タイトル:【ODNK】北熊本鳴動マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 1 人
リプレイ完成日時:
2010/10/18 06:27

●オープニング本文


 北九州熊本基地――。
 オペレータは続々と入って来る情報をもとにコンソールを叩いていた。士官たちはモニターを注視して、バグア軍の動きを確認していた。
「バグア軍、更に後退します」
「よし」
 上級士官が頷いた。
「追撃を掛ける。この機に、北熊本にいる敵戦力を徹底的に叩いておく」
 熊本への侵攻を許したUPC軍であったが、ここ最近の戦闘で一気に流れが変わっていた。突進していたバグア軍の先端は崩壊し、福岡へと後退を余儀なくされている。UPC軍の反撃が始まっている。それは確かなものであった。
「ただし、前線にいる傭兵たちに警戒するように伝えておけ。福岡の敵戦力は相当数なものだろう。油断は出来んぞ」
「我々は勝利宣言をしてもいいのでは?」
 士官の一人がそう言うと、上級士官はいかめしい顔で一同を見渡した。
「勝利宣言には早すぎる。忘れるな。我々は福岡を失ったのだ。勝利宣言をするのは、福岡を取り戻してからだ。まだ終わっていない」
「はっ‥‥」
 そこでモニターに新たなマークが浮かび上がる。報告書に目を通しつつ、士官はリモコンでモニターを操作する。
「和水町に動きありです。後退する敵軍の一部に、ファームライドとティターンが合流。敵集団が反転してきます」
「司令官――ダム・ダル(gz0119)とその部下達も悪あがきです。もはや、少数の機体だけでこの劣勢を挽回するのは不可能です」
「それはどうかな。敵を過大評価するつもりはないが、最新の報告によればダム・ダルのファームライドは一軍に匹敵する。そして、あのバグア人が、黙って北熊本を明け渡すとは思えん」
 熊本基地の司令官は、参謀たちに重々しく声を投げた。
「奴の動きには必ず狙いがあるはずだ。北九州全域の動きをモニターしろ。可能な限り、最新のバグア軍の動きが欲しい。奴らは、ただでは引き下がらん」
 そう言ってから、和水町に向けて、最前線の傭兵たちを向かわせる。
「傭兵たちには、細心の注意を払って迎撃に向かうように伝えろ。万が一、敵の大部隊と接触した場合、速やかに後退するようにと」
 司令官はじっとモニターを見据える。士官たちは、その意味するところを知って、傭兵たちに言葉を伝えるとともに、情報収集を開始した。

●参加者一覧

三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
ヒューイ・焔(ga8434
28歳・♂・AA
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
ブロンズ(gb9972
21歳・♂・EL
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
秋月 愁矢(gc1971
20歳・♂・GD
ニコラス・福山(gc4423
12歳・♂・ER

●リプレイ本文

「此方は陸戦でエース機に対応する」
 三島玲奈(ga3848)は無線に声を落とした。
 軍のS01、ディアブロと協調してエース機出現まで抑えに回る
「陸戦の勝敗は全方位先手必勝、包囲されるか否かで決する。2機ついてきてくれないか?」
 軍属KVの任意の2機と3列縦隊を編成。三島は真ん中に。スナイパーライフル2門を左右に向けて両翼からの奇襲に備える
 前衛は正面、後衛は後ろからの攻撃および側面防御の補佐を頼み、3機で前進する
「背後を取られても私の弾幕で挫いてやる。どこからでも来い」
「勢いのある今こそ、敵戦力を削ぐ好機だ! 高橋はこの機に倒す!」
 孫六 兼元(gb5331)は言って、軍のオウガへ同行を打診する。
「オウガ搭乗の軍傭兵よ、ワシのフォローを頼むぞ! 対高橋機でOGRE/Bを使って貰いたいので、ソレまでは圧練装甲を併用し練力温存を頼む! 高橋機が主目標だが、発見出来るまではタロスを叩きに行こう!」
「了解兼元。今日こそ、あの強化人間を叩き潰せるといいな! あの女に潰された傭兵は数知れない‥‥今日こそ仇を討つ!」
「高橋麗奈‥‥貴公を此処で討ち取って見せる!」
 神棟星嵐(gc1022)、勇壮の蒼の二つ名を持つ傭兵。機体はミカガミ「ブルーゴッテス」
「ティターン対応をするため、同機が前面に出てくるまでの間はレーザーキャノンを使用してゴーレム・タロスへ砲撃を行います。サイファー、破暁、同行願います」
「了解しました神棟さん、支援しますが‥‥無理はしないように」
「私たちもあなたを支えますから、高橋は危険な相手です。注意して掛かりましょう」
「ありがとうございます、ですが自分は‥‥。神棟星嵐。参る!」
「俺の実力はエースと呼ぶには程遠い。悔しいが、高橋の相手はエース達に任せるしか無い。俺に出来る事‥‥それは、UPC軍と協力し作戦を立て高橋撃破の邪魔をさせない事だ」
 秋月 愁矢(gc1971)は言って、軍傭兵たちと緊密な作戦を立てる。

【作戦】
ミカガミ×5、ディアブロ×5、S−01H×5、ペインブラッドと共に実施。武装は遠中近に対応出来る様要請。常に連絡を密にし相互支援隊形を堅持・各機の特性を活かして連携し攻撃・撃破を行う。
 序盤、高橋が動くまでは陸戦陣全機でタロス・ゴーレムを出来る限り削る。ペインBは敵突撃・味方突入時にブラックハーツ・フォトニッククラスターで攻撃。
 高橋が動き、高橋対応が始まったら敵を引き寄せつつジリジリ後退して高橋と他戦力を切り離す。
 高橋の援護に向かう物には遠距離より集中砲火。
 この時、部隊を戦力を均等に三分割し二隊を攻撃・一隊を防御後退とし後退に余裕を持たせて障害物等を活用し敵を惹き付け尚且つ味方機の損耗を減らす。
 陣形・隊形等は流動的に変化させ高橋への援護を阻止。
 その後は体制保持のまま、敵撃破・援護阻止。
 余裕があれば高橋対応陣へ遠距離射撃支援実施。

「‥‥作戦は以上だ。みなさん、連携を頼みます」
「了解しました秋月さん。特に穴は見当たりませんが、状況の変化には臨機応変に対応していきましょう」
「よろしくお願いします」
「よし、これより戦闘区域に突入する。各機遅れるなよ」
 ニコラス・福山(gc4423)は、そう言うと、上空との回線を開いた。
「こちら地上部隊ニコラス・福山だ、地上部隊は戦闘区域に入る。上空、様子はどうか」
 やや間があって、ユーリ・ヴェルトライゼンが答えを返した。
「ニコラス、通信はクリアだ。上空もこれから戦闘区域に入る」
「ファームライドはいつものごとく、後方で待機しているようですね。さて‥‥今日のダム・ダル(gz0119)の出方は‥‥」
 ソード(ga6675)はキューブのジャミングで荒れるレーダーに目を落として、眉をひそめた。
「必殺‥‥ハヤブサフレイル‥‥なんてな」
 ハヤブサ乗りのヒューイ・焔(ga8434)は、言って吐息する。
「ま、いつものごとく、やれることをするだけだがな。皆の衆よろしくな」
「ソード機サポート、援護。ソード機の攻撃にあわせ、エースタロス機同調攻撃。軍ロビン×5機にはボクと連携をお願い」
 ソーニャ(gb5824)の言葉に、ロビン乗りたちは「ラジャー」と声を投げる。
「今日はなんかはずかしい事、言っちゃったね。えらそうに、ボクはボクの目的のためにみんなを扇動したのかもね。ボクは福岡で見たいものがあるの。でもみんなと飛べてよかった。また飛びたい。そうだね、目的は違っても目指すものは同じだね、福岡を開放する」
「ソーニャさん、過去形で言うのは早すぎますよ。まだ、戦闘は続きます」
 ソードの言葉に、ソーニャは少し肩をすくめた。
「そうだね。戦いはまだ続く、か‥‥」
「行くよみんな。敵は魔物だ、躊躇いも、戸惑いも捨て去って、敵を討つ」
 夢守 ルキア(gb9436)は、コンソールを操作してユーリからデータをもらうと、電子支援を確立する。
「さーて、今回はとにかく時間を稼がねえとな。陸の奴らは任せるぞ。――行くぜ」
 ブロンズ(gb9972)は、拳を打ち合わせると、愛機のシラヌイS型を前進させる。

 陸と空で両軍が激突し始める――。
「三島ちゃん、孫六ちゃん、神棟ちゃん、秋月ちゃん、気をつけろよ。いよいよだぞ。それに軍傭兵のみんなも、頑張ろー!☆」
 ニコラスは、言いつつ破暁を前進させる。
「行くぞ! 銃撃開始!」
 スラスターライフルを両手に構えて、銃撃を叩きつける。
 ゴーレムたちは回避行動を取りつつ、戦列を整え前進してくる。閃光が爆発して、めくるめくプロトン砲が傭兵たちを薙ぎ払う。
「ちっ‥‥! 動きが良いな。有人機か」
 ニコラスは直撃を受けて口許を吊り上げた。
「敵が徒党を組んで来たら縦隊で射撃しつつ突撃、接近したら散開して横一列に弾幕を貼ってくれ」
 三島は友軍各機に言うと、加速した。
 突進しつつ横隊に展開、リロード兵器をばらまき、ゴーレムの足を止める。
「高橋が来るまでは持ち堪えろ!」
 秋月は、作戦に従って、激しい攻撃を叩きつける。銃撃とレーザーが飛び交い、ゴーレムを打ち砕く。
「ここから先は行かせん! UPC! 貴様等はここで死ぬのだ!」
 激しい罵声が飛んできて、プロトン砲の一斉砲火で傭兵たちを押し返す。
「何の! 行くぜ――!」
 秋月は突進して、剣でゴーレムと切り合う。鋼鉄の巨人同士が激しく火花を散らす。
「うおおおおお!」
「死ね傭兵!」
 閃光――秋月は至近距離からのプロトン砲で吹き飛ばされた。
「終わりだ!」
「秋月ちゃん!」
 ニコラスが突進して、ライフルを叩きつける。ゴーレムは思わず手をかざして銃撃を受け止め、その隙に秋月は転がるように逃げた。
「ニコラス! サンクス!」
「礼は生きてからにしろ、来るぞ!」
「高橋め! まだ動かんか! いつになく冷静だな! ――おい強化人間1号! 少しはわしらの相手をしに動いたらどうだ!」
 孫六の挑発に、高橋の怒号が鳴り響く。
「オウガタイプ189、孫六兼元か! 馬鹿め! 自ら死にに来たか! ダム司令の手を煩わせるまでもない! 私が貴様を冥土に送ってやるわ!」
「ガッハッハ! 来いやあ強化人間1号!」
「その減らず口、叩き潰してやる!」
「神棟氏! 高橋が来るぞ! 秋月氏も用意はいいか!」
「了解です孫六さん。高橋麗奈‥‥ここで討つ」
 やがて、ゴーレムとタロスが勢い前進してくると、その真ん中から赤いティターンが姿を見せる。高橋麗奈の専用機だ。
「よし! 各機後退を開始! 高橋を孤立させる!」
 秋月の指示で、攻撃と後退を同時に行う軍傭兵たち。
「くははは‥‥偽装撤退か! この状況でそんなものが通用するか! もろとも食い破ってくれるわ! 全機最大戦速! 傭兵どもの戦列を突き破れ!」
 高橋はたけり狂う波濤となって突進してきた。
「ぬう!」
 孫六は加速するワームの戦列に一歩後退した。高橋の凄絶な気迫が乗り移ったかのような攻勢に、孫六は牙を剥いた。
「ガッハッハ! 来い高橋!」
「孫六! 貴様から殺してやる!」
 ゴーレム達の突進に傭兵たちの態勢が崩れる。
「く‥‥やるな敵さんも」
 秋月は後退しながら懸命にゴーレムを押し返す。
「赤いティターン‥‥まるで怒り猛っているようだ」
 ニコラスは機動力を生かした一撃離脱戦法で攻撃を試みる。
「乱数回避解除、手動に切り替える」
「援護射撃の弾幕頼む」
 三島も高橋の突進に備える。
 激突する高橋と傭兵たち。
「高橋麗奈、ここらで舞台から降りてもらおうか!!」
 OGRE/Bを発動し、一点に渾身の突きを三回打ち込む! 防御されたらソレごと貫くだけだ!!
「KV槍法・三鈷!!」
「孫六うううう!」
 高橋は攻撃を弾き飛ばして暴風のような勢いで加速すると、刀で孫六機の腕を切り飛ばした。
「ぬうう!?」
「高橋麗奈! 貴公と合間見えたことはとても嬉しかった。だから、最後はこの神棟星嵐が見届ける!」
 接近仕様マニューバで突撃する。
 練槍で一撃見舞うと、スクラマサクスを前面に構えながら体当たりをぶちかました。
「貴様も死にたいか!」
「高橋!」
 鍔迫り合い。そのままブースト全開でティターンの体勢を崩し、サイファー・破暁へ側面から射撃による挟撃をさせながら、練槍で腰を狙い同時に右手の機体内蔵「雪村」とスクラマサクスを同時に、右下から左上に向かって斬り付ける。
「強化される前の貴公なら、きっと分かってくれると信じている! これ以上人類を苦しめるのは‥‥やめろぉぉぉぉぉぉっ!」
 突撃してくるティターンの攻撃を正面から受けると同時に、再度右手の機体内蔵「雪村」を繰り出すが――。
「神棟星嵐! 名前は覚えてやる――! あの世へ行け!」
 超威力の雪村を受け止めつつ、高橋は刀でブルーゴッテスの足を叩き潰した。崩れ落ちる神棟。
 高橋は神棟のミカガミを踏みつけると、刀を振り下ろした。ミカガミは破壊され、神棟は脱出した。

 上空――。
 ソードは加速すると、レギオンバスターを放出する。
「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動」
 コンソールを操作して行く。
「ロックオン、全て完了!」
 準備は整った。
「『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 2000発を越えるミサイル群が放出されると、次々とヘルメットワームを捕えて行く。直撃したミサイルが爆発炎上してワームを包み込む。
「さすがソード、こっちも行くぜ。ブーストダイブ――」
 ヒューイは高空から加速突撃してロケットを叩き込み、ソードウイングで切り掛かる。
 ヘルメットワームは真っ二つになった。
「頭痛? 操縦手腕低下? 私はパイロットだ、イクシオンの。後背護って!」
 ルキアは友軍に後背を護って貰いつつ、雷電と共にキューブを排除しに掛かる。
 HWは接近、ピアッシングキャノンで攻撃しつつ引き付け。
「コッチ向いてる、ブーストで後ろから挟撃して!」
 雷電にブースト指示、挟撃で掃討。一撃撃ち込み、側面や後ろから敵が来た場合に迎撃。
「シラヌイ二機、そっちを頼む。援護する」
「了解」
 ブロンズはシラヌイと編隊を組んで攻撃する。
「行くよ駒鳥部隊。アリス常時起動。状況にあわせMブースター使用。連携攻撃。バレルロールで螺旋を描きがら敵をかわし突入攻撃。ターン機動を少なく、高速を維持」
 ソーニャも加速すると、ワームの集団に追い打ちを掛ける。
「ファームライド、出てくるよ」
 ルキアは回復したレーダーを確認して、全機に警戒を呼び掛ける。
「よしみんな、ソードさんを行かせるよ。ヘルメットワームを押さえて」
 ソーニャは滑らかに旋回しながら友軍に呼び掛ける。
「ソードさん、ここはボクが抑えるから、先に行って。そう簡単に抜かせはしない――」
 そして、
「FRもティターンも単機で戦況を変えかねないすごい機体。でも制圧や占領には数は必要。特にエースや中堅機がね。これから福岡を開放する為にも、数は減らせるうちに減らす。みんな行くよ、エルシアンが突破口を開く――駒鳥部隊、フォーメーション組むよ。目標、タロス、次ぎHW。ダムのいぬ間に大掃除、いくよ」
 スロットルを吹かせるソーニャ。
「全機Mブースター起動、吶喊。火力集中、突き抜けろ、一機一機確実に落とす――小鳥でも群れると怖いよ。この戦いが福岡開放へ繋がる。ボクたちの力で福岡の人たちを助けるんだ。みんな、がんばって」
 ヘルメットワームを押さえるソーニャ達駒鳥部隊。しかし、数ではワームが勝る。六機では限界もあった。
「おい、行くぜヒューイ、ソード」
 ブロンズはそう言うと、操縦桿を傾ける。
「フェニックスとシュテルンは二人のフォローに回るように頼む。シラヌイ2機は別方向からの攻撃頼む。超伝導アクチュエータを発動させろ。三方向から攻めるぞ! ――ラージフレア発射」
 試作スラライで攻撃し反撃が来る前に速やかに離脱。
 直後、ファームライドから反撃のプロトン砲が来て、フェニックス一機が爆発四散した。
「う、わあああ‥‥!(ザザー)」
「ちっ‥‥迂闊に近づくなよ! 主攻撃はソードとヒューイに任せろ!」
「PRM『ツヴァイ』Bモード起動!」
 ソードはエニセイを叩き込んだ。ファームライドは静止したまま銃撃をバリアーで全て弾き返した。
「捕獲したフレイアの改造具合は順調だぞソード」
「ダムですか、洋子への借りは必ず返します」
「それまでに生きていられるかな」
 ダム・ダルはソードのシュテルンに銃撃を叩き込んだ。凄絶な銃撃がフレイアの装甲を貫通する。
「くっ‥‥!」
「やらせるかよ」
 ヒューイは加速すると、バルカンを叩き込み、ウイングで突貫した。しかし、攻撃はまたしてもバリアーに弾かれた。
「これで逃げる気か。だがさすがに並みの機体じゃないな。それでも‥‥お前をいつか空から叩き落としてやる。友軍各機、同時攻撃――!」
 ブロンズは突進した。最初は今まで通り攻撃。離脱時にスモーク・ディスチャージャーを使いダムダルをスモークに閉じ込める。
「よし今だ! ミサイル発射用意! スモークから出てきたところを撃ち落とす!」
 しかし――。
「あ、れ? ファームライド、反応が消えたよ」
 ルキアの声が、傭兵たちにそのことを知らせていた。すなわち、ファームライドの機体能力、光学迷彩である。ステルス機能を持つその能力は、これまでにも時に傭兵たちの脅威となってきた。
「にゃろう、迷彩かよ」
 そうして、残ったワームの集団が北上して撤退していく。ファームライドも、煙に紛れて撤退していたのである。

 ‥‥戦闘終結後。熊本基地へ帰還した傭兵たち。プレッシャーから解放されて、機体から降りる。だが地上部隊は大きな被害を出していた。
「ふう‥‥どうにか退けたが」
 ブロンズは愛機のディープブルーを軽く撫で。
「悪いな、いつも俺の無茶に付き合わせて」
 ブロンズは、言って機体を見上げる。