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■オープニング本文 ●お屋敷にて 相変わらずのおやかた様がごろーんと横になりながら考え事をしている。 最近どうにも自分の退屈しのぎばかりしているとどうにもいけないと考え始めている。 そもそもおやかた様、ここらじゃそれなりの家柄で腕も立つ、では何故こんなことになってるのか。 幼いといえば幼いのだが、それでもといった感じだ。 「むぅー…何かここらでわらわも一つするかの」 ゴロゴロするのをやめて立ち上がり着替えてちゃんとした服に。 本当にしっかりとした服を着れば強そうにも見える(実際強いのだが)。 そしてそのままピシャーンと襖を開けて外にでる。 「爺、お主も来るのじゃ」 「はっ、何か用事でも?」 「このままダラダラするのもいかんと思うてな」 ふふんと言った表情をしながらお屋敷を後にして、都へと向かう。 向かう先はギルド。 ●ギルドにて おやかた様とその付き添いの爺が相変わらず机の上に足をのせてふんぞり返っている夢と話を始める。 夢はと言うとまた退屈しのぎの話なのかと思っているが。 「実はな、流石にこのままじゃわらわの血筋やら業が失われるかもしれんじゃろう?だからちょっとしたのを考えたのじゃよ」 ほうほう、それで?と言いながら夢が引き出しから依頼書を取り出して話を聞き始める。 「そこでじゃ、少し生徒を募集してみようと思ってな」 「生徒?」 「うむ、この先色々と仕事も増えるじゃろーとおもうてな」 と、詳しい事を聞き始める。 何でもおやかた様、シノビの腕を駆使して能力の底上げと言う名目で学校のようなものをしたいとの事。 何時もの気まぐれなのか本気なのかは分からないが此処まで自分でやってきている辺りちゃんと思っての事だろう。 「ま、本気なら止めないよ、内容はどういうのだね?」 「おぉ、流石わらわが見込んだだけあるのう、話が分かる」 そう言いながら依頼の内容、と言うか考えた事を言っていく。 とりあえずまずは荷物を運ぶ、おつかいをとの事。 とは言え、たかがおつかいと言えどもしっかりと丁寧に素早く届けるのも大事だ。 そんな訳でおやかた様の始めての依頼はおつかい事となる。 |
■参加者一覧
薔薇冠(ib0828)
24歳・女・弓
白銀狐(ib4196)
14歳・女・シ
マリアネラ・アーリス(ib5412)
21歳・女・砲
ルキノ(ib6603)
20歳・女・砂
リトゥイーン=V=S(ib6606)
27歳・女・陰
サラファ・トゥール(ib6650)
17歳・女・ジ |
■リプレイ本文 ●おつかい 開拓初心者六人、おやかた様とお付の爺と出会う。こうしてしっかりと合間見えるのは今回が始めてでもある。何時ものだらけたおやかた様ではなく、ちゃんとした戦闘服で開拓者達を出迎える。 「うむ、しっかり着たようじゃの、では早速これを運んでもらおうかの」 一つずつ、それなりの大きさの箱が四段重なり重箱になっている。そこまで重くもなく、軽くもなくと言った所だろうか。手ごたえはしっかりとした物のようだ。 「ふむ、荷物運びとはのう‥‥一見簡単そうに見えるが‥‥」 薔薇冠(ib0828)がおやかた様を眺めてほわほわとしながら前に出された荷物を見つめて少々思案。何かあるのだろうとは思うが特に引っかかるような事もないのだが。 「入学条件がお使いなんて‥‥中身が気になってしょうがないのです」 さっそく荷物に近づいてしゃがみこむとじぃっと見つめ始める白銀狐(ib4196)。見るなといわれれば見たくなる。触るなといわれれば触りたくなる、そんな状況だろう。 「これこれ、中身を見る出ないぞ?」 そんな事を言われて「きになるー」とぺたん、ぺたんと尻尾を揺らしている。 「今まで荷物運搬なんぞ温い仕事だと笑ってきたが‥‥こういう仕事も偶にゃ良いねェ。秘密の荷物ってのは正直どうでもいいが」 マスケット「シルバーバレット」を肩に担ぎながらマリアネラ・アーリス(ib5412)が上から覗き込むように荷物を見下ろして、銃床でごつごつと突いてみる。 「これこれ、依頼書をもう一度確認するのじゃぞ?」 突くのをやめさせて一息。 「これが、開拓者としての初仕事‥‥やってみせる!」 ぐっと握りこぶしを作って決意を声にしているのはルキノ(ib6603)。どんな事でもあるとうと前を向いてしっかりとやる気さえあればどうにかなるものだ。それを満足気におやかた様が見ていたのは秘密だが。 「運ぶだけでしょ。簡単じゃない(‥‥多分)」 見た目は二十後半、実年齢と体がはっちゃけているリトゥイーン=V=S(ib6606)がそんな事を言う。本人にすれば妹達に稼いでもらって自分はごろごろとしたいのが本音だ。 「あ、ジプシーのサラファともうします。よろしくお願いしますね」 しゃがんでおやかた様と握手をしているのはサラファ・トゥール(ib6650)。彼女も今回の依頼が始めてであるので少々緊張気味かの?と思われつつもにこやかに挨拶を済ませている。 「と、地図はこれじゃ、道順は勝手に、戦闘しようが迂回しようが好きにするといいのう、それと荷物を分けてもいいが、中身を見たり壊したり、とにかく無事に届けるのじゃ」 ぴっと指を荷物へと向けて説明を終わる。 「おっと、行き先を言うのを忘れておったな‥‥そうじゃの、この街にしよう」 最短だと魔の森を突き抜けて一日以内にはいける所へと、迂回をすると数日かかると言った具合だ。この辺は事前に言って置いたおかげか、薔薇冠は包帯などの道具を一式。白銀狐も薬草を。 「これ、少し強引に走ったりしても大丈夫なのか?」 ルキノがそう尋ね、おやかた様が「んー」と少し考えてから。 「さぁ?どうにかして無事に運ぶのが依頼じゃぞ」 助言は無し。 「とにかく、迎撃と運搬で分かれて運ぶ事にしましょう」 そういうと白銀狐が二つ、ルキノが一つ、サラファが一つ、それぞれ荷物を持つと出発し始める。それをおやかた様が手を振って見送られ、一同は魔の森を突っ切る最短の道へと進んでいく。 ●魔の森突破 基本的に魔の森へと近づくまでは平坦で平和な道のり。貰った地図を確認しながら先に進んでいき。丁度分岐点が見えたところで魔の森へと進む。 「しかしィ、何時きても獣の匂いがプンプンするぜェ?」 辺りを警戒しながらマリアネラがバキバキと枝やら雑草を踏み抜いて道を作る。それに続いて後続の運搬班と迎撃班が進んでいく。 「今の所、変な音はしないです」 超越聴覚を使ってしっかりと背負い袋の紐をぎゅっと握り締める白銀狐。始めてみる職種の方やらこうして魔の森を突き進むのも色々あってかどきどきしているようだ。 「近道とかないわけ‥‥?」 だっりーと言う感じにリトゥイーンが歩き続ける。まぁ、皺を隠しづらい歳だとかいわれてるし。 「中々、どきどきするじゃない?」 ルキノも初仕事のせいか少し手が震えている。 「とにかく早くこんな場所、通り抜けて依頼を完遂させませんと」 地図を確認しながらサラファが最後尾に付いて道順を言っていく。魔の森とは言え、それほど深い場所でもなく。それなりに他の開拓者が殲滅やら浄化やらで中に入ってるおかげで中級以上のアヤカシは出ないのだが。 「おっとォ、お客さんのようじゃーねぇかァ?」 迷彩布を取り、シルバーバレットを構える。がさがさと自分が発している音以外を探知してかそちらの方へと視線を向ける。すぐさま迎撃班が前に出て獲物を構えて戦闘に備える 「ふむ。招かれざる客が来てしまったようじゃのぅ?」 そういうと子鬼が十数匹飛び出して荷物の方を眺めて興味深々に近づいてくる。 「あぁ、めんどくさいわねぇ」 そんな事をいいながらバイラオーラを使い、短剣を構えて一撃。手近に居た子鬼が瘴気になっていく。それを起点にして戦闘が開始される。 基本は迎撃班が子鬼を相手にして、その隙に運搬班がある程度道から迂回してから進行方向への道へと戻って合流と言う形と言う事で決めてある。基本的に仲間意識が強くて気弱なのが子鬼なので、この方法はかなり友好的だった。 「おらァ!雑魚がァ!」 一発撃ち、単動作による即装填、銃身を一度回して構えなおしてから背面撃ちのフェイントショット織り交ぜて子鬼を撃退する。中々変則的ではあるがうまく立ち回れている。 「お主らの相手はわしらじゃぞ」 即射を使い、子鬼の出鼻を挫きながら道を開いていく、多少危なっかしいが覚悟は出来ているので特に問題もなく、道が開き。 「じゃあ、後で合流だ」 ルキノが子鬼の隙間をすり抜けて突破していく、其れに続いて。 「はふ、中々大変なのです」 子鬼の隙間を縫うように早駆で駆け回り撹乱しながら白銀狐も突破し、合流地点へと進んでいく。 「これが魔の森なのですかね」 サラファがゆらゆらと敵の攻撃をシナグ・カルペーで避けつつ、振り向き様に鞭を振るい迎撃、怯んだ所を一気に駆け抜けて運搬班が全員抜ける。 「と、そろそろ私達もいかない?(面倒だし)」 不規則な軌道を描きながらびゅんびゅんと短剣をふるう、たびにため息を付きながら提案。それに全員が頷いて‥‥と思ったがマリアネラがもう少し撃たせろといっているが首根っこを捕まえてずるずる引きずりながら合流地点へと向かっていく。あくまで今回は荷物の運搬が最優先じゃからなと、説得しつつ。とにかく後ろで子鬼が騒いでいるのを無視して運搬班との合流地点へと進んでいく。迎撃班のほうは途中から脚が付かない様にばらばらに分かれて撹乱しつつ移動。 先に子鬼の群れを突破した運搬係の三人は一人ずつ合流地点へと向かっていく。 「重くたって、これがお仕事だもん、がんばりますのっ」 荒げた息を整えてから背負った荷物を背負いなおして魔の森を進んでいく、たまに先ほどの子鬼と同じような小型のアヤカシが現れるが、そこはシノビ。超越聴覚で早期探知をして木々を飛びながら先に進んでいく。 「他のは大丈夫かな」 後ろを気にしながら此方も合流地点へと走って行く、がさがさと茂みを分けながら荷物に傷が付かない様にしっかりと注意を払いながら地図で確認し、合流地点へと向かっていく。 「ふぅ‥‥森の中は、結構大変ですね」 サラファも続いて合流地点へと走り、向かっている。普通の道ならばこんな苦労はしないのだろうなぁ、と思いながらもなるべく早く届ける為に、合流地点へと。 しばらくして、運搬班が一先ず合流地点へとたどり着く、特にたいした被害もなく荷物も無事に運べたようでほっと一息。とりあえず荷物の無事を確認している所に、迎撃班の三人も合流して被害の状況を確認する。大きな怪我は全員無く、少し枝に引っかかった擦り傷などが見られたので。 「之ぐらいでも一応のう」 持ってきた包帯を少し巻いて傷口を保護、何事も慎重になるのは悪い事ではない。とりあえずすり傷やら小さい切り傷を治療し終えてからまた歩き始める。 ●お届け先は それから先、たいした敵や障害も無く案外あっさりと魔の森を抜けてしまう。理穴の方の深度があるところではないのでこの程度だが、開拓初心者にとっては結構大変なもんだ。子鬼がやってきたせいで少し走ったおかげもあってか夕方くらいだ。意外と早く付けたのは中々良い。 そうして魔の森を抜けて少しいったところで 「おぬし、こんな所で何をしておるのじゃ?‥‥わしらの護衛じゃろうか」 何故か夢を見つける。どうやら花見の帰りのようだ。 「あら、頑張ってるわねぇ?んじゃ、気をぬかないでねぇ?」 と、言ってあっさりと手を振って消えていく。 まぁ、とにかく指定された街までやってきて荷物をまとめなおして運び先の人へと。 「お待たせしました、おやかた様からのお届け物ですっ」 満面の笑みを浮かべて白銀狐が荷物を渡す‥‥のだが。 「お、中々早かったのう?」 普通におやかた様がその荷物を受け取って、ご苦労様と言っている。開拓者六人全員ぽかんと荷物を受け取るおやかた様を眺めている。 「ん?どうしたのじゃ?」 何をしているんだと言った感じに開拓者を見つめているおやかた様。そこへマリアネラが近寄っておやかた様の頭を「わしっ」と掴み。 「んで、この依頼は一体どういう意図があったんだァ?ただの荷物運びっつー匂いがしねーんだがよォ」 そのままおやかた様の頭をぐしゃぐしゃと撫で始める。 「そうじゃのう‥‥しっかり荷物は無事に運んできたようだし、種明かしをするかの」 そういうと荷物を置いて一番上の物の封を解いて中を開拓者に見せる、中身が一番気になっていた白銀狐の尻尾がぺったらぺったら動いている。 「わらわのおやつじゃ」 箱の中から一つ取り出してみるのは大福、それも結構な量が入っている。 「つまるところ中身がどんなものであれ依頼である以上その誓約を守れるかどうか、と言ったところじゃなぁ」 そんな事をいいながら開拓者に大福を渡していく。 「その辺を守っていた点では十分に合格と言う事じゃ」 満足気にそういうと大福を食べ始める。 開拓者一同「はぁ」とため息を付きながら貰った大福を食べる。 疲れた体に甘いものはいつもより美味しく感じられたとかどうとか。 |