【SA2】奇妙な護送
マスター名:西川一純
シナリオ形態: シリーズ
相棒
難易度: 難しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/10/30 04:58



■オープニング本文

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 天儀の中心都市たる神楽の都。
 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。
 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら―――

 セブンアームズ(以下SA)の騙りを捕縛せよという依頼は、時間をかけず素早く終わらせようという開拓者の考えにより見事成功した。
 もし少し様子を見ながらとか、機会を待ってなどということになっていれば確実にSAが騙りに危害を加えていただろう。
 さて、成功はしたものの少々問題も残った。現場に到着したSAたちは無理矢理騙りを殺そうとしたわけであるが、開拓者の提案でその場は退き、後日護送中に決着を付けるのはどうか、という話になったのだ。
 村で暴れるのはSAも望むところではなかったらしく、その提案は受け入れられた。
 しかしだ‥‥。
「現在、騙り7人は村で石鏡の役人の元で拘束されています。で、護送の方法なんですが、クマ用の檻を二つ用意して、それに騙りたちを入れて大八車で‥‥というのが提案されています」
「他の方法はないの?」
「無理ですよ。大きな街ならともかく、田舎の村なんですから用意できる道具もたかが知れてます。ちなみに役人は道中には付いてきません。村の人は‥‥お金を渡せば大八車を引くくらいはしてくれるかもしれませんが」
 ギルド職員の十七夜 亜理紗と西沢 一葉。
 護送の計画書を見て頭を抱えてしまうのは、恐らく開拓者もであろう。
 件の村から大きな町まではおよそ10km。その道中を、アヤカシを騙った犯罪者の命を守りながら、騙られたアヤカシの襲撃に備えろというのだから何がなにやらわからない。
「相手は槍を投げてきたり弓を使うのもいるんですけどねぇ‥‥檻じゃ不安です」
「道としては‥‥平原が多いわね。山道でないなら、奇襲の可能性は幾分か減るかしら‥‥」
「SAならどっちみち真正面から来そうな気がしないでもないですけどね」
 一応、より良い護送方法の提案があれば受け入れるとのことなので、アイデアがあれば提案するのも悪くない。
 SA滅すべしというスタンスは変わらない。だが、然るべき決着をつける場を用意するのも悪くはない。
 その決着の場がどことなるのか。今回なのか‥‥それとも―――


■参加者一覧
風雅 哲心(ia0135
22歳・男・魔
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
小伝良 虎太郎(ia0375
18歳・男・泰
巴 渓(ia1334
25歳・女・泰
煌夜(ia9065
24歳・女・志
レネネト(ib0260
14歳・女・吟
アレーナ・オレアリス(ib0405
25歳・女・騎
アッシュ・クライン(ib0456
26歳・男・騎


■リプレイ本文

●不本意
「絶対だぞ! 絶対守れよ!?」
「死んだら化けて出てやるっすよ!?」
 石鏡東部、件の村。
 移送当日になり、計画の説明を受けた騙りたちは半狂乱であった。
 今の今までこの村で裁きを待つものだとばかり思っていたのが、自らが騙ったセブンアームズ(以下SA)たちに確実に狙われながら護送されると聞けばそうもなろうが。
 何にせよ自業自得という他はない。騙りたちは三人四人の二班に分けられ、クマ用の檻に入れられた挙句大八車で馬に引かれる。
 この馬は開拓者たちが村人に頼み調達したものなので、手間暇も掛かっている。
「ぎゃーぎゃー五月蝿いな。お前らが騙りなんてしなけりゃこんなことにはならなかったんだよ」
「まったくだ。お前らの護送なんてやる気出ねぇっての。しかし、世の中怖いモノ知らずって居るもんだなァ‥‥いや、どちらかって言うと無知は罪の方か」
「あなたたちニセSAさんたちは悪いことをしました。ホンモノのSAさんたちが怒るのも分ります。でも、あなたたちには反省してもらいたいのです。だから、一度だけ助けようと思うのです」
 見世物か、はたまた市中引き回しか。檻に閉じ込められた騙りたちに対し、風雅 哲心(ia0135)や鷲尾天斗(ia0371)たちのリアクションは冷たい。
 いや、彼らの方が普通なのだ。騙りたちに同情の余地がないのは誰の目にも明らかである。
 それでも助けてやりたいと言ってくれるレネネト(ib0260)は奇特な存在と言っていいだろう。
「はいこれ、念のため。言っとくけど、逃げ出そうなんて思わないでね。そんな事してもあいつらに喰われるだけだよ」
「おい、こっちにはねぇのかよ!?」
「見苦しいですわよ。きちんとご用意してあります。その他の備えも一応は」
「悪人を守るのは気が引けるが、正当な手段で裁きを受けさせるためにもやむを得んか。守るからには、全力で当たらせてもらおう」
 小伝良 虎太郎(ia0375)が三人組の方の檻にプロテクトシールドを差し入れたのを皮切りに、アレーナ・オレアリス(ib0405)やアッシュ・クライン(ib0456)が次々と盾や鎧といった防具を騙りたちに与える。
 檻は狭く、自由に立ちまわることは難しい。しかし盾での専守防衛くらいならばできないこともない。
 加えてレネネト主導のもと、檻や大八車を鉄板で補強するというこだわりぶりだ。
 こうなると人の手で引くのは厳しい重量となる。馬を買ったのは正解と言えるだろう。
「さて、それじゃあそろそろ行きましょうか。私とアレーナさんが馬を制御する御者役ね。いざって言うときのために馬に乗りはしないけど」
「結構だ。この護送はただの護送じゃない。倒しに行く姿勢は大事だからな」
「わかってるわよ。にしても、人間側が原因っていうのがつくづく情けないわ」
 言葉通り、煌夜(ia9065)とアレーナが二台の大八車に分かれ、馬の手綱を握る。
 巴 渓(ia1334)は軽口を叩いているが、内に秘めた決意は並々ならぬものがある。
 自らの体を盾にしてでも敵を寄せ付けず、防衛に専念することも辞さないという。
 巴曰く、『人類敵対存在とは永遠に共存は出来ん』。
 それに間違いはないし、他の全員もわかってはいる。いつまでもSAとのグダグダな関係を続けていても、双方にとっていい結果にはならないのだから。
 それでも‥‥それでも心鈍らせる何かが、SAたちにはあったのだ。
 見送りはない。村外れに設置されているこの柵の間を越えたら、護送開始だ。
「後はあいつ等の出方かァ‥‥常套手段は夜陰に紛れての奇襲って言う所だがなァ‥‥」
「そうね、それが王道パターンだわ。どうしても道中に夜になる道のりだし。‥‥でも、鷲尾さんはそうは思ってないのね?」
「聞かせてもらいたいものだな。SAの誰だかに気に入られているという男の意見を」
 ひたすらやる気がなさそうな鷲尾。むさい男を守るなど、彼のテンションが上がろうはずもない。
 しかし彼の呟きは自らの言葉を否定するものだ。興味を持った煌夜とアッシュが続きを促す。
「正面から来るんだろうなァ。ちょっと捻りを加えて」
 カポカポと音を立て、馬が大八車を引く。
 その二台目が、村を出た瞬間。
「イィィィヤッホォォォウゥゥゥッ!」
『っ!?』
 背後‥‥つまり村の中から急速接近してくる黒い影。
 その数、5。言うまでもなく、黒マントを羽織ったSAたちである―――

●始めの一歩で
「真正面どころか真後ろからじゃないですか!?」
「裏から見れば正面だろ。それにわざわざ声出して知らせてくれたんだ、律儀なもんさ」
「確かに護送は開始されたわけだから、ルール違反じゃないけどさぁ!?」
 レネネトがツッコミを入れたが、鷲尾は軽口を叩きつつ槍を構える。
 小伝良も文句を言いたいところではあるが、ルール上何も問題はない。
「輝夜嬢、縄を切って馬を村の方へ放ちましょう。今なら暴れ馬にさせず再利用できるでしょうから」
「了解! あと、私は煌夜なんでよろしく!」
「それは失礼いたしました」
「バーロー! 来るぞ、斬るなら早くしろ!」
 アレーナと煌夜のやりとりにツッコミを入れつつ、風雅は抜刀する。
 弓を使っている余裕はない。そんな彼の判断をあざ笑うかのように、黒マントの一人が瘴気で弓を生成し瘴気の矢を放つ!
 放たれた矢は真っ直ぐ騙りたちを狙っていたが、騙りたちは情けない声を上げつつも盾で防いだ。彼らに防具を与えておいたのも大正解と言えた。
「ダシオンとかいう奴か。迎撃組、どうした」
「相手が判別できないと厳しいんだけど‥‥やるしかないわね!」
「つか、二人だけかよ!? 死守組多すぎだろ!」
 煌夜と風雅が駈け出して迎撃に回る。
 しかしその他のメンバーは大八車から離れず、死守に専念するようだ。
 まぁ今回はSAたちが固まって襲ってきているので、立ちはだかる感じでいれば問題はないが‥‥。
 しかし、迎撃に出た二人の間をすり抜ける疾風が一陣‥‥!
「速ぇ!」
「この動き‥‥瞬鎚のシエル!?」
 二人には目もくれず疾駆し、大八車へと向かうシエル。
 そしてその手に、身の丈以上もある巨大なハンマーが生成される‥‥!
「やっぱそう来たか! 勝手にイカせるかよ! こっちがイカせてやらァ!」
 この行動を予期していた鷲尾は、なるべく引き寄せてから雷鳴剣を放った。
 タイミング的に回避は不可能! しかし漆黒の黒いマントに触れた瞬間、バチンと音を立てて雷鳴剣が霧散してしまう‥‥!
「げっ、あれも防ぐ対象かよ!?」
 驚嘆する鷲尾の横を、巴が加速して駆け抜ける。
 瞬脚で加速し、一気に肉薄する!
「失せろ、人型妖魔!」
 その拳が唸りをあげ、シエルを襲う。
 しかしシエルはそれに反応し、ハンマーを盾代わりに構えて受ける!
「何っ‥‥ちぃっ!」
 勢いを借りてバックジャンプし、距離を取る。およそハンマー使いの動きではない。
 そうこうしているうちに残りのSAたちも戦闘に加わってくる。
 一人が槍を実体化させ、風雅を刺し貫かんと投擲する‥‥!
「こいつは撃槍のクランとかいう奴か!? くそっ、喋れよ!」
 SAたちの間には、フードを被っている間は大声で喋らないというルールがあるらしい。
 槍をなんとか弾いた風雅だったが、その隙に西洋剣使い‥‥覇剣のジークが襲いかかる!
 前に出た二人が完全に孤立している。しかし助けようにも、あと二人ばかりSAの姿が見えないのが気になってしまう。
 それだけではなく、ダシオンが複数人数を対象とする射ち方をしてくるのが痛い。別の誰かを狙っているかと思ったら自分も狙われていたということが多々ある。
 じわじわと遠距離攻撃で傷を増やしていく開拓者たち。それは死守組も変わらない。
「ぐっ‥‥! やべぇ!?」
「抑えてて!」
 鍔迫り合い状態から叩き伏せられそうになる風雅。そのピンチをチャンスに変えるべく、煌夜がジークの顔面を狙い、白梅香で突きを入れる!
 人型で知恵があるなら顔を狙えば怯むだろう。そう考えた煌夜の考えは、間違っては居なかったが‥‥!
「避けない!? ‥‥がふっ!?」
 避けられないと踏んだジークは、顔を捻りフードの部分で攻撃を受けた。
 白梅香によるダメージをこれで相殺し、威力を弱めたわけだ。もっとも、物理的な衝撃までは緩和できないので、殴られたように大きく吹っ飛んだが。
 次の瞬間、煌夜は突如真後ろから衝撃を受け、風雅と衝突する。
 背中の辺りに何かがぶつかってきたのだろう。肺の機能が一時ストップし、呼吸困難に陥った!
 それだけならいいが、背骨にまでダメージがいっているのか思うように動けない!
 衝撃の正体は、トゲ付き鎖鉄球。操球のキュリテの仕業だろう。
「風雅さん、一旦退いてください!」
「煌夜を見捨ててもいいんならな!」
 レネネトの言葉を一蹴する風雅。
 彼の腕前なら、持ち前の秋水を活用し接近戦を優位に運べるだろう。
 しかしSAたちは迂闊に近づかない。誰かの援護がなければジークも襲ってこないのだ。
 そして、SAたちには中〜遠距離攻撃が得意な者もいる‥‥!
「ふざっ‥‥くそぉぉぉ!」
 槍、矢、鉄球の集中砲火が風雅を襲う。
 槍と矢を弾いただけでも大したものだったが、鉄球がその脇腹に決まり肋骨の何本かを持っていった。
 これはSAなりの各個撃破とでもいうのだろうか。シエルを囮に先行させ、孤立している開拓者を残りのメンバーで叩くのだ。
 数が揃っていないのは、伏兵ありと思わせる作戦か?
「鷲尾さん、反応ある!?」
「‥‥いや、ない。少なくとも抵抗されてないなら範囲内に他の二人はいないな」
 SAたちは動けなくなった煌夜と風雅を無視し、大八車へと距離を詰めていく。
 流石の鷲尾たちにも焦りの色が見え隠れする。
 矢が引っ切り無しに檻を狙っており、なんとか盾で防いでいるというのが実情だ。
 ここに槍や鉄球が加わっては話にならない。そうでなくとも、再び大地を蹴り、金鎚を振りかざすシエルがいる。その速さは尋常ではない。
「同じ手が通用するか!」
 巴もまた、瞬脚で大地を蹴って肉薄する。今度は泰練気法・弐も併用する三回攻撃だ。非物理攻撃ではないので黒マントで防がれる心配もない。
 しかし、シエルはハンマーを盾にし再び防御を―――
「甘いよっ!」
 防御姿勢を取ったすぐ横に、小伝良が出現する。
 彼もまた瞬脚を使用でき、シエルをマークしていた人物だ。巴は彼が居ることを考慮し、わざと受けさせて隙を作った‥‥!
「骨法! 起承拳!」
「!?」
 小伝良の三節棍が閃き、シエルの腹に直撃する。
 これも黒マントが関係ない完全な物理攻撃。破軍で強化されたその一撃は、ハンマーもろともSAの身体を大きく吹き飛ばし、木に叩きつけた。
 手応えがあった。少なくともそう簡単には起き上がれないはずだ。
『‥‥!』
 流石のSAたちにも動揺が広がる。
 しかしそれも一瞬のこと。
 すぐに気持ちを切り替えたSAたちは、小伝良と巴に槍と鉄球を放つ。
 槍は巴の右足に、鉄球は小伝良の左足にヒットし、地面に這い蹲らせる。
 そこに矢が追い打ちをかけ、二人も動けなくなってしまった。当たり前だが容赦がない。
「‥‥キルレシオが悪すぎるな」
「なんだよそれ」
「撃墜比とでも申しましょうか。一体を倒すのに二人が倒されていては困るということです」
「西洋の言葉は便利だぁな!」
 シエルにはかなりのダメージが行っているはずだが、他のメンバーはジークに少々ダメージがある程度。比べてこちらは四人が行動不能だ。
 数の上では互角だが、対象物を護衛しながらでは分が悪すぎる。
 それでも放り出すわけには行かないのだ。それが彼らの選んだ道なのだから。
「一か八か‥‥やってみましょう。弓使いの方‥‥ダシオン殿でしたかしら?」
 ふと、アレーナが弓使いに声をかける。
 フードを被っているので表情は見えないが、聞いてはいるようだ。
「確か肉体美が御自慢でしたわよね。そのあなたがちくちく遠距離攻撃とは少々宝の持ち腐れなのではなくて? お得意の打撃で挑んでいらっしゃいな。それとも、その筋肉は飾りですの?」
「おい、いくらなんでもそれでは動じないだろう」
「いえ‥‥来ますよ」
 アッシュの言葉に、レネネトは自信を持ってハープの弦に爪を立てた。
 スプラッタノイズ。挑発にこれを重ね、正常な判断を出来なくさせる作戦だ。
 するとダシオンがマントに手をかけ、一気に脱ぎさった!
「フッ‥‥そこまで言われては仕方ありませんね。しかし私の筋肉は、いつの日かあなたにヤング弁当食べ放題ですよ!」
「混乱してんなぁ‥‥」
 上半身裸の、メガネをかけた優男風のマッチョ。
 ギャグにしか見えないが、これで破壊力は確かなのだ。慌てる他のSAを他所に、ダシオンは混乱したまま弓を鈍器として振りかざし突撃する。
 言いだしっぺのアレーナは回避に自信がある。少し前に出て、カウンターを狙ったが‥‥!
「そん‥‥な‥‥!?」
 弓術師の命中力は高い。普通やらないだけで、それは接近戦でも変わらないのだ。
 鉄塊を叩きつけられたようにアレーナの身体が吹っ飛び、優雅な表情を歪ませる‥‥!
「ざけんな!」
「守るだけしか‥‥脳がないと思うな!」
 その隙に鷲尾が雷鳴剣で、アッシュがオーラドライブ付きの剣で攻撃を仕掛ける。
 今のダシオンに黒マントはない。雷が貫き、破壊剣が胸に大きな斬傷を刻みつける!
 防御姿勢も取れていなかったので、相当堪えたはずだ。よろよろと下がり、がくりと膝をつく!
 SAたちは一瞬顔を見合わせ、ジークとクランが檻へと突撃する‥‥!
「くそったれぇぇぇっ! まだ来んのかよ!」
「こちらにも意地というものがある‥‥!」
 鷲尾が槍と槍をぶつけ合い、アッシュがソードブロックで西洋剣をガードする。
 これまでの瘴気の矢によるダメージは二人にもかなりある。これ以上は遠慮したいところだが‥‥!?
 レネネトはスプラッタノイズを発動しつつ、キュリテがダシオンとシエルを引きずっていくのを確認した。
 スプラッタノイズはダメージではないので黒マントを着ていても有効。それは先程確認したばかりだ。
 頭を抑えて後退するクラン。そこに‥‥!
「バー‥‥ロー‥‥! 人間を、なめんなよ‥‥!」
「おねんねして、ばかりじゃ‥‥かっこ悪いもの、ね‥‥!」
 身体に鞭打ちながら、背後から風雅と煌夜が斬撃を仕掛ける。
 二人共ダメージが大きく必殺の一撃とはならなかったが、背中のマントごとばっさり斬る。
 そこでただでは倒れないのはさすがと言おうか。手に持った槍で大きくなぎ払い、二人を弾き飛ばしてから尻餅を付いた。
 流石にまずいと思ったのか、ジークがクランを抱えて撤退していく。
 双方ボロボロの泥沼の戦い。今日の所は引き分けだろうか。
 流石の開拓者たちも、護送は一旦諦めざるを得なかったからである―――