タイトル:温泉施設の目安箱‥‥マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/05/24 23:47

●オープニング本文


「今日の目安箱の中身は‥‥1枚だけですか」
 女将・雨宮が【さらさの湯】のロビー入り口に置いてある『お客様ご意見箱』の中身を確認すると、中には一枚だけ紙が入っていた。
 この通称『目安箱』は、その名の通り来場してくれたお客様からの要望・意見などを書いてもらい、それを元に全体会議で議論していく大切な設備である。
「まあ来て下さった方々の意見ですから、お客様の数が少なければそれだけ少なくなるのでしょうけど‥‥とにかく、今度はこれが議題になりそうですね」
 そっと紙を折りたたんで大切に袋へ収めると、元の位置に箱を戻す雨宮だった‥‥


「それで、昨日の意見は何だったんですかい?」
「あぅ〜、また変な内容だったりしないでしょうね〜‥‥」
 次の日、まだ開店前のロビーに集まった従業員の面々。
 『全体会議』と仰々しく名前をつけてはいるが、簡単な議論程度ならこうしてロビーのソファーで済ませる事も多い。
「確か先週にあった中には、『ペットを温泉に入れたい』なんてものがありましたね」
「全く、掃除をする我々の身にもなって欲しいよ‥‥」
「その前は‥‥『女将さん大好きはぁはぁ‥‥』なんてふざけた紙があった‥‥」
「「「「「な、な、何だと〜〜〜〜!!!???」」」」」
「‥‥嘘だ」
 そう、ここで働く皆はほとんど家族のような関係になっている為、開放的‥‥といえば聞こえが良いが、こうして脱線する事が非常に多い。
 そして、そんな彼らを纏めるのはいつも雨宮の仕事だ。
「はいはい、それまでにして下さい。とにかく昨日入っていた紙は一枚。内容は‥‥『混浴風呂、もしくはその時間帯を作って欲しい』ですね」
「おいハチ!! 今すぐ警備室へ行って昨日の目安箱周辺の監視カメラを一斉調査だ!!」
「へい!! 分かっていますよ!! 誰だこんな事を書きやがった奴は!!」
 またもや一斉に盛り上がる面々を見て、真面目な顔ながらも少しだけ疲れた表情で手を叩く雨宮。
「しかし、あくまでこういう意見は初めてではありません。邪な考えを持った人はともかく、家族連れや恋人同士みたいに楽しく入りたいと言う意見は多くありました」
「そ、そりゃあそうですが‥‥」
「で、でも女将さん? 一旦解禁したら、それこそ限度がありませんよ?」
 料理長が腕を組みながら渋々考え込み、その後で少しおどおどした感じの新人女性従業員が手を上げる。
「はい。ですから‥‥少し試験的に、能力者達の皆さんに解放してみます。あえて細かいルールは付けずに、皆さんがどんな行動を取るか、それを見ながら考えましょう」
「‥‥という事は、女将さん直々に?」
「そうですね。人数の関係上、入るのは私だけになりそうですが‥‥細かい事は追って指示します。では、今日も一日頑張りましょう」
 すっと着物の裾を直しながら立ち上がる女将に合わせて、周囲も考え込みながらそれぞれの場所へ戻っていく。
 そして、一人残った雨宮は‥‥
「‥‥家族、恋人同士、ね‥‥」
 心中色々と考える事が多い年頃であった‥‥

●参加者一覧

佐倉・咲江(gb1946
15歳・♀・DG
レイチェル・レッドレイ(gb2739
13歳・♀・DG
サウル・リズメリア(gc1031
21歳・♂・AA
エレシア・ハートネス(gc3040
14歳・♀・GD
リーリヤ・スターリナ(gc6341
27歳・♀・SF
イヴァン・レオーノフ(gc6358
29歳・♂・GP
布施川 逢介(gc7835
22歳・♂・JG
御名方 理奈(gc8915
10歳・♀・SF

●リプレイ本文

●更衣室に集う能力者達‥‥
 禁断、そして魅惑の空間【女子更衣室】‥‥その中では、見目麗しい美女・美少女達が自身の裸身を惜しげもなくさらけ出していた。
「本日はお忙しい中、本当にありがとうございます。どうかゆっくりなさって下さいね?」
「ん‥‥今日は招待‥‥ありがとう‥‥。とても‥‥楽しみ」
 しゅるしゅると着物の帯を解きながら丁寧に畳んで籠に入れている女将の横では、今まさにワンピースと下着を脱いだばかりのエレシア・ハートネス(gc3040)が立っていた。
「ん‥‥そういえば、飲み物を持って入っても‥‥大丈夫‥‥?」
「はい、湯船の中にこぼさなければ大丈夫です‥‥あら? 少しビキニの紐が結びにくそうですね‥‥お手伝いします」
 淡々としながらも少し背中の紐を結びにくそうにしている彼女を見て、雨宮が手伝いを申しでる。
 それもそうだろう‥‥いくら少し大きめのビキニと言えども『限度』というものがある。
 彼女のその『ツインボム』を収めきるには、どうやらまだまだ容量が足りなかったようだ。
「少し待って下さいね‥‥よい、しょ‥‥と」
「ん‥‥あ‥‥ふぅ‥‥ありが、とう‥‥」
 ほんの少し艶の入った声が漏れたのは気のせいだろう‥‥そう思っておこう(ぇ



「仕事ついでの湯治を勧められたから来てみたけど‥‥あら、ちょっと待ちなさい」
「え〜〜? いきなりど〜したの〜?」
 すっと着ていた下着を籠に入れて、持ってきた水着を着ようとしていたリーリヤ・スターリナ(gc6341)だったが‥‥元気良く服を脱ぎ去って子供用ビキニを着用した御名方 理奈(gc8915)の様子を見て声をかける。
「少しビキニの紐が解けかかっているわ。直してあげるからこっちへ来なさい」
「は〜い♪ おねがいしま〜す♪」
 今にも飛び出しそうだった御名方だったが、リーリヤの声に素直に従う。
 少し日焼け後の残る幼い身体に、女児用のミニビキニ‥‥幼女好きの大きなお子様(?)が見れば、どんな反応を起こすか分かったものでは無い(断言)。
「ふふ、良い子ね‥‥服もちゃんと籠に入れているみたいだし」
「もっちろ〜ん♪ ちゃ〜んとおかみさんにおそわったんだよ〜?」
 満面の笑みで笑っている御名方を見て、普段妖艶な雰囲気であるリーリヤも顔を綻ばせている。
 きっと子供好きなのだろう‥‥にじみ出る優しさは決して隠せない。
「‥‥はい、出来たわ。ゆっくり身体を洗ってから入るのよ?」
「は〜い♪ おもちゃもい〜っぱい持っていくぞ〜♪」
 何やら模型やらアヒルやらをたくさん持っていく御名方の後ろ姿を見ながら、そっと自身の義手と義足を外していくリーリヤ。
「‥‥もう慣れたものね」
 ぽつりと漏らしたその一言に込められた思いは、彼女にしか分からない‥‥



 そんな彼女達の後ろでは‥‥何やら『お友達以上』の雰囲気を醸し出している佐倉・咲江(gb1946)とレイチェル・レッドレイ(gb2739)の姿。
 どうやら丁度服を脱ぎ終わり、一糸纏わぬ姿になった直後のようだが‥‥
「うっふふ〜‥‥サ〜キ〜? ちゃ〜んと水着は着れるかな〜♪」
「がぅ!? レ、レイチー‥‥自分で、着替えられる‥‥」
 まだ自身の水着は付けないまま『むにゅ〜〜♪』っと後ろから抱きつくレイチェルに、思わず顔を真っ赤にして慌てている佐倉。
 そんな反応を楽しむかのように微笑んでいるレイチェルは、そっと佐倉の籠から彼女の水着を取り出してくる。
「ほら〜、ボクが着せてあげるね? ‥‥おっと、手が滑っちゃった♪」
「〜〜!? そ、そこ触っちゃ‥‥ダメ‥‥がぅぅ〜〜‥‥」
 最早いつもの光景となった二人のイチャイチャ空間‥‥しかし、いつまでもやられっぱなしの佐倉では無かった。
 まだ入浴前なのに少し上気した雰囲気の佐倉が、ほんの隙をついてレイチェルのビキニを手に取る。
「う〜‥‥レイチーのは‥‥私が着替えさせる〜‥‥がぅ!!」
「ひゃうん!? な、何だか今日のサキは普段よりも‥‥ぁん‥‥♪」
「がぅ‥‥やっぱり大きい‥‥」
 まだまだ何かが起こりそうな予感がする皆々であった‥‥合掌。


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「ジーザス!! 何故、何故水着着用にした〜〜!!」
「おうよ!! 全くだ!! 俺ら男‥‥いや、【漢】達の夢が分かっちゃいね〜〜!!」
 二人揃ってバカ騒ぎ(注:まだ更衣室)をしているのは、すでに着替えを終えたサウル・リズメリア(gc1031)と布施川 逢介(gc7835)。
 流石能力者だけに、その裸身は見事に引き締まってバランスの取れた体格なのだが‥‥そんな二人が号泣しながら肩を抱き合っているシーンは、流石に少し怖い。
「‥‥それぐらいにしておけ。能力者たるもの、無闇に精神を乱すな」
「なんだよイヴァン!! お前は何とも思わないのか!? それでも【漢】か〜!!」
「‥‥‥」
 布施川の声にも全く動じない様子でTシャツを脱ぎさるイヴァン・レオーノフ(gc6358)。
 二人とは全く違う、見事に筋肉質な身体に無表情な顔‥‥その屈強な身体には、今までの歴戦を物語る傷跡が無数に刻まれていた。
「いや、考えを変えるんだ布施川。こうやって無心の境地に入れば、きっと水着を透した裸身が見える筈‥‥!!」
「なるほど!! 限界を超えた先に見える奇跡の境地‥‥クリ●マインド!!」
「‥‥この者達は‥‥一体‥‥?」
 どうやら真剣に透視能力を覚えようと念じ始めている彼らを見ながら、どこか薄ら寒い感覚を覚えるイヴァンであった‥‥




●混浴風呂は誘惑がいっぱい?
 こうして皆一斉に入った露天風呂‥‥彼ら・彼女らの取る行動は様々であった。
「ふぅ‥‥こうやって温泉で過ごす時間というのは楽しいわね‥‥」
 少し布地が多目のワンピース水着を着たリーリヤが、そっと湯船に浸かっている。
 先ほどは語られなかったが、彼女の【ツインメロン】も相当な質量を誇っており、水着を押し上げる膨らみは隠そうにも隠し切れない。
「‥‥自分に言って貰えれば、ここまでの歩行も手伝ったのですが‥‥」
「言ったでしょ、介助はいらないって」
「‥‥むぅ」
 人一人分ほど離れた場所には、どっかりと腕を組んだイヴァンが同じく湯船に浸かっている。
 先ほども彼女が歩く時に手伝いを申し出たのだが、一睨みで押さえられた。
「しかし‥‥自分は少尉殿が心配なのです。何事においても‥‥その、何と言うか‥‥」
「ふぅ‥‥分かっているわ。気持ちだけ受け取って‥‥ん?」
 軽く息を吐いたリーリヤだったが、ふと何かの視線に気付く。
 そう、この何だか纏わり付くような視線‥‥丁度右斜め方向、1メートル‥‥
「‥‥隠し切れないそのサイズ、そして湯煙に上気した顔‥‥まさに芸術ぬっはぁぁ!?」
「‥‥私が手を下すまでも無かったわね」
「少尉殿には視線一本許さん‥‥!!」
 何やら両手で作った水鉄砲で目を撃ちぬかれたらしいサウルの断末魔が遠ざかっていくのを見ながら、そっと手を収めるイヴァン。
 そして落ち着いた後、そっと後ろに置いてあった桶を浮かべてきた。
「‥‥日本かぶれかもしれないですが‥‥冷酒など、いかがですか」
「‥‥ふふ、それくらいなら、いいかもね」
 軽く微笑を浮かべたリーリヤがお猪口を持ち、それに酒を注ぐイヴァン‥‥こうしてゆったりとした空気が流れていくのだった。




「ちっくしょ‥‥酷い目にあったぜ‥‥ん?」
 サウルがふとこすっていた目を開くと、目の前に流れてきたのは‥‥おもちゃのアヒル。
 どうやら向こうで遊んでいる御名川のおもちゃらしい。
「よ〜し♪ 次はサン・マルコ寺院、君に決めた〜!!」
「おっしゃ、俺も混ぜてくれよ〜〜!! ‥‥お、布施川に女将もいたのか」
 バシャバシャと近寄ってきた先には、一緒になって遊んでいる布施川に、その近くでそっとしたたる汗をタオルで拭っている雨宮の姿があった。
「おうよ。あ、そこでエレシアちゃんも見てるぜ?」
「‥‥‥」
 布施川の声を聴いた瞬間、サウルのレーダーが反応する。
 現在地確認‥‥目標座標、インプット完了‥‥脳内カメラ残量、オールグリーン‥‥
「‥‥そこだ〜〜!!」
「‥‥ん、どうか‥‥したの‥‥?」
 そして彼の目に写った芸術作品‥‥それを言葉で表す事は、今の彼には無理であった。
 あどけない無表情、アップに結い上げられた金髪、首からしたたる雫、そして‥‥そしてその水に浮かぶ艶やかな果実!!
「‥‥わが人生に、一片の悔い無し‥‥くぅ〜〜!!」
「あ〜〜!! 何だかお兄ちゃんが涙を流してるよ〜!? ど〜したの〜!?」
 ポチャンと彼が落としたアヒルを拾い上げながら、きょとんとサウルの【漢泣き】を見ている御名川。
 そんな様子を見ていたエレシアが、ぽつりと呟く。
「ん‥‥みんな、本当に元気だね‥‥」
「そ、そうですね‥‥少しだけ、邪な空気を感じましたけど‥‥」
「‥‥?」
 雨宮が冷や汗をかきながらタオルで拭っている姿を、首を傾げて覗き込んでいるエレシアであった‥‥。



「がぅ‥‥たまにはゆっくり入るのも気持ちいい‥‥」
「ふふ、そうだね〜。景色も良いし、サキとも一緒だし、言う事無しだよ♪」
 少しだけ離れた場所では、そっと寄り添って景色を眺めている佐倉とレティシア。
 先ほどまで更衣室で戯れていた(?)二人だったが、どうやらここで『コト』を起こす気は無さそうだった。
「そういえばここって混浴にするか迷ってるって言ってたよね〜。‥‥ま、ボクはサキがいればどっちでも良いんだけど♪」
「が、がぅ‥‥レイチー、恥ずかしい‥‥?」
 バシャッと抱きつかれ、佐倉が少し顔を赤らめ‥‥と、ふと彼女が視線を上げる。
 その視線の先に見えたのは、湯船から上がった女将の後を追うように布施川が追いかける姿であった。
「がぅ‥‥何だろ‥‥ストーカー?」
「ふふ‥‥愛って凄いよね〜♪ ‥‥ね、サキ? 向こうの影に家族風呂があるみたいなんだけど‥‥♪」
「‥‥が、がぅ‥‥行く‥‥」
 耳元でそっと囁き、顔を赤くした佐倉を連れて隅に隠れている小さな家族風呂へ向かうレイチェル‥‥果たしてそこで一体何があるのだろうか、それは誰にも分からない。合掌。



「お、女将さん!! いや春香さん!! 良かったら俺に背中を流させて頂けませんか!?」
「え? その、何と言いますか‥‥こういう事は‥‥」
「あ、え〜とその‥‥そう!! 今こそ今回の目的・『家族や恋人同士で温泉に入る人の気持ち』を理解する時です!!」
 何やら今回は特に必死そうに粘り続ける布施川。
 どうやら何回も、何回もこの時の事を想像し続けていたのだろう、気迫が違った。
「‥‥ふふ、そうですね。では御願い致しましょうか」
「は、はい!! では向こうで!!」
 心から嬉しそうな表情を見て、苦笑いをしながらもそっと立ち上がる彼女。
 そして‥‥布施川の戦いが始まった。
「では、宜しくお願いします‥‥」
 するっと黒髪を纏め上げ、白磁のような背中を向ける雨宮。
 その華奢な背中に、ゆっくりとボディーソープを泡立てたタオルを擦り付けていく‥‥水着の紐を解かないように、慎重に、慎重に‥‥
「ん‥‥ふぅ‥‥」
「まだだ‥‥まだ、慌てるような時間じゃ‥‥!!」
「‥‥ん‥‥お上手ですね、布施川様。 ‥‥こうして背中を流されるのは、何年ぶりでしょうか‥‥ふふ♪」
「ぬ、くぅ‥‥!!」
 時々漏れる甘い声に、少し感じる部分に触れたのか思わずビクつく身体‥‥天国と地獄を同時に味わうような10分を過ごした布施川だった‥‥合掌。




●そして、食堂で‥‥
「なるほどね‥‥時間を指定して、その時間だけ混浴にするんだ」
 雨宮が運んできた天ぷらを受け取りながら、リーリヤはすっと微笑む。
 女将の判断として、時間を指定してその間だけ混浴風呂を開放することに決定したようである。
「勿論前後の時間を多めに空けて、決して嫌な方が入らないように配慮するつもりです」
「そうだね‥‥私もそれなりに楽しかったし、ね」
 クスリと妖艶に微笑んだ先には、相変わらずのいかつい顔をしたイヴァンがいそいそとカツオだしに大根おろしを入れている。
「少尉殿、これにつけて食べると美味しいです。どうぞお試しを」
「はいはい、分かったわ。‥‥それじゃ、女将さん。今日はありがとね?」
「いえいえ。また何かありましたら御願いします」
「少尉殿‥‥これはどうやって食べればいいので‥‥?」
 すっと頭を下げた女将が立ち去った後は、気兼ねの無い『姉弟』の食事が再開したのであった‥‥


「サ〜キ〜♪ はい、あ〜ん♪」
「がぅ‥‥あ、あ〜ん‥‥」
 少し離れた席では、相変わらずのイチャイチャ空間を醸し出しているレイチェルと佐倉の姿があった。
 どこかつやつやした顔をしているのは‥‥きっと温泉の効果に違いない(断言)。
「混浴風呂か〜。それがこの施設に吉と出るか凶と出るか‥‥どうなるだろうね?」
「がぅ‥‥きっと、大丈夫‥‥」
 何やらしっかりと頷いている佐倉だが‥‥そんな彼女にそっと接近して、耳元で悪戯っぽく囁くレイチェル。
「ふふ‥‥おまじない、効くと良いね♪」
「が、うぅ〜〜‥‥!! もう、言わないで‥‥!!」
 何故か(?)顔を真っ赤にして澄まし汁を飲んでいる佐倉。
 そんな彼女の顔を見て、すっと冷酒を傾けながらレイチェルは満足そうにニコニコと微笑んでいたのだった‥‥



「これおいし〜ね〜♪ おさしみもしんせん〜♪」
「ん‥‥口元に醤油が‥‥ゆっくり、食べる‥‥」
 元気いっぱいに食事を食べている御名川の隣では、そっと彼女の口元を拭っているエレシアの姿。
 そんな二人のテーブルの前では、男二人が黙々と筍御飯を頬張っている。
「うぅ‥‥少しのぼせちまったか‥‥あんまお風呂ではしゃぐもんじゃねえな‥‥」
「‥‥春香さ〜ん‥‥一緒に旅館を‥‥もぐもぐ」
 それぞれ考えている事は全く違うが、どちらも精根尽き果てた様子なのは間違いない。
 そんな4人の元へ、雨宮が追加の食事を持ってくる。
「お待たせいたしました。こちらが鱧の照り焼きに‥‥あら布施川様? どうかなされましたか?」
「い、いやいや何でも無いですよ!? また機会があれば絶対に来ますので!!」
「‥‥ふふ、分かりました♪」
 大慌てで言葉をまくし立てる彼を見て、クスリと微笑む雨宮。
 そんな様子を見て、サウスが少し首を傾げる。
「‥‥なあ。何だかあの二人、少しだけ‥‥」
「ん‥‥まだ、分からない‥‥どうなるか‥‥」
 エレシアが小さく頭を振って、目の前の鱧を口に動かす。
 そして彼女達の空気を全く気にせず、どこへ入るのかと思わんばかりの量を食べている御名川だった。
「このおさかなもお〜いし〜♪ あたし、こんな場所なら毎日でもいいよ〜♪」


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥

 そして、ここさらさの湯に混浴風呂の時間が出来たのだった‥‥合掌。