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■オープニング本文 ●失ったもの 「ただひたすらに、がむしゃらにがんばった」 とある商家の隠居、祁我 内衛門(けが ないえもん)は自分の半生を顧みてそう思う。 朝から晩まで仕事の事ばかり考えたし、他人の倍は働いた。 その努力の甲斐あって奉公先の主人に認められ、あれよあれよという間に番頭で、気がついたら大店の婿養子。 もちろん多少の苦労はあったものの、商売は順風満帆といって良く、先日息子に主人の座を譲る時には、店は自分が小僧の時分より、幾分大きく、倍以上の規模にはなっていたのではないだろうか。 得た成功は大きい。だが、代償として失ったものがなかったわけではない。 仕事を優先する余り、親孝行どころか親の死に目にも会えない始末。 孝行したい時に親はなし、という言葉が身にしみる。今思えばそれほど大事な用事でもないのに、『商売』があるから、と病床の枕元へ行く事もしなかった。 また、自分と同じように人の倍働けと奉公人や周りの人間にもかなりの無理強いをしてきたと思う。 そんな態度でいたからだろう、奉公人からは時折鬼か何かを見るような目つきでこちらを見られていることもあったし、店を継いだ息子には殊更厳しくあたったため、若いながら胃腸の薬を欠かせないような状態で、自分の機嫌を損ねないようにびくびくしているのがわかる。 それはもちろん店を継ぐという将来を考えての厳しさではあったのだが。 内衛門が失ったものはまだある。そう、他に何があったか‥‥。と自分の頭に手を置いて考える。すると手が直に頭皮に触れてまた一つ失ってしまったものを思い出す。 「そうだ、これも失ったものの一つだ」 内衛門は頭頂部に僅かに残った毛を摘んでみる。それはまるで無限の海洋に浮かぶ一艘の船の様でもあった。その船は今まさに荒波に飲まれんとしている、実に危機的な状況であった。 ●辺亜土山の薬草 別に髪の毛が無くたって困りはしない。実際の年よりも老けて見られることはあるものの、それがなんだというのだ。 と、ついさっきまで思っていたのだが。 「眉唾物の話ですけどね、あるらしいんですよ」 などと旅商人から聞けば、多少欲もでてくるものだ。 「国境に近い北部の山、辺亜土山(べあどさん)にいる顎鬚豊かな老人が栽培しているという薬草がね、効くんだそうですよ」 どうやら生産できる場所が限られているようで、市井には出回ってはいないらしい。 また栽培している老人も商売っ気がなく売りにくることもないらしい。 つまりどうしてもその薬草が欲しいなら、 辺亜土山の老人を訪ねなければならない。 これまでも頭の悩みを抱える勇者達が、幾人となく老人の元へ旅立ったという。 「ただ山道は楽とはいえないし、アヤカシも最近は出るみたいですからねえ」 であるならば、開拓者ギルドに依頼を出してみようじゃないか。こういった道楽も隠居の身には悪くない。 「本当に薬の効果を信じるのかだって?それほどおめでたい人間じゃないさ」 内衛門はそう言うと、危機的状況にある毛を摘んで笑って見せるのだった。 ●辺亜土山の仙人 「いや、困ったもんだよ。急にあんな怒り出すなんて‥‥」 「ほんと、最初はあんなに機嫌よかったのにな」 辺亜土山を下山してきた男達は言う。登山の疲れか何なのか、男達の顔には疲労の色が浮かんでいる。 「何の話をしていたあたりだっけ?」 「確か‥‥。『激しい雨が降ってきて足を滑らせたが怪我無くて良かった』とかお前が言い出したあたりじゃないか?」 「やっぱりその話の辺りだよなあ、機嫌が悪くなったのは‥‥」 「ああ、なんだったんだろうな‥‥」 男達は本当にわからないといった風でとぼとぼと歩き続けるのだった。 |
■参加者一覧
崔(ia0015)
24歳・男・泰
恵皇(ia0150)
25歳・男・泰
日和(ib0532)
23歳・女・シ
駒鳥 霰(ib2900)
17歳・男・志
スミレ(ib2925)
14歳・男・吟
月影 輝(ib3475)
15歳・女・巫
鷺那(ib3479)
28歳・男・巫
シオエ ヒカリ(ib3534)
19歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ●登山道 「薄い髪、カツラで隠しても今は無〜駄だ〜よ♪」 スミレ(ib2925)の野太い声が山間に木霊する。その歌声に驚いたか、小鳥達がせわしく飛び立っていく。 髪の毛を失った依頼人の頭など見たくは無いさ。ということで朝から山道を登っているわけだが、昨晩までの雨と比べたら嘘のように天気も良いし、なかなかの登山日和だ。歌を歌いたくなるのも不思議じゃない。 「髪を、とりもどせぇぇぇぇぇ♪」 恵皇(ia0150)の大きな声が山に響き渡る。実に、力強い。栗鼠が驚いて木の実を落としてしまうくらいに。 「そんな大声で歌ったらダメだよ」 日和(ib0532)は大声で歌う二人の大男に注意をする。 どうやら薬草を育てている老人は気難しいとか。こんな『妙な』歌を耳にしたら機嫌を悪くするかもしれない。 「は〜い☆」 スミレは素直に歌うのをやめると小走りに山道を駆けていった。揺れる笠からハゲ頭が時折見える。 『死滅した毛根から‥‥毛がはえるの!?』 別にスミレの毛根が死滅しているわけでは無いだろうが、あんなすっきりした頭にも薬を使えば毛がもっさり生えるかと思うと‥‥。シオエ ヒカリ(ib3534)はその薬草に期待せざるを得ない。 もし手に入れることが出来たなら、毛が生えてくる所からその過程を楽しみたいと思う。 「その薬草、本当に効くのか‥‥?」 一方、駒鳥 霰(ib2900)はその『毛生えに効く薬草』とやらに疑念がある。そんな効能があるのならもっと話題になっていてもいいような代物だ。 まあ真偽はともあれ依頼を受けた以上手を抜くことは無いのだが、どうにもちょっとひっかかる。 「薬草の効能が、本物ならば、良い記事のネタに、なるはずです」 嘘か本当か分からないなら確かめればいい。それが記者としての定め。 月影 輝(ib3475)はメモを手に取ると山道の様子を細かく記し出す。うまくいけばいい記事になりそうだ。 山道は平坦な道ばかりではなく時に険しく、危険な箇所もある。 ましてや昨晩の雨がぬかるみを作り、滑りやすい土壌を形成していた。 「‥‥疲れて気力が減ると云わんでいい事うっかり口にしかねんしなぁ‥‥うん」 崔(ia0015)は用意した荒縄を太いしっかりした木に結びつけると、もう片方の端を投げ渡すように鷺那(ib3479)へ手渡す。 「おおきにぃ」 鷺那は山登りを想定した軽装の巫女姿。化粧を施した顔にうっすらと汗がにじんで、ほのかな色気を匂わせる。 段差のある場所を登ろうと、薄手の赤い袴から艶かしく脚が、伸び‥‥??なんか脚が妙に筋肉質で‥‥。 ━━━騙された!! 鷺那は表面上はたおやかな女性でありながら、男の筋力を使って難なく足場の悪い道を進んでいく。 しかしそれでも全員が無事に難所を通り抜けたかと言うとそうでもなかったようだ。 「アッー!」 後で誰かが脚を滑らせたか、大きな悲鳴がまた山を賑わした。 ●アヤカシの襲撃 「アヤカシだ!」 警戒しながら山道を進んでいた霰が見つけたのは、狼の様な形をしたアヤカシ3匹。 その一言で各々は自分の成すべき事を悟り、動き出すのが開拓者達。 「あなた達は狩られるの‥‥」 休む間もなく次々とヒカリが放つ矢はアヤカシの進路を阻み、アヤカシの行動範囲をどんどん狭めていく。 ヒカリの狙いはアヤカシそのものではなく仲間へのサポート。人間にとって足場の悪い場所などへあちこち動き回られるとやっかいな相手を封じ込めようという狙いだ。 「こんな相手で体力を使いたくはねぇな」 それに時間だって使いたくもない。崔は七節棍を手に、アヤカシへ飛び掛る。 七節棍に限った話ではないが、多節棍というものは見た目のユニークさ以上に扱いが難しい。正しく練習をした者でなければ、有効な打撃を与えるどころか命中させるのさえ難しい。 だがしかし、扱えるとなれば話は別。その速さは目で追う事も難しく、変幻自在の動きは予測する事すら難しい。 即ち、崔の操る棍は流れるようにアヤカシを打ち砕く。 「ああ、こんな連中ならな」 恵皇は瞬時に間合いを詰めるとアヤカシに指を突き立てる。 そして、何事も無かったかのようにアヤカシの横を通り抜ける。もちろんアヤカシは背中を見せた恵皇に牙を剥く、が。 「お前はもう‥‥」 恵皇が何かをそっと囁くと、アヤカシはその牙を突き立てること適わず瘴気へと返るのだった。 「後に、下がって」 日和は後衛組みにそう言うと音も無く苦無をアヤカシに向かって投げつける。 普段は閉じられている左目が見開いて、アヤカシを見据える。その視線の先には苦無が眉間に突き刺さり、もだえるアヤカシの姿があった。 「地に帰れ」 動きの鈍ったアヤカシに容赦なく襲い掛かる霰の剣。アヤカシは少し苦しむような素振りを見せた後、苦無だけを残して瘴気と化す。 実に鮮やかにアヤカシらは葬り去られたが、直接攻撃をした者達以外にもスミレが歌い、その歌を受けて輝が舞うなど後で支援が行われていた事も見逃せない。 「これから盛り上がるところなのにね☆」 「確かに物足り無くは、ありますが」 歌も舞も興が乗ってきた所で、あえなくアヤカシはさようなら。 途中で終わるのはなんとも歯切れの悪いものだが、まだ登山の途中だし先を急がなくては。 「手当ての必要は、‥‥ないようどすなぁ」 鷺那は仲間を見て治療の必要性が無いことを確認する。何せ傷どころかアヤカシに何もさせなかったのだから、当然手当ての必要はない。救護役として出番が無いことを喜ぶべきなのか。複雑な心境だった。 ●老人の住む家 その後も誰かがつるっと滑ったり狼の様な何かが襲い掛かってきたのだが、大した問題ということもない。 昼と言うには少し早い時間には開けた場所へたどり着く。 そこにはひどく質素な建物があって、他には色々な野菜と思しき緑の葉が畑から顔を覗かせており、まさにここが目的の老人の住処に違いなかった。 何の野菜か薬草かはわからないが手入れが行き届いた畑だ。その畑を見て霰にふと黒歴史の記憶が甦る。 『菓子を土に埋めれば菓子の木になる』 そう考えていた時期が自分にもありました。 もちろん今敢えてその話題を口にする必要もない。そんな事を知られたら‥‥。 「お菓子のなる木があったらいいのにねー☆」 「流石にそんな話は、知りませんね。まあ子供の夢、くらいですかね」 スミレの無邪気な発言でドキリ、輝の冷静な一言でグサリ。 なぜ!?なぜここでこんな直球が!? 叫びたくなる衝動をぐっと堪えて、ここは堪えなければ! 「おなか、痛いの?」 霰の様子が変な事に気が付いたヒカリがそっと声をかける。無垢な瞳が霰に問いかける。 「‥‥‥うわああああああぁっ!!」 霰は叫びながら、小屋の方へと走り去るのだった‥‥。 「こんなところに住んでるなんてまるで仙人の様な御仁だな」 恵皇が小屋を目の前にして一言。山のふもとには村こそあったものの山中は他に人が住んでいる形跡はなさそうだった。この小屋の主は孤高を貫くような人物なのだろうかと。 「御免、どなたかいらっしゃられるか」 崔が小屋といってもいいだろう建物の戸を叩くと、ゆっくりとその戸は開き中から一人の小柄な老人が姿を現す。 「何か、御用かな?」 眉毛まですっかり白いこの老人、一体年はいくつなのだろうか。 立派に伸びた顎鬚は白い荘厳な滝の様。 そして、光り輝く頭は太陽の様に煌いてって『毛生え薬』のための薬草を貰いに来たのに、その生産者禿げてるんですけど! 「あなたの大切な薬草を、少し分けて欲しい」 落ち着きを取り戻した霰が頭の事にも触れず用件を切り出す。深く頭を下げて、相手に敬意を払う。丁寧で礼儀の適った態度だ。しかし、 『うわーこれは眩しいなー』 口にこそしないものの、日和の目は自然とその輝きに惹かれていく。別にハゲが悪いとか嫌いとかそういう事ではなくて、単純にその光沢に魅せられているだけだ。 が、老人は目ざとくその視線に気が付くと、眉をひそめて語り出す。 「お前らもあの薬草目当てか‥‥。まあこんな所に来るのはそれくらいしか用がないがな」 「やっぱり気にしてるんどすなあ、アレ」 「ええ、間違いは、ないですね。メモしておかないと」 後でヒソヒソ。 輝は自分の名前を名乗るべきか迷う。自分の名前が『輝と書いて”ひかり”』さらにもう一人『ヒカリ』もいるし、スミレも笠を脱げば黒く輝く太陽がまばゆい光を放つだろう。その上依頼人の『祁我 内衛門』なんてもうどうにも相性の悪い。 その様子を隠れるように見ていたヒカリが小走りに前へ近づいて崔をつつく。 「あの、お土産を‥‥」 そういえばそうだ、と崔は鞄の中から酒を一瓶とり出すと『つまらないものだが』と老人に手渡す。 老人の好みなど知らないが、手土産としては無難なものだろう。酒を受け取ると老人の顔から険しさが安らいだ気がする。 「は、畑が立派ですね」 おどおどとヒカリが外の畑を褒めると老人の口元がまた少し緩む。 「お嬢さんに、分かるかねこれらが」 「私も昔、山に住んでいましたから、大変なこととかは、はい」 日々の手入れや野生の獣の対策などやるべき事は多いのだ。それを一人でこなしているだけでもすごい。 ヒカリは素直に思ったとおりのことを老人に伝える。 「立派なお髭ですね」 いつの間にか前に出てきた輝が老人の髭を褒める。もちろんお世辞ではあるが、髭が立派である事は嘘じゃない。 「分かるかね、この髭が」 途端に表情が明るくなる老人。なんて分かりやすいのだろう。 「ほんに、見事なお髭やわぁ‥‥。威厳に溢れて、惚れ惚れしてしまいますぅ」 ますます機嫌を良くした老人は髭の手入れについて語り出す。 「毎朝日の出とともに川のせせらぎで髭を磨き‥‥‥」 川のせせらぎで歌いながら金髪美女が髪を濯ぐのなら絵になるが、老人が髭を洗っていてもなあとヒカリはふと思うがここで口を出すつもりはない。老人の話は続く。 「髭が地に付かぬよう、走って乾かし‥‥」 それシノビの修行よ。と日和は思ったが機嫌よく話し続ける老人の邪魔はしてはいけない。 「昼には重しをつけて髭を鍛え‥‥」 ちょっとこのおじいちゃん頭大丈夫かしら、あ、もちろん中身の方ね。スミレは少し不安に思うものの、まだまだ老人の話は止まらない。むしろ勢いを増しているように思える。 「時にはアヤカシをこの髭でちぎっては投げ、ちぎっては投げ‥‥」 「「「本当に!?」」」 「それは、冗談じゃ」 話し相手にも飢えているだろうと、老人の話に相槌を打っていた霰もろとも数名が派手にこける。 「最近この辺りも昔程安全とは言えんからのう」 「そう言えば、ここに来る途中で獣はんに会いましたん。確か、おお‥‥」 『狼』と言いかけた鷺那の袖をヒカリが軽く引っ張る。もちろん『カミ』という言葉を言わせないためだ。 「んふふ、可愛らしいわんこさんやったかね?」 セーフ。老人の反応よりも仲間達が慌てる姿が楽しい。鷺那は笑みを見られぬよう、口元を袖で隠す。 「そうじゃな、犬の様な奴らがいるようじゃ。まあアレくらいならまだ不覚を取るほど老いぼれてはおらぬわ」 ふむ、『弱者』ではないと。確かにこれまで生き残っているからには何らかの心得があるのだろうと崔は思った。 「それよりここのところ天気はあまり良くなかったから、道が悪くは無かったかのう」 「いやー、山道でつ‥‥いやいやすてんと転びそうになって大変だった」 思わず『つるっと』と言いかけた恵皇は慌てて言葉を訂正する。 「それはそうと‥‥あの薬草、じゃったな?おそらく分かってはいるであろうが‥‥」 「そうです。それを分けていただきたい」 崔は隠居をしては自分の事に目を向けれるようになった依頼人について簡単に説明をする。 もちろん依頼人の名前を全部言い切ると危険な予感がしたので名前は『祁我氏』というにとどめたが。 『薬草』については単純に毛を生やすという事ではなく、大事なのは『人生の振り返り』のきっかけを依頼人に与えてあげる事だ。だから老人の頭がどうであれ、その薬草を分けて欲しいのだ。 「今は余り残っていないのじゃが、これで足りるじゃろう」 老人は三束ほどの草を崔に手渡す。やや青臭い匂いがする。 「これはどうやって使うのかしら?」 スミレが青々とした葉を見て訪ねる。 「煎じて飲むんじゃよ」 「塗るんじゃないのね〜」 「塗るとかぶれるからやめた方がいい」 すり潰して頭に塗ったら緑のカツラができそうなものだが、かぶれるなら試すべきではない。 ともあれ薬草を手に入れた開拓者達は丁重にお礼を老人に告げて山をくだるのだった。 ●薬の効用 薬の効果は不明だが、薬草を持ち帰った時依頼人の祁我は事の外喜んでくれた。 「‥‥やっぱり失くしたモノが戻ると、嬉しいのかな」 人が喜んでくれるのは悪い気がしない。私も何か取り戻せるのかな、と日和は思うのだった。 「だけど、本当に効くかはわかりませんよ」 老人の頭の具合を考えれば、まず効果なんて期待できない。これだけ喜んでいるなら、ダメだった時のショックも大きいかもしれない。恵皇は敢えて水を差すような注意を祁我に伝える。 「分かっていますよ。皆さんの話だけでも私には十分なのですよ」 と答えた祁我であったが、持ってきた薬草は試すのだという。 「で、髭が生えてきた、と」 やっぱりなあと輝は思いながら、依頼人の祁我を見る。 想像していたよりも頭の毛は残っていたが、それよりも目を引くのは彼の顎鬚だ。無駄に髭が多い。そういえば老人も立派な髭をしていたっけ。 「まあ、頭の方もちょっと良くなった様な気がするんですけど、髭ですね」 髭についても別にまんざらでも無いような感じで祁我は笑う。 『毛生え薬』のその後を追う取材として祁我の元を訪れたのだが、どうも『髭生え薬』として方向性を変更する必要がありそうだ。輝は手帳を開くと『毛』という文字に二重線を引いて『髭』と見出しを修正するのだった。 |