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■オープニング本文 冷たい風が吹く中、とある一軒の民家で男が六人寄り集まり胡坐をかいていた。 「さて、今年のあの日もそろそろか‥‥」 その内の一人がぽつりとそう漏らす。 声音はなぜか暗く、顔は上げているものの視線が床に落ちていた。 「ああ。その様子だとお前もいい話が思い浮かばなかったのか」 「あんたもか?実は俺もなんだ」 「なんだなんだ、今年もつまらねぇ話しかないのかぁ?」 「そういうお前はどうなんだよ」 「つまらねぇ話が沢山思い浮かんだぜ」 一同、はあ、と大きなため息をつく。 その中で一人、さっきの不毛な会話に混じっていなかった男が片手を挙げた。 「な、なぁみんな、今年は別の奴にやってもらわないか?」 「別の奴ぅ?」 「ああ。このままじゃ今年も楽しんでなんかもらえない‥‥この企画の意味がなくなっちまうだろ」 男は身を前に乗り出した。 「それで、だ。俺らなんかより沢山の経験をしてる開拓者に頼んでみないか?」 この村にもそろそろ冬の気配が近づいてきている。 食べ物は他の季節よりも減り、これから雪が降り出せば山にも入れない。村の子供たちは退屈だった。 そこで数年前に村長が考えた企画が、冬の怪談話である。 毎年決まった日に子供たちを集め、風や、時に雨の降る中で大人たちが怪談を披露する。 楽しみの少ない季節、子供たちにとってそれは数少ない娯楽だった。 しかし。 しかし枯渇してしまったのだ。怪談話が。 大人たちはそう活発に村を出る訳ではない。自給自足で成り立つくらい田舎にある村で、どれだけ話のネタを拾えるだろうか。 いつの間にか開催するたびに子供たちに「それ知ってる」「聞いたことがある」「オチってこれでしょ?」と言われ、しかもその頻度は毎年増すばかり。 話を一から作れればもうしばらくは安泰だったのだろうが、村の男たちにその手の才能はなかったらしく、試してみたところ子供たちにはすこぶる不評だった‥‥という過去の例がある。 そこで経験豊富な、またはそういった知識の豊富な開拓者を雇い、企画を盛り上げてもらおうと計画したのだ。 他の者に任せるのは少々心苦しいが、子供たちには楽しんでほしい――そう、男の発案に他の五人も同意した。 「とーちゃん、今年も怪談話するの?」 翌朝、ギルドへ向かおうとする男に子供が声をかける。農作業に向かうとでも思ったのだろう、どこに行くのか聞くより前に疑問をそのまま聞いてきた。 「あぁ、今年もするぞ」 「お、おれは楽しみだけれど、平太と律子ちゃんが今年もつまんないよって言うんだ‥‥とーちゃん、だいじょうぶ?」 「‥‥大丈夫だ、今年は頼もしい助っ人を呼ぶからな。とびきり怖い話を聞けるぞ?」 だから楽しみにしとけよ、と男は子供の頭をわしゃわしゃと撫でた。 |
■参加者一覧
柄土 神威(ia0633)
24歳・女・泰
立花 紫(ia0666)
11歳・女・陰
王禄丸(ia1236)
34歳・男・シ
衛島 雫(ia1241)
23歳・女・サ
珠々(ia5322)
10歳・女・シ
時永 貴由(ia5429)
21歳・女・シ
天ヶ瀬 焔騎(ia8250)
25歳・男・志
春金(ia8595)
18歳・女・陰 |
■リプレイ本文 ●夕食会 「おかわりくださいませ〜。たくさんの方々といただくと、美味しさも増しますね!」 立花 紫(ia0666)が空になった器を持ち、満面の笑みで言う。 名物であるサツマイモ入り豚汁の評判も上々である。 「怪談は他の小屋で行うようですし、今の内に体を暖めておきましょうか」 「サツマイモ入りか‥‥私の故郷でも入れることがあったな、懐かしい」 隣り合って座る珠々(ia5322)と時永 貴由(ia5429)も黄色く甘いサツマイモを口に運ぶ。 その更に隣で同じく舌鼓を打っていた春金(ia8595)が急にハッとした顔をした。 「持ち帰りは出来るかのぅ?可能ならば、マイ金魚鉢に飯を欲しいんじゃが」 「金魚鉢‥‥!?」 まさかの単語にびっくりした村人だったが、綺麗な金魚鉢だと分かるとすぐに快諾した。 「か、怪談、だと‥‥!?」 初耳だ、という風に驚いているのは衛島 雫(ia1241)。 「はい、依頼もそう明記したはずですが」 「童話を語るものだとばかり‥‥いや、しかし自分の受けた依頼だ。こういう催しも村が平穏であればこそ、だな。今日は皆で楽しむとしよう」 演出と、仲間が動きやすいよう子供達の注意をひきつける係をしよう。 やや緊張した面持ちで、雫はそう言った。 ●怪談の始まり・後ろの少女 日もとっぷりと暮れ、辺りは闇に包まれていた。夕方に少し小雨が降ったせいだろうか、吹く風にはどこか水のような匂いが乗っている。 そんな中、十人の子供達は一軒の小屋に集められていた。 座布団は敷かれているがボロいせいか隙間風が入ってくるため、毛布まで欲しくなってくるくらいだ。 「ささやかな伝統だって守る志士、天ヶ瀬だ。宜しく」 天ヶ瀬 焔騎(ia8250)がそう明るい調子で子供達に挨拶した。 その様子に安心したのが、やや緊張気味だった子供達も大きな声で挨拶し返す。 「私、怪談大好きなんです。皆さまのお話し、楽しみです♪」 おっかぱのかつらと赤い着物を着用し、雰囲気作りに一役買っていた紫がうきうきとした顔でそう言い、一番目の語り手である巫 神威(ia0633)が立ち上がる。子供達の前へ出るとお辞儀し、正座した。 「まってましたー!」 ふっと火が消された小屋の中、子供の中でも一際元気そうな少年、平太が手をメガホンにそう言う。 神威は柔和な笑顔を向けたが、すぐに真面目な顔をしてひとつ約束を取り付けるために話し始めた。 「いいですか?約束を破れば怪談は現実となります」 話し始めて数秒、子供達の後ろ――出入り口付近でカタン、と微かな音がした。 振り返ろうとした子供も居ただろう。しかし神威の次のセリフが子供の動きを止める。 「皆さん、話が終わるまで振り返ってはいけません‥‥約束が破られない限り、彼らは手出しできませんから」 振り返りかけ、真横を向いた状態で固まった子を隣の子が「早く戻れっ」と無理やり前を向かせた。 その様子を見てから、神威が再度口を開く。 「夕暮れ時、薄暗い森の中を帰宅中の少年が歩いていた。暫くすると、前方に見知らぬ少女が蹲っている」 どこからともなく響いてくる足音のような音。 焔騎がお手玉を使ってたてている音だが、ざわめきからして正体には気付いていないらしい。 「どうやら彼女は迷った挙句に怪我をしたらしく、近づくと少年の後ろをついて行くと言い出した‥‥そして約束したのが、何があっても絶対に後ろを振り返らないこと」 何か怖い想像をしたのか、一番小さな女の子がぎゅっと春金の手を握る。 「そうして歩いていると後ろから何か音がする。振り返れば正体は分かるが、約束したからと怖くても振り返らず歩いていると不意に少女がこう囁いた。振り向いたら?‥‥と、無邪気な声で」 一瞬だけ間を空ける。 「それでも少年が約束を守っていると、また少女が振り向いたら?と囁きながら首に手を絡めてくる」 足音と、背後から聞こえる音が段々と大きくなってきた。 「俯いた時に見えた少女の手が腐り骨が剥き出しであることに気付いても。徐々に彼女の手が首に食い込んできても。不気味な音が背後から聞こえ続けても、少年は約束を守り続けた」 子供達は真正面から顔を動かせないようで、時折思い出したかのように生唾を飲み込んでいる。 その瞬間、焔騎の吹き鳴らした笛の音が悲鳴のように響き渡る! 「そして森を抜けると同時に響いた絶叫に少年はとうとう意識を手放した」 悲鳴にだろうか、話との符号にだろうか。子供達の中には短く叫ぶ者も居た。 「翌朝少年は森の前で気絶しているのを発見される。夢かと思った少年の首には‥‥くっきりと、首を絞められた痕が残っていた」 終わりまで話し終え、それまで真顔だった神威の顔に笑みが戻る。 それを見て終わりだと伝わったのか、子供達の体から力が抜けた。 「もう大丈夫、これで私の話は御終いです」 仄暗く辺りを照らしていた蝋燭が紫により掻き消される。 子供達はしばらくざわざわと感想を言い合ったが、終わったというのに後ろを振り返ろうとする者は居なかった。 ●着物の話 二番目の語り手は貴由だった。 貴由は普段は仕立て屋をしている、と子供達に言う。 「仕立て屋かぁ、色んな着物を見れるの?」 「ああ、今回はそんな着物にまつわる話をしよう」 そう言うと蝶柄の着物を頭から被り、口元だけを見える状態にして語りだした。 「ある仕立て屋にはとても気に入った着物があった。色とりどりの蝶々の柄が入った着物だ」 「ちょうちょの着物‥‥」 「ある日、仕立て屋の友人が着物を見た時、柄の異変に気付いた。以前見た時より柄が増えている気がしたのだ。‥‥それから仕立て屋は沢山の蝶柄の着物を作るようになった。そして食べる事も寝る事も忘れて夢中で作ったせいで、やせ細っていったんだ」 蝶と聞いて綺麗だと感想をこぼしていた少女だったが、言葉の最後の方では眉を寄せていた。 「友人は無理にでも止めようとした。しかしそれと同時にひとひらの蝶が視界を遮る」 貴由はその少女の視界を遮るように手を上げる。 「その一瞬の間で、仕立て屋は居なくなってしまった。残されたのは、蝶がみっちり犇く気に入りの着物」 春金の演出で紙の蝶が舞う。暗いせいか糸で吊るしているとは思われなかったようだ。 声を落とした貴由はこう続け、 「仕立て屋は食われたのさ。――こんな風にな!」 「わああぁぁぁっ!!?」 注意を集めていた少女ではなく、その隣で無防備に怪談を聞いていた少年へと着物をバサァッ!と掛けた。 「と、取って取ってぇー!これがその着物なの!?」 「この着物がそうであるかはまた別の話だ。少しでも楽しんでくれたか?」 笑いながら着物を回収し、貴由はぽんぽん、っと少年の頭を撫でた。 ●見えなかった話 それまで緊張していた珠々が三番目の語り手だ。 「まだ私が村に居た頃、夜に先輩と出歩く事があったんです」 すでにこれまでの話で怪談に入り込んでいた子供達は、語り始めのこの時点ですでにリアルな想像をしているような顔だった。 「道中、突然先輩が立ち止まりまして‥‥何も無い十字路にお辞儀を。分からないなりに、私もお辞儀をしました」 何かあるのか、と思いまして。と続ける。 「それからしばらく行った所で先輩が言ったんです。何処から戻られたのだろうね‥‥と」 珠々は子供達の様子を見ながら、段々と顔を俯けてゆく。 「話を聞いてみると、村の長老格のシノビがあの時、横切ったのだそうです。しかし翌日――おわかりですね?」 俯いた状態で、珠々は暗視を発動させて瞳を金色の猫の目へと変える。 それをカッと見開くと同時に、焔騎、春金、雫の三人がビクリとするような音を鳴らした。 金色の目で子供達を端から端まで見渡す。子供の表情は口を開けっ放しにしていたり、思わず目をそらしたり、冷や汗をかいたりと様々である。 「そう、本来あそこでそのシノビが見えるはずがなかったんですよ」 何故なのか? それは敢えて伏せ、珠々は瞬きと共に暗視を解除し、目を元に戻した。 「ぬ、ぬう‥‥危うく演出を忘れるところじゃった」 「子供達と同じように驚いたり怖がったりしていたな」 春金が紙の蝶を回収し、ホッとしながら呟いた言葉に焔騎が言う。もちろん小声でだ。 「あ、あれは怖がらずにはおれないじゃろう‥‥!」 「後で語り手役にそう伝えれば喜んでもらえるかもしれないぞ?」 次の演出の準備をしながら雫も言葉をかける。大人の自分でもゾクッとすることがあったのだ、感受性豊かな年齢の者はもっと様々な感想を抱いていることだろう。そしてその感想は大抵が語り手達を喜ばせる。 「ふたりとも、そろそろ次が来るぞ」 包帯と荒縄を顔に巻きつけながら、焔騎が前を指す。 次はいよいよ最後の話である。 ●多眼の話 「これは実際に知人が体験したのだが‥‥」 実際に、という所を強調して話し始めたのは最後の語り手である王禄丸(ia1236)だ。 彼は牛面をつけ、自分の番になって初めてこの場に姿を現した。 「その知人が数日休んだ仕事仲間を訪ねると、やせ細り何かに怯えた姿となっていた」 嫌な予感しかしない出だしに少年が身じろぎする。 「彼曰く酒を飲んだ帰りの夜道で、いくつも眼があり、他には口も鼻もない化け物を見たのだという。それと目が合った日から、視界に化け物の眼が写りだし、日に日に増えているというのだ」 俺だったら絶対寝れない、と子供の誰かが思わず呟いた。 話の男もそれで眠れなかったのだろう。 「心配した知人が、その日は彼の家に泊まることにしたが、その晩、彼の怯えようはいっそう深まり「もう、眼しか見えない‥‥」と言い残して死んでしまう」 話の中のセリフに信憑味があったのだろうか、貴由の後ろに隠れた珠々がぎゅっと彼女の着物にしがみつく。 逆に貴由は堂々としたもので、珠々を撫でて宥める。 「他にその化け物を見たという話も聞かなかったのでギルドに届けることはしなかったのだが、それでも知人は、今でも夜道を恐れているのだそうな」 ふっ、と消える蝋燭の灯り。 ああ終わったんだ――そう子供達が油断した時だった。 「君達も気をつけるように‥‥」 そう、真後ろから声がした。 さっきまで話していた王禄丸だったが、しかし何故後ろに?‥‥と振り返り、少年少女は硬直する。 百の目である。 それは牛面の下にあった新たな面だったが、暗がりにぼんやりと浮かぶそれは不気味以外の何物でもない。 子供達が驚いて声を詰まらせているその間に、王禄丸はスゥっと暗闇の中へと消えるように去っていった。 「‥‥」 顔を見合わせる子供達。 ある者は強がり、ある者はストレートに恐怖を表情に出しながら、さあ感想を言い合おうと口を開いたその瞬間。 「メリィィキュリスヴァァァァッス!!」 けたたましい音と共に開かれた戸から、顔を縄と包帯でぐるぐる巻きにした焔騎が飛び出してきた。 これまで姿を隠すように演出に徹していたため、子供達は咄嗟に髪色で焔騎と判断出来なかったようだ。 即ち、今子供達の目に映っているのは‥‥。 「わ、わあああっ!」 「オバケ、で、でたあっ!!」 「ぬおおおっ‥‥!」 一気に騒然とする小屋の中。 子供達に混じって春金まで叫んでいる。彼女はなるべく怖い話を聞かないようにしていたが、視覚と音で驚かされてはたまったものではない。 「ふふふ。現実と異世界の境界で笑う志士、天ヶ瀬だ‥‥」 皆の様子に満足したのか、焔騎が楽しげに変装を解いて種明かしをする。 それでもしばらくわーわーギャーギャーと言っていた子供達だったが、その様子を見れば誰もがこう思ったことだろう。 今年の怪談は成功だ、と。 「あなたも怖かった?」 貴由がやっと体の力が抜けた珠々を見遣る。 「‥‥ま、まあそんな感じでしたね」 「アヤカシも同じようなものだと思うが‥‥」 話を聞いている時の珠々は、アヤカシを相手にしている時の彼女からは想像も出来ない姿だった。 「アヤカシはいいんです。倒せるんですから。でも」 「オバケや正体不明なものは倒せない?」 「そうです。倒せないものを怖がっても、それは自然なこと‥‥のはずです」 珠々がそう言って咳払いすると、なぜかその咳に驚いたのは春金だった。 「‥‥春金さんも怖かったの?」 「み、皆の話が秀逸すぎるからじゃ」 「はは、それは演出組の活躍があってこそだ」 それを聞いて少し恐怖が薄れたのか、笑みを浮かべる春金。 「今回は子供らに夢を与えれて良かった。夢を与えればいつかは夢が倍で返ってくるのじゃ♪」 「そうですね。でも夢に見ないようご注意、ですよ?」 ぴた、と春金の動きが止まる。 「そ、そうじゃな、つまり返ってくる夢もそっち系になるということか‥‥は、話も演出も夢に出てきそうじゃ!」 その様子に思わず笑う貴由の隣で、珠々も「自分も夢に見ないよう気をつけよう」と思うのであった。 一方その頃、小屋の外では子供達に見えないよう焔騎が村の大人達に怪談話のレクチャーをしていた。 「特に話し方は大切だ。あとは部屋を暗くして、今回みたいに音の効果を加えれば完璧だな」 「なるほどなぁ、そういや今までは朗読するみたいに話してたよ」 「俺は棒読みだった」 「それは演技力の問題!」 びしっとツッコまれながら、聞いた事を必死になって覚える男達。 来年は怖がってもらえる怪談を披露出来るといいな、と焔騎は肩を叩いた。 「定期的にこういう会があるのはいいですね♪今度はお話ししようかな〜?」 「そりゃあ頼もしい。‥‥ところで嬢ちゃんはなんでそんな格好してるんだ?」 男は紫の変装を見て首を傾げる。 「なんとなく、怪談を聴くに相応しいかなって」 「なるほどなあ、衣装もこだわるのが大切か。よし、よーく覚えとくぜ!ありがとな嬢ちゃん!」 しばらくして、子供達も落ち着いてきたのか口々に思った事を言うようになってきた。 「今年の話めちゃくちゃ面白かった!来年も聞きたい!」 「律子ちゃんは何が一番怖かった?」 「あたしは‥‥着物の話。被せられて怖かった!」 「俺は振り返るやつとー、着物のやつとー、シノビのオバケのやつとー‥‥目ン玉いっぱいのやつっ」 「全部じゃん!」 あ、そういえばさ、と驚きすぎて出た鼻水をすすっていた男の子が言う。 「最後に出てきた赤い髪のにーちゃん、怖かったよなあ」 「あ、私も怖かった。突然出てくるんだもん」 「なぁ、ねーちゃん!あのにーちゃんは何のオバケの役やってたの?」 男の子が蝋燭の始末をしていた雫に聞く。 「あのにーちゃん?」 「最後に出てきた赤髪のにーちゃんだよ、ねーちゃんも一緒に見てたろ」 雫はしばし考え‥‥否、考えるフリをして予め用意しておいたあるセリフを言った。 「赤髪の男?いや、私達は最初からここにいる面々だけだぞ?」 魔法の言葉だ。 これで、子供達はしばらくの間怪談の余韻を楽しむことになるだろう。 |