タイトル:【崩月】ヘパイストス2マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/05/01 01:00

●オープニング本文


 バグアの上級指揮官ドゼイ・モスの拠点、大型封鎖衛星ヘパイストスの防衛戦力が予想を越えるものであることを確認したUPCアジア宇宙軍は、エクスカリバー級宇宙巡洋艦ジョワユーズを旗艦に攻撃部隊を再編成する。
「ヘパイストス周辺には、小型衛星とバグアの戦闘艦複数から成る防衛線力が配備されており、それを更に守るように小型の機動要塞が展開している。ワーム、キメラは言うに及ばず、ドゼイ・モスの部下であるバグア達も多数ここに存在するようだ」
 ジョワユーズの艦長であるジャック・モントロン中佐は、言ってブリーフィングルームの士官たちを見渡した。
「ヘパイストスへの道を切り開くには、言うまでも無いがまずこれらの敵の防衛機構を叩く必要がある。ヘパイストス本体の戦闘能力がいかほどか‥‥恐ろしくなって来るね」
 モントロン中佐が言うと、室内の士官たちは軽く笑った。
「ではこれより、第一次ヘパイストス攻略戦について話を進めよう。手元の資料を開いてくれ――」

 その頃、カンパネラのULTオペレーター綾河美里(gz0458)は、傭兵たちとともにいた。士官たちが作戦会議を進める中、緊張から身を持て余した現場を預かる傭兵たちは、美里の案内で後方支援を担当するンパネラの情報部門を訪ね、ヘパイストスの情報を手に入れようとやってきた。
 彼らが通されたのは綺麗なガラス張りのオフィスの一室だった。見ると、コンピューターに向かい合う内勤のスタッフ達の姿が見える。
「お待たせしました」
 ダークスーツに身を包んでノートPCを持った女性が室内に入ってきた。ULT情報分析官のフローラ・ワイズマン(gz0213)であった。
「あ、ワイズマンさんじゃないですか!」
「あら、綾河さん。お久しぶりですね」
「ワイズマンさんも宇宙へ上がって来たんですか?」
「ええ。オセアニア終了後に異動の辞令を受けたんですよ。アジアは落ち着いたし、お前の出向先は宇宙軍しかないだろうってね」
 フローラはコーヒーメーカーから液体を注ぐと、傭兵たちにも勧めた。
「とりあえず、コーヒーでも飲んで落ち着いて下さいね。気分が高ぶるのは仕方ないですけどね」
 それから、とフローラはノートブックを立ち上げる。
「ヘパイストスについて知りたいんですよね。皆さんが前回持ち帰ってくれた貴重なデータはまだ分析中ですけど。答えられる範囲でお答えしますね――」
 フローラは言って、笑みを浮かべた。

 小型衛星ヘパイストス・ワン――。
 指揮官の異星人の男性型バグア、ジンダハールは、窓から見える星々を見つめていた。
「地球人は、あの星々の季節の動きを名前を付けて呼ぶ。生まれた月と星座が運命に関係するとか言って」
「存外、それも無視できないようだな。今日のラッキーナンバーとか言うものがあると、験を担ぐ人間は案外多い」
 答えたのは、バグア指揮官のアレン・キングスレー(gz0472)。
「では、俺も幸運にあやかって勝利を収めたいものだな。地球の借りを返す」
「運は戦いにおいて重要な要素だが、それ以前に、戦闘に勝利するために事前に打つ手は打つのが名将と言うものだそうだ。勝ち易きに勝ち、戦わずして勝つことこそ最高の勝利だ、と」
 キングスレーの言葉に、ジンダハールは吐息した。
「それにしては、人間は予測を越える」
「理想とする勝利など数少ないものだと、証明されているからな」
「お前は何を見て来たのだキングスレー。中東でも、インドでも敗北し、勝利を得たのか」
「ジンダハール、迷いは禁物だぞ。間もなく奴らがやって来る。俺たちは共同戦線を張り、敵の宇宙軍を迎撃する。簡単な仕事ではない――」
 歩きだすキングスレーをジンダハールは見送り、ヘパイストス・ワンに迎撃の命令を下すのだった。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
村雨 紫狼(gc7632
27歳・♂・AA

●リプレイ本文

 コーヒーカップを置いて、神棟星嵐(gc1022)は吐息した。
「戦闘前にコーヒーで心を落ち着かせるのも悪くないですね。それに、フローラ殿が宇宙に上がって来たのですから、バグアも気の毒に‥‥」
 フローラ・ワイズマン(gz0213)は「あら」と笑みを浮かべた。
「わーぃフローラさんだぁ」
 ソーニャ(gb5824)は抱き着きスルスリ。
「ソーニャさんお元気でしたか」
「ボクは相変わらずだよ」
 しばらく抱きついていてから、
「充電完了。さぁ行こうか」
 孫六 兼元(gb5331)は「ガッハッハ!」と笑う。
「ワイズマン氏まで宇宙に上がって来るとはな! いよいよ宇宙戦も、オールスターキャストになってきたな! 折角だから無事帰ったらまた、とびきり苦い珈琲を淹れて貰おうかな! 帰ってからの楽しみが有った方が、張り合いも有るというものだ!」
「じゃ、孫六さんのためにとびきり苦いコーヒーを淹れて帰りを待っていますね――」

 ジョワユーズ艦内にて傭兵たち作戦を立てていた。
「今回は小型衛星ヘパイストス・ワンの撃破ですわね」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)は仲間たちに言った。
「まず編成と役割ですが――。小型衛星ヘパイストス・ワンにはソーニャ様のロビンにリヴァティー×3がジョワユーズの支援に付くことになっていますわね。それから‥‥カスタム中型HWには、わたくしと神棟様、リヴァティーA隊×4、リヴァティーB隊×4ですわね。ティターン、キングスレー様対応に孫六様に堺様、夢守様の管制補助に付き、リヴァティー×3が夢守様の援護に付くと言う編成で。それから強化タロスには村雨様がハヤテハ×6と対応。無人タロスとキメラには後、リヴァティー×6、ラスヴィエート×4、ハヤテ×6をアキラ様が統括。ジョワユーズ護衛にアーちゃん様が付き、全体管制の兼任、ラスヴィエート×8に付いて頂きます」
「んじゃ、それで行くかね。雑魚どもは任せてくれ」
 アキラは言った。
「それから以下、大凡の流れです。先制の一斉射撃でキメラ第一波を一掃。一斉射撃後、各自の役割へ展開。ジョワユーズは援護砲撃をしつつ進行。ヘパイストス・ワンがGブラスターの射程に入ると総攻撃を開始。‥‥と言ったところですわね」
「ふむ‥‥次はここか」
 堺・清四郎(gb3564)は思案顔。
「奴ともいい加減決着をつけたいものだなキングスレー‥‥。将としても兵としても超一流の奴を倒せねば被害が増えるだけだ、なんとしてもやらねば‥‥」
「今回は小型衛星の攻略かー。ばっちり成功させて、今後のはずみにしないとね」
 と呟いているのはアーク・ウイング(gb4432)。
「大規模作戦前の前哨戦、いや下地作りと言った方が良いかな?! ともあれ、進撃に弾みを付ける為にも、ワシ等が道を切り開かんとな! ワシは今回、キングスレーの抑え役だ!」
「くくく――」
 と笑声を漏らしたのはソーニャである。
「このごちゃ混ぜになった世界が何処に行くのか興味は尽きないところだけど、結局やることは一つ。飛ぶ事しかしか目的を持たず、飛ぶ事しか手段を持たない。これがボクの持ってる全てだからね。ボクは欲望のままに。それから、約束したからね。美里さんたちが笑っていられる世界を。悩むより稼げってね」
「アキラ君、私はリヴァティー3機を借りたい。包囲・連携で有人機の動きを阻害する。敵の数は少ない。だから連携で攻めてくると予想してるんだ」
 夢守 ルキア(gb9436)が言うと、アキラは頷いた。
「リヴァティーは持って行ってくれ」
「自分は中型HWですね‥‥櫻小路殿よろしくお願いします。しかし、小型衛星と言うのは、アポロンの機動要塞よりも強力なようです‥‥ヘパイストスにとっても重要な防衛施設のようですね。フローラ殿がくれた情報によると、これらが幾つか連携して、ヘパイストスを守り固めているとのことでした。それに加えて、戦闘艦も配備されているようですから、これを崩すのは一苦労な作業になりそうですね」
「そうですわね‥‥」
 神棟の言葉に頷く櫻小路。
「っしゃあ!」
 村雨 紫狼(gc7632)は、拳と手のひらを打ちつけた。
「俺の相棒、スーパーロボット・ダイバードの初陣だな!! いや〜‥‥軍人やら整備員やらの視線がイタい。というかカタログ上は同じタマモ型なんだがな堺クン! そう、ふたりは痛マモ! 大丈夫、イタさは強さだっ!!」
 次の瞬間、村雨のこめかみを清四郎が拳でぐりぐりする。
「ぐあああああ! 何すんだ堺クン!」
「え? いや‥‥てっきり『な・に・が・痛マモだ!』って突っ込みを待ってるのかと思ったんだが‥‥違ったのか?」
「いや! 堺クンいきなり拳でぐりぐりやってるだけだし!」
「俺にも分からん‥‥何かこう‥‥得体の知れない力が湧いてきて体が勝手に‥‥」
 と、その時である。
「敵衛星から入電――!」
 ヘパイストス・ワンから、通信が入った。モニターに、異星人が映る。
「私はバグア指揮官ジンダハール。お前たちと相対するヘパイストス・ワンの指揮官だ。エクスカリバー級ジョワユーズか‥‥相手にとって不足は無い。私の全能を上げて、お前たちを迎え撃つ。簡単にはいかぬだろうが、ブライトン様を破った相手、受けて立とう。では、戦場で待つ」
 ジンダハールは言って、通信を切った。
「ジンダハールか、先回とは違ってかなりやる気だな。こいつは‥‥骨が折れそうだな」
 孫六は言って、うなった。
 戦いの幕が上がる――。

 アーちゃんは複合ESMロータスクイーンを起動させると、管制に入った。
「正面に敵衛星。キメラ群多数、来ます。全機ミサイル攻撃用意して下さい」
「行くわよ! まずはキメラから片付けるわ!」
 なでしこは言うと、GP7の照準を定める。
「先ずは予定通りに、前に出て来るキメラを片付けてHWへ向かいましょうか」
 神棟は、GP−9ミサイルを全弾発射。
「ミサイル発射!」
「G5弾頭を一撃撃ち込め!」
「発射!」
 ミサイル群が宇宙空間を駆け抜ける。KVのレーダーにその様子が映る。回避行動を取るキメラ。そこへ向かっていくミサイルが直撃する。
「敵キメラ、まずは撃破に成功ですね。各機、それぞれの役割に従って格闘戦に移行して下さい。ロータスクイーンで支援します」
 アーちゃんは言うと、コンソールを操作しつつ、膨大な情報処理能力を持つピュアホワイトの管制システムを操作していく。アーちゃんへの負荷も大きいが、その電子戦能力は高い。
 村雨は、敵の有人機に加速する。
「ハヤテ×6! よろしく頼むぜ!」
 村雨のタマモ――魔導鳥神ダイバードが駆け抜ける。真紅の鳥型メカが宇宙を駆ける!
「これがダイバードの飛行形態、その名もダイホルス!!」
「よろしく村雨!」
「行くぜえ! ダイホルスチェェンジッ!」
 ダイホルスから豪快に変形していくダイバード!
「魔導ッ鳥ゥゥ神ッ! ダイッバアァァドッ!!(決めポーズ!) 天下無敵のスーパーロボット、ここに見参ッ」
 魔導鳥神の凛々しい顔がドドン! とバグアを見据える。
「宇宙戦艦のド派手な一斉砲撃、く〜テンションもアガるぜ!」
 村雨は先鋒を切る。 
「二体のうち一方はハヤテ×4で足止め、もう一方は俺とハヤテ×2で倒す! 行くぞ!」
 ガトリングで目くらましつつ、タロスの側面に回り込み斬撃。村雨はタロスの腕を切り飛ばし、マニューバAで真っ二つに切り裂いた。
「必殺ッ! バァァドダイナミック!!」
 それから、更に攻勢に出る村雨。
「行けるか! 残るタロスはKV軍団全員とフルボッコだ! 非公認スーパーロボだからって、見かけ倒しじゃねえぞ宇宙怪獣ども!!」
「させるか地球人! 我らを舐めるなよ!」
 強化タロスと激突。激しく打ち合い、後退する。
「よしいったん後退する! ローテーションで回復だ!」
 なでしこと神棟は、リヴァティーA班とB班と中型HWに向かう。
「神棟様、行くわよ!」
「了解しました」
 なでしこはリヴァティーA班と連携を取りつつ、展開する。中型HWの強化プロトン砲が宇宙空間を貫く。全機散開して、ミサイルで反撃。突進してるHWを回避。なでしこはレーザーガンを連射した。レーザーがHWのフォースフィールドを貫通する。神棟はアルコバレーノを撃ち込み牽制。大爆発を起こしたところへ、友軍がミサイルを叩き込み、なでしこはSESエンハンサーver.2を起動して荷電粒子砲「レミエル」を叩き込む。ビームが貫通すると、HWは大爆発を起こした。神棟は、HWの上方に回り込みマシンガンを打ち込む。さらに、接近した所で人型に変形し、A・ファングとB・ノウを起動、ライチャスを敵の慣性制御装置に突き立てる。HWは軋むような悲鳴を上げて爆発四散した。
 もう一機に向かう。リヴァティーが押しとどめている。なでしこと神棟らは、集中攻撃を叩きつける。爆発の閃光がHWを包み込む。
 バグア人は咆哮して、ブレードウィングで突進する。神棟は人型に変形し簡易ブーストで下方に逃れつつライチャスを突き出し、敵の速度を利用してそのまま斬り付ける。
「不用意に突っ込んでくれば、返り討ちにあうだけだと分かってください!」
 切り裂かれて、HWは爆発消滅した。
 ルキアに、孫六、清四郎らはキングスレーと相対する。
 ルキアは変形すると、リヴァティー数機も歩行形態。黄金龍の鍵爪を使用しつつデブリで敵の射線を防ぎ銃撃。あくまで銃撃で、孫六や清四郎を接近させる為の手段。
「(見越してるだろうね――でも、手数で埋めれば対応は遅れるハズ)」
 攻撃し包囲網を狭める。そこでルキアは回線を開いた。
「アレン君――個人を纏っても、同一じゃないよ。αとαβは同一じゃない、大量に溢れたコピー製品であったとしても、それ一つ一つは『個』なんだ。それとオナジ場所に同じ形として存在するモノは、存在しない」
「我々バグアにとって、本体のコピーなど存在しないも同然だが」
「認識されるコトと、存在しないコトは違う。きみは、宇宙の果てを見た?」
「宇宙の果てはともかく、いや、バグア人にとって名前として認識されることは重要だ。あえて言うなら、この世界に存在することよりも」
「ヨリシロが個に至るプロセスなんじゃなくて、纏おうと行う行動原理が個に至るプロセスさ――何故、きみ達は個を殺すのかな。まるで物質のように振舞うのだろうか?」
「それは我々の世界の構築が人間とは異なるからだろう。我々は、様々なヨリシロをまとい、蓄えている。それこそが重要であって、それは消えるものではなく、蓄えられているのだ」
「きみが死んだら、ナマエを贈るよ。私が死んだら、ナマエを頂戴。イロを添えよう、戦いと言う一つのセカイに」
「会いたかった、会いたかったぞ、キングスレー!!」
 清四郎はスラスターを全力で稼働し360度あらゆる角度から白兵戦闘を仕掛けては離脱を繰り返す。
「お前との戦いは何回目だろうな!? もういい加減見飽きたぞ!」
「それは俺の台詞だろう。しぶとい奴だ清四郎」
「ミカガミに乗っているうちに決着をつけたかったぞ、あれほど俺の気質に合う機体はなかったからな! 剣虎を受け継ぎし狐ヶ崎の剣‥‥受けて見ろ!」
 キイイイイン! と弾くキングスレーは、続いて突進して来る孫六に目を向けた。
「さぁキングスレー、見つけたぞ! ここで終わらせる!」
 孫六はレミエルを撃ち込み接近し、人型で近接戦を仕掛ける。
「キングスレー! 此処はワシ等に付き合って貰うぞ!」
 副腕に仕込んだウィングエッジによる斬撃の合間に、機剣を繰り出す戦い方を主体とし、多角的な剣筋を活かした戦法。
「悪いがとっとと終らせるぞ! 帰ったら、とびきり苦い珈琲が待っているのでな!」
「残念だが、コーヒーはお預けだろう」
 激闘に、孫六はバックしながらドレスA・Bを連続使用! 自分とティターンとの間に、チョットした障害物として装甲を設置する。
 装甲を盾に09式を撃ち、堺と連携して接近する。肉薄し、キングスレーに向け、ブースト併用で浮上回避を使用する。地上でも機体を強制移動させる程の強烈な噴射を浴びせ、姿勢を崩させると、すかさずレミエルを撃ち込む。
 キングスレーは直撃を回避しつつ、プロトン砲で反撃して来る。
 アーちゃんはジョワユーズの傍らにあり、ロータスクイーンを操る。艦がヘパイストス・ワンを射程におさめるための最適な接近ルートを割り出す。条件としては、敵の迎撃が薄く、最短で接近できること。
「むむ〜」
 アーちゃんは厳しい条件にコンソールを叩き、代替ルートとして、できる限り条件に近いルートを探す。
 ヘパイストス・ワンへのヴィジョンアイは範囲が広すぎて正確な結果が得られなかった。
「ジョワユーズ、データを送ります」
 ソーニャはジョワユーズとともにヘパイストス・ワンへ向かう。
 突進するエルシアンは先行し衛星の砲塔群を減らしていく。GP−02を使いデコイ兼用で攻撃。
「軍人さんたち、お願い!」
「ミサイル発射!」
 ソーニャの機体が加速する。Mブースター。GP−02で撹乱、レーザーで攻撃。高速を生かした一撃離脱。
 ソーニャは補給に戻り、吐息した。カタパルトデッキにて。
「そろそろへパイスト・ワンへ仕掛ける時間かな。フローラさん分析結果おねがい。アーちゃん、管制よろしく」
 再び飛び立つ。対空砲火をくぐりぬけ――。
「偽りの神の喉もとに聖剣を突き立てるか。いいのかい、ボクたちがこんな美味しいとこもっていって? さぁみんな行くよ! メインイベントの時間だ」
 傭兵たちは突進した。
「貴方がここの指揮官? ジンダハール。あなた、奥の手を隠し持ってるタイプだね。はっきり言って好みだよ。侮らない。しっかりボクを見てくれるタイプ。だからボクはそんな期待をさらに超えようとがんばちゃうわけ。君にとってより魅力的な敵でありますよに。いくよ――」
「地球人らしい台詞だな傭兵」
 ジンダハールは答えた。
 ジョワユーズと衛星が撃ち合う。
 傭兵たちが衛星主砲を無力化し、ジョワユーズはその本体にG光線ブラスター砲とG5弾頭を叩き込んだ。
 凄絶な閃光に包まれるヘパイストス・ワン。
「ふむ‥‥これまでか」
 キングスレーは後退すると、宇宙から消えゆく小型衛星から、本星型HWで離脱するジンダハールと合流し、ヘパイストスへ撤退する。
「終わったか‥‥今日も無事に勝ったけど‥‥」
 ルキアはヘパイストス・ワンの他、小型衛星が存在しないか偵察カメラで偵察する。まだ敵の小型衛星は存在する。この敗北を受けて、ヘパイストスを守るように移動している。
「手負いのまま向かっていくホド、無謀じゃないさ」
 ルキアは言って、ジョワユーズに帰還するのだった。

 カンパネラ――。
 孫六がドックに降り立つと、フローラが珈琲を差し出してきた。
「お疲れさまでした」
「ガッハッハ! 久しぶりの連携だったが、鈍ってはいないなワイズマン氏!」
 孫六は豪快に笑った。