【四月】夢の老若男女
マスター名:真冬たい
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/12 19:05



■オープニング本文

●昼寝日和
 春の麗かな日差しの中、青々とした葉を広げた木の下でもふらさまが眠っていた。
 すぴすぴと鼻を鳴らし、たまにごろんと寝返りを打つ。
 その姿を見た者は皆さぞ良い夢を見ているのだろうと思ったが、実際はろくなものではなかった。


●夢の中は‥‥
「あーはっはっはっ!天儀すべての人間が私の実験体よ!」
 高い位置で髪を結った白衣の女性が一人、試験管に入った妙な薬を地面へとバラ撒いた。
 薬は一気に蒸発し、天へと昇る。するとどうした事だろうか、空はあっという間に黒い雲に覆われた。
 そこから大粒の雨が降り注ぎ、地を濡らし人を濡らしてゆく。
「さぁて、効果による変化の個人差‥‥この目でしっかりと記録させてもらうわよ」
 ザーザーと降り続ける雨。
 その中で平然と傘を差し、白衣の女性はクイッと自分の眼鏡を押し上げた。

 翌朝、天儀の各地がパニックに陥った。
 腰の曲がっていた老人が背筋のシャンとした青年になっていたり、赤ん坊が一気に二十歳になっていたり、女性が美男子になっていたりしたのだ。
 中には立場の逆転した親子も居た。
 あの雨に溶け込んだ薬の効果らしいが、民がそんなことを知るはずもない。すぐ馴染む者、変化が少なくて危機感の無い者などは居たが、他の者は皆それぞれ不具合を抱えて困り果てていた。

 それは、一般人とは比べ物にならない力を持つ開拓者も例外ではなかった。

「みなさん、げんいんはまちはずれにすむ‥‥えーと、うんと」
 イスの上に立った受付嬢――否、少女の姿をした受付嬢が舌足らずな言葉で説明を続ける。
 彼女は現在、五歳くらいの女の子の姿になっていた。外見に伴って知力も低下する者とそうでない者が居たが、どうやら彼女は記憶はそのままに知力だけ五歳児並になってしまったらしい。
「あっ、かがくしゃ!そのひとのせいですっ」
 曰く、女の科学者が数年前に町外れの屋敷へ住み着いた。
 科学者は日々何かの研究をしており、人との接触はほぼ無し。
 美人なので様子を見に行った若者が居たが、一人として帰っては来なかったという噂がある。
 そして運命のその日、その科学者が何やら怪しい薬を撒いたのを見た目撃者が居たのだ。
「このまえこのかがくしゃをよびにいきました。でもいませんでした」
 作文のような口調になりつつ必死に説明する。
 科学者はその日から屋敷に帰っておらず、たびたび街中を走り回る姿が確認されている。
 どうやら自らの目で薬の成果を確かめて回っているらしい。
「みなさん、どーかこのかがくしゃをつかまえて、おしりぺんぺんしてください!」
 受付嬢は勢い良くお辞儀をし、ごんっ、と勢い良く額を机に打ちつけて涙目になった。 

※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません


■参加者一覧
橘 琉璃(ia0472
25歳・男・巫
相川・勝一(ia0675
12歳・男・サ
木戸崎 林太郎(ia0733
17歳・男・巫
嵩山 薫(ia1747
33歳・女・泰
斉藤晃(ia3071
40歳・男・サ
此花 あやめ(ia5552
13歳・女・弓
痕離(ia6954
26歳・女・シ
ベアトリーチェ(ia8478
12歳・女・陰
アルフィール・レイオス(ib0136
23歳・女・騎
樋口 澪(ib0311
13歳・女・吟


■リプレイ本文

●変化と戸惑い
 街では女芸人が女形状態になっていたり、花魁が幼女になっていたりと奇妙な光景が依然広がったままだった。
「何か、大変な事になってますね?皆さん元に戻るのでしょうか」
 その光景を眺めて呟いたのは橘 琉璃(ia0472)。
 琉璃もまた女性の体になり艶のある声音になっていたが、元から女性によく見間違われる外見のため、変化には本人も気が付いていないようだ。
「元に戻れなかったら末代まで祟ってやりますから」
 木戸崎 林太郎(ia0733)はそう凄む。
 林太郎は女性の体になった上、身長まで縮んでいて不満がいっぱいだった。
 背を伸ばそうと今まで頑張ってきたというのに‥‥と下唇を噛む。ちなみに栄養は代わりと言わんばかりに胸へと行っていた。
「とにかく頑張りましょう?このままでは大変です」
 投げ縄をピンと張ってみせる琉璃に頷き、林太郎は元凶である女科学者を探しに歩き始めた。

 いざ、女科学者の捕縛へ!!


●キャッキャウフフ
 ‥‥捕縛にそう意気込む者が居る中、この状況を楽しむ者も確かに居た。
 相川・勝一(ia0675)と此花 あやめ(ia5552)は甘味屋を見つけ、そこへ駆け寄る。
 それぞれ勝一は五歳くらいの幼い姿に、あやめは二十三歳くらいのグラマラスな大人の姿になっていた。
 あやめは注文した餡蜜を受け取り、席で待つ勝一の元へと胸を揺らしながら戻る。
「ほらしょーちゃん、あーんして、あーん♪」
「は、恥ずかしいんだけど‥‥う、あーん‥‥」
 真っ赤になって口を開け、ぱくり。
「こ、これは可愛い‥‥もう戻れなくても良いかも‥‥!」
「そ、それは困るよ!?」
「ほらほら、もう一口あーん♪」
 女科学者捕縛に関して意見しようとした瞬間、勝一はまたもや「あーん」で口を塞がれる。
「食べ終わったら銭湯行ってみようね?」
「銭湯!?さすがに犯罪‥‥」
「五歳で女湯に入るのって犯罪?」
 あやめにニッコリと微笑まれ、勝一は言葉がつげない。

 結局この後「汗をかいちゃったから」と銭湯へ強制連行され、目を瞑るのにも前を隠すのにも苦労した挙句、あやめに体を洗われてなすがままになる勝一であった。


●母の姿と自分の姿
 鏡の前でサイズをチェックし、これで大丈夫、とホッとする。
 樋口 澪(ib0311)は一気に二十六歳くらいまで成長し、しかも十分に成熟した体だったため、着ていたパジャマのサイズでは苦しくて仕方なかったのだ。
 最初は戸惑って上手く対処出来なかったが、数日経った今なら大丈夫だ。
「‥‥」
 ポニーテールにし、しばし鏡の中の自分を見てから目を細める。
 これが順調に成長した自分の姿なのだとしたら、お母さんみたいな美人になれる――そう心の中で思うとちょっぴり嬉しかった。
 美人になれるということよりも、母親に似るということが特に嬉しかったのかもしれない。
 澪はギルドで入手した女科学者の情報を確認し、そして彼女を捕まえるために出発した。

 衣服に困っていたのはアルフィール・レイオス(ib0136)もである。
 アルフィールは記憶はそのままだったが、性格・意識・知力、そして体が八歳当時のものになっていた。
 目覚めて変化に気づいた時はさすがに焦ったが、着ていたものから「二十歳から八歳になり、記憶だけある」と推理すると少し落ち着いた。
 今は少し苦戦していた服のサイズの手直しを完了させたところだ。
「まったく困りましたね」
 ふんっと愛らしく鼻を鳴らし、原因を作った女科学者を探すために剣を持って街中へと繰り出す。
 情報収集をしたら、同じく捜索中の仲間と合流する気だ。
 そしてきっと見つけて、捕まえて、皆を元に戻させる。
 自分は、誇り高きジルベリア貴族レイオスの娘なのだから。


●街角にて
 驚いたが、折角なのだからちょっと遊んでいこう――。
 そう考えて痕離(ia6954)が足を向けたのは賭場だった。
 普段はなかなか足を運びにくい場所だが、この度の変化により痕離は男性の体になっている。不都合はない。
 とはいえ若干の声音の変化と胸が無くなり体格が良くなった以外は変化が無いため、元の面影はあるのだが。
 ここは気持ちの問題、である。
「しかしこれが月折の当主‥‥か」
 望んでいた体だが、やはり違和感はある。
 その違和感を払拭するように痕離は賭博に集中した。
「おや、また僕の勝ちかな?なんだか悪いねぇ」
「う、うぐぐぐ」
 隣の外れた男が悔しそうな顔で悔しそうな声を漏らす。
 先ほど痕離にイカサマを指摘されたため、それから全く勝てていないのだ。
「チクショウ!もうひと勝負!」
「さて、そろそろお暇させて頂くよ」
「なっ、なにぃー!?」
「久々に楽しませて貰った‥‥有難うね」
 礼をするように手を挙げ、出入り口へと向かう痕離。
 出て行く前に振り返って一言だけ男に言った。
「またズルしたら鉄拳制裁だからね?」

 丁度その頃、賭場前の道端では斉藤晃(ia3071)が盛大に着物をはだけさせていた。
 普段の筋肉に包まれた胸板なら良かったのだが、今の晃は女性の体。
 はだける直前まで晃を見ていた通行人は赤面しながらそそくさと去る。
 ‥‥視線はそのままだったが。
「なんじゃい、見たそうやったから見せたったのに」
 女性になっても晃は豪快である。
 さて、と辺りを見回す。この辺りで白衣の女性を目撃したとの証言があったのだ。
 まだこの辺りに居るかもしれない‥‥と、考え込む晃の目に角を曲がる女科学者の姿が見えた。
 一瞬だったが、物凄く嬉々とした顔で疾走している。有力な目撃証言が出てくるはずだ。
「おらー!またんかい!」
 片手を高く挙げ、晃はダッシュで彼女を追いかけていった。


●追跡
 同時刻、真横を駆け抜けていった白衣の女性にビクリとしたのは嵩山 薫(ia1747)。
 彼女は元は三十三歳だったが、今は十代後半の姿になっている。
 とはいえ元の年齢の頃から若く見えるため、背丈と胸が若干小さいくらいではあるのだが。
 薫は続けて走ってゆく晃、騒動に駆けつけた痕離を見て「あいつが元凶だ」と知る。
「ま、待ちなさい変態女!これは立派な悪行なんだから、皆を元に戻してもらうわよっ!」
 走り、晃の隣に並ぶ。
 ちなみに晃と薫は知り合いである。
「なんやその口調!?」
 最初に驚いたのは晃だった。
 知り合いなのかと薫はつま先から頭まで見、それが自分の知る晃なのだと気付く。
「べっ、別に何もおかしくないでしょ?それよりも見失わないよう気をつけるのよっ」
「世の中こういうこともあるんやなあ‥‥」
「そ‥‥それともう少し前を隠しなさいよね!」
 言い、とにかく女科学者の姿を見失わないようにしながら角を何度も曲がり、大通りを横切り、狭い道を走り抜ける。
 女科学者も途中から追跡者の存在に気が付いたのか、わざと撒くためにおかしな道を選んでいた。
 しかし追う側もそのままではない。
 街中を駆け巡る中、それに気づいた仲間達が追跡に加わっていたのだ。
「うう、胸が揺れて痛いです‥‥」
 林太郎が呻くように言う。
 体力はまだ問題ないが、揺れて痛むのが困りものだ。
「あ、あぅ‥‥」
 澪は成長した体で走るのに慣れていないらしく、バランスを取るのに必死だった。
 それを隣で見てヒヤヒヤしつつ、琉璃は進行を妨げる一般人を避ける。
「あの、すみません。どいて下さい。急いでいるので‥‥っ」
 人ごみの中に逃げ込まれると辛い。
 それでもなんとかひらけた道に出た。それにより女科学者に焦りがチラつく。
「くう、なんてしつこい人達!」
 再度細い道に入ろうとした時――その歩みを止めさせたのは、そこから出てきたベアトリーチェ(ia8478)だった。
 ベアトリーチェの元の年齢は十七歳。しかし外見年齢の若さから十代前半にしか見られたことがなかった。
 今は外見が変化し、実年齢に見合った美しい女性になっている。
 その肢体に妖艶なドレスを纏い、普段付けている眼帯はワイルドなものに変えていた。
「紅き薔薇よ、彼の者の逃げ場を奪え」
「何‥‥きゃあっ!」
 放たれた斬撃符で女科学者が吹き飛ばされる。
「この式、もしかしてアンタ‥‥ベアトリーチェ!?」
「あら、その声と姿はカオル?」
「知り合いかい?」
 痕離が首を傾げる。
 薫はベアトリーチェとも知り合いだった。
 年齢の近くなった二人を前に「それぞれ逆の効果が出たんやな!」と晃が笑う。
「やっと間近でお会い出来ましたね。覚悟は出来ていますか?」
 琉璃が縄を片手に女科学者へと近づく。
「あなたには感謝しているけど、それとこれは別よ。大人しくお縄につきなさいな?」
 ベアトリーチェも新たな符を構えて言う。
「わ、私はこのままで良いけれど、困っている人も居るんだから反省しなさいよね。‥‥胸は元に戻してほしいけれど」
「旦那に頑張ってもらえばすぐ戻るんやないか?」
「そ、そういう問題じゃないのよ!そもそも何で私があんなアホと結婚してんのよ!ま、間違ってるわ!」
 晃の言葉に赤面しながら取り乱す薫。
 しかしその会話は女科学者の怪しい笑い声に掻き消された。
「う、うふふふ‥‥この程度で追い詰めたと思っているのね?」
「なっ‥‥!?」
「私はまだまだ研究しなきゃいけないのよ、こんな所で休憩してられないの!」
 ぼふん!
 女科学者の投げた小瓶が地面に当たって砕け、その瞬間一気に真っ白な煙が周囲に広がった。
「目がっ‥‥」
「ま、待ちなさ‥‥うわっ!」
 うっすらと見えた走り去る女科学者の背に手を伸ばした林太郎だったが、そのままズベシャッとスライディングする。
 視界を奪われた澪も同じくその場にへたり込んでいた。
 アルフィールは両手を振って煙の拡散を試みるが、そもそも小さな体では上手く出来ない。
「逃げられた?」
「ふ、不覚です」
 こほこほと咳き込みながら、ベアトリーチェが皆の様子を確認する。
 自分のように咳き込んでいる者は居るが、怪我人は居ないようだ。‥‥林太郎はちょっぴり鼻を擦り剥いたようだったが。
 アルフィールは悔しげな顔をしつつ、走り去る背中がうっすらと見えた方向を見る。
「‥‥あの、女科学者は結構お馬鹿なのでは‥‥」
 視線の先には、大きな屋敷。
 女科学者の自宅であった。


●始まった場所
「実験結果に満足出来ないのなら、私が協力します。だから皆さんを元に戻してください!」
 確かに人の気配のする屋敷に向かって林太郎が言う。
 しばしの沈黙。
 しかし返ってきた答えは良いものではなかった。
「一人では駄目なのよ、沢山結果を出してこそなの!もっともっともっと試さないと!!」
「聞く気はないようね‥‥」
 ベアトリーチェが呆れた様子でため息をつく。
「それでも科学者の端くれですか!?人の役に立つことをしようとは思わないのですか!」
「私は私の研究をするまでよ、口を出さないでちょうだい!」
 アルフィールも説得を試みるが、やはり独りよがりな答えが返ってきた。
「ここは屋敷の中へ突入するしかありませんね‥‥」
「手荒にするのも仕方ない、か」
 琉璃と痕離の言葉に女科学者がフフンと鼻を鳴らす。
「この屋敷の扉を破れる人なんて居ないわ、だって私が作ったんだもの!」
「だ、だから余裕で話してた訳ね‥‥」
「頑丈っちゅうたかて限度があるやろ、どれ‥‥」
 晃がズイッと前に出、

「おっぱいミサイルじゃあ!!」

 そう叫んで扉に体当たりした。
「ミサイルじゃなくない!?」
 誰もがそうツッ込んだが、女科学者は別の意味で腰を抜かすほど驚いた。
 強固に作った扉が開いてしまったのだ。見れば鍵が吹き飛んでいる。
「ど、どんな胸をしてるのよ!?」
「体を変化させたんはそっちやろ」
「そんなオプションは付けて無――」
 スチャ、っとアルフィールに剣を突きつけられ、固まる女科学者。
「皆さんを元に戻してくれますよね?」
「研究するには命が必要なんじゃないかしら」
「澪は、早く戻してください、と申しておる」
 アルフィール、ベアトリーチェ、澪‥‥の腹話術にそう言われ、女科学者はガクリと肩を落とした。


●おしまい
「ふーっ、お風呂上りの牛乳は最高だったね!」
「恥ずかしくて味を覚えてないかも‥‥」
 銭湯からの帰り道、あやめと勝一がそんな会話をしながら歩いていた。
 なんだかいっぺんに色んな体験をしたため、勝一の頬は未だに火照ったままだ。
「ん、あれっ」
「あやめちゃん、どうしたの?」
「しょーちゃん、ちょっと大きくなってない?」
 確認してみる。確かに徐々に身長が元に戻ってきていた。
 反してあやめは縮んできている。
 周りの人間にも同じ変化が起こっており、どこかで誰かが「犯人はあの科学者だったらしいぞ」「今は縄で縛られているらしい」と喋っていた。
「そっか、犯人が捕まったんだ!」
 あやめはパチンと手を叩き、だぼつく服をギュッと握って固定し、勝一と一緒に女科学者の屋敷へと走っていった。

 着いた先には人だかり。
 女科学者は琉璃の縄でぐるぐる巻きにされ、庭に座らされていた。
 どうやってお上へ突き出すか考えている間に逃げられないようにするためだ。
「いたいた!」
 あやめは女科学者の隣まで駆けてゆき、ソッと耳打ちする。
「ねえ、特定の人を大人にすることって出来る?」
「な、何よ藪から棒に‥‥」
 意気消沈していた女科学者はテンションが低い。
「しょーちゃんを大人にして欲しいの!」
「あ、あやめちゃん!?」
 女科学者はしばらく考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「机の上に試作薬があるわ。どうせ押収されるものだし、好きになさい」
「やったぁ!ほら行こうっ」
「ちょ、僕はまだ飲むとは‥‥」
 ずるずると連れて行かれる勝一。
 体は戻っても未だに立場は変わっていないのだった。


●目覚め
 それでどんなオチだったんですか?
 っと目の前でしゃがむ少女に、もふらさまは自慢げに話した。
「大団円!でも最後にあやめって子と勝一って子が、今度は最初とは逆の変化を起こしちゃったんだ」
「つまり、あやめちゃんが子供で勝一くんが大人?」
「そうそう。う〜、でも長い夢で疲れちゃった!」
 もふらさまはキューッと背伸びし、そのままぽてんと寝転がる。
「そういう訳だからまたお昼寝するね」
「またですかぁ!?」
「うん、もちろん!」
 このもふらさまは寝るのが大好きなのだ。

「‥‥さっきの夢ほど面白いものは、もう見れないだろうけれどね」
 そう付け加え、笑ったもふらさまは帰っていく少女に尻尾を振りつつ、また眠りへと落ちていったのだった。