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■オープニング本文 ※このシナリオはパンプキンマジック・シナリオです。オープニングは架空のものであり、DTSの世界観に一切影響を与えません。 ※このシナリオはパンプキンマジック・シナリオです。オープニングは架空のものであり、DTSの世界観に一切影響を与えません。 重要なので二度書きました。御間違いのないよう、本編にお進み下さい。 ● 「五百年の時を越え! 現世に復活、酒天童子! シュテンドウジではなく、サケゾラ ワラベコと読みます! そこ、お間違いなく!!」 開拓者ギルドに、一人の修羅がいきなり乗り込む。乗り込みついでに扉が全壊したが、そんな事は気にしない。 「ちょっといろんなお城焼いて人を殴って帝の頭叩いただけで、よってたかって神社に放り込むなんて!! 何その子供のオシオキに押入れ放り込んじゃえ手段! うっかり寝過ごしちゃって、約五十四万七千五百回もの食事を食べ損ねちゃったじゃない!!」 「気にする所そこか!」 頬を膨らませ憤る童子に、ギルドの係員は考え込む。 「三時のおやつだけでもざっと十八万二千五百回よ! ゆ・る・せ・なーい! というわけで、童子は復讐しようとこういうものを入手しました!!」 胸元からさっと取り出す黒い本。 だが、それを見た途端に係員の顔色が変わる。 「ま、まさかそれは!」 「そう! 現代で何かえらい人らしい大伴さんが所有しているBLって奴よ! 何だかよく分からないルートから入手したこれを、世間に公表してやるんだから!」 「そんな事をされては、朝廷の面目が! えぇい、あいつを捕まえてあの本を取り上げるんだ!!」 高らかに笑う童子に、係員は開拓者たちに頼み込む。 すぐに童子を取り巻く開拓者たち。しかし、童子は慌てず騒がず、不適な笑いを浮かべ続ける。 「ふふふ。何の準備も無く乗り込んでくると思ったら大間違い!」 どこかから取り出したるは大きな南瓜。オレンジ色で大きな南瓜は、邪悪に笑い、それを見せ付けるように童子は高々と抱え上げる! 「揃え星辰! 彷徨える南瓜の名の元に!! 発動、パンプキン・マジック――!!!!」 そして、地面に投げつける!! 途端に、ぼんっと弾けて、白い煙が開拓者ギルド中に充満。開拓者たちも煙に呑まれ、伸ばした手の先すらも見えない始末。 「あーはっはっは! 追いかけてこれるなら来てみなさーい!」 「待て!」 童子の高笑いが遠ざかっていく。勿論、逃がす気は無く、声を頼りに開拓者たちは煙を潜り抜ける が―― 「あ?」 「えー??」 視界が晴れると、目の前に自分がいた。 いや、外見こそ自分だが、その仕草や口調は自分ではありえない。 そして、自分も自分では無い。どうやら、一緒に居た開拓者の姿になってしまっている。 「外見と中身が‥‥変わってる?」 自分は他の人で、他の人が自分になって。 だが、外見が変わっただけで、自分は自分だ。記憶もある。スキルも使える。 追いかけるには申し分ない! 原因も恐らく童子の仕業。となれば、今は早く追いかけるのみだ!! 「しつこーい! こうなったら!!」 なおも追いかけてくる開拓者たちに、童子は手近な施設に入り込む。 適当にはいったそこは、何故か温泉施設だった。沸き立つ湯気に、硫黄の香りがいい感じ。 「すみません。当施設では園内水着着用となっております」 そして、係員に止められる。何でもいろーんな風呂があるのだが、その全てを楽しめるように全て混浴であり、倫理上風呂なのに水着が必要なのだとか。 「仕方ないなー。でも、このBLは離さないから!」 クラゲのワンピース水着に着替えると、本を抱えて温泉施設内に飛び込む。 追ってきた開拓者たちも、当然にこやかに係員から水着着用を勧められる。 仕方ない。まずは水着に着替えよう! ※このシナリオはパンプキンマジック・シナリオです。オープニングは架空のものであり、DTSの世界観に一切影響を与えません。 重要なのでもう一度書きました。くれぐれも御間違い無きよう。 |
■参加者一覧
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
露羽(ia5413)
23歳・男・シ
エルディン・バウアー(ib0066)
28歳・男・魔
ケロリーナ(ib2037)
15歳・女・巫
猪 雷梅(ib5411)
25歳・女・砲
ルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)
10歳・女・砲
アムルタート(ib6632)
16歳・女・ジ
射手座(ib6937)
24歳・男・弓 |
■リプレイ本文 ● 黒い本奪還に向けて犯人を追いかけると、彷徨える南瓜の魔法にかかり、煙が晴れると姿と中身がぐっちゃぐちゃになっていた。 だが、依頼放棄するほどでもない。必要最小限の情報と道具を交換すると、すぐに酒天童子を追いかけ出す。 逃げ込まれた温泉施設で、水着に着替えるよう指示され。中身基準で更衣室に飛び込んだのは、故意か悪意かうっかりか。 とりあえず、悲鳴の上がった女子更衣室から露羽(ia5413)と射手座(ib6937)が叩き出され、男子更衣室から猪 雷梅(ib5411)とケロリーナ(ib2037)が温泉場店員により連れ出される姿が目撃される。 あくまで姿。くどいけど、中身別人。 ● 「ったく。仕事探しに来てみりゃ、妙な事に巻き込まれちまったぜ。ま、他人の体になるってぇのも面白いけどな?」 着替えを終わらせ、水着姿で開拓者たちは一旦合流する。 豪快に笑いながらも、事の元凶容赦せぬとばかりに射手座――もとい雷梅は派手に指を鳴らす。 元からさらしと男物のトランクス水着を着用。外見男性でも違和感無し。 「見た目が誰だろうが私は私! やることはみじんも変わらないよ! レーッツ鬼ごっこー!」 真っ白いなびかせ、胸はやっぱりさらし巻き。堂々と拳振り上げて、陽気に露羽――もといアムルタート(ib6632)は施設内を走り出す。 こちらも男性ではあるが、元々露羽は中性的。違和感があるのかないのか。 「ふふふ、皆さん、私の肉体美に見とれても良いのですよ」 スマイルきらりと爽やかな笑顔で衆目を集める黒のぴちぴちビキニ着たエルディン・バウアー(ib0066)だが、外見は雷梅、女性である。血相変えて飛んできた係員がクラゲを胸に巻き付けている。 「弓矢は持っていっていい? 湯気で伸びる? 中はあっちいな‥‥」 弓「弦月」の弦を気にしながら、バギースタイルの水着を穿いたケロリーナ――もとい射手座も微妙な顔の店員と話をしている。 ケロリーナ、外見十五歳。豊満の基準は人それぞれだが、とりあえずぺったんこでもない。男性水着一丁で歩き回るも、結果店員にそれとなく止められ、用意していたサポータータイプの胸部水着をつけさせられる。 「ふぇ、普段と近いのもいいですけど、けろりーなは大人のカラダに興味津々ですの〜」 少々羨ましげな目で、外見女性な面々を見つめる柚乃(ia0638)。この中身がケロリーナだ。 体型的には、普段よりも若干小柄になった程度。きゅ〜となフリル付ワンピース水着も違和感なく着替えられ、それはそれでいい。が、やはりこの際にというがっかり感も多少あった。 もっとも。大きくなったらなったで困りもする。 「追いかけっこだね! あたい、負けないぞー!!」 元気に笑うアムルタート――もといルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)だが、元の10歳99cm細身体型のまま、水着を選んでいる。結果、濃紺のワンピース水着(旧型スク水タイプ)は14歳の122cmの身に若干食い込みがち。不自然な湯気がそこはかとなく。 「おいおい。人の顔でにやけるなよ」 「にやけてはいませんよ。でも、しょうがないじゃないですか。神父でも健康な男子ですから」 内面雷梅が、外見雷梅を窘める。 ヤバげな水着もさる事ながら、一般の女性客も普通にいる。視界に入る彼女たちに、エルディンがドキッとするのも仕方ない。‥‥が、外見では雷梅がセクシー女性にどきどきしてる。誤解されそうだ。 「神楽にもこんな温泉施設があったんですね♪」 胸元にヒラリとしたリボンを付けた、鮮やかな青系ビキニにスカートを穿き、ルゥミ――もとい柚乃は声を弾ませる。温泉好きとしては嬉しい限り。入浴時に髪が濡れないよう結い上げようとするが、ルゥミの髪型は柚乃よりも短い。普段より髪がこぼれやすく四苦八苦する。 「温泉はやっぱりいいですね。何時までも入っていたい気分ですけど‥‥さすがにそうはいきませんか」 ビキニタイプの黒水着に着替えたエルディン――もとい露羽もいつものように髪を纏めようとし、短くなった金髪に触れ、どうしたものかとその手をまごつかせた。 ただ、遊びに来た訳ではない。童子に取られた黒い本を取り返さねばならない。 広い施設で風呂の数も多く、このどこに童子がいるのか。下手に追いかけるより罠を張ろうと、店員に協力を願いとある風呂を貸しきる。 「‥‥ところで、BLって?」 ふとルゥミこと柚乃が口にする疑問。 盗られた本だが、中身は不明。必死に取り返したいようだが、どうとでも解釈できる略号。 開拓者一同。ふと顔を上げて、視線を交わすと‥‥なんとはなしに目線を外して、答えを口にせず、童子逮捕に素早く動き出した。 ● 「出口どこ?」 黒い本を小脇に抱え、コーヒー牛乳飲みながら童子は施設内をうろうろする。 広い施設には、沢山の風呂が用意されている。それらをちょっとずつ覗いて、時に堪能している童子だが。 「あ、酒天発見」 覗いたとある風呂には、もふらが風呂一杯にきゅうきゅう詰まっていた。 そのもふらたちに埋まり、もふもふを堪能していたルゥミこと柚乃が顔を上げる。 もふら風呂。‥‥温泉成分を含んだもふもふを堪能する風呂か? 気持ちよさげではある。ちなみに、なるべく素肌でもふもふを堪能する為に、彼女はビキニチョイスなのだ。 「シュテンじゃないから! サケゾラ ワラベコ!」 「ハラペコちゃん? あ、だからペコちゃんなんですか」 「ペコじゃなくて、ベコなのー!」 「酒天て柚乃と同じ双子だったのですね。よく女装をしているので、ついに中身までもかと。それとも本体はどこかに?」 「そういう設定も無いからー!」 もふらに浸かってのんびりまったり風呂を満喫しているルゥミこと柚乃に、童子が奇声を上げる。 「でも、見つけたんですから、お風呂タイムもここまでですかぁ」 そちらは淡々と無視して、外見ルゥミはおもむろに呼子笛を取り出すと、途端、館内に警報が鳴り響く。 「はっ、しまった!」 仲間を呼ばれたと知り、すぐに逃げ出す。館内はお静かに、の案内も華麗に無視だ。 「あちらで、見つかったようですね。では、こちらも参りましょう」 やっぱり風呂でまったりしていたエルディンこと露羽も、音を聞きつけ準備に入る。 体は変わってもスキルは元のまま使える。超越聴覚で笛の音を聞くや、早駆も駆使して外見金髪の神父は皆との合流に走る。 目指すは罠を張った酒風呂だ。 「まて〜、ベコちゃ〜ん♪ その本、こちらに渡しなさ〜い♪」 「やだね!」 数々の温泉に目を輝かせながらも、今は目標捕獲が大事。妙なテンションの高さで露羽ことアムルタートは黒い髪なびかせ、苦無「獄導」を容赦無く投げつける。 苦無はどうにか躱す童子だが、アムルタートが使うはナディエ。軽い一蹴りからの跳躍で空を舞い、軽やかな移動で露羽の姿は童子から離れない。 さらに、行く手を阻む石の壁。ストーンウォールが逃げ道を塞ぎ、退路を立つ。ケロリーナの技だ。 「童子、見つけた。待てー」 「追いかけてごらんなさーい♪ じゃなーい!!」 途中、露天風呂から鷲の目で見ていた射手座も合流。追っ手に加わろうとするが、その足はちょっとおぼつかない。 「あははははー。酒に弱い体だなー」 休憩がてら、喉を潤すビールとか。ケロリーナ十二歳、天儀の御酒は十四歳から。‥‥アウトなんだが、外見十五歳なので見逃された様子。そこら辺ファジー。 とはいえ、呑みつけてないのかふらふらする体は無理せず休ませ、見晴らしのいい場所から童子の行方を知らせている。 「くっ!」 罠と思っても、露羽ことアムルタートの苦無は容赦ない。作り上げたルートへ巧みに童子を走らせる。 誘われるまま、ワイン風呂でワインを汲み上げ、打たせ湯に打たれ、ついでにコーヒー風呂で豆に染まり、サウナでちょっと一服し、水風呂に飛び込んで‥‥と、各温泉巡りを満喫する。 逃げながら、温泉に浸かるものじゃない。のぼせていい感じになる頃、童子は辿り着いた扉を開け‥‥ ● そこで見たモノは‥‥。 「どうです? 私綺麗ですか? 綺麗だって言ってください! 上手く変装できないと任務に差し支えるんですから。じゃないと泣きますよ?」 「もふらさま、もふもふ〜」 艶やかな女性のような仕草でうるうると瞳濡らして訴えるエルディンと、とても幸せな表情で洗面器に抱きついているルゥミ。もとい、露羽と柚乃。 二人が酔ってるのは一目瞭然。外見十歳のルゥミへさすがに酒を勧めた者はいないが‥‥、飲まなくとも辺りに満ちる酒気だけで酔い気分になること間違いなし。 それというのも。 「風呂と言やぁ酒だ! そこの店員の兄ちゃん! 何でもいいから酒、じゃんじゃん持ってこい! ほら、そこの兄さんも姉さんも呑め呑め〜!!」 けらけら笑いながら、射手座が集まった他の客にもどんどんと酒を振舞っている。もとい雷梅だが。 惜しみなく振舞われる酒で、酒豪たちもご陽気に。ドンチャン騒ぎが浴室に響いている。 「どぶろくたっぷり使用の酒風呂ですからね。ただでさえ、アルコールぷんぷんの場所で呑む熱燗もいいものです」 そして、外見雷梅も盆に乗せられた熱燗を手にするとお酌をして回っている。もといエルディンである。射手座こと雷梅の連れてきた客の中には美人のお姉さんもいて、向こうは雷梅と思ってるから遠慮が無い。‥‥いいのか? 「遠慮なく飲んでくれや。あ、お代は酒天とかいう奴にな」 「自分で払えーっ!」 店員すらもこき使って酒を運ばせ、周囲に絡みまくっている中身雷梅。押し付ける先に、童子はさすがに目を三角にする。 「ふぇ? 今日は『わらべこ』ちゃんですの〜?」 「今日も明日もそうなの。魔法少女で首だけもぐもぐされる予定も無い! ‥‥多分」 「そうですの〜。でも折角ですから3時のおやつはいかがですの〜」 柚乃ことケロリーナが大量のケーキを勧める。浴槽にも、盆に乗ってブランデー入りケーキやモンブランなどがぷかぷか浮かぶ。 「ありがとう‥‥って何か痺れるー」 「セイドのしびれ薬入りですの〜」 ケーキを受け取った童子だが、その動きが鈍り出す。 途端、その横合いからアムルタートことルゥミが滑り込んでくる!! 「ベコちゃん、捕まえたー」 「うにゃあああー!」 全身石鹸塗れで抵抗を失くし、風呂の床を行き追いつけてやってきた彼女に、童子は慌てて避ける。 アムルタートの体はそのまま整理されていた洗面器の山に突っ込みストライク。派手な音が浴室に響き渡った。 「うぃっく、逃ーげられたー! わーい、水着もぼろぼろだねー!」 すでにこちらもべろんべろん。真っ赤な顔で笑いながら、アムルタートが洗面器を両手に持って珍妙な踊りを披露する。摩擦で切れたか、スク水もヤバイ。でも、中身ルゥミだから気にしちゃいない。不自然な湯気が濃くなった! 「でも、逃がさないからねー! トゥ!!」 それでも使命は忘れてないのか。童子に目標を定め、アムルタートことルゥミはまたスライディングで飛び込んでくる! 「ひいいいい!!」 遠慮無しに人の股下も潜り抜け、腰を動かして進もうとする姿から、童子は逃げると言うか近付きたくない。痺れながらも必死だ。 もっとも、アムルタートの体だと辿り着く前に止まることしばしば。 「うーん、滑りが悪いなぁー。なんでこんなに体がデコボコつっかえるんだろう」 ルゥミは体が違うのが理解できない様子。しきりに首を傾げて、アムルタートの体を確かめている。 「い、今の内」 どうやらここに逃げ場は無いと悟り、童子は回れ右をする。 「逃がしませんよ」 酔いが醒めてきたか。エルディンこと露羽が童子に気付き、煙幕を張る。 「さぁ、大人しく返して‥‥って、あわわわ?」 「違うですの〜」 煙の中で童子を押し倒し‥‥と思ったら柚乃の姿をしていた。やっぱり酒が抜けてない。 ルゥミこと柚乃もふらつきながら神楽舞「瞬」を舞う。その支援を受け、ケロリーナこと射手座が矢を引く。狙うのは、童子の持つ黒い本! 五文銭で狙い定めた矢は、違わず本を弾いた。何で出来ているのか、本自体は無傷。 「うきゃ!」 手から零れた本を掴もうと童子が手を伸ばしたが、銃声が鳴り響やすっ転ぶ。 「逃げんな逃げんな。当てちまうぜえ?」 風呂に使って酒飲みながら、射手座、もとい雷梅はくるくるとマスケット「シルバーバレット」を振り回す。火薬は耐水防御でカバー済み。空撃砲なので弾丸は無く怪我もさせない。‥‥が、風呂場で転倒も相当危険ではある。 「その本、いただきます!!」 転んだ童子は本を掴み損ねる。浮いた本は雷梅ことエルディンの唱えたアイヴィーバインドに絡めとられる。 「ゲットォォ!」 そして、ナディエで上空から飛来した露羽ことアムルタートが、マノラティで鞭「フレイムビート」を振るう。伸びた鞭は容易く本を手元に引き寄せ、そのまま雷梅ことエルディンに投げられる。 「返せー‥‥うぎゃあああ!!」 慌てて童子が本を取り戻しにかかるが、うっかり罠に踏み込んだ。射手座が罠伏りを込めて仕掛けていた罠に、雁字搦めにされて転がされる。 「返すも何も、貴公の物じゃないだろう」 ケロリーナこと射手座が容赦なく伸しかかると、童子を後ろ手に縛り上げて捕獲完了。 「ああ! 復讐がー、BLがー!」 童子の慟哭が酒風呂に響く。 「まぁまぁ。ここは一旦酒に抱かれて眠りなさい」 「お休みですの〜」 そんな童子をアムルリープで眠らせると、柚乃ことケロリーナはぎゅっと抱きしめ、雷梅ことエルディンはバスタオルに包んで優しく運び出す。 ● 「えぐえぐ。彷徨える南瓜のお帰りー」 目が覚めた童子が半べそかきながら、にた笑いしている大きなオレンジの南瓜を叩き割る。 追いかけていた時同様、辺りに煙が立ち込める。晴れた時、元の姿に戻っていた。 「おー、戻った。せっかくだから、のんびり風呂にでも〜」 元の姿を確かめると、射手座は自棄酒を叫ぶ童子に、笑顔で酒を渡してから、風呂場に戻る。 「そういえば、BLって何?」 自身も風呂の準備をしながらふとアムルタートは尋ねる。 皆の視線が童子に向いた。 「いや、実はよく知らないんだな」 目を逸らす童子の答えを聞いてから、視線は一様に黒い本へと向けられた。 好奇心旺盛なのも開拓者のいい所。どきどきしながら頁を開き‥‥。 五分後。何故かすっげえがっかりして汗と涙と血を流して運び出される童子と開拓者たちがいた。 「やはり止めた方が良かったでしょうか‥‥」 「かもな。ま、後はおまえに任せらぁ」 見守り遠い目をしている露羽に、様子見をしていた雷梅は笑って本を押し付ける。 本は回収したし、別によかろう。 |