お荷物一つ?
マスター名:西川一純
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/07/22 21:35



■オープニング本文

 天儀の中心都市たる神楽の都。
 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。
 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら―――


 開拓者ギルドに務める職員、十七夜 亜理紗は、同時に開拓者でもあった。
 なんとなくという理由と服の好みで陰陽師の道を選び、先輩開拓者の力添えを得てようやく合格したのである。
 しかし、一応合格したとは言え亜理紗の陰陽師としての適正にはかなり問題があった。
 彼女は陰陽師の術の数々を、見ただけで習得するという才能を見せた。それと同時に、発動はできても一切制御ができないという才能の無さも見せたのだ。
「ぜぇっ、ぜぇっ、せ、せんぱぁ〜い、今日はもう、練力がありませんんん!」
「はぁ‥‥結局まともに使えるようになったのは斬撃符と呪縛符だけ。初歩の初歩なんでしょ、それって」
「うぅ‥‥仕方ないじゃないですかぁ。才能ないんです、私‥‥」
 地面に大の字で寝転がり、弱音を吐いた亜理紗に対し、呆れるように言ったのは西沢 一葉。
 ギルドにおける亜理紗の先輩職員であり、たまの休みに亜理紗の修行に付き合っているのである。
 本人には知らされていないが、一葉は亜理紗の異常性を聞かされていた。
 制御できない術の数々を習得してしまうのもそうだが、彼女は誰も知らないオリジナルの術を開発することにも長けているらしい。
 勿論制御などできはしない。それがどれだけ恐ろしいことか、本人はよくわかっていないのだ。
「しかも何、その式。ふざけてると思われても文句言えないわよ?」
「えー、可愛くないですか?」
「どこの世界にクロワッサンを斬撃符に使う陰陽師がいるのっ! 呪縛符はうどんだし!」
「い、イメージしやすかったのが食べ物だったんですよぅ。ほ、ほら、うどんってコシがあるんですよ!」
「関係ないからっ!」
 亜理紗が開拓者になって久しく、それなりに修練は積んできた。それなのにまともに使える術が二つだけというのは、流石に成長が遅い気もする。
 一葉はそれが心配で、他の陰陽師に色々アドバイスなどを聞いてきてはいるのだが‥‥。
「何がいけないんでしょうか‥‥。やっぱり、他の術は食べ物と関連付けるのが難しいからですかね?」
「食べ物から離れなさい。仕方ないわね‥‥私が担当になった依頼に、三匹の鎧鬼を倒すって言うのがあったはずだから、それに同行してきなさい」
「えぇぇぇぇ!? よ、鎧鬼って強いじゃないですか!? 恐いじゃないですか!?」
「一人で行けって言うわけじゃないんだから我慢しなさい。こうなったら少しくらい荒療治でも、実戦で経験積んだほうが成長するかも知れないわよ? 今度はきちんとした一人の開拓者として参加して、恩返しするのもいいんじゃない?」
「うぅぅ‥‥わ、わかりましたよぅ‥‥」
 渋々ながら承諾する亜理紗。正直言えば、一葉も不安だ。
 だが、ただ漫然と学んでいるだけでは亜理紗は成長しない。そんな予感がしたのだ。
 鎧鬼三匹の討伐に同行することになった亜理紗。はてさて、きちんと役に立てるのであろうか―――


■参加者一覧
天津疾也(ia0019
20歳・男・志
真亡・雫(ia0432
16歳・男・志
睡蓮(ia1156
22歳・女・サ
乃々華(ia3009
15歳・女・サ
菊池 志郎(ia5584
23歳・男・シ
繊月 朔(ib3416
15歳・女・巫
久木 満(ib3486
26歳・男・騎
プレシア・ベルティーニ(ib3541
18歳・女・陰


■リプレイ本文

●鬼を探して
 五行の西に存在するとある山。
 夏の日差しが照りつけるここは、普段は何のことはない普通の山である。
 しかし現在は、鎧鬼というアヤカシが三匹も発生し、付近の住民は勿論旅人にも注意が呼びかけられ、人通りは殆ど無い。
 そこにあえて踏み込んでいく9人の男女。言わずと知れた開拓者たちである。
「お、見つけたんか? 意外と速かったなぁ」
「えぇ、わりと近くにいたみたいですね。カチャカチャと複数の鎧の音がしていますので、間違いないでしょう」
「ん‥‥じゃあ、早めに食べきりますか。‥‥食べます、か?」
 一行はまず、天津疾也(ia0019)、菊池 志郎(ia5584)、睡蓮(ia1156)の三人を先行させて鎧鬼を捜索、位置の特定を行っていた。
 山に入って一時間ばかりしたとき、目下最大の索敵方法である菊池の超越聴覚に引っかかるものがあり、数などから鎧鬼と断じたようだ。
 この暑いのに饅頭をかじりながら山を進んでいた睡蓮は、残りを天津たちにも勧めたがやんわり断られたようである。
「よっしゃ、ほんならおびき出しと行こか。多分準備も終わっとうやろ」
「‥‥、アヤカシに食べさせる饅頭はないですよ」
「誰がそないなモンで釣れ言うたかい。そもそもアヤカシはそんなん喰わんやろ」
「‥‥ほっ」
「えっと‥‥もういいですか? 奴らはあっちの方にいるんですが‥‥」
「そうですよ。速く行きましょう」
「俺が悪いみたいに言うなや!?」
 三人は鎧鬼に接近し、誘いだす囮の役を担うべく動き出した。
 手に武器を持ち、森をうろうろする鎧鬼が三匹。バラバラに行動していないのは助かる。
 タイミングとルートを見計らい、天津が雷鳴剣を放った―――

●待機組
 その頃、待機組は木々に囲まれながらも平坦な場所に陣取り、囮組が帰ってくるのを待っていた。
 真亡・雫(ia0432)を頼れる前衛として配置し、慣れない山の中で少しでもこちらが有利に戦える場所を探した結果である。
 が、真亡の表情は冴えない。別に暑さにやられたわけではないのだが、原因は‥‥
「亜理紗さん、私もまだまだ駆け出しなんだ、失敗を恐れずに一緒にがんばろっ、ねっ♪」
「は、はいっ! なるべく失敗しないようにしたいですっ!」
「信用は、していません。というか貴女は私の敵でしょう」
「ふぇっ!? 何故に!?」
「分かりやすく言い換えると、私に何か実害があった場合はきっちり報復します。さらに具体的に言うと、おしりぺんぺんです」
「ひーん!?」
「ん〜、それにしても、あーちゃん(=亜理紗のこと)も同じ陰陽師だし、色々教えてもらえるなぁ。ボクラッキーだよぉ」
「そ、そんなぁ。私だってまだまだ駆け出しですから。えへへ」
「それにしても、乃々華さんの格好は涼しそうだね。でも、私じゃスタイルがなぁ‥‥」
「この服を着るのに必要なのはスタイルではなく、冬でもこのままでいるという覚悟です。えぇ」
「ふ、冬もそのまま? ののちゃん、寒くないの?」
 女三人寄れば姦しいとはよく言ったものだが、四人集まれば更に姦しい。
 繊月 朔(ib3416)をはじめとして、乃々華(ia3009)、プレシア・ベルティーニ(ib3541)などは十七夜 亜理紗と仲良くやっているようである。
 が、それだけに真亡は蚊帳の外。それも充分しんどいが、さらに‥‥
「なんだよぅ、折角鎧鬼をおっかけまわしてやんよ☆ と思ってたのによぅ。囮から外した上に縛るこたぁないんじゃないかなぁ? ふひひひひひ」
「いや、自覚してくださいよ‥‥。そうケラケラ笑われてたら囮には向きませんって。縛りつけたのは申し訳ないと思いますけど、一人でも行くと聞かないからですよ」
「俺としてはさぁ、女どもを眺めてるのでもそれはそれで楽しいんだけどさ? どうせなら早く鎧鬼の鎧をひっぺがしてやりたいわけさ。ふへへへ、わかるだろ☆」
「分かりませんよ‥‥」
 久木 満(ib3486)は木に縄で括りつけられているのだが、それでも笑顔を絶やさない。
 これはこれで楽しいと思っているのかも知れないが、作戦上自由にさせると何かと危なかろうという理由でこういう処遇になり、真亡が管理しているわけだ。真亡としては頭が痛いところである。
 と、その時だ。
『そろそろそっち行くでー! 準備してやー!』
 木々の間から天津の声が響き、一同に接近が知らされる。
 女性陣も慌てて準備を整え、陣形を組む。
「さて‥‥では、活躍していただきますよ」
「さぁて真面目にやるか? やるか? むしろやられるか? だぁが断る」
「誰か助けてくださいよぅ‥‥」
 縄を解かれた久木は水を得た魚のように、ワクワクしながら鎧鬼たちを待ち受ける。
 真亡がかくんと項垂れたのも、致し方ないことであった―――

●可能性と言えば聞こえはいいが
「一気に走り抜けてください! 早速オリジナル術、いきます!」
「だ、そうです。やる気満々ですね」
「上手く行くといいんですが‥‥!」
 亜理紗の声を受け、睡蓮や菊池たちは真亡たち待機組の前衛を横を駆け抜ける。
 一枚の符を取り出し、亜理紗は思いつきで開発したオリジナルの術を発動する‥‥!
「岩落符!」
 要は上空から岩を落とす術であり、大きさは成人男性の頭くらい。
 当たり所が悪ければ普通の人間はあっさりあの世行きの術である。
 厄介なのは、落下地点が一定範囲内にランダムなので、味方を巻き込む可能性が高いこと。これは今回、予め範囲から離脱してもらっているので大丈夫だ。
 そして、最大の欠点は。
 こつんっ。
「‥‥え? あれで終わり?」
「あーちゃん、なんか凄くちっちゃい小石しか落っこちてこないよぉ?」
「うわーん、失敗しましたぁ!?」
 やはり、亜理紗がまるで制御できていないこと。これに尽きる。
「役に立たんなあんた!? しゃーない、普通にいてこます!」
「俺のワクワクテカテカを返せよぅ。ま、俺は俺で勝手に楽しむぜぇ。あははははははっ!」
「あ、亜理紗さん、お気になさらずに」
 天津、久木、真亡が亜理紗に声をかけつつ鎧鬼に接近していく。
 わかってはいたが、流石に本番でしくじると凹むらしい。
「大丈夫次があるよ! がんばろうね!」
「普通の術でも援護できるよ! ごーごー♪ あいつの動きを鈍らせるんだ〜っ」
「はぅぅ‥‥」
 繊月とプレシアに慰められつつ、プレシアと共に呪縛符で援護する亜理紗。
 うどんに絡め取られて動きを鈍くされる鎧鬼というのは、想像以上にシュールだった。
 しかし、鎧鬼は屈強な体躯を生かし、そのまま前衛と交戦を開始する。
「そらそらそらそらぁぁぁぁぁっ! 突いて突いて突きまくりだぜぇぇぇ!?」
「思った以上に硬いですね」
 久木のランスも、睡蓮の刀も、鎧鬼の鎧に対し有効打を与えられない。
 防御に特化した個体とでもいうのだろうか。受けの腕前もかなりのものだ。
 その代わり、攻撃は今ひとつ精度が良くない。天津や菊池は勿論、睡蓮でも集中すれば受け流すことが可能だろう。
「ならば、非物理攻撃で!」
「今度は容赦なく当ててくで!」
 真亡が白梅香で、天津が雷鳴剣で、各々非物理攻撃を仕掛ける。
 天津は囮として活動する際、雷鳴剣を直撃させていない。
 それは確実に待機組の下へ三匹全部を引き付けるためだったのだが‥‥。
 ガギンッ! バチンッ!
『なっ!?』
 二人の攻撃は、非物理攻撃でさえ鎧に防がれてしまう。
 天津の雷鳴剣はかなりの威力を誇るはずだ。それを防がれてしまうのでは、物理でも非物理でも対抗手段がなくなってしまう。
「こンのぉ〜〜〜! ボクの符だって、早く飛んでったら斬れるくらい痛いんだぞぉ!」
「わ、私も!」
 プレシアと亜理紗が斬撃符で援護するも、天津や真亡の非物理攻撃が効かない鎧に通じるわけがない。
 お互い有効打を与えられない戦い。こうなると、スタミナや練力の関係で開拓者が不利か‥‥!
「少々危険かもしれませんが‥‥事態の打開のためにはこれしかありません。やってみます」
 何を、と仲間が聞く前に、菊池は大地を蹴った。
 奔刃術による俊敏な動きで急接近し、鎧の隙間に影の一撃を加える!
 影ならば、ポイントアタックのような細かい部分を狙う技術を内包している。例えポイントアタックを習得していなくとも、鎧に邪魔されず攻撃できる!
 鎧の防御は高くとも、本体の耐久力はさほど無いのか。菊池の一撃を喰らった鎧鬼は、傷口から大量の瘴気を吹き出し、消滅していく。
 しかし‥‥
「ぐっ、しまっ‥‥!」
 菊池の素早すぎる動きが仇となり、仲間の援護が間に合わなかった。
 他の鎧鬼が背後から刀で斬りつけ、菊池の背中に大きな刀傷が走る‥‥!
「まずい! 援護を‥‥!」
「ありゃ間に合わねぇって。あっはっは!」
「笑い事じゃ‥‥!」
 三匹目の鎧鬼が菊池に刀を振り下ろそうとする。この位置からでは間に合わない。
 誰もが、そう思ったとき。
「せいやー」
 さして気合の入っていない台詞と共に、何者かが突然降ってきた。
 鎧鬼の後頭部に蹴りを入れ、菊池への攻撃を妨害する!
「乃々華さん!? どこに行ってたのかと思ったら‥‥木を登ってたんですか!?」
「はい。なんとなく、最初は飛び蹴りと決めていたので」
「その格好で!?」
「はい。この格好で」
 そういえば姿が見えなかった乃々華。おかげで菊池を助けるための隙が作れたので結果オーライだが。
「ここで巫女の本領発揮です。菊池さん、傷を見せて」
 菊池をこちら側に引っ張り戻し、繊月に回復させてもらう。
 しかし、ここからどうする。一匹ずつ菊池に始末してもらうか?
 先程の感じからすると、菊池の動きが速すぎてまた援護ができない可能性が高いのだが‥‥。
「蹴ってみて思ったのですが、蹴りのダメージそのものはなくとも物理的な衝撃は有効だと思います。首ががくんとムチ打ちのようになっていたので」
「私も上手く隙間を狙えればいいんだけどなぁ。ものまねじゃだめ?」
「怪我しとうなきゃやめとき」
 真亡と久木が抑えている間に作戦会議を開くが、有効な策は浮かばない。
 大質量の何かをぶつけるのがいいと言うが、体当たりでもしろというのだろうか。刀を持っている相手にそれは無謀だ。
 と。
「ねぇねぇ、あーちゃんの岩落符はぁ? あれ、岩みたいな式を落とすんでしょ?」
「え‥‥あ、そうですけど‥‥さっき失敗してますし‥‥」
「他によさげな術はないの? 少しでも制御できる確率が高くて、衝撃が出そうなの」
「うーん‥‥うーん‥‥」
 実は亜理紗のオリジナル術はふっと頭に浮かんだものが大半であり、理論立てて、こういう効果が得たいからと開発されたものは一つもない。
 その中で、今回の条件に合いそうな代物は‥‥
「‥‥二つほど思い当たりました。でも、きちんと制御できても、どっちも危険です‥‥」
「このまま戦闘を継続する方が危険やっちゅーねん。二つもあんなら上等やろ!」
 他のメンバーも頷き、亜理紗に術の使用を促す。
 今まで使うなと言われ続けたオリジナル術。求められた時くらい、やってみせたい。
「わかりました。では、久木さんを呼び戻してください。天津さん、使うときは合図しますので、真亡さんにもそう伝えてください」
「あいよ」
 ニヤリと笑い、天津は久木と交代して鎧鬼を抑える役に徹する。
「なんだいなんだい、こっちは楽しんでたのにさぁ。ははは、ワクワクさせてくれるのかぁ!?」
「そのつもりです。ランスをしっかり構えて、立っててください」
「あぁん? そんだけ?」
「最後の軌道修正はお願いしますね。行きますよ‥‥!」
 亜理紗は久木の背後に回り、一枚の符を取り出す。
 念を込め、術の名が紡がれる。
「真亡さん、避けてくださいね! 撃重符!」
「お? おお お お  お  お   お   お    お     お    お!?」
 背後から圧倒的な力で押されたかのごとく、久木の身体は宙を舞い真っ直ぐ鎧鬼に向かう!
「ヒャッハー! どけぇぇぇっ!」
「え!? わっ!?」
 真亡が慌てて横っ飛びで回避し‥‥久木のランスは、鎧鬼の胴体に直撃する。
 しかし、鎧は破れない。だが、それでも構わないのだ。
「押せ押せ押せぇぇぇっ! ふははははははっ!」
 鎧鬼の体ごと背後の木に叩きつける。
 激突の衝撃で内部へのダメージが大きかったらしく、その鎧鬼はすでにフラフラになっていた。
「それじゃ美味しいところはいただきましょうか。アヤカシじゃ味ありませんけど」
 睡蓮が二刀流ですたすた近づいていく。
 フラフラ状態になってしまえば、いずれ細かいところに当てることもできるだろう。
「続いていきます! 天津さん、大きく離れてください!」
 天津の離脱を確認し、亜理紗は先程と違う符を取り出す。
「豪重符!」
 その瞬間、鎧鬼の周りの地面が陥没を始め、鎧鬼は苦しそうに膝をついた。
 先程と同じ系統の術らしいが、攻撃力はほぼない。ここからどうするのだろう?
「乃々華さん!」
「準備完了です。あ、とー」
 また木に登っていた乃々華は、全体重を乗せるようにして鎧鬼の体に飛び乗った。
 例によって鎧は壊れない。しかし重力によって強化された乃々華の体重と加速が質量弾として叩きつけられ、胴の鎧のつなぎ目部分が鎧鬼自信の腰骨をへし折る‥‥!
「酷いですわ。これじゃ私が重いみたいじゃありませんか」
「ほ、他に気に登ってくれる方が思いつかなくて」
「ちょっとそこの茂みに来て下さい。オ・シ・オ・キです」
「ひーん!?」
 きちんと止めを刺し、鎧鬼は撃滅された。
 仲間がいたからこそ亜理紗は術を制御できたし、有効活用することもできたのだろうか。
 この後、同じ術を使おうとしても十回に一回成功すれば良い方だったという。
 かくして、開拓者たちは亜理紗というお荷物を一つ抱えたまま、無事に勝利したのであった―――