タイトル:カウンタースナイプマスター:愉縁

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/03/26 00:51

●オープニング本文




 ――――ズゴバッッッ!!

 遠くに切り立った山が霞む、緩やかな起伏のある雪原に、重く乾いた音が轟いた。それはブ厚い雪壁を突き破り、余波が白雪を吹き上げて天を覆う。細かく粉砕された雪の結晶は、キラキラと太陽光を反射して地上にバラバラと降り注いだ。

「‥‥景気良くやってくれるな」
 即席で掘ったタコツボからナイフの刃を覗かせ、UPC軍大尉、スヴェア・ペーデルは発射位置を探した。保護色になっているからか、相手の姿は未だ確認できていない。だが、馬鹿でかい銃声と、発射の瞬間に煌くマズルフラッシュが、奴の位置を教えてくれている。――しかし、問題はその距離だ。

 相手の最大有効射程は、推定200〜300m。携行してきたボルトアクション式のスナイパーライフルを、イェーガーの能力フルで使えば、辛うじて届く可能性があるが、確実性に欠ける上、相手の姿が見えるのが発射時に限られ、リスクが大きい。高い雪上移動能力を持ち、撃って数秒後には別の場所に移動している。
 唯一の救いは、次射を撃つまで、10秒前後かかるというところだろうか。暫く様子を見ていたが、連射してくることは一度も無かった。どうも、装填に時間がかかるらしい。

「この精密な射撃。‥‥やっぱり、スポッター(観測手)のようなものが居る可能性がありますね」
 ペーデルの隣、部下のディルクが、ジャケットの雪を軽く払いながら言った。スナイパーは4体以上、そこにスポッターが加わる。どういう形で、こちらの動きを認識しているかは分からないが、一度戦域離脱を試みて投擲した閃光手榴弾が、全く通用しなかったところをみると、目視で動きを把握しているとは考え難い。
「どういう方法かはわからないが、互いの状態も良く把握しているようだ。自分達の能力を良く理解していて、互いの隙を埋めるように動いている。‥‥狡猾な連中だ」
 そうしてじりじりと追い詰め、一人一人、確実に仕留めていくのが奴らのやり方だ。8人いた兵士は次々撃たれ、動ける人間は、ペーデルとディルクの二人を残すだけになっている。手当てすることもままならず、昏睡状態の仲間を守るので精一杯だ。

 せめて、長射程の対物ライフルでもあれば、状況を打開することもできるのだが。と、顎に手を置き、深く息をついたペーデルの無線インカムに、ザザッとノイズが走った。
 それはディルクにも聞こえていたようで、ハッとした彼は、すぐさま無線のチャンネルを操作する。


 要請していた応援、傭兵達が到着したのだ。

●参加者一覧

ケイ・リヒャルト(ga0598
20歳・♀・JG
鷹代 由稀(ga1601
27歳・♀・JG
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
遠倉 雨音(gb0338
24歳・♀・JG
ウラキ(gb4922
25歳・♂・JG
ジャック・クレメンツ(gb8922
42歳・♂・SN

●リプレイ本文




 白雪の絨毯は、度重なる銃弾によって濁ってくすみ、しかし散りばめられた血痕は、気持ちが悪いほど鮮明に美しく彩りを添えていて、その凄惨さを、ひと目で理解するには十分な光景であった。救援要請のあった軍人達とはまだ少し距離はあったが、遠目にみても傷は深く、人の形を辛うじて保っているような重体者も居る。息があるだけ、奇跡にも等しい。

「‥‥無線、繋がりました」
 強いノイズ交じりの無線機から一度顔を遠ざけ、遠倉 雨音(gb0338)が静かに、ウラキ(gb4922)に言った。
 物音は雪に全て呑まれてしまうのか、恐ろしい程の無音がその場を支配していて、しかし、強い血の臭いと硝煙の香りが辺りを満たし、静寂の銀世界というよりは、黄泉の入り口のような異様さを醸し出している。そんな中、無線機から流れてきた、滑舌の美しい女性の声は、一際引き立つものだった。
『UPC軍大尉、スヴェア・ペーデルだ。君達が救援要請に応じた傭兵であると嬉しい』
 ウラキは一先ず身を屈め、どこか無機質な殺気を含んだような、雪の海を遠く見渡しながら、無線を取った。
「‥‥なら、喜んでくれていい。傭兵のウラキだ。そちらの状況を教えてくれ」
 ペーデルと名乗った軍人は一呼吸置き、僅かな時間に思考を巡らせながら、静かに息を吐いた。普通の人間はおろか、戦い慣れした軍人でさえ、発狂してもおかしくない状況で、中々強靭な精神の持ち主かもしれない。

『味方は私を含め、8人居た。しかし私と、隣の軍曹を残して、全員ノビている。‥‥そこからでも、見えるな? 可能な限りの応急手当はしたが、そろそろ迎えが来てもおかしくない』
「敵は?」
『長射程、恐らく200〜300mの射撃で、こちらの範囲外から一方的に狙撃をしてきている。おまけに撃った後には直ぐに移動し、同じ場所には留まっていない。雪上移動能力も高いようだ。
 また、連射はしてこないが、精度が妙に高い。恐らくは射手の他に、スポッターが居る可能性がある。射手は4体まで確認した。索敵手は不明だ』
 バグアの持つフォースフィールドの存在により、対バグア戦における、スポッターの観測と修正を必要とするような、超長距離からの狙撃というものは無くなり、狙撃兵はスポッターを伴わなくなった。しかし、全く意味が無いわけではない。集中する分、その他の注意力は低下してしまう狙撃の性質上、スポッターは、狙撃手の護衛と目標の索敵、優先目標の選別と指示を行うことで、その力を十二分に引き出すことができる。
 気が付けば、ライフルを持つ手に力が篭っていて、不思議な高揚感がウラキの体の奥に蠢いていた。思えば、スナイパーらしいスナイプを、今の今までしてきたことは、あっただろうか。知覚が発達するスナイパークラス時代は、知覚武器に心を惑わされた事もある。雨音は、そんなウラキを見て、首を傾げた。

 ペーデルの言葉は続く。
『一度戦域離脱を試みて、閃光手榴弾を喰らわせてみたが、光を裂いて、正確に狙撃をしてきた。相手は目視で、こちらを見ていない』
「聴覚に頼っているか、或いは体温を感知するのか‥‥」
 考えられる観測手段は多い。これは試してみるしかないだろう。顎に手を当て、少し考え込んだウラキに割って、雨音が無線に話しかけた。
「‥‥大尉の考える、対抗策は?」
『近付けば距離をとられ、逃げようとすれば、背面から撃たれる。最も有効で、シンプルな対抗策は一つ』
「‥‥カウンタースナイプ。私の本領発揮ってトコね」
 白一色の雪原カムフラージュを施した装備に身を包んだ鷹代 由稀(ga1601)が、対物ライフルの銃身を優しく撫でながら呟き、雨音が頷いた。
「目には目を、歯には歯を、狙撃には狙撃を、ですか」
「スナイパー対スナイパー、なかなかおもしれぇじゃねぇか」
 冬季迷彩服に身を包んでいても、隠し切れない巨大なジャック・クレメンツ(gb8922)が、ニヤリと、楽しそうに頬を緩めた。現行の携行武器で最大射程を持つ、対物ライフルを推奨されるから、どんな相手かと思っていたが、中々どうして、クレイジーな状況らしい。
「また、厄介な敵ね。だけどこっちも伊達に銃を使ってきてないわ。どちらが華麗な銃使いか、試してみましょう?」
 スナイパーライフルを構え、ケイ・リヒャルト(ga0598)が微笑んだ。
 彼女を含め、雪原に溶け込むような服装でやってきた傭兵が多かったが、UNKNOWN(ga4276)だけは、黒で統一された、フロックコート姿だった。彼は普段からそうなのか、ツッコミを入れる人間は居ない。まぁ、相手の性質上、見た目には意味は無いが。

『あえて、止めを刺さないところを見ると、負傷者を出し、手当てに人手を割かせる狙いもあるだろう。新たな獲物を誘き出す生餌にされている可能性も高い』
「撃たれて、虫の息で生きている所を見ると、そうだろうな。しかし、これからそこに、手が付けられない疑似餌が混ざる訳だ。‥‥頼もしいフィッシャーも後ろにいる。やれるよ」
 ウラキの向けた信頼の視線に、UNKNOWNは無言で静かに頷く。

『私は現場の責任者だ。君達ほど楽観はできない。十分に注意しろ。カカシが、やられたわけではない』
 ペーデルから返ってきた言葉は、鋭利で冷たい、刃物のような感情を含んだ重いものだった。


 *


 傭兵達は三組に別れ、一組は先行し、残り二組が左右から展開していく。塹壕の横を過ぎるとき、右翼を担当する由稀が無線機越しに軽口を叩いた。
「だいぶ冷えたでしょ。終わったらお茶でもどう?」
「終った後のことは、終ってから考えるようにしている」
 ペーデルは意にも介さずに淡々と答えたが、暗に『気を抜くな』と言っているように聞こえ、由稀は首を竦めた。当然、甘く見るつもりなどない。
「長距離をものともしない正確かつ強力な狙撃‥‥。何とも厄介な相手ですね」
 狙撃を担当する由稀のスポッターに付いた雨音は、小さく白く煙る吐息を吐いた。隠密潜行を発動させ、身を低く保ったまま、双眼鏡を覗き込む。
 先行したウラキが投げた時計の振動とアラームに、奴らは一切の反応を示さなかった。単純に、音や振動を狙ってくるわけではなさそうだ。そういえば、閃光手榴弾も効果は無かったと言っていた。‥‥何よりも、正確無比の狙撃。少なくとも、それを『聞き分ける』精度があると見て、間違いは無い。

 見えない敵に狙われるという恐怖。それが狙撃の持つ、最大にして最強の武器。故に、雨音は観察し、深く思考を巡らせた。それは、イェーガーの端くれとしての矜持。焦りは無かった。

 迅速に、確実に。それだけを心の薬室に込めて。


「まあ、こっちにはスポッター役は私ぐらいだろう。的にもなっておこう、か」
 一方のUNKNOWNは、悠々と、散歩にでも出るかのように、盾を構え、ゆらりゆらりと進んだ。警戒しているのか、はたまた射程の外だからか、塹壕を過ぎるまで、弾丸は飛んでは来ない。先程まで、遠くからでも聞こえてきた砲撃の叫びはパタリと止み、周囲は気味が悪いほどの静寂に包まれていた。


「右側面!」
 右翼のスポッターを担当していた雨音の声と同じくして、不自然に雪の小山が隆起し、膨らんで、激しい轟音と、強い光が噴出し、ヒョォン、と、風を裂く音がしたかと思った瞬間、UNKNOWNの透明な盾に、重い衝撃が走った。右翼と左翼、しっかりと観測を行っていなかったら、今頃左に構えた盾の死角から、無防備に攻撃を受けていただろうか。
 すぐさま、拳銃型超機械「カルブンクルス」を構え、発射元に向け、UNKNOWNは撃ち返した。銃口から放たれた強力な火炎弾は、着弾と同時に巨大な雪の粉を周囲に撒き散らし、白き世界を煌々と明るく照らしていく。

「‥‥っ」
 思わず、ケイとジャックの息が洩れる。熱源式の暗視スコープに、その光は明る過ぎた。それは、その奥にあったであろう小さな熱の痕跡を覆い隠し、白く染め上げ、狭い視界は、余計に距離を遠くした。これでは、肉眼で見たほうが、まだマシだろう。
 UNKNOWNは構わず、次々と火炎弾を放っていく。着弾も目標には遠く及ばず、巻き上がった雪は視界を悪くするだけであった。

 それだけならまだいい。しかし、相手が視界でこちらを捉えていない以上、目を塞がれた状態での優位性は、圧倒的に相手にある。3発目の火炎弾が雪を巻き上げた時、それを初めて、身を持って体験することになる。


 ――そう。決して、カカシが、やられたわけではなかった。


 それは僅かに一瞬。
 キラリ、鈍く輝いたかと思うと、巻き上がった雪の壁をショックウェーブが綺麗な円を描いて突き破り、ケイの左肩を撃ち抜いた。まるでハイスピードカメラで撮られた映像のように、脳裏にその光景が、一枚、一枚と刻まれていく。
 感じたのはまず、『ドン』、という、強い衝撃。続いて焼鏝を押し当てられたような、激しい熱さが身体を巡り、脳を支配した。不思議と、痛みはない。そのせいか、自分が撃たれたと知覚するまで、コンマ数秒の時間を要することになった。

「‥‥っ」
 ケイの表情が苦痛に歪み、銀色のカンバスに染みて滲んだ紅の上に、新しく、鮮やかな赤色が滴り、重なる。ぐらりと、視界が歪み、天地が転んだ。距離を詰めようと、動いていたのが不幸中の幸いか、急所は外れ、致命傷はなんとか避けた。が、左腕の感覚が戻らない。
「ちっ。ツイてねぇ」
 苦味潰した顔で、ジャックは倒れたケイを抱え、塹壕へ転がり込んだ。それをペーデルの部下、ディルクが手伝い、出迎えた。
「よぉ、兄弟。ツイてたな」
 ディルクは、煤けた顔でニッコリと微笑んだ。二十代半ばだろうか。まだケツの青そうな若造だったが、ジャックは、古い友人に会ったような、懐かしさを感じた。
「随分静かに動きやがるな。‥‥撃たれる直前まで気付かなかったぜ」
 予備動作といえば、撃つ直前に、僅かに『盛り上がる』ことだろうか。よく確認できなかったが、撃った後に僅かな硬直時間があったようにも思える。そして、防御の弱い側面へ回り込む程度の知性。もしかすると、ケイが狙われたのは、それが奴らにとって『優先すべき目標』だったからか?
「熱が引くのも早い」
 左肩を止血し、痺れが残る左腕の感覚を確かめながら、ケイは言う。発射後、10秒程で、雪の中に溶け込み消えたスナイパー。どうやら、身を隠す為だけに、雪の中に潜っているわけではないようだ。
「‥‥奴らにとって、持って来いの地形ってわけね。正直、舐めていたわ」
「だが、相手の手の内が見えてきたぜ?」
 ジャックが火をつけないままのタバコを咥え、ディルクの肩を力強く叩いた。
「遠距離迅速鉛の宅配サービスは、もうちっと待ってくれよ、兄弟?」


 *


「‥‥!」
 ライフルを抱えて転がるように、慣性を十分に、勢いを活かして起き上がり、由稀は駆けた。ふわりと舞った髪の毛を掠め、一筋の光芒がすり抜けていく。雪に取られた足が、重い。バランスを取っている余裕などなかった。
 バッと、斜め向こうに飛び込んで、対物ライフルのバイポッドを雪の中に、銃の重さをも利用して突き刺す。ガンレティクルの紋章が照らし出す獲物の姿。その一瞬の隙を、見逃しては居ない。貫通弾を込められた対物ライフルが閃光を放ち、重い衝撃が、由稀の身体を雪の中に深く沈めた。

 赤い華が、雪原に咲く。

「鷹代さん、10時方向、距離25!!」
 一体目の撃破に、一切の喜びの声を漏らすことなく、不自然な起伏を見つけた雨音が、方角を叫ぶ。由稀が寝そべった状態のまま、右方向に転がり、その勢いと銃の重さを利用して、立膝に体勢を構え、指示を受けた左側に銃口を向けた。

 そいつには目は無かったが、視線が交差した気がした。絞られたトリガー。
 僅か。本当に僅かに、由稀が勝り、重く放たれた銃弾は、深く相手の銃身をぶち抜いて、二つ目の華を咲かせた。しかし、安堵の吐息はまだ許されていない。

 ザバッと、背後で何かが勢い良く立ち上がる音がした。

 由稀に向けられた、雨音の銃口。由稀はライフルを放って斜めに飛び、拳銃「ジャッジメント」を抜いた。仰向けになりながらも、やや身体を起こし、銃弾を乱暴に叩き込んでいく。一方の雨音は、静かに黒い小銃を構え、由稀の銃弾に怯んだそのキメラの頭部を正確に撃ち抜き、倒した。

「‥‥」
 恐らく、この、ワスラボみたいな奇怪な頭をした、130cm程の人型キメラが、スポッターであろう。案の定、身体は白一色の保護色。眼のようなものは見当たらない。雨音と由稀は無言で視線を交わし、身体に被った雪を払うことなく、次の目標の索敵に移った。

 右翼が突破口を開いたことにより、状況は一気に好転していく。左翼が後方に下がり、先行するウラキのチームが右翼の側面をカバー。距離を縮めると、スナイパーは逃げるが、スポッターは留まる為、ここで後衛に下がった左翼が活躍することになった。雪の中から飛び出してきたスポッターを前に、ジャックが指示を出す。
「ウィンデージ修正、右に3クリック。エレベーション、下に5クリック」
「ファイア、ファイア、ファイア」
 ケイが肩の恨みを晴らすように、的確なヘッドショットを決めていく。数は多いが、一体一体の能力は、それほど高くはないようだ。恐らく、複数体による多重観測で、綿密なデータ収集を行っていたのだろう。

「‥‥成る程、狡猾な、相手だ」
 ウラキは、UNKNOWNの背から、対物ライフルを覗かせた。盾を雪上に敷き、バイポッドを噛ませる。
 慎重さを欠いていたのは、自分達の方だったかもしれない。そう、スナイパーの本質を、見失っていたのだ。狙撃手は常に計算で動く。意味の無い行動なんてものはない。誇りを捨て、息を殺し、感情を潰し、引き金を絞る。ただ一つ、たった一つのど真ん中を貫き、撃ち抜くこと。それが、スナイパーだ。
 ウラキの表情から、全ての感情が切り離された。研ぎ澄まされた感覚は、的のその向こう側。視界がキュウッと狭まり、周囲を取り巻く全ての音が、ピタリと止む。肌は感覚を失い、寒いか熱いかも、わからない。‥‥でも、それでいい。

 長く、長く、息を吐く。

 昔、誰かが言っていた。それは自然に満ち、機を迎えるものだと。

 身体を伝う振動が、心地よく、身体を伝う。

 ――カキン。

 乾いた金属音が薬莢を弾き出し。雪の中に、転げて沈んだ。


 *


「これが、狙撃手の正体か」
 首から銃身が飛び出た、異様な4つ足キメラの死骸を見下ろしながら、ジャックはタバコの煙を吐いた。その姿は、レックスキャノンを髣髴とさせる。最も、火力は比にはならない。それでも、大量に揃えば脅威になるだろう。

「キメラに銃は‥‥頂けない。相棒はもっと、丁寧に扱えと」
「はは。なんだウラキ。お前、銃に女の名前を付けるタイプか?」
 ペーデルはからかうように笑い、彼の肩を叩いた。