タイトル:【AP】銀河の戦い2マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/04/12 06:58

●オープニング本文


 宇宙暦685年、銀河系の外縁部におよそ1000個のバグア遊星が侵入、バグア人は銀河連邦に宣戦布告し、連邦の諸国には緊迫した空気が張り詰めていた。連邦艦隊はバグア遊星による初期の攻撃を持ち堪え、反撃を開始しつつあった。
 しかし戦闘が続く中、明けて686年、連邦の首都星である地球が4月を迎えようとする頃、バグア遊星4個からなる軍勢がマール=テール星系に侵入。バグア軍は苛烈な攻撃を以ってオリビアンデル共和国の首都星リグ=タールに達しようとしていた‥‥。

 バグア遊星内部――。
「――司令官、オリビアンデルの護衛艦隊は撃破しました。このまま抵抗が無ければ、首都星リグ=タールまであと一日で到達できるでしょう」
「よろしい。よもや、連邦艦隊がここまで精強だとは予想外だったが。本当ならとっくに地球は落ちているはずだった」
 バグア人の司令官は、唸るように言った。
「確かに、連邦艦隊は油断できません。我が軍もすでに20個近い機動要塞を失っています。これほどの代償を払うことになるとは‥‥」
 副官のバグア人は言葉を探した。
「ああ、信じ難いことだな。だが事実だ。我々の機動要塞を破壊したのはこの宇宙で連邦艦隊が初めて。彼らは、我々にとっても、未知の敵と言うわけだ」
 そこでオペレータが鋭い声を出す。
「連邦艦隊が出現! マール=テール星系に敵艦隊がワープアウトしてきます!」
「司令官」
「やはり来たな。連邦がそう簡単にオリビアンデルを明け渡すはずがない。全軍戦闘態勢――! リグ=タール攻撃前に連邦艦隊を撃滅する! 行くぞ!」
 四個のバグア遊星は向きを変えると、連邦艦隊に向かって動き始めた。

 ――マール=テール星系に到達した連邦艦隊は、祈るような人々が残るリグ=タールに通信を送り、バグア軍を迎撃すると伝えた。
「こちらは艦隊司令部です。みなさん、ぎりぎりとなって申し訳ない。これより艦隊の総力を以ってバグア軍を迎撃します。どうか、希望を捨てないで下さい」
 艦隊司令部からのメッセージに、オリビアンデル共和国の大統領ウィル・カーソンは安堵の息を漏らした。
「艦隊が間にあって良かった。時間はほとんどなかった。私たちはこれから最後の市民とともに脱出する。どうか、バグア人の攻撃を食い止めてほしい」
「必ずやバグア軍を撃退します。ここは艦隊にお任せ下さい」
「頼む」
「失礼します大統領」
 そうして、連邦艦隊もまた、進路を変えたバグア遊星の迎撃に向かう。
「全艦最大戦速! 敵機動要塞を迎撃する! これ以上バグアどもの侵入を許すな!」
 ナイトフォーゲルを満載したそれぞれの艦隊が動き出す。
 パイロットたちもいよいよ出番が迫って戦闘前の緊迫の中にいた。
「いよいよだな。また奴らの星を叩き潰してやるまでさ」
「そうね。私たちにとってはいつだって負けられない戦い。オリビアンデルは必ず守って見せるわ」
 マール=テール星系の命運を決する戦いの幕が上がろうとしていた――。

※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません。

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
井出 一真(ga6977
22歳・♂・AA
紅 アリカ(ga8708
24歳・♀・AA
来栖 祐輝(ga8839
23歳・♂・GD
ヒルダ・エーベルスト(gb9489
15歳・♀・SF
ネオ・グランデ(gc2626
24歳・♂・PN

●リプレイ本文

「諸君、艦隊指揮を務めるネオ・グランデ(gc2626)だ――」
 宇宙艦隊の全機モニターに、初老の艦隊司令官の顔が映る。
「良いか、この戦いに後退はあり得ない。何故ならば、我々のすぐ後ろには守るべき人々がいるからだ。分かるな‥‥ならばAhead!  Ahead!  Go Ahead!! だ。無粋な侵略者どもに、我々の力を見せつけてやれ」
「了解しましたグランデ提督。我ら宇宙艦隊の力、見せてつけてやりましょう!」
「KV隊、全機攻撃態勢整っています!」
「‥‥提督、勝ってこの戦い終わらせましょう‥‥私も微力を尽くします‥‥」
「私の役割はこの星の人々を守ること。提督、私たちの総力を挙げて、あの侵略者たちからオリビアンデルを守らなくては」
 KV隊の白鐘剣一郎(ga0184)、井出 一真(ga6977)、紅 アリカ(ga8708)、ヒルダ・エーベルスト(gb9489)らの顔が、メインモニターの一角に映ると、グランデは頷いた。若いエースたちの頼もしい顔は、グランデを勇気づけた。
「頼むぞ諸君ら、この戦いに、共和国の命運が掛かっている。マール=テール星系から連邦への侵入を許すわけにはいかん‥‥。KV隊、全機出撃せよ。艦隊の攻撃とともにヘルメットワームを迎撃。敵遊星内部への突入を敢行する」
「了解――」
 KV隊のメンバーの顔が消える。
「提督、全艦発進態勢整っています。各艦隊司令官、提督のご命令を待っています」
「うむ‥‥」
 副官の言葉に、グランデは艦橋に立つと、腰の後ろで手を組み、モニター越しに見える脅威のバグア遊星を見据えた。
 宇宙艦隊はグランデ提督の命令を受けて、中央に4個艦隊を菱形配置、両翼に3個艦隊づつで鶴翼の陣を取っていた。旗艦は最後尾。
 旗艦はユニヴァースナイト壱番艦・宇宙戦仕様ノア、主砲――レヴァイアサンを装備。長射程・高威力を誇る最大の武器である。また艦隊共通装備として強力なシールドを持ち、各艦主砲を装備している。宇宙艦隊は強力である。
「まずは敵護衛艦隊・敵遊星対空砲火を叩け。両翼は縦に伸ばして敵を押さえよ。敵遊星は突入口付近の対空砲火を優先して攻撃、突入部隊の道を作れ」
 グランデはそう言うと、号令を下した。
「全艦攻撃開始――」

 剣一郎は愛機を加速させた。
「我々の故郷は、我々自身の手で護る。なればこの身を一振りの剣と為し、あらゆる敵を薙ぎ払うまで! 往くぞ『流星皇』。白鐘剣一郎、推して参る!!」
 流星皇が爆発的な勢いで宇宙を蹴った。長大な機刀がヘルメットワームを切り裂く。その機体は、往年のシュテルンの面影を残す鎧武者風だ。
「俺が生きて来たこの世界‥‥かけがえのない物をお前たちは奪った‥‥! その報いは受けてもらうぞバグア人!」
 と、プロトン砲の集中攻撃とともに群がって来ヘルメットワームの砲火を受け止め、流星皇が後退しつつ刀を薙ぎ、武蔵のような構えを取った。
「行くぞ! 斬○刀・破斬剣――!」
 加速する流星皇の機刀がヘルメットワームの集団を粉砕する。
「食らえ! 斬○刀・竜巻旋――!」
 続いて、ヘルメットワームの集団に刀を振るえば、猛烈な竜巻が宇宙の真空に湧き起こり、エネルギーの波動がそれらをかき消した。
「行くぞ! 信じ難い物を見せてやる侵略者ども! 宇宙艦隊のKVの力を! 見せてやろう!」
 ナイトフォーゲルが続々と突進して行き、圧倒的な制圧能力で戦場を飲み込んでいく。
「G機関1番2番、マニュアル制御。出力安定、発進!」
 井出も愛機を加速させる。井出は整備士上がりのパイロット。機体性能をフルに引き出すことを得意とし、戦闘中でも細やかな機体調整を行うことが出来る。その特技から試作大型機を任された。
 その機体は、往年の阿修羅をモチーフとした大型KV。
 井出は各種コンソールを操作しながら、モニターをチェックする。
「エネルギーフィールド展開、出力最大――」
 KVのたてがみ部分からエネルギーが放出され、強固なバリアとなって展開する。
 ヘルメットワームのプロトン砲に微動だにしない。
「照準OK、捉えたぞ。ミサイル――発射!」4
 ミサイルポッドから放出されるミサイル群が、ヘルメットワームを飲みこんでいく。命中爆発して、宇宙空間に閃光がきらめく。
「こちら井出、白鐘さん、いつでもいけますよ」
「了解、敵戦闘力を後退させたら、俺もそちらに向かう!」
「よろしく」
 井出は言いつつ、プロトン砲を弾き返すと、速射キャノンでワームを撃ち落としていき、さらに突撃して四肢の爪でヘルメットワームを切り裂いた。
「‥‥行くわよ‥‥黒羽の騎士‥‥」
 アリカの黒い機体が宇宙の闇を駆け抜ける。シュテルンG・アサルトカスタム「黒羽の騎士(ブラックフェザー・ナイト)」。黒翼が羽ばたくと、黒羽の騎士は加速して、ヘルメットワームを撃ち落としていく。圧倒的な運動能力で、宇宙を飛び、ワームを次々と打ち落としていく。
「‥‥ここであなたたちに好き勝手にはさせないわ‥‥バグア人‥‥! ‥‥宇宙艦隊が健在である限り、必ず私たちが止めるわ‥‥」
 言うと、アリカは手元の操縦桿を操った。プロトン砲の集中砲撃を、アクロバットにかわしつつ、何と攻撃を分身で回避する。
「‥‥当たらないわよ‥‥!」
 アリカは急停止からまた加速して、ヘルメットワームを機刀で真っ二つにした。
「‥‥これでも‥‥!」
 背中の翼からミサイルを放出すると、数百のミサイル群がヘルメットワームに襲い掛かる。
 逃げるヘルメットワームを追尾するミサイル群が、次々と敵集団を飲み込んでいく。
「‥‥PRMシステム∞‥‥起動!」
 圧倒的なジェネレータ出力で増幅された機体能力から、レーザーを連射する。一撃ごとにヘルメットワームが星屑となってきらめき消えて行く。

「ヒルダ・エーベルスト、行きます!」
 ヒルダ・エーベルスト――代々軍人の一家に生まれ、英才教育を受けて育ち、本人の才能もあって軍でも指折りのエースとなった天才少女だ。
「行きますよバグア人! そしてみなさん! この戦い、必ず勝って終わらせましょう!」
 加速するヒルダの機体――。巧みな天才的な操縦でワームの砲火を圧倒的な機動力ですり抜けると、全身からビームを放出してワームを次々と撃ち落としていく。
「そこ!」
 ヒルダの瞳が鋭利な光を帯びる。アクロバットに加速したヒルダ機は、プロトン砲をかいくぐって敵陣を切り裂き、穴を開ける。
「私たち銀河連邦のパイロットの誇りに掛けて、あなたたちをここから通さない!」
 ヒルダは斥力スラスターを全開で機体を縦横無尽に操ると、周辺のヘルメットワームを一掃して行く。

「敵機動要塞からさらにヘルメットワームの増援が来ます!」
「各KV隊、迎撃せよ――!」
「デルタワンからデルタファイブ、各戦闘機中隊は援護に回って下さい――!」

「俺の行く手を阻むならば、その全てを斬り捨て御免!」
 剣一郎は爆発的な瞬発力でプロトン砲を放ってくるヘルメットワームに加速して、機刀で一撃のもとに切り捨てる。
 だがヘルメットワームの数は凄まじく、KV隊も撃墜されて行く。宇宙空間に乱れ飛ぶ閃光は、剣一郎の感情を揺さぶった。
「来るがいいバグア人! 我が流星皇に断てぬもの無し!」
 ヘルメットワームを叩き落しつつ、戦艦級の大物を狙って戦場を駆ける。
 悠然と姿を見せる大型ヘルメットワームに接近して行く。飛び交うプロトン砲をアクロバットに回避しつつ、剣一郎は飛び込んだ。
「これが、獅子王の切れ味だ! 試してみるか!」
 剣一郎は大型ヘルメットワームを真っ二つに切り裂いた。
 加速する井出の大型KV――光剣翼でヘルメットワームをことごとく撃墜して行く。叩きつけられるプロトン砲をものともせずに弾き返していく。
「ここまで来て‥‥負けるわけにはいかない!」
「‥‥行くわよ‥‥!」
 アリカは、宇宙空間を翼をはためかせ、飛び、ミサイルを放出した。無数のミサイル群がヘルメットワームを撃破して行く。
 更に加速すると、機刀でヘルメットワームを切り裂いていく。
「アリカさん! そっちへ大型ヘルメットワームが行きます! 見えますか!」
「‥‥ヒルダさん‥‥了解、確認したわ‥‥」
「私が援護します――アリカさんの方で撃墜を」
「‥‥やってみるわ‥‥お願い」
 ヒルダは全身からビームを放出して、周辺の小型ヘルメットワームを撃墜して行く。
「簡単には近づけないんだから!」
 ヒルダはヘルメットワームを掃射しつつ、ビームで敵機を薙ぎ払っていく。
 そこから、アリカは飛びだした。
「‥‥行くわよ‥‥!」
 加速すると大型ヘルメットワームに突進して行く。繰り出されるプロトン砲の嵐を、アクロバットに回避しつつ、飛びこむと、ミサイルを全弾放出する。
「‥‥これでも‥‥受けなさいバグア人‥‥!」
 大型ヘルメットワームを捉えるPRMシステム∞のミサイル群、大爆発が起こって、ワームは吹き飛んだ。
「やった! さすがアリカさん!」
「‥‥ありがとうヒルダさん‥‥待って‥‥? あれは‥‥?」
 アリカは、バグア遊星から解き放たれる超巨大なワームの集団を確認する。
「‥‥グランデ提督、こちらKV隊の紅アリカです‥‥敵機動要塞からギガワームの発進を確認しました‥‥これより迎撃に向かいます‥‥」
「こちらでも確認したアリカ君――」
 グランデ提督は言って、厳しい顔を見せた。
「艦隊も支援するが、KV隊には最前線で頑張ってもらわねばならんぞ。頼むぞ」
「‥‥了解しました‥‥」
 アリカは吐息すると、友軍と連絡を取る。
「‥‥こちら紅アリカ‥‥KV隊、ギガワームの攻撃に備えて‥‥」
「了解したアリカ。こちら白鐘。俺も井出と合流したところだ。ギガワームの迎撃に向かう」
 剣一郎は井出と合流して、連携攻撃の態勢に入っていた。井出の大型KVが獅子のような歩行形態に変形して、剣一郎の流星皇はその背中にまたがっていた。流星皇の機動力不足を、井出機の機動力で補う形だ。
「さすが自ら手塩に掛けた機体だけはある。頼もしいな(微笑)」
 剣一郎が呼び掛けると、井出は肩をすくめた。
「苦労したんですよこの機体にはね」
「では共に行こう。目指すは敵の首魁。今こそ駆け抜ける時だ!!」
「了解しました白鐘さん! 吶喊開始!」

 グランデ提督は腕を持ち上げると、それを振り下ろした。
「全艦砲撃開始!」
「ファイア――!」
「ファイエル――!」
 突撃するKV隊を支援する砲撃が始まる。
 と、そこでオペレータから警戒の声が上がる。
「提督! 敵機動要塞表面に高エネルギー反応!」
「敵も動きが早い。友軍もろとも主砲で吹き飛ばす気か‥‥全艦、シールド全開!」
「はっ! 全艦、敵機動要塞の主砲に備えよ!」
 直後、4個のバグア遊星から閃光がほとばしり、莫大な主砲の光が宇宙艦隊を貫通した――。

「艦長、敵機動要塞から主砲の発射を確認しました」
 部下の言葉に、来栖 祐輝(ga8839)は頷いた。
「味方はどうなっている」
「どうにか持ち堪えようですが、もう一度直撃を受ければ分かりません」
「そうか、どうにか間に合ったようだな‥‥」
 祐輝は艦長代理兼積載KV隊の隊長でもある。その旗艦は往年のUK弐番艦にどこか似た艦である。艦名はアルデバラン。多数の副砲・対空砲の他、前面シールドを張る事が可能。また主砲にはユニヴァースキャノンと呼ばれる広範囲に照射可能なものを搭載。
 宇宙艦隊所属艦であったが、改装の為戦場に遅刻してしまった。
 メインモニターにグランデ提督の顔が映る。
「遅刻だぞ来栖艦長」
「すみません、お待たせして申しわけない」
「いや、間に合って良かった。早速攻撃に加わってくれ」
「了解――」
 祐輝は頷くと、ユニヴァースキャノンの発射を命じる。
「撃ち返すぞ、主砲を発射――」
「了解しました、主砲発射」
 アルデバランの主砲が炸裂して、ヘルメットワームの集団をかき消した。
「KV隊全機発進、敵の迎撃に当たれ!」
 その後クルーに艦をまかせて祐輝も自身でKVで出撃。
「セイバー1より各機へ、これより敵遊星の攻撃に向かう。この戦いが終わったら全員一杯おごってやる‥‥全機突撃ッ!!」
「遅刻ですよ祐輝さん!」
「すまんなヒルダ。遅れた分は取り返すさ」
「‥‥これから敵機動要塞への突入作戦が始まるわ‥‥行けるなら来て‥‥」
 アリカの言葉に祐輝は肩をすくめる。
「任せてくれ。俺もこのまま終わったんじゃ立つ瀬がないからな!」
「‥‥じゃあ行くわよ」
「みなさん、周辺はサポートします。行って下さい」
 ヒルダは周辺の敵を掃射しつつ、まだ健在なギガワームの牽制に当たる。
「これでも‥‥ミサイル発射!」
 KVの胸から二基のミサイルを発射する。
 ギガワームがミサイルで吹っ飛ぶ。
「今です!」
「‥‥突入開始」
「行くぞ! 俺に続け!」
 アリカと祐輝らの一隊は遊星表面を侵攻する。激しい対空砲火に味方も落ちる。内部への進入経路を捜索する。
「あそこだ!」
「行って下さい隊長!」
 アリカはミサイルを放出しつつ遊星内部へ突入する。祐輝も続く。
「アリカ! 見えるか!」
「‥‥ええ‥‥外したら終わりよ」
「やるぞ! ミサイル発射!」
 祐輝とアリカは核にミサイルを叩き込む。――直撃!
「うおおおぉぉぉぉぉ!!」
 遊星が連鎖爆発を起こす中、アリカと祐輝は脱出する。
 バグア遊星は吹っ飛んだ。
 
 艦に帰還後、祐輝は残った遊星への攻撃を命じる。
「是より敵遊星内部へ突入する!!!」
 前面シールドを展開させつつドリルを回転させ遊星に向かって突撃、外装を貫き核への進入経路を抉じ開ける
「役目は此処までだ‥‥後はお前達に任せたぜッ‥‥!!」

 井出機の上に乗る剣一郎の流星皇は、連携攻撃でギガワームを叩き斬ると、バグア遊星に向かって突撃した。
「範囲内の友軍は至急退避しろ。この一撃で決着を着ける」
「SESオーバードライブ! いけます!」
「これが俺の、いや俺たちの全力‥‥吼えろ獅子王、流星斬○刀・星○ぎの一閃!!」
 剣一郎の斬○刀「獅子王」がバグア遊星の上部から叩きつけられる。
「我らに断てぬもの、無し!」
 ――バグア遊星の表面を駆け抜ける剣一郎と井出。そして、剣一郎の斬撃が貫いた後、バグア遊星に亀裂が入り、遊星は真っ二つになって爆発四散した。

 グランデ提督は、頷いた。
「頃合いだな、主砲充填開始」
「了解、主砲充填開始!」
「主砲充填完了まで約20分、中央艦隊は防御陣形、敵を1機たりとも通すな。両翼は引き続き攻撃を続行」
 爆発の光点がきらめく宇宙を、グランデ提督は見つめて、目まぐるしく動く戦況報告を黙然と聞いていた。胸の内には「勝つ――」と誓って。
「間もなく主砲充填完了します!」
「よし、全艦主砲発射用意」
「カウントダウン! 主砲発射5分前!」
 そうして、グランデ提督は全部隊に向けて言った。
「主砲発射10秒前、射線上の機体は直ちに退避せよ」
「主砲充填完了!」
「主砲、撃て!!」
 そして宇宙艦隊から主砲の閃光がほとばしり、残るバグア遊星を跡形もなく吹き飛ばした。
「敵機動要塞消失、バグア軍後退します」
「我々の戦いはまだ終わらない‥‥か」
 グランデ提督は軍帽を脱ぐと、全艦隊に掃討作戦に移るように指示を出すのだった。