タイトル:【ODNK】獅子の牙29マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/07/30 09:24

●オープニング本文


 ――ラストホープ。
 研究所でそのキメラの分析が行われていた。普段はSESの開発が中心である研究者たちの一部が集められ、そのキメラのデータを確認していた。
 モニターに映し出されているのは、赤い巨人キメラである。北九州の築城方面にだけ出現すると言うキメラで、当地のバグア指揮官ダム・ダル(gz0119)が命名した名前は、「ガルガ」である。
 このガルガ、すでに相当な回数を傭兵たちと交戦しており、そして出現回数に比例して強化されてきたという経緯を持つ。すでに「完全体」と呼ばれる恐ろしく手ごわい個体が報告されており、まだ撃破例はない。
 そして今、研究者たちが分析していたのが、前回出現した赤いガルガである。
「‥‥何てスピードにパワーだ。AIの反応を越えて格闘戦を仕掛けてくるとは」
「それに、相当な熟練能力者が複数人掛かりでも、互角以上に打ち合っている」
「でたらめな戦闘能力だな。怪物だ。こんなの見たことないぞ」
 研究者たちは、赤いガルガと傭兵たちの戦闘映像を確認しながら、データを取っていた。
「通常状態でも、およそボスガルガに匹敵する能力を持っているようだな」
「この赤いエネルギーのようなものを放出している間は、さらに力が増す。熟練傭兵すら越える、か」
「まるで能力者が覚醒するようなものだな」
 研究者たちは、この赤いガルガの呼称を「スーパーガルガ」と定めると、報告書をUPC軍にも提出した。

 ――旧陸上自衛隊小倉駐屯地曽根訓練場。
 北九州苅田町の北に位置するこの基地に、スーパーガルガは待機していた。ボスガルガをも複数有し、無数のガルガが待機しているこの基地は、苅田への攻撃の拠点となっていた。
「さて‥‥ダム司令もよくよく築城へ足を運んで下さったが、このスーパーガルガを配備したことで、ここからUPC軍に対して単独で作戦行動が可能になった。ようやく、ガルガも我々の作戦に貢献できるようになったかと思うと、感慨深いものがある」
 春日基地でガルガの開発に関わってきた博士は、目の前の赤いキメラを前に、笑みを浮かべていた。
 博士の手にはガルガを大人しくさせる指揮棒のような装置があった。博士は人間なので基地に放たれているガルガに近づくには、装置が必要だった。
「ガルガは戦うたびに強くなっていく。能力者たちと戦うことで、このキメラはより進化していくのだ」
 博士はそう言うと、装置のスイッチを入れた。
 すると赤いスーパーガルガが咆哮して、ボスガルガとノーマルガルガを率いて、再び苅田町へ向かって行く。容赦のない攻撃を加えるべく‥‥。

●参加者一覧

旭(ga6764
26歳・♂・AA
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
アセット・アナスタシア(gb0694
15歳・♀・AA
美空(gb1906
13歳・♀・HD
七市 一信(gb5015
26歳・♂・HD
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
ジョゼット・レヴィナス(gb9207
23歳・♀・EL
如月 芹佳(gc0928
17歳・♀・FC

●リプレイ本文

「スーパーガルガですか、その正体、見極めさせてもらいますよ」
 旭(ga6764)は刀でガルガを叩きると、呼吸を整えて戦場を見渡す。ガルガの大軍は圧倒的で、傭兵たちを飲み込んでいく。
 レーザーが飛んで旭を撃つ。ガルガは咆哮して突進してくると、そのままレーザーを叩き込んだ。旭はレーザーを弾き返しながら加速すると、刀を一閃した。ガルガは旭に一撃を撃ち込んだが、一刀のもとに両断される。続いて襲い掛かっていくガルガ、旭は盾で弾き返して刀を返す。ガルガが絶叫して切り裂かれて崩れた。
「随分と数を揃えて来たな。だがこれ以上攻め込ませるわけにはいかない。ここで食い止めるぞ!」
 ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)もまた、ガルガとの激戦の渦中にあった。
 ――ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! と銃を撃ち込み、ガルガを粉砕して行く。それでも、ガルガは怯むことなく前進してくる。
「スナイパー、支援攻撃を頼むぞ」
 ユーリは建物の上に展開する傭兵たちに無戦機で連絡を取ると、軽く手を上げた。スナイパー達は軽く手を上げて返す。
 突進してくるガルガ。激しい銃撃が叩きつけられ、次々と粉々の肉塊に崩れ落ちて行く。
「しかし‥‥数が多いっ」
 ユーリはレーザーブレードでガルガを叩き斬っていく。ガルガの前進に立ちはだかり、壁となって立ち向かう。
「九州の戦闘になんとしても勝利するためにも美空(gb1906)たちはガルガはなんとしても打倒さねばならないのであります」
 幾度も対戦したガルガにいまだに勝利することができない自分たちの不甲斐なさに憤り、さらに押され気味になりつつある戦線に不安を募らせつつも今回も大奮起しての依頼参加となったのである。
 大口径ガトリングを構えると、銃撃を開始。激しく猛烈な銃撃がガルガをハチの巣にしていく。
「何としても、美空たちは負けるわけにはいかないのであります。これ以上北九州で後退する道は、美空たちにはないのであります」
 美空はガトリングを打ち放し、ガルガを撃ち抜いて行く。
 ガトリングを右から左へ向けると、ガルガの戦列に叩きつける。一般人にはとても真似の出来る芸当ではないが、美空はガトリングを旋回させて銃撃を浴びせた。
 ‥‥噂に聞いたガルガ、報告書読んだ限り恐ろしく強敵みたいだね。だけど、ここでやられちゃパンダがすたる! やられてたまるか勝つまでは! 七市 一信(gb5015)は裂帛の気合とともに刀を一閃する。
 咆哮して突撃してきたガルガは両断された。続いてもう一体が接近してくる、七市は後退しながらガルガの銃撃を受け止めると、ガルガの体当たりを弾き返した。
「パンダの刃!」
 七市は刀を振り下ろした。切り裂かれて真っ二つになるガルガ。
 さらに続々と前進してくるガルガの群れ。
「悪夢だな‥‥全く酔いそうだなこれは」
 七市は襲い来るガルガの銃撃を浴びつつも後退しながら踏みとどまる。一気に突撃してくるガルガの群れを受け止める。
 盾を勢い跳ねあげると、ガルガを弾き飛ばした。
「万力のパンダ、行くぞ!」
 大地を蹴った七市はガルガの戦列を駆け抜けた。切り裂かれて寸断されるガルガたち。肉塊となって大地に落ちる。
「ガッハッハ! 今回で、スーパーガルガの弱点をあぶり出してくれるぞ!」
 ワシの読みでは、SESが使われている筈! だとすれば、弱点への糸口にもなろう! 次へ繋げる為にも、必ずやり遂げる所存だ!
 孫六 兼元(gb5331)は雑魚ガルガを切り倒していきながら、赤いスーパーガルガの出現に備える。孫六だけではないが。スーパーガルガの出現には全員が神経をとがらせていた。あの赤いガルガは、一体で一軍に匹敵する。それに、練力が切れる前に勝負をつけなければ、こちらにも勝機はない。時間は無限ではないのだ。
 孫六の剣技「八双」――。
 腰を落とし、右肩に剣を担いだ構え。袈裟斬りから、剣を止めず転身し、横斬り。右袈裟斬りから、左肩通り円運動で剣を上げ、左袈裟斬り。縦斬り(袈裟)から「下段」へ移行。
「下段」――。
 剣先を真っ直ぐ相手の足元に向け、低く構える。カウンター主体の構えである。突っ込んで来た相手に、真っ直ぐ剣先を持ち上げ突進を抑制から、止まった隙に前進し刺突。敵の攻撃を下から弾き上げ、剣を返して斬る! 真下の死角から垂直に斬り上げ、「八双」に構え縦斬り!
 自在に大剣ルシファーを操り、ガルガを叩き伏せて行く。銃撃の中、正規軍と力を合わせて、ガルガを叩き潰す。
「ガッハッハ! 何度でも弾き返してやるぞ!」
「孫六、果たしてうまくいくだろうか?」
 軍属ファイターが背中を合わせて、呼吸を整える。
「うまくいく! 少なくともそう信じておるがな!」
「だがガルガにSESが搭載されているとすれば‥‥それは脅威だぞ。良く考えてみたのだが、SESは人類の最先端技術で、それがバグアに盗まれているとすればな」
「ふむ、確かにな! だが、確証はない、確かめないことにはな!」
「俺はお前さんの推測が外れることを祈っている」
 ファイターは言って、また突進して行った。
「まずは舞台を整えましょうか。赤いのと闘る時は、集中したいですからね〜」
 御守 剣清(gb6210)は、刀をガルガに突き入れて、切り上げた。肉がずたずたに切り裂かれて、ガルガの上体が吹き飛ぶ。
 突進してくるガルガ。腕を持ち上げると、内蔵されているガトリングを御守目がけて連射する。
「おっと、危ないですね〜、ただ、当たりませんよ」
 御守は素早くジャンプして銃撃を次々と回避して行くと、ガルガの戦列に切り込んだ。
「御守、援護するぞ」
「よろしくお願いします〜」
 軍属傭兵たちも支援するようにともに加速する。
 ガルガは猛烈な勢いで銃撃を叩き込んだが、御守たちは風のように駆け抜けると、ガルガの懐に飛び込んだ。
 格闘戦――。ガルガの剛腕が御守を捕えるも、その腕に足を乗せて、勢いを殺して舞うように飛ぶ。
 御守は加速すると、反転してガルガの首を切り飛ばした。
「やりましたね」
 しかしガルガは死なない。胸に目が開くと、腹に開いた口で咆哮して、襲い掛かってくる。
「これが噂の不死身ぶりですか」
 御守はステップしてガルガの拳をやり過ごすと、反撃の一刀を撃ち込んだ。今度は万力を込めて胴体ごと真っ二に切り裂いた。
「ふう‥‥やってくれますね」
 そこで、無線機に声が流れ込んで来る。
「――ガルガの群れが後退していく! 赤い奴が前線に出てくるぞ!」と。
「来ましたか」
 傭兵たちはスーパーガルガが出現した場所に急いで集結する。
「出ましたね、スーパーガルガ。今日は、決着をつけさせてもらいますよ」
「ガッハッハ! 観測を開始するぞ、奴の弱点を暴露する!」
「うまくいくと良いですね」
 そして、ガルガの再攻勢が始まる。その先陣を切って、スーパーガルガが突撃してくる。
 傭兵たちは赤いスーパーガルガに対応する。
「行くぞ!」
 旭はスーパーガルガと激突する。最初の一撃で盾ごと押し返される。
 盾にめり込むスーパーガルガの拳を、旭はどうにか持ちこたえる。
「すごい‥‥力ですね。生身でこれ以上はないですよ!」
 旭は盾をさっと翻して切り掛かった。
 スーパーガルガは軽く反転して蹴りを撃ち込んで来る。直撃を受けた旭は吹き飛び、地面をバウンドして転がった。
「そっち! ワイヤー作戦開始だ!」
 ユーリは軍属傭兵たちとともに、ワイヤーを持ってスーパーガルガの背後から襲い掛かった。目一杯に張ったワイヤーをスーパーガルガの足を目がけて引っ掛ける。
「それ!」
 しかし、スーパーガルガは微動だにせず、くるりと振り返ると、ワイヤーをぶち切って反撃してくる。加速するスーパーガルガ。
「また消えた!」
 傭兵たちの反射速度を越えて加速するスーパーガルガ。直後、ユーリの目の前に現れたスーパーガルガは、真下からの蹴りでユーリを舞い上げると、ジャンプして拳でぶん殴った。ユーリは全身を打つ重く鈍い衝撃に意識が飛びそうになり、地面に叩きつけられてめり込んだ。
「どうにか抑え込むのであります! ここで――」
 美空はガトリングを撃ち込んだが、スーパーガルガは右に左に、残像を残して回避する。突進してきたスーパーガルガに殴られて吹っ飛ぶ美空。
「パンダマンを甘く見るなよ!」
 七市は仲間たちが倒れて行くのに、スーパーガルガに切り掛かった。スーパーガルガと激しくう打ち合う七市。
「やられっ放しで済むと思うな!」
 七市は万力を込めてスーパーガルガに一撃を叩き込んだ。――ガキイイイイイイン! と堅い肉体に刀がめり込む。
「ぬぬう!」
 腕が痺れる。直後――。
 スーパーガルガの拳が七市の腹に叩き込まれて、続く回転蹴りで七市は吹き飛ばされた。
「行きますよ赤ガルガ」
 御守はスキル全開で一気にスーパーガルガの懐に飛び込むと、一撃を打ち込んだ。ザシュウ! と微かにスーパーガルガの腕が切れた。
 ――オオオオオオオオアアアアアアアアア!
 次の瞬間、御守はスーパーガルガの反撃を受けて地面に叩きつけられた。めり込んで地を這う御守。
 孫六は、水素濃度計測器を用意して、軍属傭兵たちと機会を窺っていた。
「これくらいは予測のうちだ。奴が覚醒するまでの準備段階だろう」
「しかし孫六、このままでは味方が持つか」
「ガッハッハ! ワシらはそんなやわな体ではないだろう!」
 旭が刀を構えてスーパーガルガと向き合う。
「その通りです。そう簡単には終わりませんよ」
 ユーリ、美空、七市、七市、御守らも立ち上がると、スーパーガルガを取り囲むように武器を構える。
 この頃、戦場はガルガの猛攻を受けていたが、軍属傭兵たちはどうにか持ち堪えていた。戦いのすう勢は、スーパーガルガと傭兵たちの激突に掛かっていた。
 そして、スーパーガルガは天に向かって腕を持ち上げると、咆哮して全身から赤いオーラを放出した。「覚醒」と呼ばれる能力である。
「来おったぞ! 水素濃度に変動は!」
 準備していた孫六は、じっと計測器に目を落とした。
 しかし――水素濃度に変動はない。数値は微動だにしなかった。
「違うのか‥‥SESとは関係がないのか」
「いや‥‥俺は逆に安心した。人類の技術の宝がバグアに盗まれているかと思うと、正直ぞっとしなかった」
「ということは、あの赤い光は未知のエネルギーか何かか」
「そう言うことだな。孫六、とにかく、水素濃度に反応はなかった。未来研にはそう報告が出来る。今はあの赤いガルガを止めるぞ」
「うむ! 考えるべきことは多いが‥‥今は剣を以ってする時」
 傭兵たちはスーパーガルガと向き合う。
 スーパーガルガは咆哮して大地を蹴った。
 豪力発現を使用してアスファルトを力強く踏みしめ(むしろ踏み砕き)、
「それが噂の覚醒ですか‥‥さあ来い!」
『Maximum Charge』
 【OR】OCTAVESの電子音声。
 紅蓮衝撃とソニックブームを合わせた旭の必殺技、ライトブリンガー。
『Light Bringer』
 スーパーガルガはソニックブームを受け止めて突進してくる。激突する旭。
 美空は超機械に持ち替え竜の尾で支援するが効果はない。
 ユーリ、七市、孫六、御守は一斉に攻撃するも、互角以上に打ち合うスーパーガルガ。
 最後には練力に限界が来て、傭兵たちは後退する。
 スーパーガルガは赤いオーラをまとったまま、歓喜の雄叫びをあげていた。

「そっち、行きました!」
 ジョゼット・レヴィナス(gb9207)は懸命に矢を放ちながら、仲間たちを支援していた。害虫駆除程度のキメラ退治は経験したことがあるが、これほどの大規模戦に参加するのは初めてのことだった。ジョゼットは最初足も動かなくて、自分を激励するのに精一杯だった。
「大丈夫ですかジョゼットさん」
 いつの間にか側に来ていた麻宮 光(ga9696)は、慣れない戦闘を懸命にこなすジョゼットに声を掛けた。
「麻宮さん‥‥正直言って大丈夫じゃないですけど、頑張りますね。何とか援護だけでもしっかり務めます」
「無理はしないように、味方と連携して動いて下さい」
「は、はい」
 光はジョゼットの肩を軽く叩くと、前進してくるボスガルガに立ち向かっていく。
 如月 芹佳(gc0928)は超機械ST−505を掻き鳴らしていた。505はエレキギターの超機械である。中距離から音楽を奏で唄いつつ支援攻撃する。
「ガルガのベースって人間なんだよね? 例え既に人の心を失っていたとしても、心をこめて奏でれば、思いは通じるとは言わないけど、一瞬の隙を作れるかもしれないしね」
 如月はギターを奏でると、ボスガルガを見やる。
「それに、味方全体の士気を向上させる事も出来るしね――」
 軍属傭兵たちが動き易いように声をかけながら支援攻撃する。
 ボスガルガに対しても中距離からST−505で攻撃しつつ音楽を奏で、反応を見る。
 しかし効果はない。ガルガに音楽を理解できる感性はなかった。そのような弱点を持ち合せるようなキメラではない。
「効果なしか」
 如月は蛍火とラサータに持ち替え戦闘に移る。
「軍属傭兵、支援攻撃を頼む、ボスガルガに集中攻撃を仕掛けてくれ」
 同行する味方に無戦機で合図を送って麻宮は加速した。超機械で打撃を与えつつ、切り込んだ。
 激突する麻宮とボスガルガ。刀でその強靭な肉体を切り裂き、手数で勝負する。並み外れた生命力を持っているのは承知。
「後ろからなら!」
 如月は奇襲を掛けた。狙う場所はひざの裏。援護射撃を貰いつつ接近し、フェイントをかけ背後に回り込み、刀を地面と水平になる様に突き刺したら、迅雷を使いそのまま横に切り裂きつつ離脱。
 ボスガルガの足は切れたが、傷は見る間に再生して行く。
「予想通りだね‥‥でも、回復だって無限じゃないよね」
「こいつ、誰が最初に倒せるのかな」
 麻宮は連打を浴びせて、ボスガルガの周りを飛び交う。
 ――と、ボスガルガの肉体が盛り上がって、加速した。
「来るぞ!」
 軍属傭兵たちも散開して距離を保つ。
 ボスガルガは爆発的な勢いで突進してくる。軍属傭兵一人が首を吹き飛ばされた。
「な、なんてこと‥‥麻宮さんこんなところで戦っていたんですね」
 ジョゼットは折れそうになる心を必死に支えながら、矢を打ち続けた。自分に出来ることは少ないだろう。それでも今は、仲間たちとともに最善を尽くすのみ。これが戦場なのだ。時に命が瞬く間に失われていく。
「やらせるな! ボスの力も一瞬だ! 防御の薄い人は下がって!」
 麻宮は突進すると、ボスガルガの腕を切り飛ばした。如月はその胴体を切り裂く。
 ボスガルガは瞬く間にダメージを再生すると、咆哮して雑魚ガルガの群れを呼び寄せる。
 そして、スーパーガルガの対応に回っていた北部の傭兵たちから撤退の知らせを聞くと、麻宮達も撤収を決断する。
「くっ、ここまでが限界だ。俺たちも退くしかない」
 傭兵たちはガルガの追撃を叩き潰して、戦場から離脱した。