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■オープニング本文 ●おやかた様のお屋敷にて ごろごろとおやかた様が退屈そうにしながら部屋の中を転がっている。 最近、色々と仕事やら家の事でわたわたしていたのに解放されてかのーんびりとしている。 これでも玖流滝を背負っている家長です。 「暇、じゃのぉ‥‥」 ごろんごろんと転がりながら縁側に出て日向ぼっこ。 最近は風も出てきて秋の匂いも感じる今日この頃、おやかた様は元気です。 うみゅーんと言いながら近寄ってきた猫と一緒に丸まりぼうっと。 「おやかた様‥‥そんなに暇でございますか」 「暇じゃのう‥‥修行もしすぎもいかんしのう‥‥」 ごろごろばたばた、ひーまーひーまー、と叫んだり転がったりとしているのを見て爺が溜息一つ。 懐から小袋を取り出しておやかた様に手渡し。 「今月のお駄賃ですぞ、たまにはのんびりお買いものでもどうです?」 「おー、最近都の方にもいってないからのー!」 がばっと起き上がり、お駄賃を貰ってから懐に仕舞い。 「折角だから弟子とかを連れていこうかの、あやつらのほうがしっとるじゃろう」 「お気をつけていってらっしゃいませ」 そんな事を言いながらギルドに向かっていくおやかた様。 ●ギルドにて 「あによ、ちんちくりん」 「そのちんちくりん呼ばわりはやめるのじゃー!」 はいはい、と言いながら頭を抑えてぶんぶん振るう腕を避けている夢。 「あんた、私に何か用があったんじゃないの?」 「おお‥‥話を逸らすのがうまいのう‥‥んむ、ちょっと都の案内でもしてのんびりしよーかとな」 「‥‥一応さぁ、あんたって情報通なシノビの家系だよね?」 肘を付きながらぷかぷか煙管を吹かしながらじーっと見つめてみる。 情報だけじゃわからないのじゃーとむすっとしているおやかた様を眺めながら依頼書を書き始める。 おやかた様と買い物やら観光やら。 「ざっくりしてるのう‥‥」 いつもの事です。 |
■参加者一覧
風間・総一郎(ia0031)
25歳・男・志
八重坂 なつめ(ib3895)
18歳・女・サ
白銀狐(ib4196)
14歳・女・シ
ルキノ(ib6603)
20歳・女・砂
サフィラ=E=S(ib6615)
23歳・女・ジ
ミル・エクレール(ib6630)
13歳・女・砂
サラファ・トゥール(ib6650)
17歳・女・ジ
レオ・バンディケッド(ib6751)
17歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●おやかた様の休日 開拓者ギルドの前におやかた様がのんびりと座って待っている。気分は上々、なかなかに楽しそうにしている。久しぶりの休日との事で楽しみのようだ。ひょっこりと受付から夢がやってくるとおやかた様の頭を撫でてから煙管を吹かして、同じように開拓者を待っている。夢はただの暇つぶしだが。そんな風に足をぱたぱた、頭をなでなでとされている所に開拓者八人がぞろぞろとやってくる。 「うむ、では行ってくるのじゃ」 「はいはい、行ってらっしゃい」 おやかた様がぴょんと椅子から立ち上がると夢にそういってぱたぱたと開拓者たちに近づいていく。 ●都めぐり おやかた様と開拓者八人、並んで歩いていく。なんともいつもと違う雰囲気に風間・総一郎(ia0031)がじーっと眺めて。 「しかしまぁ、暇な時と真面目な時の差が激しいのな…」 お守りかよ、と言いつつも悪い思いのはしていないのでいいだろう。まったりと煙管を吹かしながら後ろを付いていく。 風間が煙管を揺らしながら見つめている視線の先、何だかんだで久しぶりに会ったレオ・バンディケッド(ib6751)はおやかた様に元気よく話かけ。 「な!な!俺の事覚えているよな?」 「誰じゃったかのう‥‥」 えー‥‥と言いながらがっくりと肩を落としているレオを見つめてくすくす笑いながら「忘れるわけなかろ?」といたずらな笑みを浮かべているおやかた様。それ頬を膨らませてぶーぶー文句を言っている。 「おやかた様は相変わらずのようだね」 そんなやり取りを見ながらルキノ(ib6603)がのんびりと散歩のように歩きながら屋台やらを眺めている。 「(ゴスロリ‥‥おやかた様にゴスロリ‥‥)」 ぴったりおやかた様の後頭部を撫でながらじーっと視線を浴びせている八重坂 なつめ(ib3895)、前回、おやかた様の背後に回り後頭部を撫でることを習得したので定位置ともいえる。微妙に顔がゆるんでいるのは気のせいだろう。 「今日は怖い山とかいかないよねっ?」 後ろ歩きをしておやかた様の前をサフィラ=E=S(ib6615)が少し怯えながら尋ねている。前回はいきなり訳も分からない山に突っ込まされた上に熊に追いかけられるわで散々だったのだ、無理もない。 「大丈夫じゃよ、今日は息抜きじゃ」 ちょいちょいと手を下しての動作をしてから頭をなでなで。満足げにうにゃーっとうなっている。 「私もこっちをめぐるのは初めてだから、ついていくことになるかな」 サラファ・トゥール(ib6650)が少し後ろでおやかた様に付いていきながらそう言っている。アル=カマル出身なので流石に天儀を案内することは出来ないが、今後一人で歩けるように手帳を持参。 「今日はおやかた様とデートですの♪」 挨拶を済ませてからはぎゅっと白銀狐(ib4196)がおやかた様を抱きしめながら歩き始めている。手には色々詰まった重箱が一つ、今日はお月見をするとの事だったので張り切って大福やら月見団子をいれている。 「ボクはどちらかというと案内される側かな」 自分の後ろ側から異様な気配を感じているミル・エクレール(ib6630)が少し後ろ側で付いていく。とはいえ、今回はおやかた様と楽しむのが目的なのであまり問題はなさそうだが。 ともかくおやかた様と開拓者一同、屋台村までさっくりとやってくる。相変わらずのにぎわい、あちこちから美味しそうな匂いは漂ってくるわ、店主は張り切っているわで、心をくすぐられる。 「くっ‥‥耐え難い‥‥誘惑ですの」 後からおやかた様達とお月見を楽しむためにも今ここで何かを食べ始めるとやめられない止められない上に財布がすっからかんになりそうなので匂いと見た目で我慢‥‥出来ないのでおやかた様の背中にぼふっと顔を埋めて我慢する。 「しかし、天儀はまた色々屋台があるものだね‥‥異文化も入っているからかな?」 きょろきょろと見渡しながらじっくりと屋台を眺めていく、秋の味覚は無いかな、と探していると塩焼きの秋刀魚を焼いている店があったり結構豪快に営業している。‥‥数十秒後、その秋刀魚を頬張っていたりとか。 「と、やっぱり人は居るんだな‥‥流されないようにな!」 おやかた様の片手をぎゅっと握り、流されないようにしつつ進路を確保するレオ、流れで手を握ったはいいものの、心臓がバクバクと言っている。そりゃ女の子の手を握っていればドキドキもするもんだ、と自分に言い聞かせたり。 「大丈夫じゃよ、はぐれてもこやつがいるからなぁ」 ぺしぺしと風間を叩くおやかた様。 「でかいからって目印にするのはどうなんだ?」 ぺしぺしと頭を叩き返しながらはぁ、っと溜息。でも頼りにされているのはそう悪くないとか呟いている。 「ねっ、ねっ!あそこにあるの食べよ!」 ぐいぐいおやかた様を引っ張りながら屋台に連れまわそうとするサフィラ、べったりとおやかた様にくっついているのも丸ごと屋台の方へと引き寄せられる。天儀の屋台にしては珍しいアル=カマルのモノ。 「これ、ケバブって言うんだよ、おいしいから一緒にたべよー?」 と、返事を聞く前に自分とおやかた様の分を注文。何個か種類があるが、ここにあるのはドネルケバブ、垂直の串に肉を刺して積層、それを回転させながら焼き、焼いたところからそぎ落としてパンやら野菜に挟んで食べるもの。とりあえず自分がはむっと食べ始める。久しぶりの地元の味に満足げにはみはみ食べているのを見て、おやかた様も食べ始める。はもはもはも‥‥。 「おー‥‥おいしいのじゃ」 満足げに食べつつ、後ろにいた白銀狐にちょびっとちぎって口にほうりこむ。おいしさのせいか頬がゆるみ財布に手をかける‥‥のを我慢しておやかた様にびったりと張り付きなおす。 「何か、拷問にしているみたいですね‥‥」 八重坂がおやかた様の所業をみながらくすっと笑っている。そして目的の店を見つけてにやにやとしながらミルとおやかた様を見つめる。 「ここまで屋台があると色々迷ってしまう」 手帳に屋台村の場所を書いておいて、あとでじっくりとみてみようと言いながら物色を続ける、流石に屋台の場所に関しては色々と変わるので詳しい事は自分の足で、が一番いいだろう。 「こうまであると目移りしちゃうかな」 ミルも屋台を見つけてじーっと匂いやらを嗅いでみる。目の前にあるのは普通の焼きそば。どちらかというと泰国のたれをかけるモノを見つけてそれを食べ始める。 「美味しい、これ、なんて名前ですか?」 そういうと店主があんかけ焼きそばだぜ?と日焼けした肌に白い歯を見せてにこっと説明する。で、気前がよくなったのかもう一人前もらったのでおやかた様の分を確保に成功する。 そんなわけで歩き回って焼きそばやらケバブやら焼き鳥やらを食べて回りながら屋台村のはずれの辺りまで来ると、ひっそり佇む和菓子屋さんを見つける白銀狐。ぞろぞろ中に入って色々と物色し始める。飴細工の物や餡子の物、羊羹など一通りそろっている。 とりあえずまったりと全員腰かけてから注文していく。しばらくしてからやってきた飴細工のものやら羊羹やらを見つめて。 「すごいね、ここまで出来ると食べるのがもったいないくらい」 ミルがじーっと飴細工を見ながら感心している。その向かいではみたらし団子をはもはも食べているサフィラ、さっきから食ってばっかりだが‥‥きっと別腹なのだろう。「うにゅー♪」とうなりながら食べている。 「なんていうか一味違うんだな、こういうのって‥‥!」 羊羹一切れ食べつつレオが驚きつつ食べている。流石にあんまり騒げないお店なので声を小さくしている。 「んー‥‥おいしいですのー♪」 幸せそうに団子やら羊羹を頬張っている白銀狐、甘いものと可愛いモノには目がないのです。ちゃっかりおやかた様の隣を占拠しているのも。 「こういう店があるといいのう」 満足げにおやかた様も羊羹とお茶を啜りながらまったりしている。時折目の前で八重坂がミルに「あーん」してたりとおもしろい光景が広がっているのもほほえましく見つめながらまったりとした時間を過ごしていく。。 この間にサラファとルキノ、ついでに風間がのんびり屋台を見直していく。次に行く場所の小物屋を先に見つけるのと、もうちょっと秋と夏の両方の味覚を楽しみたいとの事で、意外な組み合わせが屋台村に流れていく。 「なんつーかあまり思い出したくない事を思い出すのは何なんだろうなぁ」 見つけた小物屋を物色しつつ風間がほろりとと黄昏ている。あまり思い出したくない過去を思い出した影響だろう。 「物はそれなりのものを扱っているようですね」 ラ・ラ・モォドで小物についてる貴金属を調べながらもう一度じっくりとそれを見つめている。普通の髪留めだが、ちゃんとした銀を使ってそれなりに装飾もされている。ごちゃごちゃしたものがついてないのもあってかなりすっきりとしたものだ。 「こうやってみると、天儀とアル=カマルの文化の違いが分かるね」 ルキノが自分で付けている装飾品と見比べて、ほうほうと唸っている。文化の違いで装飾品もまた違ってくる。どちらかというと髪飾りが中心のこのお店。そんな事をいっているとお菓子に満足したおやかた様一同と合流してまたわいわいと小物を探し始めていく。白銀狐はおやかた様と一緒の髪留めを物色し始める。ちらちらおやかた様と自分の髪の毛を見ながらじーっと物色。サフィラはジプシーが付けるような装飾品を選びつつ、耳飾りやら簪を後々の為に購入していく。 「偶にはわらわも着飾ってもいいかもしれんのう」 いつもの服の裾を摘まんで伸ばして見つめる。よく見ると結構ぼろぼろだったり直している部分が多い。 「じゃあ、服、見に行きましょう?」 八重坂が途中で見つけた洋服店におやかた様を引っ張っていく。お店的にはすぐ隣なのであとで合流する、と言いながら先に中に入っていく。ついでにミルも一緒に拉致されてたり。 「あ、店員さん、この人に赤と黒のゴスロリ風の振袖を、裾短め、リボン、フリル、たっぷりで」 耳打ちしながらそう伝えるとおやかた様とミルを一緒に奥に連れて行き、しばし待機‥‥その間に線香花火を購入してくる。時間は大切に。包まれた線香花火を片手に戻ってくるとゴスロリなおやかた様とミルがぷるぷると震えている。 「おー、どうじゃ似合うか?」 「な、なんで、ボクまで‥‥」 気に入った様子でおやかた様が鼻歌を奏でている反面、恥ずかしさで裾を摘まんで俯いているミル。破壊力は抜群のようで様子を見にきて覗いていたレオが鼻血を垂らしながら見とれている、まだまだお子様のようで。後ろにいたルキノからハンカチを差し出されてそれで拭きつつ、深呼吸。 「可愛いー♪似合ってるよーっ」 と、言いながら次はジプシーの服ねー?とサフィラがおやかた様を着替えさせる。 「‥‥あー、何か嫌な予感が」 そんな事をしているのを見ていた風間、後ろからぐいぐいと白銀狐が押しながら店に入れられる。微妙に髪飾りを付けていたのを見られていたらしく、似合う似合うと言いながらにっこり微笑んでいる。 「やめ、っての!俺は着ないぞ!もう、着ないって誓ったんだよぉー!」 何故か八重坂やらサラファやらサフィラやら店主が混ざって着せ替えさせられる。合掌。‥‥そんなわけでしっかりとした着物に、髪飾りやら化粧を施した風間が出てくると、女性陣から嫉妬の目で見られる。散々です。 とりあえずゴスロリ風な振袖以外にもジプシーの衣装やら着替えやら小物も済んだの次に魔槍砲の店にたどり着く。 「おやかた様、これどう思います?」 ラ・ラ・モォドで一度見て品を確かめた二品を手渡してじっくりとそれを見つめていくおやかた様。一つは粗悪品、もう一つは高級品。じっくりと手ごたえやらを確かめていき。 「一つは、ダメだな。魔槍砲の全体的な均等が取れてない、もう一つは軽すぎず重すぎず、振り回し、取り回しにも手の加えてる物かの」 ぱちぱちと拍手しながら正解です、というと満足げにするおやかた様。 「で、おやかた様は魔槍砲使ってみたいのか!」 「わらわは別にいらぬのう、表立っての戦闘はわらわ向きじゃないからの」 丁寧に銃を戻しながらそれにこたえる。そんなわけでもう少し色々物色をして、いい感じに日が傾いてきたころをみておやかた様のお屋敷に戻っていく。 帰り道、白銀狐が連れて行った猫又がやっている店は危うくおやかた様がこっちに戻られなくなりそうな反応だったのでまた今度という事になった。可愛がりたいのにぃ、と本気で泣いたおやかた様を引きはがすのは至難の業だったとか。 ●お屋敷 のんびり帰ってわっさりお土産やら、服やら装飾品を持って帰った開拓者一同がまず目の前にしたのは、ゴスロリ風振袖を見て鼻血と涙を流しながら倒れた爺だった。破壊力は折り紙つきです。 「危うく先代と死んだ妻に会う所でした」 鼻を拭きながら爺が立ち上がり、白銀狐が持ってきた重箱やら道の途中で拾ってきたススキ、ついでに和菓子屋のお土産を纏めてもって奥に消えていく。 その間に縁側でみんなのんびりと月を眺めてほっと一息。さっそくちゃんと並べて積み重なったお団子やらススキを爺が持ってきたのでそれをみな、食べつつまったりと今日の疲れをいやしていく。 何だかんだで結局女装した風間が「ついでだからな?二度とやらないからな?」と念を押してから月明かりの下で舞を踊り始める。きっと次もやります。舞を見ながら酌をするものもいれば線香花火(と鼠花火)で騒いでいるものもいれば、食べすぎで動けないものがいたりとか‥‥とにかく楽しいひと時を過ごす開拓者達だった。 |