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■オープニング本文 秋の山は食材の宝庫。実り豊かな木々に加え、鮭が川を上り、熊が周囲をうろつく。 冬を前に少しでも栄養をつけようと、動物たちは肥太り、それを狙って猟師達も山に入る。 それは秋の頃には当たり前の光景。もちろん動物相手でも危険はあるが、猟師たちはそれを承知で山を行く。 ただ、その猟師を狙い、アヤカシたちが山に入り込んできたのは紛れも無く不運である。 「くそっ!」 追いかけてくる剣狼に向けて、猟師は矢を放つ。 狼に似たアヤカシ。爪や牙に加え、身体の至る所から剣が突き出している。その異常な姿でも、木々に遮られること無く疾走し、巧みに猟師に迫り続ける。 開拓者でもなければアヤカシに対抗しきれない。猟師が放つ矢もたまには刺さるが、致命傷には程遠い。 だが、倒す必要は無い。とにかく今は逃げ切れればいいのだ。 追いつかれないよう、矢を撃ち、弓で払い、猟師は逃げる。 やがて、つかず離れずで纏いついていた剣狼たちの姿が見えなくなる。 「逃げ切った‥‥か?」 さすがに息を切らしながら、猟師は注意深く周囲を見る。やはり姿を見出せず、ようやくほっと息をついた。 山を熟知しているとはいえ、逃げ回っている内に自分の居場所も不確かになる。とにかく人里には連れて帰らぬよう、奥に進んだのは確かだが、さて、ここはどこだろう。 方角を知る為に、猟師は空を見上げた。 と、その目に鎧武者が飛び込んできた。 兜から突き出す大きな角。邪悪な顔をさらに歪め、嗤う口元には鋭い牙が並ぶ。 抜かれた刀は、光を鋭く放っている。 剣狼が姿を消したのは撒いたからではなく、単に獲物である自分を追い込めたからだと気付いた時には、猟師の体は縦に裂かれていた。 そして、開拓者ギルドに報告が入る。 「山で亡鎧が暴れている。剣狼を手勢に、山に入った猟師を追いまわし、誘導された相手を仕留めているようだ」 開拓者たちを前に、ギルドの係員が口調を乱さず、状況を語る。 「猟師の前に現れるのは、最初は剣狼だけ。数は十五体確認されている。これらが獲物となった猟師を囲い込んで追いまわし、亡鎧の元まで誘い込む。猟師が複数人いる時はまずこれを散らし、追いやすそうな一人に狙いを定めて追い回すそうだ」 狙われるのは一人だけ。とはいえ、ひとまず自分たちが助かったと思っても他の猟師たちが助けにいけるものでもない。剣狼は下級ではあるが、この数では慎重に対処せねばなるまい。 まして、亡鎧がいるとなればなおさらだ。 中級アヤカシである亡鎧を一般人がどうこうできるものでない。 「亡鎧はどこにいるか分からない。見つかった遺体の場所もばらばらで、一定しない。剣狼に案内させるか、自力で待ち伏せ場所を探すかが考えられるな」 ただし、剣狼が追うのは向こうが定めた一人のみ。他の人間も機会があれば襲うが、場合によっては追い払って見逃したりもするという。 だからといって、迂闊に追えば剣狼が他の人間にも構う動きで亡鎧に気付かれる可能性もある。また追われる側も、いつどこで亡鎧と遭遇するか分からない。下手をすれば、一人で亡鎧と剣狼に囲まれ相手にする危険が高い。 自力で見つけようにも、山は広い。そのどこに一体潜んでいるのか。 開拓者に気付かれれば、亡鎧は一旦引く可能性もある。そのままどこかに入ってしまうか、また態勢を整え戻ってくるかは向こう次第。 「剣狼もだが、亡鎧も逃がしてはどうにもならない。必ず全てのアヤカシを滅するよう、気をつけてくれ」 告げる係員に、開拓者たちはどうするべきかを話し始めた。 |
■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191)
20歳・女・泰
菊池 志郎(ia5584)
23歳・男・シ
バロン(ia6062)
45歳・男・弓
利穏(ia9760)
14歳・男・陰
日和(ib0532)
23歳・女・シ
リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)
14歳・女・陰
アルバルク(ib6635)
38歳・男・砂
玖雀(ib6816)
29歳・男・シ |
■リプレイ本文 実りの秋。冬を前に獣たちも栄養をつけておこうと肥え太り、それを狙って猟師たちも山に入る狩りの季節。 そして、その猟師たちを狙い、アヤカシが入り込んできていた。 「この時期、山で暴れられたら困るんだよ」 天儀の山々を渡り歩く日和(ib0532)。そこには様々な背景が隠されているが、山に生きる者には変わらない。山には危険がつきものだが、アヤカシの登場は誰も望まない。 アヤカシはまず剣狼十五匹ほどが現れる。 下級ではあるが、一般人には手ごわい相手。しかも数が揃っているとなればこの時点で最早命運つきたといっていい。 だが、剣狼たちは即座に獲物を仕留めず、追い回し始める。何とか生にすがって逃げ惑う獲物の前に現れるのが、亡鎧だという。 「人間を追い回して、亡鎧の元へ誘導する。狩りの獲物に見立てて遊んでいるということですね」 「狗使って分断、追い込んでか‥‥。ズイブンとまぁ、上手い具合に狩りが出来るもんだ」 猟師たちの真似事をするアヤカシ。だが、所詮は真似だ。本来そんな手間などかけずともアヤカシの方が強い。無駄に怯えさせているだけなのに。 いや、その怯えや焦りを楽しんでもいるのだろう。 潜む亡鎧たちに、菊池 志郎(ia5584)やアルバルク(ib6635)は不快感を覚える。 「亡鎧。中級アヤカシというけど、随分と用心深いのね。いえ、頭が回るからこそかしら?」 ふふっと、リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)が軽く笑う。 剣狼を見つけ次第、倒すのは開拓者なら容易い。だが、それでは亡鎧が逃げてしまう。大元を逃がしては、また別の下級アヤカシを従えてどこかで同じ事を繰り返しかねない。 案外それを見越して、奥地へと誘いこんでいるのか? 「でも、そんな遊びも今日で最後。今度はこちらが狩る番です」 「それには、亡鎧の居場所を特定しないといけないな。‥‥大丈夫と思うけど、気をつけて」 装備を確かめる志郎に、水鏡 絵梨乃(ia0191)が声をかける。 亡鎧の居場所は分からない。なので、剣狼に案内してもらわねば。 その囮役として志郎が入る。 「猟師の方々に、出る山についての情報を聞いておきました。地図は無いようなので、簡単ですが記しておきました」 利穏(ia9760)は纏めた情報を、全て皆に伝える。 山、といっても生活する者にとっては庭のようなもの。書き記す事は無くても、目で見て足で覚えた事など山の安全と仲間たちに報いる為にかなり協力してくれた。 それでも慣れぬ者にとっては危険な場所に違いなく。そのどこに亡鎧が潜み、そして交戦するのか。 「厄介な敵だが村人の生活もかかっている。速やかに退治して、早く安心させてやらねばな」 玖雀(ib6816)はこれから行く山へと目を向ける。 山に行かなければ、亡鎧の脅威が消えるというものでもない。むしろ、獲物求めて町にでも繰り出す危険もある。 「人間サマの狩りってヤツを見せてやらねぇとな」 不敵に告げると、アルバルクは身の丈を越すその武器を担ぎ上げた。 ● 地形などを頭に叩き込むと、猫弓を手に志郎は山に入る。残無の忍装束は裏返すと、質素な作業着に見える。他の武器も隠して持ち、獲物を探す一般人を装って山を流離う。 もちろん、近付く気配は逃さない。超越聴覚で高めた耳で、周囲の音を聞き分ける。草を掻き分ける音、小枝を踏む音。山を移動しながら隠れ続けるのは、難しい。 それは、志郎を追う者たちにも言える。獲物を探す剣狼に見つからないよう、他の開拓者は身を潜めねばならない。 「弦の音で奴らが気付く、という事もありえるか?」 バロン(ia6062)が低く唸る。 鏡弦は、掻き鳴らした弦の共振音でアヤカシを探る。アヤカシとはいえ獣。耳のよさは考えられる。 「向こうとの距離に気をつけ、こっちの周囲に潜伏してないかを注意しとけばいいんじゃない? 超越聴覚は使うから、向こうの様子も探りつつはぐれたアヤカシが出ないか注意しとくよ」 日和が耳を澄ませる。今の所は、剣狼の声も聞こえない。 「念の為に、風下から追跡するようにしたいわね」 リーゼロッテは葉を撮むと、宙へと投げた。はらはらと、軽い葉は風に流れる。 音も臭いも風に乗る。読んでおけば、こちらは気付かれにくく、逆に向こうの騒ぎは分かりやすい。 気付かれぬよう志郎からは離れ、しかし、何かの時には駆けつけねばならない。その間を保つのもまた見極め我必要だった。 ただ、うろついてる内ならまだ楽もできた。しかし、剣狼に発見されればより気を張らねば。 「おいでになったね」 術を使わずとも、はっきりと聞こえる剣狼の唸り声。日和やバロンが位置を探ると、追っ手組はそっと距離を置いて隠れる。 志郎は隠れない。剣狼たちに発見されるように動くと、アヤカシたちが周囲を取り巻く。 そうして警戒するように唸りを上げ、志郎を狙うが、万全に囲んでるように見せて一方向だけが大きく開いていた。 「くっ!」 剣狼たちに矢を射掛ける。ただし倒す為ではなく、威嚇の為に。 矢を避け、剣狼が飛び退る。その隙に、志郎は開いていたその方向へと走り出す。 かける志郎を見つめ、剣狼たちが遠吠えを始める。高く高く、誰かに知らせるように。 それが開始の合図なのか。一斉に鳴き止むや、後は殺気も十分に志郎の後を追い出す。 「行きましょう。くれぐれも剣狼たちに――いえ、アヤカシたちに気付かれないように」 息を飲むと、利穏も動き出す。武器や服など山の風景に溶け込むように色を塗り、目立たなくしている。 真の狩人はどっちか。アヤカシに分からせてやらねば。 ● 「うわああああ、誰か助けてー!」 現在地を知らせる意味で、大声を上げながら志郎は山を駆け回る。 追い立て役の剣狼も、襲ってこない訳でもない。脅して方向を変えさせる為だろうが、飛び掛ったり牙を向いたり。一般人ならその拍子に怪我を負う可能性も高い。 慣れた山でも、あちこち追い回されては方向も狂う。開拓者に比べて、一般人は体力だってない。 とすると、 (そろそろ何かしてきますか?) 獲物が弱った頃を見計らい、仕留めにかかるか。 そう考え音に集中すれば、剣狼たちの動きが止まり少し、離れたところで待機している。 そして、頭上に重い金属音を聞き取る。 とっさに身を動かすと、先程まで立っていた場所に刀が振り下ろされていた。 木の上から飛び降り様の重い一撃。開拓者であっても浴びていれば危険だった。 兜よりはみ出た牛の角に、逞しい体に纏った重厚な鎧。鎧を装備した鬼のように見えるが、その実、本体は鎧の方だという。 「亡鎧が出ました!!」 アヤカシから目を離さず、志郎は叫ぶ。 その志郎を、偽物の鬼の目が鋭く捕らえる。踏み出すと同時に地に下がっていた刀を振り上げた。生み出される真空の刃。躱したつもりで躱しきれず、志郎の体が血を吹いた。 「くっ!」 怪しまれないよう多少の傷は仕方ない。けれど、一般人ならば一度目は偶然でも、二度躱されるのはさすがにありえない。 勘付いたか、亡鎧の気配が変わった。鋭い牙の向こうから、警戒するような唸り声が響く。 そんな上位の雰囲気を察知し、周囲を取り巻いていた剣狼たちもさっきよりも低く威嚇の声を上げて包囲を縮めてきたが。 草を踏み抜き、何かが近付く。 気付いて動きかけた剣狼より早く、絵梨乃が乱入。一匹を蹴りつけていた。 「ギャオン!」 悲鳴が上がった一角が崩れる。剣狼には目もくれず、アルバルクが割って入る。その後方では、バロンが弓「幻」を強く引き絞っている。狙いは亡鎧。 「奇襲の基本は一気呵成に。相手が何かする前に仕留めるぞ!!」 ただ矢を当て攻撃する事に集中。強射「弦月」は防御が疎かになるが、そこは弓の射程を生かし、間合いを十分に取る。 六節で機敏に矢を番え、次々と放つ。 「がっ!!」 亡鎧が大きく呻いて、退く。 矢を防ぐ為、木の影に隠れる亡鎧だが、状況ははっきり悪い。獲物であったはずの志郎も、仲間の登場と共に退き、今は武器を弓から忍刀「暁」に持ち替え、追い立て役の剣狼たちを相手にしている。 奔刃術で素早さを高め、獣よりも機敏に動いている。 飛び退いた剣狼の足元からは裏術・鉄血針で針が突き出す。悲鳴を上げて転がる剣狼の頭を絵梨乃が蹴り潰す。 勝勢はどう見ても、彼らの側にある。そうと見た亡鎧は、魔槍砲「瞬輝」を構えるアルバルクと対峙。間合いを計るようにじりじりと動いていたが、十分に間合いを取るや大きく退き、逃げにかかる。 だが、その逃走も読まれていた。 隼人を発動させた利穏が、逃げる亡鎧の前に回りこむと、 「はあああ!!」 力を込めて衝撃波を飛ばす。 一直線に放たれた力は、大地を割きながら亡鎧を吹き飛ばす。 「行くよ! 私に当てたら後で倍返しだからね!」 「そんなヘボに見えるってのか?」 日和が右の赤い目をアルバルクに向けると、アルバルクもまた軽く笑う。 日和の手から刹手裏剣が飛んだ。打剣で狙いも的確。刀で庇おうと振り上げた亡鎧の手に見事刺さった。 傷は僅かだが、手裏剣に対処しようと姿勢が崩れた。次の攻撃への体勢が整う前に、アルバルクは迫る。その茶色の目が赤く光るや、魔槍砲「瞬輝」を亡鎧に向けて叩き込む! 狙いは刀。その為、与えた傷はほとんど無かったが、放物線を描き刀は遠くに飛んでいく。 「拾いになんて行かせませんよ。‥‥勿論、逃がしもしません」 一つ息を飲むと、利穏が亡鎧へと武天長巻を向ける。 丸腰になった亡鎧は、開拓者らを見回し身を強張らせる。 「そんじゃ、ぶっ飛ばしにかかるぜぇ?」 人の悪い笑みと共に、アルバルクは戦陣「砂狼」を発動した。 ● 別に酔わずとも酔拳は使えるが、呑みたがる酔拳使いは実に多い。 大体、酔っていた方が練力の調子もいいとなれば飲まずにいられようか。 様子見中に古酒を煽って準備を整え。絵梨乃は、ほろ酔い気分で剣狼たちと向き合う。 「ほらほら、どうしたの。酔っ払いも相手に出来ないなんて情け無いぞ。そんなんだったら、ボクの方から行っちゃうよ!!」 不規則な動きで剣狼たちを翻弄。襲い掛かる牙を、爪を、のらりと躱すや転反攻で頭を狙って蹴りつける。体からは飛び出た剣を持つアヤカシ。下手に触って、怪我などしたくない。 玖雀は剣狼からまずは逃げる。逃げるふりをして木に黙苦無を放ち、追いかけ襲ってきた剣狼のタイミングを合わせ、それを足がかりに木に駆け上る。 俊敏に木に駆け上ろうとする剣狼だが、さすがに木登りまではできないようで。勢いのままに木に飛びつき、うっかり身体の剣が木に刺さって体勢を崩した所をすかさず玖雀は刃を向ける。 「練力の無駄遣いは出来ないんでな。悪いがお前の身体を利用させてもらった」 静かに告げると、地に下り、リーゼロッテの背を庇う。 「背中任せていいかしら? 頼りになる男って好きよー♪」 「余所見は無しだな。まだまだ奴らの数が多い」 明るく告げるリーゼロッテにも、玖雀は変わらず対処。 背中合わせに死角を補うと、玖雀は剣狼に苦無を放ち立て続けに雷火手裏剣を放つ。 「数ばかり多くて嫌になるわよねぇ。全部纏めて呑みこんじゃいましょ♪」 志郎と絵梨乃も追い立て、剣狼が徐々に集まるよう誘導されていた。 リーゼロッテの合図と同時に、二人は離脱。そして、かざされた力ある魔剣・アゾットの先から季節先取りの猛吹雪が吹き荒れる。 「きゃうううううん!!」 濃厚な冷気が視界を白く凍らせ、剣狼たちの命を奪う。からがら生き延びても凍えた体では満足に動けず、すぐに開拓者たちに捕まり、瘴気に還らされる。 残るは亡鎧。とはいえ、武器も無い身ではやられる一方。遠方から容赦無く仕掛けてくるバロンの矢で、至るところが矢衾になっている。 利穏が身の丈を越す野太刀に練力を纏わせ、新陰流で切りかかる。日和もまた刀「夜宵姫」を抜き放つと接近して挑みかかる。 二人を相手に、頑強な鎧も無残に砕けていく。いや、その鎧こそが本体なのだから力もさらに入る。 キレのある連携。そして、踊らされる亡鎧の兜に魔槍砲を食い込ませる。接近したまま砲撃が放たれ、鬼の顔が砕け、兜が吹き飛んだ。 ● 「怪しい音は無し。仕留めた数からしても打ち漏らしはいないはず」 「こっちも反応なし。安心していいだろう」 耳を済ませて周囲を覗っていた志郎に、バロンも鏡弦の響きを止めて頷く。 バロンの顔は厳しいままだが、全身の気が少しだけ丸くなる。 「終わった、か」 辺りに動く者が無くなったのを確認し、玖雀は苦無をくるりと回して手に納める。 「あなたは、ね。こっちはこれからよ。さぁ、他の人も怪我は無い? 全く仕事が多いわねぇ。特別手当とか付けてくれないかしら」 リーゼロッテは、瘴気回収で練力を補いながら、新風恩寵で傷を癒す。 皆でかかれば何てこと無い相手‥‥とはいえ、怪我と無縁でもいられない。終わってもすぐには休めないのが癒し役。忙しくて愚痴の一つも言いたくなる。 「さて。じゃあ私は見回りついでに狩りにでも」 傷も癒え、背筋を伸ばした日和が荷物を纏め出す。 「おいおい、ギルドへの報告はどうするんだ?」 肩を竦めるアルバルクに、日和は片手を振ると、満足げな表情で山の中へと消えていく。 今の季節。動物たちもが、狩りにと勤しむ危険な季節。けれど、彼女なら大丈夫だろう。 まして、危ないアヤカシはもういない。 安全を伝えるべく、利穏の地図を元に開拓者たちもまた山を降りていった。 |