もふらの特訓 2時間目
マスター名:からた狐
シナリオ形態: シリーズ
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/06/30 17:53



■オープニング本文

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 何だか日に日に物騒になってる気がする天儀の世界。
 もふらさまを守る為に、二人の乙女が立ち上がったが‥‥、

「「目指せ、モフテラスー♪」」
「もふーーっ!!」
「待たんかーーっい!」
 開拓者ギルドに顔を出すや、元気一杯に拳振り上げるミツコとハツコともふらさまに、係員が声を荒げる。
「何でよー。せっかくやる気になってるのにー」
「じゃなくて、確か牧場の防衛やもふらの自衛の為に何か技を覚えさせたいって話じゃなかったか? それがモフテラス? そんな伝説でいるかも分からんようなものにどうやってなるんだ!?」
「あ、モフテラスさまになるんじゃなくて、モフテラスさまみたいになるね? 平たく言えば、目指せ八頭身」
「お・な・じ・だ・ろ。そんなのにどうやってなる」
 係員が堅実な意見を述べるも、当人達はどこ吹く風か。
「んー、具体案は乏しいのよね」
「でも、何とかなるよー」
「もふー」
 きわめて暢気に、どこからか出してきたお茶を啜っている。
「落ち着け、お前ら」
「落ち着いてないのはそっちだと思うわ」
「いーからっ! いいか、仮にモフテラスになれるとしよう! それはすなわち全てのもふらさまになるチャンスがあるってことだ! 全国のもふらが一斉に八頭身になってごろごろもふもふしだしたらどうする!?」
 青筋立てて説教する係員に、二人は天儀を駆け回る八頭身もふらを想像する。
 通りを二本足で颯爽と歩く八頭身もふら。
 荷車をドヤ顔で引っぱる八頭身もふら。
 家でごろごろ寝ている八頭身もふら。
 つやつやな毛皮を見つめられて自慢げな八頭身もふら。
 牧場で戯れる八頭身もふら。
 ‥‥。
「アヤカシも裸足で逃げそうな光景だね」
「平和でいいじゃない?」
「いいのかよ‥‥」
 喜んでる二人ともふらに、係員は突っ伏す。
「とまぁ、ここまでの冗談はおいといて」
「冗談かよっ!?」
「もふ? もふは本気もふ」
 横に手をやるハツコに、声を出す係員。でも、もふらさまは何か前向き。
「‥‥という訳で、もふらさまはモフテラスには少々前向きっぽいから、その修行の一環として特訓していくのはありと思うのよ? その結果、モフテラス化するようならそれもよし。できなくても何らかの修行はできそうな気がしないでもなさそうな予感がそこはかとなく漫然と」
「訳の分からん言葉を使うな」
 ひそひそと耳元で囁くハツコに、係員は顔を顰める。
 だが、まぁ言わんとしたい事は分かる。
「それで、結局の所、何か覚えられそうなのか?」
「それなんだよねー。どれもおもしろそうでミツコ困っちゃう」
「そういう基準で、牧場の平和を守るのか?」
 途端に困った顔をするミツコに、係員は頭を抱える。
 そのミツコを横において、ハツコが補足。
「もふらさまらしい頭も使わないどうでもいい技とかはやってくれそうというか、勝手に覚えてくれそうな気もするけどね。逃走も割と早いんじゃないかしら。体当たりみたいな技も割と楽しんでくれてるみたいだけど、実戦的かと言われると、あたしにはちょっとわからないわ。変形するとか精霊力を使うとかになると、もふらさま自体やり方よく分かってないから今の所無理なのかしら。本当に出来ないのかどうかは、もう少し何かしら様子見てもいいんじゃないのーって感じだけどね」
「さらっと酷い言い分が入った気がするぞ?」
「気のせいよ」
 係員の眉間の皺が深くなるが、ハツコはこれも横に流す。
「でも、アヤカシがいつ来るか分からないし。今は簡単な所で手を打つ方がいいのかな? もふらさまがやる気ならおつきあいしたいけど。ただねー。もふらさま動いてはくれるけど、遊びである内はどこまでも遊びなんだよねー?」
「修行にならないと?」
 考えすぎて頭を左右に大きく振っているミツコに、係員は問いかける。
「か弱い乙女のみーちゃんたちにはよく分からないけどー、ちゃんばらごっこで達人になっても、普通実戦では死んじゃうよね?」
「まぁ、そうだが。だが、そういう入り口から入って徐々に何度を上げていく修練もあるからな」
「でも、もふらさまはちょっと厳しくなると逃げかねないからなぁ」
 ちらり、とミツコはもふらを見る。
 もふらさまはもう修行とか特訓とかどっかにやって、誰かから貰ったおやつを食べてごろごろしていた。
「ま、とりあえずどうなるかは分からんが、特訓に関する報告書はギルドに前と同様に提出してくれ。もふらを知るいい機会でもありそうだしな」
「「了解!!」」
 疲れたように告げる係員に、ミツコとハツコは手を額に当てて答えた。


■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454
18歳・女・泰
柚乃(ia0638
17歳・女・巫
雲母坂 芽依華(ia0879
19歳・女・志
アーニャ・ベルマン(ia5465
22歳・女・弓
リーディア(ia9818
21歳・女・巫
御陰 桜(ib0271
19歳・女・シ
ラムセス(ib0417
10歳・男・吟


■リプレイ本文

 アヤカシの横行に供え、もふらさまにも自衛の手段を!
 という訳で、もふら牧場に今日も開拓者は集まる。あいかわらずもふらさまはもふもふしながらお出迎え。
「やっほ〜♪ みんな元気シてた〜♪」
 転がっているもふらさまに御陰 桜(ib0271)は喜び勇んで、御挨拶。忍犬の桃はそんな桜に従い、尻尾を一度だけ振って真面目に待機している。
「なんや遅れた思たけど、間におうてよかったどす。ああ〜、ホンマに幸せどすな〜」
 疲れた様子で雲母坂 芽依華(ia0879)も、寝ているもふらに転がり込む。
 今日ももふらのもふもふは絶品だ。相好緩めて、芽依華がもふもふを楽しんでいると、それを嫉妬の眼差しで見つめる炎龍がいる。彼女のツレである。
「‥‥はっ。青紅はんももにもにってしたげるさかい、怒らんといてぇやぁ?」
 ジト目でふてくされたように炎龍は見てくるので、芽依華は慌てて言い繕う。相棒の絆も大事だ。
「それで? 結局たいあたりと歌でいいの?」
 御挨拶もそこそこに、ハツコは開拓者たちを見遣る。
「そこはもふアタックと申してみます」
 柚乃(ia0638)が告げると、もふらの八曜丸も笑って頷く。
「何が違うのー?」
「助走をつけて勢いよくジャンプした後に回転を加えて体当たり。ぶつかる瞬間に精霊力を纏って攻撃力を上げるのです!」
 首を傾げたミツコに、リーディア(ia9818)が説明する。
「もふらの癒しはもふらさまに歌ってもらうデス」
「あたしはがんばって演奏するのー」
 ラムセス(ib0417)が告げると、リーディアのもふリルさんは鈴を鳴らす。
「そこにいるだけで癒されるのですが、何か回復するならラッキーかな」
 アーニャ・ベルマン(ia5465)が期待を込めた笑みを作る。
「その他、一応いろいろと追加も考えてはいますけど」
「でも、いっぱいやっても、もふらさまだからね〜。多分、覚えらんないよ〜」
「ですよねー」
 紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)があれこれスキルを提案してみるも、具体的手段が無ければもふらも動きようが無く。
「っていうか、すでに出来るのかね?」
 飛んだり跳ねたり回ったり歌ったり。
 普段、ごろごろもふもふが基本のもふらさま。一度にそれだけの芸当が出来るか、覚えられるか、非常に心配だ。
 ハツコは首を傾げている。
「やらせてみせましょう!」
「がんばるもふ」
 ぐっと柚乃が拳を固めると、八曜丸も藤色の毛皮を奮い立たせる。
「面倒臭いもふ」
 けれど牧場のもふらたちは、ごろごろと桜や芽依華と並んで寝倒している。すっかりだらけきっている。
「牧場で遊ぶ‥‥前に、やる気になってもらわねばデスね〜」
 気付けばらいよん丸も一緒にもふもふごろごろしている。
 ラムセスは三味線を手にすると、偶像の歌を歌い出す。内容は「モフテラス様になった私」。後光指す八頭身もふらを言葉巧みに歌い上げ、もふらたちの気を惹く。
 偉大なもふらの姿に、もふらたちは興味津々になった。
「そして、ここに登場するのがこのモフテラスのお守り! これを付けて特訓すれば、モフテラスのような精霊力を身に付けることが出来るぞ〜」
 水鏡 絵梨乃(ia0191)は百を越える大量のお守りを準備し、それをもふらたちにつけて回る。思い込みというのも馬鹿にはできず、後はひたすらもふらを乗せるだけ。
「勿論、特訓頑張った子にはおやつを用意しています」
「ケーキは手作りです。だいぶ料理が出来るようになりました。頑張ればできるんです」
 リーディアと柚乃が用意された菓子を並べる。
 マーマレードケーキに白桃の果肉入りシフォンケーキなどなどなど。品揃えは十分だ。
「逃げてしまう子はおやつ抜き。でも、頑張った子にはおやつ増量も忘れない」
 何気に芋羊羹を狙っている迅鷹の花月を肩に乗せて、絵梨乃がもふらに元気よく伝える。
「もふ! がんばるもふー!!」
 おやつにも釣られて、ついにもふらたちからも明るい声が飛んだ。


「ではまず前回の続きということで、もふアタックです。前回はただ闇雲に突進するだけでしたから。今回は助走を着けてからの体当たりの方が良いみたいですね。もふ龍ちゃん、ちょっとやってみて」
「もふ! もふ龍アタックもふ! 分かったもふ!!」
 紗耶香に言われ、金色のもふらは指定された的に向かう。
「今回も俺の教えを受けたいのか?‥‥って、俺は実験台かい!!」
 的は華麗な乗りツッコミもこなせる猫又のミハイルだ。頭上にはアーニャお手製の紙製偽造角をつけ、蝙蝠のような羽まで生やしたアヤカシの格好ばっちり。
「どれほどの威力かリサーチは必要です」
「おう、こうなったら開き直ってやる! かかってこいやー」
 アーニャに諭されると、ミハイルは黒眼鏡の下からもふ龍をきっと睨み、白足袋のような前脚を曲げて挑発までする。
「もふうううー!!」
 もふ龍も毎日布団相手に練習している意地がある。
 気合いを入れてミハイルに向かって走り出す。と、途中から転がって、そのままごろごろごろっと突き進んで行く!
「うにゃー☆」
 戸惑うミハイルに目掛けて、見事命中。勢い余って、ミハイルは綺麗に飛んでいく。昼間なのに、星が綺麗だ。
 そして、もふ龍はそのまま勢い余って牧場の柵に激突。その場で引っくり返った。
「大丈夫!? もふ龍ちゃん」
「だ、大丈夫もふ〜〜〜〜」
 御主人に呼ばれて起き上がるが、目は回って足はふらつき。紗耶香の元へ戻ろうとして、全然見当違いの方向によたってしまっている。
「回転しながらジャンプの練習は必要かな? いきなりは難しいだろうから、転がったりジャンプしたりが上手く出来るようになってからだな」
 もふらさまとはやや離れた位置に立ち、絵梨乃は呼びかける。
「はい、ボクに向かって走って来て。その後、ジャンプしながら回転するって感じ。大丈夫、ちゃんと受け止めてあげるから」
「もふ!」
 一つ返事で、一体のもふらが走る。絵梨乃目掛けてジャンプし‥‥そのまま押し潰す。
「うぇ!」
 絵梨乃が潰れた声を上げる。もふらさま、普通に重いです。
「回転が難しいかな? というわけでこんなの作ってきたデス〜」
 時間の都合で製作過程は割愛。ラムセスはふぁさりと覆ってた布を取り外す。
 といっても、出てきたのは積み上げられた木箱とその上から伸びるスロープ。どうみても、滑り台だ。
「名付けて『もふらかのん』デス! スロープに向かってでんぐり返しする事で、そのまま転がり、擬似的に回転もふアタックを再現するデス。よい子が真似したら怪我するのでもふら様専用デス」
 と、ラムセスは胸を張る。
「‥‥万商店さん、食いつくかしら?」
「持ち運びしづらそうだよねー」
 なんか算盤はじき出したハツコに、ミツコは率直な意見を述べる。
「残しておけば、練習用ではなく牧場を守るもふら用兵器になるであるデス」
 さっそく木箱に昇ったもふらさま。まずは、その上で転がってみる。
「もふ〜〜〜〜」
 そのままごろごろと転がって滑り落ち、牧場を移動していく。
「転がる時は、でんぐり返しの要領で前方に回転するようにね」
 ラムセスが告げると、らいよん丸が模範でごろんと前に倒れる。
 続けて次々と、真似して転がっていくもふらたち。
「こっちの方が楽しいもふ」
「それじゃ、ただの滑り台デス」
 そして、いつしか普通にお尻で滑り出し、遊び出している。
「こら! ちゃんとしないとおやつ抜きだぞ!」
 絵梨乃に怒られて、また転がり出すが、やっぱり油断すると遊び出していた。
「飽きたんだったら、動く的を標的にシてみる? 当たる練習と、逃げる練習が出来ると思うのよね」
「ほな、青紅さんにも追いかけてもらいましょ。‥‥ほどほどにしとくんやで?」
 桜の呼びかけで、もふらたちが走り回る。その周囲を忍犬の桃が走り回り、何気に逃げすぎてどこかに行かないよう、誘導している。
 上空から、青紅も追い回している。ただ炎龍の血が騒ぐのか、たまに暴走して本気で追いかけ、もふらが本気で逃げ回っている。
「この追っかけるんも何かの糧になったらよろしおす」
 そんな炎龍を窘めつつも、芽依華は密かに期待している。


「青紅はん、お頼申します」
 芽依華の指示で、青紅は力を溜めると的にむかってその鋭い爪を繰り出す。的は木っ端微塵に砕け散る。
「こないな感じの、強い攻撃には出来はらへんのやろか?」
 もふらが的に当たる様を見るが、やはり何か鈍い感じ。遊び半分のせいもあって、迫力に欠ける。
「もふアタックは十分強いですよ」
 アーニャの言葉に桜が頷く。
「ですが、威力が無いのはミツコちゃんが飛んでった件で実証だし。威力をあげるには精霊力のこんとろ〜るが必要かしら」
 もふらさまのもふもふの毛に触れる。しまりの悪い顔からして、やる気はあっても本気でもなさげ。ただぶつかるだけではじゃれてるのと同じか?
「あんまり乱暴者になっても、みーちゃん死んじゃうけどね」
 牧場関係としては、暴れて欲しくないというのもちょっとはある。まぁ、もふらさまなら大いなる力を手に入れても、のんびりごろごろしているのは目に見えているが。
「それに、もふらさまが精霊力をどう分かるかよねー?」
 ハツコの言葉が一番の問題だろう。
 精霊力の塊のもふらさまだが、いつもごろごろしていて何かを理解しているようには思えない。
「そうですね、運動の後ですし、まずは瞑想してみましょう。はい、皆で呼吸を合わせ、このマーマレードケーキを数えて下さい。終わったら、おやつです」
 リーディアが指し示したケーキに、もふらたちの目が注がれる。
「そうですね。イメージトレーニングで、あのモフテラスを思い描いていればきっと叶いますよ」
 壁にモフテラスの等身大全身図を貼り、アーニャも応援する。
「はい、では私も瞑想に付き合いましょう。ミハイルさんもどうぞ。おやつが一匹、おやつが二匹‥‥むにゃむにゃぐー」
「ネズミが一匹、ネズミが二匹‥‥って寝るなよ!」
「もふもふ、ぐー」
「おまえらもかー!!」
 瞑想して目を閉じてわずか、アーニャともふらから寝息が聞こえる。
 おかげで、戻って早々ミハイルの突っ込みが厳しい。頑張れ。

 休憩を数時間取ると、また活動再開。
 とはいえ、また瞑想しても寝るだけなので別の方法を考える。
「催眠療法などいかがでしょう?」
 リーディアが穴の開いた硬貨に紐をつけて、もふリルさんの目の前で揺らす。他のもふらたちも興味深げに硬貨を見ている。
「リラックスして、よ〜く見て下さい。あなたの中に眠る力が解放されます。そう、モフテラスになる為の力が解放されるのです。あなたは精霊力を使いこなせるようになる〜」
 落ち着いて話しながら、リーディアは硬貨を揺らし続ける。
「さぁ、精霊力を感じてみましょうっ!」
 そして、神風恩寵をもふリルさんへかける。風の精霊の力を借り、生命力を回復させる技。優しい風がもふリルを包み込む。
「精霊力、感じられたでしょうか?」
「うん。あたし何となく分かった気がするー」
 もふリルがリーディアを見つめて飛び跳ねる。しかし、じゃあやってみようとなると、勝手が分からないのかうんうんと唸っていた。
「こうやって精霊さんにお願いして力を借り受ける方法もあるので、精霊さん同士仲良くやりながら力を使ってみてはどうでしょう?」
 にっこり笑って他のもふらにも向くが、
「ZZZZ」
「‥‥また寝てるぜ」
 さすがのミハイルももう呆れる。
「ついでに睡眠学習をしましょうか。いいですか? あなたの手足がだんだんと伸びてくる〜」
 ではと、アーニャが寝ているもふらの耳元に囁く。
「もふぅ」
 アーニャの言葉に合わせて、寝たままもふらが何かじたばた、楽しそうに手足を伸ばしていた。
「もふらさまがやる気になってくれているようだし、頑張ろう。諦めたらそこで終わり、可能性が少しでもあるなら、そこを伸ばそうね」
「もふ。がんばるもふ〜」
 柚乃がぐっと拳を握ると、もふらの八曜丸もやる気十分に飛び跳ねる。
 強制封印断固反対。
 とはいえ、もふらや世間に利が無い、あるいは行き過ぎて害になるなら止むを得まい。もふらさまとて、暴走すると怖いのだ。


「♪もふらのも〜はもふっともふもふ もふらのふーはおひさまふかふか、
  もふらのらっはすてきなきもち
  いつもぼくらを見てるもふ いつもどこかからみてるもふ。
  僕らも大好きもふら様 皆と大好きもふら様♪」
 ラムセスが歌い出すと、らいよん丸や他のもふらたちも歌い出す。もふリルさんは聖鈴鳴らして飛び跳ねている。
「癒したり応援したりするのも、気持ちが大事デス〜。もふら様が応援してくれれば元気百倍デス〜」
 ラムセスが笑うと、らいよん丸も笑う。もふらたちも笑う。
 それだけでも心癒される気がするが、若干の不満は残る。
「やっぱりもふらさまに精霊力は無理なのでしょうか?」
 リーディアが首を傾げる。目立つ変化は特に無いので、よく分からない。だが、やっぱり精霊力とするには集中力だか何だかが足りない気がする。
「でも、精霊力はよく分からないけど、動き自体は良くなってきたかな? 花月、ちょっとお願い」
 絵梨乃が花月に的を持たせ、飛び立たせる。
 地上近く、飛び回る花月を鬼ごっこでもふらたちが走り出す。
 動きはそれなり。ただ、遊び半分なのは否めず。
「そうすると、目に見えない事より見える方法のがええんどすやろか。とりあえず、力溜めとく練習をしてもらいましょう」
 おやつを前にして、芽依華は待てを命じる。
 我慢を覚えてもらう為だが、訴える目をこちらに向けてくる。
 こっちの忍耐力も試されていた。