タイトル:大型衛星アポロンの主マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/04/10 00:35

●オープニング本文


「ジャッキー・ウォン(gz0385)が逃げた!?」
 巨躯が吼えた。ゼオン・ジハイドの12、ドレアドル(gz0391)は、沸騰する怒りを爆発させて、司令室の超合金の壁を拳でぶち抜いた。
「おのれ‥‥ウォン! やはり最初からそのつもりであったか! 実験派‥‥姑息な策謀家が!」
 ドレアドルの怒りは収まらない。目の前の超合金製のデスクを蹴り上げて真っ二つにした。
「かくなる上は‥‥ただでは済まさんぞウォン‥‥このまま俺が黙っていると思うなよ!」
 ドレアドルはウォンの下に配属されてはいたが、本星からウォンの監視命令を受けている。
「ドレアドル副司令――」
 床に転がった端末から声が響く。
「実験派は確かに理解し難い行動を取り続けてきましたが、今回の征服においては相応のヨリシロを手に入れております。おっしゃるように、最大の問題は、ウォンでしょう」
 声を聞き、ドレアドルはうなった。
「俺に考えがある――」
 落ち着きを取り戻したドレアドルは、やがて口を開いた。

 宇宙、大型封鎖衛星アポロン。
「UPC軍が攻めて来る? 私の位置を特定している?」
 ジャッキー・ウォンは、すでにアポロンの司令室に収まっていたが、首を傾げた。
「動きが早いですね。UPC宇宙軍の情報収集能力は怠惰とは無縁、惰眠を貪っているわけではないと言うことですか‥‥はて」
 ウォンは、目の前のヨリシロを見やり思うところがあったが、口には出さなかった。
「迎撃して下さい。アポロンの防衛機能は絶大です。弱体な噂のアジア宇宙軍のエクスカリバー級一隻程度、小揺るぎもしませんよ」
 ウォンはいつものように笑みを浮かべながら言って、卓上の通信機を取り上げた。
「私です。ドレアドルに繋いで下さい――」

 エクスカリバー級宇宙巡洋艦ジョワユーズは、程なくカンパネラから出撃しようとしていた。ジャッキー・ウォンが逃げ込んだと言う大型封鎖衛星アポロンへの攻撃を命じられていた。
 艦長のモントロン中佐は、モニターに映るオペレーターの綾河美里(gz0458)に言った。
「おいチョコレートエンジェル、遅くなったが贈り物は届いたかね」
 中佐が言うと、美里はリボンが付いた大きな紙袋を持ち上げた。
「こんなに沢山貰っちゃっていいんですか〜! これが三倍返しってやつですね!」
 袋の中身はスイーツやらお菓子であった。どうやら、ジョワユーズのクルーなどからのプレゼントであるらしかった。
「綾河美里、名前は覚えたぜ。一応な」
 そこで、KV隊長のアキラがモニターに現れる。
「アキラさん、頑張って下さいね! アポロンの防衛能力は強力なようです。複数の戦略兵器で守られています。詳細までは分かっていませんが、あそこにオセアニアから離脱したウォンが逃げ込んだとの情報は確かなようです」
「ジャッキー・ウォンか‥‥大物に見参ってところか」
 そこで、副官の桜舞子が口を開く。
「ジャッキー・ウォンとは宇宙で決着をつけることになりましたね中佐。私たちにも、いよいよ重大な使命が回ってきましたね」
「ジャッキー・ウォンだな‥‥実際何を考えているか良く分からん印象が強いな。地球での戦略を見ていると、理解し難いバグア人だ」
「所詮バグア人です。相互理解には程遠いでしょう。アポロンには簡単には近づけないようですが‥‥」
「やるしかないな」
 そして、ジョワユーズはアポロンに向かって発進する。待ち受ける多難を、この時まだ誰も知らない――。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
レイミア(gb4209
20歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD

●リプレイ本文

 ブリーフィングルームにて、傭兵たちは今回の任務にて打ち合わせを行っていた。
「オセアニアから宇宙とは。今度こそ追い詰めます」と一言。
 言ったのは櫻小路・なでしこ(ga3607)。
「まず、序盤、前面に展開のキメラ達を一斉攻撃して突破口を開き、以降、対キメラ&タロスと対小型機動無人衛星に分かれ対応します。ジョワユーズは射線上の敵にGブラスター以外で援護攻撃をお願いします。対小型機動無人衛星は4機構成4編成で対応。夢守様とレイミア(gb4209)様には機体特性を活かした周辺警戒をお任せします。ジョワユーズは対大型機動有人要塞の切り札として、控えて頂きましょう」
「了解した。艦の制御は任せとけ」
 モントロン中佐は言って笑った。
「そこで、と言うわけではないですが、編成ですが――まず対キメラ&タロス。ジョワユーズ防衛にラスヴィエート×14について頂き、対タロス&キメラの主力にはアキラ様にお願いしたく思います。これにはリヴァティー×20、ハヤテ×8が当たります。こちらにて、警戒&管制は夢守様とレイミア様に行って頂く思います」
「オッケー、私は異論ないよ」
「私も最大限お力添えさせて頂きます」
「ふむ。こっちに分厚くか。後は大丈夫かね」
「はい。迎撃部隊、主に小型要塞対応として、左翼のA班にわたくしと神棟様、リヴァティー×2、B班にソーニャ(gb5824)様にハヤテ×3機、右翼のA班にUNKNOWN(ga4276)様に孫六様にリヴァティー×2、B班に堺様にハヤテ×3機でお願いしようかと思います」
「うむ‥‥頑張る努力をしてみよう、か」
 頷いたのはUNKNOWN。
「まあ、盾になるし、補給の際には殿を務めるよ。長期戦だからね。まあ‥‥と言ってもKVだから、大きさは要塞に敵わないんだが」
「UNKNOWN様には、無理を承知で、小型要塞を引き付けて頂ければと思います」
「うむ。まあ‥‥そうだね。やれるだけはやってみるかね。宇宙でも私の機体が宇宙KV並みに動けるのは確認しているからね」
「ジャッキーウォン、次はどこに隠れるつもりだ?」
 堺・清四郎(gb3564)は言って、傷のある頬をぽりぽりと掻いた。
「キングスレーとやりあっているついでで追ってきたが相分からず得体や考えが全く理解できんやつだ‥‥今度は一体どんなことをするつもりだ? だが考えても仕方がない‥‥。出たとこ勝負でやるしかないか」
 それから清四郎は、アキラに交渉する。
「アキラ、なでしこ、ちょっとずれるようだが、こっちにはハヤテを4機回してもらいたい」
「うん? まあ‥‥俺は構わんが」
「分かりました。では、堺様の方へ一機ハヤテを回すと言うことで参りましょうか」
「全体としては、俺はその通りに小型要塞に回るつもりだがね。大型要塞の対空砲火も潰していくつもりだ。どこかに開口部もあるだろう。キメラを吐き出されるのも厄介だ。速攻で潰していくつもりだぜ」
「私はジョワユーズの直衛で管制ですね。宇宙もすっかり慣れちゃいましたけど‥‥頑張りますね」
 レイミアが言うと、なでしこは頷いた。
「よろしくお願いしますねレイミア様。夢守様との連携で管制はお任せしますので」
 レイミアはにっこりと笑った。
「みなさん熟練ですから、足を引っ張らないようにしないといけませんね」
 おっとりした雰囲気で、優しげなレイミア。非常にマイペースで嫌なことはすぐに忘れる特技を持つ、ドライな一面もある彼女だが、冷徹な一面もあった。
「アポロンに逃げ込んだジャッキー・ウォンですが、アジア地域の攻略は少し遅れているのですね。ウォンが宇宙に上がったのはつい先日のことと聞きましたけれど。大型封鎖衛星はかなりの戦力がありますけれど、私たちはすでに多くを撃破してきましたね。大型機動要塞がどんなものかは分かりませんけど、エクスカリバー級の戦闘能力なら、射程に捕えれば間違いないですよね」
 そこで、オペレーターの綾河美里(gz0458)が言った。
「大型機動要塞は子供の小型衛星に匹敵する戦力だと予測されますね。アポロンの防衛線力はちょっとまだ不明なんですけど」
 孫六 兼元(gb5331)は、美里のお菓子の袋を見て、笑った。
「ところで綾河氏、随分なお菓子の量だが、一人で食べきれるのかね?!」
 孫六は電卓を弾いて、カロリーを見せる。
「カロリー計算はざっとこんな感じだ! エクササイズを頑張れよ! なんなら、成長著しいアキラ氏に手伝って貰えば良かろう! ちなみに、午前中に摂取したカロリーは、その日に消費されるので太らないと言うぞ! ガッハッハ!」
「はうっ がーん‥‥!」
 美里は、カロリー計算にショックを受ける。
「で、でも孫六さん! 甘いものは別のところに入って行くんですよ! だから大丈夫です!」
「てか孫六、俺は美里のお菓子食うほど飢えてねえし!」
「ガッハッハ!」
 孫六は冗談を飛ばしてから、牙を剥いた。
「さて、ウォン、逃げきれるとは思うなよ! その諸行の報い、必ず受けさせてくれる!」
 ウォンをアジアにおける悪の根源と見していた孫六。オセアニアで逃した借りは返すつもりだった。
「みなの衆! 締めて掛かるぞ!! ワシは右翼A班にて行動だな! 先ずは敵のワームをメインに倒して、要塞の出現に備えよう! 夢守氏、レイミア氏、敵の予想進路と防衛線を抜けそうな敵の情報をばっちり確認願うぞ!」
「ボクは左翼B班だね。ハヤテ三機、よろしく頼むよ」
 言ったのはソーニャ。
「囮として撹乱陽動をかけ、味方の攻撃の起点としよう。ジョワユーズ突入時、先行し大型要塞の砲塔群を減らすよ。ハヤテのみんなも援護をよろしくね」
 それにしても、と続けるソーニャ。
「ウォン、引き際は見事だったっと言っておきましょうか。もっといやらしく攻めるタイプかと思ったけど意外とドライなのね。なら、あの居留地の様は単なる人間への無関心かな。意外と人間を見てそうだけど。(悪人度ではボクの方が上っぽいのがなんか悔しい)」
 もし、激昂するドレアドルを見ていたら、ソーニャは人間っぽくてかわいいなぁ、と思ったことだろう。味方にすると迷惑なタイプだろうが‥‥。
「その割に、どこか嬉しそうですねソーニャさん」
 レイミアが言うと、
「うれしそう? う〜ん、なんでかなぁ。多分、生きているからだよ。ウォンやドレアドルもね」
 ところで、とソーニャは言った。
「大型要塞の再生能力か‥‥ジョワユーズにも突入をかけてもらわないとダメだね。美里さん、怖い? 敵は強力、数も多い。そんな君に勇気をあげよう。――ナイトフォーゲル、騎士の名を持つものに告げる、これよりジョワユーズは突入を開始する、ボクらは全力をもって進路の確保、要塞砲塔群の制圧をするよ。レディーを守るは騎士の誉れ。みんな、気合を入れていくよ。特に姫からチョコをもらった人! いいとこ見せなさいよ!!」
 美里はカンパネラを離れることは出来ない。傭兵たちはソーニャの言葉を受けて、モニターの美里にやんやの喝さいを送った。
「短期決戦、徹底攻勢ダネ。私は管制を行い、補給の順など戦いをスムーズにするヨ」
 夢守 ルキア(gb9436)は言った。
「レイミア君よろしくネ。こっちはアルゴシステムで支援するヨ。管制に必要なのは冷静な目、アタッカーには、強い戦闘意欲。気負い過ぎはダメだケド――。さ、念願の宇宙だよ! みんな、頑張ったらー、私が皆の機体を整備しまーす!」
 ‥‥帰る、ヤクソク。
「事前に確認されているティターンだけど。誰が乗ってるのか。咲君がジャッキー君の部下なら、一緒の可能性は高い。直ぐに逃走が可能だし、ジャッキー君の可能性もあるかもね。どっちにしても、これまでの経緯から、アレン君や、咲君の戦闘パターンと照らし合わせてみるのが良いかな」
 それから、ルキアはレイミアに言った。
「私の対応は、キメラ・タロスを相手に、だけど、レイミア君、アポロンの兵器確認出来るー? 後、ジャッキー君が逃げちゃうかも、だし二人で警戒しよう」
「そうですね‥‥アポロンの兵器に、ウォンの動きには注意が必要ですね。アポロンの全容を掴むことが出来ればと思います」
「私も偵察用カメラで見ながら、アルゴシステムに載らない敵を確認するヨ。戦法は、射線が通ったら、片っぱしから攻撃。そしてジュワユーズへ引き付けて、G5弾頭をお願い」
「まあ、G5弾頭は限りがあるから使いどころは難しいんだぜ」
 モントロン中佐はにかっと笑った。
「ここぞの判断は中佐に任せるよ? ――逃げても逃げても、喰らい付く。貪欲じゃないと、セカイは楽しめない」
「ウォン‥‥オセアニアでは取り逃がしましたが、大型衛星アポロンを彼の墓標にしてあげましょうか」
 言ったのは勇壮の蒼、神棟星嵐(gc1022)。
「今回もハードですが、大型機動要塞以下、敵軍の撃破ですね。ジョワユーズには大型要塞がG光線ブラスター砲の射程に入る間、正面の小型要塞へG5弾頭の使用をお願いましょうか。補給は交代しながら行いましょう。管制よろしくお願いします」
「了解しました」
「G5弾頭も使いどころが肝心だがね」
 モントロン中佐は、うなるように言って腕組みする。
「自分は作戦通り、櫻小路殿と共にリヴァティー二機の同行を受け、ジョワユーズの正面左に展開する小型要塞の撃破に向かいましょう。櫻小路殿、よろしくお願い致します」
「はい神棟様、お願いしますね」
「それにしても、今のところ、着実に地上のバグア達を宇宙に押し返せているのは喜ばしい事ですが、やはり元凶である司令官クラスは撃破しておきたいところですね」
「そうですね。でも、ソーニャ様が言われたように引き際は見事でしたわね、敵ながら。あのままオーストラリアに戦力を集結するのかと思っていましたが‥‥」
「今度は逃がしません。ジャッキー・ウォン。もう逃げる場所は無いでしょう。実験派とやらを率いて企んでいるようですが。そう易々とは行きませんよ。地球への再攻略ですか? そんなことはあり得ないでしょうけどね」
「よーし、大体出そろったか? ジョワユーズはもうすぐ発進する。各自、繋留されるKVで待機してくれよ」
 モントロン中佐は言って、通信を切った。
 傭兵たちは出撃する――。

「アルゴシステムを起動、各機データリンク開始。敵キメラ群接近。みんな、迎撃の用意をよろしくね!」
「皆さま、これよりESMで支援します、各機、前面に展開する敵軍にミサイル発射」
「それじゃあ行くわよ! FOX2ミサイル発射――!」
「ミサイル発射!」
 傭兵たちがミサイル攻撃を叩き込めば、真空の宇宙に閃光とともにキメラが爆散する。
「まずはG光線ブラスター砲、発射!」
「敵要塞、来るぞ!」
「タロスが接近して来る!」
「こっちは任せとけ! 要塞に向かえ!」
「G5弾頭撃て――!」
「みんな、ティターンにも警戒して。このティターン‥‥アレン君かも」
「これだけの戦力が出払ってくるとは、ウォンの事も少しは追い詰める事が出来ている証拠なのでしょうか‥‥」
 神棟は言いつつ、なでしこと連携して小型要塞に肉薄する。
「神棟さん! 要警戒よ!」
「無論――」
 要塞からのミサイルをかいくぐり、なでしこがミサイルを叩きこみ、神棟は接近した所で人型へ変形しDC−66マシンガンで主砲、ミサイル発射口の破壊。
「させませんよ」
 さらに切り込み、小型要塞を破壊する。
「エルシアン! GO!」
「続け!」
 エルシアンはアリス、通常ブースト常時起動で加速する。GP−02で撹乱、レーザーで攻撃。無論、高速を生かした一撃離脱。
 ミサイルとレーザーで小型要塞のFFを突き破る。
「よし! 撃ち込め!」
 ミサイルを叩き込み、小型要塞を粉砕する。
 UNKNOWNのK02が要塞のFFを貫通する。続いてライフルを叩き込み剣翼で切り裂く。
「さすがはUNKNOWN氏! いつも冴えわたるな!」
「――すまなかったね」
 UNKNOWNは人型に変形すると、ブーストしつつ障害物を蹴って方向転換し、ライフルで牽制する。
「撃ちぬこう」
 加速して来る要塞を牽制しつつ後退する。
 HPCで観測結果をデータリンクで送る。
 孫六は基本は空戦形態で、09式で牽制、ウィングエッジで両断する。
「ウォンの送った雑兵が! ワシの行く道を邪魔するな!」
 ジョワユーズに接近する敵機を最優先で倒してゆく。
 要塞にレミエルを先制射し、ドレスAを発動し急速接近する。
 人型で加速し、反撃のレーザーを回避しつつ、機剣による攻撃を叩き込む。
「食らえ!」
 レミエルの二射目を撃ち込み、要塞を破壊する。
 ドレスBを発動――。
「ウォン! 聞こえるか?! 地球人類や、仲間であるダム・ダル達を見捨てた報い、三倍返しで受けさせる! 忘れるなよ!!」
「その声は届くまい孫六」
「何!?」
 切りつけてきた漆黒のティターンの一撃を孫六は受け止めた。
「貴様‥‥キングスレーか!」
「また会うとは奇遇だ」
 清四郎は、ハヤテと小隊を組み小型の要塞を狙う。
「小型要塞を壊してあのデカブツを丸裸にするぞ!」
 全力ブーストで一直線に向かい、対艦攻撃のやり方でで5騎が矢尻型の編成で銃撃を加える。
「この速度ならマグレ当たり以外ありえん! 一気に突っ切れ!」
 貫通するように小型要塞を撃破する。
「よし、次だ! 大物狙いの大博打だ! 一発張っていくぞ!」
 大型の要塞のキメラ搬出口にK02を叩き込む。また要塞表面を滑るように機動し、対空砲を片っ端から潰していく。
「これで少しは静かになるはずだ! 道を作るぞ! 要塞へと続くシャンゼリゼだ!」
 ソーニャも再び突進、要塞の主砲を破壊する。
「みなさん、ジョワユーズが突進します。道を開いて下さい」
 レイミアは言って、友軍とのデータリンクで主砲の発射タイミングを伝える。
「みんな下がって。援護するヨ」
 ルキアは白金蜃気楼で援護する。
 ワームを引き受け、空いた場所に入ってライフルで迎撃する。再生するヒマも無く、木っ端みじんにする。
「楽しい命、じゃないとさ。きみは、楽しんでる?」
 ‥‥要塞に引きこもるだろうか? 私なら、早々に離脱の準備をする、防御は後手に回るダケ。
「残りのG5弾頭を撃ち込め!」
「G光線ブラスター砲、撃て!」
 ジョワユーズから放たれた閃光が大型要塞を貫通する。大爆発を起こす大型要塞は、閃光とともに消失した。
「敵ワーム、離脱していきます」
 レイミアは言いつつ、レーダーに目を落とす。
 だが‥‥。
「これは‥‥?」
 ルキアとレイミアは、前方に巨大なアポロンの防衛戦力を確認する。複数の小型衛星と戦闘艦から成る防衛機構が、展開している。
「これが封鎖衛星アポロンの‥‥」
 今は打つ手は無い。
 傭兵たちは、ジョワユーズとともにカンパネラへ帰還する。