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■オープニング本文 前回のリプレイを見る 天儀の中心都市たる神楽の都。 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら――― 『人とアヤカシは共存できない』 石鏡の上層部はそう結論付け、国内のとある町で自警団まがいの行動をしていたアヤカシの排除に乗り出した。 セブンアームズ(以下SA)と呼ばれる彼らは、獲物として捕らえた町長のとっさの提案に乗り、犯罪者を捕まえて死刑囚を食べるという行動を取っていた。 町での評判は上々。契約内容的に無闇に人を襲わないこともあり、共存は可能かと思われた‥‥が。 結局SAにとってはお遊びのようなものだったらしく、最初はともかく長く続くその生活に嫌気を覚えるメンバーも出始めたらしい。石鏡上層部の決定もあり、排除活動の結果、拍子抜けするくらいあっさりと町を出て行ったのである。 責任を取る形で付いていった、町長と言う犠牲を伴いながら‥‥だが。 しかし、その記憶も冷めやらぬ中、石鏡の開拓者ギルドから神楽の都のギルドへ連絡が入った。 「えっ、SAから連絡!? 新しい狩りの開始合図ですか!?」 「そうじゃないみたい。町長の身柄をかけて開拓者を呼び出せ‥‥ってことみたいよ」 職員の十七夜 亜理紗がその知らせを聞いたのは、昼食を食べて帰ってきた後のことであった。 まだ昼休みの時間は残っているが、そんな場合ではなくなったらしい。 知らせた先輩職員の西沢 一葉は、依頼書とにらめっこしたまま難しい顔をしている。 突然例の町の入り口に現れたSAのリーダー格、反棍のクレルが、『開拓者を呼んで自分たちと戦えと』言う旨の話を町人にしたらしい。すぐに石鏡のギルドに話が通され、現在に至るとのことだ。 「確かに、今度狩りをする時は宣言をしてからにしろっていう話にはなりましたけど‥‥町長さんの身柄をかけてっていうことは、町長さんはまだ生きてるってことですよね。こういうとなんですけど、もうとっくに駄目かと‥‥」 「それは話を振られた町人も思ったみたい。で、クレルに聞いてみたら、『うーん、そこは聞かないで。アヤカシとしては情けない話だから』ってはぐらかされたんだって」 「もしかして情が移ったんですかね? どうして関係の無い人を平気で殺せるのかって思ってましたけど、関係が無いから平気で殺せていたってことなんでしょうか‥‥」 「良くも悪くも人間臭すぎるアヤカシよね。何にせよ町長さんを取り返すチャンスよ。なんとかしたいわね」 依頼書にはSAと戦えとしか書いていないので、一対一の決闘形式で戦うのも八対七の集団戦で戦うのも自由だ。 煮え切らなかった決着に、きちんとしたケリをつける機会は今回しかない。 しかし、どれだけ歩み寄れそうでも共存は出来ない。戦うしかない相手だということはお忘れなく――― |
■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
小伝良 虎太郎(ia0375)
18歳・男・泰
真亡・雫(ia0432)
16歳・男・志
斎 朧(ia3446)
18歳・女・巫
鈴木 透子(ia5664)
13歳・女・陰
狐火(ib0233)
22歳・男・シ
ジークリンデ(ib0258)
20歳・女・魔
劉 那蝣竪(ib0462)
20歳・女・シ |
■リプレイ本文 ●疑問 石鏡南部にあるとある町。しかし今回は町ではなく、その郊外の野原が舞台となる。 開拓者が到着した時にはすでにセブンアームズ(以下SA)たちは全員そろっており、フードも取って顔を晒した状態だった。 思わず顔を見合わせた開拓者たちだったが、町長の姿を見つけ気を引き締めなおす。 「やっほ〜」 「やる気無いね!?」 「愛するもの同士が闘う、何たる悲劇ってか」 「別に愛してないし」 恐ろしく気の抜けた挨拶をした鷲尾天斗(ia0371)だったが、素早くツッコミを入れてくれた撃槍のクランは付き合いがいいと思う。 別に和気藹々としたいわけではないが、のっけから殺気立つのも憚られる。それがSAという相手だ。 距離を取って対峙していた両陣営だったが、ふと小伝良 虎太郎(ia0375)が声を上げる。 「こう言うのも変かもだけど、まだ終わってもいないけど‥‥それでも、町長さんを殺さないでくれてありがとう」 「とりあえず今回の経緯というかお話を聞かせてもらえませんか? アヤカシとして情けない話というのは、やっぱり―――」 「つかまぁぶっちゃけ、なんで町長喰わないの?」 「本当に鷲尾さんは空気読みませんね‥‥」 「フッ、惚れてもいいんだぜ?」 「ありえません」 真亡・雫(ia0432)が作り出した真剣な雰囲気をぶち壊しにした鷲尾だったが、真亡も結局は同じ事を聞きたかったのは間違いない。 それはツッコミを入れた鈴木 透子(ia5664)も一緒であり、咳払いを一つして改めて質問した。 「御用は一体何ですか?」 それに対し、SAたちは顔を見合わせる。そして覇剣のジークがニヤリと笑うと、 「そりゃ説明して欲しいわな。ほれ、答えてやれよ言いだしっぺ」 「ぐ‥‥おぬし、嫌な奴じゃのう‥‥」 苦々しそうにしながらも歩み出たのは、なんと操球のキュリテであった。 町暮らしを否定し、人を喰らうことを当たり前だと豪語していた気がするが‥‥? 「あー、その‥‥用件は勿論、町長を賭けた決闘じゃ。最初に伝えたであろう、愚か者が」 「そのような上っ面の理由を聞きたいのではありません。本当のことをどうぞ?」 「‥‥相変わらず笑顔のわりにきつい女じゃな‥‥」 ニコニコしながらも刃の如き鋭さでツッコミを入れる斎 朧(ia3446)。 まぁ誤魔化しているのがバレバレなリアクションをするキュリテが悪い。ことここに来てしまったらさっさと諦めてしまえばいいのにと思う。 「わかったわかった、白状する! そうじゃ、予想以上に喰い辛かったのじゃ! 思えば一ヶ月以上もの間毎日顔を突き合わせていたのじゃからして、多少情が移っても仕方あるまい? ほら、あれじゃ。例えが悪いのを謝りはせぬが、おぬしたちが一頭の豚を飼っていたとする。やがて大きくなって喰い時になった。しかし、長い間一緒にいたその豚を殺して喰ってしまうことには躊躇せぬか? それと同じと思えい」 「ほ、本当に例えが悪いわね‥‥。でも、言わんとすることは分かるわ。そしてそれを、私は少しだけ嬉しく思ってしまうの」 「勘違いするでないぞ。そなたたちが負ければその時は容赦なく喰う」 柔らかく微笑んだ緋神 那蝣竪(ib0462)であったが、キュリテはそれをギロリとにらみつけた。 餌に情を移すなどアヤカシの名折れだ。これ以上恥の上塗りをしないためにも、きちんとケリをつけて町長を喰い、いつものペースに戻りたいということらしい。 と、そこに。 「‥‥随分ずるい提案でしたのですね。少々がっかりいたしました」 ジークリンデ(ib0258)は長い髪を弄りながらポツリと呟く。 「あなた方が勝てば、誰にも憚ることなく町長様を食べる覚悟が出来る。負けても、食べるのに躊躇してしまう町長様を合法的に手放し次の獲物を探せる。どちらにせよあなた方が得をするだけではありませんか」 「くぅ‥‥頭のいい連中はこれだから好かぬ! どうせうぬらには拒否権は無いのじゃ。さっさと戦え!」 「何にせよこの展開は想定外でした。アヤカシとしてのプライドが無償での返還を躊躇わせているというのであれば、相応しい戦いを用意致しましょう」 半ばヤケを起こし始めたキュリテに対し、狐火(ib0233)が決闘の開始を受諾する。 そう、開拓者に選択権は殆ど無い。だからSAの言うように戦うしかないのだ。 幸いなのは、SAたちが約束を違えないであろう事。 不幸なのは、SAたちがやりにくい相手だということ――― ●激突 具体的な決闘方法について、SAたちには戦闘するということ以外に特に希望は無いとのことだったので、緋神の提案で3:3及び4:4に分かれての二回戦に決定した。 町長を人質に取られていては充分に戦えないと主張する鈴木であったが、そこは信用しろと言われてしまうとどうしようもない。 一応戦闘に巻き込まない用の配慮はしているし斎が付いていてくれるようなので、大丈夫だとは思うが。 「それじゃ始めましょうか。‥‥こうして真剣に戦おうとするのは久しぶりね」 「僕は初めてです。この展開を望みはしませんでしたけど‥‥是非も無し‥‥!」 SA側はクレル、ダシオン、クラン、リュミエールの四体。 開拓者側は、真亡、小伝良、緋神、狐火の四人に分かれて隊形を整える。 審判など存在しない。開始の合図もない。お互い、動き出すきっかけを探り合う。 ‥‥そして! 「だっ!」 瞬脚を使用し、大地を蹴って一気に間合いを詰める小伝良。 狙いは一番後ろに控えているダシオン。遠距離攻撃を早めに潰したいのもあるが、弓使いなら小伝良に接近されたらどうしようもなかろうと言う目算だ。 他の三体を迂回するように大きく左に突破を図る。クレルたちも反応はしたが‥‥! 「あなたの相手は僕ですよ!」 「リュミエールちゃん‥‥!」 「もう少し穏便な手段で行きたいものですがね」 真亡、緋神、狐火が他のSAたちをマークに回り、ダシオンへの援護を許さない。 ががが、と地面を滑り、小伝良は更に大地を蹴る。今からなら矢の装填は間に合わない。仮に間に合っても、矢なら当たり所が悪くなければ致命傷にはならないだろう。 虎か、豹か。獲物を狩る四足獣かの如き鋭さで、小伝良の三節棍が唸りを上げる! しかし!? 「かかりましたね」 「っ!?」 ダシオンは矢を番えるどころか、弓を片手で持ったまま逆に小伝良に突っ込んでいく! 不意を突かれた小伝良は攻撃のタイミングを逃し、振りかぶられた弓を受けるだけで精一杯であった。 「うっ、うあっ!?」 まだ少年と呼んでいい小伝良の身体が、まるでボールのように吹っ飛んでいく。 ダメージ自体はそれほどでもないのですぐに体勢を立て直したが、その瞳は驚愕に満ち溢れていた。 「フッ‥‥私の武器を見た人は大概私を狙ってくるので困りますよ。あなたはどちらですか? 遠距離攻撃と読み違えたのか、この肉体美を甘く見たのか‥‥!」 小伝良ほど速くないとはいえ、とても弓使いとは思えない速度で突っ込んでくるダシオン。 また矢を番えない。弓を完全に鈍器として扱っている‥‥! 「零弓のダシオン‥‥ゼロ距離での弓のダシオンってこと!? そんな馬鹿な!?」 「私が一番与し易いなど、夢にも思わないでいただきたいですね」 「くっ、元々弓は接近戦をやる武器じゃないんだっ!」 不意を突かれなければ小伝良もそうそう遅れは取らない。しかし、少し他のメンバーと離れすぎているか? 「完全に読み違えた‥‥! よくよく見たらあの弓、弦も張ってないじゃないの!」 「だ、ダシオンの弦と矢も、瘴気で作るッスよ。接近戦ばかりやるッスけど‥‥」 リュミエールの鈎手甲をギリギリで回避しながら緋神が毒づく。 速攻でダシオンを狙おうとしたのは彼女も同じなのだ。しかし今は手助けどころか、完全にリュミエールに翻弄されている。 その攻撃は、速さもさることながら破壊力が酷い。地面を打てばそこが大きく抉れ、岩を叩けばそれが軽々砕ける。 剛爪の名に恥じない攻撃は、これでもまだ本気ではない‥‥! 「緋神さん! うっ!?」 「どこにいくつもり? 彼女を助けたいなら私を突破すること」 少し気を逸らせた瞬間、クレルのトンファーが唸りを上げて真亡を襲う。 何とか刀で弾いたが、真亡の攻撃もクレルには全く通用しない。命中に関しては一目置かれる真亡がスキルを使ってなお、二つのトンファーを抜けない。向こうも受けを鋭くできるスキルを使うから‥‥! 「リーダーは生存能力も大事なのよ?」 「まるで円運動の結界ですね‥‥! なら、円には円を‥‥!」 躊躇は自分を、仲間をも殺す。それを知っている真亡は、一旦刀を引き寄せ‥‥一気に解き放つ! 「っ!?」 円月‥‥受けを主体とする相手にはほぼ必殺の攻撃となる、高速の剣技。 クレルもよく反応したが‥‥! 「軌道を逸らした!? なんて人だ‥‥!」 傷を少しでも浅くすべく、反射神経の全てを使ってクレルは迫り来る刀にトンファーをぶつけた。 それでも脇腹を深く斬りつけられ、大きく体勢を崩す‥‥! このままクレルを叩き伏せるか!? それとも緋神を助けるか!? 真亡の脳裏に厳しい二択が迫られて、一秒も経たないうちに‥‥! 「槍!?」 不意に飛んできた槍を受けきれず、真亡は左肩に衝撃を受け数歩後ずさる。 それは狐火と戦っていたクランが投げ放ったものであり、その狙いは恐ろしく正確であった。 「クレル姉はやらせないよっ!」 「申し訳ありません、接近戦を避けられるもので‥‥!」 撃槍のクラン。撃ち出す槍のクラン。ダシオンと逆で、その真価は遠距離戦にある‥‥! 投げた槍を瘴気に戻し、手元に再び構築するクラン。SA特有のこの能力があるからこそ、本来は格闘武器の槍を平気で投げつけたりすることができるのだ。 「こんなこと、三丁目の長屋の子供たちが知ったら怖がりますよ?」 「っ! 五月蝿い、もう終わったことなんだよ! お前たちが終わらせたんだ!」 「おや、あなたは出ていくのに賛成だったのでは?」 「未練がなかったわけでも、留まりたい理由が無かったわけでもないよっ!」 槍を投擲しては消し、出現させては投擲を繰り返すクラン。 狐火も接近の糸口がつかめず、舌戦で撹乱しようとする。 しかし‥‥ 「ご、ごめんなさい、ダメージが思ったより大きいみたい‥‥! 棄権するわ‥‥!」 クレルが膝をつき、荒い息でじりじり後退する。血の代わりに瘴気が吹き出す大きな傷口。実質、このグループの負けを認めたのと同じだ。 もっとも、クレルの超反応がなければ身体が二つに分かれていてもおかしくなかったのだから十分脅威だが。 そしてしばし時を置き、開拓者側の鷲尾、鈴木、ジークリンデと、SA側のキュリテ、ジーク、シエルがスタンバイを終える。 シエルについては未だ情報がほとんどない。未知の怖さがあると言えよう。 「ま、やるからには全力でいくぜ。だがジーク、てめーはダメだ」 「どうでもいいが前衛お前一人しかいないだろ。俺を無視してていいのかよ」 「む。‥‥‥‥仕方ない、透子。お前を守るために涙を飲んで男と戦おう!」 「嬉しくありません」 「私は美少女として扱ってくださいませんの?」 「あんた色っぽすぎるんだもんよ‥‥」 「えぇい、緊張感のない! 行くぞえ!」 先のグループと違い、短気を起こしたキュリテが鎖鉄球を投げ放ち戦闘開始となる。 キュリテの鎖鉄球もクセモノで、射程は優に5メートルはある上にやろうと思えば鎖部分を延長もできるという。これも瘴気で作り出した武器だからできること。 岩を一撃で粉砕するその黒い塊が、鷲尾を通り抜けてジークリンデに向かう‥‥! 「アクセラレート‥‥! この程度では」 およそ魔法使いとは思えない俊敏さで回避するジークリンデ。機動力のある魔法使いというのも珍しい。 そのままアークブラストを放つが、キュリテの纏う黒マントに防がれダメージは与えられない。 「続きます。一気に剥がしましょう」 鈴木が斬撃符を放ち、キュリテに直撃させる。ダメージこそ無いが、これでキュリテは後一回しか魔法を防ぐことができない‥‥! 「させるかよ。シエル、こいつは俺が抑える。他の連中をなんとかしてくれ」 「‥‥本気でやっても、いい?」 「あぁ。しかし殺してもいいが喰うなよ。約束違反になるからな」 「‥‥勿体無い‥‥」 鷲尾と打ち合いをしながらシエルに指示を出すジーク。 シエルは首をかしげるような仕草をしたのち、その手に瘴気を集中させる‥‥! 「は、ハンマーですか‥‥!?」 「なんて巨大な、金鎚‥‥!」 「おいおい、あんなんでぶっ叩かれたら、術組は‥‥!」 自分の身長より大きい巨大なハンマーを構築したシエルは、それを軽々振りあげて鈴木とジークリンデを見比べた。 やる気の無さそうな瞳。次の瞬間、シエルの長い銀髪が大きくたなびく。 来る! そう判断したジークリンデがその場を飛び退こうとした時には、すでにシエルは息がかかるくらいの場所まで接近していた‥‥! 「は、速い‥‥!」 「‥‥あ。近づきすぎちゃった」 まぁいいかとばかりに、ハンマーの柄でジークリンデを殴り飛ばす。 金鎚部分で叩かれなかっただけマシとは言え、左腕の骨があっさり粉砕された。 しかし、これでもシエルの腕力はSAで一番ではないという。 「‥‥シエル。瞬鎚のシエル。覚えなくても、いい」 「超スピードのハンマー使い‥‥! はっ、好みだぜ‥‥!」 「おまえいつでも余裕だな」 「女は懐に広い男に惹かれるもんでな!」 「‥‥面白い奴だ」 一旦距離を取った鷲尾とジーク。 ジークリンデを助けようにも、鈴木もキュリテに狙われ思うように動けない。 そうこうしているうちに、シエルは容赦なくジークリンデにハンマーを振り上げる‥‥! 「馬鹿にしたもんじゃないさ。懐が広いとこういうこともできるんだぜ?」 「‥‥何?」 不意に懐に左手を突っ込んだ鷲尾は、何かを取り出して高く掲げてみせる。 それは‥‥! 「ほらシエル、どら焼きだぞ! 美味しいぞー!」 「アホか。いくらシエルでもそんな手に‥‥って喰ってるー!?」 「ほむほむ‥‥」 ジークがガビーンとした顔をしている間にも、シエルはどら焼きを頬張っていた。 持ち前の素早さもこんなことに使われるのでは泣いていることだろう。 「ほれほれ、もっと欲しかったら負けを認めろ〜。そしたらあと百個やろう」 「‥‥うん、負けでいい」 『オィィィッ!?』 開拓者側からもSA側からも総ツッコミである。 しかし、これでも負けを認めてしまったことに違いはない。シエルの生態を読みきった鷲尾の勝利と言うしか無い。 甚 だ し く 遺 憾 だ が。 斎に負傷を回復してもらい、町長を無事に奪還してなお、開拓者たちの心中は微妙であったという――― |