|
■オープニング本文 ●洞窟村にて いつものように窓の外を眺めて洞窟に訪れる開拓者や冒険者、旅人を眺めている村長。 ・・・・が、行方不明になりました。 ええ、本当に突然と村長の家からいなくなりました。 書置きや飲みかけのお茶などはないので、散歩かと思われていましたが、何時までたっても帰ってきません。 ばあさんが死んでからのんびり平和に過ごしていたはずなのですが、行方不明です。 ・・・・まぁ、居ても居なくてもあまり変わらないのもあるのですが、やはり捜索しないといけないので、依頼させてもらいます。 と、村長の世話をしている一人の青年が手紙を書き終え、いつものようにギルドへと送る 「さてと村長も若くないんだから、自粛して欲しいもんだよ・・・・」 ふぅとため息一つついて、部屋を見回す。 特にかわりばえのしない何時もの古臭い部屋・・・・の一室にあった大剣がない。 「いや、まさかね・・・・いや・・・・マジで?」 無骨ながらに何処か神々しい程に使いこまれた大剣がない。 いつも眺めて握らせてもらってたのだから、間違いない。 「洞窟にいったな、村長!」 そう確信し叫ぶ青年だった。 ●ギルドにて 「難儀な村人だな、本当に」 相変わらず騒動を此方に頼むのはギルドとしては繁盛していいのだが。 いかんせんのんびりしすぎではないのだろうかと思う。 「しかし、何だかんだであそこの村もにぎわってるなぁ・・・・」 しっかりと手紙の中にあった洞窟の宣伝文を眺めながら呟く。 商売根性がちゃんとしてるなぁ、と。 とは言え、人命がかかわる事。さらさらと依頼書を作成し、張り出すのであった。 |
■参加者一覧
天河 ふしぎ(ia1037)
17歳・男・シ
剣桜花(ia1851)
18歳・女・泰
アルフィール・レイオス(ib0136)
23歳・女・騎
リン・ローウェル(ib2964)
12歳・男・陰
マタタビ丸(ib3140)
19歳・女・サ
楓・蚩尤(ib3240)
20歳・女・サ |
■リプレイ本文 ●洞窟前にて 行方不明な村長を探す為にやってきた開拓者が洞窟の入り口でのんびりと中を覗いている。取りあえずどんな洞窟かを確認したので、各々準備を始める。 天河 ふしぎ(ia1037)と剣桜花(ia1851)が配布されている、第一階層の地図を貰い、他の開拓者を待ちながらまったりと話している。状況的にはのんびりする時間はないのだが、焦って先行し全滅するよりは全然マシである。 あまりにも時間をもてあましているせいか、ふしぎに桜花が改造ワンピース(超ふりふり付き)を重ねたり、ウィングワンド(魔法少女風)を持たせようとしている。 「ほら、今日こそまじかる☆ふしぎの出番ですよ」 「絶対に、絶対にやらないんだからな!」 ぷんぷん、と言う効果音が後ろに響いてそうな感じにふしぎが怒る。女の子と言われてもまったくもって違和感がないのが一番の原因だろうか。そんな言い争いをしながら他の開拓者を待つ、二人であった。 ・・・・その後ろ、怪しく蠢く音がする袋があることは桜花以外知る由もなかった。 そしてこちら、アルフィール・レイオス(ib0136)とリン・ローウェル(ib2964)。 どちらも村長のような高齢者が何で洞窟なんかに行くんだ、とぶつぶつと呟いている。どんな理由があるのか全くもって知らないのもあるが、かなり不満気味に洞窟への準備を進めている。 「しかし何を考えているんだ?ボケたのか自殺志願なのか、本当に洞窟探険に赴いたのか?なんにせよ面倒くさいな」 アルフィールがそんな事をいいながら携帯品を確認している。 その隣、リンも同じように「何を考えているんだ」と言いながら道具を揃えていくのだった。 村の露店広場と化している一角にマタタビ丸(ib3140)楓・蚩尤(ib3240)がやってくる。屋台とか珍商売の店を目的にここまでやってきたが、そもそもこんなど田舎の極所だと、やっている露店はどちらかというと冒険者向けの装備やら、洞窟探険に必要な道具を売っている露店がメインであり。 「何もないッスね・・・・」 そもそも依頼の趣旨を間違えているのだが、そこを突っ込んでいいのか楓が微妙に苦笑いを浮かべる。 「村長さんを助けるのが目的ですよ」 ほんわかしながら尻尾と耳を眺める。後で触ろう、絶対触ろう、そう思いながら、マタタビ丸を引っ張りながら洞窟のほうへと向かっていく。 ●村長探索隊 ようやくこの洞窟の中に入り込んでいく開拓者、手はずどおりに二人組みを三つ作り、最初の曲がり角で別れて捜索を開始する。 「いこうみんな、絶対村長を無事に助け出すんだ!」 と、ふしぎが意気込んで拳を突き上げる。 「ま、依頼は依頼だ。五体満足で、引きずってでもだな」 「さぁ、それでは、村の皆さんの為にも張り切っていきましょうか」 楓とアルフィールも其れに続き各々思いをいいながら洞窟へと入っていく。 少し進み、まずはふしぎと桜花のマジカルコンビが粘性のアヤカシに遭遇する。 「さぁ、ふしぎちゃ、服を溶かされて、このワンピースを着るといいですよ!」 「僕は男だっ!そんなのに絶対着替えたりしないんだからなっ!!」 そういいながら目の前のアヤカシを切りつけ、霧散させる。その後ろで桜花は期待のまなざしで援護をし続ける。戦闘能力が殆ど無い桜花を護るように立ち回るふしぎ。何だかんだで弄られるがやるときは出来る偉い子である。とは言え、それなりに暴れるわけで、それなりに服も埃塗れになっていくのも常である。全て片付き一息。 「流石にこの階層ではそうそう強敵は現れませんか」 アヤカシを突きながらふむーと言う。もう少し戦ってくれればワンピースだろう。 「何でこっちみているの?」 期待のまなざしを受けながらふしぎが「?」を頭に出しながら村長の捜索を続けるのだった。 そして此方、アルフィールとリンが洞窟の中を進んでいく。調べつくされた場所であるせいか、それほど苦戦もせずにずんずんと奥に。粘性のアヤカシも現れるが、それなりに戦いなれた二人。リンが斬撃符を投げつけ、あっさりと撃退。出現したときはそれなりに苦戦する連中であったが、此処まで来るとカモとしか言えないほどだ。 「大した相手でもないのが、面倒だ」 「確かにな」 さっくりと進みながら村長を探す。途中いくつかにアヤカシの残骸があったのを見つけたため、他の開拓者か冒険者がいる痕跡があった。 「俺達以外にも潜っているのがいるのか」 しっかりと上から叩き潰すように攻撃を食らわせている辺り、結構な熟練者だろう。 「ま、僕達が見つける前に村長を見つけてくれれば楽なんだけど」 そういいながら探索を続けるのだった。 最後の一組、獣人組がのんびりと洞窟探索をしていく。 マタタビ丸は目的のものが無くてしょんぼりとしながら、歩いている。その後ろで楓が声をあげながら村長を探している。と、同時に耳と尻尾が気になってしょうがない (あぁ、すごく、さわりたい・・・・) 手をわきわきと動かしながら触りたい衝動と戦いながら先に進んでいく。 と、それなりに歩いていると一つの装飾品が転がっているのを見つける。 アヤカシが持ってきたのだろうか、転がってきたのかは分からないが年季の入ったちょっと古めかしいペンダントだ。 「なんッスか、これ」 取りあえず拾い上げて、腰にぶら下げておく。きっと誰かの忘れ物だろうと言うぐらいの認識で。 「誰のかの落し物、の割には年季がはいっていますねぇ」 じーっと二人して見つめていると、奥のほうからひょこひょこと歩いてくる人物が一人。大剣を持った村長があるいてくる。 「お、そのペンダント、どこでみつけたかね?」 ずりずりと引きずっている大剣を置いて寄ってくる。何とも懐かしい顔でそれを取ると、あっさりと懐にしまう。 「ばあさんの形見でな、洞窟に落としてしまったのじゃよ」 ふぅっと一息ついて手をとりぶんぶんと振るう。 額に何も書いてないからきっときれいな村長だとマタタビ丸が思っている隣で、ブブセラを吹き、合流の合図を流す。 ・・・・数分して、他の開拓者も一同集まり、安堵の息を漏らす。 「やっと村長を見つけたんだね!」 ボロボロになっているふしぎとじっと服を見つめている桜花。 やっとか、と言う感じにアルフィールとリン。 そうしていると、ブブセラの音に反応してわらわらとアヤカシがやってくる。 流石に第一階層全体からやってきた量となるとかなりの数だ。 村長を囲んで皆が臨戦体勢に入ると、村長も大剣を構える。 到底もてないだろうと思っていたのだが、しっかりとした構えでアヤカシを見据える。 「村長、無理しないでくださいよー」 桜花がのんびりと戦況を確認しながら釘を刺す。 が、たまにはハッスルするのもいいじゃないかといいながら戦列に加わる。 飛んでくる粘性アヤカシを大剣の腹を使って粉砕。 分裂させる暇さえ与えない一撃に開拓者一同ぽかんと口をあける。動きはとっても遅いので微妙であるが。 やっぱりか、と言う感じにアヤカシを手早く片付け始める開拓者達 数はおおけれど、所詮雑魚は雑魚・・・・瞬く間に粉砕されていくのだった。 全て終わり、流石に無茶のする村長に。 「村長よ。長生きをしたければもう少し大人しくしておけ、村の皆が『心配だ』と騒いでいたぞ・・・・そのせいで僕は仮眠を取る予定だったのが台無しだ」 と、悪態気味に村長にリンが言う。 「ほっほ、若造が言うわい・・・・だったら来なければ良かったじゃろう?」 村長が悪態を聞き流しながら開拓者へとついていく。 そうしてやっとの事で、洞窟を脱出するのだった。 ●全て終わり 村長が大剣を肩に担ぎながら村にへと満足そうに開拓者に連れられて戻ってくる。 目的であった形見を取り返し、念願の洞窟探険も出来て万々歳らしい。 しかし、洞窟内で起きた村長の本領は村人には信用されなかった。 どうしても信憑性が薄いのと、いつもひょうひょうとしているせいだろう。 取りあえず村人と開拓者一同に「無理するな!」と釘を刺される村長であった ・・・・そんな中・・・桜花が一人、洞窟の前に立つと、腰に下げてあった例の怪しい蠢く袋を取り出す。がさがさっ!がさがさっ!と、ある意味ではこの世の最強生物を解き放つべく、そこにいる。きょろきょろと辺りを見回してほっと一息。今ならやれる。止めるものも、旦那もいない、ならやればいいじゃない。そんな囁きが聞こえてくる。丁寧に袋の口をあけ、洞窟へと傾ける。カサカサと黒い小さな楕円型の生物がわらわらと洞窟へと消え。 「立派な、巨大G様になるんですよ」 子供を見送る母親のように目尻に涙を浮かべながら手をふる。 ・・・・その後、この洞窟に一匹の最強生物が君臨するのはもう少し後の話。 |