【四月】おもすぎる
マスター名:安藤らしさ 
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/17 17:06



■オープニング本文

 この学園には一つの伝説があるの。
 校舎裏にあるもふらの像。その前で告白すると、二人は永遠のカップルになれるんだって――。

 ただしどちらかがヤンデレになる。



 ここは学園の理事長室。目の前にいる髭のデブは理事長だ。
「えー諸君。君達はこの学校のヤンデレ対策のために集められた。知っての通り、我が校には校舎裏のもふらの前で告白すると永遠のカップルになれるという伝説がある。ただしどちらかがヤンデレとなってだ。
 実はあのもふらの像は、この学校が出来る前は恋愛の神として祀られていたものだ。だから伝説は本当のことなのだろう。もふらに罪はない、彼はただ恋人を作っているだけなのだから。
 ――だがこの学校におけるヤンデレの含有率が高すぎる! そりゃあ包丁も毎日飛んでくるよ、ってなくらい! このままではあのもふらの伝説に『ただしヤンデレ限定』などという言葉が付随してしまう! それはもふら像にとっても哀しむべきことだ。いやけして伝説にかこつけて入学志望者を集めようなどという魂胆ではげふごふ。
 ‥‥まぁ、とにかくとしてだ。君達にはこの学校にいる代表的なヤンデレの対策をしてもらいたい。警察沙汰? うん、ばれなければおっけーだ」



「お兄ちゃん、あたし達ずーっと一緒にいようね。彼女なんか作っちゃやだよ?」
 ケース1 ヤンデレ妹 サムライ
 同じ学園に通う三年男子の妹。一年生。普段は普通だが、兄に対して異常な執着心を見せる。特に兄が他の女子と会話しているところを見ると、その女子は後日行方不明になる。得意な料理は肉料理。

「んもー。あたしがいないとダメなんだから!」
 ケース2 ヤンデレ幼馴染 泰拳士
 ある三年男子の幼馴染。三年生。男子の前では勝気な幼馴染を演じているが、実は男子に近寄ろうとする女子を陰で排除し続けている。男子の心理を操作することが得意。

「あなたは天儀という世界の生まれ変わりです。アヤカシを倒して私と一緒に世界を救いましょう」
 ケース3 電波少女 陰陽師
 自分とある三年男子は空に大陸が浮かぶ世界の生まれ変わりだと主張している。二年生。え、舵天照? そんなの知りません。

「うふふ‥‥あなたのことは何でも知っているのよ‥‥」
 ケース4 ストーカー シノビ
 ある三年男子をいつも後ろから見ている女子。二年生。男子と話したことはないが、男子が食べた朝食の内容や男子のはいている下着の色を間違いなく答えることが出来る。


「諸君らの相手は上記の四人だ! 朗報を期待しているぞ!」



※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません


■参加者一覧
華御院 鬨(ia0351
22歳・男・志
九重 除夜(ia0756
21歳・女・サ
クロウ(ia1278
15歳・男・陰
細越(ia2522
16歳・女・サ
鬼灯 恵那(ia6686
15歳・女・泰
一心(ia8409
20歳・男・弓
エグム・マキナ(ia9693
27歳・男・弓
陽乃宮 沙姫(ib0006
21歳・女・魔
レイシア・ティラミス(ib0127
23歳・女・騎
御形 なずな(ib0371
16歳・女・吟


■リプレイ本文

「お兄ちゃん、昨日のオムレツ喜んでくれてよかった♪ 挽肉作るのがちょっと面倒だったけどね」
 何の挽肉を作っているのか問い質したくない、そんな少女、病美。通称ヤンデレ妹。今日も兄と共に登校したところだ。兄の下駄箱に何も入ってないのを確かめたところで自分の下駄箱へ。
「あれ? 下駄箱の中に何か入ってる‥‥」
 妹が取り出したのは白い封筒だった。中身を確かめたところですぐに握り締め、そこらにポイと投げ捨てた。
「こんなのお兄ちゃんに見られたら誤解されちゃう! あ、まって、お兄ちゃーん!」
 その後ただの一般生徒が妹の投げ捨てた紙を拾って中身を見てしまい「ひっ」と悲鳴をあげていた。紙一面に「スキデス」と赤字でびっしり書かれているのを見れば無理はない。
「まだ、やり足りないのかな? もっとやらなきゃダメなのかなぁ‥‥」
 そんな妹を、クロウ(ia1278)が柱の影から見つめていた。
「病美ちゃん、この間(お兄ちゃんの尾行してて)教室にいなかったでしょ。ノート見せてあげる」
 教室に訪れた妹に、クラスメイトの陽乃宮 沙姫(ib0006)が明るく話しかけた。
「わぁ、ありが」ズザッッ!!「きゃああ!」
 沙姫に礼を言おうとした妹を、いきなり現れた真空の刃が切り刻んだ。
「俺のこと気になってる? 超気になってる?」
 クロウが身を隠すこともなく、超ダッシュで妹の前に現れた。
「こうすれば病美さん、俺の事ばっかり考えるようになるだろ? そうだよな?」
「なわけないでしょ! ‥‥ハッ! 乙女の第六感が!」
 クロウに詰め寄ろうとした妹だったが、頭の妹アンテナ(アホ毛)が何かに反応した。すぐさま包丁を握り締め教室から飛び出す。
 一方その頃。
「先輩のためにお弁当作ってきたんだよ。一緒に食べよ?」
 ある三年男子生徒に弁当箱を掲げながら鬼灯 恵那(ia6686)がにっこり笑った。可愛い後輩に微笑まれて嬉しくない男子がいないわけがない。しかもお弁当つきだ。
「えっ、いいの!? 病美以外の手作り弁当かぁ、へへ‥‥」
 どうやら生まれて初めての経験らしい。
「じゃあ昼休みにね、先輩♪」
「うん! 昼休みだね!」
 キャッキャウフフと仲睦まじくしている男子と恵那を、ギギギと教室の入り口から殺気を放ちながら見ている妹がいた。
 そして放課後。
「うぅっ、体が重い‥‥陽乃宮さんからもらったおまじないの水のせいかな‥‥」
 ぜぇぜぇと息を切らしながら歩いている妹の姿があった。今朝、そして昼休みにも兄に手を出してきた恵那を尾行している。おまじないの水というのは「この水を飲み干して、その日のうちに告白できたら両思いになれます」などとつい先程、沙姫から渡された。飲み干した途端にごらんの有様だ。
 しかもこのダメージは謎の水だけではない。
 あれから何度も誰かと話すたびにクロウの斬撃符が飛んできた。クロウ曰く
「病美さんみたいに邪魔者を消しちゃう方が早いんだろうけど、その人に迷惑かけちゃうし」ということだ。
(どうしてばれてるのかな。後で始末しておかなきゃ。でも今はお兄ちゃんに手を出す悪女を倒さなきゃね、うん!)
 恵那はちょうどいい感じに人気のない場所を歩いている。妹の持つ包丁がギランと光った。
「おっと、そこまでだよ」
 聞きなれた声に妹が振り向いた。そこにはクロウと沙姫がいた。
「驚いた? 実は病美さんに自分の過ちを気付いてほしくてあんなことしたんだ」
「お兄ちゃんが好きでも、行き過ぎた行為はしちゃいけないのよ」
 懇々と説得をする二人に妹はうつむいて黙り込んだ。反省したのか、と一瞬思ったが
「そう、つまり‥‥あたしとお兄ちゃんの間に割って入ろうってことなのね!」
 反省はしなかったようだ。
「そっかー‥‥じゃあ‥‥埋めなきゃ」
 物騒なことを言いながらクロウはにっこりと笑った。そして妹の背後には山姥包丁を思い切り振り上げた恵那の姿が――。
「あははははははははっ!!」
 ――それから時は流れ。
 ある桜の木の前、恵那の告白を受けている男子がいた。手作り弁当が効果的だったのか、男子はその告白に頷いてくれた。
「先輩、私達ずっと一緒だよね。浮気なんてしちゃダメだよ?」
「ハハハ、何言ってるんだよ。するわけないだろ〜」
 のんきに新しく出来た彼女と歩く男子。――その桜の木の下には妹が埋まってるなんて誰も知らない。



 ある男子が廊下を歩いているときだ。
 ドンッ!
「あ、ごめん‥‥」
 男子がぶつかった相手の顔を見ると、そこにはなんと美少女がいた。
「すいまへんどす」
 美少女がにこりと微笑を残して優雅に去っていった。男子はそれをぽーっとした顔で見送った。
 実は美少「女」でなく男であり、それは華御院 鬨(ia0351)だったが。
 少し前のこと。
 理事長に呼ばれてヤンデレをどーにかせよという依頼を受けた鬨と九重 除夜(ia0756)であった。
「ヤンデレになるとは何ともけったいな事どすなぁ」
 しみじみと鬨が感想を呟いた。
 除夜は理事長に渡された生徒達の書類をまじまじと見つめていた。
「やれやれ、やんでれか‥‥ふむ、つまりは実妹の求愛を受けた実兄がいると言う事か」
「少しちゃいますな。好きなあまり病んだ事をしてしまうんどすよ」
「成程。嫉妬のあまりの行動というわけか。それならば納得できる」
 うんうんと除夜は勝手に納得したようだ。
「‥‥それでええかなぁ」
 詳しく説明するのも疲れる気がするので、とりあえずターゲットのところに向かうことにした。ちなみにヤンデレ幼馴染だ。
 というわけで先程の話に戻る。
「うまくいくやろかぁ?」
「大丈夫だろう。ほら」
 不安げな鬨に除夜がある方向を指差す。そこには殺気だった顔でこちらに向かってくる女子がいた。念のために人通りの少ない場所を歩いていてよかった。
「あなたね、あたしの彼に色目を使った女は。彼迷惑してるのよ」
 女子はいきなり鬨に詰め寄ってきた。
「だから何どす? 近付かないように説得どすか? それとも拳で実力行使どすか?」
「だったら何だっていうのよ!」
「そんな方法では、彼を引きとめておくなんて無理どすわ。男心としては、そんな事をしている事がばれたら、幻滅してしまいやす。ばらしてもええどすか」
「女のくせに男心について語んないでよ! 彼の気持ちがわかっているのはあたしだけなんだからね!」
「女じゃありませんよ? うちは男どすえ。女形をやってますからになぁ、女装も仕事のうちなんどすわ」
「えっあっ‥‥そうなんだ」
 あまりの衝撃に思わず女子は素に戻ってしまった。
「と言うより何かね、君が彼のことを信じていないと言うのかね?」と横から聞いていた除夜も口を出してくる。
「うううるさいわね! わかったわ、あんたも彼のことを狙っているのね! もう男でも女でも関係ないわ、彼に近付く奴は皆殺しよぉ――ッッ!!」
 もう一人の女の存在にぷっつんしてしまったのか、女子は両の拳を振り上げて除夜へと突っ込んできた。
「こうして話をしているのも、貴様を心配しているからこそ、であるのだがな」
 ふぅと除夜は溜息を吐き、斬馬刀を構えた。
 そして。
「来夜流――猫遊。案ずるな、峰打ち‥‥いや、峰突きだな」
「ぐはっ」
 ばたんきゅーと女子が真っ白に燃え尽きて倒れこんだ。
「それにしても、やっぱりあのもふら像に原因があるんやないですかねぇ」
 こうなったら理事長を誘惑してでも原因解明を、と考える鬨だった。



「天儀‥‥理穴‥‥開拓者‥‥ヴォルケイドラゴン‥‥‥‥」
 屋上で空に向かいながら何かを呟いている生徒がいた。一心(ia8409)、弓道部幽霊部員二年だ。
「理事長が呼んでるわよ、って何してるのよ」
 レイシア・ティラミス(ib0127)が怪しく思いながらも一心を呼んだ。
「どこか懐かしい景色がって、え? 理事長が? ‥‥何のようだよ‥‥」
 はぁ、と溜息を吐きながらもしぶしぶ理事長室へと向かう一心だった。
 ――とりあえず省略。
 というわけで二人は校内ヤンデレ代表の一人の電波少女をどーにかすることになった。
「何ていうかまあ‥‥何でこの学園はヤンデレがこうも多いのよ? あのもふら絶対何か憑いてるでしょ」
 後で理事長に霊媒師でも呼ぶように言ってみようかしらと、レイシアは呟いた。現在は教室の窓から景色を眺めている。どこからどう見ても物憂げな女子生徒だ。サバなんて読んでない。
 レイシアはちらりとターゲットの様子を窺ってみた。丁度一心がコンタクトをとろうとしていた。
「あのー、あなた天儀の生まれ変わりだって聞いたんですがそうなんですか?」
「ええ、そうです。私は天儀で開拓者としてアヤカシと戦っていたんです。ああ、ジルベリアのレナ皇女は無事に帰国出来たのでしょうか‥‥」
(うわ‥‥これはもう重症としか言えないわねぇ)
 溢れ出る電波にレイシアは依頼を受けたことを後悔しつつあった。
 しかし一心の接触はなんとか成功。生まれ変わりが大勢いますよ、という話に戸惑いながらも、少女は共に帰途についてくれた。それとなーく人通りの少ない場所を歩くのは犯罪くさい。
「ところであなた三年の男子に開拓者として目覚めるように迫っているそうですね」
「そうなんです、彼にも早く開拓者としての自覚をもってもらわないと!」
「でもあなた、何がしたいんですか? 彼が大事なのか、アヤカシ退治が大事なのかどっち? アヤカシ退治はあなたがやらなくても誰かがやりますよ?」
 少女の両腕をがしっと掴みながら一心が超真剣に語り始めた。
「え、えーとどっちかなんて‥‥」
「彼が大事ならちゃちゃっと告白して天儀の事は忘れなさい。アヤカシ退治が大事なら彼の事は諦めなさい。どっちかはっきりしろ!!」
「がたがたうるさいです! どっちも必要なんですよ!!」
 突然キレた一心に少女もキレながら開き直った。
「はいはい、そこまでよ。‥‥ちょっと眠ってもらうから」
 いきなりスタッキングで距離をつめたレイシアが、少女の頭をがしっと掴んだ。
 ――ただいま大変暴力的な場面が流れております。
 何度もレイシアに頭を打ち付けられ、一心の心毒翔に悪意も打ち付けられ、少女は「ここは誰? わたしはどこ?」などとちょっとやばい感じに仕上がった。
「‥‥埋まらなかっただけマシかしら。‥‥ところで、天儀とかの話って、一心のは‥‥演技よね?」
「ふふふ、さぁて」
 一心に深く突っ込むことはやめておいたレイシアだった。



 というわけでヤンデレ退治のために三人の生徒が理事長室に集まった。
「理事長。『なんでも掃除出来る』掃除屋の準備だけは、おねがいしますね?」
「ああ任せておけ」
 エグム・マキナ(ia9693)の微笑みながらの『お願い』に、理事長が電話でどこぞに連絡を取り始めた。
「どこにかけているのかは聞かないが‥‥とりあえず更生からはじめるぞ。掃除屋とやらの出番はそれが出来なかったときだ」
 細越(ia2522)は念のためにエグムに忠告してみた。
「ちゃんとわかってますよ。ええ、もちろん」
 本当だろうか、と疑う細越の隣
「やっと見つけた‥‥私のセンパイ‥‥」
 と御形 なずな(ib0371)が不穏な呟きをしているのには誰も気付かなかった。
 ――ということで、件の生徒を苦労しながらも捕まえ、弓道部の道場真ん中に正座させることに成功した。
「あ、私行かなきゃいけないところがあるんで」と生徒はいきなりの逃走。
「待て!」と細越が首根っこを掴んだので道場から出ることはなかったが、どこかからエグムの舌打ちが聞こえたのは聞かなかったことにする。
「いいか、人の心というのはだな‥‥」
 こんこんと細越が説教をはじめた。――そして十時間後。
「‥‥だから堂々と出来ない行動など、恥を知るべきだ‥‥っと、言いたいことはまだあるが、今日はこれくらいにしておこう」
 既に道場の外は日も沈み真っ暗になっていた。
「も、もう帰ってもいいですか‥‥?」
「何を言っているんだ、これから鍛錬だぞ」
 冗談のかけらも思わせずに淡々と細越が告げた。
「ひっ! も、もう勘弁してください!!」
 しゅぱっと生徒は道場から早駆けた。まさに神速。「あ、待て! 外に出ると‥‥!」という細越の声も耳に入らないようだ。
「ぎゃん!」
 道場の外に出たとたん、生徒は脚を押さえながら転がり始めた。その脚には矢が深々と刺さっている。そして今まで身を隠していたエグムがにっこり微笑みながら登場した。
「残念です。残念なことですね? 他者からの愛も信じられず、誠心誠意をこめたお話も聞き入れられないというのは、本当に残念なことです」
 ぎり、とエグムが近距離から弓を構えながら語った。その矢尻は生徒の額に照準を合わせている。
「怖いですか? 恐ろしいですか? やめて欲しいですか? あぁ、安心してください。もう、そんな感情は要りませんよ」
「待て待て!」
 生徒の命を救ったのは細越の声だった。
「まだ逃げただけじゃないか。これからみっちり鍛錬もあるんだ、彼女の更生の可能性はあるだろ?」
 そう言いながら細越は生徒の腕にブレスレット・ベルをつけて彼女なりに笑いかけてみた。
「さぁ、これから腹筋背筋一万回だ」
「こ、これ以上つきあってられない!」
 どっちにしても死ぬと思ったのだろう、生徒は脚を押さえながらも全力で駆けた。
「おい待て!」
「逃がしませんよ」
 細越とエグムが生徒を追いかける。すぐに捕まると思われたが、物陰からなずながひょこっと顔を出して生徒に手招きした。
「センパイ! ここなら安全やで」
 生徒はなずなと共に物陰に隠れ、追いかけていた二人はすぐに見失うことになった。
「えっとありが‥‥」
 お礼を言おうとした生徒だったが、すぐに両手をなずなに捕まれた。なずなは潤んだ瞳で生徒の顔を見上げながら歌のように語り始めた。
「センパイ‥‥私の事覚えてますか? ‥‥覚えてへんやろな。私、中学のころからずっとセンパイのこと見てました、なずないいます。センパイ、隠れたり忍び込んだりするのがすっごい上手いから学校でも、通学中でも全然捕まらへん。だからお家で。私の歌って今の歌みたいになんか不思議な力があんねん」
 ああ、歌のようだと思っていたけど歌だったみたいだ。
「こうやって催眠術みたいに動きを操ったり、記憶を消したり‥‥な。毎晩、毎晩センパイの可愛い姿見てるけど、センパイが恥ずかしいから嫌やー言うから朝には無かったことになってる。昨日も一昨日も、一ヶ月前も一年前も。こんな自己紹介するのも何度目やろ? 私もいい加減センパイに覚えて貰えんのが辛いねん。一緒の記憶を残していきたいんや。‥‥ね、センパイ。嫌じゃないでしょ?」
 そうここはヤンデレの学園。依頼した生徒が病んでいてもおかしくはないのだ‥‥。

 こうして四人のヤンデレは駆逐された。だが既に新しいヤンデレが何人か生まれているのには誰も気付いていない。