●リプレイ本文
●森へ向かう道中‥‥
「薬の材料か‥‥必要な物なんだろうけど、大丈夫なんだろうか‥‥」
にこにこと先頭を歩いて行くリアナの後ろから、慌てたようにマリーが追いかけている。そしてその後ろではシクル・ハーツ(
gc1986)がとても不安そうにリアナの様子を見守っていた。
「あっはは♪ 何だかぴくにっくみたいでたのしー♪ ‥‥あれ、空にぃどーしたの? 顔がアオいよぉ?」
「うぅ‥‥今回は絶対に何も無いんだ‥‥いや、以前だって何も無かったんだ‥‥」
「う〜ん、変な空にぃだね‥‥何かあったの〜?」
快晴の青空の下、死人のような顔をしながら歩いているのはグラップラーの赤槻 空也(
gc2336)。そしてその横ではしゃいでいる新人グラップラーが火霧里 星威(
gc3597)である。今回が初任務というだけに若干緊張していたのだが、持ち前の人懐っこさと、同じ小隊の兄貴分である赤槻の存在もあってすぐに解けたようだ。
「それは仕方あるまい。先日での出来事、忘れたとは言わせないぞ?」
「ちょ、ちょっと待った〜〜!! あの時はあくまで誰かさんに無理やりだっただけで、俺は一切覗く気なんか‥‥」
「安心しろ、次に覗いたらその時は空也殿の命が終わるだけの事。その覚悟があるなら‥‥」
「だから俺は何もしてないんだぁ〜〜!!」
無表情のまま淡々と言葉を紡ぐシクルに対して、哀れ赤槻は目から滝涙を流して首を振っているのであった。彼らの間に一体何があったのか、それは彼ら自身にしか分からない事‥‥ここは彼の名誉の為、あえて何も追求をしないようにしておこう。
「‥‥全く、騒がしい連中だな‥‥」
「へうぅ‥‥ごめんなさい‥‥」
そのまた後ろからゆっくりと歩いているのは、どこか魔術師風の格好をしたシン・サギヤ(
gb7742)と、細身でおどおどした雰囲気をしつつも腰には二振りの直刀を下げたチャイナ少女、淵塚・L・スカディー(
gc3670)である。知らない人が多いせいかかなりびくびくと歩いている淵塚は、何かにつけて謝ってしまう癖があるようだ。しかし‥‥
「うぅ‥‥でも被害者も覗いたって言ってるし‥‥実はむっつりさんなのかな‥‥」
「‥‥本人の前で言ってやるなよ」
なかなか言う事は言う性格らしい。シンもあくまで顔は無愛想なのだが、別に任務が嫌いだとか他人を遠ざけているとか、そういう気持ちは全く無い。だから淵塚もそれを感じているのか横を歩いているのだろう。
「あらら〜、ちょっと離れすぎちゃったかな〜? 少し急がないと置いていかれちゃうよ」
少し早足で追いついてきたのは刃霧零奈(
gc6291)。最早彼女の代名詞となったマスクメロン二房は今日もたわわに実っており見事な豊作状態である。その面積の少ない布地が生み出すハミ乳具合、そのまた何とも言えない魅惑の谷間空間は男ならば必ず拝んでおくべき聖域であろう(断言)
「それにしても、まさかあの時の娘がこんな愉快な店をやっていようとは‥‥」
「そうだねぇ〜。リアナさんも全く前回の依頼で懲りていないみたいだし‥‥マリーさんも大変だよね〜」
シンや彼女は前回の依頼で一緒になった仲間であり、つまりはアレな目やコレな状態を目撃したり体験したりした本人達でもある。そしてその後ろでは、トレンチコートを羽織ったミティシア(
gc7179)が、トゥリム(
gc6022)の手を引きながらぴょんぴょんと元気一杯に飛び跳ねている。
「今回は蛙さん退治だ〜♪ ぴょんびょん楽しみだ〜♪」
「‥‥ミティシアさん、元気すぎ‥‥」
「だってだって〜、蛙さんだよ〜? ぴょ〜ん、ぴょ〜ん♪」
「‥‥‥‥ぴょん」
無表情でされるがままのトゥリムだが、特に嫌いでもないのだろう、一緒に飛び跳ねているその姿は十分年相応の可愛らしさを備えていた。可愛らしい女の子が二人揃ってはしゃいでいる光景は‥‥まあ小学校の遠足風景といったところか。とにかくこのメンバーで森の奥へと向かうのであった。
●森の中にて(殲滅班)
「ちょっと〜!! 流石に数が多すぎない〜!?」
「‥‥どれだけいようと関係無い。全て確実に殲滅するのみ」
目の前に伸びてきた舌を引っ張りながら一撃を加えて撃沈させた刃霧の横で、ただ黙々とキメラを切っているシン。幸いカエルキメラの耐久力は大したこと無く、数撃与えるとあっさり沈没していくのだが、いかんせん数が数である。
「蛙さんめっ〜け!! ぜ〜んぶやっつけちゃうよ〜!!」
「うぅ‥‥これ以上近づかないで下さい〜〜!!」
全く緊張感のないままイアリスで撃退しているミティシアの横では、おどおどとしながらも必死に淵塚が刀の二刀流でキメラを切り裂いていた。キメラの数はなかなか多く、皆の疲労はかなり溜まってしまっている。
「おっと、そうそう当たる訳には‥‥ってうにゃ〜!? ネバネバするよ〜〜!!」
「刃霧さん!? ‥‥へゆ!? た、たしゅけて〜〜!!」
上手く回避したつもりの刃霧だったが、思いのほか動きが緩慢になってしまっていたのかついに粘液の餌食になってしまった。そして振り向いて心配をした淵塚もまた、背後から舌で身体ごと絡め取られてしまった。
白濁のシャワーを浴びせられ、綺麗な金色の髪や赤らんだ頬に真っ白な白化粧が施されていく刃霧に、べたつく舌を身体中に巻きつかされ身動きが取れなくなっていく淵塚‥‥その光景は不謹慎と分かっていながらも、確実に目を引き付けられる魔力が秘められている(また断言)
「な、何だか身体が熱くなってきたよ〜‥‥はふぅ‥‥んぁ‥‥」
「は、刃霧さん‥‥気を、しっかり持ってください‥‥ひゃん!? そ、そこまで触られると私‥‥もぅ‥‥」
鈍くなった身体に粘液を纏わされ荒い息を吐く刃霧を横目に、ぬめぬめと舐めるように身体を嘗め回されている淵塚‥‥しかし、その状態を放って置く仲間ではない。ピンチを嗅ぎ付けたのか、目の前の敵を倒したミティシアとシンが大急ぎで戻ってきた。
「んも〜!! そんないけない事をするカエルさんはメッってしちゃうぞ〜!!」
「全てのキメラは俺が殲滅する!! さぁ、かかってくるがいい!!」
二人を捕らえていたキメラを見事に切り倒したシンとミティシア。どうやら長らく続いていたカエルキメラも打ち止めのようだ。
周囲を警戒するシンの横で、一生懸命ネバネバを取ろうとミティシアが苦心していたのだが、なかなか取れそうに無い。必死に取ろうとするもミティシアの手まで段々と白いファンデーションが塗りこまれていく。
「うぅ〜〜、あたしも手がベタベタになっちゃった〜〜。早く洗いたいよ〜」
「えっぐ‥‥お嫁にいけなくなったよぉ‥‥」
「まぁまぁ、そんな泣かないの。帰ったら一緒にお風呂入ろう、ね?」
ぐすぐすと半泣きの淵塚の肩を、ぽんぽんと慰めるように叩く刃霧。とにかくべた付く身体を何とかしたいと、動ける程度まで粘液を拭い取った彼女達は、護衛班の近くまで戻るのであった。
●森の中にて(護衛班)
「ふぅ‥‥そろそろ量も集まってきた事だし、そろそろ戻ろうかしら。リアナ〜!! そっちは大丈夫〜!?」
「〜〜♪ このキノコの胞子は〜、と〜っても貴重なんですわ〜♪」
「全く聞いてないし‥‥まぁ今回は護衛の人達がいるから安心だけどね」
周囲を護衛してもらっているリアナとマリーは、いくらか安心した様子で材料採取に励んでいる。先ほどから大きな音が聞こえてくるものの、流石能力者だけあって見事にキメラを全滅させている様子を見てマリーも心から安堵していた‥‥相変わらずマイペースなリアナはちょこちょこと歩き回っているのだが。
「‥‥マリーさんも大変」
「まぁ仕方あるまい。しかしこちらもあまり油断していると‥‥おっと、そこだ!!」
トゥリムとシクルがしっかりと周囲を警戒していると、近くの木の上からキメラの気配が降ってきた。落ちてきたカエルの胴体部分にシクルの弓が放たれて動きが鈍ったところへ、トゥリムの銃が止めを刺して完全に息が絶えた。
「あらあら〜、貴重な素材が豊富ですわ〜♪ これで店の目玉商品が〜♪」
「おいおい‥‥ホントに怖いもの無しだな‥‥って星威!?」
「う、うわぁ〜!! オバケでたぁ!?」
若干呆れ気味にその様子を見ていた赤槻だったが、少し離れた場所で火霧里がキメラに襲われている所を発見し、慌ててその場へ走りこむ。
「うぅ〜〜!! このこの〜〜!!」
「慌てるな、星威!! 敵は決して強くない‥‥よく狙え!!」
赤槻の的確なアドバイスの下、相手の隙を見てマシンガンで射撃を撃ち続けていた彼女の前に、ついにキメラはばったりと倒れこんだ。きゃいきゃいと喜ぶ彼女だが、彼女の小さな身体には戦闘の際についた粘液が所々に残っていた。
「やったやった〜〜!! 倒したよ〜〜!! ‥‥ん〜? 何だかネトネトしてるよ〜?」
「おい、大丈夫か? もしかしてどこか怪我でも‥‥」
「ふふふ〜〜‥‥え〜い!! べたべた〜〜!!」
「うぉ!? いきなり何をしやがる!!」
二人のじゃれあう姿を見ながらシクルとトゥリムも軽くため息をついた‥‥とその時、リアナがちょこちょこと近寄ったキメラの身体がぴくぴくと動き始めた。そして真っ先にその動きに感づいたのはトゥリムである。
「‥‥‥‥!?」
いち早く気付いたトゥリムが急いで走りこんだのと、起き上がったキメラが力を振り絞って舌を伸ばしたのがほぼ同時だった。
シールドごと小さな身体を絡め取られた彼女の動きは、あっという間に封じ込まれてしまい身動きが取れなくなってしまう。そして次第に息苦しさからトゥリムの顔が赤くなり、熱っぽい吐息が混じり始めてきた。
「‥‥う、うぅ‥‥僕が、この程度で落ちるとでも‥‥ぅん!!」
「いかん!! その舌を離すが良い‥‥!!」
数瞬遅れて飛び込んだシクルの一撃がカエルに直撃する。力を入れていたせいか、後方に転がり落ちると大きな木の幹にぶつかり今度こそ完全に動かなくなった。その状態をしっかり確認した後、シクルは大きくため息をつく。その後トゥリムは慌てて戻ってきたマリーによって体の汚れを取る事が出来た。
「ふぅ‥‥流石に疲れたな‥‥。しかし、本当にリアナは怖いもの知らずだな‥‥」
「あらあら〜、そんなに褒めても何も出ませんわよ〜♪」
とことんマイペースなリアナだったが、幸い今回の仕事は全く無傷で終える事が出来た。皆の苦労の甲斐もあって今回の依頼は成功したと言って間違いないだろう。
●シャワータイム、そして‥‥
任務後、町に戻ってきた能力者達は揃ってシャワーを浴びに公衆温泉へ入っていった。リアナとマリーは無傷だった為店へ戻り、早速薬を作り始めるようである。その際シンが何やら色々と渡していたらしいが‥‥その話はまた次の機会にしよう。
「それそれ〜〜!! シャワーこうげき〜〜!!」
「あ〜んもぅ、ミティシアさんやったな〜!? こっちもまけないぞ〜〜!!」
「全く‥‥静かに入らないか。いくら貸切にしてもらったとは言え、皆の迷惑になるだろう」
男ならば一度は拝んでみたい光景が今まさに広がっているが、それを覗いたものにはもれなく【死】の文字が待っているだろう。現にゆったりと身体を洗っているシクルの傍には仕込み箒(刀)が、ぽたぽたと大きな胸の谷間からくびれた腰へと雫が滴り落ちている刃霧の近くには、特注の催涙スプレーが用意してあった。
「え、えっと‥‥ど、どうしてトゥリムさんは、その、そんな目を‥‥?」
「‥‥‥別に」
水着を着た彼女は、淵塚の質問に簡素に応えつつ周囲の状況をしっかりと分析していた。細身ながらも雰囲気の割りには肉付きのある淵塚、移した視線の先には豊満な身体を惜しげもなく晒してゆったりと温泉に浸かっている刃霧‥‥今のところ最大の敵は彼女だろうか。傍らに腰掛けてのんびりしているシクルも細身ではあるが、頑張れば届きそうな目標‥‥ミティシアは仲間。
「‥‥‥」
「へぅぅ‥‥な、何だかごめんなさい‥‥」
じろ〜っと見つめられ、思わず謝ってしまう淵塚。とにかくここ女湯では、彼女達ののんびりとしたリラックス空間が広がっていた。
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥
ここは男湯。ここではぶつぶつ呟く赤槻と無表情なシンが身体を洗っていた。竹壁の近くに作られた洗い場の前で、ごしごしと引き締まった身体を洗っている男二人の姿は、やはりその手の趣味を持つ者が見たら涎を流す場面なのかもしれない(多分)
「‥‥あんたも同じ男なら少しは理解できるだろう? 謂れの無い事でいつまでもねちねちと突かれてみろよ‥‥」
「‥‥その場にいた訳では無いから何とも言えんが、誤解されるような事があったのは事実なんろう?」
「いや、だからあの時は‥‥そう、事故に巻き込まれただけなんだ!! とにかく今回は安全に終わらせなくちゃいけないんだ!!」
ぐっと拳を握り締めて立ち上がる赤槻を見ながら、軽くため息をつくシン。‥‥と、その時シンはふと何か奇妙な感覚を覚えた。そう、まるでキメラに襲われる直前のような‥‥
「そうか。‥‥さて、俺はそろそろ上がる」
「おいおい、まだ洗っただけだろ? まあいいけどよ‥‥」
その感覚を信じ、シンはすっと身体を洗い終えただけで立ち上がる。そのまますたすたと浴場を出て行く後姿を、赤槻はぼけっと見送りながらまた続きを洗い出した。そんな横で、一人浴場を歩いていた火霧里が竹壁に張り付く一枚の葉を見つけた。この公衆温泉は少しでも風情を出そうと色々な木を植えているのだが、その中で一風変わった形の笹の葉がぴたっと壁に張り付いていたのだった。
「なんだろあれ〜‥‥へんなの〜?」
ちょこちょことその壁に近寄ってみると、壁の向こうから何やら声が聞こえてきた。どうやら向こうは女湯となっているようだ。気にせず火霧里が手を伸ばしてその笹の葉を取ろうとした、その時‥‥
【バッタ〜〜ン!!】
「う、うぉぉ〜〜!? あぶね〜〜〜!! ‥‥‥‥ぇ?」
思いっきりその場を離れた赤槻の目の前に広がった光景は‥‥刃霧のツインメロン、シクルや淵塚のスレンダーボディ‥‥皆バスタオルなど全く身に着けずに生まれたままの姿を赤槻の前にさらけ出していた。大事な部分は【何故か】湯気や舞い散る落ち葉などで隠されていたが、そんな幸運を味わうような余裕などあるはずも無い。あったのは殺気に満ちたシクルの刃と刃霧の催涙スプレー、そして各々方の雨のような桶攻撃である。
「‥‥ふふ、覚悟は出来ているか‥‥?」
「‥‥きゃ、きゃー!! エッチー!! 覗いちゃダメー!!」
「えっぐ‥‥もう、本当にお嫁に行けなくなっちゃったよぉ‥‥」
「‥‥とりあえず死んでください」
「お、おこちゃまの裸見てナニ喜んでいるのですか〜!!」
「ちょ、ちょっと待った〜〜!! 一応言っておくが今回も完全に俺のせいじゃぎゃ〜〜〜!!」
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥
「‥‥てへ!ヤッちゃった☆」