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■オープニング本文 ●キノコ汁への目覚め この『戸の木村』には特産品と呼べる特産品は無かった。取り立てて貧しいという事もないが、特色がある作物があるわけではない。何一つ無い。 畑ではどこにでもある作物が、不味いわけではないが特別美味しくも無く採れた。海には面していなかったが、川魚くらいは釣る事が出来る。山の獣はいるにはいるが、それは村の外へと持ち出すような程度ではない。 従って外貨を獲得するにあたっては、普通の作物を普通に売るか出稼ぎなどをする以外に方法は無い。 「んで、どうしたらいいもんやら」 中年の男が切り出す。部屋には他にも何人かの男達。彼らは理穴の首都、奏生で開かれる『豊穣感謝祭(ほうじょうかんしゃさい)』の参加に向けて打ち合わせを行っていた。 「いつもどおり、野菜を持っていけばいいんでねえか?」 「しかしあんまり儲けがねえもんなあ」 そもそも市に持ち込める野菜は輸送できる量の兼ね合いから、さほど大量ではない。そのため、市に出て野菜を売ったとしてもいまいち労力のわりには手取りが少ない。それが市に参加するにあたっての悩みの種となっていた。 「もう少し売れるものがあればいいんだけどな」 「でもあんまり重いもんとかは運べねえし‥‥」 ぱっと解決するのであればとうの昔に解決していたであろう。当然この問題については年々話しあっても常にグダグダな感じでうやむやのうちに期限切れ、来年への課題として持ち越されてきた。 打ち合わせも長引き、男達の間に疲労が見え始めた頃、ある男が口を開く。 「キノコが、あるでねえか‥‥」 「ああ、キノコはあるなあ‥‥」 確かに里山では色々なキノコが採れる。量も種類も豊富だ。もちろん食べてはいけないキノコも中には多く含まれてはいるが、その判別方法はこの辺りで暮らす者にとっては生活知識として身についている。 「確かに量の足しにはなるな、軽いしかさばらねえ」 「でも高くは売れねえなあ。味も大きさも普通だしなあ」 キノコは採れるが特別美味しいというわけではない。見た目に華やかさがあるわけでもないので、高い値をつけても売れないだろう。他から来るキノコと何の違いも無いのだから。 「ならば、オラたちで料理をしてしまうというのは‥‥?」 「料理‥‥。せいぜいキノコ汁といったところだが」 「キノコ汁。いいかもしれんな」 他のキノコと差別化を図るため、付加価値をつける事を模索する男達。停滞感のあった打ち合わせは勢いを取り戻し、男達は夜を明かす勢いでキノコ汁について語り合った。 そして━━。 ●困難を乗り越えてでも。 「ついに完成しただ!オラ達のキノコ汁が!!」 「この味をみんなに伝えるだ!」 喜びに沸く戸の木村の人々。キノコ汁への情熱はいつしか手段と目的を履き違え、キノコの販売からキノコ汁への追求と姿を変えていた。 そして、 豊穣感謝祭への準備が粛々と行われている中、思いもかけない問題が戸の木村の人々を襲った。 「アヤカシが、峠に出ただよ!!」 戸の木村から市が開かれる奏生までへの道のりは、まず峠を一つ超えなければならない。そこから先はいくつかの道があるにはあるが、この峠だけは越えなければならない。 狭い道に大八車、あるいは籠に野菜を詰めた状態でアヤカシに襲われれば、恐らく助かるまい。 例年であれば市への参加を取りやめただろう。しかし今年、彼らには情熱が備わっていた。 「開拓者を雇ってでも、キノコ汁を届けにいくだ!!」 「アヤカシなんぞに負けねえで、オラ達のキノコ汁を天儀に知らしめるだ!!」 一体何が彼らをそうさせたかは分からない。何故キノコ汁が彼らをそこまで突き動かすのかも分からない。だが、彼らは本気だった。 「ついでに野菜も一緒に運んで貰おう!」 「どうせだから市で売り子もしてもらうべ」 そして意外と彼らはちゃっかりしていた。 |
■参加者一覧
美空(ia0225)
13歳・女・砂
空(ia1704)
33歳・男・砂
慄罹(ia3634)
31歳・男・志
和奏(ia8807)
17歳・男・志
エグム・マキナ(ia9693)
27歳・男・弓
春陽(ib4353)
24歳・男・巫
ルー(ib4431)
19歳・女・志
レティシア(ib4475)
13歳・女・吟 |
■リプレイ本文 ●キノコを運ぼう 戸の木村に着き、代表者に依頼内容を確認したエグム・マキナ(ia9693)は首をかしげる。 「キノコ汁‥‥?大ムカデと聞いて来たのですが‥‥情報に少し誤りがあったようですね」 確か、依頼内容は峠道に現れる大百足退治だったような。そう思って彼はこの村に来たのだがどうもアヤカシ退治に加えて、商品輸送から販売支援までが依頼内容に含まれているらしい。 「何だかホントに何でも屋ッて感じだな」 空(ia1704)は目の前の野菜やらキノコを見て呟く。事実、開拓者の仕事はアヤカシ討伐に限らず、捜索、護衛から売り子の手伝い、恋愛相談やら果ては人に言えないような依頼や常識を疑いたくなる依頼まで多岐にわたる。しかし、一つの依頼で討伐・運搬・売り子全てをこなせとは欲張りすぎだろう。 「まあ、泣き言イッってもしょうがねーし」 それでも空は文句を言いながら、真っ先に用意された籠を手に取ると野菜を放り込み始める。確かにここで愚痴をこぼしているよりも手を動かした方が早く片がつく。頭の回転が速く、諸事の計算が出来る彼ならではの納得の仕方だ。 エグムも当初困惑していたものの、手を動かしているうちにその作業が楽しくなってくる。 「野菜は‥‥こちらですか。では、崩れにくいように積みましょう。キノコはクッション代わりに下に‥‥」 などと積極的に積荷の調整を手伝っている。色々と積み方を考えた結果、予定よりも多く運べそうな感じだ。 「これは流行りのご当地ものでありますね」 美空(ia0225)も大百足退治と思って依頼を受けたクチだが、むしろキノコ汁と聞いてテンションがあがっていた。視覚こそ幼少時の怪我で遅れを取るが、その分他の感覚は磨いて来たつもりだ。無論その感覚とは味覚も含むわけで、いわば『違いの分かる女』だ。 「自信作か‥‥楽しみだなっ」 キノコ汁に期待を寄せる者がここにも一人。何せこの村の人達はキノコ汁一つで世の中へ打って出ようというのだ。しかも季節は収穫の秋。これで不味いという事はないだろうと慄罹(ia3634)は思う。 「他に問題のありそうな道はありますか?」 アヤカシ以外にも気をつけることがあるかもしれない。和奏(ia8807)は事前の注意を怠らない。幸いアヤカシ以外はただの山道という事で特別注意が必要な事はないらしい。 「であれば、アヤカシの事に専念できそうです‥」 「美空は箸より重い物がもてないであります」 エグムらの協力で大八車に荷物の多くを積む事が出来たのだが、それでも道中は開拓者達も荷物を運ばないといけない事に変わりは無かった。しかし、各自に割り当てられた荷物を見て美空は荷物を運べないと主張し出す。 「箸より重い物が持てねえだとぉ?」 空は思わず突っ込む。何が『箸より重い物』だ。じゃあ、その立派な鎧兜は何なのだと。 小さな体に過剰ともいえる重武装な鎧兜。その状態でもバランスが悪いのに下手に荷物を背負わせればさらにバランスを崩して転んでしまうかもしれない。恐らく山道を転がり落ちれば、際限なく転がり続けるだろう。 その場合、鎧少女のキノコ和えというさぞ猟奇的なオブジェが秋の山野を賑わす事になり、視力の悪い少女への何たる惨い仕打ちかと世間は噂するに違いない。 「では私がもちましょう〜」 もっそりと大きな男が既に背中に薪を背負っているのにも関わらず、美空の分の籠を手に取る。 「でもあなたは大八車も引くんだし‥‥」 ルー(ib4431)の金色の瞳が心配そうに大男の背中に注がれる。 「開拓者としては非力でも、これくらいならわりと平気です」 その大男、春陽(ib4353)はさも心配無用とばかりに平然と答える。確かに春陽の様な立派な体格であれば多少荷物が増えたところで、あまり大変そうには見えない。体が大きい分積荷が小さく見えるからだ。しかし、そうは見えても実際の重量は減るわけでなく、誰よりも荷物が多い。 「本当に大丈夫なのか?」 後から見た春陽はある種小山といっても差し支えない有様で、慄罹もいくらなんでも積み過ぎではと思い春陽に声をかける。 「ありがとうございます。でも、本当に平気です。‥‥家族と一緒のときもこうやって大八車をよく牽きましたしね」 春陽はニコリと笑うと力強く大八車を引き始める。そんな彼の笑顔と頭の角が少し頼もしく見えた。 「オラ達のキノコ汁は天儀一ィーーーッ!!」 村人達は熱狂的な叫びを上げて、代表者らを送り出す。出稼ぎの効率改善が何故、ここまでも道を捻じ曲げてキノコ汁の布教のようなものになってしまったのか。 「お馬鹿‥‥でも嫌いじゃない」 レティシア(ib4475)には何度説明を聞いてもその情熱の根源が理解出来なかったのだが、村人の熱意とやる気だけは十分に理解することができた。 そしてこの熱意と情熱は一体どうなるのだろうか。でも、そういう時は迷わず行くものだ。行けば分かるさ、多分。 そう、やってみなければわからない事もある。こういう時は周りに合わせるのも生き方の一つだ。 「キノコ汁万歳!キノコ!あそーれキノコ!」 踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆ならという事でいつしかレティシアは村人らと心を通わせていた。 ●大百足を倒そう 「皆さん、少し待ってください‥」 先頭を歩く和奏が静かにゆっくりと立ち止まる。まるで刺激するなとでも言いたげに。 「アヤカシですか?」 ルーがトーンを落として和奏に尋ねる。 実のところ『心眼』は暗視や透視をするわけではないので、気配を感じ取ることはできても具体的に何がいるかまではわからない。が、聞き及ぶ情報、雰囲気、そして勘がアヤカシであると和奏に告げている。 「恐らく」 和奏が応えてすぐ、わき道の草が大きく揺れて鈍く黒光りする巨体が道を塞ぐように這い出でる。 「うわ、触覚長ぃ‥‥」 何かを探るように滑らかに蠢く黄土色の触覚。しっとりしたという表現は変だろうか。やや湿り気のあるそれは、柔らかそうでもあり、硬そうでもある。一対でありながらまるで揃わず独立した動きをする触覚。もはやそれだけでもレティシアにとっては気分のいいものではなかった。 「流石に脚も多い‥‥」 あれだけ脚があれば安定感もあるだろうし、果たして何本脚を斬れば動きを止められるだろうか。 「春陽さん、後は頼みます!」 大八車の管理は春陽に任せ、大百足の元へ誰よりも早くルーが飛び出す。細身の剣を抜き足元を狙うが、突如向きを変えた百足の硬い背中に阻まれる。 「硬っ!」 鎧を叩いたかの様な感触で、ルーの手に痺れが残る。動きも早ければ守りも堅い。思っていたよりも手強い相手だ。 「大きい分狙い易いと思ったンだが」 空の刀も狙った部位を捉えられない。空は忌々しげに大百足を睨む。 「見ようによっては勇壮といえなくも無いですが‥」 漆黒の甲冑とも言える大百足の背甲はやや武具を思わせ、男心をくすぐらないこともない。(まあ人によるが) しかし、相手はアヤカシであり『その背中すごいなーあこがれちゃうなー』と言った所で『それほどでもない』と返してくれる事はないだろうし、人を襲うことを止めるわけでもない。例え好みの姿形とて共存する道は無いのだ。 和奏は刀を抜き大百足に挑む。秋の風が運ぶ梅の香は、ますますその空気を澄ませて大百足に迫る。美しき波紋をきらめかせ、振り払う一太刀が大百足の足を裂く。 「まだ浅いっ!」 手ごたえというには今ひとつ。それに相手は百足、足の一つ二つを斬ったところで動きを止めるには及ばない。 仕返しとばかりに頭上より打ち下ろされる大百足の顎。えらく頑強そうな太い牙が和奏を狙う。和奏は紙一重の所で身をかわす。しかし、大百足の動きはそれだけに留まらなかった。長い体を翻し、前に出ていた三人を弾き飛ばす。 「皆さんは下がっていてください」 春陽はそういって村人を下がらせながら大八車が動かぬよう、楔を打つ。彼はアヤカシの存在に全く動ずることなく悠々と作業を続けていく。 「あんちゃん、大した肝っ玉だなぁ」 と村人が一人、田吾作はこれは大物だと感心をしていた。 「土鬼の力、試させてもらうぜ!」 一見はただの棍にも見える慄罹の『土鬼』は七箇所と目の前の百足程ではないが、複数の節を持つ多節棍だ。また、出所が出所だけに珍しい武器の一つで扱い方も難しいという人を選ぶ面がある。 「まずはこれで!」 慄罹はそう言うと一本の状態で大百足の足を打ち据える。この状態で扱うのなら特に労も無い。慄罹は手元の感触を確かめるように棍を握り締める。この感じならもっと複雑な動きを試してみても問題なさそうだ。 「体の傷はもう癒えた筈です‥」 エグムは肩の調子を少し気にしながら弓を引き絞る。怪我というものは肉体的な面だけに留まらない。戦いで受けた傷は、戦いでしか治せない。完治とは怪我以前、あるいはそれ以上の動きが出来てこその言葉だ。 そして放たれた矢は軌道を逸れることなく、頭から数えて何本目かはわからないが左の脚を射抜く。 「どうやら無事完治‥‥と言うところですかね」 矢の流れを見る限り問題は無い。エグムは次の矢を番うのだった。 「がんばるのであります!」 アヤカシとの戦いは直接殴りあう事だけが方法ではない。美空は舞って仲間達の支援に回る。その舞は力強く、攻撃的な舞。分からぬ者には只の応援と目に映るかもしれないが、巫女の舞は素人のそれとは違う。受ければ分かる巫女の舞。ただ、小さな体を大きく使って一生懸命舞っているがやはり鎧が踊りの足枷にはなっているようだ‥‥。 「みんなに折れない心を、恥じる事なき魂を。というかもう奮い立てわたし〜」 気持ち悪いものはやはり気持ち悪いわけで。レティシアは自分をも奮い立てるべく心を込めて歌う。百足の見た目に心が折れないように。他の仲間だって口にこそしないが、同じ気持ちかもしれないし。そんな複雑な思いが込められた歌が仲間達を強くする。 「何とか浮かせることが出来れば‥!」 ルーは大百足の隙をうかがっていた。そして、大百足が顎を上げた瞬間にここぞと『地断撃』を放つ。文字通り地が裂けて大百足の腹部が覗く。 そこに走りこんだ慄罹が棍を振るう。そして一本の棍だった『土鬼』が突然多節化し大百足の腹部を打つ。まるで蛇の様に弱点を狙い打った一撃は大百足をのけぞらせる。 「さすが土鬼!」 思い描いたように武器を操るのは使用者の技量だが、その使用者は謙虚に武器の性能を褒めていた。 また、大百足が腹部を見せているこの好機を逃すはずもなく節々にエグムは矢を撃ち放つ。 「今なら狙い放題ですねっ」 面白いように突き刺さる矢に怪我の後遺症は全く感じられない。 「残念ですが、斬り捨てるより他はないですからね」 腹部を縦一文字に切りつける和奏。その手ごたえも十分感じられる。あとはもう一押しといったところだろう。そこへ冷たい口調の言葉が聞こえてくる。 「そろそろ消えな‥‥」 どこから現れたのだろう、空が深々と大百足の頭部を下から貫いていた。空が音も無く刀を抜き取ると大百足はドスンと大きな音をたてて倒れるのだった。 「毒は、大丈夫でありますか?」 「皆さん、お怪我はないですか?」 美空と春陽が駆け寄って来る。百足には毒がある。毒を受けているのなら、急いで治療をする必要がある。 「毒は‥‥大丈夫みたいだけど」 ルーは新しく出来た傷を見るが、特別大きな傷でもなければ変色や痛みも無い。時間が経てば自然と跡もなくなるような微細な傷だ。ただ、毒はもしかしたら遅効性のものかもしれない。今は平気でも後から効果がでることも考えられる。そのため、攻撃を受けたものはとりあえず治療を受ける事にした。 ●キノコ汁を売ろう 「まずは食べてみて欲しいだ」 権兵衛が鍋からキノコ汁をよそってくれる。 「なるほど、これはこういう方向性なのでありますね」 「お! いい出汁がでてるじゃねぇ〜か。さすが研究されてるなぁ」 「これが村の人達を狂わせた魔性のキノコ汁なのですね」 味噌が基本、それは分かる。そして強く主張する具材はないが、味深い。これは何の味というのが判別できないものも幾つかある。まあ技巧的なところはともかく、口当たりが柔らかく優しい感じが特徴といったところか。 でもやはり食べてもあの村の熱狂っぷりは理解できない。美味しいけど、なんで‥‥。 「悪くねェな」 「頂いていいのですか、嬉しいです」 「――これは、美味しいですね」 クセの無い味付けとはキノコが嫌いという者でなければ忌避される事も少ないという事で、出身がバラバラの開拓者達に受け入れられるというのは万人受けする下地があるという事にもなる。 「このあたたかさがしみわたります」 「うん、体が暖まるね。ん‥‥ぁ、大きいのが」 そして肌寒さを感じられる季節にあっては体が温まる事が嬉しかった。 そして遂にキノコ汁の販売が始まる。雑多な出店がある中、この一角だけは異彩を放っていた。 まず、美空が舞っていた。通りすがりの客はこれに目を留める。 続いてレティシアは『偶像の歌』、空は『夜春』というマインドコントロール。肌の調子の良さそうな連中が『キノコは肌に良い』とか言っているし、その奥ではさも美味そうにキノコ汁を食べている者達がいる。 あんな幸せそうな顔をして食べているのだから、きっと美味しいに違いないと、吸い込まれるようにキノコ汁を買い求める。そして行列が行列を呼んで大盛況といってもいい状態だ。 途中から盛況すぎて宣伝に回ったりする事や、その他マインドコントロールの類は止めたのだが終日列が途切れることもなく、ひたすらキノコ汁を販売し続けた。レティシアが用意した真っ白な前掛けがくたくたになっている辺り、壮絶な戦いがあった事をうかがい知れる。 そして、その戦いの中で犠牲者が一人。 「もう、キノコは見たくねえ‥‥」 サクラ役の慄罹が最初からペースを上げ過ぎて次第に苦しげな表情になっていたが引くに引けなくなって最終的にはこの有様に。いくら美味しいといってもメニューはキノコ汁のみなのだから、このサクラは辛い。 材料を使い尽くし片付けも終わって、戸の木村の村人達は喜びを噛みしめていた。 「これならいけるだ!」 ミッシェルの顔には自信が漲っていた。いけるとは思っていたがこうもうまくいくとは。 「別の祭りに行くべ!」 彼らの戦いはまだ始まったばかり。次はどこかの祭りで現れるかもしれない。 |