●リプレイ本文
UPCの高速艇から降り立った傭兵たち。町を守る現地の軍属傭兵たちと合流する。
軍属傭兵のリーダーが傭兵たちに軽く挨拶する。
「ガルガとか言うキメラが出たと聞いた。それにダム・ダルも」
須佐武流(
ga1461)の問いかけに、軍属達は厳しい顔だ。
「お前さんたちは相当な腕前らしいが油断は出来んぞ。ダム・ダルのこともそうだが、あのガルガ、今まで報告に無い人型キメラだ」
「町に被害が出る前に何としても止める。ビアダル‥‥ダム・ダルの好き勝手にはさせない」
三島玲奈(
ga3848)の瞳は闘魂で燃え上がっていた。
「ちなみにガトリングってどのくらいの威力?」
「ああ。あっさりと岩をもぶち抜く破壊力だ。まともに食らったら腕が吹っ飛ぶかも知れん」
キメラでそこまで強いとも思えなかったが、玲奈は戦闘地域の方へ目を向ける。
「奴とは何かと因縁があるが‥‥」
カルマ・シュタット(
ga6302)の静かな瞳にはあるいはダム・ダルの姿が映っていた。
「だが、言っては悪いが、こんな僻地へ何をしに現れたんだ? 陽動にしてはダム自ら赴くとは、やっこさん中国ヘは来ないのか? 大規模作戦が展開中だというのに」
カルマは不思議そうに呟く。傭兵たちの預かり知らぬバグアの事情だが、今回瀋陽のバグア軍は、エースに頼らない実力派の実戦部隊で戦うつもりである。ダム・ダルにも、中国戦線への出動は掛かっていなかった、というのが実際のところだ。尤もヨリシロのダム・ダルについてはいまださしたる情報が出ているわけでも無いが‥‥。
「しかしまた厄介な相手みたいだなあ‥‥ガルガか。ダム・ダルの趣味なのか?」
ユーリ・ヴェルトライゼン(
ga8751)の問いに、軍属傭兵たちは肩をすくめる。
「まあ強そうな外見のキメラが散見されるが‥‥バグアの総司令官ブライトン博士って人型のワーム作るのが趣味とか聞いたことがあるが‥‥ダム・ダルも何かと新型キメラの開発に余念が無いのかもしれないなあ」
「ガルガ‥‥か‥‥今までに相手にした事のないキメラだな‥‥何にしても街まで到達させる訳にはいかない。後ろに戦えない人達がいる以上、必ず阻止してみせる‥‥」
静かに闘志を燃やす麻宮光(
ga9696)。
「新型だろうと何だろうと、ここで足止めを食ってるわけにもいきませんしね。なるだけデータも回収して、早急に片付けたいものですが」
光は落ち着いた口調で思案気に顎をつまんだ。
「九州は初ですわね‥‥」
周囲を見渡すソフィリア・エクセル(
gb4220)。女の子らしいワンピースに身を包んでいる。と言っても戦場には違和感があるが‥‥戦いは服装でするものではないのも確かであるが。
「結構妙な場所とは聞いてましたけど、出てきたキメラもかなり妙ですわね。ガルガ‥‥でしたか。遠目で傍観してるダム・ダルは‥‥とりあえず無視ですわね。キメラを倒したら少し仕掛け? てみようかしら」
「ダム・ダルに生身で挑むのは危険が過ぎるぜ? 何をしに来たのかもよく分からんが‥‥」
軍属傭兵は肩をすくめて呟いた。
「敵の司令官が生身でこんなところに現れるなんて‥‥もしかして暇なのかな? それとも上司にいびられてたまったストレスを発散しに来たとか」
こっそり呟いていたのは何とも小柄な少年兵アーク・ウイング(
gb4432)。わずか10歳。子供から嫌味を言われてもダム・ダルは一顧だにしないだろうが。
ぽんっと軽くアークの頭に手を置いたユーリ。バックアップを宜しくと優しく言った。
「はい! 任せて下さい!」
アークはかわいらしい顔をフェイスマスクの下できりりと引き締めた。
「さーて、んじゃまそろそろ行くか! ガルガとやらをぶちのめして、八つ裂きにして、ぎたぎたにして、めためたのぼこぼこにして‥‥!」
ドラグーンの日野竜彦(
gb6596)は感情も露に、拳を握り締める。
「うむ、敵は待ってはくれん。素早く片付けるとしようか」
軍属傭兵たちは、ラストホープのメンバーとチームを編成すると、ガルガが向かってくる戦場に足を向けた。
――チームG1。麻宮と竜彦、軍属ファイターの三人は、市街地へ向かって巨体を進める巨人キメラ、ガルガの前に立ち塞がる。
「あれがガルガ‥‥か」
「デカッ!あんなのが暴れたら町はどうなるんだよ」
麻宮は覚醒を解き放つと、二刀を抜いてこの巨人キメラに立ち向かっていく。竜彦もアーマーをまとう。
グロテスクな巨人キメラ。剥き出しの筋肉繊維に、豪腕、分厚い胸板が脈動している。瞳孔の無い真紅の瞳は血に飢えた獣のようにら爛々と光っている。
ガルガがぐっと腕を持ち上げると、軍属ファイターが警告する。
「来るぞ! 奴のガトリングガンだ!」
「こいつ一匹に関わっている時間は無い。さっさと次に行かせてもらうぞ」
麻宮は疾風脚を発動させると、ガルガに向かって加速する。
「どこも人手不足の上に時間もないのがキツ過ぎるけど、やらないわけには行かないか。それに日本は自分の二つの故郷でもある。好き勝手されたらたまらない」
竜彦もクルメタルと盾を構えながら走り出す。
「グウウウウ‥‥ガアアアアアア!」
ガルガの咆哮とともに、巨人キメラの掌から何十発と言う弾丸が放たれる。
ドガガガガガガガガガ――! と弾丸が襲い繰るのを麻宮は正面から高速で右に左に回避しながら突撃する。
「貰った!」
麻宮の二刀がガルガの分厚い肉体を切り裂く――! ドズバアアアア! と凄絶な一撃が打ち込まれる。
ガルガは苦痛にのけぞって麻宮に拳を叩きつける。
「――速い!?」
ぶうん! と疾風のような一撃が飛んできたが、麻宮はガルガの腕に乗るようにして後方に飛んだ。
「最初に敵の足を止めるのは戦いの定石! 常に奇策が必要なわけじゃないんだよ!」
竜彦はガルガのガトリングを潰そうと、腕を狙ってクルメタルを連射した。ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! とガルガの豪腕に弾丸が命中するが、ガルガは苛立たしげに払いのける。
ファイターはガルガの側面から打ちかかったが吹き飛ばされる。
「強い‥‥こんな怪物が町に出たら‥‥」
光は首を振ると、裂ぱくの気合いとともにガルガに突進する。
――チームG2、須佐武流とソフィリア・エクセル。
「‥‥美的センスのカケラもない造形ですわね」
暗黒のオーラをまとうソフィリアは、弓を引き絞ると、突撃する武流の攻撃に合わせて矢を打ち込む。
「ただの弓だと勘違いされてるようでしたら痛い目を見ますわよっ!」
ズキュウウウウン! と矢が風を切り裂きガルガを襲う。
ドスッと矢が突き刺さると、ガルガはうめき声を上げて腕を振り回した。
「グウウウウウ‥‥」
ガルガは武流に向かってガトリングを連射する。猛烈な勢いで弾丸が打ち込まれるが、武流は野獣のようなしなやかさと敏捷でガトリングを回避する。
一気にガルガの懐に入り込むと、刹那の爪で蹴りを叩き込む。
ドゴオオオオオオ! と武流の蹴りがガルガの肉体にめり込む。
がくりと、ガルガが崩れたところへ蹴りを連打する。
「おーらおらおらおらおらあ! ぶっ飛べ巨人!」
ガルガの巨体が舞い上がって落ちる。
「グウウウウ‥‥ガアア!」
ガルガは素早く上体を起こすと、武流にガトリングを打ち込む。
「にっ!?」
弾丸が嵐のように飛んでくるのを、武流は高い身体能力で疾風のようにかわした。
「当たるものかよ!」
そこへソフィリアが矢を連打する。ガルガの足を狙う。ズキュウウウウン! と矢が唸りを上げてガルガの足を貫通した。
「機動力を先に奪いますわっ! あとはお任せしますわっ!」
「任せろ! たかだかキメラ一体に‥‥やられるかって!」
武流は起き上がってくるガルガに突進する。
――チームG3、三島玲奈と軍属ファイター、軍属グラップラーたちもまた激戦に突入する。
玲奈の大口径ガトリングとガルガのガトリングはいい勝負だ。互いに譲らず、玲奈は走りながら撃ちまくって他二名、軍属傭兵と包囲攻撃を仕掛ける。
ガルガは翻弄された様子で、右に左にガトリングを撃ちまくり、わめきながら傭兵たちの姿を追う。
「ガアアアアアアアア――!」
「こいつは確かに威力は半端じゃない! 確実に狙って行くぞ!」
玲奈は軍属二人に呼びかけると、ガトリングを持ち上げると中距離まで接近していく。
「三嶋さん、援護します!」
「ガルガの注意をこちらに引きつける!」
ファイターとグラップラーはガルガの視界を走り回りながら銃撃を行う。
ガルガは腕を振り回して、軍属二人を狙ってガトリングを連射する。
玲奈は隠密潜行で接近、強弾撃と急所突きを叩き込んでガルガの背後から大打撃を与える。
大口径ガトリングが猛烈に火を吹き、ガルガの背中を貫通する。
ドウッドドウ! ドウッドドウ! ドウッドドウ! ドウッドドウ! と玲奈のガトリングがガルガの肉と骨を打ち砕く。
「ガアアアアアア――!」
振り向いたガルガに軍属傭兵が接近してまた背後から奇襲攻撃を仕掛ける。
ガルガは苛立たしげに軍属二人に突進するが、傭兵もバックして距離を保つ。
「図体だけはでかく、さすがにしぶといな‥‥化け物め」
玲奈は隠密潜行でガルガの背後に回りこみ、ずたぼろに傷ついた背中にさらに銃撃を叩き込む。
ガルガは悲鳴を上げると、また玲奈の方を向いてガトリングを打ち込んだ。
「これでも‥‥食らえ!」
玲奈は強弾撃でガルガの頭部を打ち抜いた。ぐしゃっとガルガの頭部が吹き飛び、血飛沫が舞い上がる。
が、何とガルガの胸や腹に眼が開き、この巨人キメラは不死身ながらに立ち向かってくる。
――チームG4、カルマ・シュタットと軍属サイエンティスト、軍属スナイパーたち。
スナイパーが貫通弾でガルガのガトリングを狙う。
ドゴオオオオオオ! とガルガの腕を貫通弾が直撃。
「グウウウウ‥‥」
ガルガは後退しながら腕を持ち上げると、ガトリングを発射態勢に入る。
「バックアップを頼むぞ!」
カルマは槍を構えながら突撃する。
サイエンティストが練成弱体で支援する。
「気をつけろ! やっこさんの銃撃もど派手な攻撃だ!」
カルマは真正面からガルガのガトリングと相対する。
「ガウウウウ!」
ガルガはガトリングを連射する。ズドドドドドドドド! と何十発の銃弾が放出される。
カルマは疾風のごとき動きで駆け抜けると、ガルガに接近する。
「行くぞガルガとやら――!」
裂ぱくの気合いとともに槍を振りかざし、無双のごとき槍捌きでカルマは一閃する。
ドシュウウウウ! と槍が貫通する。
スナイパーとサイエンティストが支援攻撃を続ける中、カルマは連続攻撃を叩き込む。
槍がガルガの肉体を打ち砕き、頭部を粉砕する。
「これで終わりだ。頭を潰されてはどうしようもあるまい」
すると、ぎょろりとガルガの胸に眼が出現する。
「――!?」
仰天するカルマに、ガルガの拳が打ち込まれる。
ガキイン! とカルマは受け止めた。
「大した馬鹿力だよこの怪物め‥‥」
ぐぐっとガルガの豪腕を押し返し、カルマはガルガの第二の目を槍で串刺しにする。
――ギャオオオオ! とガルガの腹に開いた口が咆哮する。
「何だと、こんなところに口が――!」
カルマは驚いたが、凄まじい攻撃力でガルガを叩き潰す。
――チームG5、ユーリ・ヴェルトライゼンとアーク・ウイング、軍属グラップラーたち。
探査の目を使ってユーリはガルガを観察するが、これと言って罠は見つからなかった。
だが他のチームから連絡が入る。ガルガは頭部を潰されても胸や腹に眼があるという。
「そうか‥‥だがまずは、あのガトリングをどうにかしないと‥‥」
ユーリは接近する前に弾頭矢でガルガの腕を狙って攻撃する。
アークは電波増幅を使用してから練成弱体でガルガの防御を低下させる。
「打ち抜いて下さい! アーちゃんが援護します!」
ドゴオオオオオオオ――とガルガの腕を直撃した矢が爆発を起こす。
「グウウウウウ‥‥グルルル」
ガルガは腕を持ち上げると、ガトリングの発射態勢に入る。
「頼むぞアーク、軍属さん。しぶとい敵のようだが、キメラ一体、こんなところで足止めを食うわけにはいかないぞ」
ユーリはクルメタルを撃ちながら突進。もう一つの手には刀を構えている。
ガルガの猛烈な銃撃をグラップラーとともに散開しながら回避するユーリ。ガルガとの間合いを詰めると、紅蓮衝撃を解放してイアリスをガルガの頭部に叩き込む。
ザシュウウウウ! と刃が貫通して、ガルガの首を切り落す。
「はああああああ‥‥せやあああああ!」
グラップラーがガルガの周囲を飛び回って拳と蹴りを打ち込んだ。
ドゴオオオオオ! とガルガの肉体が陥没して砕ける。
「倒れろこの怪物!」
クルメタルをガルガの胸に打ち込んでガルガを圧倒するユーリ。
どおっとガルガは倒れると、ぎらりと胸の上に一つ目が開いて、腹に開いた口が金属的な鳴き声を上げる。
シュシュシュシュ‥‥と不気味な笑みをこぼすガルガの第二の口。
ガルガは腕を持ち上げると、至近からユーリにガトリングを打ち込んだ。
ドガガガガガガガガ! と銃弾が弾けるようにユーリの肉体を打ち据える。
「ユーリさん、アーちゃんが回復します」
アークの練成治療で体力が回復する。
「怪物ガルガ‥‥止めを差してやるぞ!」
ユーリはガルガの腹の口に刀を突き入れる。ズシュウウウ! と刀身が貫通し、ガルガは悲鳴を上げる。ユーリは体中にキメラの体液を浴びた。さらに刀をねじ込むユーリ。ぐしゃっと、何かが砕ける音がして、ガルガの動きが徐々に弱くなっていく。そして遂に息絶えた。
「――各チーム、状況を確認」
そうして、傭兵たちは激闘を制してガルガを全滅させる。
戦闘終結後、ダム・ダルが姿を見せる。
「ビアダル‥‥!」
玲奈は後退する。無謀と勇気は別物と判断する分別は持っていた。
「お前とは戦ってみたいが今は間が悪いな‥‥カメルで戦わないといけないからな」
カルマですら逃げる体勢。
「まだ大きな作戦が残ってる‥‥ここで無理をして支障をきたす訳にはいかないからな‥‥今は‥‥俺達がすべき事を優先するんだ‥‥」
麻宮もさっさと後退する。
「ダム・ダルさん、ソフィリアの攻撃受けてもらいますわっ! ‥‥じゃんけんぽんっ!(パー)」
ソフィリアは踏み出すと、ダムにじゃんけんで挑んだ。
何と、ダムは後出しでちょきをだしたではないか。
「人間の文化を辿るのに時間が掛かるな‥‥」
冗談か本気か分からないバグア人。
「結構ノリがいいんですのね‥‥」
尤もソフィリアは閉口してしまったが。
「魚座の強さなら結果だけは見た事あるけど‥‥ここは逃げじゃね?」
竜彦の言葉に、一同後退する。
「最初から逃げるつもりか‥‥賢明な判断だが‥‥」
逃げる傭兵たちを、ダム・ダルは追撃してこなかった。ただ見送ると、ダム・ダルも戦場を後にしたのだった。