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■オープニング本文 ●いつもの牧場にて 桜がちらほらと咲き始めている相変わらずの牧場。 何を思ったのか桜色のもふらに葉っぱをつけてけらけらと遊び始める。 ‥‥うまそうではある。 「春だねぇ」 相変わらずのムキムキマッチョがもふらの世話をしながらそう呟く。 季節によってころころ毛色を変えるのは適当生物だからだろうか。 「花見ですねぇ」 「花見したいねぇ」 うんうん、と言いながら揃って首を縦に振る。 基本的に世話ばかりしているので楽と言えば楽だが、やはり花見は欠かせない。 「まぁ、人だけで花見するってのもいまいちだし、自分の好きな朋友と一緒に過ごすのもありじゃないかねぇ」 これまた、うんうん、と言いながら一同頷く。 今日も天儀の牧場は至って平和です。 ●ギルドにて 「花見ついでの牧場ねぇ‥‥いいわねぇ、花見」 港関係者、と言うか牧場の管理者から貰ったチラシを眺めて煙管を吹かす。 最近は暖かくなって雪もなくなり、うららかな日々だ。 「世の中明るい事が多いほうがいいしねぇ」 そういうと掲示板にチラシと参加募集の依頼書を貼り付けて満足気にする。 「春だねぇ‥‥」 窓越しに見える陽気を眺めてぽつりと。 |
■参加者一覧
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)
18歳・女・泰
乃木亜(ia1245)
20歳・女・志
クラウス・サヴィオラ(ib0261)
21歳・男・騎
御陰 桜(ib0271)
19歳・女・シ
无(ib1198)
18歳・男・陰
九条・颯(ib3144)
17歳・女・泰
プレシア・ベルティーニ(ib3541)
18歳・女・陰
湯田 鎖雷(ib6263)
32歳・男・泰 |
■リプレイ本文 ●牧場入口にて 桜に感化されて薄いピンク色のもふらが大量に溢れている牧場。 何を思ったのか牧場関係者がそのさくらもふらの頭に葉っぱを乗せまわっている。 相変わらずここの牧場は自由すぎるところです。 「‥‥美味しそうなのよね、こいつら」 もふらをつつきながら何時もの様に受付をしている夢。何故か分からないがもふら塗れになっている。 「ほら、一応仕事だから」 まぁまぁと言われながらその光景を眺めていると開拓者が朋友を連れてやってくる。 「さ、お仕事よぉ」 毎度の事ながら受付を順次していき、花見と朋友との交流を楽しみ始めていく。 ●花見 一人目、がちゃがちゃと調理器具を自分のもふらと一緒に運んでいるのは紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)。お弁当搭載型のもふ龍を連れてまったりと花見を堪能しに来る。 「春ですね〜」 頭に付いた桜の花びらをぱっぱと振り落としながら、空を眺める。ひらりひらりと舞い散る桜を眺めながら持ってきた調理器具やらを下ろして一息。足元でころころと転がってきたもふ龍も楽しそうに桜の花びらと格闘している。たまに鼻に付いて「くしゅ」っとくしゃみをしているのを眺めて紗耶香も頬が緩む。 「ここら辺でお花見しましょうか〜?」 そう言いながらしゃがんでもふ龍に乗せてきたお弁当を降ろして撫で撫で。満足気に「するもふするもふ〜」と転がり始める。 「いいこですね〜、準備するので向こうで遊んできていいですよ〜?」 流石にもふ龍が賢いと言えどもその短い脚で料理するのは不可能である。ぱたぱたと前足を振って「分かったもふ〜」と言いながらさくらもふらと戯れ始める。 「じゃあ、さっくりと作りますか」 袖を撒くって料理を始める。と言っても仕込みは済んでいるため、後は蒸せばいいだけなのでそこまで大掛かりなものではない、ここまでのんびりと歩いてきて良い感じの陽気で生地もすっかりと熟成されている。其れを満足気に確認してからさっくり作り始める。と、蒸し始めている間に茣蓙を敷いて花見の用意、一応お酒も持ってきているのだが、別のもふらが鼻をふんふんと鳴らしながらお酒に群がるのでそれを制しながら準備を進める。 「そろそろ出来ますよ〜」 そう叫ぶとさくらもふらを引き連れてもふ龍が帰ってくる。 ついでに他の開拓者の分も作ってあるので近くの開拓者に配ってからもふ龍とさくらもふらとのお花見。 「最近お店のお手伝いばかりでこうしている機会も少なくなりましたからね」 そんな事を言いながらもふ龍にさくらもふらともふもふしながら持ってきた料理と蒸かしたての肉饅頭を食べて微笑みかける。勿論回りのもふらともふ龍もはみはみと器用に前足を使って肉饅頭を頬張る。適当生物は結構器用なようです。 「ちゃんと食べていいこですね〜」 もふらを一匹ずつ撫でながら持ってきたお酒を開ける。ふわっと米酒の香りが漂い、もふもふと詰め寄ってくるもふ龍ともふら達。 「はーい、お行儀良くするんですよ」 お皿に少しだけ入れてもふらにあげていく。もふ龍にはちょっと多め、お花見なので。「おいしいもふ〜」と、ちびちび飲んでいる姿を微笑ましく見つめている。そしてほろ酔いもふら達がこう騒ぎ始めた所でもふ龍もその中へと入っていく。もふもふごろごろと泥まみれになるのも気にせずに遊んでいるのを見ながらてきぱきと片付けていく。 そうして片付け終わってもふ龍と遊ぼうと思って振り向いた所でもふ龍(とさくらもふら)の波にさわれていく。 「あら〜」 どうやらお酒のお礼か胴上げの要領でもふら塗れになっていく。当分このままもふら天国(ある意味地獄)を堪能する。 此方駆鎧専用広場。流石に他の朋友と一緒には出来ないので少し離れた所、流石に前回前々回と駆鎧で散々草原が茶色に染まったのもあってかある意味隔離。とは言え普通に木々はあるので花見をするには十分だが。 そんな訳で自分の愛機オブシディアンをアーマーケースから取り出すクラウス・サヴィオラ(ib0261)。 「せっかくの広い場所だし、たまにはオブシディアンを動かしてやらないとな」 そういってオブシディアンの機動準備を始めていく。専用のグローブやブーツ、ヘルメットを付けながら鼻歌を奏でながら乗り込む。そんなところでもふらが足元に集まってくる。あまり此方側にはこないのだが来客のせいかふんふんと鼻を鳴らしながら匂いをかいでいる。 「ほら、ちょっとどいててな?」 胸部ハッチを開けながらもふらを避けて可動確認をし始める軽く腕を動かし、肩を回し、歩行し始める。と、のしのし歩いている駆鎧、オブシディアンの後ろをもふらが付いてやって来る。やけに間抜けな光景ではあるがもふら的にはとても楽しそうだ。ついでに機動確認の為にむんずともふらを捕まえて。 「ちょっとごめんよ」 ぱたぱたしているもふらをオブシディアンの頭やら肩に乗っけて歩いてみる。もふら的には意外と楽しそうだ。きゃっきゃと喜びながらぺしぺしとオブシディアンを叩いている。 「桜色って、オブシディアンの黒ともよく合うな」 ある程度歩いてから休憩がてらに葡萄酒を一杯。夜桜と言うのもあってか黒色のオブシディアンには桜色が中々映えている。が、残念ながらもふら率が高いのでそこはなかなか悩みどころ。勝手に桜の花びらをもふらが掃除してくれているので一石二鳥ではあるが。 「おー、楽だなぁ」 葡萄酒を飲みながらそれを眺めて一息。そしてもふらが駆鎧に飽きたのか葡萄酒につられて寄って来る。端的に言えばその葡萄酒を寄越せとねだっている、このもふらの量で葡萄酒一本じゃ足りない。あっという間に葡萄酒の空瓶が転がりもふらがゴロゴロし始める。 「何とも、まぁ‥‥ともかく、これから頼むぞ相棒」 犠牲になった葡萄酒を横目にオブシディアンをアーマーケースに仕舞いもう少しもふらと桜を堪能していく。 また此方の方では无(ib1198)とナイがチラシを片手に歩いてくる。久々の休みで花見ときているのでゆっくりと休暇を楽しむ。ぽかぽかとした陽気を受けながら桜の見晴らしがいいところへとどんどん進んでいく。ひらひら舞っている桜の花びらにナイが其れを追いかけてとことこと走り回る。 「楽しそうだねぇ」 そんな事を言っていると肩やら頭に乗ってじゃれ始める。たまにはこうやって遊ぶのも中々いいものだ、そんな事を思いつつくすりと笑い、ナイの事を撫でてやる。それに嬉しそうにしながら身を委ねる。 「綺麗だなぁ」 そう呟いたのに頷くようにナイも一鳴きする。ともかくプレシアやら乃木亜のいる桜の近くまでやってくるとそこで酒を取り出して飲み始める。ちなみに残念ながら二人ともお酒を飲まないので用意した熱燗は一人で飲む事に。 「ま、こういうこともあるさ」 ちょびっとだけナイに飲ませながらも貰ったお弁当やら稲荷寿司を一緒に食べ始める。お弁当の中身は同じなので特にはないが、こう花見をしながらだと美味しいものが一層と美味しくなる物だ。 あっという間にお弁当を食べ終わって一息つくと、ナイと遊び始める。たまにの休日、思う存分牧場をかけたり、桜の花びら相手に奮闘するのを見つめながら休暇を楽しむ。そんなこんなで遊びつかれたのだろうか、一人と一匹は桜の木の下で春の暖かい陽気を受けながらすやすやと眠りこけていく。 「もふらさまがこの時期ピンク色になるなんて知りませんでしたけれど、こうして見ると桜餅みたいですね」 乃木亜(ia1245)と藍玉がお弁当と敷物を持ちつつ花見のポイントまでやってくる。牧場関係者やら夢やらを誘ってお花見と思っていたが流石に仕事中なので遠慮されてしまった、そういうことで他の開拓者の分も敷物の上においておき、先にお花見を開始。旬の炊き込みご飯やら砂糖入りの卵焼き、鰆の焼き魚と旬のもので固めている。ちなみに鰆だが旬は地域によってまちまち、基本的には二月前後が旬だ。個人的にはあぶらののった時の寒鰆がおすすめ。 「はい、藍玉にはこっちのほうね?」 魚を取り出してふりふりと振ってから藍玉に食べさせる。嬉しそうにそれを頬張りながらピィピィと鳴いている。その様子を見つめながら花見とお弁当を楽しむ。 「もう春ですね」 お酒は飲めないのでお茶でほっと一息、一緒にお菓子をつつきながら桜の木を見上げる。ひらりと湯飲みに花びらが入るのを風流だと感じながら桜を楽しむ。 「私はこのくらいの桜が好きですね、散っていく花を見ると少し寂しくて‥‥」 ほふっと息を吐きながらぼんやりとし始める。 その隣で藍玉が満腹になって満足したのか桜の花びらを追いかけたり、目で追ったりきょろきょろと、たまに顔についてピィピィと言いながらぶんぶんと顔を振ってみたりと此方は此方で楽しむ。が、やはり乃木亜に構って欲しいので頬ずりしたり体をすりつけたりとし始めるが‥‥。 「すぅ‥‥すぅ‥‥」 朝早くからお弁当を作っていたせいか麗らかな陽気のせいであっさりと意識が飛んでしまう。ちょっと藍玉がむすっとしながら体をすりつけ、膝の上に顎を乗せてそのまますやすやと眠り始める。 おっきな包みを大事そうに抱えながらプレシア・ベルティーニ(ib3541)と管狐のくーちゃんが並んで歩いてくる。プレシアはぱったぱったと尻尾を揺らしてほわほわとしながら桜並木を歩いている。 「春はいいね〜♪美味しいものたくさんたべられるよ〜♪」 「まだまだ色気よりも食い気のほうが勝っているのだな」 ほえ?と言いながらいいながら乃木亜の近くにやってくると茣蓙の上に座って包みを開け始める。 「あのね〜、ボク沢山お稲荷さん作ってきたんだよ〜!」 どうみてもその包みの中に入っている量じゃないだろうという量の稲荷寿司が詰め込まれている。きっと食欲の執念が成せた業です。 「みんなで食べようね〜♪」 山になっている稲荷寿司を早速一つ頬張り始める。と、同時にえらい勢いで山が崩れていく。かなり凄い光景だ。 「あ、くーちゃんの分はこれね〜」 笑顔で置かれる稲荷寿司の山、常人が見ればなんの罰ゲームだと思えるほどに山盛りである。 「んな‥‥で、ではありがたく頂こう」 軽くその量に引きつつも食べ始めていく、なんだかんだ言いつつ此方も同じように食べていく。もきゅもきゅもきゅもきゅ‥‥。見る見ると減っていく稲荷寿司。 「くーちゃん、おいしい?楽しんでる〜?」 「うむ?ああ、こういうのも楽しいな」 其れに答えるように少し顔を上げて微笑み返す。 「あ、そうだ、さっき乃木亜さんにお弁当もらったんだよ〜」 そう言いながら無くなった稲荷の山の次にお弁当を食べ始める。プレシアの胃袋は化け物か。桜を眺めつつ、お弁当をもっきゅもっきゅと食べていく。見ている間にどんどんと減っていくのはかなり爽快だが総量を考えると大分食べている。 「ぷはぁ〜‥‥ごちそーさま〜♪」 手を合わせて空になったお皿やらお弁当に頭を下げて完食。 「うむ、ご馳走様だ」 くーちゃんも食べ終りころんと桜を見上げるように寝転がる。プレシアもけぷっと言う感じに仰向けになっておなかをさする。‥‥食欲魔人プレシアと誰かが呟いたような気がする。 此方では牧場の方から櫛やら世話洋の道具を借りて湯田 鎖雷(ib6263)とめひひひひんが一緒に歩いている。 「今日は後頭部の甘噛みは禁止だからな!」 さりげなく後頭部にかかってきた鼻息で感づいたのか振り返ってダメと言ってやる。ちょっとだけしょんぼりとしている気がするが。 「よーし、いい子だ」 そう言うと借りてきた道具を一旦置いて丁寧に櫛をかけていく。日ごろから体力のいる仕事やらでこうやって労うのは久しぶりだなぁ、と思いつつ、一つ一つ丁寧に。やはり気持ちいいのだろうかまったりと目をふせて完全にされるがままになっている 「よしよし」 軽く体を撫でながら次は干草を使ってマッサージ、ごしごしと丹念に順繰りとかけていき、一汗拭う頃にはすっかりと綺麗になっている。めひひひひんも随分とご機嫌だ。 「さて、お弁当にするか?」 こちらも乃木亜とプレシアにお弁当と稲荷寿司を分けてもらっていたので其れを食べながらのんびりと、ちなみにお礼は甘酒だ。ともかくめひひひひんと一緒に桜吹雪の中でお弁当を食べる。流石に同じものはいけないので干草やら飼葉等の餌を分けてもらっていたのでそれを与えながらのんびりと。 「ふう、沢山食べた」 ごろっと横になり、座っていためひひひひんによっかかり軽く昼寝‥‥するのはめひひひひんだけでこそこそとその場を離れて一息。ちょうど目の前に居るもふらに狙いをつけてもふもふふさふさ。決してこれは浮気じゃない、もふらをもふらないのは無礼だと、心の中で正当化しつつもふりまくり。 「いや、ありがたいありがたい」 そんな事をいいながら先ほど使った櫛でもふらの毛を整えて良く。何を思ったのかもふらから抜け落ちた毛を一つに固めていくと結構な大きさになっている。編んだりすれば服の一つや二つできるくらいの塊を持ち上げて徐に頭に乗せてみる。俗に言うあふろへあーという奴になるのだが、正直微妙、なんていうか端から見てて「何あれ」と指を指されそうだ。 「む、似合うか?」 そういいながら起きて近寄ってきためひひひひんが鼻息一つ、もふらあふろを吹っ飛ばして甘噛みし始める。どうやら気に食わなかったようだ。 そして此方、朋友のブライを肩に乗せながらのんびりと九条・颯(ib3144)がやってくる。その手にはお弁当とお酒とツマミを手に提げつつ、のんびりと桜の木々があるところへとやってくる。最近じゃ大きな事件も急ぎの用事も無くゆったりとできる。勿論差し込む春の日差しは柔らかく麗らか、ほんのりと桃や梅の香りも漂ってきそうなくらいにのんびりとした一日だ。 「んー‥‥たまにはこういう日もいいかな」 そんな訳でまずはブライの訓練を一通り済ませてからもふらをもふりながら花見をしようと言う計画で今日はやってくる。まぁ、とにかくまずはブライとの訓練を済ませてからお弁当を楽しむなりもふらをもふもふするのも体を動かした後だ。 「流石に花見ばかりもいけないから、なっ」 腕を振り上げるようにすると、それと同時にブライが翼を広げて桜吹雪の中を飛び始める。見ているほうには弾丸を避けているかのように滑らかに飛び続けている。それを眺めながら文旦(ボンタン、ザボン等の呼び名もある)を取り出して皮を剥いてから 「‥‥っと」 ひょいっと上に放り上げてやるとそれをぱくっと咥えてまた飛んでいく。それを満足気に見ながら自分の口にも一つひょいっと放り上げて、奪われる。 「あっ‥‥しまった!」 やっぱり取られて少しむすっとしながら相変わらずだと軽く笑みがこぼれる。流石に取られるのは悔しいのかちょっと隠しながら一切れ食べてからブライが戻ってくる。所々に花びらが付いたのかそれをばさばさと九条の肩の上で払い始める。 「こら、そっちでやらないか!」 顔に付いた花びらを取ってからふうっと一息ついてお弁当を広げ始める。季節にあった野菜やら果物を詰めたもので中々に美味しそうだ。箸で丁寧に摘み食べつつ、ブライにも食べさせる。そしてそのお弁当を狙ってからもふらがひょこひょこやってきて寄越せとねだる。もふもふする相手がやってきたのでブライともふら、二匹とお弁当を食べながら食後のもふもふも堪能する。 「この時期になるとお花見の依頼がでるのよね♪」 チラシを片手に花見の席から少し離れたところで御陰 桜(ib0271)と桃がのんびりとやってくる。ひらりひらりと舞っている桜の花びらがちょうど見えている桃の首筋の模様にふさっと乗っかるのを見て思わずきゅんとする。可愛いなぁ、と言いながらその場で少しもふもふ。 「とと、今日は花見にやってきたのよね」 ちょっとだけ抱締めてから離して良い感じの場所を探し始める。 「桜が一番綺麗な場所を探したいわね〜」 きょろきょろと辺りを見ながら桃を撫でる。「わうっ」と一声吼えるとどこでも良い気がしますけどね、と言いながらその場を回る。 「そうだけどやっぱり花見と言えば絶好のろけーしょんを見逃すのはね?」 ふふん、としながら少し小高い丘へと。少し向こう側では他の開拓者が花見を楽しんでいるのも見えるし、良い感じに桜の木々が見られる。 「酔っている人を見る方が好きなのよね、それとお酌しているところ‥‥って、全く酔わなさそうなのよね」 流石開拓者と言うか酒を飲んでいる割に全く酔わない連中ばかりで酒盛りをしているので今回は遠慮して桃と一緒に花見を楽しむ事にする。まずはのんびりと桜の木々を堪能しながら桃と一緒に歩いていく。中々に花びらがある為にゆったり歩いていると結構頭に積もったりする。勿論とことこ歩いている桃にも花びらが積もり、たまに体を振って花びらを落す。 「んー、でもやっぱり修行とかしたそうねぇ?」 歩みを止めて桃と視線を合わせると元気よく「わん!」とそれに答えるように尻尾が高速で振られる。こんな広い所で全力で走りたいといわんばかりに。 「そりゃこんな広い所にきているし、運動したいわよね、ここにいるからいってらっしゃい」 わしゃわしゃと頭を撫でてやると嬉しそうに駆け始める桃。忍犬、本気を出せば60km程まで加速する、伊達に開拓者と一緒にいる訳ではない。一陣の風のように走っている後ろ側では回るように花びらが舞っている。久しぶりに走っているのだろう。あっという間にぐるっと一回りして御陰の所へと戻ってくる。 尻尾を振りながら舌を出して「はっ、はっ」と息を整えている 「やーん、可愛いなぁ、ちょっと休憩しよう?」 其れを聞いて「くぅん?」と言いながらもっと走りたいと上目遣い、もう一度きゅんっとしながらあまりの可愛さに抱締めてお腹をなでもふ。くてんとその手に任せて甘えた子を出し続ける。 ●夕暮れ時の帰り道 開拓者が各々の朋友を連れ帰りつつ、まったりと夕暮れ時の花見を堪能している。 一年十二ヶ月もある中でこうして桜が見られるのは少しの間。 ひらひらと舞い散る桜の中を帰っている開拓者を見送って牧場関係者と夢が一息。 「今年も桜が綺麗だねぇ‥‥桜餅でも買って帰るとするかね」 そんな事を言いながらさくらもふらを眺めて煙管を一息。 「次は夏とかその辺で開放しますか」 「‥‥次は西瓜もふらかねぇ」 そう言いながら開拓者を見送って牧場の片付けを始めていく。 |