|
■オープニング本文 ひょんなことからニート男、ロータスの更正を引き受けることになってしまった女騎士エリカは悩んでいた。ひとまずどこから手をつけたらいいものかと。 「とりあえず確かめたいんだけどねロータス、あなた何が出来るわけ?」 「さあー、特にこれといって何がというのはないですねえ」 「…普段何して過ごしてるわけ?」 「新聞とか雑誌とか読んでごろごろしたり、気が向いたらぶらぶらしたりですかねえ」 「…自分の生き方に疑問とか感じない?」 「いいえ、全然。働かなくていい立場の人間が働かないことに、何か問題ありますか?」 「いや、社会的責任ってあるでしょう。貴族なんだから」 「貴族の社会的責任って、第一に生きていることで、次は跡継ぎをこさえることですよ。その他は全て体裁のための付け足しではないでしょうか?」 「ご主人たま、ロータスたまの言うことも一理あるでちよ。正味ご主人たまに親戚のみなちゃまが望んでいるのは、アヤカシ退治じゃなくて片付き先探しでちよ」 「会話に入ってこなくていいからスーちゃん」 相棒に目を光らせるエリカの前でロータスは、ギルドの依頼掲示を眺めている。 エリカはその姿にぼんやり疑念を浮かべた。彼の妹はクロスボウ、母親は銃器の扱いに長けている。彼にはそんなふうに得意とするものが、本当にないのだろうか? ないほうが不自然な感じがするのだが。 「あ。エリカさん、ちょっと面白そうなの出てますよ」 ● ジルベリア北方にあるジルドレ公爵領。 最近この領地のとある森から、次々人間の遺体が発見された。どれも土の中に埋められており、大きさからすると子供のようであった。 とにかく傷みが激しかった。各部位がばらばらになっている上、掘り出した野の獣にあちこち食われており、更には全て頭部が失われていた。 森がちょうど館の裏手にあったことから、公爵家ではこれを重く見、ただちに調査へと乗り出し、『アヤカシの仕業である』という結論を出し、ギルドへ依頼を出してきたとこういうわけだ。 筋は通っている――筋は。 だが今、エリカを筆頭とした開拓者たちは、気化していくアヤカシを前に違和感を覚えていた。 見つけたアヤカシは確かに巨大であったし危険なものだった。が、報告されていた被害の状況と、今ひとつ合致しない。 手も足もないヒルの姿―食肉性ではなく吸血性の特性。それが手足を食いちぎったりバラバラにしたりするだろうか。出来るだろうか。まして埋めるなど。 もしかして、他に別のアヤカシがいるのではないか――誰の思考もそこへ行き着く。 とするなら、そちらも退治しておかなければ。 思って彼らは依頼主である公爵に任務続行を申し出た。 しかし、断られた。 「目撃されていたアヤカシはあの1体だけだ。そもそもそのアヤカシが人間をバラバラにしたり埋めたり出来なかったという確かな証拠があるのか?」 ない。全ては憶測に過ぎない。 「ではお帰り願おう」 公爵は開拓者たちを尻目に応接室から出て行く。庭先に止まった大きな馬車の方へと歩いていく。 馬車からみすぼらしい様子の子供たちが次々出てきた。 あれは何か。 開拓者たちの質問に、茶を持ってきた老僕が応える。 「旦那様は、身寄りのない子供の里親を探すお仕事をなされておいでなのです」 ただついてきただけのロータスは、いち早く茶をご馳走になり、言う。 「帰ったほうがいいんじゃないですか? 余計なお世話になってますよ、多分。大体、この辺の子供が殺されてるわけでもないみたいですし…」 エリカは怪訝な顔をした。 「ロータス、あんたなんでそんなこと知ってるの?」 「いえ、この事件のこと新聞に出てましたし。ほら、これ。ベタ記事ですけどね」 |
■参加者一覧
そよぎ(ia9210)
15歳・女・吟
アリステル・シュルツ(ib0053)
17歳・女・騎
岩宿 太郎(ib0852)
30歳・男・志
マルカ・アルフォレスタ(ib4596)
15歳・女・騎
リンスガルト・ギーベリ(ib5184)
10歳・女・泰
エルレーン(ib7455)
18歳・女・志
藤浪 瑠杷(ib9574)
15歳・女・陰
硝(ic0305)
14歳・女・サ |
■リプレイ本文 ロータスが投げ出した新聞を手に取った岩宿 太郎(ib0852)は、ざっと拾い読みする。 『ジルドレ公爵館の所有される狩場にて、発見された複数の遺体についての詳細が少しずつ明らかになりつつある。取材班が周辺地域に聞き込みを行った結果現地児童ではないことがほぼ確実となった。彼らはどこか他地域から略取されてきたのではないかという疑いが濃厚である』 「ひっでぇ事件もあったもんだよな…」 ただのアヤカシがらみという雰囲気ではないと、藤浪 瑠杷(ib9574)は思う。 「…いずれにせよ趣味を疑いますね。こんなに大勢の被害者ということは関わっている、或は何か感づいている人が少なからずいそうです」 変態性嗜好をもつアヤカシなのか? いやそもそもアヤカシがやったことなのか? そこもひどく曖昧だ。 「例え何者であっても罪は暴かれなければなりませんわ」 顎に手を当てマルカ・アルフォレスタ(ib4596)が呟く。 「こういうヤツ、何っていうかあれだよね、すげえくさそう。僕はさ、こういう手合いがいっとう嫌いなんだ」 アリステル・シュルツ(ib0053)はびろうど張りの椅子に腰掛け、茶を一口すすった。 硝(ic0305)は槍の穂先を手入れしつつ、言う。 「このまま帰るのは面白くありません。…色々、調べてみたいですね」 リンスガルト・ギーベリ(ib5184)が頷く。 「更なる調査の必要があろう」 エルレーン(ib7455)は、エリカに耳打ちをする。 「エリカさん、これって…ちょっと、あぶないおはなしかもしんない」 「そうかもね…参ったわ。こういうの、私の守備範囲じゃなさそうなんだけどなあ…」 言えている。エリカは正面からの切った張ったが好き――もとい得意ではあるが、こんな類いの問題解決については不得手に違いない。人生の多重事故ぶりを鑑みるに。 「ごくつぶしがもってきたおはなしだし、しょうがないかもしれないけど…」 妙な慰めをエルレーンがかけたところで、当のごくつぶしが発言した。 「皆さん、まさか本気で頼まれもしない余計なお世話やるおつもりですか」 そよぎ(ia9210)は、腰に両手を当て憤慨する。 「余計なお世話でも、殺されちゃった子供達にやいてあげられるのはあたし達だけじゃない? ここで帰るのもすっきりしないじゃないの」 「いえ、このまま帰っても十分すっきり出来ます僕は」 「わかったよ。このよんかいのまどからかえってロータスさん」 「ちょい待ってくださいよ、エリカさんエルレーンさんを止めてください」 「あんたはいっぺん落ちた方がいい」 兎に角一同の意見は一致している。『公爵があやしい』という一点で。 真相を究明するには情報収集をしなければならない。 しかし、よほど注意して行わなければならない。相手は大貴族であり、領主なのだ。 「じゃあ僕は公爵を引き留める役をするよ」 「私もまずジルドレ公様にお話を伺ってみます」 アリステルとマルカが話を合わせる中、もう1人の貴族であるリンスガルトは瑠杷、そよぎと相談する。 「妾は森に行こう。長居の口実を作らねばなるまい。藤波殿、ご協力願えるかな?」 「もちろんです」 「あたしは初めに子供たちのお弔いしておきますね。このままではあんまりですから」 太郎はまだ新聞を見ている。 (どうもひっかかるな…被害者の書き方…子供ばかりでこんなところに来るはずもなし、公爵が里子に出すために預かってる子達かと思ったけど…それならこういう書き方しないよなぁ…ゆくゆく現地の子になるんだから…) そして、ロータスに尋ねる。 「なあ、あんたスクラップブックとか作ってないか? この件に関する記事とか」 駄目もとで聞いてみたのだが、これが意外と当たった。 「スクラップとまではいきませんが、この最新号までのストックならありますよ。僕の部屋のどこかに」 「本当か! じゃあ見せてくれないか、それ」 そこで瑠杷が割り込んできた。 「あ、ロータスさん。働かなくていいので私たちについてきて、私たちが領地内で妙なことやっていないという証人になってくださいな」 「残念。僕今頼まれごとしましたのでね、帰りまーす」 そそくさ逃げにかかろうとしたロータスの肩を、エリカが掴む。 「待った。帰らなくていいわ。私が代わりにとって来る。あんたは心置きなく手伝いに行って」 「えー、やですよ。余計なことして目をつけられたらどうするんですか」 「なんとかなるでしょその口八丁なら。とにかくこの場合私よりあんたの方が適任なのは間違いないから」 言うが早いか部屋を出て行くエリカ。 そよぎはロータスに近づき、にこりとする。 「あたし達が牢屋にぶち込まれることになったら、あなたも問答無用で一緒よ?」 硝は支度を始める。館外における聞き込みへの。 まず手をつけるべきは市場や酒場、観光地や食事どころ。よそ者でも警戒されない場所…。 ● そよぎは目を潤ませ、革張りの椅子にかけている公爵に頼み込む。 「あたしの家は、天儀で神職に携わっているんです。だから殺害された人が魂の行き場がなくて悪いことを引き起こしてしまったりする話もよく聞くんです。それにとにかくかわいそう……。少しでいいから手を合わせたいわ」 公爵は彼女を見ていない。いらいら手にしたステッキを床に打ち付けている。 非常に機嫌が悪そうだ。 「私は帰れと言ったはずだ…貴様らには耳がないのか? 犬ほどの頭もないのか?」 アリステルは彼に調子を合わせるように、傲岸な口調で言う。 「公爵様、お腹立ちなされては体に毒ですわ。このような平民風情に」 アリステルに対しては公爵も顔を向ける。次のロータスに対しても――彼女に比して軽目な扱いだが――同様。 どうやら、相手が同様の階級にいない限り対等に扱う必要がないという考えの持ち主らしい。 「閣下、何事も形だけのことです。何分にも世間には、口さがないものが多くございますから、シュルツ嬢としても彼女らに命じ形式として追悼の意を表さぬわけにはいかないだけでして」 「その通りで――何も、公爵様のお手を煩わせることなど致しませんわ。ただ、わたくしにも面子と言うものがありますの。職務に励まぬ娘とあっては、それこそ父の顔に泥を塗ることにすら…ご理解くださいまし、公爵様。ただ、お仕事をお見逃しくださいまし。お判りでしょう?」 瑠杷は姿勢を低くして頼み込む。 「公爵様、無意味に領地を探索されるのは当然気分を害されるでしょうが、瘴気の処理は陰陽師に任せるのがいいと思います。領民を無駄な危険に晒さないためにも…それとも公爵様には陰陽師の知合いの方等いらっしゃいますか? でしたら私速やかに引き下がらせていただきますが…」 さも同情するような語調でクリステルは、首を振る。 「“お互い様”わたくしも、公爵様の御労苦はお察し致しますわ…」 そこに扉が開いて、マルカが入ってくる。 「先程は失礼を致しました。改めてご挨拶をさせて頂きますわ。マルカ・アルフォレスタと申します。現当主はわたくしの兄にあたりますの」 彼女はドレスの裾を持ち上げ片足を引き、上品な礼をした。 「先日里帰り致しましたら兄が公爵閣下の話をしておりましたの。慈善事業をなされている閣下の事を貴族の鑑と言っておりましたわ。依頼で閣下の所へ伺うと申しましたら是非お話を聞いてきて欲しいと頼まれまして。兄も閣下の事業のお手伝いをしたいようですわ」 褒め言葉というのは、どんな人間をも和ませてくれるもの。ジルドレ公も例外でなかったのだろう。最終的に森へ足を踏み入れる許可をくれた。 30分以内という制限を付けてだが。 ● 里子への斡旋は実際に行われている。土産物屋などでそれとなく聞いて回った得た感触ではそうだ。あからさまにあやしいと口にする人間はいなかった。 ひとまず慈善運動に協賛している団体については複数把握出来たので、そちらに向かう。 「ああ、その話なら私も確かに、お手伝いをさせていただいております」 急な訪問に快く応じてくれた役員に硝は、真に迫ったひそひそ声で持ちかける。 「もし可能なら、の話ですが。…健康で素直な女の子を一人、譲って頂けませんか」 「女の子、ですか? いやしかし…見た限りあなたは随分とお若いですし」 「もちろんもちろん。そういう意味の子供ではなくてですね――手駒として育てるための子供が欲しいのです。近頃五行で起こっている争乱をご存じでしょうか? 言いにくいことですがそのせいで、当方人手がいくらあっても足りない状態なのでして…」 ● 自作自演の手傷を公爵に示し「新たなアヤカシが出た!」と告げた後で、リンスガルトがまず聞いたのはこの言葉だった。 「馬鹿を言え。それは何かの間違いだ」 「いや、確かに間違いはありませぬ公爵殿。極めて素早い相手にて、取り逃がしてしもうたこと、無念でしょうがありませぬ」 何故この男いきなり否定を口から出すのか。 多大な疑問を胸にそよぎと瑠杷は、リンスガルトの援護に努める。 「ギーベリ様のおっしゃられる通りです。あたしたちも確かに瘴気を感じました」 「あれは確かにアヤカシだと思われます」 ロータスは関わりたく無さそうに一歩下がっていたが、彼女らの同行者であった以上、公爵が流してくれるはずもない。 「おい、ブルクのどら息子。お前も・本当に・何か見たのか?」 「いやそれは、見はしましたけれども」 『けれども』とかつけるな、きっちり見たと言え。 その意味を込めてロータスの足を踏んだリンスガルトは、矢継ぎ早に言う。 「アヤカシを放置し無辜の領民が死傷するが如き事態は、有徳の公爵はお望みでない筈! そもそもジルベリア帝国に於いては臣民は全て皇帝陛下の所有物、臣民の危機を見逃しては貴族として、皇帝陛下への顔向けができませぬ!」 ヒエラルキーの頂点に位置する者の名を出されると、公爵も多少考えざるを得ないらしい。唸りつつ黙り込んだ。 「新たなアヤカシの探索の許可を願います! むろん依頼ではないので無償で行いまするぞ!」 ● エルレーンは階段を上り下りし、暖炉の炭を運ぶ作業をこなしている。メイド姿で。 これだけの事件を1人で起こせる訳がないと踏んで、情報収集のため変装し舞い戻ってきたのである。 幸いこの館、常に下働きが不足ぎみな用で、すぐ採用してもらえた。 「はい、見習いぼやぼやしない。次の階行くよ!」 とはいえ下働きなので、屋敷内の細かいことにはタッチさせてもらえない。雑用が主だ。 「それ終わったら厨房で下ごしらえのヘルプに回って! 全く最近の子は根気がないんだから、つい最近も3人辞めちゃって忙しくて!」 下働きがいつかないのは人使いが粗いからではと思いつつ、ジャガイモの皮むきなどするエルレーン。 先輩方は同じように走り回っているから文句が言えない気もするが、その上の女中頭だの給仕係などがのんびり暖房のきいたところで長々談笑しているのを見ると、多少イラッとこなくもない。 でもあちこち飛びまわらされているおかげで、屋敷の間取りはざっと分かった。 (…いつか、ぜったい役に立つ) 「そこの子たち、外から薪取ってきて! ストックが足りなくなってるから! 今日は貴族のお客様が来られているんだからね!」 「あ、はーい!」 同年代くらいの子と連れ立って外に出る。よもやま話などしながら。 「たまには自分で動きゃいいのにね、お局オババ」 「本当よ。公爵様の前だと態度全然違うくせに」 「こうしゃく様って、すごくいあつかんがある方だけど…ふだんから、そんなかんじ? 私まだじかに話ししたことないからさ、きになるよ」 「話さない方がいいって。あの人怖いんだから。この間馬車降りた先に水たまりがあって靴が汚れたからって、御者の顔殴って歯折ったの」 「え…こうしゃく様って、たしかじぜん事業もされてるんだよね?」 「うん…まあ子供には優しいのかもね。よくわかんないけど」 ささいな原因で人の歯を折る人間が子供には優しいってあるだろうか。 疑わしく思っているところ、垣根の向こうから声をかけられる。 「よー、頑張ってるな」 見れば太郎だ。 「エルレーン、あれ、誰?」 「――私のおじさんだよ! おじさんどうしたのー」 とっさの方便とはいえおじさんと言われてしまい微妙な気分の太郎だったが、とにかく役は演じる。 「いや、寿司の差し入れ。みんなで食ってくれよ。ちっと冷えちまったけど」 「わあい、ありがとうおじさん!」 満面の笑顔で言ってからエルレーンは、声を潜めつけ足す。 「で、首尾は?」 「それがな…行ってみたら新聞社閉鎖されててな…関係者全員行方知れずだったんだわ…エルレーンさん、何か目新しい事は分かったか?」 「えーとね、とりあえずね、このお屋敷のごみ捨て係の人にきいたんだけどね、ゴミ捨ては週2かい、はなれた捨てばまで持っていくんだって。こうしゃく様きれいずきだから、館のちかくに捨てさせないんだって」 あやしまれるといけないから、と彼女は話を切り上げ、メイド仲間の元へ戻って行く。 太郎もまた場を離れた。聞かされた件について反芻しながら。 行く手から、硝が戻ってくるのが見えた。 「あ、硝さん。そっちはどうだった?」 彼女は頭の中で整理するだけの間を置いてから、話始める。 「…孤児を引き取って里子に出しているというのは、ある程度本当です。それらは確かに、真面目な慈善事業をしています。子供として引き取るのでなければ渡せないと、私の持ちかけた話を断ってきましたから。ただ――数の辻褄が合ってない」 「…どういうことだ?」 「私が当たった関係団体を全部集めても、今期預かられている子は10人前後しかいませんでした。あのとき馬車から降りてきた子は…それ以上にいましたよね?」 太郎は顔を引き締める。 「…いたな。窓からちらと見ただけだが、少なくとも20人以上はいた」 ● リンスガルトに、マルカが囁く。 「…全員里親が見つかったと、そういうことになっているようですが」 「それが本当ならめでたき事じゃが…」 アリステルが肩をすくめる。 「ちょっとあり得ないよね。この短期間に完売とか。というかリンスガルトちゃん、公爵が着替え見てたって本当?」 「んむ、不自然でない程度の時間じゃがな。あの目つきはいささかおかしかったと思うのじゃ」 ロータスが脇から口を挟む。 「ねえ、もうこのへんにしときません? 早く帰りたいんですけど」 「…どら息子くん、そんなことばっかり言ってると、本当に血が腐るよ?」 「もう半分くらい腐っておるかも知れんな。とりあえずこれで長居する理由は出来た。調査続行じゃ。30分ではろくに何も出来なんだでな。のう、そよぎ殿、藤波殿」 「だね。行って帰る位の時間しか本当になかったし」 「何かを隠してます、明らかに」 |