おちご大福
マスター名:ほっといしゅー
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: やや易
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/10/09 03:53



■オープニング本文

「頼もうーでござる。拙僧、晏頃寺より参りもうした待宵(まつよい)と発すもの。開拓者どのに頼み事がありお訪ねした次第でござるー」
 突然、安積の開拓者ギルド支部内に、よく通る声が響き渡った。足音が聞こえるやいなや大声で言上奉ったので、受付は何ごとかと思い窺ったが、声音の主はその堅苦しい口調がおよそ似つかわしくない、少年であった。色鮮やかな水干を身につけており、剃髪もしていないところから、寺の稚児なのだろう。やたらとかしこまった挨拶は、他の僧からの受け売りにちがいない。ともかく、そのままの大声でヤアヤア開拓者ははいずこにおわっしゃるかー、などどやられても困るため、受付は早々に彼を呼ム止めた。
「おおい――そう、きみだよ、きみ。こっちこっち」
 とことこと素直に近寄ってくるのを見たところ、10から15くらいの童である。あまそぎに切り揃えられた艶やかな黒髪が、殊更にあどけなさを強調させてい、水干に焚きしめられた香とも相まって、千代紙や錦で華やかに綴られた、蹴鞠と詩歌の世界から天儀へやって来たかのようにも思えるほどである。
「で、どんな頼み事なんだい」
 受付が尋ねると、その待宵と名乗った稚児は何も答えずに、ギルドの入り口に向かいおいでおいでをした。呼ばれるまで外で待っていたのか、同じような水干姿の童がふたり、受付へやって来、揃って彼に挨拶をした。
「こんにちは。僕は玉章(たまずさ)といいます。こちらは合歓(ねむ)。ほら、ご挨拶しなさい」
 声変わりはまだ迎えていないものの、その響きがよく落ち着いた口調からも彼がいちばんの年長者であることがよく分かる。ちょうど待宵を中くらいにする感じで、頭頂付近で結った総髪を真っ直ぐ背中まで垂らす玉章は一回り大きく、くしゅくしゅの癖っ毛をかろうじてうなじで切り揃え、玉章にぴったりと寄り添っている合歓は一回り小さく、兄を慕う妹、もとい弟のようである(本当の兄弟かどうかは定かでないが)。いずれも目鼻顔立ちは整ってい、これが自分と同じ東房男児なのかと思うと、受付は自分の両親をちょっとだけ恨めしく思った。
「開拓者のひとたちに折り入ってお願いがあるのですが」
 単体でも花があるのだが、大中小の水干姿が3人並ぶと壮観である。この絵巻物のような3人を目の前にして、一体どんな依頼なのか受付は想像だにできなかったが、話を聞くと何のことはない。依頼の中身はアヤカシ退治であった。
 話によると、晏頃寺の住職は現在天輪宗の総本山へ法会に出ており、鬼の居ぬ間に洗濯よろしく、住職不在の間にアヤカシに襲われてしまったとのことである。
「生首とか出るでござるんだぞ。ふわふわ飛ぶでござるんだぞ」
 玉章にたしなめられながらも、待宵が興奮気味に、アヤカシの様子を語ってくれた。受付が思うに、このふたりの面倒を見るのは、さぞかし大変なのではないだろうか。
「あまり、お渡しできるものが少ないのですが、どうかよろしくお願いいたします」
 依頼のさわりを説明すると、玉章はかしこまり、銀朱の包みを受付へ委ねた。彼は少ないと言っているが、これくらいあれば依頼として立派に成立する。受付は、報酬の多寡は大きな問題にはならないよと彼を慰めた。開拓者が、救いの手を差し伸べてくれるだろう。
「その代わり、と言っては何ですが」
 寺の備蓄が無事ならば、という前提で彼は続けた。
「寺にて大福をお召し上がりいただければ」
 大福なら、甘党の開拓者が飛びつくかもしれない。寝たふりをしているところを起こしてもらってご馳走になるというのが、彼らの寺の由緒ある作法らしいが――これは彼らが起こしてくれる、ということでいいのだろうか。


■参加者一覧
風雅 哲心(ia0135
22歳・男・魔
喪越(ia1670
33歳・男・陰
赤鈴 大左衛門(ia9854
18歳・男・志
藍 玉星(ib1488
18歳・女・泰
羽喰 琥珀(ib3263
12歳・男・志
亜弥丸(ib3313
18歳・男・陰
鳳珠(ib3369
14歳・女・巫
浄巌(ib4173
29歳・男・吟


■リプレイ本文

 依頼者である3人の少年を初めて見、赤鈴 大左衛門(ia9854)は既視感にとらわれていた。その原因をつきとめたのは、いちばん幼い合歓が依頼について説明をする玉章にくっついて離れようとしないのに、彼が気づいたときだ。玉章が合歓を気遣う様子は、すぐ下の妹が末弟をあやすのとそっくりであり、また真ん中の待宵の落ち着きのなさも、次男がいつも元気に走り回る姿を思い起こさるものであった。彼は思わず顔をほころばせた。
 稚児たちから一通りの話を聞いたが、この3人はあまり多くを見ておらず、アヤカシの数や種類、手の内などの情報が不足していることは否めない。そのため、開拓者たちは、寺から逃げていた他の僧たちに話を聞くべく、彼らが避難しているという付近の寺へ案内してもらうことになった。晏項寺から歩いて1刻もなく、ちょっとした寄り道である。
「それにしても、寺院にアヤカシとは何とも罰当たりな」
「おーまったくだ。俺のだいじな尼さんによぉ。指一本触れさせねぇし。誰かいい子は――」
 稚児に案内され、風雅 哲心(ia0135)と喪越(ia1670)が先頭を歩いていた。喪越は昨晩の酒のためか、なかば二日酔いが残ったままである。景色を見る余裕もなく、前を歩く待宵のちょこまかと動く腰をたよりに着いていくのが彼の精一杯であった。
「おいおい、真面目にやってくれよ。しっかり仕留めるぞ」
「心配すんなって。俺にかかれば? 的なところ見せてやるし」
 たまにこめかみを押さえきつく目を閉じる喪越が、哲心は本当に大丈夫なのか心配で気が気でない。一方では、目的のアヤカシよりも、謝礼の大福のほうに関心が移っている開拓者がいた。亜弥丸(ib3313)、藍 玉星(ib1488)、羽喰 琥珀(ib3263)の3人は、すでに大福の中身について、つぶあんとこしあんのどちらがいいか等々、小声ながらも熱い議論が交わされていた。
「草大福アルね」
「俺はやっぱり苺かなー」
「いいや、塩大福やろ〜」
 その様子を後ろから物静かに眺めながら、鳳珠(ib3369)と浄巌(ib4173)、そして大左衛門が最後尾を歩いている。開拓者たちにはこういったおふざけはよくあることであり、任務にあたっては誰からともなく最善を尽くすのがわかっていたから、とくに咎めようとするものはいなかった。
 ほどなく、一見団体旅行のような11人は最初の目的地である寺にたどり着いた。喪越のお眼鏡にかなう、檀家をたぶらかし別の意味で菩薩のような尼僧は残念ながら、というか当然のことながらいるはずもない。彼の落胆はさておき、難を逃れた僧たちに鳳珠が手早く治療を施したあと、具体的な情報の提供を受け、開拓者たちは稚児をこの場に残し晏項寺へと足を向けた。
「安心するヨロシ。あたし達が不安を取り除いてやるアル。玉章、ふたりを頼むアルよ」
「だス。きっちり倒すだスから、ワシらに任せるだス」
「はい。みなさまもお気をつけて」
「ご武運を、だぞ」
 門まで出向き見送りする3人へ、玉星が大見得を切った。実のところは気合い半分、食欲半分である。大左衛門は相変わらず玉章にくっついている末弟もとい合歓へ、かがんで視線を水平に合わせ、癖っ毛の上から大きな手で頭を撫でて笑いかけた。合歓は恥ずかしそうに、大左衛門と目を合わせようとしてはすぐ逸らしを繰り返し、それがかろうじて『うん』の合図となった。
 この期に及んでも、喪越の意識は濁ったまま晴れなかった。望み破れた彼の頭の中には、ちょっとだけ見た待宵の白い、それこそ大福のような頬がぼんやりと浮かんでい、それを考えつつ、彼はぼそりとつぶやいた。あれくらいのお稚児の大福なら柔らかそうで――。
「んっ、喪越さん、それは聞き捨てなりまへんな?」
 つい口に出てしまった台詞が誰かに聞かれているとは思わず、亜弥丸の予想外の反応に喪越はひどく狼狽した。そんな台詞聞かれちゃ危険人物じゃん、俺。
「いや何だそのアミーゴ、俺の愛はもちろんヨ、お相手の性別も年齢もモチのロンで問わないんだぜ? まァ確かにな、だからといってわざわざこの俺がな、茨の道に進む必要もねーのは、その」
「誰に言い訳してるんやろ、それ――あっ! ‥‥まさか、アヤカシもお稚児さんとか大福が目的なんやろかっ」
 あたふたする喪越をよそに亜弥丸の考察は進んでいるが、そんな考えに陥るほど、彼の空腹は募ってい、その点では喪越と変わるところはないのだが。
 晏項寺は小高い丘を丸々使って建ってい、稚児が少なくとも3人おかれていることからもわかるように、予想どおり規模は大きく、本堂と庫裡だけがただちょこんとあるようなものではなかった。開拓者たちは隊をふたつに分け、それぞれ分担してアヤカシ退治にあたることに決めた。戦力が分散されてはしまうが、一度に多数の相手をしないという前提で、広域を制圧するための定石である。そもそも8人全員が一度に動かなくても、開拓者であれば継戦能力についてはそれほど劣るわけでないのだ。晏項寺の正門から入り、それぞれ左右に分けて突入することを開拓者たちは確認した。まず境内を一回りし、それから建物の中に残ったアヤカシを掃討する作戦だ。
 山門をくぐり、境内は静まりかえっていたが、アヤカシは特段身を隠すようなことはせず堂々と闊歩していた。灯籠や狛犬など、寺のものを傷つけるおそれのない場所にアヤカシをおびき寄せるのに少し難儀したが、右から回った喪越、大左衛門、琥珀、浄巌の4人は順調に目標の数を減らしていた。
「業深き欲の息吹、刃となせ」
 武器を振るう必要のない陰陽師の式はここでも場所を問わない。浄巌の符は、あるときはいびつな骸骨、またあるときは鴉となり、同族であるアヤカシの存在そのものを切り裂いていった。先程まで眠そうだった喪越もここにきて目を覚ましたように、まじないの調子を口ずさむ。彼の符は霊魂の形をとって、刃向かうものをことごとく貫いた。もしくは、その運命から免れようと寺から逃げ出そうとするアヤカシも、ふたりの式は看過しなかった。
「てめぇ逃げんじゃねーよ、大左衛門、頼むぜ」
「ええだスよ!」
 一瞬動きを鈍らせた生首の脇を大左衛門が駆け抜ける。そのすれ違いざまに彼が鞘から刀を抜くと、それはあっさりとふたつに分かれ、瘴気の煙となって消え失せた。
「うおー、カッコイイじゃん、俺も決めてやる!」
 負けじと居合抜きをぶつける琥珀に対するアヤカシの反撃は、しかし、彼の流れるような足裁きについて行けなかった。彼は次々に、刀を振るっては翻しを続けていた。この4人を相手にすることで考える限り、晏項寺のアヤカシは、開拓者の相手をつとめるには明らかに役者が不足していた。
 一方、哲心、玉星、亜弥丸、鳳珠の受け持った反対側は、うって変わって激戦の様相を呈していた。
「――まだ奥に詰めていますね。それとあの堂の陰にもまだ――床下と――」
 声の調子は落ち着いてはいたが、結界を張り巡らせている鳳珠の口数の多さに焦りが現れている。神経を集中させ次々と現れるアヤカシを補足するのに、彼女は珍しく手を焼いていた。彼らの眼前には、話にあった空飛ぶ生首だけではなく、鎧を纏った屍や骸骨なども出てくる始末で、そのたびに3人が連携して処理に当たらざるを得なかったのだ。
「亜弥丸、今だ、来たぞ!」
「ええよ。行ったる! ‥‥よっしゃ!」
 大物にはまず、亜弥丸が式を放ち足止めする。しっかり優位を確立した上で、哲心と玉星の狙い澄ました一斉攻撃が加えられた。次から次へ現れるアヤカシに対抗するためには、できるだけ早く片付ける必要があった。
「好きにはさせねぇぜ。天狼の牙、その身に刻め!」
「アイ、ヤー!」
 哲心の素早い一振りと玉星の正確無比な拳が、完膚なきまで(もともとないのではあるが)にアヤカシを叩きのめす。ふたりの合わせ技で確実に仕留めていったはいたのだが、その開拓者たちよりもアヤカシの数が凌駕していた。余所へ逃げてしまうのを防がなかればならないため、しまいには索敵をつとめていた鳳珠も攻撃へ加わり、アヤカシへ霊力をお見舞いするありさまである。屋外のアヤカシがあらかた片付いたときには、4人とも無傷で済むというわけにはいかなかった。
「まだ中が残っているのか‥‥みんなは大丈夫か?」
「なんとかネ」
 鳳珠の手当を受けながら、哲心がふたりを見遣った。玉星も亜弥丸も、彼ほどではないにせよアヤカシの攻撃に晒されており、上がっている息を鎮めようと、それぞれ石畳へ腰を下ろしていた。
「自分も。‥‥もう少しで大福やから、がんばらんと――ん?」
 気を取り直し、再び重い腰を上げた亜弥丸は、境内の正面、本堂の方向から、大きな何かが歩いてくるのを目にし、驚きの声を上げた。ただならぬ彼の雰囲気を感じ取ると、3人は休憩からすぐに気持ちを切り替え、戦いの準備をした。あれは何だ。一同はみな、正体を訝しがった。
「‥‥あれは何あるか?」
「仏像、でしょうか」
 鳳珠が冷静に、耳に入れたくないことをしっかり述べた。アヤカシが乗り移ったか、それとも元来ああいったアヤカシかは定かではないが、身長が15尺はあろうかという木像が、これまた大層な錫杖を持ち、開拓者をなきものにしようと近づきつつある。鈍重そうな外見とは裏腹に、像の動きはなめらかであった。
 疲労の概念がアヤカシ、とくに大型のものに対しては、いつも以上に短期戦で終わらせることが肝要である。長引けば長引くほど開拓者にとって不利になり、動きが鈍ったところに一撃を食らえば、致命傷にもなりかねないからだ。
 くそっ。これ以上好きにさせてたまるか。哲心は毒づいた。だが、それと裏腹に刀は効果的な働きを上げることができず、像を囲んだ4人は手を出しあぐねていた。この状態を打開したのは鳳珠のとった新たな作戦である。無用な消耗を避け、右回り組が到着するのまで耐え抜く方針に切り替え、実行したのだ。救援に現れるまでは、時間がまるで永久に止まったかのような錯覚を感じたが、ひとたび4人が現れてからはことは急激にうまく回り出した。
「これ、弁償することになったら怖えーけど、やるしかない!」
 錫杖をかわして琥珀が放った斬り返しが、とうとう像の核心を捉えた。あとから聞いた話だが、こういったアヤカシによる何らかの影響を受けた場合、その後の仏像はたいてい使い物にならず、いずれ廃するしかないため、寺へ弁償する必要はないとのことだった。それがはっきりするまで、彼は内心、この像が一体いくらのものなのか、ちょっと心配だったのである。
 これ以降、屋内のアヤカシには開拓者が手こずることはなく、それらをすべて一合か二合で斬り捨てた。アヤカシの数にしては、物的被害も人的被害も少なかったのが幸いである。あたして晏項寺はアヤカシの手から開放された。住職が帰ってくるまでには、まだ全ては片付かないであろうが、あの稚児たちは立派に留守番を果たした、と言って間違いないだろう。
 開拓者たちが先般の寺へ報告しに戻ると、すでに僧の手によって大福がこしらえられており、あとは開拓者の腹におさまるのを待つばかりであった。寝たふりをし、起こされるまで待つという晏項寺の妙な作法に従い、ひとりずつ振る舞っていく。これは合歓の仕事であるが、耳と唇がくっつきそうになるくらい近くで呼びかける彼のささやきは、無口な普段の印象との落差とも相まって、なぜか妙に艶っぽくてむず痒かった。
「こいつは‥‥、かなり美味いな。これならいくらでも食べられそうだ」
 甘いものを食べた後には、辛い酒があるとなおよいのかもしれないな。大福をほおばり、哲心が感心する。哲心と鳳珠は、彼らの言いつけを忠実に守り、ご馳走になった。終わりよければ全てよし、と緑茶をすすりながら、鳳珠は今日の依頼を総括していた。
「あっ、あかん。考えただけで‥‥腹が‥‥だめや、我慢できんわ〜」
 亜弥丸は作法どおり――の予定だったのだが、起こされるより先に、本人に成り代わって腹の虫が返事をしてしまい、居合わせた僧たちを笑わせた。また琥珀は大福のおかわりを聞き入れてもらい、両手に大福、の至福の時を過ごした。言ってみるもんだなあ、と彼はご機嫌だったが、お約束かどうかはさておき、のちほど大福を喉に詰まらせ、お茶もおかわりをご馳走してもらうことになる。
 浄巌に至っては寝たふりもせず、また天蓋を被ったままだったためそのまま大福が供されることになった。天蓋の向こうで大福をもぐもぐやっているであろう彼に玉章がわけを訊くと、その回答に待宵が素っ頓狂な声を上げた。陰陽師である浄巌が虚無僧の格好をしている理由は、本人のみぞ知るところである。
「えっ、お坊さんじゃなかったのか! わからないぞ!」
「――のう童よ、知らぬことが幸せぞ」
 揚げても美味いんだぞと僧たちに勧める玉星の表情は、真剣そのものであった。彼女と大左衛門は、ねぎらいの意味もこめ、稚児たちに大福を分けてあげた。3人でふたつもらえたので、彼らはひとつを丸ごと合歓に、もうひとつを玉章と待宵で分けることにした。ここでの玉章と待宵の食べ方なのだが、切り分けて食べるようなことをせず、ひとつの大福の両端をそれぞれ向き合って咥えたまま、手を使わず口の動きだけできれいに食べ進めていくという芸当を見せてくれた。何のためにそうやって食べるかは開拓者の理解の範疇を超えていたが、見る人によっては何か思うところがあるのかもしれない。
 最後に喪越の番になったが、彼は合歓に起こされても起きず、あろうことか熟睡していた。今日の疲れに加え、昨晩の酒がまだ残っていたのである。彼が夢で見たものは妖艶な尼さん大福か、あるいは妖艶なおちご大福か――いずれにせよ、彼の寝顔は安らかだった。