牡牛座が体育会系という風潮
マスター名:西川一純
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 難しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/09/09 11:15



■オープニング本文

 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。
 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する―――


 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。
 星座アヤカシを打ち倒し続け、人類はついに星の一欠片の実用化に成功した。
 行動力と気力を消費することで発動するこのメダル。効果は様々だが、人により効果が違う上に不確定というのはやはり恐い。
 使える場所も、石鏡の国の一部、集星と呼ばれる地域内に限られているのが痛い。実験も現地に行かなければならないわけだ。
「海蛇座、水蛇座、蛇座のメダルの調整も完了っと。さて……そろそろ来ますかね」
「亜理紗、大変よ。黄道十二星座のアヤカシが現れたわ」
「ほうらおいでなすった」
 ある日の開拓者ギルド。
 星の一欠片の依頼を任されている十七夜 亜理紗は、金色に輝く三枚のメダルを弄りながらその時を待っていた。
 やがて話を振ってきた先輩職員、西沢 一葉の言葉にヤレヤレと肩をすくめてみせる。一葉にしてみればなんだか面白く無い。
「何よそのリアクションは」
「いえね、星の一欠片ももう二十枚近くじゃないですか? そろそろだと踏んでましたから」
「何よ、結婚したからって急に大人びちゃって」
「結婚、いいですよ! 義妹も可愛いですし!」
「……え? 義妹も一緒に住んでるの?」
「はい。ちなみにその子、旦那様とも血の繋がりは無いそうなんですけどね♪」
「…………大丈夫なの? それ……」
「はい?」

 閑話休題

「今回のアヤカシは牡牛座、タウラス。強敵よ」
「お、来ましたね! つまり、力こそパ―――」
「残念。タウラスの特徴は、メガネを掛けた知的な優男って風体で、頭が回ることよ」
「…………はいぃ?」
 牡牛座=肉体派=噛ませ犬というイメージがよほど嫌だったのだろうか。少なくとも集星に顕現した牡牛座のアヤカシは、人間型をしており言葉もペラペラ、力よりも頭脳で勝負という存在になったようだ。
 性格は高飛車で嫌味っぽい。クールな二枚目キャラといったところだろう。
「あー……そういえば神話だと、全知全能の神様が変身した姿なんでしたっけ?」
「そ。だからこのイメージも間違いじゃないわ。ちなみに、魔術系を好んで行使してくる上に、レパートリーが豊富な大魔術師だから注意するように。知らない術とかも飛んでくるかもね」
「○○しないと死なないみたいな耐性は?」
「無いらしいわよ。純粋に戦闘で倒すだけ。ちなみに持ち物は一冊の本。武器はなし。もっとも、頭がいいって言うことは何よりも恐い武器になると思うけどね」
 体術もかなりのものであり、手練の開拓者数名がすでに返り討ちにあっているという。流石は黄道十二星座の面目躍如である
 果たして、イケメン魔術師を模した牡牛座を撃退できるかどうか。
 魚座とはまた違った意味で恐ろしい力を秘めているであろう―――


■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432
16歳・男・志
ルゥミ・ケイユカイネン(ib5905
10歳・女・砲
各務 英流(ib6372
20歳・女・シ
アムルタート(ib6632
16歳・女・ジ
神座早紀(ib6735
15歳・女・巫
何 静花(ib9584
15歳・女・泰
緋乃宮 白月(ib9855
15歳・男・泰


■リプレイ本文

●牡牛座の神話
 神話というのは、いざ調べてみると意外とトンデモ設定であることがままある。
 八十八星座の代表格である黄道十二星座。その一つである牡牛座もまた、そんな神話を持つ。
 逆に考えるんだ。脳筋タイプの描かれ方のほうが美化されているんだと(何)
 集星の草原に立ち、風にマントをたなびかせる優男。
 開拓者たちの接近をすでに察知しており、パタンと本を閉じて視線を送ってくる。
「フッ……ようこそ。君たちが来るのを楽しみにしていたよ」
「知性派気取りですと……牛は例え性格がチンピラでも、代々筋肉バカは変わらないのが誇りでしたのに! そんな牛、修正してやる!」
「やーいイケメンだろうと中身は牛の鈍重ごろごろだらしない男〜♪ 動物だから実はバカですよね本能には逆らえませんよね分かります〜! ねぇう・し・さ・ん? なんちゃって♪ きゃっははははっ!」
「おやおや……君たちは本当に牡牛座に偏見があるんだね。まぁいいさ……好きなだけバカにするといいよ。バカにしたその牡牛座に、君たちは負けるのさ」
 各務 英流(ib6372)とアムルタート(ib6632)による煽りもそよ風のように流す。これは強敵だ。
 特にアムルタートの煽りは、わざととは言え関係ない人間が聞いても少し嫌悪感を覚えるレベル。彼女の名誉のために言っておくが、普段はとても良い子である。
 軽く笑った牡牛座は、改めて開拓者たちを見回してみる。
 やがて深呼吸した後のようにふぅと息を吐くと……。
「男は2人……女性は6人。しかも全員美しい。どうだい、僕と一夜を共にしてみないかい?」
「おいちょっと待てェ! お前、こいつも守備範囲に入ってんのか!?」
「勿論だよ。美しい女性は抱く。そこに年齢など関係ないね」
「一目で男だと分かってもらえたのは久々な気がします……でもその発言は看過できません」
 鷲尾天斗(ia0371)と緋乃宮 白月(ib9855)が軽く驚いた理由。それは、まだ10歳のルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)を含めて一夜がどうこう言い出したからだ。
 だが牡牛座は全く悪びれない。しれっととんでもないこと言ってはばからない。
「牛太郎、あたいと仲良くしたいの? でもだめー! 今日は牛太郎ハンティングなのだー!」
「それは残念。でも正直、君の意志は関係ないかな。倒した後に無理にでもいただくよ」
「ちょっちょっちょっ、本気ですか!? そろそろギリギリのラインですよ!?」
「……最低ですね。あなたって最低の屑ですね」
 真亡・雫(ia0432)は焦りながら、神座早紀(ib6735)は嫌悪感丸出しで牡牛座と相対する。
 こうも堂々と欲丸出し宣言をできるのは奴がアヤカシだからか。しかも相手が相手である。
 しかしそれが本気であると牡牛座の視線が語る。魚座のメダルで銀髪ロングの美少女に女体化している真亡は勿論、嫌がる神座のことも舐めるように見つめている。
 だから二人は確信した。負けたら本当に色んな意味でやられる、と。
「これが牛だって言うのか? 賢い? ナンディじゃないのか」
「君もいいね。頭が弱そうというよりネジが二、三本飛んでる感じだけど。そういう娘が快楽を知って溺れていくのもまた一興……僕が女を教えてあげよう」
「はぁ。よくわからんがこんなまっ平らな女っ気無しの女のどこに欲情できるんだ?」
 何 静花(ib9584)はあまりよく分かっていないようでポリポリ頭を掻いているが、大体のメンバーはすでに牡牛座の脅威を感じ取っている。
 こいつは喋らせるだけでまずい。色んな意味でゾッとする。歩く十八禁とでも名付けるか。
 何を庇うように立ちはだかった各務にも焦りの色が見えていた。
「まさかこちらからネタを振る前に乱暴すると言い切るキャラがいるなんて……!」
「そこかよ! いいからとっとと潰すぞ! ヤられたくなきゃ死ぬ気で倒せェ!」
 こんなやつを街に行かせたらとんでもないことになるのは誰の目にも明らかだ。この場で、誰の被害もなく撃滅しなければならない。
 手練に敵意を向けられながらも、牡牛座はそれを楽しむように微笑み持っていた本を開く。
「僕に油断はない。人よ、身の程を知るがいい―――」

●黄金の野牛
 思い返せば、魚座もそうだった。
 魚座の場合戦闘能力という点では今ひとつだったが、その魅了……チャームの能力は凄まじかった。
 ならば魔術戦というか知能に特化したという牡牛座の場合は? 勿論、凄まじいに決まっている。
「ずぁっ!? お、置き罠だとぉ!?」
「何の準備もせずにここに突っ立っていたと思うのかい? さぁさぁ、お楽しみはこれからだよ」
 鷲尾がやる気のなさを押して大地を蹴った次の瞬間、猛吹雪が彼を襲い弾き飛ばした。
 知性ある牡牛座が……否、このエロガッパが移動しなかったのは何故か。それはこうやって準備万端開拓者たちを迎え撃つためだ。
 戦場の随所に設置された、侵入感知型のトラップ魔法。それをくぐり抜けられたとしても、足並みの揃わないところを個別に魔術で撃ち抜いていく。
 救いなのは、一発一発の威力はそこまで高くないこと。ただし、それも延々と近づけないのでは同じことだが。
「よぉーし、なら遠くからならどぉだぁ!」
 ルゥミが蛇座のメダルを発動させつつ弾丸を放つ。
 事前に調べた限り、隠密性が増すような効果ではなかった。なら、ルゥミが使用した時の効果とは……
「曲がる弾丸……いや、蛇のような動きをする弾丸。フッ、これはランダムだね」
 そう、ルゥミの銃から放たれた弾丸は、まるで蛇が這い進むかのような軌跡を描き牡牛座をホーミングする。
 意図して操作しているわけではないのでタウラスも軌道を読みきれない。しかし、飛来する弾丸に対しストーンウォールを形成、防御する。
「ウミヘビで仕掛けるぞ」
「鳳凰座、いくぜ。高速回復でもなんでも来いやァ!」
 ダメージ覚悟で突っ込んでいく何と鷲尾。星の一欠片が発動されたことを感じ、タウラスは思わず舌打ちする。
 確かに開拓者は強い。しかし、自分ならば撃退できるという自信があった。
 が、ルゥミをはじめ星の一欠片を……星座の力を駆使してくるとなれば話が違う。タウラスの知識にも全くない新たな技、新たな戦術、新たな状況が生まれてくるのだ。
 ブリザーストームを放ち迎撃を試みるが、鷲尾の体から真っ赤な炎が噴出し彼の全身を包む。その炎は鷲尾自身には全く効果がないが、敵味方問わずを焼く無慈悲な炎だった。
 更に、別方向から接近してきた何の腕から、エネルギーの爪のようなものが発生している。そしてそれには毒があると、直感的にタウラスは理解した。
「なるほど……これは厄介だ……ねっ!」
 マントを翻し、何の攻撃を回避しつつストーンアタックをぶつけ弾き飛ばす。
 続いて接近してくる鷲尾からバックステップで距離を取りつつアイアンウォールを展開。その進撃を阻害する。
「違う! 牡牛座の戦い方はそうじゃありませんのに!」
「こだわりはいいので戦ってください。こちらもメダル、いきましょう」
 各務は南の三角座、神座は三角座のメダルを所持している。流れるようなタウラスの動きで前衛が苦戦中。ならば少しでも助けになればとメダルの力を開放した。
 すると神座を中に閉じ込めるような形でエネルギー体の三角錐のようなものが発生。どうやらバリアになっているらしく、タウラスが放ったサンダーを軽々と弾いた。
 一方、各務の手にはエネルギー体の巨大な三角形のプレートが出現している。
「これは、もしかして……スピーーン、ゴー!」
 がしりとその一辺を掴み、タウラスに向かって投げつける各務。
 高速回転するそれは、さながら画架座のカンバスカッター。触れるものを斬り裂く三角形の刃である。
「思念操作型のブーメランのようなものか。くっ、やはり人間に星の力を使わせると厄介だな……」
 メテオストライクを発動、三角座にぶつけ相殺する。
 集星でのみ行われる星座と星座のぶつかり合い。それを美しいと見るかは人次第だ。
 続けざまに走りこんできたのは真亡。長い銀髪をたなびかせる美しき魅了の乙女。
「む……やはり美しさでは君が一番だね。この気持ち、まさしく愛だ!」
「あなたのような男(ひと)に愛を語る資格などありません!」
「愛おしく思うことに聖邪などあるものか!」
 接近戦で刀を振るう真亡に対し、タウラスは手にした本に目をやりエネルギー体の刀を出現させる。
 本は左手、右手は刀。打ち合うその太刀筋に、真亡は違和を感じた。
「これは……僕の太刀筋……!?」
「素晴らしい。犯し甲斐がある!」
「まだ言いますか!」
 ギィン、と一際甲高い音がして二人が離れる。
 この一連のやりとりで、真亡は理解した。タウラスが手にしているあの本……戦場でも後生大事にして目をやるあの本は、敵の技量や技、術を教科書としてタウラスに全知全能っぽい何かを与えているのだ。
 だからいくつも魔術を活性化できる。インテリ系でありながら体術もこなせる。その場その場で瞬時に学習しているのだから非常に性質が悪い……!
「……でも、初見のものには対応できないでしょう? 僕に見蕩れ過ぎましたね」
「何……?」
 それこそ見惚れてしまうような満面の笑み。それを不審に思ったタウラスが異変に気づいたのはもう少し後のこと。
「ジャンジャジャーン! 今明かされる衝撃の真実ぅ!」
 真っ赤なバラージドレスに身を包んだジプシーの少女、アムルタート。その手には先ほどまでタウラスが持っていたはずの本が収まっている。
 慌てて手元を確認するが、当然本はない。何故だ!? きちんと持っていたはずだ!
「残念でしたー。ジプシーの手癖の悪さは油断がどうこうじゃないんだよ〜。いえ〜いザックザク〜♪」
 すぐさま本をジャンビーヤで切り刻む。これではもう使い物になるまい。
「馬鹿な……そんな目立つ格好で、そんなジャラジャラと装飾品を着けていて……!」
「気に病むことはありません。それよりも、体術も相当な腕前とお聞きしました。一つ、手合わせ願います」
「くっ!」
 いつの間にか接近していた緋乃宮が繰り出す拳の連打。本を失った左手も交え、二人は凄腕拳士特有の高速の打ち合いを始める。
 緋乃宮が拳を繰り出せばタウラスは左手でそれを払い、右の裏拳を見舞おうとすれば緋乃宮が右腕の肘でガードする。
 一瞬の判断の遅れが命取りになりそうなラッシュの中、緋乃宮はぽつりと呟いた。
「時計座……アクセル」
「……! これは……!」
 タウラスがラッシュで徐々に押され始める。緋乃宮の速度がだんだんと上がっているのだ。
 これが緋乃宮が時計座を使った時の効果。自身の時間を一定の倍率まで徐々に早めていく!
「ふっ!」
「がっ!?」
「せやっ!」
 払いやガードをくぐり抜け、緋乃宮の拳がタウラスの腹を捉る。続けて顎を蹴りあげ吹き飛ばす!
「いえーい、これがあたいのファンサービスだよ! そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!」
 追撃で放たれたルゥミの弾丸がタウラスの左肩にヒット。なんとか顔面への直撃は避けたが、強かに瘴気が吹き出した。
「フッ……例え本がなかろうが、僕の知性は揺るがない」
 不意に使用されたトルネード・キリク。これは自前の術なのだろう。
 しかし、ただのトルネード・キリクではない。その竜巻には紅蓮の炎が走り、効果範囲が実際のものの倍近い……!
「こうも火を使う、モロクだっていうのか? くぁっ!?」
 何の言葉を飲み込み火炎竜巻が治まった後には、あちこちを焦がした開拓者たちの姿。威力がいままでの術の比ではないくらい高く、無事なのは鳳凰座の効果で炎をまとっていた鷲尾と、三角座のバリアに守られた神座くらい。
「ぐ……賢しいな、タウラス……!」
「賢くて悪いかい?」
「ならその賢さ、試させていただきます」
 時間を稼ぎたいのだろう。知性を自慢するタウラスに知性で勝負を挑めば逃げはしないだろうという算段の下、神座が言葉をぶつける。
「台形の面積の求め方は?」
「答える義務はない」
「天儀の国王名を全て答えよ」
「知らないし知る必要もない」
「……あなた、それで知性を気取るんですか?」
「識るということと知るということは似て非なるんだよ。聞かれたことに答えられなければ知性が低いだなんて思い込むのは低俗な証拠。真の知識人は知識をひけらかしたりはしないし、知らないことを恥じない」
「む……悔しいですが一理あります」
「フッ……自らの理のなさを素直に認める。可愛らしいじゃないか。魅力的だよ、ますます手篭めにしたい」
「節操がねェんだよてめェはよォ!」
 全身に炎を纏った鷲尾がタウラスに殴りかかる。どうやら魔槍砲他、武器や盾は加熱され手に持っていられないらしい。
 鷲尾は当初、本が本体で体は普通の人間ではないかという危惧をもっていたが、それはないと結論づけられた。ならば後はぶちのめすだけである。
「近づくだけでこの熱量か。組み付かれでもしたらことだね」
「野郎に抱きつくなんざ真っ平ごめんだってんだ!」
「気が合うじゃないか。どうだい、僕に味方すれば彼女たちを味わう権利をあげるよ」
「はっ、そりゃァ残念だったな。こちとら可愛い愛妻が居らァ!」
 その叫びとともに、鷲尾は突然その場で地面を這うように突っ伏す。
 タウラスが見たのは鷲尾のすぐ後ろから飛来する南の三角座のブーメラン!
 本当は誰を狙ったのか知らないが、各務が再び投げつけていたらしい。
「チィィィッ!」
 ギリギリのところで回避したタウラスの背後に、海蛇の牙のようなエネルギー爪を生やした何の姿……!
「逃げられんよ、角なしぃ!」
「く……そぉぉぉぉぉっ!」
 その爪がタウラスの背中を貫き、多量の毒を流しこむのに時間はかからなかった。
 黄金のメダルを残し、消滅したタウラス。しかし何はそのメダルを拾うことすらできずに再び地面に倒れ伏す。
 やはり先程の火炎竜巻のダメージが甚大だったのだろう。気力を振り絞った攻撃に賛辞を送りたい。
「治療はお任せくださいね。……それにしても、移動できなくなるのは難点ですね」
「物理攻撃に弱いってのもなァ」
 鷲尾が軽くノックするように叩いただけで、三角座のバリアはパリーンと砕け散る。
 魔術攻撃には滅法強いが、物理や物理を伴う魔術はきっぱり苦手で、メダルの発動者は破壊しない限り中から出られない。三角座もいいことだらけではなかった。
 かくして、黄道十二星座の一角である牡牛座タウラスも撃破された。治癒してもらったとはいえ、開拓者たちに死ぬ一歩手前の被害を与えながら……だが。
 斜め上でも強さは本物。まだ10体も残る他の黄道十二星座に、不安をよぎらせる一行であった―――