漁村の猫又騒動
マスター名:猫又ものと
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/05/22 12:55



■オープニング本文

●とある漁村で
 春の穏やかな空。
 日差しにキラキラと輝く海。舞うウミネコ。
 漁師たちが手にした魚篭には沢山の魚。
 家へと向かう彼らの足取りも軽い。
「いやあ、今日も大漁だったなぁ〜」
「ああ、ありがたいことだ」
「ずっとこんな調子ならいいんだけどな……ん?」
「どうした?」

 ドタタタタタタタ……。

 動きが止まった漁師達。その目線の先には、すごい勢いでこちらに向かって来る何かが見える。
 良く見ると、四足に、長い尻尾が二つ生えていて――。
「な、何だ?」
「……ね、猫又?」
 茫然とする漁師たちの前を走り抜け、ずしゃーーーっと言う音を立てて止まった猫又。
 くるりと振り返ると、漁師たちの行く手を阻むように立ち塞がる。
「お前達! その魚、全部置いて行くにゃ!」
「はぁ!?」
「いやいや、この魚がないと俺達だって困るんだよ!」
「問答無用にゃ! 置いて行かないと八つ裂きにしてやるのにゃーーー!」
 シャーーーッ! という咆哮。牙を剥く猫又に、猟師たちが凍りつく。
 猫又はケモノの中でも賢く、そして強い。自分たちを殺そうと思ったら、それこそ容易く実行するだろう。
 ――対抗する力を持たぬ漁師たちは、その理不尽な要求を黙って飲むしかなかった……。

●猫又騒動
「……という訳でですね。皆様には、漁村に現れる猫又を撃退して戴きたいんです」
 手元の資料をひらひらさせながら言うのはギルド職員の杏子。
 最近、とある漁村に猫又が現れるのだという。
「猫又? 何だってまたそんなところに? ……1匹だけなのか?」
「はい。単体です。漁村に現れる理由はですね。お魚だと思います。その猫又、漁師さんたちを脅して、魚を大量に奪っていくそうなので」
 開拓者の素朴な疑問に、困り顔で答える杏子。
 開拓者達は腕を組み、うーんと考え込む。
「……大量に? その猫又が食べるだけなら、そんなに要らないですよね?」
「はい。どうも、魚をどこかに運んでいるみたいなんですよ」
 理由までは分からないんですけど……と続けた杏子。
 漁師たちの話によると、猫又は魚を奪った後、食べずに持ち去っているらしい。
 その上、毎日ではないものの、何度も襲撃しに来ているのだそうだ。
 漁師たちが素直に魚を渡している為か、今のところ猫又の襲撃による怪我人などは出ていないとのことだが、続いている以上はいつ被害が出てもおかしくない。
 何より、日々の稼ぎを奪われる事態に、漁村の住民たちもさぞや困っていることだろう。
「分かった。早急に対応した方が良さそうだな」
「はい。申し訳ありませんが、よろしくお願いします!」
 開拓者達に勢いよく頭を下げた杏子。近くの机に頭を打ちつけ――がつっという鈍い音がギルドに響いた。


■参加者一覧
新崎舞人(ia0309
18歳・男・泰
ヘラルディア(ia0397
18歳・女・巫
樹邑 鴻(ia0483
21歳・男・泰
天河 ふしぎ(ia1037
17歳・男・シ
ユエン(ic0531
11歳・女・砲
紫上 真琴(ic0628
16歳・女・シ
クリス・マルブランシュ(ic0769
23歳・女・サ
黒憐(ic0798
12歳・女・騎


■リプレイ本文

●想像いっぱい、猫又いっぱい?
 外はぽかぽか、皐月晴れ。
 ……だというのに、村人の表情は冴えず。
 訪れた漁村は何だかどんよりしていた。
 日々の稼ぎを奪われ続けているのだ。無理もないのかもしれない。
「漁師さん達、やっぱり困ってるんだよね……。どんな理由があるにせよ正義の空賊としては見過ごせないんだぞ!」
 ぷんぷん、という音が聞こえて来そうな程、憤慨する天河 ふしぎ(ia1037)。
「……この間見た猫又は人と仲良さそうだったのに」
 そんな彼を宥めながら、紫上 真琴(ic0628)は以前、依頼で会った猫又を思い出す。
 猫又は、開拓者の相棒になれる程、強く賢い存在なのに。
 どうして悪さをするんだろう……。
「人がそうであるように、猫又にも色々いる……ということなんでしょうね」
 それに答えたのは新崎舞人(ia0309)。
 隣にいるふしぎだってこんな可愛い外見で男、しかも空賊だというのだから、世の中何があるか分からない。
 そう。依頼は何が起きても不思議じゃない。
 久々の仕事。気を引き締めながら、ちょっと余裕を持たないと……。
「それにしても、大量の魚を抱えていく猫又……ですか」
「……猫又は大漁の魚籠を一人で……担ぐか引っ張るかして持っていったのですね……」
 そう呟く間も、海からの風に揺れるクリス・マルブランシュ(ic0769)の大きなリボンと、黒憐(ic0798)の長い黒髪。
 2人の脳裏に浮かぶのは、うんしょうんしょと一生懸命、魚籠を押す猫又……。
 ああ、なんて可愛い!
「……っとと、そうではなく。何か事情があるのでしょうが……」
 想像を打ち消すように大きく腕を振ったクリスに、樹邑 鴻(ia0483)が笑いをかみ殺しながら続ける。
「人は殺さず、自分では食わない魚を大量に運ぶ、だもんなぁ。何となく、その理由が分かるような気がするが……」
 その場で食べずに、大量の魚を運び去っている。
 という事は、その魚を必要としている『何か』がいるのではないか?
「そうですね。子供が産まれたか、もしくはそれに類する理由……同類を保護したりしたか……」
「んー。仔猫を養うだけなら、量が多くないかな……」
 打って変わって真面目な顔のクリス。ふしぎも考え込んで……はっ! と目を見開く。
 ……まさか猫又の一族郎党養う為に!?
 お爺さん猫又、お婆さん猫又、シルクハット被ってパイプ咥えたパパ猫又、エプロン姿の猫又ママ、そして子供達……!
「……いやいや! 可愛くても、悪い事は悪いんだからなっ」
 膨らむ想像に一瞬和みかけたふしぎ。その言葉に、ユエン(ic0531)は目をキラキラと輝かせる。
「もしそうなら、ユエン、村人さん達も、猫又さんも、助けてあげたいのです」
 猫又の家族とか素敵。仔猫又だったらもっと素敵。
 ちょっと楽しみ……! とか思ってます。はい、全力で思ってます。
「わたくしも猫又を相棒として飼い受けている身ですし……手荒なことは出来れば避けたいですね」
 収集がつかぬ仲間達をまとめにかかったのは、穏やかな笑みを浮かべるヘラルディア(ia0397)。
 彼女の場合まとめようと思った訳ではなく、素でそう思っているだけだったのだが。
 同じように考えていた真琴もうんうん、と頷く。
「よし、じゃあ討伐は最終手段でいいな? 方針も決まったことだし、始めるか」
 確認するような鴻の言葉に、頷く開拓者達。
 彼の言葉に促され、行動を開始した。

●準備は速やかに
「いかにも開拓者でございって姿で歩いていたら、向こうも警戒するだろうしな。ちょっくら変装した方が良さそうだ」
「そうですね。では、村人なりすました方がいいでしょうか」
「そうだな。村人に服を借りられるか聞いてみよう」
 鴻とクリスがそんな相談をしている間、ヘラルディアと舞人は漁村にある販売所を訪ねていた。
「すみません、今あまりいい魚がなくて……開拓者様のお口に合うかどうか」
 漁村の村人達に『魚を譲って欲しい』とお願いしに行った2人。
 しきりに恐縮する村人を、安心させるように微笑む。
「いえ、わたくし達が食べるんじゃないんですよ」
「件の猫又をおびき寄せるためのものなんです。勿論お代はお支払しますので」
「あ、そういうことでしたか。分かりました。皆にも声をかけて来ます!」
「無理しない範囲で大丈夫ですからね」
 大急ぎで走り去って行く村人の背に、ヘラルディアが声をかけて――。
 猫又を退治してくれる救世主が現れたとあって、漁村の村人達は非常に協力的であった。
「あの……ちょっとお伺いしたいのですが……宜しいでしょうか……」
 無表情の黒憐を、真剣に取り組むが故と受け取ったらしい村人も、真面目に頷く。
「俺……いや、私達で分かることでしたら何でも」
「ありがとう。じゃあ……1日に取られた魚の量は、大体どれくらいなんだ?」
「強奪騒動が起こる前に、猫又を見た者や……猫又を連れた開拓者を見た者はいませんでしょうか……?」
 まず口火を切ったのはふしぎ。それに黒憐も続く。
 その問いに、村人は時々考えながら答えて行く。
 1日に盗られる魚の量は、魚篭1個から、多くて3個くらいであること。
 猫又は、何の前触れもなく突然現れたこと。
 村の周辺は林や岩場もあるので、猫又程度の小さなケモノであれば住むのには困らなそうであること――。
「そっかあ……。ということは、やっぱり何かいるのかなぁ」
「何か、と言うのは……?」
 明るい桃色の髪を揺らして首を傾げる真琴に、青ざめる村人。
 不安になったらしい彼に、真琴は笑顔を向ける。
「あの道に出る猫又、他の子にお魚を運んでるかもしれないんだよね」
「はい……。まだ推測の域を出ませんが……猫又にも酌むべき事情があり、解決に少々お時間戴くかもしれません……」
「ユエン達もなるべく早く解決できるように頑張るです。その間は危ないので、猫又さん出現区域に近付かないでもらえますか?」
 一生懸命事情を説明する黒憐とユエンに心打たれたのか。村人は全てお任せします……と呟いて、頭を下げたのだった。

●猫又を尾行せよ!

 ずる、ずる、ずる、ずる――ぼと。
 ずる、ずる、ずる、ずる――ぼとぼと。

「一体どこに行くのでしょうか……」
「……欲張らず、運べるだけにした方が、いいと思うんだぞ」
 距離を取り、猫又を見守るヘラルディアに、ぼそりと呟くふしぎ。
 村人に変装し、魚篭に用意しておいた大量の魚を入れて道を歩いていた開拓者達。
 程なくして件の猫又が現れ、わざと魚を奪わせて――今の状況がある。

 この追跡で、皆さんの推理が当たれば良いのですが……。

 ……猫又が魚篭を運ぶ姿というのも、ちょっとシュールですね。可愛くもありますが――。

 ああ、あんなにお魚をこぼして……! ユエン、手伝ってあげたいのです!

 いいなあ、魚釣り。あとで私もやってみたいんだけど――。

 どこまでも真面目な舞人と、つい口角が上がってしまうクリス。
 我慢のあまり悶絶するユエンに、真琴に至っては全く関係なかったりするのだが。
 4人がそんなことを考えている間も、猫又は魚篭を引きずりながらゆっくりと進む。
 開拓者達が用意した魚が多かったため、重くて素早く運べないらしい。
 また、魚篭を引きずった衝撃でこぼれた魚が道に点々と残り、猫又が通った道が如実に分かり、非常に追跡し易い状況であった。

 猫又に気付かれぬよう距離を取り、静かに進む。
 猫又が通った痕跡である魚をユエンが拾い。
 草をかき分け、木の枝を避けて、道なき道を一体どれくらい進んだだろうか。
 魚篭を引きずる音が止むのと同時に、聞こえて来た声。
「おかーにゃ、おかえりにゃさー!」
「おそかったのにゃー」
「おなかすいたにゃあ〜」
「分かってるにゃ。……さ、食べるといいにゃ」
 開拓者達がそっと覗きこむと、そこには魚を一心不乱に食べている5匹の小さい猫又と、それを見守る件の猫又が見えて――。

 ――5匹ですか。それは養うの大変ですよね。うん。そして可愛いですよね。

 さ、さ、さわりたいですのー!!

 ちょっと何アレ超かわいいーー!

 仔猫……かわいいですね……。

 その光景に事情を察した彼ら。声にならない叫びをあげるヘラルディアを除く女性陣。
 除かれた当の本人は、納得したように頷いている。
「仔猫さんがいらしたんですね……」
「どうやら、的中したようですね」
「しっかり説教してやらなきゃ」
 事情は分かったが、猫又自身に話をつけなくてはならない。
 舞人とふしぎの呟きに頷いた鴻は、静かに猫又達の前に歩み出る。
「さって、見つけたぜ? 猫さんよ」
「お、お前達、さっきの……!」
 突然現れた開拓者達に驚く母猫又。子ども達を守るように立ちはだかると、彼らを睨みつける。
「覚えててくれて嬉しいぜ。……お前、子どもの為に魚運んでたのか」
「だったらどうだっていうにゃ! お前達、村人に雇われたのにゃ!? だったら返り討ちにしてやるにゃー!」
 続けた鴻にシャーー! と牙を剥いて見せる母猫又。
 母の様子に気づいた仔猫達も、食事を中断して開拓者達に威嚇のポーズを見せる。
「待って。私達、戦いに来た訳じゃないんだよ」
「そうなのです。ユエンは猫又さんを助けたくて来たんです」
「騙されないにゃ!」
 止めに入った真琴とユエンに激昂する母猫又に、ヘラルディアは慈母のような微笑みをたたえて歩み寄ると、猫又の形をした木彫りのお守りを差し出す。
「……これはわたくしと共にある猫又の所持品ですね。お解りになられるでしょう?」
「猫又は開拓者にとって大切なパートナー。闇雲に傷つける気はありません」
「……まあ、それもお前達次第だけどな。こっちとしては、魚を奪う様な事さえ無くなればそれでいいんだ。だから、その為なら出来るだけ協力するぞ」
「悪いようにはしません……。話だけでも聞いて貰えませんか……」
 同族の匂いに毒気を抜かれた母猫又。語りかけて来るクリスと鴻、そして黒憐……開拓者達を順番にまじまじと見つめる。
「……この魚は返さないにゃよ」
「ああ。それは俺達の驕りだ」
「ユエンが拾ってきたお魚も差し上げるですよ」
「……話って何にゃ」
 鴻とユエンの言葉に、仔猫達が飢えることがないと理解したのか。
 母猫又は、仔猫又に威嚇をやめるように言うと、座って開拓者達に向き直る。
 黒憐も、向き合うようにびしっと正座して――。
「いいですか……。あなたの行っている事は強盗といい……立派な犯罪です……。このままでは、あなたを退治しなくてはなりません……」
「話しが違うにゃ! 傷つけないって言ったにゃよ!?」
「……話は最後まで聞いて下さい……。ですから、力づくで奪わず……他の手段で食事の調達をして欲しいんです……」
「他の手段って何にゃ? 思いつかないにゃ……」
 そう。この猫又は『他の手段』が思いつかなかったから強奪を繰り返していた訳だ。
 うーん、と考え込んでいた真琴。そうだ! と手を打って母猫又を覗きこむ。
「村で用心棒をやって、その見返りにお魚貰うっていうのはどう?」
「仔猫ちゃん達も、村の子供の遊び相手というお仕事ができると思いますね」
「あと、出荷できない魚なら、漁師さん達も快く分けてくれるのではないでしょうか」
「こことは別に、お魚が捕れる場所があるとも伺いました。村が不漁の時は、そちらに伺えば食事の調達も可能でしょう」
 続いたヘラルディアとクリス、舞人の提案。
 ユエンもおずおずと口を開く。
「えっと……。ユエンと一緒に暮らすって言う方法もありますよ。来てくれたら精一杯お世話するのです」
「……憐も、お仕事が貰えるよう……村の人達にお願いして来ました……」
「避けられる荒事は、避けるに越した事は無いってな。どうだ? お前達にとっても悪い話じゃないと思うが」
「……今でしたら……この牛乳もつけます……魚ばかりで飽きてきた所ではないですか………?」
 鴻と黒憐の優しい言葉。その後ろで、ふしぎが有無を言わさぬ正義のオーラを放っていて――。
「それでも悪い事は、悪いんだからなっ! 今までの事は、僕も一緒に謝ってあげる。きちんと反省するんだぞ!」
 素晴らしき哉。アメとムチ。
 開拓者にぶん殴られるくらいなら、働いた方がマシ。
 その事を瞬時に理解した母猫又は、ガクガクと首を縦に振ったのだった。

●猫又の就職
 そんな事があって、猫又達を漁村に連れて行った開拓者達。
 母猫又に今までの事をきちんと謝罪をさせたこと、村人達も子沢山の苦労に同情する者が多かったこと、今後はきちんと働くという条件も手伝って、猫又達の受け入れを反対する者はいなかった。
「よかったですね、暮らせる場所が見つかって……」
 依頼を無事達成出来た安心からか、笑みを浮かべる舞人にヘラルディアも頷くと、ユエンの背を気遣うように撫でる。
「ユエンさんは残念でしたね……」
「いいのです。ここに来ればまた会えますし♪」
 ユエンの提案は、『家族と離れたくない』という理由で残念ながら断られてしまった。
 が、猫又達が幸せに暮らしてくれれば、それで良い。
 ユエンは、そのためにここに来たのだから。
「開拓者様、本当にありがとうございました」
「ううん。当たり前の事をしただけだよ」
 頭を下げる村人達に爽やかな笑顔を向けるふしぎ。黒憐はコクコクと頷くと猫又達をじっと見つめながら続ける。
「……猫又が仕事をサボったり魚を強奪したり……皆さんに危害を加えた時には、言ってもらえれは……すぐ、開拓者がお仕置きしますので……」
「猫又が6匹、しかも仔猫又がいる村なんてそうそうありませんよ。いっそ、猫又に守り神的なものになってもらって、観光客を呼ぶというのはいかがですか?」
 観光客が呼べれば、色々な商品が売れて村がもっと潤うかも――。
 クリスの提案に、おお、と身を乗り出す村人達。
 彼女は、意外と商売の才能があるのかもしれなかった。
「ね、猫又さん、いつかまた会えるよね。そしたら今度はお魚取り競争とかしてみたいな〜」
「ハハハ。だといいな」
 能天気な真琴に鴻は豪快に笑って……しっかり頑張れよ、と母猫又の頭を撫でた。
「さて、守るべき物も守れましたし……どうです、皆さん。村の活性化の為に何か戴いてから帰りませんか」
 続いた舞人の提案に、満場一致で賛成した仲間達。
「憐……お腹が空きました……」
「私もー! お刺身食べたーい!」
「僕もー! ここの名産品って何かな?」
「あらあら。では村の皆様にお伺いして来ましょうね」
「俺も手伝おう」
「あの、仔猫又を抱っこしたいのですが……」
「ああっ! ユエンも抱っこしたいのです!」
 ――そんな笑い声が、いつまでも村に響いていた。

 こうして、開拓者達の活躍により漁村の平和は守られた。
 開拓者の提案で、猫又達への仕事の依頼方法や、万が一の時の後見制度も整備。
 猫又をお祀りする神社の建設が急ピッチで進められたとか――。