タイトル:【ODNK】北九州包囲網マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 2 人
リプレイ完成日時:
2010/12/18 10:23

●オープニング本文


 北九州上空――。
 UPC軍と傭兵たちのナイトフォーゲルが、福岡南から春日方面目指して北進していた。10月の熊本決戦でUPC軍は競合地域を一気に塗り替え、いまや春日基地への包囲網を敷こうとしていた。
「本部どうぞ。こちらデルタワン、間もなく戦闘区域に入る」
「デルタワン了解。敵の迎撃に備えて下さい。ここ一月ファームライドもティターンも目撃情報はありませんが、十分に警戒を」
「ああ――いや、待ってくれ」
「デルタワンどうかしましたか」
「ああ、どうやら、レーダーの見間違いじゃなければ、春日方面から、FRにティターンの反応がこちらに向かってくる」
「こちらでも確認しました。コードレッドを発令します」
「よろしく――」
 隊を預かる伍長は操縦桿を傾けると、全機に呼び掛けた。
「全機、敵襲に備えろ。コードレッドだ――」

 それより少し前、春日基地にて――。
 ダム・ダル(gz0119)は、競合地域が塗り替えられた北九州のマップを見つめていた。
「なんでこうなった」
 ダムの問いに、居並ぶバグア軍の幹部たちは沈黙する。
「なぜ」
 ダムは無機的な声で言うと、マップを見つめていたが、ややあって吐息して肩をすくめる。
「UPC軍、幾らなんでも頑張り過ぎだろう。本気で私を殺す気か」
「いえ司令、間違いなくUPCはあなたを殺す気です」
 鋭い突っ込みを入れたのは春日基地の双璧と言われる強化人間、高橋麗奈。
「そうだったな。うっかり忘れるところだった」
「そんなことを言ってる場合では。ウォン司令には何と説明を‥‥?」
 眉をひそめるもう一人の双璧、洋子に、ダムは腕を振り上げた。
「おい説明だって? 真面目に説明するのか? 一カ月と少し春日基地で指揮をとっていたらうっかり北九州を奪還されました、とでも言うのか」
「即座に処分ですね」
 高橋の答えにダムは手を広げた。
「言ってくれるな。ここに誰か名案のある奴はいないのか」
「‥‥‥‥」
「頼もしい部下を持って私は幸せだよ」
「申し訳ありません司令、私たちも覚悟はできております」
「ああ、いっそお前たちを殺しておくべきだったよ」
 真摯に答える洋子に、ダムは唸るような答えを返した。
 そこへ駆け込んで来るバグア兵。
「ダム司令! 福岡南部からUPC軍の航空部隊が接近中です!」
「UPC軍のおかげで私が敗北に瀕した最前線の指揮官だってことを忘れずに済むなおい。――出るぞ。FRとティターンで出撃する。まだ終わってない」
 ダム・ダルが歩き出すと、高橋と洋子は後に続いた。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
カルマ・シュタット(ga6302
24歳・♂・AA
M2(ga8024
20歳・♂・AA
紅 アリカ(ga8708
24歳・♀・AA
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD

●リプレイ本文

「戦況はこちらに有利になってきているとはいっても、気を抜けば逆転されるおそれもあるから、気合を入れていかないとね」
 アーク・ウイング(gb4432)の呟きに、神棟星嵐(gc1022)は――
「春日基地はもう目前‥‥立ちはだかる敵は排除あるのみ」
 と冷たい声を出した。あの赤いティターンとの決着は、いずれ付けると。
「‥‥もういい加減この戦域から出て行ってもらいたいものね。そのためにも流れを引き寄せないと‥‥」
 紅 アリカ(ga8708)は操縦桿を握りしめる手を少し緩めると、吐息した。
「ここまで順調に来てるんだから、ここでコケる訳には行かないよね。最悪でも押さえないと。アリカさんよろしく!」
 M2(ga8024)の元気な声に、アリカは肩をすくめた。
 ソーニャ(gb5824)はレーダーに目を落とし、青いティターンの存在を確認する。
「洋子さんか。初陣からの付き合いだね。空と陸で実際まみえる機会は少なかったけど空のボクは一味ちがうよ」
「さて、いよいよ大詰めとなってきましたが、油断なく気を引き締めて参りましょう」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)は言って、友軍各機の様子をちらりと見やる。バンクサインを送れば、カルマ・シュタット(ga6302)が同じくバンクで答えた。
 ‥‥九州の動きも大分人類優勢になってきたな。ここで巻き返しをされないようにしっかり抑えて行きたいところだ‥‥。
 カルマは胸の内に呟きつつ、レーダーに目を落とした。
 酒を酌み交わしたこともある‥‥在りし日のダム・ダル(gz0119)を思い出して、カルマの記憶は一瞬遠くへ飛んだ。
 夢守 ルキア(gb9436)は骸龍のコクピットで、コンソールを操作していく。偵察用カメラ起動、HWのジャミング源特定、管制優先。各機とデータリンク。幸運のメダルは忘れない――。
「幸運ショタっ子ルキア、参上! あー、あー、私の随伴として4機。残りは両翼に9、中央8機。ブレス・ノウで、予測のデータを送って。策があるのか、知りたいんだ、協力して」
「了解夢守」
「ユーリ君のタクティカル・プレディレクションも頼りに、追い付かないならデータ送って解析お願いするよ」
「了解したよ」
「各機HW対応、敵が劣勢な方を優先。高度を上中下のKV三段重ねで、標的を絞りにくくして最低3機で行動。1機攻撃、1機背面死守、1機索敵、トリプルKVだよ。それから――慣性制御装置は持って帰る」
「ラジャー」
「さて、全機エンゲージに備えて!」

 バグア軍陣営――。
「司令、UPC軍は38機です。敵の中には、見知った者も多いようですが」
 高橋の言葉に、ダム・ダルは頷いた。
「戦いの中では時として敵に対しても友情が芽生えることがある。優れた敵にはそれなりの敬意を表することは恥ではない。彼らにもそれなりの敬意を払って然るべきだな」
「その言葉を聞いて安心しました」
 洋子の返礼に、ダムはコクピットで肩をすくめる。
「奴らにここまでやられたのは一体誰だ」
「失礼しました。何れにしましても、本気で取り掛かりませんと」
「いっそUPC軍と休戦協定でも結んで本星から援軍が来るのを待つか」
「そうしている間に、我が軍はここから逃げ出すことになるでしょう」
「我が軍か。私は逃げることは出来ないが――」
「司令‥‥」
「行くぞ。お前たちには不本意だろうが。今は私に付くしかない」
「それは承知しております」
「なら結構だ。全機エンゲージに備えろ。奴らを叩く――」

「高橋麗奈との決着、つけたいところですがそれは春日基地での決戦まで取っておきましょう」
 神棟は加速すると、HWの集団にブラックハーツにフォトニッククラスターを叩き込んだ。閃光がHWの集団を焼き尽くす。
「行くよみんな、ミサイル発射!」
 アークはK02ミサイルを放出。
「FOX2!」
 傭兵たちはミサイルを次々と撃ち込んでいく。
 新型HWの動きは鋭いが、傭兵たちのナイトフォーゲルも常に進化している。追いつけない動きではない。ミサイルはHWの集団を捕えた。
「駄目だ! この新型機でも、ナイトフォーゲルに追いつけない! バグアの科学も限界なのか!」
 バグア軍のパイロットが狼狽の声を上げて叫ぶ。
「持ち堪えろ! 我々はただやられるだけでは終わらない!」
 UPCの傭兵たちは、雑音に混じって流れてくる敵の声に手応えを確信して勢いづく。
「よし! 一気に敵集団を叩くぞ! 失った同胞たちの無念を知れ!」
「新型と言ってもやれない相手ではない、早々に退場願います!」
「アーちゃんには何か不自然な気がしますが‥‥」
 突進する神棟らの後ろで、アークは一抹の不安を覚えた。
「ロックオン! 捕えた! くたばれバグア人か強化人間か知らんがな!」
「行きますよ――」
 次の瞬間、HWがアクロバットに旋回してプロトン砲を叩き込んで来る。フラッシュが傭兵たちの網膜を焼いた。
「何だ――!」
「そう簡単落ちるものかよ傭兵。引っかかるとは人が良いな」
「一流の闘牛士は操る術を心得ているものだ」
 バグア軍の声に、傭兵たちは軽く頭を小突いた。
「やってくれますね‥‥ですが、いい教訓になりましたよ」
 神棟は態勢を立て直すと、レーザーで牽制しつつ敵との距離を保つ。
「やっぱり、簡単な相手ではないですね。アーちゃんの読み通り」
 アークはミサイルを叩き込み、旋回する。
「新型HWを甘く見るなよ傭兵ども。お遊びはこれまでだ!」
 加速するHWに、だが傭兵たちは冷静に対処する。
「今更奮起するか、やれない相手じゃないだろう。ボリビアでは大負けしたくせに」
 音速を突破してアクロバットなドッグファイトが繰り広げられる。空中戦は互角。
 神棟は、回線を開いて後方のティターンに言葉をぶつける。
「高橋! まだ生きていたのだな。失敗続きではバグア軍にいるのも辛くはないのか?」
 やや間があって、コクピットの中で高橋麗奈は思案顔で応える。
「ああ神棟星嵐。実に辛いよ。お前たちのおかげで、熊本から追い出された上に、福岡南を瞬く間に失った。私の責任は重いし、この戦いにも正直疑問が湧いてきたところだ」
 神棟は慎重に言葉を選びながら、もう一度呼び掛けた。
「高橋、もしこちら側へ来るというのなら手を貸すが」
 神棟は高橋が爆発するのではないかと思っていた。今までの高橋なら、挑発には簡単に乗ってくる。
「神棟、もし本当に私が降伏すると言ったら信じるか」
 神棟は息がつまりそうになって吐息した。
「こいつ‥‥」
 それから神棟は、HWを相手取りながら、更に言った。
「よし高橋、武装を解除してこちらへ向かってこい。そのまま南で待機しろ、UPCが貴公を保護する」
「‥‥‥‥」
 束の間の沈黙があって、高橋の笑声が回線に響いた。
「やるじゃないか神棟。もっと簡単に行くと思ったがなあ」
「当然だろう。自分とて貴公が思っているほど馬鹿じゃない」
「そうか! なら話はこれまでだ!」
 赤いティターンが加速する。
 神棟は真正面からブーストで相対する。
「来たな! なら、正面から挑むのみ! 勝負だ、高橋!」
 直撃コースの攻撃のみ上下左右にローリングしながら回避をして、真スラスターライフルと各副兵装の残弾を余す事無く打ち込む。
「ブースト全開‥‥行くぞ、黒き王者!」
「お前との遊戯も今日で終わりにしてやるわ!」
 ルキアの声が回線に流れる。
「右翼各機、ティターンの突進に備えて」
「アーちゃんサポートに回ります」
 神棟の後ろに着いたアークは、ライフルで牽制する。
「回避は最低限‥‥やるなら、今しかない!」
「貫けティターン!」
「ブラックハーツ起動。全弾持っていけ!」
 神棟機と高橋機が交錯する――。
 直後、神棟のペインブラッドが炎に包まれた。
「神棟機、離脱して」
「まともには行けない」
 アークは後退するが、赤いティターンは殺到してくる。
「アーちゃん――」
 アークはライフルを連射しつつ後退したが高橋は全弾弾き飛ばして反撃の銃撃を叩き込んできた。瞬く間に炎上するシュテルン。
「やっぱこれ拙いよ‥‥全機警戒して!」
 さすがのルキアが焦る。

「‥‥そっちへ‥‥追い込むわよ‥‥!」
 アリカはアハトレーザーを叩き込みつつ、HWを追いこんでいく。
「よし、いい感じです! 命中必殺!」
 M2はトリガーを引き、HWをライフルで撃ち貫いた。
「UPCか、さすがにつわものが揃っている。新型機でも簡単には行かぬかよ」
 しかし落ちないHWの反撃がKVを後退させる。
「アリス、Mブースター起動、ラージフレア展開! クッまだまだー、通常ブースト緊急回避」
 ソーニャも激戦の中にある。
「ボクらに許された空は戦いの空だけ。この戦いの空で誰よりも自由に優雅に飛翔する。その為のエルシアンだ!」
「‥‥バグアがいかに強大でも、私たちは星へ手を伸ばすことを諦めない‥‥」
「俺には勇気も大してないけどね! 仲間たちがいるから挫けないでいられる!」
「厳しいのは知っている。無茶はしない。この戦いの第一目的は制空権の確保。落とされるわけには行かない。無理はダメだよ。‥‥無理はしないがチャンスはいただく」
 ソーニャは言って、ファントムから立て直してトリガーを引いた。
「ボクはそんなに強くない。しかしエルシアンは決して落ちない。あの子が見たエルシアンそのままに」
 そこで、洋子の蒼いティターンが姿を見せる。
「では、あなたたちの絆に敬意を表して、撃墜させて頂きましょう」
「‥‥言ってくれるわね‥‥強化人間‥‥洋子」
「私は権謀には疎いかも知れませんが、あなたたちを手玉に取ることは出来ます。私は高橋ほどお人よしではありませんからね‥‥」
「‥‥行くわよ‥‥!」
 アリカは加速した。
「ふん‥‥」
 洋子はティターンを機動させ、アリカのシュテルンとドッグファイトに入る。
 アリカが放つアハトとライフルはことごとく回避される。ブースターで加速するKVも尋常ではないが、ティターンの機動も化け物じみている。洋子の手腕か、ティターンが凄まじいのか。
「アリカさん‥‥食らえ洋子!」
 M2は電磁加速砲ブリューナクを叩き込んだが、アクロバットに回避したティターンは間髪いれずプロトン砲を叩き込んで来る。
「わわ‥‥!」
 爆発炎上するM2機。
「M2君危ないよ!」
「離脱します! ごめん!」
 ルキアのナビゲートに従って、M2は離脱する。
「‥‥何て‥‥」
 アリカはK02を全弾放出したが、ティターンは流れるように回避して行く。
「まだまだ春日へは行かせません。私たちは突破口を開きます」
 洋子は言うと、突進して銃撃をアリカ機に叩き込んだ。瞬く間に炎上するシュテルン。
「‥‥さすがね洋子‥‥予想以上‥‥悔しいけど‥‥」
 アリカは善戦したが撤退する。
 残るソーニャは回線を開いて呼び掛けた。
「ダムは教えてくれないからね、洋子に聞いてみよう」
「何ですソーニャ傭兵」
「強化人間になると人が変わるの? 考え方や価値観が変わる? 記憶はあるの? 安らぎや幸せを感じるの? それとも戦いへの渇望を刷り込まれた唯の道具? 戦い以外生きる術を奪われた奴隷? 貴女の望みはなに? 望む世界はあるの? この戦いの果てに望みはあるの? その世界をダムやバグアがくれるの?」
「なぜそんなことを気にするんですソーニャ」
「なぜそんなこときにするかって? 話すよ。次の機会があればね」
「そうですか‥‥ではその機会はありませんね」
 加速するティターンがエルシアンに殺到する。
「駄目だソーニャ! やばいぞ! 退け!」
 友軍が間に入る。
「逃げろ!」
 友軍1機が瞬時に撃破されて木っ端微塵になった。
「撤退だ! 急げ!」
 だがソーニャは洋子に捕捉されて撃墜された。
 不時着した機体が地面に叩きつけられ、コクピットからソーニャは投げ出された。

「あの中型を確保できれば大成果ですが」
 なでしこは言いつつ、ガトリングを叩き込んだ。HWはアクロバットに回避すると、反撃のプロトン砲を撃ち込んで来る。
「新型機‥‥凄いですね」
 なでしこは攻撃をやり過ごし、旋回する。
「なでしこさん、あの中型に、少し取りかかってみましょう」
 カルマは言うと、なでしこと協力して、PRMシステムを使ってアグニを叩き込んだ。中型の巨体に命中して凄まじい爆発を引き起こす。
「行きます! 帯電加速粒子砲!」
 閃光が直撃して、中型HWは爆発炎上するが、それでも反撃のプロトン砲が連射され、なでしこの機体を襲う。
「く‥‥! やりますねっ」
「ん‥‥気をつけて、FRが出てくるよ!」
 ルキアはレーダーに目を落として、友軍に呼び掛ける。
「全機トリプルKVを維持してね!」
「FRか‥‥いつもながらおいしいところで出てくる」
 カルマは言って前進すると、ツングースカで牽制する。
「ダム・ダル、そろそろお前も年貢の納め時何だと思うが、どう思う?」
「全くやってくれたなカルマ・シュタット。UPCはここでも奇跡を起こすのか。あの熊本の状況からひっくり返されるとは思っていなかったよ」
「答えになってない」
「答えを期待したのか」
 その次に、ルキアが仕掛ける。
「我々じゃなくてー、きみに聞いてるんだケド。名誉トカ、直ぐに消えちゃうモノが欲しい?」
「何だと?」
「戦士としては認めてるケド、だから皆必死に戦う。嘘じゃない、晒しあって感じる戦いの感覚――言わなきゃ、叫ばなきゃ、伝えなきゃワカンナイよ?」
「夢守ルキア、長く触れ合ってきて、正直に言うと私は人間たちが羨ましいのかも知れない。堅い絆で結ばれたお前たちを見ていると、私は孤独になる。私は孤独だ。最前線に送り込まれ、一人、滅びゆく運命だろう。私は耐えがたい孤独に苛まれているし、絆が欲しいと思う‥‥」 
「‥‥‥‥」
 傭兵たちはダム・ダルの告白に束の間耳を疑った。
 しかし、沈黙を破ってダム・ダルが笑いだすと、傭兵たちは我に返った。
「まさかこんな台詞を期待したか? そうだとしたらがっかりだがな。私が戦ってきたUPC軍はタフで頑丈な連中なはずだがな」
「ああそう、きみって奴は‥‥」
 傭兵たちは加速する。ルキアは随伴機とブーストで側面に回って射撃。
「軍KVは私のタイミングに合わせ、傭兵機の間を埋めるように包囲ね! 振り向いたら回避だケド、側面から軍KVも攻撃する波状攻撃へ――トリプルKVは忘れないで」
「御期待にそえなくて残念だよダム・ダル。お前を見くびるつもりはないがね」
 カルマは銃撃をばら撒いたが、ダム・ダルは全弾かわした。
「ダム・ダル――!」
 次の瞬間、ルキア機はFRのプロトン砲に捕まって爆発炎上した。続けてS01Hが立て続けに瞬殺される。
「ダム司令――」
 高橋と洋子の声が回線に流れる。
「右翼を制圧しました」
「こちらも、左翼を制圧」
「よし、こっちもすぐに片づける」
 ダム・ダルらが全面攻勢出てくると、傭兵たちは後退する。
「俺が殿を務める。今日は退こう。春日は逃げやしない」
 カルマは言って、仲間たちを逃がす。
 そうして、傭兵たちは撤退した。