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■オープニング本文 「ちっ、この街はハズレだな。ロクなモンが無ぇぞ」 「だな。どこ探しても金目の物が見付かんねぇ」 「お前らの探し方が悪いんだろ? アタシは一儲けさせて貰ったよ」 人気のない街に、不穏当が発言が響く。声の主は、男2人と女1人の3人組み。どう見ても『善良な一般市民』というカンジではない。 『火事場泥棒』という言葉をご存知だろうか? 火事や避難の混乱に乗じ、盗み等で利益を得る事なのだが…この3人は、避難した街を狙って理穴中を荒らし回っていた。 大規模な戦闘が連続している今、故郷を離れている一般人は多い。空き家が多い上、周囲に人が居ないため、やりたい放題である。 「ほらほら! 無駄口叩いてるヒマがあるなら、さっさと仕事しな!」 リーダー格の女性が、男性2人に発破をかける。これだけの元気があるなら、真面目に働いた方が儲かる気もするが。 『あの〜…ここで何をしてるんですか?』 何の前触れも無く、背後から聞こえてきた声。驚愕の表情を浮かべながら、3人は素早く振り返った。 そこに居たのは、黒いロングスカートのメイド服を着た少女。手には大きなホウキを持っているが……どう見ても、場違いな雰囲気である。 「なんだ、ガキかよ。仕事の邪魔だ、消えろ!」 威嚇するように男性が叫ぶが、少女に怯える様子は無い。それどころか、不思議そうに小首を傾げている。 『仕事? 誰も居ない街で? もしかして…泥棒さんですか?』 「ああ、そうさ。何かモンクがあるのかい? ガタガタ言ってると、奴隷商人に売り飛ばすよ!」 開き直って声を荒げ、怒りの表情を浮かべる女性。多分、少女を脅して追い払おうとしているのだろう。 彼女の思惑を打ち破るように、少女はゆっくりと歪んだ笑みを浮かべた。 『そう…ですか。お姉さん達は、根性が腐った最低の人間ですね。そういうゴミみたいな人間は…』 言葉と共に、周囲の瘴気が集まって渦を巻く。それがホウキに吸い込まれた直後、巨大な鋏へと形状を変えた。 『私が、お掃除しちゃうぞ♪』 驚いているヒマも無く、3人の首が胴から離れる。吹き出す鮮血が地面に広がると、泥棒達の死体が血の池に崩れ落ちた。 少女が腕を振り上げると、手の平から大量の瘴気が発生して死体と血の池を包む。数秒後…瘴気が消えるのと同時に、骸と血液も消えていた。 『ふふふ…お掃除、終了♪』 楽しそうに少女が呟くと、鋏がホウキに戻る。そのまま、彼女は街の奥えと消えていった。 |
■参加者一覧
緋桜丸(ia0026)
25歳・男・砂
星風 珠光(ia2391)
17歳・女・陰
水月(ia2566)
10歳・女・吟
アリシア・ヴェーラー(ib0809)
26歳・女・騎
アルバルク(ib6635)
38歳・男・砂
霧雁(ib6739)
30歳・男・シ
星芒(ib9755)
17歳・女・武
草薙 早矢(ic0072)
21歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ● 「ヒャッハー! こんなとこに銭隠してやがったぜぇ! 奪って奪って奪い尽くしてやるぜー!」 無人の街に響く、ハイテンションな叫び。その方向では、ピンクのモヒカン男…霧雁(ib6739)が空き家から金品を盗み出していた。上半身裸で肩鎧を装着している姿は、かなり世紀末なファッションスタイルである。 「ヒャッハー♪ こっちにもあったよ! 大漁大漁〜♪」 嬉しそうに微笑みながら、金髪碧眼の少女…星芒(ib9755)が違う家から姿を現す。両手で光る、宝石や装飾品の数々…これも、空き家から持ち出したのだろう。 「次は、あの屋敷を狙ってみようか。良いお宝がありそうだし」 そう言って、星風 珠光(ia2391)は立派な門構えの屋敷を指差した。彼女は金品を持っていないし、服装は普通の浴衣姿だが…身長の倍近い巨大な鎌を携えている。 彼女達の正体は、開拓者。この街に現れた『泥棒だけを狙うアヤカシ』を倒すため、盗賊のマネをして囮になっているのだ。 囮役として、盗賊のマネをしている者がもう1人。瞳を固く閉ざしたまま、アリシア・ヴェーラー(ib0809)は大きく溜息を吐いた。 (フリとは言え…あんまり気乗りはしませんがねぇ。皆様はノリノリですが…) 今回倒すべきアヤカシは、黒いメイド服を着た少女の姿をしているらしい。奇しくも、今のアリシアと同じ格好である。開拓者兼メイドの彼女には、色々と思うところがあるのだろう。 アヤカシを警戒しつつ、屋敷に向かって移動する開拓者達。そんな彼女達を尾行し、物陰から様子を覗いている人影が2つあった。 「もうちょいと、こう……下衆な感じが足りねぇな。ちゃんと物取るつもりで探さねえとイケねえぜ」 片手で小さなジェスチャーを送りつつ、不敵な笑みを浮かべるアルバルク(ib6635)。このままアヤカシが出なかったら、囮役を代わるために飛び出しそうなイキオイだ。 隣で話を聞いていた緋桜丸(ia0026)は、思わず苦笑いを浮かべた。 「そいつは無理な注文だろ。囮の大半は、可憐なお嬢さんだしな」 言いながらも、緋桜丸の視線は囮役を向いている。女性を守るのは男の務めだと思っているため、いざという時は助けに入るつもりなのだろう。 緋桜丸達が見守る中、囮役は屋敷に到着。そのまま、4人は庭へと脚を踏み入れた。彼女達を追い、アルバルク達も屋敷の門の隣に移動。そのまま、コッソリと中を覗き見た。 視界に映ったのは、屋敷に入ろうとする4人の後姿と、収束する大量の瘴気。ほんの一瞬で、瘴気は『メイド服を着た小柄な少女』に姿を変えた。 『あの…この屋敷に何の御用ですか?』 背後から声を掛けられ、囮役4人は反射的に振り向く。視線の先に居たのは、大きなホウキを持ったメイド少女。目撃情報が正しければ、この少女がアヤカシなのだが…。 「キミには関係ないでしょ? それとも…この鎌のサビになりたい?」 正体を見極めるため、珠光は悪役になりきって指先で鎌の刀身をなぞる。その視線は、17歳の少女とは思えないほどに冷たく鋭い。 「誰だか知らないけど、きみを排除したほうが安心して仕事に励めるしねぇ…」 物騒な言葉を口にしながら、ニヤリと笑う星芒。彼女なりに精一杯ワルぶって、悪人のような不敵な表情を浮かべている。 『随分と物騒ですね〜。もしかして…泥棒さんですか?』 開拓者達の迫力に物怖じする事なく、小首を傾げながら言葉を返す少女。どうやら、興味を引く事には成功したようだ。 「さて…私達が泥棒だったらどうしますかね? 泣いて命乞いでもしますか?」 未だに目を閉じたまま、アリシアが挑発的な言葉を掛ける。凛としたメイドにしか見えない彼女が言うと、違和感が尋常ではないが。 「ゲフフフ…そうすりゃ、命だけは助けてやるよ。まぁ…ちょっと『味見』してから売らせて貰うけどな!」 下卑た笑いと下衆な発言に加え、手をワキワキさせる霧雁。このまま道を踏み外してしまいそうで、少々心配になってしまう。 『よかった…メイドさんが一緒だから違うかと思ったけど、見た目通り悪い人達ですね!』 「おっと、『人は見かけによらない』て言葉を知らないのか? こう見えても、俺達は善良な一般市民なんだぜ?」 言葉と共に門から姿を現し、アヤカシの退路を塞ぐアルバルク。彼自身は不敵な笑みを浮かべているが、他の開拓者達は何かを言いたそうである。 『嘘ばっかり! 悪い人は…私が、お掃除しちゃうぞ♪』 アルバルクの言葉をキレイに否定し、アヤカシは笑顔でホウキを振った。と同時に、周囲の瘴気が集まって鋏を形成。どうやら、ヤル気満々のようだ。 幸か不幸か、屋敷の庭は広く、周囲は高い塀で囲まれている。戦闘行動の邪魔になりそうな物は無いし、充分に戦う事が出来るだろう。 「お掃除? きみの『それ』は捕食でしょ! あと、そう簡単に倒せるだなんて思わないでね♪」 星芒はツッコミを返しながら、薙刀を構える。彼女同様、他の仲間達も兵装を握り直して身構えた。 直後。白い人影がアヤカシの背後に現れ、黒い布で敵の脚部を斬り裂く。誰もが驚愕の表情を浮かべる中、傷口から瘴気が溢れ出た。 「オイタは『めっ!』なの…」 白い影の正体は、水月(ia2566)。彼女は近くの空き家に隠れていたが、アヤカシの出現を察知して屋敷に急行。門の外から状況を確認し、瞬間的に加速して神速の不意打ちを放ったのだ。 「囮作戦は終わりでござるな。アヤカシ、死すべし…!」 静かに呟いたのは、意外にも霧雁。数分前の小悪党のような雰囲気はどこへやら。地面を蹴って素早く移動し、アヤカシの死角に潜り込んだ。 間髪入れず、両手の苦無を一気に投げ放つ。黒い刀身が敵の脚に突き刺さり、傷口から瘴気が溢れ出た。 「可愛らしい御嬢さんを寄ってたかってだなんて気は進まねえが…そこんトコは割り切って、『割り斬らせて』貰おうかね?」 中高年男性特有の駄洒落を口にしたアルバルクは、集積させた練力と精霊力を開放して一時的に身体機能を強化。敵との間合いを一気に詰め、2本の曲刀で斬撃を繰り出した。 が、2度の直撃を喰らったアヤカシは警戒を強めていたのか、開拓者の居ない方向に跳躍。結果、アルバルクの斬撃は左腕と右腿を浅く斬り、瘴気が舞い散った。 アヤカシが着地する隙を狙い、珠光、アリシア、星芒の3人が距離を詰める。タイミングを合わせ、3方向からの同時攻撃…迫り来る切っ先を避ける場所もなければ、防御を固める時間も無い。 ハズだった。 3人が攻撃を放った瞬間、アヤカシの姿が残像のように消える。驚愕するより早く兵装同士が衝突し、周囲に金属音と火花が散った。 開拓者達の周囲を黒い影が駆け巡り、瘴気が宙に舞い上がる。それは、開拓者と同等か、それ以上の加速能力。アヤカシは瘴気を操って圧倒的加速を生み出し、3人の攻撃を回避したのだ。 「ち、速い…!」 アリシアは目を見開き、視線を巡らせる。青い瞳がアヤカシの動きを捉えた瞬間、鋏が高速で迫ってきていた。 咄嗟に、盾を構えながら体を捻るアリシア。鋭い切っ先が彼女の脇腹を掠め、盾と接触して火花が舞った。 アヤカシの動きは、想像以上に速い。一般人には、姿を捉えるどころか影すら追えないだろう。敵の動きを止めるため、緋桜丸は口内に練力を集めた。 「箒を持ったお嬢ちゃん。俺と『イイコト』しないか?」 言葉に力を込め、アヤカシに向かって声を放つ。かなり悪党っぽい台詞だが…それが周囲の空気を震わせ、敵の聴覚を刺激。緋桜丸の声が注意を引き付け、アヤカシの動きが一瞬止まった。 その『一瞬』を逃さず、星芒は全身の精霊力を活性化させて薙刀を突き出す。素早い刺突が敵の脇腹を斬り裂き、瘴気が噴き出した。 『7人が相手じゃ、ちょっと厳しいかな。ここは…』 言うが早いか、アヤカシは加速しながら塀に向かって疾走。恐らく、このまま塀を跳び越えて逃げるつもりなのだろう。 7人がアヤカシを追おうとした瞬間、茂みからロープが飛び出して敵の脚に絡みつく。倒れないようにアヤカシが踏ん張ると、1本の矢が飛来して足甲を射抜いた。 「悪いが、私も居るぞ。罠を設置して正解だったな」 門の上から響く、女性の声。全員が視線を向けると、そこには篠崎早矢(ic0072)の姿があった。 彼女はアヤカシの現れそうな場所に罠を仕掛け、遠距離から様子を見ていた。しかも精霊力を駆使して迷彩を施したため、罠の存在に気付いた者は誰も居ない。 敵の逃亡を防ぐため、水月と霧雁が一気に距離を詰める。アヤカシは再び加速したが、元々俊敏性の高い2人の動きは敵に勝るとも劣らない。 アヤカシが外に出ないよう、珠光は門を閉鎖。門を背にして片膝を突き、右手で軽く地面に触れて特殊な真言を唱えた。 と同時に、珠光の体に瘴気が吸収され、容姿が変化していく。赤い長髪が白銀に染まり、全身や大鎌から青白いオーラが静かに立ち上っている。 珠光の家系は特殊で、アヤカシを使役する研究を進めていた。その成果が、今の彼女。特異なアヤカシを身体に封印し、使役する事に成功した。一部の術を使う時に力を借りて増幅するため、容姿が変わってしまうのだ。 その分、珠光の身体能力も強化されている。そう…メイドアヤカシの動きに追い付ける程に。 高速移動を繰り返すアヤカシに、それを追う珠光、水月、霧雁。緋桜丸、アリシア、アルバルクは動きを目で追いながら攻撃や回避を行い、星芒と早矢は敵の動きを先読みして攻撃を繰り出している。 勝負は、一進一退。アヤカシも開拓者も無傷で済んでいないが、致命傷と呼べる負傷も無い。 「フッ、大胆な娘も嫌いじゃないが…もう少しお淑やかに頼むよ」 誰もが長期戦を覚悟し始めた時、緋桜丸はアヤカシの腕をガッチリと掴んだ。まるで、お転婆娘を注意するような優しく紳士的な発言…この一言だけでも、彼の伊達男ぶりが窺える。 突然の事に驚愕したのか、アヤカシの動きが止まった。その隙を狙い、アルバルクが一瞬で敵の懐に潜り込む。 「シャムシールってよう、交差させて挟み込むとハサミみてえだろ?」 踏み込みながら赤と白銀の曲刀を構え、両腕を交差。そのまま左右に振り抜くと、刀身が真空の刃となって敵の胴を深々と斬り裂いた。 深手を負い、顔を歪ませるアヤカシ。緋桜丸の体を蹴って無理やり腕を外すと、誰も居ない方向へ跳び退いた。着地と同時に加速し、星芒に急接近して鋏を突き出す。 星芒は瞬間的に精霊力を開放し、刺突を見切って兵装で弾いた。そのまま大きく踏み込み、薙刀を全力で叩き付ける。矛先が敵の脇腹を抉り、穴を穿った。 「少し、止まりなさいっ!」 アリシアの叫びに呼応し、全身のオーラが一気に活性化。戦闘能力が高まった状態で、彼女は盾を構えて一気に突撃した。圧倒的な衝撃が敵の全身を駆け抜け、傷口から瘴気が漏れ出す。 追撃するように、早矢の正確な弓撃がアヤカシの膝を射抜いた。更に、2射目が太腿を貫通。度重なる負傷に、敵の体が大きく揺らいで片膝を突いた。 『何で…何で、私の動きに付いて来れるの!?』 自身の速度に追い付かれたのが信じられないのか、開拓者達を見渡しながら叫ぶアヤカシ。まるで、癇癪を起こした子供のようだ。 「確かに、あなたは速い。が…この短時間で何度も高速移動を見せられたら、目も慣れるさ」 アヤカシの問いかけに答えながら、早矢は口元に笑みを浮かべた。開拓者達の身体能力は、常人よりも遥かに高い。無論、それは動体視力も然り。 (私達が高速で追い掛けたのも、早く目を慣らすため…なの) 口には出さず、水月は小さく拳を握った。もっとも、彼女は速さの応酬でも負けない決意で臨んでいたが。 瀕死のアヤカシに向かって、珠光は大鎌を突きつけた。 「なぜ、『悪事を働く人間』を狙うの? 人間を狙うなら、無差別に行く方が効果的でしょ?」 答えが返ってくるか分からないが、質問の投げ掛ける。アヤカシを宿す身として、敵の心情に興味があるのだろう。 珠光の言葉に、アヤカシは小首を傾げた。 『ん〜…何でだろ? 考えた事もないなぁ。あなた、分かる?』 予想の斜め上をいく、意外過ぎる返答。どうやら、このアヤカシは本能的に襲う人間を選んでいたらしい。 「あ〜…聞いたボクが馬鹿だったね。悪いけど、もうキミに興味は無いよ」 呆れて溜息を吐きながら、珠光は大鎌を振り回す。風圧で揺れる頭髪と、虚空に描かれた斬撃の軌跡は、まるで銀色の糸。白銀の閃光がアヤカシの右腕を捉え、切断した。 「そろそろ幕引きだ。おやすみ…お嬢ちゃん」 静かに呟いた緋桜丸の瞳が赤く輝く。至近距離から短銃を放ち、肩口に穴が穿たれるのと同時に剣を斬り上げた。その一撃が、アヤカシの左腕を斬り落とす。 両腕を失ったアヤカシの体から、瘴気が一気に噴出。それが視界を覆うより早く、水月と霧雁は莫大な練力を使って術を発動させた。時の流れに作用し、一時的に時間を停める技。全てが停止した空間を、2人だけが動いている。 黒い布を手に、流れるような動きで軽やかに舞う水月。髪や衣服の白と、戦布の黒が入り混じり、黒白がアヤカシの体を斬り裂いていく。 彼女の動きに合わせて、霧雁は高速動作から無数の苦無を投げ放った。疾風と化した霧雁から伸びる、迅雷の如き投擲。それがアヤカシの全身を貫通し、穴を穿った。 停止していた時間は、約3秒。再び時が流れ始めると、アヤカシの体が瘴気と化して弾け散る。時が止まっている間に、勝負はついていたのだ。 「素早さだけじゃ辿り着けない領域もある……の」 「左様。拙者達の速さは、時間さえも支配する…サヨナラでござる、メイドアヤカシさん」 水月と霧雁の言葉は、瘴気と共に風に吹かれて青空の彼方へ消えていった。 ● (次、生まれてくるときは、まっとうなメイドさんになってね……) 消えたアヤカシを想い、空を仰ぐ水月。『正義のメイドさん』を期待していただけに、落胆も大きかったようだ。 「さて、と。アヤカシは退治したし、清掃でもしようか。戦が終わったら、町の人達が元の生活に戻れるように……ねっ☆」 言いながら、無邪気に微笑む星芒。彼女に同意し、開拓者達は手分けして作業を始めた。 設置した罠を回収し、盗賊のマネをした時に使った金品を返却。ついでに町中のゴミを拾い、戦闘した屋敷の庭は綺麗に整備した。 作業の最中、早矢は音をたてないように移動し、アリシアの背後に回った。そのまま、彼女の魅力的な尻を狙って素早く腕を伸ばす。 「はい、早矢様。余計な真似は慎みましょうね?」 が、アリシアにはお見通しだった。簡単に手を掴まれ、デコピンが早矢を直撃した。 「む、バレてしまったか。残念だが…次の機会にするとしよう」 2人のやりとりに、周囲から自然と笑みが零れる。この笑顔を広げるために、彼らは戦っているのかもしれない。 |