|
■オープニング本文 ──事件の冒頭 ここは寒風吹きすさぶジルベリア。 その山間にある小さな村では、ちょっとした事件が起こっていました。 今の季節、降り積もった雪により一面銀世界。 村では農作業ではなく、こまごまとした工芸によって生計を建てている人たちが大勢います。 子供達はいつものように雪を楽しみ、雪だるまや雪合戦など、北国ならではの娯楽を楽しんでいるようですが。 とある朝のこと。 「あーーっ、巨大な雪だるまだぁぁぁ」 と、子供達は大はしゃぎ。 村の入り口に、全高5mほどの巨大な雪だるまが完成していたのです。 子供達は突然の来客におおはしゃぎでずか、村人たちはだれもこの雪だるまを作っていません。 そう、まさに一夜にして突然姿を表わしたのです。 気味の悪い雪だるまには近付くなと大人達は子供達に言い聞かせていました。 ですが、子供達は聞く耳を持たず、雪だるまの近くで遊んでいました。 そして翌朝。 雪だるまは忽然と姿を消しました。 村にいた20人ほどの子供達と共に、姿を消してしまっていたのです‥‥。 |
■参加者一覧
天津疾也(ia0019)
20歳・男・志
朝比奈 空(ia0086)
21歳・女・魔
斉藤晃(ia3071)
40歳・男・サ
コゼット・バラティ(ia9666)
19歳・女・シ
シュヴァリエ(ia9958)
30歳・男・騎
ハイネル(ia9965)
32歳・男・騎
ラシュディア(ib0112)
23歳・男・騎
ブローディア・F・H(ib0334)
26歳・女・魔 |
■リプレイ本文 ●白い悪夢 ──ジルベリア・とある村 「ふう、まったく面倒やな。5mの高さの雪だるまかいな。そら、そんなものがあったら子供も大はしゃぎやろうなあ。ぶっちゃけ怪しいことこの上ないやろうが」 と呟きつつ、近くの酒場で情報収集をしているのは天津疾也(ia0019)。 防寒装備万全状態で、とりあえずは細かい情報を集めることにしていた。 もっとも、巨大な雪だるまについては、村人のだれもが頭を捻っている。 一体だれが作ったのか、なんの為に? そしてどうしてこの村に? とまあ、情報を集めに行ったにも関らず、逆に色々と質問をされてしまっては適わない。 「と、とりあえず、俺らでなんとかするさかい、もうちょっとまっててや?」 と告げて、天津は他の仲間の元へと移動。 ──その頃、村の繁華街 「子供達の特徴といってもねぇ。まあ、村の子供達だし、元気でいい子たちばかりだよ?」 「うちの子もそうです!! 早く探してください。一体どこで何をしているのか‥‥」 「まあ、うちの悪ガキも一緒だと思うし。でもねぇ、この寒さだろう? 凍えちゃうよねぇ‥‥」 とまあ、酒場の人々は情報収集をしていたシュヴァリエ(ia9958)に色々と告げている。 「そ、そうか‥‥それとだな。巨大雪だるまの特徴って、なにか判らないか?」 と問い掛けるシュヴァリエ。 「大きさが5mほどで。目と鼻と口があって‥‥」 「巨大なバケツを被っていましたわ」 「ボタンの変わりに黒い丸炭が填められていたなぁ」 「棒っきれに手袋がついていたな。両手みたいなかんじだったな」 とまあ、それらの情報を元にイメージをスケッチ。 それを見てもらった所、大体外見イメージはあっているらしい。 「まあ、大体わかった。でだ、最後に聞くが、最後に子供達を見たのはいつか」 との質問には、夜、子供達が寝るのを確認したのがという意見が大多数。 深夜にトイレで目が覚めて確認した人たちもいたが、朝方自分たちが目を醒ますまでは気が付かなかったらしい。 そして不思議なことに其の日はどの家の住人も眠りにつくのが早かったらしく、それでいて熟睡していたらしく、朝まで殆ど目が覚めなかったらしい。 「まあ、大体わかった。あとはのんびりとまっていな」 と呟くと、シュヴァリエも他の仲間のもとへと移動。 ──その頃、村の中心部 「な、なるほど‥‥」 と村人たちから詳しい話や情報を聞き込んでいるのは朝比奈 空(ia0086)。 朝になったら姿を消していたという事だが、昨夜までは家にいたのかとか、子供達の様子について色々と聞いてまわっていた。 が、やはり先に述べたシュヴァリエの情報と同じく、手掛りが全くといっていいほど無かった‥‥。 攫われた子供はこの村の子供達全てであり、どの家の親たちも心配でどうしようもないという状態らしい。 「とりあえず私達に全ておまかせください」 と告げて、朝比奈もまた、村の入り口へと移動していった。 ──そして・村の入り口 「ほほう、ここに雪だるまがおったんかいな‥‥それにしても、ここ、目立つわ」 と斉藤晃(ia3071)が呟いている。 村人たちに巨大雪だるまのあった場所を訪ねも、その場所までやってきたのであるが、それらしい情報や何か気になるものを探しているものの、なにも収穫は0である。 「斉藤さん、こっちに雪ダルマが動いていったあとがありますよ」 と告げるのはコゼット・バラティ(ia9666)。 斉藤と共に雪だるまの追跡を行なおうというところである。 「ほほう。これはまた巨大な。足跡というよりは、ズルズルと引きずられていったかんじやな。で、この周囲の足跡は子供達のものと」 朝方から降った雪で、子供達の足跡は隠されている。 それをめざとく確認すると、その数を確認していった。 「‥‥どうですか? こちらは何か判りましたか?」 と合流した朝比奈が問い掛ける。 「攫われた子供の数の確認だが。朝比奈、判るか?」 「ええ。村で聞き込みをしてきましたから‥‥」 と数を報告するが。 村で行方不明になっている子供の数と、ここの足跡では数があわない。 なんと、こっちのほうが一つ多い。 「‥‥つまり、攫われた子供達よりも一人多く足跡があると。それが何者かは判らないが、気を付けたほうがいいか」 「厄介事にならなければいいが‥‥」 天津とシュヴァリエも合流して情報を受け取ると、そう呟いている。 「さて、俺は大森林の方に向かうが、皆はどうするんだ?」 と一行に話し掛けたのはハイネル(ia9965)。 村の中で、痕跡を見つけたという村人に痕跡のあったのは森林のどの場所か、どの様な痕跡だったのか、足跡の様に続いていくものなどを聞き込み、その現地へと向かう所であった。 「俺は渓谷に向かうが‥‥そっちは誰がむかうんだ?」 と呟いたのはやはり出発準備をして追い付いてきたラシュディア(ib0112)である。 村の中では子供達名前入りリストを作成し、ハイネルと共に子供達の安全確保後のアフターケアの準備などを行なっていたらしい。 「ああ寒い‥‥私は渓谷でお願いしますわ」 防寒用コートを羽織って震えているブローディア・F・H(ib0334)が呟く。 「なら、早速調査を開始するとしますか」 と天津の掛け声で、開拓者達は二班に分かれていった。 ●大森林にて候 ハイネルの聞き出した情報から、雪だるまの生息地域にたどり着いた大森林探索チーム。 と、その目の前で巨大な雪だるまがエラそうにそびえたっている。 その足元? には、大勢の子供達が倒れている。 かなり冷えこんできている上に、子供達は意識を失っているようだ。 このままでは命の危険すらある。 「コゼット、子供達の安全を確保!! シュヴァリエと私はオフェンスに!! 天津は後方支援を!!」 ハイネルが指示を飛ばすと同時に、巨大雪だるまが子供達を掴み、自分の体内に押し込めようと動きはじめた!! ──ズパァァァァァァッ ハイネルのスマッシュで雪だるまの腕が切断される。 と、そのまま雪の上に落下していく子供達をコゼットが素早く確保。 「アヤカシということで確定やな。なら遠慮は無用や」 と後方で矢を放つ天津。 動きがおそい雪だるまに次々と突き刺さっていくと、その傷口から霧のようなものが立ちこめはじめていく。 「意外と弱いのか?」 そう告げつつ、シュヴァリエもまたガード状態から攻勢に一点、次々と連撃を叩き込んでいく。 3人のこうげきにより、巨大雪だるまが弱っていくのが見て取れる。 ダメージが幾度に傷口から瘴気が漏れ、雪だるまが小さくなっていく。 最初は5mほどもあったのだが、今現在は1mもない。 必死に抵抗する姿勢は見せるものの、あっというまに止めを刺されて完全消滅する巨大雪だるま。 そして子供達の安全を第一に、一行は子供達を確保して一旦村へと戻っていった。 ●渓谷にて候 「‥‥何もないですねぇ」 と呟いているのは朝比奈。 最前列をあるく斉藤は周囲の警戒を行なっている。 中間ではブローディアがいつでも魔法を飛ばせるように待機、後方ではラシュディアが追撃などのないように警戒を行なっていた。 そして渓谷に入って4時間がたった頃、小さな洞窟を一行は発見する。 そしてそこに伸びる一つの足跡を確認すると、とりあえずそれが何者なのかを調べる為に、一行は洞窟へと進む。。 薄暗い洞窟。 いや、風穴とか氷穴と告げた方がいいのかもしれない。 奥行きはかなりあるらしいが、そのなかに入って一行はまず絶句する。 おびただしいほどの白骨の数。 なにものかによって殺されたか、それとも遭難したのかは定かではない。 とにかく白骨が大量に転がっているのである。 そしてその奥で、おそらくはなにかの獣であろう肉を食らっている女性が一人。 ──ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ とその時、洞窟の外で笛の音が聞こえてきた。 森林チームがこどもたちを発見したときの合図である。 「これはまた厄介な‥‥」 と斉藤が呟くのとほぼ同時に、その女性が死体の肉を床に落とし、一行の方を見た。 「‥‥ニンゲンダネ。コンナトコロデナニヲシテイルンダイ?」 そう告げると、スッと立上がる女性。 ──ザワッ!! その刹那。 洞窟に飛込んだ一行は急いで洞窟の外に飛び出した!! 「ルサールカ‥‥あ、あれは危険です!! 相手をしてはいけません!!」 本能で死期を感じたブローディアがそう告げる。 ジルベリアの伝承に出てくるアヤカシ・ルサールカ。 ジルベリア出身のブローディアは、その恐怖を知っていた。 「とにかくヤバイで。いままでみたアヤカシとはタイプが違うわ!!」 と斉藤も叫びつつ、後方警戒をしている。 朝比奈にいたっては全身の震えが止まらない。 あの女性の目で見られた時、冷たく凍った手で心臓を握り締められた感触を感じたのであるから、朝比奈にとっては生きた心地はしていなかったのであろう。 「あ、あ、あれはなんなのですか? このあたりを牛耳っているオオアヤカシですか?」 「いや、開拓者ギルドではそんな報告は受けていない。とにかく今は、急いで戻ったほうがいい」 と告げるラュディア。 その首筋には、あの女性の手形がくっきりと残っている。 一体いつのまに首を捕まれた? いや、それよりもそんなことはまったく感じていなかったが? 感覚のないままに殺されそうになった? そんな疑問が脳裏をよぎりつつも、一行は森林へと戻っていく。 そして子供たちの安全が確保されたのを確認すると、そのまま村へと戻っていった。 ●ことの顛末 村に戻った一行は、子供達の回復を待ってから詳しい話を聞こうとしていた。 そして子供達によると、夜中に眠っていた以降はまったく記憶がないらしい。 ただ、夢の中で綺麗な女性が呼んでいるのを聞き、そっちに向かっていったという夢をみんなが見ていた。 夢を操って、子供達を呼び寄せるアヤカシなのか? その答えはまったく見えないが、とりあえず子供達は全て取り返し、巨大雪だるまも破壊することに成功している。 ギルドからの依頼としては成功しているのだが、あの女性の事が一行の脳裏からはしばらく離れる事は無かった。 ──Fin |