●リプレイ本文
●浴場に集まった能力者達‥‥
依頼を受けて夜の温泉施設に集まった能力者達。
「え〜と、なんか最近『さらさの湯』って、ハプニングが続いて無い?」
「そ、そうですね‥‥多分、この間のキメラかと‥‥」
編みタイツに忍び装束、覗く谷間はブラックホール(?)‥‥爆炎少女・刃霧零奈(
gc6291)が首を傾げている横で、何やら不安げに項垂れている比良坂 和泉(
ga6549)。
「ま、とりあえずさっさと女将さんを助けてあげて‥‥後はのんびり温泉に入ろっか♪」
「そ、そうですね‥‥何事も無ければ良いんですけど‥‥」
タンクトップをパタパタさせながら呟く比良坂‥‥果たして、無事に終える事が出来るのだろうか?
「がぅ‥‥女将さん、大丈夫かな‥‥」
女将の危機を聞きつけて、大慌てで駆けつけてきた佐倉・咲江(
gb1946)。
かなり慌ててきたのか、その浴衣姿‥‥若干着崩れした中身が見えそうになっている(ぇ
「まあ大丈夫じゃないかな〜? むしろ〜、これが絶好の恩売りちゃ〜んす♪」
ジャケットにコートを羽織ったエルレーン(
gc8086)が呟く。
彼女も彼女なりに女将を心配しているのだったが‥‥本当の目的は他にあった。
「ふふふ〜、こういう場面を生かして‥‥フリーパスを超えた顔パスの権利を〜♪」
「が、がぅ‥‥何だか、顔が怖い‥‥」
佐倉が若干冷や汗をかいている横で、にやにやと含み笑いを続けているエルレーンであった‥‥
「全く、正体不明な何か、ね‥‥よくよく縁のある旅館よね」
「ま、仕方ありませんよ明様。むしろ簡単な依頼で温泉に入れる‥‥という利点だけを考えましょう♪」
ロビーから温泉に向かって走っている常木 明(
gc6409)の横では、全く困った顔を見せていない様子の住吉(
gc6879)が声をかけている。
彼女の目的は勿論女将の救出‥‥もあるだろうが、むしろ『温泉』の方がメインに思えて仕方ない。
「とりあえずキメラを退治して〜‥‥よっしー、その後で〜‥‥お楽しみだからね♪」
「ふふ、明様ったら強引なんですから♪ でも‥‥どうなるかは後のお楽しみですね♪」
走りながらも軽口は欠かさない常連二人組‥‥その余裕ぶりは、彼女達の頼もしさを表しているに違いない‥‥筈(ぇ
そんな皆から数メートル程先に進んでいる『漢』が一人‥‥その名は、布施川 逢介(
gc7835)。
女将の為なら命すら剛速球でストライクへ投げ込むような『漢』であった。
「うっひょ〜〜〜!! 今、俺が助けに行きますからね〜〜!!」
漫画のような土煙を上げながら走っている彼の後ろからは、のほほ〜んとした顔でいながらも、彼に劣らない走りを見せているアクア・J・アルビス(
gc7588)がいた。
「あの〜、少し早すぎますよ〜? 皆さんが追いついていません〜」
とたとたと走っている雰囲気ではあるが、その速度は決して遅いわけでは無い。
むしろ目を引くのは、走るたびに揺れるその『マスクメロン』であろう‥‥(断言)
「な〜にを言っているんだ!! 俺は今、春香さんの恋の奴隷なのだから〜〜!!」
「え、ええとその〜‥‥奴隷?」
猛ダッシュはそのままに声だけを発する彼。
さあ、彼女の捕らえられている温泉はもうすぐだ!! 行け!! 布施川!! 未来はお前にかかっている!!(ぇ
●『何か』との死闘‥‥前編
暗い露天風呂の中、真っ先に走りこんだのは勿論布施川である。
「まずは俺が春香さんを確認する!! 溶け込んだスライムって奴を見なくちゃな〜‥‥ぐふ♪」
一目散に突撃した彼だったが‥‥視界の悪い露天温泉に、透明の『何か』である。
女将しか見えていなかった彼に、死角から迫った『何か』をかわす事など出来はしなかった。
「な、なななに〜〜!? あ、足が捕られて〜〜!?」
見事にあっさりと戦線離脱をしてしまった布施川‥‥しかし、まだ能力者はいる。
「が、がぅ〜!! こっちで『何か』を引き付ける‥‥!!」
「切り込み役は私に任せて!! 刃霧零奈、いっきまーす!」
いきなり女将を助け出すには分が悪いと考えたのか、佐倉と刃霧が同時に突撃。
超機械と大太刀を振るって一斉に攻撃をしかけたのだが‥‥見事にそのまま捕縛されてしまう。
「マズイね‥‥今襲われている感じからすると、結構な数がいそうだよ‥‥」
「とは言っても、攻撃をしないことには可能性がゼロです!! 今は突撃ですよ明様!!」
「‥‥そうだね、よっしー!! 女将さんを救出しなくちゃ!!」
気合を入れて突撃を開始する彼女達を護衛するように、比良坂も気合を入れなおす。
「相手の攻撃は俺に任せて下さい!! 誰にも怪我をさせない!!」
「気合十分なの〜♪ それじゃあ前は任せるの!!」
幸いと言うか何と言うか、一人を捕まえたらその『何か』は他の行動が取れないようである。
となれば、誰かが捕まっている隙に女将を‥‥助ける!!
「よ〜し!! いっくの〜〜!!」
エルレーンも同じ事を思い立ったのか、常木達の後ろから突撃を開始する。
‥‥ちなみに、途中で落ちていた女将の浴衣を拾う事も忘れない。
「全ては顔パスの為〜‥‥ってひゃう〜〜〜!?」
常木と住吉が上手く避けた水溜りだが、何の気負いもなくそこへ足を踏み入れたエルレーン‥‥結果、彼女も捕縛されてしまう。
「あらあら〜、どんな反応をするのか楽しみですね〜♪ え〜い♪」
そんな彼女達の後ろから、何やら水をかけたり桶をぶつけてみたりとマイペースに『何か』の妨害をしているアクア。
「えい、え〜い♪ ‥‥あ、あら〜? 何だか足元が動きづらく‥‥?」
水をかけるのに夢中だったのか、全く警戒していなかった足元から粘つく液体が‥‥こうして、突撃した女性6人中4人が捕まってしまうと言う惨事に。
そして真っ先に退場した布施川に、ある意味『一番危険な場所』にいる比良坂。
果たして、皆はどうなるのだろうか‥‥それは神のみぞ知る(ぇ
●『何か』との死闘‥‥後編
「や、やだ‥‥どろどろで、気持ち悪いよ〜‥‥」
「が、がぅ‥‥こ、こっちで引き付けている間に‥‥お、女将さんを‥‥がぅ!? ど、どこ触ってる、の‥‥!?」
最初に捕縛された刃霧と佐倉。
勿論逃れようと暴れているのだが‥‥なかなか手や足から離れない。
「は、離れてってば〜‥‥そ、それ以上触られると、見えちゃ‥‥ぅん!?」
刃霧の豊満な身体を思う様に弄らんと、全身を這い回ってくる『何か』。
勿論それは佐倉にも例外では無い。
「あ、うぅ〜‥‥だ、ダメ‥‥は、離して‥‥よ‥‥」
半分以上脱がされている浴衣の下は、温泉という事か全く何もつけていない。
ぬめつく『何か』のせいで身動きが取れない彼女達に、抗う術は無かった。
「そ、それ以上は‥‥ぁん‥‥ま、ますます動けない‥‥よ‥‥」
「が、がぅ‥‥み、見ないで‥‥は、恥ずかしい‥‥」
段々動けなくなってくる刃霧と佐倉‥‥助けが来るのはいつになる!?
「あ、あぅ〜‥‥き、気持ち悪いよ〜‥‥」
『何か』に捕まってしまい、後一息で女将へ‥‥という場所で身動きの取れなくなったエルレーン。
勿論彼女にも容赦なく『魔の手』が伸び‥‥もがく彼女をあざ笑うかのように玩んでいる。
「ご、ごめんね‥‥女将さん‥‥私、私もう‥‥ん、んん〜〜!!」
服の間に潜り込んだ『何か』が縦横無尽に動き回り、罪の意識に苛む彼女を弄る。
歯を食いしばって耐えている彼女の顔は、例えようも無い艶やかさに彩られ‥‥
「い、意識レベルをクリアに‥‥視界を確保‥‥バイタル‥‥は‥‥」
そして、そんな彼女の近くでは‥‥既に血の海に沈んでしまっている比良坂(ぁ
なんせ目の前に頬を赤らめている半脱ぎの少女が、薄暗い明かりの中で身もだえしているのだから。
「ま、まだ、です‥‥!! 俺は‥‥もう以前の俺じゃ‥‥!!」
「う〜ん‥‥この状態なら〜、何とかしたら取れるかも〜‥‥♪」
「‥‥!?」
何とか立ち上がろうとした彼が振り向いた視線の先‥‥そこには、手の中で粘つく液体を玩んでいるアクアの姿があった。
無邪気にねちゃねちゃとした『何か』を弄りながらも、全身ごと捕まっている彼女‥‥その手といい顔といい、その『何か』によって非常に扇情的に‥‥
「あ、あらあら〜、上手くビンに入れられません〜‥‥どうしましょうか〜」
「ど、どうしましょうかって‥‥先に‥‥‥バタン」
半裸の白濁美少女に囲まれ、とうとう考える事を放棄した彼‥‥気持ちは痛いほどに分かる。合掌。
「うぉ〜〜!! 春香さん、今行きます!!」
いつの間に這い出てきたのか、向こうから走ってきた布施川がすぐ傍まで接近中。
そして、ついに女将の場所までたどり着いたのだった!!
「春香さん〜!! さあ、手を取って下さ〜い!!」
「ふ、布施川様‥‥!! その場所は危ないです!!」
「‥‥おや?」
何とか手を伸ばして掴んだ‥‥かと思えば、二人ごと取り込もうと温泉から這い出てくる巨大な『何か』。
絶体絶命か!? ‥‥という状態の時、一瞬にして現れた常木と住吉の影。
「さ〜て、とりあえず救出だね〜‥‥そ〜れ!!」
常木が女将の周辺に適当に刀を打ち込むと、見事にクリーンヒットしたのかあっさりと女将を救い出す事に成功してしまう。
「おや〜、何だか見事にあっさりと‥‥でも人質がいなくなればこっちのものですね♪」
救い出した後の温泉へ向かって、一斉にエネルギーガンを連続射撃する住吉。
そのうちの一発が上手く『コア』に当たったのか、グネグネと蠢いた後にお湯に溶け込んでしまう『何か』。
「さて、ここは片付いたけど‥‥皆が捕まっているのを助けないとね?」
「勿論ですよ。さ〜て、私は向こうへ行きますか〜!! ‥‥ではでは〜♪」
何やらほくそ笑みを浮かべて立ち去る住吉‥‥残ったのは布施川と女将だけであった。
そして少しだけ緊張した様子の布施川が、意を決したように声をあげる。
「は、春香さん!! 後で俺のケータイ番号教えますんで、何かあればすぐに連絡下さい!! 24時間いつでも駆けつけます!!」
「はい‥‥ありがとうございます‥‥ふふ、ふふふ♪」
ビシッと指を立てて笑う彼の顔を見て、ようやく緊張が解けたのか、肩にかかった浴衣を摘みながら微笑む雨宮であった。
●いつもの事後風景‥‥
無事に『何か』を倒し、残った欠片を掃除した能力者達は次の日、綺麗になった温泉へ朝風呂としゃれ込むこととなった。
「女将さんって、やっぱり大変なんだね〜‥‥ホント、掃除だけでも大変なのに」
「がぅ‥‥本当に凄い‥‥」
「いえいえ、慣れればそうでもありませんわよ♪」
湯船近くの洗い場で、お互いに身体を洗いあっている刃霧と雨宮、そして佐倉。
今先頭で背中を向けているのが雨宮、そして後ろで彼女の背中を擦っているのが刃霧、そして最後が佐倉。
三人交代で背中を流し合っているのだが‥‥若干怪しい雰囲気も‥‥?
「ふふふ‥‥でも、本当に綺麗な身体だよね〜‥‥女将さん♪」
「は、はい‥‥ありがとうございます‥‥?」
「がぅ‥‥汚れた身体、綺麗にする‥‥お互い、に」
「え、ええと‥‥な、何だか手の動きが‥‥ぅん!? そ、そこは自分でします!!」
泡塗れのスポンジを背中で動かしながら、段々と前へ向かっていく刃霧の手‥‥そして、いつの間に近寄ってきたのか佐倉までもが‥‥
「ふふ、そ〜んなに遠慮しなくていいんだって♪ 普段お世話になってるから、そのお礼ってコトで♪」
「まだ‥‥ぬるぬるは取れていない‥‥がぅ‥‥♪」
「で、ですからもう‥‥自分でしま‥‥ぁん♪」
甘美な桃色空間が広がりつつある世界‥‥女将が荒い息のまま抜け出せたのは、それから20分後の事だった‥‥
「ふぅ‥‥こっちの方は安全そうですね‥‥」
ゆっくりと湯船に浸かった雨宮が息を吐いていると、すっと横に浸かってきたアクア。
いつも通りのしっとり笑みだが‥‥湯に浮かぶ『ツインピーチ』はこれでもかと存在を主張している。
「温泉はいいですー♪ 女将さんもそう思いますよねー?」
「ふふ、勿論です♪ それに‥‥」
そんな軽い雑談をしていた彼女達だったが‥‥一緒に入ってきたエルレーンの存在により空気が一変する。
「ねえねえ〜、女将さん〜♪ さっきのお掃除、私と〜っても頑張ったの〜♪」
「は、はい‥‥とても助かりました‥‥?」
クスクスとほくそ笑むエルレーン‥‥その笑顔には見覚えがあった。
そう、かつて桃色空間を盛大に演出したあの言葉、それは‥‥
「うふふ‥‥だから、ね? 今度こそ『ご褒美』、欲しいな♪」
「〜〜〜!?」
またもやそっと耳元で囁かれ、真っ赤になってうろたえる雨宮。
そして、そんな彼女を放っておくほどアクアも甘くは無い(ぇ
「おやおや〜? 私も欲しいものがありますよ〜? ‥‥ちょっとだけ、分けて下さいな♪」
「で、ですからお二人とも〜〜!?」
結局、第二桃色空間が解けたのはそれからしばらく後のことであった‥‥
「何だか向こうで大変そうだね〜‥‥よっしー」
「ふふ、そうですね〜。でも賑やかなのは良い事です♪」
のん気に熱燗を傾けながら赤い顔をしている住吉を見て、軽く口元を緩ませる常木。
雨宮も誘うつもりだったのだが、どうやら皆に先を越されてしまったようである。
「ま、あちきはこういう空間も嫌いじゃないけど‥‥やっぱり、一番好きなのは‥‥ね♪」
「あ、明様‥‥何だか、いつもこういう流れで私がその‥‥される方ですから‥‥」
「ふふ、何だいよっしー? もしかして嫌になっちゃったのかな?」
住吉の背後からそっと髪を撫でている常木の囁きに、赤くなった顔をもじもじさせて身悶えている彼女。
そして少し潤んだ瞳の住吉が後ろをそっと見上げ、もたれ掛かりながら‥‥呟く。
「その‥‥今回は、私から‥‥♪」
「ふふ、たまにはそれも悪くないね‥‥私の可愛いよっしー♪」
そうして、第三の桃色空間が形成されていく‥‥
「‥‥そして、この光景ですか‥‥」
「ぬぉ〜〜〜!! 春香さんの艶姿〜〜!! 見えね〜〜〜!!」
男湯と女湯を分ける壁。
飛び跳ねる布施川をあざ笑うかのように、相変わらずの鉄壁(?)を誇っていた。
「それに、あんまり騒いで女将さんの御世話になっていると、最後は迷惑がられますよ?」
「む、むぅ〜‥‥それは困る。欲望と利益、その妥協点を上手く歩かなければ‥‥」
比良坂の言葉に納得したのか、ぶつぶつ言いながらも壁から下がる布施川。
‥‥どうやら、今回は最悪(?)の事態にはならなかったようである。
「でも、布施川さんって、本気で女将さんの事を‥‥」
「ん〜? 何か言ったか〜?」
「‥‥いえ、何でもありません。良い湯ですね〜‥‥」
布施川のおどけた一面の裏に隠された、本気の一面‥‥それを垣間見る時は、一体何時になることだろうか‥‥合掌。