●リプレイ本文
苅田町地上――。
「虎の子のガルガシリーズが登場か! それだけ奴らも追い詰められとる‥‥と言う事かな? 問題はスーパーガルガが出て来たときだが、如何したものかな」
孫六 兼元(
gb5331)は、愛機のオウガを前進させる。
「孫六様、ガルガへの一撃はお任せ下さいませ。ここでマリアンデールの真価を発揮する時ですわ」
櫻小路・なでしこ(
ga3607)の言葉に孫六は頷いた。
「うむ、櫻小路氏、ガルガとは生身でワシも相当にやり合ったが、今日はここでかたをつけてやろう! あのスーパーガルガにも、引導を渡してやるわい!」
「参りましょう――」
「敵集団、来るぞ。全面に無数のガルガが殺到してくる」
「いよいよですわね。さて、ここは遠慮なしに全力全開で参ります。お覚悟なさいませ」
櫻小路は友軍機を連れて前進すると、マリアンデールの掃射モードを解放する。
「SESエンハンサー起動、これでも食らえなのですわ!」
櫻小路はDR−M高出力荷電粒子砲を発射した。閃光がほとばしって、ガルガの戦列を貫通する。
「よし、撃て撃て!」
S01Hもライフルにレーザーを叩きつけた。
次々と粉々になって行くガルガの群れ。掃射モードで貫通したガルガの戦列は真っ二つになった。
「さて、まだまだこれからですわ! 掃射モード第二撃!」
冷却を完了して、櫻小路はもう一撃、掃射モードを叩き込んだ。ビームの光条がガルガの戦列を焼き尽くす。
「今更だが、もっと早くにKVを出しておれば良かったのではないか‥‥」
孫六は崩壊して行くガルガの戦列を見やりつつ、タイミングを図っていた。
「ガルガ集団、崩壊して行く」
「次来ます、中央にジャイアントガルガ、両翼からタロス――」
「うむ! ミカガミ隊、タロスを叩くぞ! ワシに続け!」
「おうよ!」
孫六は側面から敵陣に回り込んでいく。
「孫六様、こちらから支援します。ガルガを掃討しつつ、そちらへ向かいます」
「櫻小路氏、頼むぞ!」
「行くわよ孫六!」
孫六たちは、スロットル全開で装輪走行で加速すると、市街地を一気に駆け抜けて行く。
ジャイアントガルガは咆哮すると、レーザーやガトリングを叩き込んで来る。
「そうはさせませんよ! みんな! 敵前面に集中砲撃!」
櫻小路は加速すると、友軍各機と連携して、ジャイアントガルガにレーザーにライフルを叩き込んだ。貫かれて咆哮するジャイアントガルガから反撃の銃撃が来る――が、櫻小路らは弾き返しつつジャイアントガルガを撃退して行く。
「行くぞバグア兵!」
孫六らは突進した。
タロスは剣を構えて飛びかかって来る。
一撃二撃と弾き返して、孫六は天雷でタロスを串刺しにした。
「歩兵隊がいないのは幸いだ! ガルガもまとめて踏み潰してくれる!」
孫六はタロスを投げ飛ばすと、ミカガミと連携して次に切り掛かって来るタロスの剣を弾き返した。
「孫六兼元! 北九州での借りは返させてもらう!」
「お前たちはよくやった! 敵ながらあっぱれよ!」
反転して高速で一撃を振るうタロスのそれを受け止め、孫六は天雷でタロスを突き破った。
「ぬう!?」
その時である。赤い閃光が孫六機に突進してきた。激突――。
その姿を確認する。
「スーパーガルガ、来たか!」
真紅の光に包まれた超キメラの飛び蹴りがオウガを直撃。震動が来る。
「これまでの因縁を決着をつけてくれるぞ! KVがある以上今までのようにはいかん!」
孫六は大般若に持ち替えると、スーパーガルガを切り裂いた。スーパーガルガの腕が飛ぶ。
――オオオオオオオオ! 弾丸のように突進してくるスーパーガルガを受け止め、孫六は大般若を叩き込んだ。スーパーガルガの頭が粉砕された。
それでも起き上がって来るスーパーガルガは、爆発的な赤い光を放って、加速してくる。激突! オウガが激しく揺れる。
「お前の命運もここまでだ‥‥スーパーガルガ!」
孫六は大般若を振り下ろすと、スーパーガルガを一刀両断した。
苅田町上空――。
「地上部隊と連携しつつ空爆開始、よろしく頼むよみんな」
夢守 ルキア(
gb9436)の言葉とともに、雷電五機が低空飛行で侵入し、フレア弾を投下して行く。
地上のガルガが次々と焼き尽くされて行く。
「さーてと、ブロンズ(
gb9972)、ただ今ここに堂々と復帰いたしましたっとね」
ブロンズは機体を傾けると、K02ミサイルを放出する。
「FOX2、受けてみろよ!」
放出された500発のミサイルがHWに向かっていく。
「単機で影響力を行使するとなると、ちょっと考えないとね。新型HWが11、こちらの戦力の大半がダムと地上ガルガ対策に割かれるとなると、HWを引き付け、引きずりながらも1機づつ分断して落とすしかないね。結構、職人技だね。上手くやるからほめてよ」
ソーニャ(
gb5824)は険しい顔でアフターバーナーを吹かせると、
「行けー! エルシアン!」
と加速した。
K02ミサイルが次々と命中すると同時に、ロビン隊とともにHWに突進する。
「ディープブルー、行くぜ。生まれ変わった姿を見せてやろう」
ブロンズも加速した。
「傭兵たち、我々は最後にはUPCを粉砕する、最後に勝つのは我々だ!」
「そうも言ってられんだろ。お前たちは確実に追い詰められている」
ブロンズはバレルロールで加速すると、HWの側面に食らいついてライフルを叩き込んだ。銃撃がHWを粉々に吹き飛ばした。
ソーニャはアリス起動、マイクロブースト起動させ、高機動でHWを巧みに操る。
「ここで貴様を落とす! ソーニャ!」
「ボクたちは分かり合える、そんな日が来るかもしれないけど、今あなたに落とされるわけにはいかないんだよ」
そこで友軍のロビンがHWの背後を取る。
「捉えた! FOX2!」
「に――!」
「次行くよ」
ソーニャはバレルロールで旋回すると、HWの中へ飛び込んでいく。
フェニックスとイビルアイズと組んだ夢守は、三機一組みでHWに仕掛ける。
「と‥‥ダム君が遊びに来た〜」
夢守のレーダーがファームライドを探知する。
「地上のみんなも注意して。ダム君が出て来たよ」
そのまま、夢守は友軍とHWに向かう。
「HWは任せられてみるね〜」
「よし、シラヌイにロビンは来い。ダム・ダルを押さえに掛かる」
ブロンズは果敢にファームライドに攻めかかって行く。
「闘士ブロンズか‥‥久しぶりだな」
「今日のディープブルーは一味違うぜ、ダム・ダル。みんな散れ!」
ソーニャは例によってダム・ダル(gz0119)との回線を開いた。
「やあ、さすがダムだね、よくここまで戦力をそろえてくる。しかし、このままじゃぁ疲弊していくだけだよ。中国からの支援はない。もっともウォンってそんなことするタイプじゃないし、負けた者は切り捨てるタイプなんでしょ。ボクにとってこれは興味深い状況なんだよ。君が九州を離脱しても中国に戻れない。ここでボクたちとすりつぶしあって消えていくなんてのはつまらない。大規模戦で中国のバグア勢力は大きく後退した。これは君の枷が外れたってことじゃないかな。君はどこへ行くの? なにをするの? 最後までみせてよね。いまさら殺すってのはなしね。ボクを生かした責任、ちゃんととってね。最後まで見てるから」
「ソーニャか‥‥そろそろ、答えが見えてきたのかも知れんな。これまでの戦いが証明している。私の取るべき道は、北九州での戦いに決着を付けること。つまるところそれしかないのかも知れん。バグアは誇り高い種族だなどと言うつもりはないが、私に残されたのは、ここで最後を見届けること、それしかないのかも知れん。それが例え、自らの最後であってもな」
「だったら、君の最後を見届けよう。確かなことは一つ。まだボクたちは生きてるってこと」
「そうだな」
ファームライドが弾丸のように突進してくると、傭兵たちの攻撃をアクロバットにかわして次々とプロトン砲を叩き込んで来る。
「怯むなよみんな、奴の退路を絶て! 取り囲むんだ!」
傭兵たちは旋回しつつ、ファームライドを追いこんで行く。
ダム・ダルは反転しつつプロトン砲を連射するが、傭兵たちは耐えた。
「今だ! 一斉攻撃!」
包囲網からありったけのミサイルとレーザー、銃撃をファームライドに叩きつける。それでもファームライドはアクロバットに回避行動を取るが。そこへブロンズの螺旋弾頭ミサイルが直撃する。
「ち‥‥囲まれたか」
ダム・ダルはコクピットの中で周囲を見渡した。今のミサイルで光学迷彩は使えない。こうなれば突破するしかないが、今日は傭兵たちは頑丈な包囲網を敷いている。巧みにファームライドの動きを封じていた。
さらに傭兵たちの一斉攻撃が来る。全てかわすのは不可能とダム・ダルは悟った。ならば、直撃覚悟で突破するしかない。
ファームライドは加速した。しかし、ブロンズたちがファームライドの正面に浴びせた攻撃はダム・ダルの想像を越えていた。
ファームライドのフォースフィールドをミサイルが突き破った。爆発と閃光がコクピットでスパークする。
「何――!」
ダム・ダルは機体を立て直そうと試みたが、不可能だった。失速するファームライド。
「まさか‥‥とんだ失態だな。ここでやられるとは‥‥予想外だ」
ダム・ダルは覚悟を決めると自爆装置を作動させた。ファームライドの周囲からスモークが立ち上る。
「だがまだ終わってない。ハンデが一つなくなっただけだ」
ダム・ダルはコクピットから身を乗り出すと、そのまま機体を落下させつつ身を投げ出した。
傭兵たちは煙幕に包まれたファームライドに目を向けていたが、ダム・ダルが脱出したところは見えなかった。
「何だ、どうした?」
さすがにブロンズもファームライドを撃破したかどうか、判別が付かない。
直後、大爆発が起こって、ファームライドは木っ端微塵に吹き飛んだ。
「え? ファームライド、ロストした」
夢守は、HWを相手取りながら、それを確認した。
「どうやら‥‥ファームライドは爆発したようだ、やったぞ!」
ブロンズは拳を打ち合わせた。
「ダム君は不明か。多分生きてるだろうけど」
夢守は言いつつ、目の前のHWに向かっていく。
「みんな本当にファームライドは落ちたみたい。でも気を抜かないで。今はまだ目の前のHWを撃墜することを考えて」
「了解した夢守。だが、本当にファームライドは撃墜したとは。信じられんな」
「確かにそうだけど、後で地上を捜索しよう。残骸が残っているかもね」
「オッケー、ひとまず、目の前の連中を片づけてからだな」
行橋市地上――。
「ダム・ダルはいないけど‥‥目の前の敵は油断出来る相手じゃないな」
カルマ・シュタット(
ga6302)はそう言って加速する。
「まずはゴーレムから。みんな支援攻撃よろしく!」
カルマは態勢を低くして装輪走行で突進すると、ロンゴミニアトを構えて突撃した。
凄絶な破壊力を持った機槍がゴーレムを貫通する。爆発轟沈するゴーレム。
「そのシュテルンはカルマ・シュタットです‥‥下がりなさい。お前たちの手に負える相手ではありません」
洋子の青いティターンが前に出てくると、ズン! と剣を地面に突き立てた。
「洋子か‥‥来い、こっちだ。お前の相手をしてやるさ」
「カルマ・シュタットですか‥‥並々ならぬ相手ではありますが、そのシュテルン、また私が頂いて行きましょう」
「ならこっちだ!」
後退するカルマに、洋子は爆発的な勢いでティターンを加速させた。一気に距離を詰めてくるティターン。一撃、二撃と弾きつつ、カルマは後退して、スモークディスチャージャーを放出した。
「煙幕‥‥? 無駄なことです」
「みんな! 今だ! 俺ごとティターンを貫け!」
「何?」
次の瞬間、傭兵たちはありったけの銃撃をカルマのシュテルンに命中する危険を冒してティターンに叩きつけた。
「カルマ・シュタット、何を!」
「俺の捨て身の作戦さ洋子!」
カルマは飛びかかると、ティターンを押さえつけた。ティターンの足が飛ぶ。
カルマの機体も片腕が飛んだ。
「何て男‥‥しかし‥‥」
洋子は慣性制御で機体を起こすが、直後、カルマの機槍にティターンの胴体を破壊された。爆発するティターン。
「逃がすものか!」
「おのれ――!」
洋子はプロトン砲を連射した。
カルマ機は直撃を弾き返しつつ、ティターンに槍を撃ち込んだ。それはティターンの限界を越える一撃であった。
「く、まさか‥‥」
洋子は、爆発したコクピットで、吹き飛んだ自らの脇腹を押さえていた。大量の出血が、洋子の意識を奪っていく。
「カルマ・シュタット‥‥どうやら私は死ぬ‥‥私の力は‥‥ここまでだったようです‥‥私は最後まで‥‥バグア兵だった‥‥」
そこで機体は爆発した。洋子はティターンもろともこの世から消えた。
行橋市上空――。
「春日基地を攻め落とすためにも、ここは勝っておかないとね」
気合を入れるアーク・ウイング(
gb4432)は、K02ミサイルを放出する。
「いくよ、FOX2!」
「ミサイル発射!」
破暁、オウガ、ロビンからもミサイルが放出される。
アークは初撃でK−02ミサイルを全弾発射。さらに、次ターンで予備のK−02を全弾発射。次々と命中するミサイル群に、HWが数機爆発轟沈する。
「ちっ‥‥行くぞUPC! まだ終わってない!」
高橋麗奈の赤いティターンが加速してくる。
「来たか‥‥」
ヒューイ・焔(
ga8434)はハヤブサを加速させると、バルカンを叩き込んだ。弾き返すティターン。ミサイルを撃ち込むが、こちらも弾かれた。
「全機高橋のティターンの兵装に集中攻撃――行くよ!」
アークの声を合図に、傭兵たちは一斉攻撃を叩き付けた。
「FOX2!」
ミサイルの一斉攻撃を、赤いティターンは全弾受け止めた。轟炎の中から姿を見せる。
「お前に話がある高橋‥‥」
ヒューイは死角から接近すると、剣翼で切り掛かると見せかけて、20mmバルカンを叩き込んだ。
「聞けぇ!!! ‥‥好きだぁ!!!!」
高橋はヒューイの攻撃を受け止めつつ、ゆっくり答えた。
「私もお前のことが好きだヒューイ・焔」
それから、プロトン砲を連射する。
「ああそうともヒューイ、殺したいほどにな!」
「そうかよ‥‥と!」
ブーストと翼面超伝導流体摩擦装置を同時起動し、反転すると剣翼で可能な限り切り裂きまくる。
そこで、ダム・ダルの声が流れてくる。
「高橋。撤退しろ。ファームライドが撃墜され、洋子が死んだ。態勢を立て直す」
高橋はその言葉に衝撃を受けたが、すぐに立ち直った。
「了解しました。兵を引きます」
そしてバグア軍は撤退した――。
「さて‥‥どうやら、ダム君は健在のようだけど」
夢守は、地上に降りて、ファームライドの残骸の前にいた。
「あのファームライドは、本当に撃墜したんだな」
ブロンズの言葉に、夢守は頷いた。
「一つは、ぎゃふんと言わせたってところかな」
この大きな戦果を、傭兵たちは熊本基地へ持って帰った。