不思議洞穴【第三階層】
マスター名：如月 春
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| ■オープニング本文 前回のリプレイを見る ●洞窟村にて 何時ものように賑わいを見せる村。 あまりの盛況ぶりから洞窟村といわれるほどに、有名になりつつある。 「にぎわうのはいいことじゃ‥‥」 前よりもにこやかになっている村長が窓の外を眺めながら呟く。 洞窟が出来てからどうなる事かと思っていたが、かなりよい方向へ向かっている。 スルーされるだけのこの村も安定した生活を送れるようになったのも洞窟のお陰だ。 ‥‥そしてそんな洞窟に一つの起点と言うべき大きな問題が。 村長にしてみればいつか起こるだろうと思われていた問題だ。 「ほっほ‥‥洞窟にはつき物じゃなぁ‥‥」 どうやら大型のアヤカシが道を塞いでいるという。 そしてその後ろには第四階層への階段。 「おんぶに抱っこだが、何時もの様に手紙を出すとするかのぅ」 焦ってるよりは楽しそうに手紙を書き始めるのだった。 ●ギルドにて 何時ものように何時もの商隊から夢へ手紙が送られる。 何だかんだで頼りにされてるのか、殆ど直送だ。 「さて、大型アヤカシか‥‥龍とかだと面白いのだがなぁ」 毎度お馴染みに机に脚を上げて未記入の依頼書と休暇届を隣に出しておく。 そして手紙を楽しそうに読み進めていく。 「なるほど、そろそろ深部に近づいてきたということかな」 癖なのか、短剣をくるくると回しながら手紙をすっと机に置く。 「私もいい加減、本腰を入れないとな」 すっと上に短剣を放り上げ、そのまま自然落下。 腰のホルスターにシャキっと仕舞われると同時に依頼書を作成するのであった。 |
■参加者一覧
ルーシア・ホジスン（ia0796）13歳・女・サ 
ロウザ（ia1065）16歳・女・サ 
玲璃（ia1114）17歳・男・吟 
ペケ（ia5365）18歳・女・シ 
朱麓（ia8390）23歳・女・泰 
オラース・カノーヴァ（ib0141）29歳・男・魔 
ロック・Ｊ・グリフィス（ib0293）25歳・男・騎 
ユーフォリア・ウォルグ（ib1396）16歳・女・騎 |
| ■リプレイ本文 ●洞窟前の恒例行事 いつもの様に、そしていつも通りに洞窟の前で一息ついている開拓者達。 相変わらずの村長も一緒にお茶を飲みながら座っている。 今回は大型のアヤカシというだけあって、各々がいつもよりも真剣な目つきで一つずつ、道具袋の中身を確認していく。あれが無いだの、これがあるだのとわいわい言っているのは、傍目から見れば遠足の準備にも思えてしまうのは不思議なものだ。 「ほっほ、相変わらずですな」 ぺちらぺちらと村長の禿頭を叩いているロウザ（ia1065）が頭に「？」のマークを出しながら鼻息荒く「ろうざ つおい せんし！ まかせる！」と言っている。そんな事をしていると、前にあった別の冒険者達を見つけそちらの方へと走っていく。相変わらずの元気っぷりにちょっとしたアイドルになっているのは別のお話。 そんな光景を、此方も相変わらずと言った感じで眺めてるルーシア・ホジスン（ia0796）が荒縄を撒きなおし、腰の方へマウントする。それなりに長く多少重いが罠のことや利便性を考えれば妥当なところだろう。 「相変わらずの面子で調子・・・・これならアヤカシもあっという間かもしれませんね」 今度はどんな宝かなぁ、と夢見ながら準備を進めていく。 そして此方、ロック・J・グリフィス（ib0293）とユーフォリア・ウォルグ（ib1396）が相変わらずの仲の良さで洞窟前で「えいえいおー」と意気込んでいる。 「この洞窟に潜るのも四回目・・・・今回もガッツリいきますよ！」 右腕を突き上げてうおー！と言っているその隣でロックが的確にツッコミを入れる。 「ユー嬢、今回は三回目だ」 その一言で固まるユーフォリア。ゆっくりとロックを見据えると、「細かい事はきにしない！うむ！」とびしぃっと指を突きつけて叫ぶ。相変わらずだ。 その反対側では玲璃（ia1114）とオーラス・カノーヴァ（ib0141）がお互いの手帳に交換した情報を書き込んでいる。前回と前々回いなかった者同士、色々と新しいものを知るのはいい事だ、そんな風にお互い思っているのか、相手と自分の手帳をしきりにみながら呟いている。 「最初の階は・・・・なるほど・・・・」 一度報告書には書き記された事だが、玲璃はしっかりと聞きながら手帳に書き記す。 オーラスは手帳を渡すと、他の開拓者へと聞き込みをする。が、それを調べるのが依頼だろう？と殆ど有用な事は聞けない、これも相変わらずだ。 そして褌を締めなおしていたペケ（ia5365）が道具を確認しながらちょっとため息、大型アヤカシの事を考えるとちょっと気持ちが下向きになる。 「私、戦闘向きのシノビじゃないのですよ〜」 しょんぼりと差し入れのおにぎりを頬張りながら、自前の塩を振りかけてはむはむと食べながらどうしようかなーと言っている。 そして、今回も来るであろう相手の事を考えている朱麓（ia8390）。しかし、はっきり言えば証拠は何一つない「女性である」と言うのだけであり、煙管の紫煙の香りがあったと言え、本当に吸っていたのかどうかが無い。此方もどうするかね・・・・と呟いている。 「では、今回もよろしくお願いするのう」 こちらものんびりと手を振り見送る村長。各々、手を振りながら洞窟へ潜っていく。 ・・・・と、遅れて一人果物やら沢山抱えたロウザが必死についていくのだった。 ●第三階層 既に歩き飽きたというぐらいの速さで第一、第二階層を突っ切ると未知の領域、第三階層へと足を踏み入れる。第三階層は第一階層と同じようなレンガ造りのきっちりとした通路が真っ直ぐに伸びている。 だが、足元をしっかりと見ると、とても緩やかに下に向かって坂になっている。わき道に反れたとしても中心に向かって緩やかに坂だ、本格的に深部へと向かっている、そんな気がどんどんと膨れ上がっていく。 どれほど通路を歩いてきただろうか、道中罠を確認しながら先に進んでいると、二階層への階段をもう一つ見つける。一同が頭に捻り考えながら一応調査と言う事で上がっていくと道が塞がっている。 「これ、別のところから繋がっているって事かな」 ルーシアが三階層に戻り、ぽつりと呟く。 確かに中心に向かって緩やかにだが坂になっている。周りをぐるりと回るように洞窟も構成されている。つまり本格的に深部に向かっているわけだ。 「中々、興味深い場所ですね・・・・」 玲璃がその事を手帳に素早く書き記していく。瘴索結界も常に張り続けているため、ピリピリとしている。が、先程から反応は殆どない。罠、アヤカシ全てにおいて中心のみに集中しているような感じだ。 ロウザも先程から奥の方が気になって何度も振り向いたりしている。 「ううー！ おく なにか おおきいの いる！」 「結局奥にいかないと何も解決しないわけですね！」 ユーフォリアがうんうんと妙に納得した様子で歩みを進めていく。 その隣をロックも歩きながら。 「全く、ユー嬢の言った通りだな」 と、横並びで奥へと向かう。 「・・・・ま、奥へいくとするかね」 煙管を一息吸い込み、吸うのをやめる朱麓。ぎりっと槍の柄を握り締め、臨戦態勢に。 「罠がないと暇ですねぇ」 おにぎりを頬張りながらペケが通路を見やる。ちょっと気乗りはしないが、しっかりと腹も満たして、腕まくり、褌を締めなおしていつでも動けるようにしているのは流石といえる。 後ろでマッピングをしているオーラスも中心に向かっているのを感じ取る。目の前でマップを作成しているのもあって嫌でも分かる。正直言えば、マッピングする必要があまりない。円形に通路があり、部屋も数個あったがどれも規則性があるため、少し歩けば把握できる。これも深部へ道のためだろう。 ●遭遇すべきは ついに深部へとたどり着く開拓者、そして目の前に広がるのは、円形のドーム型になった部屋、そして奥には階段がちらりと見える・・・・が、その目の前には大型のアヤカシ。 四足歩行で前の二本足が以上に発達しており、蜥蜴か龍のような体と顔をしている。後ろのほうを見れば、長い尻尾、先端は棘が仕込まれているような形状をしている。なんにせよ、凶暴であるのには変わりないのがひしひしと伝わる。 全員が臨戦態勢に入ると同時に咆哮するアヤカシ。ビリビリと空気が振動し、衝撃が起こるほどだ。 「皆としては親玉がこういう感じの龍がいいんだろうね、あたしはもっとこう人型に近いのが良いなぁ」 朱麓が苦笑いを浮かべながら槍を構えてアヤカシへと走り始める。取りあえず相手への先制攻撃として炎魂縛弐を発動し、四肢を斬り込むべく走る。それと同時にペケとルーシア、ロウザも前に出て相手の攻撃を後衛に流さないように気をつけながら動き始める。 後衛側、玲璃とオーラス、その前にはユーフォリアとロックが構えて壁をし、後ろでは手早く神楽舞「速」を皆にかけ始めるべく、舞い始める。その隣ではオーラスが隙を見つけるべく前に出ながら、詠唱を始める。 ペケが粘性なアヤカシ用に持ってきた塩をぱっぱと振りかけ、「しお、ひつようなかったー」とのほほんといいながら華麗に攻撃を避け続ける。が、見ていてあぶなっかしい。のはしょうがないだろう。 大きく右腕を振り下ろし、地面をえぐる攻撃をペケが避けると同時にその後ろからロウザが飛び出して斧を片手に回転斬り 「だい！ かい！ てん！」 野生児の本領発揮か、槍を構えて大きく跳躍、縦に回転しながらアヤカシへと突っ込んでいく。まさしくロウザらしい攻撃である。目の前、アヤカシの頭の辺りに狙いを定めて、回転力をそのまま全て槍に込め、一撃。柄が弓なりに湾曲するほど思い切り叩き付けたのもあり、結果地面へと叩き付ける形になり、動きを止める。 「流石ロウザ！」 素早く抜刀し、ルーシアが素早い斬撃を何度も繰り出す、隼人の使用によっていつもより数段に早くなっているのもあり、アヤカシの体に傷が付き始める。強打も織り交ぜ、何度も刀を叩き付けるように当てていく。 「私も気張らないとね！」 朱麓が炎魂縛弐をまとわせた槍を思い切り突き、一撃を狙う。「メキッ」と言う骨の音が響くのが確かに聞こえるほどの攻撃、しっかりとアヤカシの体に突き刺さり瘴気を溢れさせる。 と、その途中にアヤカシも態勢を立て直し、横に一回転。接近していたロウザ、ルーシア、朱麓が大きく吹き飛ばされ、転がっていく。そして後衛の方へと敵対心を向けて、一気に突撃していく。 咆哮を上げながら突撃してくるアヤカシを見据えてユーフォリアが後ろを見る。玲璃はふっとされた前衛の回復、舞いによって殆ど動けず、オーラスはと言うと突撃を避けて魔法を撃とうしているため詠唱中。 「どうしますか！」 「ユー嬢、王様はこういうとき盾になるもんだ」 と、横に並ぶと、いつものキザな感じではなく、覚悟を決めた男の顔つきで並ぶ。 「おぉ、そうでしたか・・・・では、王様根性ォォォォォ！」 真正面から来るアヤカシに対して後ろを守る為に、剣を構えて防御。その隣ではロックも同じように防御姿勢をとり、突撃を止める。が、衝撃はやはり凄い物で大きく足跡をつけながらもアヤカシの動きを止める。 ユーフォリアがまともに突撃を受けた為、防御姿勢で硬直。手が痺れてまともに動けないところで、ロックが動く。 「もらったぁ！オーバードライブインストール・・・・ユニコーンヘッドアタックッ！」 そう声を上げながら白薔薇を正眼に構えて突き上げるようにアヤカシの頭を跳ね上げる。 強烈な頭への一撃、そこへさらに追撃をかけるようにオーラスがアークブラストを放つ。 が、見誤った。 隙が出来たと思い前にでて真正面での一撃、アヤカシは跳ね上がった頭をそのまま下ろすと同時に火球を放つ。 「ちぃっ！」 ブリザーストームで威力を落とし、直撃。 大きく跳ね飛ばされ、入り口付近までごろごろと転がっていく。 「くっ、消費が激しいですね」 玲璃が脂汗を垂らしながら、素早く回復を続ける。これほどの猛攻を一人でどうにかしているのは流石だろう。 そしてアヤカシ、様々な攻撃を受けながらも、自らの攻撃を休める気はない。大きく咆哮、ユーフォリア、ロック、玲璃も大きく吹き飛ばされ、中央にアヤカシ、その周りに開拓者という布陣になる。が・・・・。 「ろうざ！ がんばる！」 「そのとおりさねぇ」 「勿論！お宝もありますし」 「がんばりますよ〜」 「王様根性ォー！」 「俺も王様根性に便乗しよう！」 「めんどくさい相手だな」 「頑張りませんとね」 一同がそう声を上げると、口角を上げて笑いながら戦闘を続けるのだった。 ●最後の一撃 既に全員が慢心創意、しかしアヤカシもかなりの痛手を負っている。 最後の一撃、どちらも其れを理解しているのかしっかりと武器を握り締めると同時に咆哮が襲う。 「頂きます！」 素早く懐にもぐりこみ、一気に顎下から刀を突き上げるルーシア。 瘴気を吹き出しながら口から溢れる炎。ぐっと力を込めてさらに上顎を貫き口を封じる。と同時に大きく首を振り、その反動で鞠の様に転がっていく。 「かはっ！」 一度地面にたたきつけられ肺から全ての息が出て行くのを感じる。が、手ごたえは十分。 「大丈夫ですか？」 二度目に地面にたたきつけられる前にペケがルーシアを抱き、一緒に転がる。きっと助けなければばらばらになりかねなかっただろう。 刀を振りぬこうと暴れまわるアヤカシ、その動きも次第に鈍くなると大きく咆哮。 「まだまだぁ！」 ロックが白薔薇を構えてもう一度頭を跳ね上げ、後退。 後ろから闘争本能全開のロウザが先程の回転斬りを使いながらアヤカシへと突っ込んでいく。既に認識できるほどの声ではなく、アヤカシの咆哮とも言えるぐらいだ 跳ね上げられた頭へ地面に叩き付ける一撃。人間なら確実に死んでいるだろう。 「これで止めだ！」 残りの練力をつぎ込んだ、オーラスの最後のアークブラスト。 轟音と雷鳴を鳴り響かせながら炸裂。 そしてゆったりと倒れていく。 全員が全員、肩で息をしたり薬草や水を飲みながらゆっくりとアヤカシが瘴気と化していくのを眺めていく。そして瘴気が全て霧散し、落下する刀と一つの塊。松明の光を受けて輝くそれはまさしく黄金そのものだ。思いも寄らぬ収穫に一同の頬も緩むのも仕方が無い。 ・・・・そんな中、朱麓が一人で上の階層へと戻ってくる。 因縁と言うべきだろうか、その相手へとボロボロの体を引きずりながらも対峙する。 「やっぱり、あんた来ていたんだ・・・・」 横っ腹を押さえながら、話を続ける。 「あんたくらいの力量なら、もっと別の場所で活躍できそうなのに勿体ない」 だが。何も言わない。 「もし、足りないんだったらうちの店に来な。大した歓迎は出来ないが退屈にはさせんつもりさ」 と、一枚のちらし「奇抜な問題も随時解決！万屋 朱麓組」と書かれたのを取り出すが。 「勘違いしているようだな、私は好きな事をしている、刺激とか問題じゃないんだよ」 相手から薬草を投げ渡され慌ててそれを取る。 「と、最後にいい事を教えてやる、私は洞窟も煙管も好きだが、好きなことは一つしかやらないんだ」 ぱっと、チラシを受け取り、ぱたぱたと来た道を引き返していく。 「やっぱ、あんた面白いわ」 朱麓も満足気に笑い、見送るのだった。 ●全て片付き 全員ボロボロになり、足やらなにやらを引きずりながらやっとの思いで帰還する。 大型アヤカシを撃退したときから、第三階層に小型のアヤカシがわらわらと沸き始めてきたが、それを無視しすぐさま第二階層へと戻ったのは正解であった。丁度第二階層にいたほかの冒険者、ロウザの知り合いが丁度いたのも幸いであり、応急手当を受け、さらには護衛すらしてくれたのだった。 「どうやら、かなりの大物じゃったのう・・・・」 のんびりと村長が薬を片手に言う、のんびり手当てを手伝いながら昔話をし始める。昔どんな事をしていたとか、冒険の話を聞かされる。が、それが功をきしたのか開拓者は其れを聞きながら深い眠りに付き始める。 |
