不思議洞穴参【第二階】
マスター名:如月 春
シナリオ形態: シリーズ
危険
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/02/24 21:26



■オープニング本文

前回のリプレイを見る


●洞窟内部第一〜第二間階段にて
 一階の大小さまざまなアヤカシの群れをぬけた後にあるこの階段。
 さりげなくアヤカシが入ってこない安全地帯になっている。
 好奇心に駆られてやってきた冒険者がここで一息ついている。

「いつつ‥‥数が減ったとは言え、中々きつよなぁ」

 腕に包帯を巻きながら一階と二階のを交互に見やる。
 相変わらずのうめき声が奥から結構な音量で響いてくる。一番奥には大ボスか、と呟きながら傷を癒し一息。
 一階については開拓者のおかげで突破口が開けたので何とかなったが、此処から先はどうなっているかさっぱりだ。
 この洞窟の傾向から言うとアヤカシがたむろしている可能性がほぼあたりだろう。
 化け物部屋、ジルベリア的に言うとモンスターハウスが多いこの洞窟。
 壱と弐に比べてアヤカシの発生数が異常なまでに多い。
 とにかく戦闘八割罠二割ほどだ。

「一旦戻る、か?」

 階下と階上を交互に見てから数十秒考え‥‥階段を降りていく。
 とりあえず次の階層がどうなっているか、これが一番重要だ。
 ギリギリになるまで脱出しない、これ常識。

 と、言うわけで二階にたどり着いてその場を制圧する為に身構える。
 一階と違って特に音はせず、奥のほうから相変わらずの唸り声が聞こえるのみ。

「‥‥いやに変な予感がするんだよなぁ」

 地面を小突いたりして周囲を探索。
 とりあえず何人か此処にやってきたが全滅したらしいので注意深く進んでいく。

 ‥‥一つ目の部屋に入ったところで足元に何かを見つけ下を調べる。
 どうやら白骨が地面から少し飛び出していたり、あたりに散乱している。

「墓地か?‥‥いや新しすぎる‥‥」

 そう言って何個か拾い上げてじっくりと調べる。
 いやに新しい白骨、特に変哲は見た限りではない。

「特に何も無いな、はずれか」

 ‥‥数分後、彼もその白骨の一部となるのは別の話。


●開拓者ギルドにて
 冒険者からの手紙を受け取って、それを読んでいく夢。
 なにやら第二階の攻略が予想以上に進まないらしく、開拓者による楔を打ち込んで欲しいとのこと。
 前回は階段目前で撤退してしまったとは言え、探索がしやすくなったのは大いに貢献した。

「なんとも頼りにならない冒険者達だねぇ‥‥」

 煙管を吹かしながら手紙をおくといつものように依頼書を作り始める。
 作り始めて少したったあと。

「物品の管理もしておかないと」

 そういいながら貸し出し用の荷物も点検しにいく。
 相変わらず角にぴったりとあわせて「洞窟探索」と簡潔に書かれた依頼書が張り出されるのだった。


■参加者一覧
風雅 哲心(ia0135
22歳・男・魔
ペケ(ia5365
18歳・女・シ
朱麓(ia8390
23歳・女・泰
フレイア(ib0257
28歳・女・魔
音影蜜葉(ib0950
19歳・女・騎
ルーディ・ガーランド(ib0966
20歳・男・魔
鳳珠(ib3369
14歳・女・巫
後家鞘 彦六(ib5979
20歳・男・サ


■リプレイ本文

●洞窟前にて
 これまたいつものように開拓者八人が荷物の整理やら地図の確認をしながら二階への対策を講じている。
「大体ここぐらいまでですか」
 扇子でぱたぱたと扇ぎながら第二階層から戻ってきた数少ない人物に話をきいているのはフレイア(ib0257)。何か手がかりや地図はないかと聞いている。とりあえず二階の階段回り少しだけの地図と特徴。
「地図はそれぐらいだな‥‥後は特徴と言われても‥‥唸り声は何時もどおり、強いて違うならやっぱり骨か、どうもきな臭いと言うか違和感はあったな」
 そういいながら扇子を畳んで顎に当てて思考。見ない限りよく分からないといった感じだろうか。その後ろではルーディ・ガーランド(ib0966)が生存者に聞いた地図を書き足しながら頭を捻る。
「唸り声は相変わらず、そして白骨化‥‥か」
 前の洞窟のときはアヤカシの腹の中を進んでいた経験もあってか多少気が重そうだ。
 その反対側で松明を灯して洞窟を覗き込んでいる音影蜜葉(ib0950
「私は何かと地下と言うの物に縁がありますね‥‥」
 ギルドで受ける依頼がよくよく見れば地下に行くものばかりだと気が付いたのか、ゆったりと太陽を眺めて一息。
「真新しい白骨が散らばっているそうで、人を白骨にする原因がいるのですねー」
 同じように覗き込み、その後しっかりと褌を締めているのはペケ(ia5365)。今回はちょっと違う武器なのか拳を合わせてガキガキと言わせている。龍札と言う武器だが、やけに重々しい。
「骨が新しい、と言うのが何かの手がかりでしょうかね」
 もう一人ひょっこりと洞窟を覗きながら考えているのは鳳珠(ib3369)。今回の回復役と索敵役なので硬くはなっているがどうにかなるだろう。しっかりと仲間への相談もし、準備と心構えをしっかりしている。
「しかし、お天道様が見られなくなるのは寂しいや、こんなところ早くでてきたいなぁ」
 今回初参加の後家鞘 彦六(ib5979)開拓者としてもまだまだ駆け出しではあるが、意気込みは上々。今後に期待である。
 そして少しはなれたところでは朱麓(ia8390)と風雅 哲心(ia0135)が並んでいる。
「流石に今度は汚名返上といきたいところだな。確実に攻略していかんと」
「そうさねぇ、あいつに負けるのは悔しいし」
 口を尖らせている朱麓を撫でてやるとぷいっと向こうを見る。なんとも素直じゃないなぁ、といいつつしっかりと準備をし始める風雅と朱麓。

 今回は何が出るのやらと誰かがいいながらいつもの道具類を背負って松明を付け、ルーディがいつものように手帳を開く、なんとも見慣れてしまった光景ではあるが、何故か新鮮なのは何故だろうか、とも誰かが呟く。
そんなこんなで不思議洞穴参、第二階層への歩みを始めていくのだった。

●不思議洞穴第一階層
 前回、開拓者によってあらかた片付けられたのと、他の冒険者やら開拓者が入ったおかげでかなり数は減少し、瘴気の濃度もかなり落ちている第一階層。
「とは言え、既に調べた階だ。取りこぼしはあるかもしれないが、今は階段へ急ごう。」
 最短で部屋をなるべく通過しない道をルーディが手帳を眺めながら先導する。さすがと言わんばかりの地図精度。勿論補完するために夢やらギルドで書き足している。
 そんなことで特に被害も、大した戦闘もなくあっさりと第二階層への階段へとたどり着く。未発見の洞窟、未踏破の地ほど大変なものはないのを実感する。

●不思議洞穴第二階層
 第二階層、一部のものでも階段周りを探索し、すぐに引き返すほどに「やばい」と言うのがひしひしと感じられる階層。今のところ奥地まで一人でいったものはおらず、基本的に全滅している。一応生還したものは雰囲気からすぐに戻った為なんとも無かったのだが、とりあえず共通認識としては「白骨が多い」との事。とにかく開拓者頼みと言うわけにもいかないので出来る限りの範囲で手伝ってくれている。こういうときに限っては仲間意識が強いのも冒険者の特徴。
 とりあえず階段から降りてすぐの部屋を調べ始める。まずはペケが前にでて棒で地面やら壁やら天井をつつきながら入念に調べる。こつこつと長めの棒で一通り調べて何も無いのを確認。
「罠は少ないんでしたっけ?」
 くるくると棒を回して一息ついてから一歩進むと何も無いところですっころぶ。相変わらずである。
 とにかくここを拠点とするべく、各々が松明に火をつけて壁に固定していく。後家鞘がとんかんと大工仕事をしつつ辺りを警戒。なんとも楽しそうに松明を固定している。
「とりあえず、通路には何もいないようですわね」
 フレイアが少しだけ通路へと出て索敵、パッと見ただけでは特には何もおらず、逆に静かなぐらいだと呟く。(勿論唸り声は聞こえるが。)
「では警戒は此方でするので、拠点の設営を」
 音影が通路の少し先に松明を固定してその場で仁王立ち、相変わらずの騎士らしい行動だ。ついでにルーディの提案どおりに通路に生肉を投げてみる。‥‥特に反応は無い。
「とりあえず何も無いようですか‥‥」
 鳳珠が瘴索結界を使いあたりの気配をかんじるのだが言わずもがな、相変わらずのあたり一面の瘴気、特に濃い部分などは奥に集中しているのだが。どこから来てもおかしくないほどだ。
「なんとも言えないですね」
 少々苦笑いを浮かべながら一息ついて節分豆をぽりぽりと食べる。

 とにかく拠点の設営も終わり本格的に階段を探しに奥へと進んでいく事になる。‥‥しばらくは通路が続いていき、特に大きな事もなく、白骨も見られないのだがいやに静かなのが全員引っかかっている。第一階層があれだけアヤカシがいたにも関わらず何もいなさすぎて怪しいと言う奴だ。
「何かないものですかねぇ」
 後家鞘がこつこつと壁を叩きながら隠し扉やその手のものがないか調べるが、特には見つからない。たまにぽろっと宝石の原石みたいなのが出てきたりはあるが。
「おっと、もうけもの」
 しっかりと懐にしまってから隊列へと戻っていく。
曲がり角に差し掛かるとペケが手鏡で、その後フレイア、音影がしっかりと確認してから進む。後ろでルーディがしっかりと地図を書き、どんどんと奥へ進む。しばらく歩いていくと例の部屋へとたどり着く。そう、白骨が散乱している部屋だ。
「と、ここですか」
 音影が歩みを止めさせて、ゆっくりと辺りを探り始める。とにかく注目する点は衣類や装備品、溶解性ならば装備ごと解けているだろうし、物理的なものならば損傷しているはずだ。そう考えてとりあえず部屋へと松明を投げ入れる。ほぼ全員が松明をもっているのでとくに問題はない。そうしてあたりを見ると、変に突き刺さった剣やら地中から飛び出している白骨やらが見つかる。なんとも不思議な光景だ。
「瘴気もかなりの濃さですね」
 その後ろで瘴索結界を張りなおしてじっくりと部屋を眺めて、そう判断。索敵に関しては巫女の右に出るものはいないという感じではあるが、嫌な気配をすぐに感じるのも同じく。一先ず通らなければ先には進めないと言うのは確認済みなので投げ入れた松明の近くに同じように用意してあった生肉をなげいれ。
「さて、鬼がでるか蛇が出るか‥‥」
 風雅が投げいれた生肉を眺めながらしばし待つ‥‥どれくらいまっただろうか、地面から瘴気のようなものが肉に纏わりつくといやに禍々しい肉に変化していき、最後には蒸発するかのごとく「肉」の部分が消えていく。もうしばらく見ていても特に変化はなく、ゆっくりと開拓者が部屋へと入っていく。ぐるりと見渡して松明であたりを眺めて奥への通路を確認。
「とりあえず、変わり果てた姿とはいえ、遺族とかに届けるべきかね」
 地面から飛び出している白骨にしゃがみこんで静かに黙祷‥‥は流石に難しい。しゃがみこんで白骨をみた瞬間にぼこぼこ地中から白骨遺体が這い出てくる。
「あー‥‥鬼でも蛇でもなく、骸骨だねぇ」
 素早く立ち上がり這い出てきているのに銃弾一発。頭蓋骨を粉砕しそのまま倒れる。それを起点にぼこぼこ地中から這い出てくる骸骨の軍勢。
「なるほど、つまるところ骸骨にやられてから、先ほどの肉のようにとけて骸骨として機能するのですね」
 冷静にフレイアが分析している間にも部屋には溢れるばかりの骸骨が出てくる。
「死者を冒涜するとは、お天道様が許してもこの後家鞘が許さん、今ここで成敗してくれる!」
 そう口上を述べたところで手近に接近してきた刀を持った骸骨を真っ二つに。手ごたえあり、と一言。強くはないが数が異常なのでどうにも対処しづらい。
「何でこんなにいるんだろうねぇ」
「瘴気の関係や勝手に入る奴にしちゃ多いな、確かに」
 とりあえず現状を冷静に判断し、地図と進行方向を確認し、奥への道へと進行するのを指示。それにあわせて全員円陣で突き進む。
「こん、なに、いるのは、驚きです」
 ただたたきつけてくる攻撃を音影が受けつつ前線を押し上げる。一応信仰心的な問題で少し気が引けるのか攻撃され、盾に一撃を貰ってから押しのけるように盾で吹き飛ばす。数も数なので最善の方法だ。
「これなら罠の方がまだましですねー」
 飛び出してきた骸骨を龍札チョップ、吹き飛ぶように粉砕されてばらばらに。だてに小型になった杭打ちではないという事だ。
「流石に数が多いねぇ‥‥さっさと奥にいくかい」
 風雅と一緒に刀を抜いて骸骨を片付けていくのだが、いかんせん数が多くてまともに相手している場合ではない。とにかく階段への奥の通路へと全員退避してからフレイアがアイアンウォールで部屋を封鎖し追撃を防ぎ、一息。
「確かに『肉』の部分は溶けましたが」
 閃癒を使い全員を回復しながら鳳珠が現状を考える。とりあえずここからは先ほどのような骸骨がいるであろうと考え、神楽舞「脚」を使い機動力を上げておく。もちろん節分豆で練力も補給しつつ。
「生きているのには意味が無いという辺り死肉、さらに地面に接しているという点が条件か?」
「なんにせよ、原因は解明できたとして、これから先がどうなるか‥‥」
「とにかく進むしかないですねー」
 ガンガンと壁を叩いている音を後ろで聞きながらもさらに奥へと歩みを進めていく。

「大した、強さじゃないんですが」
 部屋の骸骨を粉砕しながら音影が疲れたように攻撃を受け続ける。とにかく物量で攻められているせいで体力がいまいち回復しきらないのが骸骨よりも敵になっている。流石に開拓者と雖も想定外かつ連続で戦闘がおこれば疲弊していくものだ。
「ただ、階段はあったんだがな」
 地図に階段の印をつけて一息、此処まで来るのにもう何部屋か通過するたびに、それなりに戦闘があった。そのつど回復し、支援を掛けなおし突破してきた。
「とりあえず、ここも制圧しないと、なっ!」
 雷鳴剣で一撃、そこから弓に切り替えて頭を一発。丁寧に倒していく。勿論その隣では朱麓も同じように刀をふるっている。
「別にあんたなんか、心配でもなんでもないけど、ほら、勘違いしないでよね!」
 微妙に暑苦しい。
「流石に追っ手を撒くのに打ちすぎましたかしら」
 ほふっと息を吐き出して何度目かのアイアンウォール。回数が多いとかなりの消費だ。
「罠は大体解除できるのでよかったんですがねぇ」
 龍札チョップで最後の骸骨を粉砕すると、部屋を調べるペケ。この作業も何度目か。
「もう、私も限界ですね」
 閃癒を使い、傷を癒しながら節分豆は流石に食べつくしている。
「これからお天道様を拝みに戻るのも考えると、長いなぁ」
 直閃での一撃をお見舞いし素早く納刀。松明を壁に付けながら後鞘家がこれからの事を考えてため息一つ。言わないようにはしていたがこれからまたあの部屋を通過し続けると思うとかなり胃が重い。
 しかしとりあえずと言っても階段は見つけた、それだけでも十分な成果でもあるのだが、帰るまでが洞窟探険、これからの消耗などを考えた場合‥‥。
『はぁぁぁぁ‥‥』
 と、全員がため息を付いたところで来た道を引き返すのだった。

●脱出ならず?
 冒険者及び夢が開拓者達を見つけたのは一階と二階を繋ぐ階段の下。拠点設営したところに衰弱しきった八人を見つけた。階上も敵が集まり、拠点の先には粉砕された白骨や壁やらが散乱しているという状況であった。とにかく両挟みになったせいと想定外の敵、骸骨への対処が思うようにいかなかったという点だろうか。
「‥‥大丈夫かい?予想が外れたって顔だけど‥‥まぁ、こういうこともあるさねぇ」
 包帯と薬草を使い傷を治していくが、体力は戻らない。ちょうど近くにいた冒険者にも手伝ってもらいとりあえず脱出。
「帰ってこそ、だからねぇ‥‥まぁ、ゆっくり休みな」
 少しいいところの旅館でゆっくりと療養する事になった開拓者だった。