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■オープニング本文 〜祝☆カラクリ屋敷仮公開!〜 武天に位置する、商店などが栄える街。そこに、今日数十枚もの張り紙が張り出された。 『カラクリ屋敷を仮公開します。この機会に是非、あなたも体験してみませんか?』 この一言とともに、下には色々と募集要項やら必要事項が書かれている。 簡単に内容を纏めると、この街の目玉にすべく遊技場として建設されていたカラクリ屋敷が一先ず完成したので、何でもその体験希望者を募集しているとのことだ。 いわゆる、試験的に開店するから、色々な意見要望及び改善点などを聞かせてね、ということだろう。 だが、その概要の中に、ひとつだけ気になる文章があった。 ――ただし、募集人員は開拓者に限ります。 開拓者。そう呼ばれる者たちが何者かは語るまでもないが、如何やら今回このカラクリ屋敷の試験的な体験が可能なのは、彼ら開拓者限定とのことらしい。 しかし、ここでひとつ疑問に挙がる点がある。そう、何故開拓者のみなのか、ということだ。 街では、何でも張り切り過ぎて建設した為に、肝心のカラクリ部分がとんでもないことになってしまい、一般人では危険だからなどとの噂も広まっているが、真偽の程は定かではない。 未だ未知数な部分も多い謎の屋敷。そこでは、一体どんなカラクリが開拓者を待ち受けているのだろうか。 以下に今回の張り紙を転載するので、参考にして欲しい。 ―― カラクリ屋敷を仮公開します。この機会に是非、あなたも体験してみませんか? ―― ●概要 この街で一番の遊技場を目指すべく開設された本カラクリ屋敷。 様々な仕掛けが皆さんを待ち受けていますが、今回は仮公開に併せ、なんと試験的に体験者を募集します! これを機に、あなたもカラクリの醍醐味を味わってみませんか!? (ただし、募集する方は開拓者に限ります) ●カラクリ紹介 全てが謎ではつまらないので、少しだけカラクリの内容をご紹介! 尚、カラクリは皆さんの意見とともに、どんどん増設していく予定だぞ☆ 〜カラクリ例〜 その1.至る所に落とし穴! 落ちた底であなたを待ち受けるものとは!? その2.恐怖! 死を呼ぶカラクリ人形! 迫りくる死の人形から逃げ切れ! その3.暗闇地獄、そこに紛れ込んだ数多の刺客! あんなことやこんな悪戯に耐えぬこう! その4.これはヤバイ! 転がり落ちてくる恐怖の大玉から逃げ切ろう! などなどです。 では、逞しい開拓者の参加、お待ちしてります。 ※尚、本施設における身体的被害に置きましては、我々は一切の責任を負いません(極めて小さい字で) |
■参加者一覧
柄土 仁一郎(ia0058)
21歳・男・志
犬神・彼方(ia0218)
25歳・女・陰
雪ノ下 真沙羅(ia0224)
18歳・女・志
青嵐(ia0508)
20歳・男・陰
天雲 結月(ia1000)
14歳・女・サ
紫鈴(ia1139)
18歳・女・巫
紬 柳斎(ia1231)
27歳・女・サ
橘 琉架(ia2058)
25歳・女・志 |
■リプレイ本文 「此処が‥カラクリ屋敷‥ですか‥。お、思ったより大きいのです、ね‥」 武天、商店街の栄える街。今日も人通りの賑わう大きな街に、その屋敷は存在した。 「ふぅむ、中々面白そうな趣向ではあるが‥‥嫌な予感しかせんのは何故だ。親父殿」 「なぁに、気にするこたぁないさぁ。親子でぇ頑張るぞ」 想像していたよりも規模の大きい建物に感嘆のため息をつく雪ノ下 真沙羅(ia0224)の横では、早くも何か感じるものがあったのかジッと屋敷を見据えつつ佇む紬 柳斎(ia1231)。 そんな彼女達に強気で振る舞うのは犬神・彼方(ia0218)だが、どうやら柳斎からは親父殿と呼ばれているようだ。聞くところによれば、彼女は任侠一家の父代わりとして、孤児や身寄りのない者達のの親代わりをしていると言う。 なるほど、親父殿と呼ばれる所以はそこなのだろうが、まだ若いのに大したものだ。 「僕、騎士だから‥今日は、紫鈴さんの前を進んで護りきるっ」 「ふふ‥期待してるよ」 一方、こちらは屋敷を前にグッと拳を握って勢いよく意気込む少女、天雲 結月(ia1000)の姿が。まだ小さな身体に鎧とミニスカートを着た光景が何とも絶妙に可愛さを引き立てているが、気持ちだけは立派な騎士といったところか。 その様子を見て期待してるとは言いながらも、内心では自分もしっかりしなきゃね、と考えていたのは紫鈴(ia1139)。実は結構、臆病でビビりなところもあったりする彼女は、涼しげな顔とは裏腹にある意味ドキドキだったのかもしれない。 「カラクリ屋敷、か。どんな仕掛けが待っているかは分らないが、今回は宜しく頼むよ」 「あ、えと‥こちらこそ、よろしく‥お願いしますっ」 さて、今回は8人の参加者がぞれぞれ2人ずつの計4組で参加することとなっていた本依頼。まずは互いにペア同士挨拶と言うことで、真沙羅に一礼するのは長身が目を引く柄土 仁一郎(ia0058)だ。 その返事と言わんばかりに、真沙羅も勢いよく腰を90度曲げてペコっと挨拶。 「カラクリ屋敷? 珍しいわね。一応聞くけど、ただ?」 「ああ、今回は入場料はいらないらしい」 入り口付近で待っていた参加者を企画主が出迎え、いよいよそれぞれが入場の準備に差し掛かる。 冗談交じりに微笑しつつ相方に語りかける橘 琉架(ia2058)の横では、少し神妙な雰囲気の漂う青嵐(ia0508)が、既に興味のありそうな顔で周囲を見渡していた。 その手に握られているのは青嵐自身に似た人形のようだが、彼は元々流れの人形遣いだったらしい。 「皆様準備はよろしいですか? では、一組ずつ中へお入りください」 かくして、未だ全貌を見せぬカラクリ屋敷を舞台に、一風変わった依頼は幕を開けるのだった―― ●カラクリ屋敷へようこそ 「それで‥‥何故こんなにも真っ黒なんだ」 「ぁ‥いや。い、今‥何か、あ、足に‥」 最初の組、仁一郎&真沙羅ペアが屋敷に足を踏み入れてから僅かばかり。2人は、長い廊下の続く場所を延々と歩いていた。 しかし、何故かこの廊下、周囲に灯りが一切ない。外は昼間だと言うのに、中は真っ黒。まして、カラクリ屋敷と言うことで何が待ち受けているかわからない状況だ。 あまり不安を表情に見せない仁一郎はいざ知らず、隣の真沙羅は心臓バクバクで一歩一歩をおどおどと進めていた。 「大丈夫、気のせいだ。怖いならしっかり掴まるといい」 「うぅ‥‥ありがとう、ございます」 と、そんな真沙羅を優しく引っ張る仁一郎。あまりカラクリに対する恐怖心はないのか、実に頼りになる姿である。が、 ――ピトッ (「△※■!?」) 突然、仁一郎の立ち位置とは反対側から袖を何かに引っ張られた真沙羅。瞬間彼女は声にならない悲鳴を上げたと思いきや、勢い余り仁一郎に熱烈な抱きつき! 「だ、大丈夫か? どうしたんだ、一体」 「ご、ごめんなさい‥‥何かが袖‥を‥」 急な接触に慌てることなく真沙羅の体を支える仁一郎だが、瞬間、真沙羅の体が凍りつく。 「あ‥‥あ‥‥ご、ごごごめんなさぁぁぁぃ」 するとどうだろう。まばたき3回ほどの沈黙の後、突如真沙羅が大声で謝ったかと思うと、彼女は一目散に駆けだしていくではないか! 「え、あ、ど、何処に行くんだ!」 何が起きたかさっぱりの仁一郎。慌てて真沙羅を呼びとめるものの、彼女の耳には入らない。 (「わ、私‥あんなこと‥どうしよう‥」) 若干涙目の真沙羅だが、そう、言うまでもなく彼女は多感な年頃なのだ。いくら咄嗟の出来事とは言え、真沙羅はいきなり男に抱きついてしまった為に我を忘れ、混乱状態に陥っていた。 暴走するその頭では、一刻も早くあの場を立ち去ることしか思い浮かばなかったのである。 しかし―― 「え‥‥きゃぁっ!?」 ズドォォン。廊下に大きな音が響き渡ったと思えば、その音の発生源では見事なまでに落とし穴にかかった真沙羅の姿が。 「あ‥‥そん、な‥‥」 その衝撃で我に返る真沙羅。多少の高さはあったが、開拓者の身体だ。特に怪我はないのが幸いであった。 だが、そんなことなど些細なことに感じるほど悲惨だったのだが‥‥ 「大丈夫か!? 待ってろ、今すぐ助‥‥け‥‥」 慌てて駆け付けた仁一郎が、穴を覗いた瞬間見たもの。それは何と、あまりにも胸が大きすぎて穴に挟まっている真沙羅の姿だった! 「ふぁ‥‥だ、だめぇ‥‥、み、見ないでくださぁい」 しかも、見事に頭から落ちた為か完全に下着が丸見え状態。多分、一生ものの思い出になったかもしれないが、とりあえずドンマイとしか言いようがありません。 「い、今向こうから何か大きな音がしなかった?」 「え‥‥僕には何も‥‥」 一方、場所は変わりこちらは天雲&紫鈴ペア。仁一郎達とは別のルートを歩んでいた2人だが、彼女達はカップル専用のルートがあれば面白いとのことで、まずは雰囲気作りとばかりにカップルに成りきって廊下を歩いていた。 「にしても、こういうからくり屋敷って初めてだな。結月は来たことある?」 「あ、僕は怖いものがにが‥‥あ、い、いえ。何でもありません」 「?」 辺りを見渡しつつ質問する紫鈴に対し、口を濁す天雲。実は怖いのが苦手な彼女だったのだが、それを悟られまいと必死の様だ。 「ん? 何だろう、あれ」 と、その時だった。歩いていた2人の前に、だらりとぶら下がった紐が1本。 「ここまで露骨だとは‥‥。こんなのに引っかかるわけには、さすがにいかないよねぇ」 誰がどう見ても怪しさマックスな紐に苦笑する紫鈴は、「気にしないで行こう」と天雲に話しかけ紐をスルーした――瞬間! 「え‥‥」 「あ‥‥」 って天雲引っ張ってるぅぅう! 何を考えたのか一切の戸惑いなしに紐をグイっと引いた天雲。 そのあまりの潔さに目を丸くする紫鈴だったのだが‥‥ ――ゴゴゴゴ 「な、なんか廊下が斜めってきてない?」 「な、斜めってます、ねぇ」 どういうわけか、地面が明らかに傾き始めている。 「こ、これは昇った方が良いのでしょうか。それとも降りた方が‥‥」 天雲もさすがに後悔と不安にかられたのか、強気だった態度が一転して年相応のものになる。と、次第に踏ん張らないと倒れてしまいそうな傾斜にまで廊下が傾いた時――ソレはやってきた。 ――ゴゴゴゴ 「あれ、球だよな」 「球、ですね‥‥」 「どんどん転がり落ちてくるな」 「しかも大きいですねぇ」 『‥‥‥‥うわぁぁあああ』 見たこともない大玉だった。気づけば豪速で迫ってくるソレから逃げるべく、猛ダッシュする天雲と紫鈴。最早カップルが云々とか言ってられない状態だが、そのあまりのシュールさと恐ろしさに、紫鈴も思わず女の子らしい悲鳴を上げてしまうのだった。 「何だぁ。いまぁ、大きな音がぁしなかったかぁ?」 「いや、拙者は特に何も聞こえなかったが」 さてさて、たった今大玉から逃げている2人のことはいざ知らず、こちらは広い広間を歩いていた犬神&柳斎ペア。 「それはそうと親父殿、楽しそうだからといってあまりはしゃぎすぎないようにな。拙者が守れる範囲は守ってみせるが、駄目な――」 「おっとぉ、あいつぁ怪しいぃ人形だぁ。俺ぇが先に突っ込んでカラクリを暴いてくれぇる!」 「って言ってるそばから一人で張り切って先へ行くなー!」 親父殿は無茶をしないようにと釘打つ柳斎の気持ちなど知ってか知らずか、笑いながら目の前にある人形に突進する犬神。 「ふぅむ、なるほどぉなぁ、ただの人形かぁ」 「だから親父殿、拙者の話を‥‥」 と、人形をあちこち触りながら、何か仕掛けがないかと弄る犬神に柳斎が話しかけたその時 (ガチャッ) 「?」 突如、何かの機動するような音が聞こえたかと思うと、ギギギと動き出す目の前の人形。 「お、親父殿、何をしたんだ一体」 「いやぁ、ちょいとぉ触ってみただけなんだがぁ。まぁ、柳斎なぁら俺に何かあってぇも何とかしてくれる‥‥よね?」 「‥‥それは、勿論」 何か良からぬ場所でも触ったのではないかと問いかける柳斎に対して、犬神はヘラヘラと笑って返す。その言葉に、少し頬を赤めて柳斎が視線を横に傾けた――その矢先! 「な‥‥何だ、あれは‥‥」 何と、気づけばその先には柳斎達に向かい迫ってくる数多の人形達が! しかも、何故か凶器っぽいものまで持ってるんですが。 「何故このようなカラクリ人形が‥‥えぇいかようなところで死んで溜まるか、全て叩き斬ってくれる!」 「おおっとぉ、何か追ってぇくるし!? 超こええ!」 悲しいかな、逃げると言う選択肢よりも前衛の性な為か戦うことを優先してしまった柳斎。相変わらず危機感なしに楽しんでいる犬神を護ろうと、彼女は必死で太刀を構える。 「親父殿、早く逃げ‥‥って誰だ、変なところを触って――あ、こらやめ、やめて!! だめ、拙者はまだ清い体なんだー!」 が、虚しくも数の暴力の前に柳斎は人形の波に呑まれていく。一体人形にナニをされているかは良く見えないが、本気で嫌そうな声を発している辺りが悲惨だ。 「柳斎、何処だぁ」 「親父殿ぉお!」 こうして、あまりにも気の毒な2人は、人形達に抗いつつ必死でお互いを探しあうのだった。 『柳斎なぁら俺に何かあってぇも何とかしてくれる』 柳斎の耳にエコーする、この言葉だけを残して‥‥ 「あら‥‥何の音?」 「何か聞こえたか?」 本屋敷の最大の特徴は、その部屋数の多さだった。既に聞き覚えのある気もする台詞をはきながら、こちらでは隣の青嵐に話しかける琉架の姿が。 この時点で他の6人が熾烈な状況下に置かれていることなど知らない2人は、暗い迷路の様な道を今までずっと進んでいた。 「それにしても、さすがに疲れたわね。ちょっと休憩しない?」 「先を急ぎたい気もするが‥‥仕方ない」 今まで散々歩いてきたが、一向に見える気配のない出口に疲れたのかその場に立ち止まり休憩することにした2人。 「ちょっと、そこは‥‥」 「え、あ! す、すまない」 途中こんな会話をしながらも、何だかんだで気持ちも新たに、再び歩き出そうと立ちあがった――はずだったのだが‥‥ 「これは‥‥」 「どうかしたの?」 突然、ピタッと立ち止まり周囲を注意深く観察する青嵐。何か、おかしい。確証はなくとも、本能でそれを感じ取った彼は、壁に手を置きながら目ではなく触覚で壁の状態を伺う。すると 「なるほどね。まんまと騙されてたわけだ」 青嵐、急にひとり頷きつつポツリと呟く。何が起きたかさっぱりの琉架だったが、彼は彼女に静かにこう告げた。 「この迷路‥‥いや、この壁自体がカラクリだったんだよ。暗い上に音も静かだったから気付かなかったが、俺達の進みに合わせ壁が動いていたのさ」 「へー、あなた、凄いのねぇ」 なるほど、そういうことか。つまりは、壁が動くことで道を巧みに操作し、永続的に続く迷路を作っていたのだと言う青嵐。その着眼に驚き感心する琉架だったが、無理もない。小さなカラクリもあれば非常に大掛かりなカラクリもある。そう言ったカラクリの知識に優れた青嵐だったからこそ、気付いた仕掛けだったのだから。 「そうと分れば、こんなお遊びにつきあう必要はないな。走るぞ、橘」 「ええ、そうね。暗闇に紛れて、変な所触っちゃダメよ?」 「な、何を言っている!」 かくして、カラクリが起動する前に走って迷路を駆け抜ける2人。元々この部屋自体広くはなかったのだろう。カラクリが意味をなさなくなった今、2人の前に出口が見えてくるのは時間の問題だった。 さてさて、如何だっただろうか本カラクリ屋敷。壮絶なカオスの産声と共に誕生した屋敷は、まず8人の開拓者達を迎い入れる。 「ふぁ‥ひゃぁん、ダ、メ‥ですぅ‥んっ‥んふぁぁっ! そん‥な、はぁ‥あぁ」 「お、おい、大丈夫か!」 中には、頭隠して尻隠さずを出だしに、何故か次に入った部屋で変な刺客から色々とされ悶える少女がいたと思えば 「や、やっと大玉から逃げ切れたな‥‥死ぬかと思った‥‥」 「あはは、生きてて良かったですね‥‥。あれ? またまた紐がありますよ、えいっ」 「っておいっ!!」 目の前に紐があれば引かずにいられない為、今度は大玉に続き大突風地獄で吹き飛ばされそうになる少女もいて 「これはアヤカシに似せたカラクリか‥興味深い」 「ほらぁ、おいてくわよぉ」 カラクリ道に生きるが為に屋敷を堪能する青年もいれば 「柳斎、次はあっちぃの部屋にいってみよぉー」 「‥‥親父殿。頼むから罠を発動させんでくれ‥‥拙者の体が持たぬ」 次々と罠を発動させていく相方のおかげで、心身ズタボロになりつつ、家でお嬢様をやってる方が苦労もなかったかなぁと後悔する者までいた。 そんな、色々な光景を見せてくれるカラクリ屋敷は、正式公開に併せ、皆さまのお越しをお待ちしております―― ●茶屋にて 「では、今出た意見を纏めて、俺の方から依頼主に提出しておこう」 さて、カラクリ屋敷での災難(?)を終えた8人は、最後に茶屋にて意見の取り纏め行っていた。 「にしても、私はあの急に後ろから来る恐怖の大王が‥‥こほん、そ、そこまで怖かったわけではないけれど」 まるでトラウマを思いだすかのような表情をしたかと思いきや、突如身震いし出す紫鈴の横では、「スカートだけは止めておいた方が良いですね」と猛烈にアピールする天雲の姿も。 「拙者達も‥‥と言うより、拙者が地獄だったな」 一方、こちらでは何故か体に包帯を巻きつつ傷だらけでヤケ酒を飲んでいる柳斎。何と言うか、本当にお疲れ様です。 「真沙羅さん、今日あったことは誰にも言わないから、安心してくれ」 「はぅぅぅぅ」 そして、終始俯いたままの真沙羅を必死で慰める仁一郎の後ろ姿が、ちょっぴり切なく感じるのでしたとさ。 今日提案されたカラクリの意見は、後にいくつかが採用されることとなるだろう。 それでは、もし縁があれば再びカラクリ屋敷にて―― |