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■オープニング本文 ●とある平原にて ジライヤ持ちの開拓者が数名。 土偶もちの開拓者が数名。 両者にらみ合って火花を散らす。 今にも飛び出そうなくらいに互いに牽制しあいながら膠着状態が続いている。 援軍でもある開拓者を待ちながら互いに持っている獲物をぎらつかせ。 ●事の発端 数日前、酒場で数人の開拓者が飲んでいる。 どこにでもいるような開拓者がだ。 「そういや、最近相棒が可愛くてよぉ」 「お前の相棒、何だっけ?」 「ジライヤよジライヤ、なかなか可愛くていいんだよ」 「ジライヤかよ、やっぱ土偶だろ土偶、あのずっしりした感じがたまらない」 一人がそんなことをいいながらくっと酒を飲みなおす。 土偶のほうがいい、そんな事を言われて黙っているわけにはいかない。 「土偶だ?あんなでかぶつよりジライヤの方が渋くていいだろ、王道だよ王道」 「ジライヤだ?あんな薄らでかく気味悪い奴を誰が好き好んで使うんだよタコが」 ガタッと立ち上がりおでこを擦り付けながらにらみ合いを始める。 あ?あ?と言いながらガンを飛ばしまくる。 「てめぇ、俺のジライヤに文句があるってか?」 「俺の土偶にもんくがあるってのか?」 自分の獲物を今にも抜き放ちそうな勢いで同時に叫ぶ。 『貴様の相棒なんぞ俺の相棒が捻り潰してくれる!』 と、酒場の狭苦しいところにジライヤと土偶がやってきて乱闘騒ぎ。 机はぶっ壊すわ椅子は吹っ飛ぶわ。 とりあえずギルドの方に一日正座待機の刑を食らったのだが何度も乱闘騒ぎを起こす始末。 「分かった、誰が一番強いのか分かればいいんだろ!」 開拓者の面倒を見ていた夢が依頼書を作り張り出す。 ――ジライヤと土偶どっちが強いのか証明しろと ●時は戻り にらみ合っている間に夢といつもの港関係者が入り込む。 「いいか、ルールは相手が倒れるまで殴りぬけることだ、最後に立ってたやつが勝利、仲間内だからって手抜くなよ」 「負傷した場合の処置は私達が、いやぁ中々こういうことは出来ませんからねぇ」 さらさらとルールを読み上げていく夢。 「じゃ、他の参加者が来るまで闘志を滾らせておく事、いいな」 残りの参加者八人を待ちながら第一次蛙土偶大戦が勃発したのだった。 |
■参加者一覧
川那辺 由愛(ia0068)
24歳・女・陰
シュラハトリア・M(ia0352)
10歳・女・陰
巴 渓(ia1334)
25歳・女・泰
喪越(ia1670)
33歳・男・陰
アルネイス(ia6104)
15歳・女・陰
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
朱麓(ia8390)
23歳・女・泰
ルンルン・パムポップン(ib0234)
17歳・女・シ |
■リプレイ本文 ●第一次ガマドク大戦 各々開拓者八名と以下十数名の無名開拓者達がジライヤと土偶をそれぞれ従えてにらみ合いを続けている。それを眺めている反対側でいつものように解説席に港の関係者と夢が座りながらルールの説明を始める。 「流血沙汰は色々問題があるので、一定以下の体力及び練力になったらそこで失格、最後まで立っていたのが勝利です。賞品やら賞金はないですが名誉やらはもらえるんじゃないでしょうか?」 と、まぁいまいち腑に落ちないのだが、あちこちで俺の土偶が強いだの私のジライヤが最強だのと言っている。何時でも何処でもやってやるという雰囲気がひしひしと感じられる。 「じゃあ、何時もどおり解説は私と」 「ギルド嬢の夢でーす」 棒読みで肘を付きながらゴング片手に。 「んじゃ、さっそくやってちょーだい」 カーンと高らかにゴングが当たりにいい音を鳴らすと同時に戦闘が始まった。 ●戦闘開始 「久しぶりだからいい機会よね、この際思う存分楽しませてもらうわ」 ピッと懐から符を一枚取り出して言葉を紡ぎながら親指を噛み、血で一書きすると同時に召還。 『ぐへぇ、久しぶりですねぇ由愛様ぁ』 中年親父のような感じのジライヤ、神薙を召還する川那辺 由愛(ia0068)、満足気に目の前にいる友人に目を合わせる。 「んふふ、由愛おねぇちゃんだぁ、たのしもぉねぇ」 甘ったるく妖艶にシュラハトリア・M(ia0352)と彼女の土偶、ナハトゥスが対峙する。 『遠慮なくやらせて貰いましょ』 デーモンズソードと軍配を持ちながらずしずしと前に出て行く。 「頑張ってねぇ、ナハトゥスぅ」 『合点』 ナハトゥスが上段にデーモンズソードを構えて接近、豪快に風を切りながら神薙の頭をかち割るように振り下ろされる。それを装備している爆裂爪で受け、火花を散らしながら横に逸らしつつ、烈火の牙での攻撃。咄嗟に軍配を前に掲げて防御するが一撃の重さに軽く踏鞴を踏む。 『ぐへへ‥‥久しぶりで加減ができねぇなぁ』 ゆらゆらと爪を前に突き出すように構えながら出方を伺う。 『エロ蛙のわりにはやりますなぁ‥‥』 下段に切り替えて踏みつけ攻撃からの接近、そして振り上げ。それを爪で防御すると同時に軍配での平打ち。視界を塞ぐようにばしんと心地よい音が響き、神薙が一瞬怯む。 『隙ありどすなぁ』 身を捻るように腕を上げて爪から滑り上げるようにデーモンズソードを振り上げる。心地よい斬撃音と同時に飛び上がり後退。 『ぐへ、由愛様ぁ、強いですねぇ相手』 「そうねぇ、もうちょっと本気で攻めてあげなさい」 にんまりと神薙が笑いながら蝦蟇の油を傷口に塗りたくる。準備運動は済ませたと言った感じだ。 「結構ぉ、やるねぇ」 『エロ蛙のわりはなかなかどすなぁ』 同じくナハトゥスも獲物を構えなおすともう一度接近戦をしなおす。デーモンズソードと爆裂爪が打ち合い何度も火花を散らしながら金属の打ち合う独特な音をあたりに響かせる。流石に体格差が出ているのかナハトゥスが押されて、所々パーツが飛び散り始めた。――最中にシュラハがお尻やら胸やら強調しながら誘惑を始める。そうすると、案の定バシバシと軍配の攻撃が神薙に当たりまくるのだが、本人はそんなことよりも。 『お、おぉ!?シュ、シュラハ、あっしと熱く、絡みつくような‥‥』 「前を向け、この助平!ほら、攻撃攻撃!」 攻撃そっちのけでシュラハを見続けているので信じられないぐらいボロボロになっていく。 『余所見にも程がありますなぁ』 そこから顎下から突き上げてそのまま打ち下ろし、ぐりぐりと地面に這い蹲る姿勢にするがエロの力は偉大なものです。ひたひたとシュラハのほうへ這っていく。 「くぉらぁ!何をしている!」 神薙の上に川那辺がのっかるとすぐさま神薙を符に戻してぽすんと尻餅。ふぅと一息付くとシュラハがすすすと近づき。 「んふふぅ‥‥」 なんだか怪しい手つきで川那辺を捕まえると一緒に消えていく。 『まったく‥‥』 そんな光景を見ながらナハトゥスが勝鬨を上げていた。 此方では甘味を頬張りながら夢と一緒に解説席でまったりと観戦しているのが一人、朱麓(ia8390)が自分の土偶である月ヶ峰 梨瑚が頑張っているのを眺めている。 「いやぁ、皆頑張るねぇ、私はのんびり実況でも‥‥はもはも」 夢の用意していた甘味を横から摘み食いしながら月ヶ峰がそこ等のジライヤと土偶を蹴散らしているのをまったりと眺めて笑っている。 「しかし、あっちの土偶はまた梨瑚とは違うねぇ、女王様ってやつかな」 金髪ツインのドリルを眺めながらけらけらと、これほど高みの見物が楽しいものもないのだが‥‥と笑っていると向こう側から周囲の相棒が吹き飛び異様な気配を発しながら雲母(ia6295)とマスターがずしずしと迫り来る。 「お客さんのようだぞ?」 「あはは、どうしよっか」 夢が煙管を揺らしながら隣で甘味を頬張る朱麓に尋ねる。とりあえずマスターの目の前に月ヶ峰が立ち塞がり、獲物を構える。 「なぁ、マスター、勝てると思うか?」 『わかりませんねぇ、でもマスターは強いですよ」 ぐっとアーマーランスを持ち上げてのしのしと近づいていく。月ヶ峰の獣刀とアーマーランスの先端が重なり合う。と、同時に戦闘が始まる。捻りを加えながらアーマーランスが月ヶ峰を貫くような一撃をお見舞いする。流石に開幕一撃なだけ軽く肩を掠めながら素早く後退し、獣刀を構えなおして向き直る。 『うふふふ、速いですねぇ‥‥笑うところ間違えましたか?』 「いや、あってるぞ」 そういいながら雲母が後ろから弓での援護を始める。 『くっ、流石に厳しいですね』 飛んでくる矢をなんとか防御しながら朱麓のほうへと近づいていく。朱麓とは言うと甘味を摘みながら未だにケラケラ笑っている。と、そこに月ヶ峰がむんずと朱麓を掴み。 「こらぁ!主を盾にするとか正気!?」 と、言っていると流石に先端は潰れているが雲母の矢がびしばしと朱麓に当たりまくる。 「ちょ、いたっ!あんた、手加減くらいしなさいよ!」 「残念だ、あんなに簡単な的にされるとは‥‥せめて本気で葬ってやろう」 ギチギチといわんばかりに三日月に口元が笑うと月涙が盾(朱麓)に思い切り放たれる。まぁ、確実に直撃するわけで、みぞおちに入って思い切り咽始める。 『体を張って、とても優しい主です』 「ちょ、冗談じゃ、ないよ‥‥」 びしびしくら(わせ)いながら前進し、マスターの前までくると朱麓を投げ捨て獣刀での一撃、かつーんと独特な音を発しながらばしばしと頭へと攻撃を当てていく。とは言え、マスターもそれなりに戦場を渡っているだけあるのか、隙あらばアーマーランスの反撃が飛んでくる。冷や冷やしながらも刀と槍の応酬を何度も何度も繰り返す。うまく刀の反りにあわせながらアーマーランスの先端を逸らしたり、円錐状になった部分で刀の軌道を逸らすなど、並みの人間でも早々出来ない事をやりながらマスターと月ヶ峰が打ち合いを続けていく。 『うふふ、たのしいですねー』 姿勢を低くして一気に突撃。抉るように月ヶ峰の腹部を貫き、決着。月ヶ峰がごろごろと転がりつつ朱麓の上にのしかかる。実況席で楽をしようとした罰なのか踏んだり蹴ったりだ。 「大人しく甘味でも食べるかねぇ?」 じたばたとしている朱麓の口元に団子を差し出す夢。 「それがいいさねぇ‥‥はむはむ」 と、言いながら団子を食べつつ、月ヶ峰と一緒に観戦に回るのだった。 そんな光景を遠巻きに見つめるのが二人、喪越(ia1670)とジュリエット。 「いやぁ、美しいセニョリータの匂いをかぎ付けて此処に着てみればこの有様!」 『下々の人間にしては整ったお顔立ちかもしれませんわね。ですがワタクシの真の美しさに比べたら足元にも及びませんわッ!』 オーッホホホホ!と笑い声を上げながらあたりを見回して、冷静になり。 『ところでモコス、何でこんなに蛙が多いのです?ワタクシが蛙が苦手なのを知っての嫌がらせですか!?‥‥はっ、それともこんなところからワタクシを救って下さる白馬の王子様が現れるのでしょうか!?』 喪越も少々頭を抱えつつ、ちくたくちくたくと考え始める。そうして数十秒、ちーんと言う擬音が鳴ったと思うと手を叩く。 「つまるところ、この状況で生き残れば勝ちなんだよな」 『つまり?』 「逃げるんだよぉーッ!」 と、いいながら手と足をぐるぐる回してるようにぴゅーっと逃げ始める。 『とても美しくないですわ!』 そういいながらもしっかりと後ろの方についていくジュリエット。 「じゃあ戦うか?」 高速で吹っ飛ぶんじゃないかというぐらいに首を横に回しながら拒否する。戦うと汚れてしまうではないですか、と言う奴だ。 『そんな、私は白馬の王子様と出会うと言う高貴な宿命があるのに‥‥はっ、逃げるワタクシを追う王子様も中々いいんではなくて!?』 妄想をしながらしっかりと逃げ続けているのはさすがというところだろう。と、丁度朱麓と夢が実況席で甘味を食べているところに喪越の目が光る。 「いつぞやのリベンジぃ!GO!藤吉朗!」 えろい目つきと涎口のまんま夢のほうに飛んでいくと、ばっさり夢に切り捨てられる。半年前くらいにもこんな光景があったようなきもしないが。 「NO〜!!藤吉朗〜!!」 この台詞も前に聞いたような気もする。しかし今回はめげない喪越、男性陣からの応援を背にさらに責めていく。錆壊符を夢に向けて投げつけ、全天義の英雄に俺はなる!と言わんばかりに何枚も符を投げつけていくのだが、これをたくみに避け、被害が合うのは港の関係者のムキムキのマッチョマンだけ。「あぁん」とかいいながらモリモリ筋肉を動かしている。 「野郎の裸より女子の裸なんだYO!」 膝を付いて練力の限りを尽くした男が此処に一人、群がるはムキムキマッチョマン。真っ白に燃え尽きたその姿に感動した男は多いという。そしてその後この対戦が終わるまで彼を見たものはいなかったという。そしてジュリエットとは言うとひたすら逃げ続け、涙を流している。悲劇のヒロイン状態なので問題はないと言う事。とか、いいながら雲母のマスターとぶつかって運命的な出会いをしたとか、どうとかもあったり、なんだか大変だったと言うのも別のお話。 そして此方では巴 渓(ia1334)とアルネイス(ia6104)、ルンルン・パムポップン(ib0234)が対峙をしている。既にアルネイスはムロンを召還済み。まったりしている感じではあるが、並みのジライヤ以上に強いのは確かだ。ルンルンはお花の特製ステッキをくるくるとまわしながら煙遁用の玉を人差し指と中指、中指と薬指で挟んで消したり出したりとしている。巴もその少し離れた場所で二人をメタルと共に見ている。 『中々強そうなのだ、でもムロンより弱そうなのだ』 むふふ、と笑いながら臨戦態勢に。 「ルンルン忍法大ガマパックン、口寄せの術‥‥ドロンドロン、なんだからっ!」 煙遁を使い辺りに煙を撒き散らしながら巻物を使ってニンニンしながらパックンちゃんをドロンと召還。全員相棒を従えた状態で開戦と行く。 「ムロンちゃん、いくですよー!」 きゃーといいそうな目をしながら指示を飛ばすアルネイス、信頼の証か、後ろについて殆どムロン任せだ。 「こっちもいくとするか」 巴のメタルも動き始め、のそのそと前に出て行く。勿論ルンルンのパックンちゃんも煙から現れると蝦蟇見得を使い、いきなり牽制しつつ。 「パックンちゃん、大登場!」 と、ルンルンの声と共に早速メタルのほうへとふみつけを繰り出す。と、何とか其れを回避し、距離を取っているところにムロンがのそのそと切り込んでいく。獣大剣「岩砕」が唸りを上げて地面を陥没させる。ギリギリで攻撃を避けたところをメタルが攻撃を繰り出すのだが、蝦蟇見得の効果と頭突きメインの頭鉄鋼と重量差が攻撃をいまいち当たらない。あまりに重過ぎるのも考え物だと言う事だ。 「とっととやっつけるですよ〜」 アルネイスがそういいながらムロンに指示を出すと大きく頬を膨らませて蝦蟇油炎弾を放つ。召還者であるアルネイスのおかげか炎の大きさも通常の倍近くにふくらみあたりを火の海にするほどだ。パックンちゃんは横っ飛びをしつつ其れを回避しながら回り込む機動を、メタルは炎の中を突っ切り、何とかしのいでいる物の巴の方は避けるのに精一杯といったところだ。開拓者とも言えどもジライヤまるまる一匹を縄一本で拘束したり、そもそも持ち上げるなんて不可能な芸当だ。 「パックンちゃん、穿孔錐揉みシュート!」 横っ飛びからムロンのほうに向けて踏み付けを応用しての蹴りを放つ。流石に一度では防がれると思ったのか何度も踏みつけそれを蝦蟇張手で迎撃しながらラッシュの速さ比べをしながら辺りに衝撃音を響かせ、一度後退。ムロン、パックンちゃんも中々に頑張っている。メタルは何とも表情が読み取れないが、動きはかなり鈍くなっている。 「ふふ、後ろががら空きじゃーないか」 雲母がマスターの上に乗りながらのしのし近づいてくる。後ろには蹴散らされたほかの参加者の皆さん。 「むむ、きらにゃんが相手となると、ムロンちゃんが‥‥」 『姫なのだ〜!』 パックンちゃんとメタル、ルンルンに巴を吹き飛ばし、マスターまでも巻き込んでぶつかっていくと雲母を抱締める。 「この、馬鹿!とっとと、はな、さんか!」 げしげしびしびしと攻撃(手と足をばたつかせているだけだが)しているのだが全く気にせずに抱締め戦闘そっちのけでもふもふし始めている。 「こらー!そういうのは後でするんです〜!」 アルネイスも腕を引っ張りながら引き剥がそうとしているが、まったくもって効果がない、目の前の魅力には勝てないと言う事か。 ちなみに吹っ飛ばされたルンルンとパックンちゃんはぐるぐると目を回し、巴はメタルの下敷きになって身動きが取れない。マスターはごろごろと転がってマントをかぶって遊んでいる。 「‥‥こりゃ終了だねぇ‥‥」 夢が空砲をバンバンと鳴らし終了の合図が鳴り響く。 ●全ておわり と言うわけで何だかんだでよくわからなくなってうやむやになった第一次ガマドク大戦。 川那辺は妙にしおらしく疲れたような顔をしてシュラハにつれられてくる。‥‥肌が妙に艶が出ているのは気のせいだろう。 「たのしかったぁねぇ?」 「あー、うん‥‥」 何だかんだでいちゃつきながらも帰っていく。 巴はメタルと面と向かい、もう少し軽くするか、などと呟き反省。 そして此方では喪越が白く燃え尽きながらジュリエットに引きずられている。 『モコス!いきますわよ!』 「Oh‥‥」 向こう側にいる筋肉達磨たちが白い歯を輝かせるたびに喪越がびくんびくんと跳ねるのはある意味で恐ろしい。そうして引きずっている最中にマスターに出会うと、燃え尽きたモコスを捨てて乙女モード全開できらきらと自分の話をするジュリエット。当のマスターはほわほわと其れを聞いている。 そしてその主の雲母はアルネイスのムロンに抱きかかえられてじたばたとしている。 「離さぬか、この馬鹿カエルが!」 『むふー、姫は抱き心地がいいのだぁ』 「ムロンちゃん‥‥もっとやるのです!」 いつも苛められている腹いせなのか楽しんでいるのかは分からないが事態を混乱させているアルネイス。 こっちでは団子を頬張り満足気に爪楊枝を使っている朱麓。 「いやぁ、盾にされたときは死ぬかと思ったけど、人間丈夫だねぇ」 ケラケラと笑いながら夢と一緒に爪楊枝を使ってしーしーと言っている。何だかんだで仲のいい二人。 「パックンちゃんと大勝利をしたかったですが、残念ですっ!でもキングオブ大蝦蟇はパックンちゃんのものなのです!」 と、もぎゅもぎゅパックンちゃんを抱締めている。 何はともあれ、自分の愛が詰まっている相棒が一番と言う事だろう。 しかしすみのほうでまだ火花を散らす者がいたのは誰も気が付かなかったのだが。 |