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■オープニング本文 私の名前は、クラーク・グライシンガー(iz0301)。 民俗学、社会学、生物学にも精通する学者兼『イケメン』冒険家。 世の乙女達は私の魅力溢れる低音ボイスにメロメロ。 罪深き桃色教授とは、私の事である。 そんな私の研究対象は――アヤカシと瘴気。 彼らは何故に生まれ、何を為そうとしているのか。 それを解き明かす事こそ、世界の秘密に迫る事ができるのだ。 ● 「あ〜、いつ来てもここは汚ぇ場所ですなぁ〜」 教授の友人であるガトームソンが、教授の研究室へ足を踏み入れる。 街の郊外にある教授の家は書籍だらけ。前回は虫かごに一週間放置したスイカの香りがしていたが、普段の生活に戻った教授からは強烈な加齢臭が漂っている。 「やぁやぁ、我が友よ。今日はわざわざどうした?」 部屋に放置された書籍の山からひょっこり顔を出す教授。 周囲は埃にまみれて呼吸をするのも苦しい。傍らには食べかけの食糧も放置され、室内は未開のジャングルと言っても過言ではなかった。 「面白い情報を手に入れましてね。教授に教えておこうと思いやして」 「ほう。それはどんな情報だね?」 教授の問いに対して、ガトームソンは黙って右手を差し出す。 「情報を仕入れるにもタダではないんですぜ」 「むう。ならば、仕方ない」 ため息を一つ漏らした教授は、ポケットからコインを数枚取り出してガトームソンへと手渡した。 「へへっ。毎度あり〜。 実はここから数キロ離れた街で、こんな事件が起こったんでさぁ〜」 ● 「うわー、逃げろっ!」 「みんな、街の外へ避難するんだ!」 逃げ惑う人々。 最低限の荷物を持って次々と街の外へ向かって走り出す。 慌てて転ぶ者も数名現れ、街は騒然となる。 ――アヤカシ。 突如現れた複数のアヤカシは、幸せに暮らす街を襲撃。 人々の平和を壊し始めた。 街で暴れ回るアヤカシ達。 しかし、アヤカシ達による怪我人は一人もいない。 何故なら……。 「ナメクジが来るぞっ!」 男の叫び声を受けて、人々は一斉に走り出した。 その後ろからゆっくりと人々を追いかけるのは巨大なナメクジ。その体から手足を生やし、這いつくばってホモォーっという鳴き声と共に移動。常に粘液を垂れ流し、ローションプロレス帰りのデブな親父のように気色悪い。 さらに、このナメクジには恐るべき特徴が備わっていた。 「ダメだ! この付近は既にマヨネーズだらけだ!」 逃げ惑う人々の前に現れたのは、地面や壁一面がマヨネーズ一色に染め上げられていた。このナメクジが徘徊した場所はすべてマヨネーズに塗り固められる。 何故、マヨネーズなのか。 それは、誰にも分からない。 「きゃーっ!」 叫び声を上げる女性。 いつの間にか追いついていたナメクジは、口から黄色い粘液を吐き出した。 その粘液は、マヨネーズ。 人々は、大量のマヨネーズを浴びせかけられ、マヨネーズの海をのたうち回っている……。 ● 「なるほど。マヨネーズか……」 「ええ。今も奴らは街を巣にして徘徊しているそうですぜ。しかし、マヨネーズのアヤカシとは、変わってますねぇ」 独り言のように呟くガトームソンは、そっと教授に視線を送る。 このような怪事件を放り込めば、教授は勝手に妄想を開始。 ――そして。 「これはもしかするとマヨネーズから生まれた新種のアヤカシか? マヨネーズな瘴気が街を覆い隠し、マヨネーズなアヤカシが誕生。彼らは世界をマヨネーズで埋め尽くすまでは止まらないのでは? 彼らを止められるのは言い伝えにある『その者、油の衣を纏いて金色の野に降り立つべし』という伝道師だけなのかも。 ……いや、奴らは七色のマヨネーズを集めて願いを叶える龍を召喚するのではないか? オッス、おらマヨネーズって感じで。 人間の調味料に興味を示すアヤカシ……実に面白い。 仮説は実証して初めて真実となる。早速現地で調査開始だ!」 |
■参加者一覧
エルレーン(ib7455)
18歳・女・志
ゼクティ・クロウ(ib7958)
18歳・女・魔
雁久良 霧依(ib9706)
23歳・女・魔
春風 那琥瑠(ic0170)
18歳・女・魔
夏目 卓(ic0823)
21歳・男・泰
嵩土屋 全(ic1015)
20歳・男・シ |
■リプレイ本文 その街は一色に染まっていた。 家屋の壁も、店の軒先に並べられた商品も、すべてが同じ色。 まるで世界中の色が奪われてしまったかのように錯覚してしまいそうになる。 「なるほど。これが例のアヤカシに支配された街か。」 C・グライシンガー(iz0301)教授は、開拓者と共に目的の街へ到着していた。 友人のガトームソンからの情報によれば、新しいアヤカシが街へ侵攻。教授は新たなアヤカシの生態を調査すべく、開拓者を護衛役にして調査に訪れたという訳だ。 「え? なにこれ? 街が凄い事になっているんだけど……」 エルレーン(ib7455)は、街の惨状を前に愕然としていた。 それも、無理からぬ事だった。 雪であれば白く幻想的な光景にうっとりもするだろうが、エルレーンの前に広がるのはクリーム色の世界。しかもそのクリーム色の物体は微妙にとろみが付いている上、ほんのり酸っぱい香りが漂っている。 「ま、よ、ねーず……何なのこれ、うわぁぁぁぁぁぁ!」 エルレーンは、思わず声を上げた。 エルレーンの前に広がる光景。 それはマヨネーズで塗り固められた世界。 あのサラダを食べる時に調味料として使うマヨネーズが、町中に塗られているのだ。 街中から放たれるマヨネーズ臭が、胃の奥にあるやべぇブツを引き出そうとしている。「奴らめ、体液であるマヨネーズで街を塗り固める事で街全体の自分達の巣としてしまったようだな。 しかし――何故にこの街を巣に選んだのか。 もしかして、妖怪ポストでアヤカシを呼び寄せた者がいるのか。いや、それよりもアヤカシが丘の上に住むアンソニー攻略の為に戦力を集結させたという説の方が……」 眼前に広がる光景を前に、教授はブツブツと推論を重ねる。 新種のアヤカシを前に心が躍る教授だったが、端から見れば挙動不審者だ。 「ふぅん、貴方がグライシンガー教授ね? 噂通り、キュートな方ね♪」 雁久良 霧依(ib9706)は、思い悩む教授を見つめていた。 普段感じない視線を感じ取った教授は、顔を上げて霧依へ向き直る。 「如何にも、私がグライシンガーだ」 「……うーん、思ったほど加齢臭も気にならないわね。これぐらいなら大丈夫」 教授の傍で霧依は、大きく息を吸い込んで臭気を確かめていた。 事前情報で教授は加齢臭がきついと聞いていたが、霧依自身は風呂嫌いな知り合いのおかげできつい体臭には慣れている。アヤカシの調査に差し障っては困ると考え、事前に教授の体臭を確かめたかったようだ。 「初対面で加齢臭を気にするのも失礼な気がするが……今の私は新種のアヤカシを調査する方が優先だ」 少しは気にしろよ。お前の護衛を買って出てくれた二人は、女性なんだから。 しかし、当の教授はまったく気にしない。今から出会う新種のアヤカシに期待を膨らませ続けている。 「あの、教授?」 「何かね、エルレーン君」 エルレーンは顔を背けながら、教授の格好についてある疑問をぶつける事にした。 「新種のアヤカシを調査したいのは分かりますが……何故、街へ入る前からブリーフ一枚なんですか?」 「良い質問だな。 マヨネーズだらけの街へ足を踏み入れれば、どうしても服はマヨネーズだらけになる。私の大切な一張羅が汚れてしまうのを避ける為、最初からブリーフ一枚でアヤカシ調査する事にしたのだ」 教授は胸を張って大威張り。 最初からブリーフ一枚ならマヨネーズで汚れる心配なし。本人曰く『論理的かつ合理的な案』らしいのだが、根本的な問題を抱えている。 「教授、それでもブリーフはマヨネーズ塗れになっちゃいますよ?」 前回依頼を受けた際、エルレーンは教授がブリーフに拘りを持っていると考えていた。遭難して『一週間虫かごに放置したスイカのような体臭』を放っていても、ブリーフだけは頑なに履き続けていた。 今回、街を調査すればブリーフはマヨネーズ塗れになる。 ――しかし。 「ふっ。私の履いているブリーフは汚せても、私の心に履いた純白のブリーフは誰にも汚せないさ」 ドヤ顔で八重歯を輝かせる教授。 その顔面に数発パンチを叩き込みたい衝動に駆られるが、必死で自分を押さえ込むエルレーンだった。 ● 街の中を進んでいく三人。 情報によれば死傷者は出ていないらしいが、アヤカシの襲来で行方不明になっている者もいるかもしれない。新種のアヤカシだけではなく、生存者の捜索にも気を配っていた。 「教授、このマヨネーズをどう思います? アヤカシが吐き出された物ならば、アヤカシを倒せば瘴気戻って消えるのではないかしら?」 「瘴気から生まれ出たのであれば、アヤカシを倒せば瘴気に戻る可能性は考えられる。しかし、アヤカシが何らかの物質を摂取して体内で生成しているのであれば消えないだろう。 いずれにしてもこのマヨネーズを後で分析する必要があるな」 教授は既にマヨネーズをサンプルとして保管しているようだ。 教授が実験と称して早々にスルメに付けて食べ出すかと考えていたが、そこまで阿呆ではなかったようだ。 「以前、キノコを産み出すアヤカシを調査した事があってな。アヤカシはキノコを食べて巨大化する特性があったため、早速私も食してみたのだが……三日三晩の腹痛に悩まされた。それ以来、アヤカシが産み出した物は無闇に食べないようにしている」 教授は実体験で学んでいたようだ。 アヤカシが吐き出した物なんてよく食べようと思ったな……。 「教授! ここに生存者がいますのっ!」 心眼で生存者を捜していたエルレーンは、二人を大声で呼びかける。 そこにはマヨネーズ塗れになった男性が一人助け出されていた。 「おお、街の人間がいたか。貴重な証言を得る事ができそうだな」 「教授、この街のじょーきょーがわかんないの!? 街の人を助けたのに証言が優先なんて……」 エルレーンは真っ当な苦言を呈する。 エルレーンの真面目さを垣間見たが、教授に常識を求める方が無茶であった。 「街を襲ったアヤカシはどんな奴だね?」 ブリーフからメモ帳とペンを取り出して、事情聴取を始める教授。 その瞳は店頭に飾られたトランペットに目を輝かせる少年のような純真さを持っていた。意見が聞き届けられないエルレーンは、大きなため息を漏らした。 「どんな奴って……大きなナメクジに手足が生えたような奴だよ。口からマヨネーズを吐き出しやがって。おかげで街はマヨネーズだらけに……って、誰だお前?」 「ふむ。私はアヤカシの生態と社会性を追求する光の快男児。学者兼冒険家のグライシンガーだ。気軽に教授と呼んでくれたまえ」 「え? 教授? ……って、なんでブリーフ一枚!? まさか、アヤカシか? うわぁぁぁぁ!」 霧依に手渡されたタオルで顔を拭う男性。 マヨネーズに覆われていた視界がクリアになり、顔を見上げてみればブリーフ一枚の親父が教授を自称して詰め寄っている事に気付いた。 至近距離で加齢臭たっぷりの親父が近づいていたら驚くのも無理はない。 「どうしたんだね、君!? もしかして、このマヨネーズには幻覚作用でも持っているのか?」 「分かりませんわ。でも、まずはこの方を落ち着かせましょう。 ――大丈夫ですわ。教授はいつも小汚いブリーフ着用の勘違い紳士なだけです。アヤカシとは無関係です」 霧依は男性を安心させるよう語りかける。 それでも男性は、落ち着く事無く泣き叫んでいる。 「誰か、そのアヤカシを退治してくれ!」 「私をアヤカシと勘違いしているのか。 君、落ち着け。私はジェントルマンなだけでアヤカシではない。 とりあえず……」 メモをブリーフに入れた教授は、突然男性に向かって尻を向けて四つん這いになった。 そして、開口一番――。 「私の尻でも蹴って落ち着くんだ。さぁ、バシっと一発!」 尻を向けて振り向きながら、サムズアップ。 満面の笑顔を浮かべる教授であったが、当の男性はあまりの気色悪さにショックを受けてしまったようだ。 「じゃあ、遠慮無く蹴らせてもらうですの」 四つん這いの教授に近づいたのは男性ではなく、エルレーン。 既に教授の変態的行動に我慢できなかったエルレーンに手加減という言葉は存在しない。全力で教授の尻を蹴るつもりだ。 「……って、お前が蹴るんかいぃぃぃ!」 「じゃまするくらいなら……こないでほしいのっ!」 エルレーンの脚甲靴が教授の尻を捉える。 ご丁寧に足の甲ではなくつま先から蹴り上げた為、教授の割れ目につま先がクリーンヒット。衝撃を受けた教授の体は押し出され、前のめりとなる。 「きゃいん! ……まずい、マヨネーズで摩擦が働かない!」 地面がマヨネーズ塗れだったため、教授は直線上にあったゴミ捨て場へ激突。 マヨネーズと生ゴミの饗宴を全身でたっぷりと浴びる羽目になってしまった。 「冗談だったのに……び、尾てい骨が……」 「さっきのアヤカシはたいじしたから大丈夫なの」 男性の認識に合わせて教授をアヤカシ扱いするエルレーン。 方法はともかく、男性を安心させる事には成功したようだ。 「教授には悪いけど、これでこの方も安心ね」 「そうですの。悪は滅びて……」 そこでエルレーンは言葉を止めた。 その表情には、開拓者としての顔が浮かび上がる。 「ゴメン、まだ安心できないですの。 本命が集まってきているみたいだから」 エルレーンの心眼が、教授以外のアヤカシを発見したようだ。 ● 男性を安全なルートへ逃がしたエルレーンと霧依。 数分後には大型のナメクジが壁を這い回りながら姿を現した。 「手足を生やしただけでも気味が悪いわねぇ。 でも、その生態は興味深いわ」 「数は想定よりも多いみたい。 苦戦しなければ良いのだけど……」 二人の前には多数のナメクジ。情報によれば衝撃系の攻撃は無効化されるらしい。それに対する準備も行っているが、二人だけで何処まで退治できるのか。 おまけに教授というお荷物も抱え込んでいる。 「それでも、依頼ですもの。 倒せなければいけない――違って?」 「ううん、二人だけでも倒して見せる。……紅焔桜っ!」 エルレーンの黒鳥剣は、桜入りの燐光を纏い始める。 そして、鈍足のナメクジが間合いへ入った瞬間――。 「でやぁぁぁ!」 白梅香を発動させた一撃が、ナメクジの体を貫いた。 梅の香りを放つ刀身はナメクジに深々と突き刺さり、串刺しとなって息絶えた。 「おお、衝撃は無効でも斬撃や知覚攻撃は有効のようだな」 復活した教授は生ゴミとマヨネーズ塗れのまま、忙しそうにメモを取り始めていた。 待ち望んだ新種のアヤカシ登場とあって眠っていられないのだろう。 ――しかし。 「メモ帳がマヨネーズ塗れになって文字が書けーんっ!」 メモを取れずに癇癪を起こす教授。そりゃそうだ。 「もう、じゃましないでって言っているでしょ! それより、マヨネーズのせいで足下が滑って踏ん張りが利きませんの」 迫るナメクジに黒鳥剣を振るい続けるエルレーンだったが、思わぬ苦戦を強いられる。 剣技は足で地面を掴み、必殺の一撃を敵に叩き込む。 だが、地面がマヨネーズ塗れの為に足に力を入れる事ができない。この為、ナメクジを一撃で倒す事ができず、一匹倒すまでに数発叩き込まなければならない。 「ホモーっ!」 ナメクジが鳴き声を上げながら迫り来る。 その鳴き声を聞いた霧依は、ついにナメクジ掃討に向けて行動を移す。 「その鳴き声……やっぱり、試す価値はありますわね」 霧依が取り出したのは一冊の本だった。 見るからに極端にページ数の少ない本だ。黒字に赤という独特の配色、表紙には『服部半蔵×鈴鹿薫 闇に紛れる欲望は――誰にも止められない!』という謎の単語が書き込まれていた。 「夏の開拓ケット用新刊よ。今が旬な少年忍者カプ! 任務と愛の板挟みに少年忍者達が悶え狂う! さぁ、良く見るといいわ」 霧依は薄い本をナメクジへ見せつけるように見開いた。 そこには線の細い登場人物達が薔薇の花弁が舞い散る中、裸体で絡み合っていた。 「きゃっ! なんでこんな時にそんな本を……」 本の内容を見てしまったエルレーンは思わず顔を背ける。 パンツの親父やBL本に顔を背け続けるエルレーン。今回の依頼はいろいろ忙しい。 だが、この本に思わぬ反応を示した奴らがいた。 「ほ、ホモーっ!!!」 先程まで人が歩くよりも遅かったナメクジ達が、霧依に向かって動き出した。しかも、手足を高速で動かし、霧依へまっしぐら。ショタ系BL本に超反応したナメクジは興奮気味だ。 「やっぱり食いついたわね! ほーら、ほら! 新刊よ。開拓ケットの新刊はこれ以外にも『武帝×大帝』もあるわよ。己の国と愛を両天秤にかけて揺れ動く完全新作ストーリー! 詳しくはこの新刊に入っているチラシを見なさい」 その効果は絶大で、付近のナメクジは一斉に霧依へ向かって動き出す。 そして、十分な広さにまでナメクジを誘き寄せたところで霧依は振り返る。 「でも……あなた達にはあげないけどね」 次の瞬間、ナメクジを激しい吹雪が襲い掛かる。 霧依が発動したブリザードストームは、柔らかいナメクジの体を凍り付かせて一網打尽。マヨネーズの世界は一瞬にしてナメクジ達の墓標へ早変わりだ。 「素晴らしい。ナメクジを一気に倒すだけでなく、BL新刊でナメクジが反応する事を実証するとは。霧依君の洞察力は大したものだ!」 賞賛する教授。 だが、ここでエルレーンが大きな問題に気付く。 「あれ? ナメクジを倒してもマヨネーズは消えないよ?」 「ん? 確かにそのようだな。やれやれ、後が大変そうだ」 既に戦後の事を心配する教授。 一方、二人だけでもナメクジを掃討する確信が持てたエルレーンはそっと胸を撫で下ろした。 ● その後。 開拓者達はナメクジを掃討し、街の人々と共にマヨネーズ掃除を続けていた。 解剖してもすぐに瘴気に戻ってしまう為、マヨネーズ生成の謎は不明のままだ。 だが、街中の油と卵が消えていた事からナメクジ達がそれらを食していた事は想像できる。やはり、材料を食べて体内でマヨネーズを作っていたようだ。 残る問題は……。 「うぇぇぇん! 体がマヨネーズ臭いですの」 ナメクジと戦闘した上に掃除をした結果、三人の体からマヨネーズ臭が漂っていた。霧依の方は自慢の豊満ボディをマヨネーズ塗れにして楽しんでいたようだが、生真面目なエルレーンは楽しむ余裕などなかった。 「髪にまでべっとりマヨネーズ。 もうしばらくマヨネーズ食べられない……」 よろよろと歩きながら、風呂へ向かうエルレーンだった。 |