。一か月の電撃作戦です。私の故郷‥‥ようやくここまで来れましたね‥‥」
セラ・インフィールド(
ga1889)はオーストラリア出身であり、万感の思いがあった。
「では行きましょう。故郷を取り戻すために――」
セラのアッツェンプッツェルはシュテルン8機を随行に部隊編成する。陸戦を担当し空から進む味方への対空砲火を抑え、着陸場所を確保するのがまず目的だ。
「みなさん、後に続いて下さい」
セラはチャリオッツで敵陣に突撃する。
「セラ機、北東部にアグリッパを発見した! 破壊してくれ! 対空砲撃が馬鹿にならん!」
「了解しました。みなさん、急ぎましょう」
セラは部隊を率いて加速すると、防空網を展開しているアグリッパを発見する。
異形のレーダー装備をしたアグリッパは、タロスが守っている。
「そこをどいて頂きましょう」
「セラ、援護する」
「こっちは側面から行く――」
セラたちは、護衛のタロスを破壊していく。
セラもヴィヴィアンを展開しつつ、プラズマライフルを叩き込んでいく。
アグリッパは浮かび上がると、逃走を試みるが、セラは逃がさなかった。ブースターで加速すると、ライフルを叩き込んだ。爆散するアグリッパ。
アグリッパの結界は一角でも欠ければ大きく減衰する。これでバグアの防空網は大きく穴が開いた状態になるはずだ。
と、そこへカスタムティターンが姿を見せる。
「セラ・インフィールドか‥‥前回もオーストラリアを取り戻しに来ていた男か」
「あなたはアレン・キングスレー‥‥ですね」
セラの脳裏に、前回の苦い経験が思い浮かぶ。
「シュテルン四機、周囲の押さえをお願いします。キングスレーを止めます」
シュテルンと連携して、プラズマライフルを撃ち込む。
ツヴェルフとパリングでティターンの攻撃に耐えつつライフルとヴィヴィアンで攻撃。
と、セラは仕掛けた。ワイヤーでティターンを拘束する。キングスレーは前回同様セラの機体をワイヤーで引きずる。が、セラは前回の失敗を踏まえ、そのままぶつかるつもりでブーストで突撃した。ゼロ距離から生体部分を狙い白龍を撃ち込む。
が、キングスレーは再生能力を使うと、アッツェンプッツェルの片腕を切り落とした。
キングスレーはそこで後退する。
「思っていた以上に順調に進んでいるのが気懸かりですが、これもチャンスと思ってこのまま突き進みましょう。」
神棟星嵐(
gc1022)は言って、同行する雷電と破暁に言った。
「先ずは対空兵器を破壊するのが先決ですね。自分達は匍匐飛行からアグリッパの破壊を行う方々の援護をします。軍の皆さん、宜しく頼みます」
「よろしく頼むぜ!」
「行きますよ――雷電隊には遠距離からプロトン砲台、地対空ミサイル、TWへの砲撃をお願いします。破暁と自分はタロス・ゴーレム・キメラを雷電隊に近付かせない様に迎撃」
「了解した神棟。アグリッパも何とか潰したいな」
加速した神棟部隊は、KVキメラにゴーレムを破壊していく。
そのまま突進してアグリッパを一機破壊する。
神棟はラバグルートで巧みに中遠距離の敵を攻撃し、近付く敵はメガレーザーアイで牽制、後にツインブレイドで切り裂く。
全部隊進軍し、雷電隊が確実に有効打を与えられる距離に敵を置く。
「制空権を敵に渡していては、勝てる戦も勝てなくなりますからね。何としてでも押し通します!」
そこへ、ティターンが出現する。
「その機体は村松と言いましたね。ここに出て来たと言う事は自らウォンを逃がすためにですか‥‥。それも良いでしょう、残念ながら、手加減だけは出来ません。ここで終わりにします!」
「何を神棟。貴様をこれ以上進ませはせん」
村松咲は、タロスを率いて神棟の前に立ち塞がる。
「雷電、破暁、お願いします」
「熱くなってきたな。OK! 任せろ!」
雷電が牽制射撃でワームの動きを封じ、そこへ破暁が側面より超限界稼働+光刃「凰」で挟撃を行う。村松らはタロスを盾に受け止めた。加速する神棟。破暁が攻撃を仕掛けた時点で正面からブースト、接近仕様マニューバを起動し、左手に持つツインブレイドでの袈裟切りと、僅かな時間差で逆袈裟切りに右腕の機体内蔵『雪村』を叩き込む。
「ちい‥‥」
咲は受け止めると、至近距離からプロトン砲を叩き込んで神棟らを足止めする。
夢守 ルキア(
gb9436)も地上から前進していた。
「今日は敵の殲滅のタメ、管制と補助、その場に留まり戦線を支える」
アルゴシステムを起動し、各機とデータリンクを開始する。
カメラで敵の分布、アグリッパの場所、進路の状態を見て、敵が少ないところを伝えて進行する。
「二時方向にKVキメラ多数、十一時方向にゴーレム部隊、正面にアグリッパを確認。周辺の地上部隊、援護をお願い。私たちがアグリッパを叩くヨ」
ルキアは言って、友軍に呼び掛ける。
「匍匐飛行を行いアグリッパの破壊、これが筋書きだケド。何とかしよう。ジブンを信じなきゃ。士気を上げて行こう。雷電君、陸を任せるよ。対空砲で、HWや敵機を片っ端から掃討して。ディアブロ君たちは匍匐飛行で、アグリッパの破壊を共に。シュテルン君には、私の随伴として、管制の補助をお願い」
ルキアらは突進する。
「雷電機、十二時の方向にKVキメラ、気を付けて」
「任せとけルキアの嬢ちゃん!」
雷電隊はKVキメラを銃撃で粉砕する。
「一時方向、タロスを確認、注意してね」
「ルキア、行け! アグリッパはお前にやるよ!」
「ディアブロ君、空からお願い」
ルキアは加速すると、R703短距離リニア砲でアグリッパを破壊した。
そこへ出現する咲。
「それ以上はやらせん!」
「あ、きみ、咲君に、聞いてみたいかもー。求めるモノがないってさ。きみは、きみを生きてる? ちょっと気になるんだよね。生きるって、生命活動ダケじゃない。つれない返事だったからさ、私、バグアでも平等に好きなのにー。そのうちなんて、今は今しかないよ?」
「夢守ルキア、もう時間切れよ。私たちは宇宙へ離脱する。オセアニアのヨリシロの準備は整っているわ。ギガワームと本星HWで宇宙へ一斉に離脱する。もうそれを止めることは出来ないのよ」
「それが答えだったの?」
「そう言うことよ。私たちの勝ちね。アリススプリングスへ来るのが遅すぎたわね」
咲はルキアと撃ち合いつつ、後退する。
上空から、匍匐飛行でアリススプリングスへ侵入を試みる傭兵たちがいた。
「ウォンめ、また仲間を見捨てるか? 何処までも度し難い奴だ!」
孫六 兼元(
gb5331)は怒気をはらんだ声で言うと、うなるように言った。
「オウガ、雷電各機、よろしく頼む!」
「了解した!」
「ワシらは対アグリッパとして、ザフラーン攻略で使用した匍匐飛行を敢行だ! 低空でも、更にギリギリまで高度を下げ、地形を這うように飛行する! 地形と一体化し、対空能力の及び難い所から侵入する為の飛行術だ! 本来はヘリが隠密行動の際、レーダー範囲の下を通過する為に使う方法だ! 超低空での衝撃波や乱気流による挙動の不安定は、KVの能力を最大限に利用し姿勢制御するぞ! 夢守氏! 情報の伝達を頼む!」
「データリンクは大丈夫かな、兼元君」
「ウム! 電波状態はまずまずだ!」
それから、アグリッパに向かう。
「行くぞ! アクセラレータ併用で種子島とK02を発射! みなの衆! アグリッパと周辺の敵を駆逐する! この一撃を、オセアニア解放の狼煙とする! 全機放て!!」
「FOX2!」
ミサイル群がアグリッパに吸い込まれて行く――直撃。
「後もう少しまできました。ここから難易度が高くなりますが一気に参りましょう」
言ったのは櫻小路・なでしこ(
ga3607)。
超低空からアグリッパに迫り攻撃を開始する。ファルコンスナイプ改を起動して、GP7ミサイルポッドを叩き込む。さらにDRM高出力荷電粒子砲を叩き込む。
「狐ヶ崎よ、頼むぞ」
堺・清四郎(
gb3564)らミカガミ部隊も行く。
ジャッキーウォンが宇宙への脱出を図ろうとしている‥‥か。アグリッパ‥‥抜かせてもらうぞ! そしてキングスレー‥‥お前のおかげでミカガミを乗り換えざるをえなかった借りを返させてもらおう。
ミカガミ部隊および他の傭兵部隊とともに匍匐飛行で一気にアグリッパをまで急接近する。
「さあ、アグリッパまでのデッドランと洒落込むか‥‥行くぞ! 空からぶち込むぞ!」
上空は無理だと判断をし、着陸地点にK02を全弾を撃ち込み、そこに最大速度のままに変形して強行着陸をする。マニューバBと超伝導RAを起動。
「降りるぞ! 死にたくなければついてこい!」
そして着陸をしたところからアリススプリングスへ一直線に進軍する。進路上のワームは片っ端から潰していく。
「狐ヶ崎という刀とこの機体の名を意味‥‥とくと刻みこめ!」
加速して、銃撃でワーム、キメラを破壊していく。が、アリススプリングスの中枢には大軍が残されている。
孫六らも強行着陸し陸戦に移行する。機剣で手近な敵を片っ端から斬り伏せていく。
そして、孫六は戦いながら無線全周波と外部スピーカーをONにした。
「聞け! 救いの手は、すぐソコまでやって来た! 解放の時は近い! だから頼む、人としての尊厳、誇りを忘れず、今暫く落ち着いて解放の時を待ってくれ!」
それは、バグアに捕らわれた全ての人々への呼びかけ。
ソーニャ(
gb5824)のエルシアンはシュテルン八機と加速した。匍匐飛行で侵入。
「撤退戦に出てるみたいだね。戦力を温存して宇宙に送るか。アリス放棄は計画の内か――」
ソーニャはそこで、オープン回線で呼び掛けた。
「さてここで問題です。この状況で、あのウォン司令がもっとも効果的にボクたちを嘲笑うそんな方法はとはなんでしょう? ねぇアレン、なんだと思う? ボクたちを巻き込んでの基地爆破‥‥まだ弱いね。もう一歩で救えるたはずの者を一瞬で奪い去る。地球人居留地の消去か。多量の負傷者や難民は追撃の足を引っ張るし。ウォンはやると思う? たとえ万が一でもみ過ごせない。ウォンにとっては行きがけの駄賃。やるなら手軽にミサイルかな。爆弾を仕掛けるとなると手間もかかる」
言って、ソーニャは言葉を切った。
「杞憂に終わればいいけど。フローラさん、バグアのミサイル基地から居留地への弾道をだしといて。他の地区にも一応警戒を。それから、バグアのミサイルに動きがあったら知らせて。ボクが追う」
「了解しました」
フローラの声がはっきりと応答する。
「行くよ。万が一の為にもアグリッパは早急に排除だよ。全機ミサイル攻撃。撃てー!」
ソーニャ達もアグリッパにミサイルを叩き込んだ。
「去る者は追えー! なんて」
クラフト・J・アルビス(
gc7360)は口を開いた。
今、宇宙に彼女が依頼に行ってる。ここで逃がしたらあっちが大変になるんじゃないかと考えて一機でも多く落とす気だ。
「とりあえず、数落とせー!」
上空、無数に展開するHWをスナイパーライフルで次々と撃ち落としていく。狙撃ポイントを決めず動き回りながら狙撃。
「ここで親玉を逃がすのは残念だけどねー。ま、今日は見逃してやるよ。親玉にそう伝えておきな!」
アルビスは言いつつ、タロスを撃ち落とす。
マイクロブースト起動。敵の攻撃は回避中心。
HW、タロスとのドッグファイト。プロトン砲をかいくぐり、ライフルで反撃する。有人機を狙っていく。
「強めを残しとくのもね、やばそうだしね」
そして、アグリッパに接近する。結界の外側から狙っていく。ただし、対空攻撃は激しいため、常時マイクロブーストで回避していく。
「アグリッパの結界、破らせてもらいますぜ!」
レーダーに目を落とし、低空で進入してライフルのトリガーを引く。地上を掃射する銃撃がアグリッパを破壊する。
「空を飛ぶのを邪魔されるのは‥‥気に入らないかなぁ」
そのままアリススプリングス上空へ目を向けるが――。
前面には敵、敵、敵、敵の集団。
「ちくしょー、雑魚もこんだけ集まると厄介だぜ!」
アルビスは旋回した。
「フェニックス、シラヌイ! よろしく頼むわよ!」
なでしこは言って、前衛に彼らを展開させ、GP7ミサイルを叩き込む。
「着陸するわよ! ウォンを逃がしはしない!」
なでしこは変形すると、随行のKVが弾幕を張るところへ、マリアンデールの掃射モードを撃ち込む。DRM高出力荷電粒子砲の範囲攻撃がタロス、ゴーレムを貫通する。それからやや後方に下がり、三ターンをやり過ごす。
「なでしこ! 敵の数が多い!」
「‥‥確かに。このままでは逃げられるわね。難しいわね。無理はできないか」
なでしこはレーザーガトリングを叩きこみつつ、思案した。
後退する敵機に「逃げる算段で手一杯ですか?」と厳しい言葉を投げ掛ける。
清四郎は、キングスレーと相対していた。
「ちい‥‥ジャッキーの首には届かないか。ならばここでお前の首を取った方が後の繋がるはずだ!」
とにかく突破を考え攻撃は最低限にする。
半包囲するミカガミ部隊の雪村に紛れ練剣を叩きこむ。
「キングスレー!! よくも俺をミカガミから乗り換えさせてぁ!! 新たな剣を受けてみろ!」
「ふふ‥‥さらばだ堺清四郎。この場はここまでだ。あの印象的なミカガミと会えないかと思うと残念ではあるが」
キングスレーはプロトン砲を撃ち込みつつ後退する。
「キングスレー、ウォンは仲間を捨て何処に逃げた?! お前も、あの男の様に見捨てられたと言う事か?! ソコを退け! 奴は此処で斬奸する!」
怒れる孫六も切り掛かったが、キングスレーは軽くさばいていく。
「ふふ‥‥孫六、時間はもうない。残念だがな」
ソーニャたちはスキルを適時使用しつつ、空を制圧していく。エルシアンで突破しシュテルンと同調攻撃。対空砲火、プロトン砲ををバレルロールやスリップで回避。高速移動。
「咲、邪魔だよ!」
目の前に立ちはだかる咲のティターンにI01一斉発射、コンボオフェンス攻撃。が、エルシアンの吶喊を回避し、咲は後退する。
「ソーニャ傭兵。今日はお預けだ」
「さて、特に恨みがあるわけじゃないけど逃すと上が危険になっちゃうかんね。一機でも落ちてもらうよ!」
アルビスが加速する。
ショットオブイリミネートを叩き込む。
「こっちだよ! こっちへおいで!」
一撃離脱で反転、ティターンを引き離しに掛かる。マイクロブーストで加速する。背後からプロトン砲が飛んでくるのを回避しつつ逃げる。
「そうはいかないってね。目的は強そうなのを数落とすことだしねー」
――それからUPC、傭兵たちはアリススプリングスのバグア軍を東へ後退させるも、ヨリシロ達を乗せたギガワームと本星HWの離脱を止めることは出来なかった。
だが、オーストラリアに捕らわれていた人々たちはついに解放され、傭兵たちを凱歌で迎えるのだった。