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■オープニング本文 「アニキ、あの娘なんかどうですかねぇ?」 「ありゃぁ、さすがにガキすぎんじゃねぇか?ダンナはもーちょい年上が好みのはずだ」 「あっ、じゃああっちの娘は?」 手下が指差した先には無邪気に笑う町娘の姿。 「あ〜、ありゃちょーど良さそうだなぁ。ダンナも喜ぶに違いねぇ。よし、あの娘を攫うぞ」 男たちは、友人と別れ一人で帰ろうとする町娘を追いかけた。 「お前たちにいい話がある。言うことを聞けば、好きなだけ金をくれてやろう」 山賊達は、村を襲った帰り路でアヤカシと対峙した。 行者風の形をした男――アヤカシは、山賊の頭へ向けてにやりと笑う。 「な、なんだテメェは。いきなり現れやがって、変なことを」 「信じる信じないはお前の自由。しかし、信じなければ――手下どもを食らうがいいか?」 「なんだとぉ!?」 頭の後ろに控える手下達は素っ頓狂な声を上げ、血気盛んに武器を振り上げた。 「身の程知らずが。貴様らに殺られる我ではないぞ?腕に覚えがあるのなら、かかってくるがいい」 「この野郎っ、いい気になりやがってぇ!!」 体格のいい下っ端が、アヤカシとは気づかずに飛び掛かる。 男の胸目がけて短刀を振り下ろす、その手首を難なく掴み取られた。 「ぐぅ‥‥っ」 手首をつかむ手の力は強く、下っ端は振り払おうと力を込めるが自らの腕力を以てしてもその手はびくともしない。 「‥‥弱いな。こんなもので我を殺せると思ったか」 アヤカシは逆の手で刃を握りしめると、ぐっと手に力を込める。 金属の砕ける鈍い音が響き、短刀はアヤカシの手の中で粉になる。 「――ひぃぃぃっ」 下っ端は、砕けた刃に自らの手首の行く末を重ね、顔から血の気を引かせ後ずさろうとする。 しかし、握られた手首は、どうあっても離される事はなかった。 「――あまり美味そうじゃないがな‥‥仕方ないか。腹を満たさせて貰おう」 行者の口が開く。その口は見る間に大きく開き、あごの付け根まで口が広がっていく。 ばくりと開けられた口は下っ端を頭から飲み込んだ。 「――あぁぁぁぁっ」 下っ端は生きたままバリバリと食われ。 山賊の頭はじめ一党は、その様子を凍りついたように見つめていた。 山賊たちを恐怖で支配したアヤカシは、再度自分の意向を伝える。 「町や村に行って、娘を攫って来い。娘の恐怖や苦しみが――我の糧となる」 山賊は恐怖に怯え言われるがままに娘を攫い続ける。 しかしある時、その『仕事』の旨味に気付いた。 娘さえ攫っていれば、アヤカシは自分たちに危害を加えることはない。 そして、攫った娘が気に食わなければ好きにしろと、『分け前』を貰うこともできる。 その『分け前』は売り払おうが、自分たちの好きにできる。 当初の話通り、好きなだけの金を手に入れることもできるようになった。 いつしか山賊たちは食われた仲間を忘れ、アヤカシを『ダンナ』と呼ぶようになり。 アヤカシに娘を供給し、需要を得る事を望んで行うようになっていった。 |
■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034)
21歳・女・泰
鳴海 風斎(ia1166)
24歳・男・サ
鬼灯 恵那(ia6686)
15歳・女・泰
茜ヶ原 ほとり(ia9204)
19歳・女・弓
エグム・マキナ(ia9693)
27歳・男・弓
レティシア(ib4475)
13歳・女・吟
天城 空牙(ib5166)
17歳・男・志
千鶴 庚(ib5544)
21歳・女・砲 |
■リプレイ本文 「頭(カシラ)、この町は前に一回来やしたねぇ」 「そうだなぁ。もう何か月も前の話だから、町の奴らの記憶からも消えつつあるだろうってダンナが言ってた。まったく、頭の回るこった」 「じゃあ、いつものように獲物を探しに別れやしょうか」 「おう、3〜4人で動いた方が怪しまれねぇ。おめぇら、行くぞ」 カシラは下っ端に指示を出すと、自らも2人の下っ端を連れて街道から町へ入り込んだ。 「あれが人攫い、ですか……」 山賊の後を追う人影。街道で待ち構え、山賊の存在を見止めたエグム・マキナ(ia9693)だ。 呟くように、その身柄を確認する。人攫いとなれば、当然その背景も気になる。しかし今はそれよりも、撲滅が優先。 山賊に気付かれぬように後を追いかけて町に入り、弓で狙いやすい場所へ身を潜めた。 「〜〜〜〜〜♪」 数人の下っ端が見つけたのは、風来の外套で旅の貧乏楽師を装ったレティシア(ib4475)。 広場で観客を集めて歌を披露している。 「ほー、可愛い娘っこだなぁ。アレならダンナの好みじゃねぇか?」 「そーだなぁ、俺としてはもーちょっとこう、出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでる大人の女が好みだけどなぁ」 「テメェの好みを聞いてるんじゃねぇよ。ダンナへの上納品なんだからよ」 「そーだよ。旅の楽師なら例え消えても誰も気にしない。安心して攫えるじゃねぇか」 諌められるように頭を叩かれると、下っ端たちは観客の輪へとさりげなく加わった。 別の場所。 「んー…どう思う、あの女」 「あぁ、見た目はダンナの好みぐらいか?いや、ちょっと上か?」 下っ端たちの視線の先には、長めの外套を羽織りもふら面を仕舞い込んだ梢・飛鈴(ia0034)がいる。 一人で歩いているのだから、そんな笑わねぇだろ。と下っ端の一人が、隙だらけでぶらつく飛鈴の後を追いかけるように促す。 「おい待てって」 先を行く二人をもう一人の下っ端が追いかけ。 彼らは飛鈴の後を追うように雑踏を離れて行った。 そしてまた別の場所。 町娘の装束に身を包み、賊の目に止まりやすいように胸を強調した、千鶴庚(ib5544)が町をぶらついていた。 その姿は、山賊以外の目にも止まりやすく、店棚を覗くたびに男性店員に声をかけられる。 それも利用し、娘らしくよく笑ってみせる。 「ありゃぁ、いい女だなぁ」 「お頭、でもあれはダンナのお好みより、ちーっと年が上じゃねぇですかい?」 「わかってるよ、気に入ったのは――オレだ」 庚の胸元から視線を逸らさず、カシラは舌なめずりをする。 「決めた、ありゃ俺の女にする」 ダンナの指示はさて忘れたように、カシラは自らの欲望のために庚の後を追いかけた。 「上手く餌に食いついてくれるといいんですがねぇ」 今まで行方知れずが発生した町や村の資料を基に、この町での囮作戦を指示した鳴海風斎(ia1166)は、呟いた。 待機組が潜む路地裏では囮たちの動きが判る訳もなく、彼女たちが此処まで彼奴を連れてくるのを待つしかない。 「なんでこんなこと‥‥ッ!!」 攫われた娘たちの事を思い、頭を振るように赤い髪を乱す天城空牙(ib5166)。 金銭的な理由から受けた依頼とは言え、余りの話に悲しみを隠せず、同時に賊に対する怒りは相当なもの。 「とは言え‥‥この程度の組織力では、娘を攫っても売買する事もできないでしょうし、どうしてるのかしら。やはり黒幕がいるはずよね、吐かせないと。」 茜ヶ原ほとり(ia9204)は、やじりを紡錘形の神頭に変え殺傷力を落とした矢を握りしめる。 「何にせよ、頭は斬っちゃっていいのよね。ふふふ、志体持ちの相手は久しぶりだよ。せっかくだから楽しまないとね♪」 仲間たちと決めた作戦は、山賊のカシラを倒し、下っ端を尋問。そして攫われた娘たちの行方を聞き出す。更に、――恐らく背後に潜むであろう黒幕の情報を聞き出すこと――。 手ごたえのある相手と戦える喜びに、鬼灯恵那(ia6686)は薄く笑った。 レティシアが今日の寝所を決めあぐねている風を装って、安宿の前で歩を止めては徐々に路地裏――待機組の待つ場所――へと向かっていく。 彼女に目を付けた数人の下っ端を引きつれたまま。 その反対の路地からは、飛鈴がぶらぶらと町中を冷やかすように歩き、徐々に路地裏へと進んでいた。 背後から追いかける下っ端には気づかぬふりを装いながら。 そして、町の入口で数人ずつ別れた賊は、それぞれ標的を追いかけるままに進み―――娘を攫うにはちょうどいい人気のない路地裏で――仲間と出くわした。 「あ――」 飛鈴とレティシアを追いかけていた下っ端たちは、一瞬面食らった顔をする。 人気がない場所にも関わらず、見知った顔に対面するとは――。 即座に、互いが顔見知りだとは気づかれぬよう素知らぬフリをした――が、しかし。 「あ、お頭――?」 鼻の下を伸ばして庚の後についてきたカシラと下っ端を見つけ、思わず声を上げてしまう。 レティシア、飛鈴と並び立った庚が振り返り、わざとらしく問いかける。 「あら、お兄さんたちお知り合い?」 その言葉に、カシラは即座に判断した。 『罠だ――』 「てめぇら、この女どもグルだ!全員まとめてとっ捕まえるぞ!」 カシラの声に下っ端どもは慌てながらも、庚、飛鈴、レティシアを囲むように布陣を展開する。 「いくぞっ!」 「おぅっ!――痛ぇっ!!!」 三人を取り囲んだ下っ端が襲いかかろうとした瞬間、一人が悲鳴を上げた。 「うわっ」 「なっ、なんだ!?」 男たちの背後から何本もの矢が飛んでくる。――ほとりとエグムだ。 矢に気を取られた山賊を、今度は銃弾が襲った。 庚は未だ硝煙を燻らす銃口を山賊のカシラへ向ける。 「――腸の煮える憎悪ってこういうのね」 自分を追ってきた時に感じた、男たちの纏わりつくような視線。 あんな瞳に娘たちが晒されていたなんて。 「許さない、逃がさない‥‥綺麗に潰すわ‥」 「う‥‥」 カシラを狙われ、殺気に満ちた気配を感じた山賊たちは一瞬動きを止める。 「くそう!」 弓を手にした下っ端が庚を狙い、矢を番える。 「‥‥」 その弓使いの手を静かに狙うもの――。 ほとりの矢はリズムを刻むように正確に、下っ端の手を貫いた。 「ぐぁっ」 弓使いから苦痛の声が上がる。 その隙に、路地裏に隠れていた待機組が山賊たちの後ろから回り込んだ。 「お前等のようなのは屑だッ!!生きていちゃいけない奴なんだッ!」 怒りに満ちた叫び。小太刀を振りかざし、空牙がカシラの背後から襲いかかる。 「うぉっ」 叫び声に反応し、身を翻したカシラは空牙の足を思い切り蹴飛ばして転倒させる。 ズシャァッ 背中から地面に叩きつけられた空牙。それを飛び越えて刀を振り下ろすは、恵那。 「さぁ、山賊狩りの始まりだよ♪」 外見に似合わぬ重い斬撃は、カシラを庇おうと前に立った下っ端の首を吹っ飛ばした。 「くそうっ」 仲間が一人倒れ、山賊の攻撃が激しくなる。 剣戟が響き渡り砂埃が立つ激しい攻勢の中、弓使いが矢を放つ。 「くっ」 肩を射られ動きを止める飛鈴。 「ぐぁっ」 次の矢を射ようとした弓使いの手を、エグムの矢が射抜く。 飛鈴は受けた傷を物ともせず、カシラへ高速で近接する。 「あ?」 カシラは反撃しようと身を動かす。 ギリ。 しかし、退こうとした足は飛鈴に踏みつけられ、動きを封じられていた。 「さて、自慢の技は幾つ使えるカナ?」 頭につけたもふら仮面の隙間からニヤリと微笑むと、カシラの顎に肘を叩き込んだ。 「頭っ!」 「てめぇっ!」 顎への打撃が決まると、下っ端たちは怒り心頭の面持ちで飛鈴へ襲いかかる。 その鼻っ面を、鉤薙斧が掠めた。 「レティシアさん、装備です」 風斎は預かっていた装備をレティシアへ渡し。カシラへ切っ先を向け、笑う。 「さぁて‥‥、回復ができると聞きましたが、拳や足を断ったらどうなるんでしょうねぇ。生えてくるんですか…フフフ」 飛鈴が拘束したままのカシラの四肢を狙い斧を振り回し、それに合わせるように、恵那と空牙が襲いかかる。 下っ端たちは庚、ほとり、エグムが遠距離から牽制し。そしてレティシアの子守唄が響いた。 「‥‥ぁ‥」 レティシアの音色に数人の下っ端が眠りに落ちる。 「よしっ」 下っ端が減り、動きやすくなった前衛は一気にカシラへと詰め寄った。 「くそぉっ!!」 動ける下っ端は矢と銃弾に翻弄され身動きが取れず、援護は見込めない。 カシラは、空牙に斬りつけられた傷を見る見るうちに回復し。 足を踏みつけ我が身の自由を奪う、飛鈴の顔面に拳を叩きつけた。 その腕に一筋赤い傷が走る。 線を引いたのは恵那。 「回復?したいならすれば?長く斬っていられるから私は構わないよ」 ほら、また回復してごらんよ。恵那の瞳はそう言うように怪しく光る。 「そうですねぇ。本当に生えてくるかみてみましょうか」 乗じるように、風斎がにやりと笑った。 「ぐあぁぁぁっ」 カシラの手首から、おびただしい血液が飛び散る。 風斎の斧に落とされた手首から、再び手が生えることは当然無く。 「貴様らっ、‥‥許さねぇぇぇ!!」 カシラは傷を負ったまま片足を軸に凄まじい速さで回転し、自分を取り囲む開拓者に大きなダメージを与える。 蹴りを受け、前衛がカシラから離れたその瞬間――カシラの胸は真紅に染まった。 「が‥‥っ」 エグムとほとりの矢、そして、仲間たちの隙間を縫うように放たれた庚の弾丸。 3本の軌跡が一斉に襲いかかり、カシラの胸を貫いた。 「がは‥っ、ご‥っ」 喉元を駆け上がるおびただしい量の血液に、気管は呼吸を妨げられ。 「――彼の世へ逝けッ!!終世させてやるッ!!」 断末魔にもがくカシラへ空牙の小太刀が乱舞する。 「ふふっ、あははっ♪」 それに上乗せするように繰り出された恵那の無数の刃。その後方から打ち出された飛鈴の打撃。 カシラの体には無数の傷が一度に刻まれ、終焉を告げるように風斎の斧がブンッと音を立てた。 そして――ずしんと音を立てて崩れ落ちた体は、もう、回復することも立ち上がることも、なかった。 静かになった路地裏には、縄で括られた下っ端たち。 開拓者は、その前に居並ぶと尋問に入る。 尋問を手助けするように流るるは、下っ端たちの心に恐怖を沁み渡らせるレティシアの奏でる音色。 攫われた娘達や襲われた町の人達が感じた恐怖の幾らかでも届けと、その思いを乗せる。 「今まで攫った娘を何処にやった?」 まぁ、どうせ素直に吐くわけはないガ‥思いながらも、飛鈴は問いかける。 「しらねぇよ。お頭がなんとかしてたんじゃねぇのか?」 「なんとかって?」 「だからしらねぇって!」 カシラを失っても尚、従ってたまるかと言わんばかりの表情。 その頬に、恵那の刀が当てられる。そして放たれる凄まじい剣気。 「う‥‥っ」 たじろぐ下っ端に、ゆっくりと告げる。 「んー、質問に答えてくれないと斬っちゃうよ?」 「し‥‥、しらねぇっ」 顔面蒼白になりながらも、意地になったようにそっぽを向く。 「ふーん‥」 恵那の刀が朱に染まり、一人の下っ端が地に伏した。 そして隣へと手を伸ばす。 「ふふ、あなたはどっち?話すか、話さないか」 美しくも怪しい笑顔を見せる恵那。たじろぎつつ口をぱくぱくさせる下っ端。 その恐怖を煽るように、庚が銃を構える。 「娘さん達の行方、教えなさい。あんたの大事な物、ぶち抜かれたいのかしら」 刀と銃口に迫られ、下っ端は恐怖のあまり失禁する。 その心に滑り込むようなエグムの声。 「言いたくないならば仕方ありません。しかし、誰かに指図されたのならば、それを言う事をお勧めしますよ?」 レティシアの歌声が段々大きく響きだす。恐怖心を煽られ、ついに下っ端は口を開いた。 「――だっ、ダンナのところだ‥‥!」 「ダンナ?それは誰?」 「でかい口を持つ、――アヤカシだ」 「アヤカシ?でかい口?もっと詳しく説明なさい」 庚は銃口を逸らさず、下っ端を問い詰める。 一人が口を開くと、観念したように口々に自分の知ることを話し始め――。 「つまり、あんたたちはでかい口を持つアヤカシに仲間を食われたのがきっかけで、手下になった」 「そいつは頭がよく。アヤカシに指示された町や村を襲い、アヤカシが好むような若くて美しい娘を攫い‥‥貢ぐ」 「アヤカシが気に入った娘は、アヤカシに恐怖や悲しみを啜られ、餌となる‥‥。アヤカシが気に入らなかった娘は売り払い私腹を肥やしていた。‥‥と、いうことですね」 仲間たちが聞き出した話を纏めている間、庚は彼らの瞳の動きや表情を観察し、嘘がないかどうか確認していた。 怯えながらも口にする情報に、どうやら嘘はないようだ。 「それで、そのアヤカシはどこにいるの?」 「‥‥しらねぇ。ダンナのところには、いつも頭が一人で行ってたんだ」 「――なんですって?」 「ダンナはすげぇ用心深くて、頭しか居場所は知らなかった」 開拓者たちは気付く。カシラだからこそ、知り得ることもあったということ。 「困りましたね」 「そんなに頭が回るアヤカシなんているのね」 人間のように振る舞う知性のあるアヤカシ。 ほとりはアヤカシに深い興味を示す。 でも、これではアヤカシを急襲することは出来ない。と、息を吐いた。 「――あっ」 突然、下っ端の一人が叫んだ。 「何?」 「お、俺達殺される‥‥っ、ダンナに食われちまう‥」 レティシアの歌に恐怖心を煽られていた為、思い当たった恐怖はどんどん膨れ上がり。脂汗をだらだら流す下っ端。 その様子に、エグムと風斎が同時に気付いた。 「そういうことですか」 「――貴方達の隠れ家は、アヤカシに知られているんですねぇ」 この山賊たちの隠れ家で待ち構えれば、黒幕に出会えるかも知れない。 「面白いですねぇ。‥‥戦えるかも知れない」 「いや――今回倒す必要はありません。彼らの隠れ家に向かえば、アヤカシを倒すことは後からでも可能でしょう」 エグムは早急にギルドに報告すべきだと告げた。 「私も、今アヤカシとそのまま戦うべきじゃないと思います」 レティシアもそれに同意する。 カシラを倒すために技を使い、更に少なからず傷も負っている。すぐ戦うには、些か不安が多すぎる。 開拓者たちは、山賊たちを連れてギルドへ向かい。 下っ端たちはおとなしくギルドでの尋問に従い、売り飛ばされた娘たちは保護することが出来た。 ――そして数日後、ギルドに依頼書が張り出された。 『大きな口を持つ、知性のあるアヤカシの討伐をお願いします』 |