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■オープニング本文 ──事件の冒頭 大勢の人々で賑わう街。 ここ泰国中央にある『桃華(とうか)』は、ここ最近になって一つこまった出来事が起きはじめていた。 まあ、具体的に書くと赤マントについてのことなのだが面倒くさいのでここでは割愛。 其の日、大桃華飯店では、御存知? 諸葛先生が静かに食事‥‥もとい大宴会を行なっていた。 何でも、諸葛せんせいがこの街から離れ、泰国の東方にある大きな貿易都市へと引越しするらしいのである。 ちなみにここで酒を飲んでいる諸葛先生は、あの噂の『呑む、打つ、買う』の三拍子揃った先生の方であると伝えておこう。 「先生、ついにここから離れてしまうのですか‥‥寂しくなりますねぇ‥‥」 「いやいや、私としてもいつまでもこの街の近くに居たいのですが‥‥まもなく風龍八十八聖がこの街を襲うと聞いたもので、早々にこの街から出ていくことにしました‥‥はっはっはっ」 とまあ、そんな話をしていたのであるが、飯店で酒を飲んで酔いしれていた人々にその話は伝わっていなかったらしい。 そして翌日早朝。 諸葛先生は裏門からコソコソと旅にでてしまった。 ──そして朝 桃華の正門と裏門に大勢の『風龍八十八聖』の手下達が姿を表わすまでは‥‥。 「さて、我は『臥天人・碓一(がてんじん・たいいつ)』。風龍八十八聖の長である『魏王』の名により、この街を封じる!!」 そう叫ぶと同時に、臥天人・碓一は街の中に手下を突入させた‥‥。 |
■参加者一覧
霧崎 灯華(ia1054)
18歳・女・陰
桐(ia1102)
14歳・男・巫
巴 渓(ia1334)
25歳・女・泰
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
斉藤晃(ia3071)
40歳・男・サ
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
九条 乙女(ia6990)
12歳・男・志
かえで(ia7493)
16歳・女・シ |
■リプレイ本文 ●血の惨劇 ──桃華・正面門 がっちりと閉じられた正面門。 外には風龍八十八聖の盗賊や泰拳士たちが待機し、さらに内部にも大勢の手下達が飛込んできている。 すでに町の中は阿鼻叫喚の地獄絵図、戦う力の内人々は家の中に閉じこもり、風龍八十八聖から逃れようと息を潜めている。 また、戦う意志を持つ多くの人々は、町の中で走りまわっている風龍八十八聖の手下達に向かって戦闘を仕掛けている。 町の中にある泰拳士道場の殆どが臨戦体勢に突入、近くを通りかかった敵や、その魔の手から逃れようとしている人々を道場内部に避難させていた。 「あ、あの。この街を包囲するって、あなた方は何人くらいでいらしたのですか?」 近くで街の手練れを捜していた盗賊の一人に向かって、霧崎 灯華(ia1054)がそう話し掛けている。 これも実は彼女の作戦。 武器は隠し、色仕掛けも交えて、か弱い女性が逃げていますという感じを醸し出しつつ、そう話し掛けてきたのだが。 ──ズバァァァァァァァァァァァァァッ 盗賊は躊躇せずに霧崎に向かって切りかかる。 その巨大な青竜刀の一撃は躱わしきれず、肩口から袈裟ぎりに切り裂かれた霧崎。 「くっ・・・・と、突然なんですかっ・・・・」 「我々の姿を見て逃げるのならいざ知らず、近寄ってきて話し掛けるなんていうことは普通の神経の持主じゃないな・・・・貴様、開拓者だろう?」 そう告げられて、霧崎は後方に下がりニィッ笑う。 「そうだとも。戦いだけの馬鹿ばっかりと思っていたが、そこそこに頭はまわるみたいだねぇ・・・・」 と告げつつ、ゆっくりと身構える。 「さあ、血の宴を始めましょうか・・・・」 ──ギイン!! その一言が戦いの合図。 霧崎の放った斬撃符により生み出された構いたちの一撃を、盗賊は青竜刀で受け流した。 「ふん。相手が街の人間ではなく開拓者というのなら、戦い方を変えざるをえまい。斬撃符ということは、貴様陰陽師か・・・・」 と告げて少し間合を取る盗賊。 「ちっ・・・・そこまで判って居るのなら話は早いわ。血反吐を巻散らしてとっとと死ねっ!!」 再び間合を取って斬撃符を放つ。 ──ギィン だが、今度の一撃も青竜刀で受け流されると、そのまま返す刀で一撃を叩き込まれる霧崎。 今度は逆袈裟に切り上げられ、胸許までばっくりと衣服が切り裂かれる。 そこからおびただしい鮮血が吹き出すが、それでも霧崎は怯むことなかった。 「久しぶりの血化粧ね・・・・あー愉しい♪〜」 でに意識がかなりぶっ飛んでいるのが判る。 霧崎自身、そう呟いたものの大量の血が流れている為、かなり意識が飛び掛かっている。 (ちょっと回復しないと・・・・) と、こっそりと吸心符を手に取ると、それを素早く発動させる。 瞬時に符が蜘蛛の姿となり、盗賊に向かって襲いかかる。 だが、それすら切り捨てられると、いよいよ接待絶命になる霧崎。 ──同タイミング ギリリリリリリリリッ 力一杯弓を引いているのは『雲母』である。 ちなみに彼女のターゲットはただ一人ということになっていた。 霧崎がかなり絶対絶命ということもあり、大将の首からターゲットを変更、射程ギリギリから強射、鷹の目を併用しての遠距離攻撃を仕掛けはじめた。 これにより、霧崎は辛うじて死から逃れられたが、同時に大将の首を雲母(ia6295)は見逃してしまった事になった。 「まあ、命が大切ですから!!」 と著距離支援にてっした その結果、桐と霧崎にょって市街地西方はなんとか敵の手に落ちる事なく完全回収を行っていました。 「引き続き、助太刀します!!」 そう叫んで突入したてきたのは九条 乙女(ia6990)。 そのまま霧崎の楯となりつつも、九条はひたすら敵の殲滅を続けていった。 ──その頃 (参ったわ・・・・ここまで徹底されるとどうしたらいいのかしら・・・・) 桐(ia1102)は内心焦っていた。 敵風龍八十八聖の中でも、おそらくは情報収集を得意とする存在がかならずいる筈である。 そいつらが街の外にでて、待機している風龍八十八聖本部隊に情報をもたらすのではと思い隠れてその様子を伺っていたのであるが。 それらしい情報を持った人物、業者などをチェックしてみたものの、全て白である。 街の中では今だ戦闘が続いており、加えてそとからの 侵入よる被害がほとんどである。 そんな情況で、街の外に逃げようとするものはいるものの、その難しさに断念し街からでれなくなっているらしい。 「もう少しここで待機していた方がよさそうですけれど・・・・」 と告げつつも、桐はもう少し敵の動きをじっと見ていることにした。 「ここまで敵の中に情報伝達する者がいないというのも・・・・」 桐のいる場所から少し上の建物で、斉藤晃(ia3071)がそう吐き棄てるように呟く。 「内部の情報を以って走る存在がいないと・・・・?」 と、桐と斎藤がほぼ同時に伝令の姿を確認した。 もっとも、桐達の懸念していた『街の人に変装している』のではなく、純粋に敵のトレートレれであろう『赤い肩布』を身につけていた。 「アレを捕まえて吐かせるか・・・・」 ゴキゴキッと拳を鳴らしつつ、斎藤はその人物にターゲットを絞ると、桐と一緒にそいつを捕まえに向かった。 ──さらにその頃 「こっちの道場では、今の所敵の殲滅情況はどうなっているんだ?」 とある道場でそう叫んでいるのは巴 渓(ia1334)。 各地の道場をまわり、それぞれの戦局を確認しているところであるらしい。 「敵に関しては不明だ。倒したり倒されたりが繰り広げられているからな」 そう告げられて、ふと巴は周囲をみわたす。 そこには、あちこちで戦いに巻き込まれた民間人が避難し、傷の手当をうけている所であった。 「ちょっと済まない。手が足りないんだ、っちの人の手当を頼めるか?」 そう道場主に問い掛けたもののあっさりとそう切替えされる巴。 「え? いや、ちょっと・・・・」 「あんたはそっちの人を頼む」 という事で、情報収集がてら怪我人の手当行う巴であったとさ。 ──更に別の場所 凛安正統泰拳道場。 そこを訪ねていたルオウ(ia2445)は、すでに戦闘に突入していた。 ここの道場を襲った敵の数はざっと30以上。 門下生達でなんとか護っていたものの、実は人手不足であった。 そこに情況の確認にやってきていたルオウと、さらに襲撃を仕掛けてきた盗賊の攻撃により、ルオウもまた護りに入る事となった。 ──ガギンギンガギン 素早く攻撃を仕掛けているのはルオウ。 だが、盗賊達はそれらの攻撃を次々と躱わす。 それに対して、ルオウはすかさず道場門下生と連携を組む。 「ガキだと思ってあんまし甘く見んなよ!いくぜぃ!」 そのまま威勢よく反撃にでるが、やはり多勢に無勢。すぐさま敵もまた援軍を受け取って反撃を行なっていた。 「ちっ・・・・情況が悪すぎる・・・・」 そう舌打ちを打つルオウ。 それでもなお戦いを続けるしか無かった・・・・。 ●襲撃ポイント ──桃華・両替商 「急いで避難してください。重い荷物で貴重品でないものは置いていってください」 襲撃直後、かえで(ia7493)は街の中に在る両替商の元に走りこんできた。 盗賊の襲撃が起こったのなら、ここが真っ先に襲われる筈。 そう考えたかえでが両替商の本に駆けつけたのはよかったものの、店員たちとかえでだけでは、ここにある貴重品全てを持ち出すことはできない。 ──ドドドトドドドトドドドドドドドドッ やがて数名の盗賊が両替商の正面までやってくる。 「さて、ここにある貴重品全て出してもらおうか・・・・」 「出さなければ、お前たちの命の保障はしない」 「判ったらとっとと出しやがれ!!」 そう叫ぶ三人の盗賊。 だがかえではその3人の前に一歩進むと、いきなり口を開いて叫ぶ。 「ここらには街の人々から預かった大切なものがあるんだよっ。それをアンタ達にわたさなけりゃあならない義理はないわよっ」 そう啖呵を切った刹那、『珠刀・阿見』を抜刀し、ゆっくりと構える。 「女っ。一人でどうにかなるとでも思っていたのかよっ!!」 そう叫んで一人の男が大青竜刀を構え、かえでに向かって振り落とした。 ──ドスッ!! と、突然盗賊の背後から一条の矢が飛来し、かえでに向かって襲いかかつていった手下の胸部にふかぶかと突き刺さった。 「なっ!!」 そう叫ぶと同時に、さらに大量の矢が飛来し、まずは一人の盗賊を血祭にあげた。 「とっととあんたたちの大将のに伝令でもしてきなさいっ。貴方たちが思っているほと、この街の短穴力は弱くありませんってね」 その言葉を聞いて、盗賊達は街の外へと走ってむかった。 そののち、街の外から高らかな笛の音が響き渉ると、都市内部にまで食い込んでいった大勢の盗賊達が一斉に退去を開始。 同日夕方には、街を取り囲むような形で風龍八十八聖が待機し、そして翌朝にはその姿さえ消えてしまっていた。 ──そして 今回は無事に街の被害を最小限に止めたものの、いつまた風龍八十八聖が襲ってくるとも限らない。 その不安定な生活から、街の人たちの中には、ここから東方に位置する泰国東方城塞都市『凰凱(オウガイ)』へと移住するものたちもではじめた。 一刻も早く、この風龍八十八聖をどうにかしなくては、人々の心にかかる暗雲ははれる事がない・・・・。 ──Fin |